JP2017036415A - 放熱樹脂シート及び該放熱樹脂シートを含むデバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 樹脂及び窒化ホウ素フィラーを含有する単層放熱樹脂シートであって、前記窒化ホウ素フィラーの含有量が30vоl%以上60vоl%以下であり、かつ、前記樹脂のTgが60℃以下である、放熱樹脂シートにより、課題を解決する。
【選択図】図1
Description
これらの中で、h−BNは、黒鉛と同じ層状構造を有し、合成が比較的容易でかつ熱伝導性、固体潤滑性、化学的安定性、耐熱性に優れるという特徴を備えていることから、電気・電子材料分野で多く利用されている。
本発明は、従来困難であるとされていた、単層の放熱シートにおいて、熱伝導性と接着強度を両立させる技術を提供することを課題とする。
ートが脆くならず、かつ、十分な接着強度を備えることが可能となった。その結果多くのフィラーを含有させることで、良好な熱伝導性を有する放熱シートを完成させた。
本発明がこのような効果を奏するメカニズムについて、本発明者らは以下のように考えている。
樹脂が柔軟性を有することにより、フィラー界面もしくは基板に吸着することで、接着強度を上げている。また樹脂が柔軟性を有することにより、放熱シートのじん性を付与することが出来、熱変化に伴う放熱シートの線膨張などの変化に関する変形の応力を緩和することができる。
〔1〕樹脂及び窒化ホウ素フィラーを含有する放熱樹脂シートであって、
前記窒化ホウ素フィラーの含有量が30vоl%以上60vоl%以下であり、かつ、前記樹脂のTgが60℃以下である、放熱樹脂シート。
〔2〕前記樹脂がエポキシ樹脂を含む、〔1〕に記載の放熱樹脂シート。
〔3〕前記樹脂が2種以上のエポキシ樹脂を含み、少なくともその一種がフェノキシ樹脂である、〔1〕または〔2〕に記載の放熱樹脂シート。
〔4〕前記エポキシ樹脂が、フルオレン骨格および/またはビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、並びにビスフェノールF型フェノキシ樹脂から選ばれる一種以上である、〔2〕または〔3〕に記載の放熱樹脂シート。
〔5〕前記窒化ホウ素フィラーが凝集粒子である、〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の放熱樹脂シート。
〔6〕前記窒化ホウ素フィラーが球状の凝集粒子である、〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の放熱樹脂シート。
〔7〕前記窒化ホウ素フィラーがカードハウス構造を有する凝集粒子である、〔1〕から〔6〕のいずれかに記載の放熱樹脂シート。
〔8〕90°ピール試験強度が1.5N/cm以上である、〔1〕から〔7〕のいずれかに記載の放熱樹脂シート。
〔9〕〔1〕ないし〔8〕のいずれかに記載の放熱樹脂シートを含むデバイス。
〔10〕樹脂及び窒化ホウ素フィラーを含有する、放熱シート用樹脂組成物であって、
前記窒化ホウ素フィラーの含有量が30vоl%以上60vоl%以下であり、かつ、前記樹脂のTgが60℃以下である、樹脂組成物。
単層シートとは、単一の材料及び物性からなるシートを意味する。例えば放熱シートの一方又は両方の面に接着層を有する放熱シートは、単層シートではない。なお、放熱シートの一方又は両方の面に特性を持たせるべく表面処理剤により表面処理を施したシートや、放熱シートの一方又は両方の面に特性を持たせるべくプラズマ照射などを行ったシート
は、単層シートである。
本発明の実施形態においては、窒化ホウ素フィラーの含有量が30vоl%以上60vоl%以下である。樹脂及びフィラーを含む放熱シートでは、フィラーの含有量が大きい場合には熱伝導性は高くなるもののシートが脆くなる傾向にある。本実施形態においては、窒化ホウ素フィラーの含有量が大きく、熱電導度が高い一方で、十分な強度を有する放熱シートである。
凝集粒子である場合、平均粒子径(D50)は、通常5μm以上であり、好ましくは10μm以上、より好ましくは25μm以上、更に好ましくは26μm以上であり、特に好ましくは30μm以上、最も好ましくは40μm以上であり、45μm以上であっても好ましく、50μm以上であっても好ましい。
また、通常200μm以下、好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。大きすぎると成形体とした際に表面の平滑性が悪くなる、凝集粒子間の間隙が多くなる等により、熱伝導性が向上しない傾向があり、小さすぎると成形体とした際にBN凝集粒子間の接触抵抗が大きくなる、凝集粒子自体の熱伝導性が低くなる等の傾向がある。
性が低下する傾向があり、小さすぎると、成形体を作製する際の圧力で粒子が変形しやすくなり、熱伝導性が向上しない傾向がある。
式:Cs=2.48P/πd2
Cs:破壊強度(MPa)
P:破壊試験力(N)
d:粒子径(mm)
全細孔容積は、窒素吸着法および水銀圧入法で測定することができる。
なお、凝集粒子のバルク密度は、粉体のバルク密度を測定する通常の装置や方法を用いて求めることができる。
尚、上記長軸とはSEM測定により得られた凝集粒子1粒を拡大し、1粒の凝集粒子を構成している一次粒子について、画像上で観察できる一次粒子の最大長を平均した値である。
伝導性の点で六方晶系の窒化ホウ素(h−BN)を主成分として含むものが好ましい。また、バインダーとして窒化ホウ素以外の無機成分が含まれる場合、熱処理の過程でそれらが結晶化するが、窒化ホウ素が主成分として含まれていればよい。なお、上記窒化ホウ素一次粒子の結晶構造は、粉末X線回折測定により確認することができる。
なお、ここで、「平均結晶子径」とは、粉末X線回折測定によって得られる一次粒子の(002)面ピークから、後述の実施例において記載の通り、Scherrer式にて求められる結晶子径である。
一次粒子の(100)面と(004)面のピーク強度比はより好ましくは3.2以上、更に好ましくは3.4以上、特に好ましくは3.5以上であり、通常10以下、好ましくは8以下、より好ましくは7以下である。上記上限より大きいと、成形体とした際に粒子が崩壊しやすくなる傾向があり、上記下限未満だと、厚み方向の熱伝導性が向上しない傾向がある。
なお、ピーク強度比は粉末X線回折測定により測定された該当するピーク強度の強度比から計算することができる。
2の成形圧力で成形して得られたペレット状の試料を粉末X線回折測定して得られる、一次粒子の(100)面と(004)面のピーク面積強度比((100)/(004))が0.25以上であることも好ましい。このピーク面積強度比((100)/(004))は、0.3以上であってもよく、0.5以上であってもよく、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.81以上、特に好ましくは0.85以上、とりわけ好ましくは0.91以上である。また、上限は特に制限はないが、通常10.0以下、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下であり、更に好ましくは2.0以下であり、特に好ましくは1.6以下である。
なる傾向があり、小さすぎると、凝集粒子が崩壊し、厚み方向の熱伝導性が向上しない傾向がある。
例えば、樹脂製の高放熱基板は、樹脂製基板内部の空隙低減や分散させた凝集粒子同士の完全な接触のために、0.85ton/cm2以上2.54ton/cm2以下のような比較的高い圧力で成形されると考えられる。このため、上記圧力範囲でも一次粒子の配向変化が少ない凝集粒子が熱伝導性向上には必要である。
尚、0.85ton/cm2以上2.54ton/cm2の範囲におけるピーク面積強度比は、上記圧力範囲において一点でも所定の数値を満たせば問題なく、本発明の圧力範囲全てにおいて達成する必要はない。また、好ましくは、0.85ton/cm2、1.
69ton/cm2、2.54ton/cm2の3点にて所定の数値を満たすことである。
rtPro MPD粉末X線回折装置を用いて行うことで、該当するピーク面積の強度比
を計算することができる。
凝集粒子である場合、その製造方法は特段限定されず、常法に従い凝集粒子を製造することができる。好ましい製造方法としては、粘度が200〜5000mPa・sである原料窒化ホウ素粉末を含むスラリー(以下「BNスラリー」と称す場合がある。)を用いて粒子を造粒し、造粒粒子を加熱処理することによって、該造粒粒子の大きさを保持したまま凝集粒子を構成する一次粒子の結晶子を成長させて、製造することができる。BNスラリーの粘度は、好ましくは300mPa・s以上、より好ましくは500mPa・s以上、更に好ましくは700mPa・s以上、特に好ましくは1000mPa・s以上であり、好ましくは4000mPa・s以下、より好ましくは3000mPa・s以下である。
凝集粒子を構成する一次粒子の平均結晶子径に大きく影響し、該粘度を200mPa・s以上とすることにより、一次粒子の平均結晶子径及びBN凝集粒子の体積基準の平均粒子径D50を大きくすることができる。
一方BNスラリーの粘度を5000mPa・s以下とすることにより、造粒を容易にすることができる。BNスラリーの粘度の調製方法は、後述する。
なお、原料粉末の全酸素濃度は、不活性ガス融解−赤外線吸収法により、株式会社堀場製作所製の酸素・窒素分析計を用いて測定することができる。
なお、原料粉末の全細孔容積は、窒素吸着法および水銀圧入法で測定することができ、
比表面積は、BET1点法(吸着ガス:窒素)で測定することができる。原料粉末の全細孔容積及び比表面積の具体的測定方法は、後述の実施例の項に記載する。
具体的にはスラリーの調製に用いる媒体の使用量は、通常10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、通常、70質量%以下、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。媒体の使用量が上記上限より大きいと、スラリー粘度が低くなりすぎるため、沈降などによるスラリーの均一性が損なわれ、得られる凝集粒子を構成する一次粒子の結晶子径が所望の範囲から外れる傾向がある。下限未満であるとスラリー粘度が高すぎるため、造粒が困難になる傾向がある。すなわち、上記媒体の使用量が上記範囲外であると、凝集粒子の大きさと凝集粒子を構成する一次粒子の結晶性と一次粒子中の結晶粒界の低減を同時に満足することが困難になる。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を用いることができ、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
スラリーに用いるバインダーとしては、窒化ホウ素粒子同士の接着性を高めることができるものであればよいが、造粒粒子は粒子化後に加熱処理されるため、この加熱処理工程における高温条件に対する耐熱性を有するものが好ましい。
てもよい。
添加の順番は特に制限はないが、大量の原料粉末をスラリー化する場合、だまなどの凝集物ができやすくなるため、水に界面活性剤とバインダーを加えた水溶液を作製した後、所定量の原料粉末を少量ずつ添加し、ここにジルコニア性のセラミックボールを加えて、ポットミル回転台で分散、スラリー化しても良い。
スプレードライ法では、原料となるスラリーの濃度、装置に導入する単位時間当たりの送液量と送液したスラリーを噴霧する際の圧空圧力及び圧空量により、所望の大きさの造粒粒子を製造することが可能であって、球状の造粒粒子を得ることも可能である。使用するスプレードライ装置に制限はないが、より大きな球状の造粒粒子とするためには、回転式ディスクによるものが最適である。このような装置としては、大川原化工機社製スプレードライヤーFシリーズ、藤崎電機社製スプレードライヤー「MDL−050M」などが挙げられる。
ることができる。
ここで、非酸化性ガス雰囲気とは、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、アンモニアガス、水素ガス、メタンガス、プロパンガス、一酸化炭素ガスなどの雰囲気のことである。ここで用いる雰囲気ガスの種類により凝集粒子の結晶化速度が異なるものとなり、結晶化を短時間で行うためには特に窒素ガス、もしくは窒素ガスと他のガスを併用した混合ガスが好適に用いられる。
加熱処理温度は通常1800℃以上、2300℃以下であるが、好ましくは1900℃以上であり、また好ましくは2200℃以下である。加熱処理温度が低すぎると、窒化ホウ素の平均結晶子の成長が不十分となり、凝集粒子および成形体の熱伝導率が小さくなる場合がある。加熱処理温度が高すぎると、窒化ホウ素の分解などが生じてしまうおそれがある。
加熱処理時間は、通常3時間以上、好ましくは4時間以上、より好ましくは5時間以上、また通常20時間以下、好ましくは15時間以下である。加熱処理時間が上記下限未満の場合、結晶成長が不十分となり、上記上限を超えるとBNが一部分解するおそれがある。
乾式の分級には、篩による分級のほか、遠心力と流体抗力の差によって分級する風力分級などがあるが、旋回気流式分級機、強制渦遠心式分級機、半自由渦遠心式分級機などの分級機を用いて行うこともできる。これらの中で、サブミクロンからシングルミクロン領域の小さな微粒子を分級するには旋回気流式分級機を、それ以上の比較的大きな粒子を分級するには半自由渦遠心式分級機など、分級する粒子の粒子径に応じて適宜使い分ければよい。
本実施形態で用いる樹脂は、Tgが60℃以下である。60℃以下という低いTgを有する樹脂を用いることで、窒化ホウ素フィラーの含有量を大きくしても十分な強度を有し、更に放熱シートの接着性を向上させることができる。
熱伝導性と接着強度は相反する特性であり、特に単層のシートにおいて熱伝導性と接着強度を両立することは非常に困難であると思われていた。しかしながら本発明者が検討した結果、60℃以下という低いTgを有する樹脂を用いることで、窒化ホウ素フィラーの含有量を大きくして熱伝導性を高めつつ、放熱シートの接着性を向上させるという、相反する特性を、単層フィラーにおいて達成することに想到した。
ここで、重量平均分子量とは、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の値である。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
どが挙げられる。また、それらのブロック共重合体、グラフト共重合体等の共重合体も含まれる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態における放熱樹脂シートは、本発明の効果を阻害しない限り、その他の成分を含有してもよい。具体的には、無機フィラーである窒化アルミニウム、窒化ケイ素、繊維状、板状、粒子状凝集BN等の窒化物粒子、アルミナ、繊維状アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン等の絶縁性金属酸化物、ダイヤモンド、フラーレン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機フィラー、無機フィラーとマトリックス樹脂の界面接着強度を改善するシランカップリング剤などの表面処理剤、還元剤等の絶縁性炭素成分、樹脂硬化剤、樹脂硬化促進剤、粘度調整剤、分散剤が挙げられる。
本実施形態において、放熱シートは通常用いられる方法により製造することができる。例えば、フィラー及び樹脂を含有する樹脂組成物を調製し、樹脂組成物をシート状に成形することにより、得ることができる。シート状に成形する前の樹脂組成物は、本発明の別の実施形態でもある。すなわち、本発明の別の実施形態は、樹脂及び窒化ホウ素フィラーを含有する、放熱シート用樹脂組成物であって、前記窒化ホウ素フィラーの含有量が30vоl%以上60vоl%以下であり、かつ、前記樹脂のTgが60℃以下である、樹脂組成物である。
例えば、樹脂組成物が可塑性や流動性を有する場合、該樹脂組成物を所望の形状で、例えば型へ収容した状態で硬化させることによって成形することができる。
上述スラリーが溶媒を含む場合は、ホットプレート、熱風炉、IR加熱炉、真空乾燥機、高周波加熱機など公知の加熱方法で溶媒を除去することができる。
また、樹脂組成物がエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂組成物である場合、成形体の成形、すなわち硬化は、それぞれの硬化温度条件で行うことができる。
また、放熱シートは、樹脂組成物の硬化物を所望の形状に削り出すことによっても得ることができる。
本発明の実施形態における放熱シートは、25℃における弾性率E’25と175℃における弾性率E’175との差が1GPa以上であることが好ましい。このような物性を満たすことで、放熱シートに靱性を持たせることが可能となり、好ましい。
上記弾性率E’の差は、1GPa以上が好ましく、2GPa以上がより好ましく、また上限は限定されないが、通常100GPa以下であり、10GPa以下がより好ましい。
上記弾性率E’の差を上記好ましい範囲とすることは、樹脂/フィラー比を調整したり、樹脂種を適宜選択することなどで達成することができる。
90°ピール試験強度は、株式会社オリエンテック社製卓上型材料試験機STA−1225を使用して、JIS K6854−1:1999の試験を、試験速度50mm/分で行うことで測定する。
90°ピール試験強度を上記好ましい範囲とすることは、樹脂/フィラー比を調整したり、樹脂種を適宜選択することなどで達成することができる。
本実施形態における放熱シートは、デバイス、特にパワーデバイスの放熱シートとして好ましい。
施例の値または実施例同士の値の組合せにより示される範囲を勘案して決めることができる。
(原料)
原料h−BN粉末(粉末X線回折測定(X線:CuKα1)により得られる(002)面ピークの半値幅が2θ=0.67°、酸素濃度が7.5質量%):10000g バインダー(多木化学(株)製「タキセラムM160L」、固形分濃度21質量%):11496g 界面活性剤(花王(株)製界面活性剤「アンモニウムラウリルサルフェート」:固形分濃度14質量%):250g
(スラリーの調製)
原料h−BN粉末を樹脂製のボトルに所定量計量し、次いでバインダーを所定量添加した。さらに、界面活性剤を所定量添加した後、ジルコニア性のセラミックボールを添加して、ポットミル回転台で1時間撹拌した。
スラリーの粘度は、810mPa・sであった。
BNスラリーからの造粒は、大河原化工機株式会社製FOC−20を用いて、ディスク回転数20000〜23000rpm、乾燥温度80℃で実施し、球状のBN造粒粒子を得た。
上記BN造粒粒子を、室温で真空引きをした後、窒素ガスを導入して復圧し、そのまま窒素ガスを導入しながら2000℃まで83℃/時で昇温し、2000℃到達後、そのまま窒素ガスを導入しながら5時間保持した。その後、室温まで冷却し、カードハウス構造を有する球状のBN−A凝集粒子を得た。
更に、上記加熱処理後のBN−A凝集粒子を、乳鉢および乳棒を用いて軽粉砕した後、目開き90μmの篩を用いて分級した。分級後、BN−A凝集粒子を構成するBN一次粒子の平均結晶子径、該BN一次粒子の(100)面と(004)面のピーク強度比((100)/(004))、BN−A凝集粒子のD50を測定した。測定結果は以下のとおり。
BN一次粒子の平均晶子径:415Å
強度比((100)/(004)):3.6
D50:50μm
原料の配合比を以下のように変更し、スラリー調製を以下のように行った以外はBN−Aと同様にして、カードハウス構造を有する球状のBN−D凝集粒子を得た。
(原料)
原料h−BN粉末:2400g
純水:2199g
バインダー:1380g
界面活性剤:60g
(スラリー調製)
原料h−BN粉末を樹脂製のボトルに所定量計量し、次いで純水、バインダーの順に所定量添加した。さらに、界面活性剤を所定量添加した後、ジルコニア性のセラミックボールを添加して、ポットミル回転台で1時間撹拌した。スラリーの粘度は、155mPaであった。
BN一次粒子の平均晶子径:250Å
強度比((100)/(004)):6.0
D50:5μm
カードハウス構造を有するBN凝集粒子BN−A 4.7質量部、非カードハウス構造である窒化ホウ素PTX25(モメンティブ(株)製、D50:19.8μm、BN一次粒子の(100)/(004)面ピーク強度比:1.4、BN一次粒子の平均結晶子径:537Å) 1.6質量部、及びエポキシ樹脂全量に対するビスフェノールF型フェノキシ樹脂を含有したフェノキシ樹脂が20質量%含有したエポキシ樹脂(Tg:50℃) 2.1質量部、溶剤(シクロヘキサノン/メチルエチルケトン) 5.9質量部、分散剤(商品名:BYK−2155、ビックケミー・ジャパン(株)製) 0.44質量部、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール(商品名:C11Z−CN、四国化成工業(株)製) 0.12質量部を混合し、放熱シート用スラリーを調製した。このときのBNフィラーと樹脂成分の体積比率はそれぞれ54.3vol%と45.7vol%である。
調製した放熱シート用スラリーをドクターブレード法で基材に塗布し、加熱乾燥を行った後にシート厚が245μmの放熱シートを得た。そのシートを幅25mm長さ60mmの大きさにし、幅25mm長さ90mm基材を片端を合わせて重ねて30mm基材が余るようにしてプレスを行って、90°ピール試験(JIS K6554−1:1999)用の試験片を得た。
得られた試験片について、株式会社オリエンテック社製卓上型材料試験機STA−1225を使用して90°ピール試験(JIS K6854−1:1999)を試験速度50mm/分で行ったところ、90°ピール試験強度は、4.37N/cmであった。
また、熱伝導度を測定したところ18W/mKであり、25℃における弾性率E’25と175℃における弾性率E’175とを測定したところ、それぞれ3.7×109Pa、3.1×108Paであった。
カードハウス構造を有するBN凝集粒子BN−A 4.7質量部、非カードハウス構造である窒化ホウ素PTX25(モメンティブ(株)製、D50:19.8μm、BN一次粒子の(100)/(004)面ピーク強度比:1.4、BN一次粒子の平均結晶子径:537Å) 1.6質量部、及びエポキシ樹脂全量に対するフェノキシ樹脂が33.3質量%含有したエポキシ樹脂(Tg:20℃) 2.1質量部、溶剤(シクロヘキサノン/メチルエチルケトン) 5.9質量部、分散剤(商品名:BYK−2155、ビックケミー・ジャパン(株)製) 0.41質量部、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール(商品名:C11Z−CN、四国化成工業(株)製) 0.14質量部を混合し、放熱シート用スラリーを調製した。このときのBNフィラーと樹脂成分の体積比率はそれぞれ54.3vol%と45.7vol%である。
調製した放熱シート用スラリーをドクターブレード法で基材に塗布し、加熱乾燥を行った後にシート厚が222μmの放熱シートを得た。そのシートを幅25mm長さ60mmの大きさにし、幅25mm長さ90mm基材を片端を合わせて重ねて30mm基材が余るようにしてプレスを行って、90°ピール試験(JIS K6554−1:1999)用の試験片を得た。
得られた試験片について、株式会社オリエンテック社製卓上型材料試験機STA-1225を使用して90°ピール試験(JIS K6854−1:1999)を試験速度50mm/分で行ったところ、90°ピール試験強度は、1.87N/cmであった。
また、熱伝導度を測定したところ18W/mKであった。
カードハウス構造を有するBN凝集粒子BN−A 3.5質量部、非カードハウス構造である窒化ホウ素PTX25(モメンティブ(株)製、D50:19.8μm、BN一次粒子の(100)/(004)面ピーク強度比:1.4、BN一次粒子の平均結晶子径:537Å) 1.2質量部、及びエポキシ樹脂全量に対するビスフェノールF型フェノキシ樹脂を含有したフェノキシ樹脂が20質量%含有したエポキシ樹脂(Tg:50℃) 4.0質量部、溶剤(シクロヘキサノン/メチルエチルケトン) 5.5質量部、分散剤(商品名:BYK−2155、ビックケミー・ジャパン(株)製) 0.42質量部、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール(商品名:C11Z−CN、四国化成工業(株)製) 0.24質量部を混合し、放熱シート用スラリーを調製した。このときのBNフィラーと樹脂成分の体積比率はそれぞれ34.2vol%と65.8vol%である。
調製した放熱シート用スラリーをドクターブレード法で基材に塗布し、加熱乾燥を行った後にシート厚が200μmの放熱シートを得た。そのシートを幅25mm長さ60mmの大きさにし、幅25mm長さ90mm基材を片端を合わせて重ねて30mm基材が余るようにしてプレスを行って、90°ピール試験(JIS K6554−1:1999)用の試験片を得た。
得られた試験片について、株式会社オリエンテック社製卓上型材料試験機STA−1225を使用して90°ピール試験(JIS K6854−1:1999)を試験速度50mm/分で行ったところ、90°ピール試験強度は、試験機の測定限界の15N/cmより大であった。
カードハウス構造を有するBN凝集粒子 BN−A3.5質量部、非カードハウス構造である窒化ホウ素PTX25(モメンティブ(株)製、D50:19.8μm、BN一次粒子の(100)/(004)面ピーク強度比:1.4、BN一次粒子の平均結晶子径:537Å) 1.1質量部、及びエポキシ樹脂全量に対するフェノキシ樹脂が33.3質量%含有したエポキシ樹脂(Tg:20℃) 4.0質量部、溶剤(シクロヘキサノン/メチルエチルケトン) 5.6質量部、分散剤(商品名:BYK−2155、ビックケミー・ジャパン(株)製) 0.48質量部、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール(商品名:C11Z−CN、四国化成工業(株)製) 0.25質量部を混合し、放熱シート用スラリーを調製した。このときのBNフィラーと樹脂成分の体積比率はそれぞれ33.6vol%と66.4vol%である。
調製した放熱シート用スラリーをドクターブレード法で基材に塗布し、加熱乾燥を行った後にシート厚が192μmの放熱シートを得た。そのシートを幅25mm長さ60mmの大きさにし、幅25mm長さ90mm基材を片端を合わせて重ねて30mm基材が余るようにしてプレスを行って、90°ピール試験(JIS K6554−1:1999)用の試験片を得た。
得られた試験片について、株式会社オリエンテック社製卓上型材料試験機STA−1225を使用して90°ピール試験(JIS K6854−1:1999)を試験速度50mm/分で行ったところ、90°ピール試験強度は、試験機の測定限界の15N/cmより大であった。
カードハウス構造を有するBN凝集粒子BN−A 3.9質量部、非カードハウス構造である窒化ホウ素PTX25(モメンティブ(株)製、D50:19.8μm、BN一次粒子の(100)/(004)面ピーク強度比:1.4、BN一次粒子の平均結晶子径:537Å) 1.3質量部、アルミナ粒子(マイクロンテクノロジー社製AX25−45) 5.2質量部、エポキシ樹脂全量に対するビスフェノールF型フェノキシ樹脂を含有したフェノキシ樹脂が20質量%含有したエポキシ樹脂(Tg:50℃) 2.9質量部、溶剤(シクロヘキサノン/メチルエチルケトン) 6.0質量部、分散剤(商品名:B
YK−2155、ビックケミー・ジャパン(株)製) 0.57質量部、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール(商品名:C11Z−CN、四国化成工業(株)製) 0.18質量部を混合し、放熱シート用スラリーを調製した。このときのBNフィラー、アルミナフィラーと樹脂成分の体積比率はそれぞれ34.4vol%、19.6vol%と46.0vol%である。
調製した放熱シート用スラリーをドクターブレード法で基材に塗布し、加熱乾燥を行った後にシート厚が205μmの放熱シートを得た。そのシートを幅25mm長さ60mmの大きさにし、幅25mm長さ90mm基材を片端を合わせて重ねて30mm基材が余るようにしてプレスを行って、90°ピール試験(JIS K6554−1:1999)用の試験片を得た。
得られた試験片について、株式会社オリエンテック社製卓上型材料試験機STA−1225を使用して90°ピール試験(JIS K6854−1:1999)を試験速度50mm/分で行ったところ、90°ピール試験強度は8.44N/cmであった。
カードハウス構造を有するBN凝集粒子BN−A 6.3質量部、非カードハウス構造である窒化ホウ素PTX25(モメンティブ(株)製、D50:19.8μm、BN一次粒子の(100)/(004)面ピーク強度比:1.4、BN一次粒子の平均結晶子径:537Å) 2.1質量部、及びエポキシ樹脂全量に対するビスフェノールF型フェノキシ樹脂を含有したフェノキシ樹脂が 16.7質量%含有したエポキシ樹脂(Tg:190℃) 2.9質量部、溶剤(シクロヘキサノン/メチルエチルケトン) 8.0質量部、分散剤(商品名:BYK−2155、ビックケミー・ジャパン(株)製) 0.56質量部、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール(商品名:C11Z−CN、四国化成工業(株)製) 0.17質量部を混合し、放熱シート用スラリーを調製した。このときのBNフィラーと樹脂成分の体積比率はそれぞれ54.7vol%と45.3vol%である。
調製した放熱シート用スラリーをドクターブレード法で基材に塗布し、加熱乾燥を行った後にシート厚が189μmの放熱シートを得た。そのシートを幅25mm長さ60mmの大きさにし、幅25mm長さ90mm基材を片端を合わせて重ねて30mm基材が余るようにしてプレスを行って、90℃ピール試験(JIS K6554−1:1999)用
の試験片を得た。
得られた試験片について、株式会社オリエンテック社製卓上型材料試験機STA−1225を使用して90°ピール試験(JIS K6854−1:1999)を試験速度50mm/分で行ったところ、90°ピール試験強度は、1.16N/cmであった。
カードハウス構造を有するBN凝集粒子BN−A 5.3質量部、非カードハウス構造である窒化ホウ素PTX25(モメンティブ(株)製、D50:19.8μm、BN一次粒子の(100)/(004)面ピーク強度比:1.4、BN一次粒子の平均結晶子径:537Å) 1.8質量部、アルミナ粒子(マイクロンテクノロジー社製AX25−45) 2.4質量部及びエポキシ樹脂全量に対するビスフェノールF型フェノキシ樹脂を含有したフェノキシ樹脂が16.7質量%含有したエポキシ樹脂(Tg:190℃) 2.9質量部、溶剤(シクロヘキサノン/メチルエチルケトン) 7.0質量部、分散剤(商品名:BYK−2155、ビックケミー・ジャパン(株)製) 0.55質量部、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール(商品名:C11Z−CN、四国化成工業(株)製) 0.17質量部を混合し、放熱シート用スラリーを調製した。このときのBNフィラー、アルミナフィラーと樹脂成分の体積比率はそれぞれ46.0vol%、8.7vol%と45.3vol%である。
調製した放熱シート用スラリーをドクターブレード法で基材に塗布し、加熱乾燥を行った後にシート厚が186μmの放熱シートを得た。そのシートを幅25mm長さ60mm
の大きさにし、幅25mm長さ90mm基材を片端を合わせて重ねて30mm基材が余るようにしてプレスを行って、90°ピール試験(JIS K6554−1:1999)用
の試験片を得た。
得られた試験片について、株式会社オリエンテック社製卓上型材料試験機STA−1225を使用して90°ピール試験(JIS K6854−1:1999)を試験速度50mm/分で行ったところ、90°ピール試験強度は1.35N/cmであった。
カードハウス構造を有するBN凝集粒子BN−A 4.3質量部、カードハウス構造であるBN凝集粒子BN−D 1.4質量部及びエポキシ樹脂全量に対するビスフェノールF型フェノキシ樹脂を含有したフェノキシ樹脂が16.7質量%含有したエポキシ樹脂(Tg:190℃) 2.4質量部、溶剤(シクロヘキサノン/メチルエチルケトン) 6.1質量部、分散剤(商品名:BYK−2155、ビックケミー・ジャパン(株)製) 0.40質量部、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール(商品名:C11Z−CN、四国化成工業(株)製) 0.15質量部を混合し、放熱シート用スラリーを調製した。このときのBNフィラーと樹脂成分の体積比率はそれぞれ50.2vol%と49.8vol%である。
調製した放熱シート用スラリーをドクターブレード法で基材に塗布し、加熱乾燥を行った後にシート厚が約200μmの放熱シートを得た。そのシートを幅25mm長さ60mmの大きさにし、幅25mm長さ90mm基材を片端を合わせて重ねて30mm基材が余るようにしてプレスを行って、90°ピール試験(JIS K6554−1:1999)
用の試験片を得た。
得られた試験片について、株式会社オリエンテック社製卓上型材料試験機STA−1225を使用して90°ピール試験(JIS K6854−1:1999)を試験速度50mm/分で行ったところ、90°ピール試験強度は1.38N/cmであった。
また、熱伝導度を測定したところ5W/mKであった。
Claims (10)
- 樹脂及び窒化ホウ素フィラーを含有する放熱樹脂シートであって、
前記窒化ホウ素フィラーの含有量が30vоl%以上60vоl%以下であり、かつ、前記樹脂のTgが60℃以下である、放熱樹脂シート。 - 前記樹脂がエポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の放熱樹脂シート。
- 前記樹脂が2種以上のエポキシ樹脂を含み、少なくともその一種がフェノキシ樹脂である、請求項1または2に記載の放熱樹脂シート。
- 前記エポキシ樹脂が、フルオレン骨格および/またはビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、並びにビスフェノールF型フェノキシ樹脂から選ばれる一種以上である、請求項2または3に記載の放熱樹脂シート。
- 前記窒化ホウ素フィラーが凝集粒子である、請求項1から4のいずれか1項に記載の放熱樹脂シート。
- 前記窒化ホウ素フィラーが球状の凝集粒子である、請求項1から5のいずれか1項に記載の放熱樹脂シート。
- 前記窒化ホウ素フィラーがカードハウス構造を有する凝集粒子である、請求項1から6のいずれか1項に記載の放熱樹脂シート。
- 90°ピール試験強度が1.5N/cm以上である、請求項1から7のいずれか1項に記載の放熱樹脂シート。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の放熱樹脂シートを含むデバイス。
- 樹脂及び窒化ホウ素フィラーを含有する、放熱シート用樹脂組成物であって、
前記窒化ホウ素フィラーの含有量が30vоl%以上60vоl%以下であり、かつ、前記樹脂のTgが60℃以下である、樹脂組成物。
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