JP6676479B2 - 六方晶窒化ホウ素粉末及びその製造方法 - Google Patents

六方晶窒化ホウ素粉末及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規な六方晶窒化ホウ素凝集粒子、該凝集粒子を含む六方晶窒化ホウ素粉末及びその製造方法に関する。詳しくは、適度な圧縮破壊強度を有する凝集粒子であり、樹脂に充填して得られる樹脂組成物に高い熱伝導率及び絶縁耐力を付与することが可能な六方晶窒化ホウ素凝集粒子、該六方晶窒化ホウ素凝集粒子を含む六方晶窒化ホウ素粉末及びその製造方法を提供するものである。
六方晶窒化ホウ素粉末は、一般に黒鉛と同様の六方晶系の層状構造を有する白色粉末であり、高熱伝導性、高電気絶縁性、高潤滑性、耐腐食性、離型性、高温安定性、化学的安定性等の多くの特性を有する。そのため、六方晶窒化ホウ素粉末を充填した樹脂組成物は、成形加工することで熱伝導性絶縁シートとして好適に使用されている。
上記六方晶窒化ホウ素の製造方法としては、下記の方法が挙げられる。
(i)ホウ素を窒素、アンモニア等を用いて直接窒化する方法
(ii)ハロゲン化ホウ素をアンモニアやアンモニウム塩と反応させる方法
(iii)ホウ酸、酸化ホウ素等のホウ素化合物とメラミン等の含窒素化合物とを800℃程度の温度で反応させるメラミン法
(iv)窒素雰囲気下、含酸素ホウ素化合物とカーボン源を1600℃以上の高温に加熱して、含酸素ホウ素化合物を還元窒化する還元窒化法
(V)炭化ホウ素を窒素雰囲気下で焼成した後、三酸化ホウ素と混合して再焼成する方法
そして、このようにして得られる六方晶窒化ホウ素粉末は、結晶構造に由来する鱗片状粒子よりなる一次粒子を含み、該鱗片状粒子は熱的異方性を有している。通常、上記鱗片状粒子を含む窒化ホウ素粉末を充填剤として用いた熱伝導性絶縁シートの場合、該熱伝導性絶縁シートの面方向に鱗片状粒子が配向するため、鱗片状粒子の熱伝導率の低いc軸方向に熱が伝わり、該熱伝導性絶縁シートの厚さ方向の熱伝導率は低い。
このような鱗片状の構造を有する六方晶窒化ホウ素粒子の熱的異方性を改善するために、該粒子が多方向を向いた凝集状態で焼結せしめ、得られる焼結体を粉砕する方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、上記破砕後に得られる凝集粒子は、樹脂に充填した際の得られる樹脂組成物の熱伝導性は向上するものの、鱗片状粒子が強固に焼結したものであり、樹脂への充填時に、凝集粒子内部の空隙部に樹脂が浸入し難く、樹脂組成物中に気泡が残存し易くなる。そして、このように気泡を含む脂組成物を成形して得られる成形体は、絶縁耐力が低下するという問題を有する。
一方、上記鱗片状の窒化ホウ素粒子を含む粉末のスラリーを、スプレードライして該粒子を凝集させることにより、樹脂への充填時に壊れ易い凝集粒子を得ることができるが、かかる凝集粒子は、前記凝集構造を十分維持することができず、樹脂組成物中で粒子が配向し易くなり、該樹脂組成物に熱伝導性を付与することが困難となる。
WO2005/021428号公報
従って、本発明の目的は、樹脂に充填した際、高い熱伝導率を発現し、且つ、気泡が残存し難く、絶縁耐力の高い樹脂組成物を与える六方晶窒化ホウ素凝集粒子及び該凝集粒子を含む六方晶窒化ホウ素粉末を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物及びホウ素とカルシウムとの複合酸化物を使用して還元窒化反応を行う、特定の製造方法を採用することによって、樹脂に充填した際に、崩壊しながらも、凝集状態を維持し得る適度の圧縮破壊強度を有し、前記目的を全て達成した六方晶窒化ホウ素凝集粒子を得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、板状六方晶窒化ホウ素粒子の凝集体を含む六方晶窒化ホウ素粉末であって、圧縮破壊強度が0.1〜1.0MPaの範囲にある六方晶窒化ホウ素凝集粒子の含有割合が、10〜90容量%の範囲であることを特徴とする六方晶窒化ホウ素粉末が提供される。
また、上記六方晶窒化ホウ素凝集粒子は、任意の粒子100個について、圧縮破壊強度の標準偏差が0.2MPa以下であることが好ましい。
尚、本発明において、六方晶窒化ホウ素凝集粒子は、後述するように、該六方晶窒化ホウ素凝集粒子を含む六方晶窒化ホウ素粉末として得られるため、該六方晶窒化ホウ素粉末より、任意の凝集粒子を選択し、平均圧縮破壊強度を測定し、また、標準偏差を求める(実施例参照)。
更に、本発明は、前記窒化ホウ素凝集粒子と板状窒化ホウ素単粒子を含む窒化ホウ素粉末をも提供する。該凝集粒子と共に板状窒化ホウ素単粒子を含むことによって、樹脂に充填する際の粘度の上昇が抑えられる。
更にまた、本発明は、前記窒化ホウ素粉末よりなる樹脂用フィラー、該樹脂用フィラーを充填した樹脂組成物、該六方晶窒化ホウ素粉末と、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムいずれか一つを含むフィラー混合物を充填した樹脂組成物、上記樹脂組成物よりなる電子部品の放熱材をも提供する。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物及び、ホウ素を酸化物(B)換算で33〜67質量%含有する、ホウ素とカルシウムとの複合酸化物を使用し、該含酸素ホウ素化合物と複合酸化物とに含まれるホウ素とカーボン源との元素比(B/C)が0.60〜0.85、前記含酸素ホウ素化合物(複合酸化物分のBは含まない)と含酸素カルシウム化合物との酸化物換算のモル比(B/CaO)が4〜6、含酸素ホウ素化合物、カーボン源及び、含酸素カルシウム化合物の合計量(それぞれB、C、CaO換算値)100質量部に対して上記複合酸化物を5〜500質量部となる割合で混合し、該混合物を窒素雰囲気下にて1700〜2200℃の温度に加熱して還元窒化した後、反応生成物中に存在する窒化ホウ素以外の副生成物を酸洗浄により除去することにより、好適に製造することができる。
上記方法によれば、本発明の六方晶窒化ホウ素の凝集粒子を含む六方晶窒化ホウ素粉末を、還元窒化法により直接製造することができる。
本発明の六方晶窒化ホウ素凝集粒子は、前記したように、圧縮破壊強度が0.1〜1.0MPaであるため、樹脂への充填において、粒子の凝集構造を維持した状態で適度に崩壊し、六方晶窒化ホウ素粒子が有する熱伝導率についての異方性が低減され、得られる樹脂組成物に高い熱伝導率を付与することができる。
また、適度に崩壊することにより、含有する気泡を系外に上手く排出せしめることが可能であり、これにより、得られる樹脂組成物の絶縁耐力の低下を効果的に防止することができる。
また、前記本発明の六方晶窒化ホウ素凝集粒子の製造方法によれば、酸化ホウ素と酸化カルシウムとの複合酸化物を使用することにより、目的とする圧縮破壊強度を有する六方晶窒化ホウ素の凝集粒子を含む六方晶窒化ホウ素粉末を、還元窒化法により直接製造することができる。
尚、前記製造方法において、本発明の六方晶窒化ホウ素凝集粒子が得られる理由は明らかではないが、本発明者らは、前記した酸化ホウ素と酸化カルシウムとの複合酸化物粒子が酸化ホウ素に対して高融点であるため、還元窒化反応温度においても粒子の状態をある程度保った状態で存在し、この状態で還元窒化されることにより、粒子の凝集状態が形成されると共に、還元窒化反応中にかかる粒子間に均一な凝集力を与える何らかの粒子間結合状態が生成するものと推定している。
前記本発明の製造方法により得られる六方晶窒化ホウ素粉末中の凝集粒子は、凝集粒子間での前記圧縮破壊強度の差が極めて小さいという特徴をも有する。それ故、樹脂に充填した際、得られる樹脂組成物全体にわたって、優れた熱伝導性と絶縁耐力を発揮することにより、製品の歩留まりの著しい向上を達成することが可能であり、その工業的価値は極めて大きい。
これに対して、本発明の特定の圧縮破壊強度を有する六方晶窒化ホウ素凝集粒子を得た例は存在しないが、仮に、焼結法により、六方晶窒化ホウ素凝集粒子を得ようとした場合、焼結温度、時間、撹拌の低度などにより、得られる凝集粒子において圧縮破壊強度のバラツキが大きくなる。そのため、かかる凝集粒子を樹脂に充填した際、得られる樹脂組成物の一部において、強度の高い凝集粒子の存在により絶縁耐力が著しく低下したり、また、強度の低い凝集粒子の存在により凝集構造が消滅するまで崩壊して熱伝導性が低下したりするなどにより、歩留まりの著しい低下を招く。
(六方晶窒化ホウ素凝集粒子)
本発明において、六方晶窒化ホウ素凝集粒子の圧縮破壊強度(MPa)は、後述する実施例に示すように、島津製作所社微小圧縮試験機MCT−510によって確認することができる。
そして、本発明の六方晶窒化ホウ素凝集粒子は、圧縮破壊強度が0.1〜1.0MPa、好ましくは、0.2〜0.9MPa、更に好ましくは、0.3〜0.8MPaで有ることを最大の特徴とする。即ち、前記圧縮破壊強度が0.1MPa未満では、樹脂への充填の際、凝集粒子が容易に崩壊し、残存する凝集構造が減少してしまうため、得られる樹脂組成物の熱伝導率が低下する。また、前記圧縮破壊強度が1.0MPaを超える場合、絶縁放熱シートとした際に、凝集粒子が適度に崩壊し難く、凝集粒子内から気泡が抜け難く、その結果、得られる樹脂組成物の絶縁耐力が低下する恐れがある。
従来、このような適度な圧縮破壊強度を有する六方晶窒化ホウ素凝集粒子は、提案されたことがなく、本発明において、初めて提案されたものである。
また、本発明の六方晶窒化ホウ素凝集粒子は、前記したように、還元窒化反応時に凝集粒子の結合構造が生成するため、焼結により凝集粒子の強度を調整する方法に対して、圧縮破壊強度の均一性が極めて高いという特徴をも有する。即ち、本発明の六方晶窒化ホウ素凝集粒子は、任意の粒子100個について、圧縮破壊強度の標準偏差が0.2以下、特に0.1以下という極めて高い均一性を有する。
本発明の六方晶窒化ホウ素凝集粒子の平均粒子径は、樹脂への充填剤として使用する場合、30〜200μm、特に、40〜180μm、更に、50〜100μmが好ましい。
また、本発明の六方晶窒化ホウ素凝集粒子を構成する板状六方晶窒化ホウ素粒子の平均粒子径は、0.1〜20μm、特に0.5〜15μm、更に1μm〜10μmであることが好ましい。
即ち、上記板状六方晶窒化ホウ素粒子の平均粒子径が0.1μm未満では粉末自体の比表面積が大きくなり、樹脂に充填する際の粘度が上昇する虞がある。また、20μmを超えると、六方晶窒化ホウ素凝集粒子間の結合力が低下し、圧縮破壊強度が0.1MPa以上を達成し難くなる。
(六方晶窒化ホウ素粉末)
本発明の六方晶窒化ホウ素凝集粒子は、他の充填材と組み合わせて使用することが可能であり、特に、後述の製造方法により、六方晶窒化ホウ素凝集粒子と共に生成する六方晶窒化ホウ素粒子、例えば、平板状の構造を有する単粒子なども一部生成するため、一般には、該六方晶窒化ホウ素凝集粒子を含む六方晶窒化ホウ素粉末として使用することが好ましい。
上記平板状の六方晶窒化ホウ素単粒子は、平均粒子径が5〜30μm、好ましくは、7〜20μm、更に好ましくは9〜15μmが好ましい。即ち、上記単粒子の平均粒子径が5μm未満では、樹脂に充填した際に熱抵抗となり易く、得られる樹脂組成物の熱伝導率が低下する虞がある。また、上記単粒子の平均粒子径が30μmを超える板状単粒子を得るためには、高温域の保持時間を長時間に設定する必要があるため、工業的に実施する上で好ましくない。
また、本発明で得られる板状窒化ホウ素単粒子は、長径/厚み比が3〜10、特に3〜8、更には3〜7であることが好ましい。即ち、上記長径/厚み比が3未満の板状窒化ホウ素単粒子は製造上困難であり、10を超える板状窒化ホウ素単粒子では、樹脂に充填する際の粘度が上昇する虞がある。
上記六方晶窒化ホウ素粉末において、六方晶窒化ホウ素凝集粒子の含有率は、後述する製造方法によって制御可能である。そして、板状窒化ホウ素単粒子を一定割合含有することで、粒度分布幅が広がり、樹脂に充填する際の増粘を抑えることが可能となる。
具体的には、六方晶窒化ホウ素粉末において、六方晶窒化ホウ素凝集粒子を10〜90容量%、特に、20〜80容量%、更に、30〜70容量%の割合で含有することが好ましい。六方晶窒化ホウ素凝集粒子の含有割合が10容量%未満では、絶縁放熱シートとした際の高い熱伝導率を維持することが困難になり、90容量%を超える場合、樹脂に充填する際の増粘が起こり好ましくない。
勿論、篩工程での粗粒凝集粒子の除去、乾式分級による微粉除去などにより、得られる六方晶窒化ホウ素粉末から、多結晶h−BN粒子以外の粒子を除去して分離して含有率を上げることも可能である。
(窒化ホウ素粉末の製造方法)
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法は、特に制限されるものではないが、代表的な製造方法を例示すれば、含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物及び、ホウ素を酸化物(B)換算で33〜67質量%含有する、ホウ素とカルシウムとの複合酸化物を使用し、該含酸素ホウ素化合物と複合酸化物とに含まれるホウ素とカーボン源との元素比(B/C)が0.60〜0.85、前記含酸素ホウ素化合物(複合酸化物分のBは含まない)と含酸素カルシウム化合物との酸化物換算のモル比(B/CaO)が4〜6、含酸素ホウ素化合物、カーボン源及び、含酸素カルシウム化合物の合計量(それぞれB、C、CaO換算値)100質量部に対して上記複合酸化物を5〜500質量部となる割合で混合し、該混合物を窒素雰囲気下にて1700〜2200℃の温度に加熱して還元窒化した後、反応生成物中に存在する窒化ホウ素以外の副生成物を酸洗浄により除去する方法が挙げられる。
(原料)
上記本発明の製造方法の最大の特徴は、原料として、ホウ素とカルシウムとの複合酸化物、含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物を、後述するように、所定の割合で混合して使用する点にある。各原料が示す役割については以下の通りである。
(ホウ素とカルシウムの複合酸化物)
本発明において、ホウ素とカルシウムの複合酸化物は、ホウ素を酸化物(B)換算で33〜67質量%含有するものが使用される。上記複合酸化物は、還元窒化反応において六方晶窒化ホウ素粒子が生成していく過程において、凝集構造を生成し易くする作用を有する。
本発明に使用するホウ素とカルシウムとの複合酸化物(以下、単に複合酸化物ということもある。)としては、ホウ素とカルシウムとが含有される酸化物が制限なく使用される。例えば、ホウ素酸化物とカルシウム酸化物が主成分である天然鉱物のコレマナイト、ウレキサイトなどが好適に使用できる。また、ホウ素を含む化合物とカルシウムを含む化合物から合成された複合酸化物も使用することができる。合成方法としては、ホウ素を含む化合物とカルシウムを含む化合物を乾式混合して、加熱溶融、冷却、粉砕する方法、水溶性のホウ素を含む化合物とアルカリ土類金属を含む化合物の水溶液、もしくは懸濁液を加熱還流した後に脱水乾固する方法などが特に制限なく使用出来る。
上記複合酸化物を調製するために使用するホウ素を含む化合物としては、ホウ酸、無水ホウ酸、メタホウ酸、過ホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム等が特に制限なく使用できる。カルシウムを含む化合物としては、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、塩化カルシウム等を使用することが出来る。
このようにして準備される該複合酸化物の純度は、高いほど好ましいが、前述したような天然鉱物を使用することも可能であり、これに含まれる若干量、一般には、5質量%以下程度の割合で含有される不純物は許容することができる。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の製造に使用される複合酸化物は、ホウ素を酸化物(B)換算で33〜67質量%以上、好ましくは、35〜60質量%含有するものを使用することが必要である。即ち、かかるホウ素の含有量が(B)換算で67質量%より多い複合酸化物を使用した場合、複合酸化物融点が低下し、還元窒化温度に達した際に、形状を維持することが困難となり、本発明の六方晶窒化ホウ素凝集粒子の生成が困難となる。一方、ホウ素の割合が(B)換算で33質量%より少ないと、本発明の六方晶窒化ホウ素凝集粒子の生成に必要なホウ素源が不足となり、本発明の実施が困難となる。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法において、還元窒化反応に供する複合酸化物の平均粒子径は、得られる六方晶窒化ホウ素凝集粒子の粒子径及び反応性の観点から、30〜800μmが好ましく、50〜600μmがより好ましく、70〜400μmが更に好ましい。すなわち、30μm以下では得られる六方晶窒化ホウ素凝集粒子が凝集粒子になり難く、800μm以上では、複合酸化物内部の窒化不良が懸念されるため、好ましくない。
(含酸素ホウ素化合物)
含酸素ホウ素化合物は、600℃以下の温度域に融点を有するため、上記ホウ素を含む複合酸化物のような働きは期待出来ない。しかし、本発明において、上記ホウ素を含む複合酸化物と含酸素ホウ素化合物をホウ素源とすることで、該複合酸化物表面に含酸素ホウ素化合物が被覆、更には該複合酸化物内部にホウ素源が拡散されながら還元窒化反応が進行し、これにより、生成する窒化ホウ素凝集粒子の内部空隙が軽減され且つ、本発明規定の圧縮破壊強度が達成されると推定している。
上記本発明の製造方法において、原料の含酸素ホウ素化合物としては、ホウ素原子を含有する化合物が制限なく使用される。例えば、ホウ酸、無水ホウ酸、メタホウ酸、過ホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムなどが使用できる。一般的には、入手が容易なホウ酸、酸化ホウ素が好適に用いられる。また、使用する含酸素ホウ素化合物の平均粒子径も特に限定されないが、操作性及び還元反応制御の観点から、1〜900μmが好ましく、10〜800μmがより好ましく、20〜700μmが更に好ましい。即ち、含酸素ホウ素化合物の平均粒子径が1μmより大きいものを使用することによって、取扱いが容易となる。しかし、900μmを超えると含酸素ホウ素化合物の還元反応が進行し難くなる虞がある。
(含酸素カルシウム化合物)
前記したように、含酸素カルシウム化合物は、含酸素ホウ素化合物と複合酸化物を形成することで、高融点の複合酸化物を形成し、含酸素ホウ素化合物の揮散を防止する役割を有する。また、含酸素ホウ素化合物に対して、所定量の含酸素カルシウム化合物を含有することで、含酸素ホウ素化合物から生成する板状の窒化ホウ素単粒子の粒子径がより大きく、長径/厚み比が小さくなる。
本発明の製造方法において、結晶化触媒及び含酸素ホウ素化合物の揮散防止剤として使用される含酸素カルシウム化合物としては、公知のものが特に制限無く使用されるが、特に、酸素とカルシウムが含まれる含酸素カルシウム化合物が好適に使用される。含酸素カルシウム化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム等が挙げられる。その中でも含酸素カルシウム化合物が好適に使用出来る。含酸素カルシウム化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム等を使用することが出来、これら2種類以上を混合して使用することも可能である。その中でも、酸化カルシウム、炭酸カルシウムを使用するのが好ましい。
上記含酸素カルシウム化合物は、2種類以上を混合して使用することも可能である。また、上記含酸素カルシウム化合物の平均粒子径は、平均粒子径0.01〜200μmが好ましく、0.05〜200μmがより好ましく、0.1〜100μmが特に好ましい。
(カーボン源)
本発明の製造方法において、カーボン源としては、還元剤として作用する公知の炭素材料が特に制限無く使用される。例えば、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー等の非晶質炭素の他、ダイヤモンド、グラファイト、ナノカーボン等の結晶性炭素、モノマーやポリマーを熱分解して得られる熱分解炭素等が挙げられる。そのうち、反応性の高い非晶質炭素が好ましく、更に、工業的に品質制御されている点で、カーボンブラックが特に好適に使用される。また、上記カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用することができる。また、上記カーボン源の平均粒子径は、0.01〜5μmが好ましく、0.02〜4μmがより好ましく、0.05〜3μmが特に好ましい。即ち、該カーボン源の平均粒子径を5μm以下とすることにより、カーボン源の反応性が高くなり、また、0.01μm以上とすることにより、取り扱いが容易となる。
本発明の製造方法において、上記の各原料を含む混合物の反応への供給形態は特に制限されず、粉末状のままでもよいが、造粒体を形成して行ってもよい。
本発明の製造方法において、前記原料の混合方法は特に制限されず、振動ミル、ビーズミル、ボールミル、ヘンシェルミキサー、ドラムミキサー、振動攪拌機、V字混合機等の一般的な混合機が使用可能である。
また、造粒を行う場合の造粒方法も、必要に応じてバインダーを使用し、押出造粒、転動造粒、コンパクターによる造粒など、公知の方法により実施することができる。この場合、造粒体の大きさは、5〜10mm程度が好適である。
(原料の調製)
本発明において、還元窒化反応は、カーボン源と窒素の供給により実施されるが、目的とする六方晶窒化ホウ素凝集粒子を効果的に得るためには、含酸素ホウ素化合物と複合酸化物とに含まれるホウ素とカーボン源との割合は、元素比B/Cが0.60〜0.85、好ましくは0.65〜0.80となるように調整することが必要である。即ち、該元素比が0.85を超えると、還元されずに揮散するホウ素化合物の割合が増加し、収率が低下するばかりでなく、上記揮散成分により、製造ラインに悪影響を及ぼす。また、該元素比が0.6未満では、未反応の酸化ホウ素量が少なく、還元窒化温度に達した際に、目的とする六方晶窒化ホウ素凝集粒子が生成し難くなる。
本発明において、目的とする六方晶窒化ホウ素凝集粒子を効果的に得るためには、前記含酸素ホウ素化合物と含酸素カルシウム化合物との酸化物換算のモル比B/CaOが4〜6となるように調整することが必要である。このとき、含酸素ホウ素化合物の量に前記複合酸化物中のホウ素は含まない。即ち、上記モル比が4未満であるとカルシウム由来の不純物が残存する虞があるだけでなく、板状六方晶窒化ホウ素単粒子が粒成長し難く好ましくない。また、該モル比が6を超えると、還元されずに揮散するホウ素化合物の割合が増加し、収率が低下するばかりでなく、上記揮散成分により、製造ラインに悪影響を及ぼし好ましくない。
本発明において、目的とする六方晶窒化ホウ素凝集粒子を効果的に得るためには、含酸素ホウ素化合物、カーボン源及び、含酸素カルシウム化合物の合計量(それぞれB、C、CaO換算値)100質量部に対して前記複合酸化物を5〜500質量部となる割合で混合することが重要である。即ち、前記複合酸化物の割合が5質量部未満では、目的とする六方晶窒化ホウ素凝集粒子の含有割合が目的とする、10質量%割合以下となり、好ましくない。また、前記複合酸化物の割合が500質量部を超える場合、該六方晶窒化ホウ素凝集粒子の圧縮破壊強度が低下するため、好ましくない。
(還元窒化)
本発明の窒化ホウ素製造方法において、反応系への窒素源の供給は、公知の手段によって形成することが出来る。例えば、後に例示した反応装置の反応系内に窒素ガスを流通させる方法が最も一般的である。また、使用する窒素源としては、上記窒素ガスに限らず、還元窒化反応において窒化が可能なガスであれば特に制限されない。具体的には、前記窒素ガスの他、アンモニアガスを使用することも可能である。また、窒素ガス、アンモニアガスに、水素、アルゴン、ヘリウム等の非酸化性ガスを混合したガスも使用可能である。
上記製造方法において、結晶性の高い六方晶窒化ホウ素粉末を得るために、還元窒化反応における加熱温度は、通常1700℃以上、好ましくは、1700〜2200℃、更に好ましくは1800〜2000℃の温度を採用することが必要である。即ち、かかる温度が1700℃未満では結晶性の高い六方晶窒化ホウ素を得ることが困難であり、2200℃を超える温度では、効果が頭打ちとなり、経済的に不利である。
また、還元窒化反応の時間は適宜決定されるが、一般に、10〜30時間程度である。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法は、反応雰囲気制御の可能な公知の反応装置を使用して行うことができる。例えば、高周波誘導加熱やヒーター加熱により加熱処理を行う雰囲気制御型高温炉が挙げられ、バッチ炉の他、プッシャー式トンネル炉、竪型反応炉等の連続炉も使用可能である。
(酸洗浄)
本発明の製造方法において、上述の還元窒化によって得られる反応生成物は、六方晶窒化ホウ素粉末の他に、原料の複合酸化物が反応により組成を変化させた複合酸化物等の不純物が存在するため、酸を用いて洗浄することが好ましい。かかる酸洗浄の方法は特に制限されず、公知の方法が制限無く採用される。例えば、窒化処理後に得られた副生成物含有窒化ホウ素を解砕して容器に投入し、該不純物を含有する六方晶窒化ホウ素粉末の5〜10倍量の希塩酸(10〜20重量%HCl)を加え、4〜8時間接触せしめる方法などが挙げられる。
上記酸洗浄時に用いる酸としては、塩酸以外にも、硝酸、硫酸、酢酸等を用いることも可能である。
上記酸洗浄の後、残存する酸を洗浄する目的で、純水を用いて洗浄する。上記洗浄の方法としては、上記酸洗浄時の酸をろ過した後、使用した酸と同量の純水に酸洗浄した窒化ホウ素を分散させ、再度ろ過する。
(乾燥)
上記、酸洗浄、水洗浄後の、含水塊状物を乾燥条件としては、50〜250℃の大気、もしくは減圧下での乾燥が好ましい。乾燥時間は、特に指定しないが、含水率が0%に限りなく近づくまで乾燥することが好ましい。
(分級)
乾燥後の窒化ホウ素粉末は、必要に応じて、篩等による粗粒除去、気流分級等による微粉除去を行ってもよい。
(窒化ホウ素粉末の用途)
本発明の窒化ホウ素粉末の用途は、特に限定されず、公知の用途に特に制限無く適用可能である。好適に使用される用途を例示するならば、電気絶縁性向上や熱伝導性付与等の目的で樹脂に充填剤として使用する用途が挙げられる。上記窒化ホウ素粉末の用途において、得られる樹脂組成物は、高い電気絶縁性や熱伝導性を有する。
本発明の樹脂組成物は制限無く公知の用途に使用することが出来るが、後述する樹脂と混合し熱伝導性樹脂組成物あるいは熱伝導性成形体とすることでポリマー系放熱シートやフェイズチェンジシート等のサーマルインターフェイスマテリアル、放熱テープ、放熱グリース、放熱接着剤、ギャップフィラー等の有機系放熱シート類、放熱塗料、放熱コート等の放熱塗料類、PWB(Printed Wiring Board)ベース樹脂基板、CCL(Copper Clad Layer)ベース樹脂基板等の放熱樹脂基板、アルミベース基板、銅ベース基板等のメタルベース基板の絶縁層、パワーデバイス用封止材等の用途に好ましく用いることが出来る。
また、本発明の窒化ホウ素粉末は樹脂組成物とする際に、一般的な高熱伝導絶縁フィラーである窒化アルミニウム、酸化アルミニウム等の熱伝導性フィラーと混合して使用することにより、得られる樹脂組成物の熱伝導性を向上せしめることができる。この場合、上記熱伝導性フィラーの使用量は、窒化ホウ素の特性である耐水性、絶縁耐性等を著しく低下させないように、窒化ホウ素粉末に対して、60容量%以下とすることが好ましい。
前記樹脂としては、ポリオレフィン、塩化ビニル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、ナイロン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ケイ素樹脂等の熱硬化性樹脂、合成ゴムなどが挙げられる。
また、上記樹脂組成物には、必要に応じて樹脂組成物の配合剤として公知の重合開始剤、硬化剤、重合禁止剤、重合遅延剤、カップリング剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、抗菌剤、有機フィラー、有機無機複合フィラーなどの公知の添加剤を含んでもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で他の無機フィラーを含んでいてもよい。
また、本発明の窒化ホウ素粉末は、立方晶窒化ホウ素や窒化ホウ素成型品等の窒化ホウ素加工品製品の原料、エンジニアリングプラスチックへの核剤、フェーズチェンジマテリアル、固体状または液体状のサーマルインターフェイスマテリアル、溶融金属や溶融ガラス成形型の離型剤、化粧品、複合セラミックス原料等の用途にも使用することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例において、各測定は、以下の方法により測定した値である。
[六方晶窒化ホウ素凝集粒子の圧縮破壊強度]
株式会社島津製作所社製の微小圧縮試験機MCT−510を用いて圧縮試験を行い、六方晶窒化ホウ素凝集粒子の圧縮破壊強度の測定を行った。圧縮試験は、試料に圧子で負荷をかけた際に、試料が破壊する場合の試験力(mN)−変位(μm)のグラフを示し、変位が一定となった試験力(mN)を破壊点Pとし、以下の式から破壊強度(MPa)を算出することにより行った。
破壊強度(MPa)=(2.48P)/(3.14d)d:平均粒子径
測定条件は、圧子=FLAT200(200μm平板圧子)、試験力=50(mN)、負荷速度=4.8420(mN/sec)、負荷保持時間=5(sec)を用いて行った。得られた六方晶窒化ホウ素粉末より、任意の凝集粒子を100個ほど選出し、圧縮破壊強度を測定し、その平均値及び標準偏差を求めた。
[六方晶窒化ホウ素凝集粒子の平均粒子径]
得られた六方晶窒化ホウ素粉末について、倍率200倍のSEM観察像から、任意の六方晶窒化ホウ素凝集粒子を100個選び、六方晶窒化ホウ素凝集粒子の長軸の長さ(L:平均粒子径)及び、該凝集粒子を構成する板状窒化ホウ素粒子の長軸の長さ(L1:平均粒子径)を測定し、値の平均値を算出して求めた。
[六方晶窒化ホウ素凝集粒子含有割合(容量%)]
得られた六方晶窒化ホウ素粉末について、倍率200倍のSEM観察像10水準から六方晶窒化ホウ素凝集粒子と板状六方晶窒化ホウ素単粒子を選別して六方晶窒化ホウ素凝集粒子含有容量%を求めた。
[板状六方晶窒化ホウ素単粒子の平均粒子径及び長径/厚み比]
得られた六方晶窒化ホウ素粉末について、倍率200倍のSEM観察像から、任意の板状六方晶窒化ホウ素単粒子100個を選び、板状六方晶窒化ホウ素単粒子の長軸の長さ(l:平均粒子径)及び厚みを測定し、長径/厚み(A)値の平均値を算出して求めた。
実施例1
複合酸化物として、酸化ホウ素を38質量%含む、酸化ホウ素、酸化カルシウムからなるホウ酸カルシウム(平均粒子径100μm)10gと酸化ホウ素58.5g、カーボンブラック25.6g、酸化カルシウム9.3gを含む混合物103.4gを、ボールミルを使用して混合した。該混合物のB/C元素比は0.84、含酸素ホウ素化合物と含酸素カルシウム化合物とのB/CaOモル比は5.1、含酸素ホウ素化合物、カーボン源及び、含酸素カルシウム化合物の合計量(それぞれB、C、CaO換算値)100質量部に対する上記複合酸化物の含有割合は11質量部であった。次いで、該混合物100gを、黒鉛製タンマン炉を用い、窒素ガス雰囲気下、1900℃で15時間保持することで窒化処理した。
その後、副生成物含有窒化ホウ素を解砕して容器に投入し、該副生成物含有窒化ホウ素の5倍量の塩酸(7重量%HCl)を加え、回転数700rpmで24時間撹拌した。該酸洗浄の後、酸をろ過し、使用した酸と同量の純水に、ろ過して得られた窒化ホウ素を分散させ、再度ろ過した。この操作を5回繰り返した後、200℃で6時間真空乾燥させた。
乾燥後に得られた粉末を目開き120μmの篩にかけて、白色の六方晶窒化ホウ素粉末を得た。得られた六方晶窒化ホウ素粉末中の六方晶窒化ホウ素凝集粒子の圧縮破壊強度(MPa)を上述した方法で測定した。また、六方晶窒化ホウ素粉末中の六方晶窒化ホウ素凝集粒子の含有割合(容量%)凝集粒子平均粒径(L)、及び該凝集粒子を構成する板状六方晶窒化ホウ素粒子の平均粒子径(L1)をSEM観察により測定した。また、上記粉末中に含まれる板状六方晶窒化ホウ素単粒子の平均粒径(l)、長径/厚み比(A)をSEM観察にて測定し、表2に示した。
実施例2
実施例1において、前記B/C元素比を0.65、前記含酸素ホウ素化合物、カーボン源及び、含酸素カルシウム化合物の合計量(それぞれB、C、CaO換算値)100質量部に対する複合酸化物の含有割合を30質量部とした以外は実施例1と同様にした。各条件、測定値を表1、2に示した。
実施例3
実施例1において、前記B/C元素比を0.65、前記含酸素ホウ素化合物、カーボン源及び、含酸素カルシウム化合物の合計量(それぞれB、C、CaO換算値)100質量部に対する前記複合酸化物の含有割合を50質量部とした以外は実施例1と同様にした。各条件、測定値を表1、2に示した。
実施例4
実施例1において、前記B/C元素比を0.61、前記含酸素ホウ素化合物、カーボン源及び、含酸素カルシウム化合物の合計量(それぞれB、C、CaO換算値)100質量部に対する前記複合酸化物の含有割合を350質量部とした以外は実施例1と同様にした。各条件、測定値を表1、2に示した。
実施例5
実施例1において、前記B/C元素比を0.70、前記B/CaOモル比を5.8、前記含酸素ホウ素化合物、カーボン源及び、含酸素カルシウム化合物の合計量(それぞれB、C、CaO換算値)100質量部に対する上記複合酸化物の含有割合を50質量部とした以外は実施例1と同様にした。各条件、測定値を表1、2に示した。
実施例6
実施例1において、前記複合酸化物中の酸化ホウ素含有割合を60質量%、前記B/C元素比を0.70、前記B/CaOモル比を4.2、前記含酸素ホウ素化合物、カーボン源及び、含酸素カルシウム化合物の合計量(それぞれB、C、CaO換算値)100質量部に対する上記複合酸化物の含有割合を50質量部とした以外は実施例1と同様にした。各条件、測定値を表1、2に示した。
比較例1
実施例2において、前記前記含酸素ホウ素化合物、カーボン源及び、含酸素カルシウム化合物の合計量(それぞれB、C、CaO換算値)100質量部に対する上記複合酸化物の含有割合を1質量部とした以外は実施例2と同様にした。各条件、測定値を表1、2に示した。比較例1で作製したBN粉末には、凝集粒子がほとんど含まれておらず、小粒径であったため、圧縮破壊強度は測定不可であった。
比較例2
実施例2において、前記前記含酸素ホウ素化合物、カーボン源及び、含酸素カルシウム化合物の合計量(それぞれB、C、CaO換算値)100質量部に対する上記複合酸化物の含有割合を600質量部とした以外は実施例2と同様にした。各条件、測定値を表1、2に示した。
比較例3
市販品のスプレードライ顆粒焼結凝集粒子の圧縮破壊強度等の粉体物性を測定し、表2に示した。圧縮破壊強度の平均は、1.82MPaと高かったが、標準偏差が0.72であり、凝集粒子間のばらつきが大きかった。測定値を表2に示した。
Figure 0006676479
Figure 0006676479
実施例7〜12
実施例1〜6で得られた窒化ホウ素粉末をシリコーン樹脂及びエポキシ樹脂に充填し樹脂組成物を作製し、熱伝導率の評価を行った。エポキシ樹脂は、(三菱化学株式会社製JER806)100質量部と硬化剤(脂環式ポリアミン系硬化剤、三菱化学株式会社製JERキュア113)28質量部との混合物を準備した。シリコーン樹脂は(信越化学工業社製KE−109)100質量部と硬化剤(信越化学工業社製CAT−RG)10質量部との混合物を準備した。次に、各基材樹脂40体積%と、前記特定窒化ホウ素粉末60体積%とを自転・公転ミキサー(倉敷紡績株式会社製MAZERUSTAR)にて混合して樹脂組成物を得た。
これを金型体に注型し、熱プレスを使用し、温度:200℃、圧力:5MPa、保持時間:30分の条件で硬化させ、直径40mm、厚さ0.22mmのシートを作製した。該シート5枚を4分割し、20枚のシートを温度波熱分析装置にて解析し、熱伝導率を算出した結果を表2に示した。実施例1〜3で作製した窒化ホウ素粉末を充填したシート20枚の平均熱伝導率は、10.0W/m・K以上であり、高熱伝導率を示した。また、耐電圧試験機(多摩電測株式会社製)にて絶縁耐力を測定した結果、平均45kV/mm以上と高絶縁耐力であった。また、シート20枚の熱伝導率、絶縁耐力の標準偏差を表3に示した。
次に、各基材樹脂80体積%と、前記特定窒化硼素粉末20体積%とを乳鉢にて各試験毎に同一条件で混合後、測定温度25℃においてB型粘度計TBA−10(東機工業製)で粘度を測定し、測定結果を表3に示した。
実施例13
次に、実施例1で作製した窒化ホウ素粉末、平均粒径30μmの窒化アルミニウム、平均粒径1μmの酸化アルミニウムを体積比5:4:1で混合し、実施例7と同様にシート及び粘度評価を行った。
実施例14
次に、実施例1で作製した窒化ホウ素粉末と平均粒径30μmの窒化アルミニウム、を体積比5:5で混合し、実施例7と同様にシート及び粘度評価を行った。
実施例15
次に、実施例4で作製した窒化ホウ素粉末と平均粒径20μmの酸化アルミニウムを体積比9.5:0.5で混合し、実施例7と同様にシート及び粘度評価を行った。
比較例4〜6
比較例1、2で得られた窒化ホウ素粉末及び比較例3の市販品スプレードライ顆粒焼結凝集粒子を用いた以外は実施例7と同様にした。温度波熱分析装置にて該シートを解析し、熱伝導率を算出した結果を表3に示した。また、耐電圧試験機(多摩電測株式会社製)にて絶縁耐力を測定した結果を表3に示した。比較例1、2で得られた窒化ホウ素粉末及び比較例3の市販品スプレードライ顆粒焼結凝集粒子で作製した窒化ホウ素粉末を充填したシートはいずれも10.0W/m・K、45kV/mm以下であり、低熱伝導率、低絶縁耐力を示した。また、標準偏差が実施例より大きく、シート内でのばらつきが大きかった。
次に、各基材樹脂80体積%と、前記特定窒化硼素粉末20体積%とを乳鉢にて各試験毎に同一条件で混合後、測定温度25℃においてB型粘度計TBA−10(東機工業製)で粘度を測定した。比較例1、2で得られた窒化ホウ素粉末及び比較例3の市販品スプレードライ顆粒焼結凝集粒子を含む樹脂組成物は、実施例1〜6で作製した窒化ホウ素粉末を含む樹脂組成物より高粘度であった。
Figure 0006676479

Claims (9)

  1. 板状六方晶窒化ホウ素粒子の凝集体を含む六方晶窒化ホウ素粉末であって、圧縮破壊強度が0.1〜1.0MPaの範囲にある六方晶窒化ホウ素凝集粒子の含有割合が、10〜90容量%の範囲であることを特徴とする六方晶窒化ホウ素粉末。
  2. 前記圧縮破壊強度が0.1〜1.0MPaの範囲にある六方晶窒化ホウ素凝集粒子の任意の粒子100個について、圧縮破壊強度の標準偏差が0.2MPa以下である請求項1記載の六方晶窒化ホウ素粉末
  3. 前記圧縮破壊強度が0.1〜1.0MPaの範囲にある六方晶窒化ホウ素凝集粒子の平均粒子径が30〜200μm、凝集粒子を構成する板状六方晶窒化ホウ素粒子の平均粒子径が0.1〜20μmである請求項1または2に記載の六方晶窒化ホウ素粉末
  4. 板状六方晶窒化ホウ素単粒子を含む請求項1〜3に記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
  5. 前記板状六方晶窒化ホウ素単粒子の平均粒子径が5〜30μm、長径/厚み比が3〜10であることを特徴とする請求項4記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の六方晶窒化ホウ素粉末を充填してなる樹脂組成物。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の六方晶窒化ホウ素粉末と、酸化アルミニウム粉末及び/ 又は窒化アルミニウム粉末とを充填してなる樹脂組成物。
  8. 請求項6または7に記載の樹脂組成物よりなる電子部品の放熱材。
  9. 含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物及び、ホウ素を酸化物(B) 換算で33〜67質量%含有する、ホウ素とカルシウムとの複合酸化物を使用し、該含酸素ホウ素化合物と複合酸化物とに含まれるホウ素とカーボン源との元素比(B/C)が0.60〜0.85、前記含酸素ホウ素化合物と含酸素カルシウム化合物との酸化物換算のモル比(B/CaO)が4〜6、含酸素ホウ素化合物、カーボン源及び、含酸素カルシウム化合物の合計量(それぞれB、C、CaO換算値)100質量部に対して上記複合酸化物を5〜500質量部となる割合で混合し、該混合物を窒素雰囲気下にて1700〜2200℃の温度に加熱して還元窒化した後、反応生成物中に存在する窒化ホウ素以外の副生成物を酸洗浄により除去することを特徴とする六方晶窒化ホウ素粉
    末の製造方法。
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