JP7165070B2 - 六方晶窒化ホウ素粉末およびその製造方法 - Google Patents

六方晶窒化ホウ素粉末およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規な六方晶窒化ホウ素粉末およびその製造方法に関する。
六方晶窒化ホウ素粉末は、一般に黒鉛と同様の六方晶系の層状構造を有する白色粉末であり、高熱伝導性、高電気絶縁性、高潤滑性、耐腐食性、離型性、高温安定性、化学的安定性等の多くの特性を有する。そのため、六方晶窒化ホウ素粉末を充填した樹脂組成物は、成形加工することで熱伝導性絶縁シートとして好適に使用されている。
上記六方晶窒化ホウ素の製造方法としては、
(i)ホウ素を窒素、アンモニア等を用いて直接窒化する方法、
(ii)ハロゲン化ホウ素をアンモニアやアンモニウム塩と反応させる方法、
(iii)ホウ酸、酸化ホウ素等のホウ素化合物とメラミン等の含窒素化合物とを800℃程度の温度で反応させるメラミン法、
(iv)窒素雰囲気下、含酸素ホウ素化合物とカーボン源を1600℃以上の高温に加熱して、含酸素ホウ素化合物を還元窒化する還元窒化法、
(V)炭化ホウ素を窒素雰囲気下で焼成した後、三酸化ホウ素と混合して再焼成する方法、
などが挙げられる。
上記方法により得られる六方晶窒化ホウ素粉末は、結晶構造に由来する鱗片状粒子よりなる一次粒子を含み、該鱗片状粒子は熱的異方性を有している。通常、上記鱗片状粒子を含む窒化ホウ素粉末を充填剤として用いた熱伝導性絶縁シートの場合、該熱伝導性絶縁シートの面方向に鱗片状粒子が配向するため、鱗片状粒子の熱伝導率の低いc軸方向に熱が伝わり、該熱伝導性絶縁シートの厚さ方向の熱伝導率は低い。また、鱗片状の六方晶窒化ホウ素粒子は、凝集し易く、樹脂に充填した際、凝集体の内部には気泡を含有し、得られる樹脂成形体の絶縁耐性を低下させるという問題をも有する。
このような鱗片状の構造を有する六方晶窒化ホウ素粒子の熱的異方性を改善するために、該粒子のアスペクト比が低い、いわゆる「厚肉粒子」を含む六方晶窒化ホウ素粉末を得る試みが成されている(特許文献1参照)。即ち、上記低アスペクト比の六方晶窒化ホウ素粉末は、樹脂内で配向し難く、また、凝集体が生成したとしても、その凝集は弱いため、フィラーとして使用した場合、樹脂内に高分散させることができ、また、配向が少ないことから、樹脂成形体の熱伝導性を著しく低下させることがなく、また、気泡による絶縁耐性の低下も抑制することができる。
しかしながら、六方晶窒化ホウ素の厚肉粒子は、原料として含カルシウム化合物を必須とし、生成物中に未反応の含カルシウム化合物等のカルシウム成分が大量に残存する。上記カルシウム成分を除去するため、塩酸水溶液による洗浄が行われるが、この操作により、塩素も六方晶窒化ホウ素粉末に付着し、不純物として残存する。
従来、上記酸洗後、水洗工程を設けてこれらの不純物を除去することは行われているが、かかる工程において、得られる六方晶窒化硼素粉末について、前記高度な絶縁耐性を意識したレベルの洗浄は成されていないのが現状である。
一方、六方晶窒化ホウ素粉末において、可溶性ホウ素も、前記樹脂に充填した際の絶縁耐性を低下させるために問題となる。かかる可溶性ホウ素は、六方晶窒化ホウ素粉末の乾燥時に、窒化ホウ素が加水分解を起こして生成することが報告されている(特許文献2)。上記特許文献2は、主に、立方晶窒化ホウ素の原料としての六方晶窒化ホウ素粉末を提供するものであるが、可溶性ホウ素の生成を防止するために、100℃以下の低温、実施例においては、80℃で長時間乾燥することが記載されている。
しかしながら、上記乾燥は、十分に水分を除去することができず、たとえ可溶性ホウ素を低減できたとしても、本発明の対象とするフィラーとしての用途において、樹脂に充填した際の水分による気泡の発生の原因となり、絶縁耐性の低下をもたらす虞がある。
また、上記水分の除去するために、得られた六方晶窒化ホウ素粉末を再度高温加熱処理する方法も考えられるが、その分、製造工程が煩雑になるばかりでなく、製造コストも挙がることが懸念される。しかも、過度の加熱は、六方晶窒化ホウ素粉末の粒子表面に酸化膜が生成し、また、更に高温での加熱を行うと、粒子同士の焼結が起こり、気泡を含む焼結粒子の発生を招く虞もある。
特開2015-212217号公報 特開平1-160811号公報
従って、本発明の目的は、その製造方法に起因して、高純度化が困難な、低アスペクト比の六方晶窒化ホウ素粉末において、粒子表面に存在するカルシウム等の金属元素や塩素等の不純物および可溶性ホウ素が著しく低減され、また、含有する水分量も極めて少ない六方晶窒化ホウ素粉末を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、含酸素ホウ素化合物、カーボン源および含酸素カルシウム化合物を使用した還元窒化反応により、特定の低アスペクト比を有する粗六方晶窒化ホウ素粉末を得た後、該粗六方晶窒化ホウ素粉末に対して、特定の洗浄方法および特定の乾燥方法を適用することにより、前記目的を全て達成し得る新規な六方晶窒化ホウ素粉末が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、単粒子の平均アスペクト比が、1.5~10の範囲にあり、0.5mol/Lの濃度の硫酸水溶液に25℃で120分浸漬後における、溶出ホウ素量が、Bに換算して100ppm以下、溶出カルシウム量が50ppm以下、溶出ナトリウム量および溶出銅量がそれぞれ5ppm以下、160℃の水に30時間浸漬後の溶出塩素量が10ppm以下、更に、含水率が0.1質量%以下、湿度90%、温度50℃の雰囲気下で、10日間放置後の前記溶出ホウ素量の増加率が、10%以下であることを特徴とする六方晶窒化ホウ素粉末が提供される。
尚、上記各不純物の溶出量は、六方晶窒化ホウ素粉末の質量を基準とした値である。
前記六方晶窒化ホウ素粉末は、平均粒径が5~20μmの範囲にあることが好ましい。
本発明の上記六方晶窒化ホウ素粉末は、含酸素ホウ素化合物、カーボン源および含酸素カルシウム化合物を含む原料混合物を窒素雰囲気下にて1700~2200℃の温度に加熱して還元窒化することにより、平均アスペクト比が10以下の粗六方晶窒化ホウ素粉末を製造した後、上記粗六方晶窒化ホウ素粉末を塩酸水溶液にて洗浄し、次いで、25℃における比抵抗が0.2MΩ・cm以上の純水にて洗浄し、更に、洗浄後の六方晶窒化ホウ素粉末を20kPaA以下、特に10kPaA以下の圧力下、温度140℃~500℃で、8時間以上、特に、10時間以上加熱処理することにより得ることが可能である。
また、上記製造方法において、前記原料混合物は、該含酸素ホウ素化合物に含まれるホウ素とカーボン源との元素比(B/C)が0.60~0.85、前記含酸素ホウ素化合物と含酸素カルシウム化合物との酸化物換算のモル比(B/CaO)が4~6となる割合であることが低アスペクト比を有する六方晶窒化ホウ素粉末を確実に製造するために好ましい。
本発明によれば、低アスペクト比を有しながら、前記溶出不純物量、水分量が極めて低い、新規な六方晶窒化ホウ素粉末が提供される。
それ故、上記本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、樹脂に充填して樹脂成形体を構成した際、低アスペクト比に起因して、粒子の配向性が低く、該樹脂成形体の熱伝導性の低下が防止されると共に、強い凝集性を持たないことから、凝集体による気泡の巻き込みも少なく、前記樹脂成形体の絶縁耐性の低下も防止される。
しかも、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、上記低アスペクト比を有しているにも拘わらず、カルシウム等の金属元素や塩素などの不純物量が極めて少ないこと、更には、気泡を生成する原因となる水分も低く抑えられることから、前記樹脂成形体の絶縁耐性の低下を更に効果的に抑制することが可能となる。
また、本発明の製造方法によれば、反応によって得られる特定のアスペクト比を有する粗六方晶窒化ホウ素粉末について、特定の洗浄方法、特定の加熱処理による乾燥方法を採用することにより、乾燥後の再加熱等の複雑な工程を経ることなく、前記特性を有する六方晶窒化ホウ素粉末を工業的に有利に製造することが可能である。
(六方晶窒化ホウ素粉末)
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、
(1)単粒子の平均アスペクト比が、1.5~10の範囲にあること、
0.5mol/Lの濃度の硫酸水溶液に25℃で120分浸漬後における
(2)溶出ホウ素量が、B2O3に換算して100ppm以下であること、
(3)溶出カルシウム量が50ppm以下であること、
(4)溶出ナトリウム量および溶出銅量がそれぞれ5ppm以下であること、
160℃の水に30時間浸漬後における
(5)溶出塩素量が10ppm以下であること、
(6)含水率が0.1質量%以下であること、
の全ての特性を満足することを特徴とする。以下、各特性について説明する。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、前記(1)に示すように、単粒子の平均アスペクト比は、1.5~10、好ましくは、2~5の範囲にあることが必要である。即ち、上記平均アスペクト比が10を超える場合、樹脂に充填した場合、配向性が高くなり、また、粒子間の凝集性も高くなるため、本発明の目的を達成することができない。また、上記平均アスペクト比が、1.5より小さいものは、製造が困難である。
また、上記低アスペクト比を有する六方晶窒化ホウ素粉末とすることにより、後述する特定の洗浄方法において、清浄化効果が顕著に発現し、不純物の高い除去効果が発揮されると共に、特定の加熱処理による乾燥方法においても、可溶性ホウ素の生成を効果的に抑制することができる。
尚、上記平均アスペクト比は、六方晶窒化ホウ素粉末より任意に100サンプル取り出し、一次粒子の長軸の長さを厚み方向の長さにて除することにより算出されたものである。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、後述する製造方法において、洗浄後に得られる六方晶窒化ホウ素粉末に対して、特定の加熱処理による乾燥方法を適用することにより、乾燥時における可溶性ホウ素の原因となるBの生成量を極めて低く抑制でき、0.5mol/Lの濃度の硫酸水溶液に、25℃で120分浸漬後の溶出ホウ素量が、Bに換算して100ppm以下、特に、50ppm以下という極めて低い値を達成することができる。そして、かかる値を満足することにより、六方晶窒化ホウ素粉末を樹脂に充填して得られる樹脂成形体の絶縁耐性の低下を極めて効果的に抑制することができる。
また、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、前記低アスペクト比を有するため、粉体の粒径に対する比表面積が小さく、吸湿し難い性質を有することより、湿度90%、温度50℃の雰囲気下で、10日間放置後の前記溶出ホウ素量の増加率が、10%以下、特に、5%以下という優れた特性をも有する。
ところで、前記低アスペクト比を有する六方晶窒化ホウ素粉末は、従来から提案されてはいるが、その製造方法は、後述する製造方法にも示すように、含酸素カルシウム化合物を必須とし、得られる六方晶窒化ホウ素粉末は、一様に大量のカルシウム成分およびこれに付随する不純物を含有する。かかるカルシウム成分は、酸により除去可能であり、かかる酸としては、硫酸、硝酸、塩酸あるいは弱酸が挙げられるが、硫酸や弱酸では不溶性の塩が発生し、硝酸では酸化力が強くホウ素酸化物を生じやすく、乾燥後に溶出性のホウ素を生じる可能性があるため使用が困難である。以上の理由により、塩酸が使用される。
それ故、前記低アスペクト比を有する六方晶窒化ホウ素粉末は、このような製造方法に起因して、多くの不純物が残存し易く、その純度は、高々98%台に止まっていた。
本発明においては、六方晶窒化ホウ素粉末において、前記低アスペクト比の選定と後述する特定の洗浄方法の採用により、前記(3)~(5)の特性を実現することが可能である。
即ち、前記(3)~(5)に示す不純物は、六方晶窒化ホウ素粉末を構成する粒子の表面および粒子間に存在するが、前記低アスペクト比を有する六方晶窒化ホウ素粉末は、その形状により、洗浄液である、塩酸水溶液や水との接触が十分行われ、更に、洗浄用の水として、高純度の水を使用することにより、その清浄化作用が高まり、前記不純物が極めて効果的に除去せしめられる。
本発明において、前記(3)~(5)に記載の不純物濃度を満足することにより、六方晶窒化ホウ素粉末を樹脂に充填して得られる樹脂成形体の絶縁耐性の低下を極めて効果的に抑制することができるが、前記溶出カルシウム量は、40ppm以下であることが好ましく、溶出ナトリウム量および溶出銅量は、それぞれ3ppm以下であることが好ましい。また、前記溶出塩素量は5ppm以下であることが好ましい。
また、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末において、前記(6)の含水率は、洗浄後の六方晶窒化ホウ素粉末を20kPaA以下、特に10kPaA以下の圧力下、温度140℃~500℃で、8時間以上、特に10時間以上加熱処理することによって達成される。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の含水率は、樹脂に充填した際の樹脂成形体の絶縁耐性に影響を及ぼす。即ち、上記含水率を低くすることにより、樹脂に充填した際の水分による水蒸気の発生が抑制され、樹脂成形体の絶縁耐性の低下を抑制することができる。かかる含水量は0.1質量%まで許容できるが、0.02質量%以下、特に、0.01質量%以下であることが好ましい。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の平均粒子径は、特に制限されないが、樹脂に充填するためのフィラーとしての用途においては、5~20μm、特に、7~15μm程度が好ましい。
また、上記フィラーとしての用途において、充填する樹脂としては、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ナイロン等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等のエネルギー(熱、光等)硬化性樹脂などが挙げられる。また、樹脂に対する充填量は、樹脂100質量部に対して、50~1000質量部、好ましくは、200~700質量部が適当である。
勿論、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、樹脂への充填に際し、他の粉末と併用して使用することも可能である。
(六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法)
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、含酸素ホウ素化合物、カーボン源および含酸素カルシウム化合物を含む原料混合物を窒素雰囲気下にて1700~2200℃の温度に加熱して還元窒化することにより、平均アスペクト比が10以下の粗六方晶窒化ホウ素粉末を製造した後、上記粗六方晶窒化ホウ素粉末を塩酸水溶液にて洗浄し、次いで、25℃における比抵抗が1MΩ・cm以上の純水にて洗浄し、更に、洗浄後の六方晶窒化ホウ素粉末を20kPaA以下、特に10kPaA以下の圧力下、温度140℃~500℃で、8時間以上、特に、10時間以上加熱処理することにより得られる。
本発明の製造方法において、含酸素ホウ素化合物としては、酸化ホウ素(B)が、カーボン源としては、カーボンブラック(C)が、更に、含酸素カルシウム化合物としては、炭酸カルシウムが使用される。
また、上記製造方法において、原料混合物の量比は、該含酸素ホウ素化合物に含まれるホウ素とカーボン源との元素比(B/C)が0.60~0.85、好ましくは、0.65~0.80である。上記B/Cが0.60より小さい場合は、未反応のカーボン源の存在割合が増加し、目的とする六方晶窒化ホウ素粒子が得られず、0.85より大きい場合は、還元されずに揮散するホウ素化合物の割合が増加し収率が低下するばかりでなく、上記揮発成分により排気ラインが閉塞し、製造ラインに悪影響を及ぼすこととなる。
また、前記含酸素ホウ素化合物と含酸素カルシウム化合物との酸化物換算のモル比(B/CaO)が4~6、好ましくは、4.5~5.5である。
上記B/CaOが4より小さい場合、カルシウム由来の不純物が残存する虞があるだけでなく、板状六方晶窒化ホウ素が粒子成長し難く好ましくない。また、6より大きい場合は、還元されずに揮散するホウ素化合物の割合が増加し、収率が低下するばかりでなく、上記揮発成分により排気ラインが閉塞し、製造ラインに悪影響を及ぼし、好ましくない。
上記原料の混合方法は、各原料が均一に混合される方法が好適に採用される。具体的には、振動ミル、ボールミル、ドラムミキサー振動撹拌機等の混合装置を使用した混合方法が好ましい。
前記原料混合物は、窒素雰囲気下にて1700~2200℃、好ましくは、1800~2100℃の温度に加熱して還元窒化される。上記温度が1700℃より低い場合、十分な還元窒化を行うことが困難であり、また、2200℃より高い場合、生成した窒化ホウ素が揮散してしまう虞がある。
かかる還元窒化は、公知の装置を使用した方法が特に制限なく採用される。例えば、高周波誘導加熱やヒーター加熱により加熱処理を行う雰囲気制御高温炉が挙げられ、バッチ炉の他、プッシャー式トンネル炉、竪型反応炉等の連続炉も使用可能である。
また、上記方法によって得られる六方晶窒化ホウ素がバルクで得られる場合は、解砕して粉末とする。上記解砕には、ボールミル等の粉砕装置が使用され、ほぼ一次粒子の粒径まで解砕することが好ましい。
以上の方法により、平均アスペクト比が5以下、好ましくは、2~4の粗六方晶窒化ホウ素粉末が製造される。
(酸洗浄)
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法において、還元窒化により得られた粗六方晶窒化ホウ素粉末は、塩酸水溶液にて洗浄し、次いで、25℃における比抵抗が0.2MΩ・cm以上の純水にて洗浄することにより清浄化される。
上記塩酸水溶液による洗浄において、使用する水溶液中の塩酸濃度は、10~15質量%が好ましく、粗六方晶窒化ホウ素粉末1g当たり、10ccの塩酸水溶液と接触せしめることが、粗六方晶窒化ホウ素粉末に含まれる未反応の含ホウ素化合物、未反応の含カルシウム化合物等のカルシウム成分、その他金属成分を十分除去するために好ましい。また、洗浄温度は、20~60℃、洗浄時間は、12~15時間が適当である。好ましい態様として、撹拌翼等を用いて撹拌しながら洗浄する態様が挙げられる。
塩酸水溶液により洗浄後、六方晶窒化ホウ素粉末は、塩酸水溶液を可及的に、具体的には、塩素濃度で10ppm以下となるまで除去して純水による洗浄に供することが好ましい。上記塩酸水溶液の除去方法は、遠心分離等による脱液による除去方法、水による予備洗浄による除去方法などが適宜実施される。
また、純水による洗浄において、使用する水は、25℃における比抵抗が0.2MΩ・cm以上、好ましくは、1MΩ・cm以上の純水であることが必要である。即ち、上記水の比抵抗が上記範囲より小さい場合、六方晶窒化ホウ素粉末に付着している不純物成分を十分に除去することができない。洗浄は、六方晶窒化ホウ素粉末1g当たり、300ccの純水と接触せしめることが好ましく、また、洗浄温度は、20~60℃が適当である。洗浄に使用する水として、例えば水道水などの比抵抗が0.1MΩ・cmを下回る水を使用した場合、水道水中に含まれる塩素やナトリウムおよび銅などが六方晶窒化ホウ素粉末に残存する虞があるため、適切ではない。
純水による洗浄後、六方晶窒化ホウ素粉末は、濾過により可及的に脱水を行うことが好ましい。具体的には、濾過後の含水率が40wt%以下になるまで脱水されることが好ましい。濾過方法には、吸引による減圧濾過、遠心分離による濾過などが適宜実施される。
前記還元窒化反応において、六方晶窒化ホウ素粉末は、平均アスペクト比が5以下に調整されているため、上記洗浄による浄化作用が極めて効果的に作用し、従来の六方晶窒化ホウ素粉末では達成できない高純度の六方晶窒化ホウ素粉末を得ることができる。
(乾燥)
本発明において、上記洗浄後の六方晶窒化ホウ素粉末は、20kPaA以下、特に10kPaA以下、好ましくは、5kPaA以下の圧力下、温度140℃~500℃、好ましくは、150~250℃で、8時間以上、特に、10時間以上、好ましくは、10~20時間加熱処理して乾燥することが、溶出ホウ素量が抑制され、耐水性に富む六方晶窒化ホウ素粉末を得るために必要である。
なお、上記濾過工程により、含水率を40wt%以下にすることにより、乾燥時の水蒸気分圧を低下させ、可溶性ホウ素の生成を抑制するために効果的である。
更に、前記加熱処理において、加熱温度が100℃に到達してから、六方晶窒化ホウ素粉末の含水量が5質量%以下になるまでの時間が2時間以内となるように加熱を行うことが、得られる六方晶窒化ホウ素粉末の可溶性ホウ素をより低減することができ、好ましい。
以下、本発明を更に具体的に説明するために実施例を示すが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例において、測定は以下の方法によるものである。
(1)平均アスペクト比
得られた六方晶窒化ホウ素粉末について、倍率200倍のSEM観察像から、任意の板状六方晶窒化ホウ素粒子100個を選び、板状六方晶窒化ホウ素単粒子の長軸の長さ(l:平均粒子径)及び厚みを測定し、長径/厚み(A)の平均値を算出して求めた。
(2)平均粒子径
得られた六方晶粉末1.0gをエタノール20gと共に50ccのスクリュー管に投入し、振盪撹拌により分散させた六方晶窒化ホウ素懸濁液について、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA製LA-950V2)を用いて粒度分布を測定し、D50を求めて、六方晶窒化ホウ素粉末の平均粒子径とした。
(3)溶出ホウ素量
50ccのビーカーに、0.5mol/Lの濃度の硫酸水溶液50g、六方晶窒化ホウ素粉末2gを投入し、液の温度を25℃に調整しながら、振盪撹拌する。120分静置した後、得られた液中のホウ素をICP発光分光分析装置(THERMO FISHER社製iCAP6500)により分析して溶出ホウ素量をBに換算し、これを前記六方晶窒化ホウ素粉末の質量で除して溶出ホウ素量(ppm)を求めた。
(4)溶出カルシウム量、溶出ナトリウム量および溶出銅量
溶出ホウ素量の測定方法と同様に分析し、溶出カルシウム量(ppm)、溶出ナトリウム量(ppm)および溶出銅量(ppm)を求めた。
(5)溶出塩素量
得られた六方晶窒化ホウ素粉末0.5gと超純水10mLを加圧分解用のPTFE製耐圧容器の中に投入し、160℃で、30時間加熱した後、濾過により分離した濾液をイオンクロマトグラフ(日本ダイオネクスト社製 ICS-2100)により溶出塩素量(ppm)を求めた。
(7)含水率
乾燥後の六方晶窒化ホウ素粉末10gを水分計(エーアンドデイ製MX-50)を用いて水分量を求めた。
実施例1
酸化ホウ素1950g、カーボンブラックを830g、炭酸カルシウム600gをボールミルにて混合した。黒鉛性タンマン炉を用い、該混合物を窒素ガス雰囲気下、15℃/分で1400℃まで昇温し、1400℃で8時間保持した。1400℃保持後、15℃/分で1800℃まで昇温し、1800℃で2時間保持し、還元窒化処理した。
次いで、得られた粗六方晶窒化ホウ素粉末をポリエチレン製の容器へ投入し、粗六方晶窒化ホウ素の10倍量の塩酸水溶液(10重量%HCl)を加え、回転数300rpmで15時間撹拌した。該酸洗浄の後、酸を濾過し、投入した粗六方晶窒化ホウ素の300倍量の25℃における比抵抗が1MΩ・cmの純水を用いて再度洗浄の後、吸引による濾過により濾過後の粉末中含水率が40wt%以下になるまで脱水を行った。
該純水洗浄の後、得られた粉末を1kPaAの圧力のもと、200℃で15時間、減圧乾燥させ、白色の六方晶窒化ホウ素を得た。
尚、乾燥時に、乾燥温度が100℃を超えて2時間経過した時の乾燥中六方晶窒化ホウ素粉末の水分率は3.3wt%であった。
乾燥後の粉末を目開き90μmの篩にかけて、粗大粒子を除去し、得られた窒化ホウ素粉末について、前記(1)~(7)の各測定値を表1に示した。
得られた六方晶窒化ホウ素粉末を湿度90%、温度50℃の恒温槽に入れ、10日間経過した後に前記(3)と同様に溶出ホウ素量を測定し、Bに換算した値は24ppmであった。
実施例2
洗浄に用いる純水の比抵抗を0.5MΩ・cm、乾燥時間を12時間とした以外は実施例1と同様にして白色の六方晶窒化ホウ素を得た。
尚、乾燥時に、乾燥温度が100℃を超えて2時間経過した時の乾燥中六方晶窒化ホウ素粉末の水分率は3.8wt%であった。
乾燥後の粉末を目開き90μmの篩にかけて、粗大粒子を除去し、得られた窒化ホウ素粉末について、前記(1)~(7)の各測定値を表1に示した。
得られた六方晶窒化ホウ素粉末を湿度90%、温度50℃の恒温槽に入れ、10日間経過した後に前記(3)と同様に溶出ホウ素量を測定し、Bに換算した値は19ppmであった。
実施例3
乾燥時の圧力を5kPaAとしたことと、乾燥温度を180℃とした以外は実施例1と同様にして白色の六方晶窒化ホウ素を得た。
尚、乾燥時に、乾燥温度が100℃を超えて2時間経過した時の乾燥中六方晶窒化ホウ素粉末の水分率は4.4wt%であった。
乾燥後の粉末を目開き90μmの篩にかけて、粗大粒子を除去し、得られた窒化ホウ素粉末について、前記(1)~(7)の各測定値を表1に示した。
得られた六方晶窒化ホウ素粉末を湿度90%、温度50℃の恒温槽に入れ、10日間経過した後に前記(3)と同様に溶出ホウ素量を測定し、Bに換算した値は35ppmであった。
実施例4
酸化ホウ素2100g、カーボンブラックを800g、炭酸カルシウム700gをボールミルにて混合した。該混合物を黒鉛性タンマン炉を用い、窒素ガス雰囲気下、15℃/分で1400℃まで昇温し、1400℃で8時間保持した。1400℃保持後、15℃/分で1850℃まで昇温し、1850℃で2時間保持し、還元窒化処理した。
次いで、得られた粗六方晶窒化ホウ素粉末をポリエチレン製の容器へ投入し、粗六方晶窒化ホウ素の10倍量の塩酸水溶液(10重量%HCl)を加え、回転数300rpmで15時間撹拌した。該酸洗浄の後、酸を濾過し、投入した粗六方晶窒化ホウ素の300倍量の25℃における比抵抗が1MΩ・cmの純水を用いて再度洗浄の後、吸引による濾過により濾過後の粉末中含水率が40wt%以下になるまで脱水を行った。
該純水洗浄の後、得られた粉末を1kPaAの圧力のもと、150℃で15時間、減圧乾燥させ、白色の六方晶窒化ホウ素を得た。
尚、乾燥時に、乾燥温度が100℃を超えて2時間経過した時の乾燥中六方晶窒化ホウ素粉末の水分率は4.8wt%であった。
乾燥後の粉末を目開き90μmの篩にかけて、粗大粒子を除去し、得られた窒化ホウ素粉末について、前記(1)~(7)の各測定値を表1に示した。
得られた六方晶窒化ホウ素粉末を湿度90%、温度50℃の恒温槽に入れ、10日間経過した後に前記(3)と同様に溶出ホウ素量を測定し、Bに換算した値は75ppmであった。
実施例5
酸化ホウ素1800g、カーボンブラックを900g、炭酸カルシウム700gをボールミルにて混合した。該混合物を黒鉛性タンマン炉を用い、窒素ガス雰囲気下、15℃/分で1400℃まで昇温し、1400℃で8時間保持した。1400℃保持後、15℃/分で1900℃まで昇温し、1900℃で2時間保持し、還元窒化処理した。
次いで、得られた粗六方晶窒化ホウ素粉末をポリエチレン製の容器へ投入し、粗六方晶窒化ホウ素の10倍量の塩酸水溶液(10重量%HCl)を加え、回転数300rpmで15時間撹拌した。該酸洗浄の後、酸を濾過し、投入した粗六方晶窒化ホウ素の300倍量の25℃における比抵抗が1MΩ・cmの純水を用いて再度洗浄の後、吸引による濾過により濾過後の粉末中含水率が40wt%以下になるまで脱水を行った。
該純水洗浄の後、得られた粉末を1kPaAの圧力のもと、200℃で15時間、減圧乾燥させ、白色の六方晶窒化ホウ素を得た。
尚、乾燥時に、乾燥温度が100℃を超えて2時間経過した時の乾燥中六方晶窒化ホウ素粉末の水分率は3.0wt%であった。
乾燥後の粉末を目開き90μmの篩にかけて、粗大粒子を除去し、得られた窒化ホウ素粉末について、前記(1)~(7)の各測定値を表1に示した。
得られた六方晶窒化ホウ素粉末を湿度90%、温度50℃の恒温槽に入れ、10日間経過した後に前記(3)と同様に溶出ホウ素量を測定し、Bに換算した値は29ppmであった。
実施例6
洗浄に用いる純水の比抵抗を10MΩ・cm、乾燥温度を200℃、乾燥時間を12時間とした以外は実施例5と同様にして白色の六方晶窒化ホウ素を得た。
尚、乾燥時に、乾燥温度が100℃を超えて2時間経過した時の乾燥中六方晶窒化ホウ素粉末の水分率は3.7wt%であった。
乾燥後の粉末を目開き90μmの篩にかけて、粗大粒子を除去し、得られた窒化ホウ素粉末について、前記(1)~(7)の各測定値を表1に示した。
得られた六方晶窒化ホウ素粉末を湿度90%、温度50℃の恒温槽に入れ、10日間経過した後に前記(3)と同様に溶出ホウ素量を測定し、Bに換算した値は43ppmであった。
実施例7
実施例1で得られた洗浄後乾燥前窒化ホウ素粉末を1kPaAの圧力のもと、140℃で9時間、減圧乾燥させ、白色の六方晶窒化ホウ素を得た。乾燥後の粉末を目開き90μmの篩にかけて、粗大粒子を除去し、得られた窒化ホウ素粉末について、前記(1)~(7)の各測定値を表1に示した。 尚、乾燥時に、乾燥温度が100℃を超えて2時間経過した時の乾燥中六方晶窒化ホウ素粉末の水分率は4.9wt%であった。得られた六方晶窒化ホウ素粉末を湿度90%、温度50℃の恒温槽に入れ、10日間経過した後に前記(3)と同様に溶出ホウ素量を測定し、Bに換算した値は89ppmであった。
実施例8
実施例3で得られた洗浄後乾燥前窒化ホウ素粉末を15kPaAの圧力のもと、180℃で15時間、減圧乾燥させ、白色の六方晶窒化ホウ素を得た。乾燥後の粉末を目開き90μmの篩にかけて、粗大粒子を除去し、得られた窒化ホウ素粉末について、前記(1)~(7)の各測定値を表1に示した。尚、乾燥時に、乾燥温度が100℃を超えて2時間経過した時の乾燥中六方晶窒化ホウ素粉末の水分率は4.7wt%であった。得られた六方晶窒化ホウ素粉末を湿度90%、温度50℃の恒温槽に入れ、10日間経過した後に前記(3)と同様に溶出ホウ素量を測定し、Bに換算した値は99ppmであった。
実施例9
実施例4で得られた洗浄後乾燥前窒化ホウ素粉末を1kPaAの圧力のもと、150℃で12時間、減圧乾燥させ、白色の六方晶窒化ホウ素を得た。乾燥後の粉末を目開き90μmの篩にかけて、粗大粒子を除去し、得られた窒化ホウ素粉末について、前記(1)~(7)の各測定値を表1に示した。尚、乾燥時に、乾燥温度が100℃を超えて2時間経過した時の乾燥中六方晶窒化ホウ素粉末の水分率は4.8wt%であった。得られた六方晶窒化ホウ素粉末を湿度90%、温度50℃の恒温槽に入れ、10日間経過した後に前記(3)と同様に溶出ホウ素量を測定し、Bに換算した値は78ppmであった。
比較例1
酸化ホウ素1600g、カーボンブラックを960g、炭酸カルシウム600gをボールミルにて混合した。該混合物を黒鉛性タンマン炉を用い、窒素ガス雰囲気下、15℃/分で1400℃まで昇温し、1400℃で8時間保持した。1400℃保持後、15℃/分で1800℃まで昇温し、1800℃で2時間保持し、窒化処理した。
次いで、得られた粗六方晶窒化ホウ素粉末をポリエチレン製の容器へ投入し、粗六方晶窒化ホウ素の10倍量の塩酸水溶液(10重量%HCl)を加え、回転数300rpmで15時間撹拌した。該酸洗浄の後、酸を濾過し、投入した粗六方晶窒化ホウ素の300倍量の25℃における比抵抗が1MΩ・cmの純水を用いて再度洗浄、吸引による濾過により濾過後の粉末中含水率が40wt%以下になるまで脱水を行った。
該純水洗浄の後、得られた粉末を1kPaAの圧力のもと、200℃で15時間、減圧乾燥させ、白色の六方晶窒化ホウ素を得た。
尚、乾燥時に、乾燥温度が100℃を超えて2時間経過した時の乾燥中六方晶窒化ホウ素粉末の水分率は3.0wt%であった。
乾燥後の粉末を目開き90μmの篩にかけて、粗大粒子を除去し、得られた窒化ホウ素粉末について、前記(1)~(7)の各測定値を表1に示した。
比較例2
酸化ホウ素1950g、カーボンブラックを830g、炭酸カルシウム600gをボールミルにて混合した。該混合物を黒鉛性タンマン炉を用い、窒素ガス雰囲気下、15℃/分で1400℃まで昇温し、1400℃で8時間保持した。1400℃保持後、15℃/分で1800℃まで昇温し、1800℃で2時間保持し、窒化処理した。
次いで、得られた粗六方晶窒化ホウ素粉末をポリエチレン製の容器へ投入し、粗六方晶窒化ホウ素の10倍量の塩酸水溶液(10重量%HCl)を加え、回転数300rpmで15時間撹拌した。該酸洗浄の後、酸を濾過し、投入した粗六方晶窒化ホウ素の300倍量の25℃における比抵抗が0.01MΩ・cmの上水を用いて再度洗浄の後、吸引による濾過により濾過後の粉末中含水率が40wt%以下になるまで脱水を行った。
該純水洗浄の後、得られた粉末を1kPaAの圧力のもと、120℃で15時間、減圧乾燥させ、白色の六方晶窒化ホウ素を得た。
尚、乾燥時に、乾燥温度が100℃を超えて2時間経過した時の乾燥中六方晶窒化ホウ素粉末の水分率は12.0wt%であった。
乾燥後の粉末を目開き90μmの篩にかけて、粗大粒子を除去し、得られた窒化ホウ素粉末について、前記(1)~(7)の各測定値を表1に示した。
Figure 0007165070000001

Claims (5)

  1. 単粒子の平均アスペクト比が、1.5~10の範囲にあり、0.5mol/Lの濃度の硫酸水溶液に25℃で120分浸漬後における、溶出ホウ素量が、Bに換算して100ppm以下、溶出カルシウム量が50ppm以下、溶出ナトリウム量および溶出銅量がそれぞれ5ppm以下、160℃の水に30時間浸漬後の溶出塩素量が10ppm以下、更に、含水率が0.1質量%以下、湿度90%、温度50℃の雰囲気下で、10日間放置後の前記溶出ホウ素量の増加率が、10%以下であることを特徴とする六方晶窒化ホウ素粉末。
  2. 前記六方晶窒化ホウ素粉末の、平均粒径が5~20μmの範囲にある、請求項1に記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
  3. 含酸素ホウ素化合物、カーボン源および含酸素カルシウム化合物を含む原料混合物を窒素雰囲気下にて1700~2200℃の温度に加熱して還元窒化することにより、平均アスペクト比が10以下の粗六方晶窒化ホウ素粉末を製造した後、上記粗六方晶窒化ホウ素粉末を塩酸水溶液にて洗浄し、次いで、25℃における比抵抗が0.2MΩ・cm以上の純水にて洗浄し、更に、洗浄後の六方晶窒化ホウ素粉末を20kPaA以下の圧力下、温度140℃~500℃で、8時間以上加熱処理して、含水率を0.1質量%以下とし、且つ、前記加熱処理において、加熱温度が100℃に到達してから、六方晶窒化ホウ素粉末の含水量が5質量%以下になるまでの時間が2時間以内となるように加熱を行うことを特徴とする六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法。
  4. 前記原料混合物が、該含酸素ホウ素化合物に含まれるホウ素とカーボン源との元素比(B/C)が0.60~0.85、前記含酸素ホウ素化合物と含酸素カルシウム化合物との酸化物換算のモル比(B/CaO)が4~6となる割合である、請求項記載の六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法。
  5. 前記加熱処理を、洗浄後の六方晶窒化ホウ素粉末を脱水して、付着水分量を40質量%以下に低減した後に行う請求項又はに記載の六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法。
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