JP6379579B2 - 窒化ホウ素シート - Google Patents
窒化ホウ素シート Download PDFInfo
- Publication number
- JP6379579B2 JP6379579B2 JP2014066827A JP2014066827A JP6379579B2 JP 6379579 B2 JP6379579 B2 JP 6379579B2 JP 2014066827 A JP2014066827 A JP 2014066827A JP 2014066827 A JP2014066827 A JP 2014066827A JP 6379579 B2 JP6379579 B2 JP 6379579B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sheet
- particles
- boron nitride
- less
- resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Cooling Or The Like Of Semiconductors Or Solid State Devices (AREA)
Description
これらの中で、h−BNは、黒鉛と同じ層状構造を有し、合成が比較的容易でかつ熱伝導性、固体潤滑性、化学的安定性、耐熱性に優れるという特徴を備えていることから、電気・電子材料分野で多く利用されている。
また、特許文献3では、150℃以上の沸点を有する有機溶媒を0.1〜2質量部を含ませるとの記載があるが、このように多量の有機溶媒が含有されているシートでは、熱伝導度が1〜10W/mK 程度しか得られず、パワーデバイスに求められる10W/mKを
超えるような高い熱伝導度が得られないという問題点があった。
そこで、窒化ホウ素粒子(以下「BN粒子」と称す。)を含む窒化ホウ素シートであって、該シート中に沸点が150℃以上であるケトン系化合物を特定の範囲で含有させることにより、高い熱伝導度と高い耐電圧とを併せ持つシートを提供することを課題とする。
本発明は、窒化ホウ素粒子を含む熱硬化後の窒化ホウ素シートにおいて、該シート中に沸点が150℃以上であるケトン系化合物を0ppm超750ppm以下含有することを特徴とする。
本発明で用いる窒化ホウ素粒子(「BN粒子」)の形態は、特に制限はないが、好ましくは図1に示すような球状の形態が特徴であり、また、BN粒子の形態は走査型電子顕微鏡(SEM)により確認することができる。BN粒子としては窒化ホウ素の一次粒子が凝集したBN凝集粒子であることが好ましいが、具体的なBN凝集粒子の一次粒子が凝集する構造は、板状面と端面部が接触している構造、一般的にはカードハウス構造と呼ばれる構造を呈すること(セラミックス 43 2008 No.2参照)が好ましく、より好ましくは小板状の板状面と端面部が接触しているカードハウス構造、更に好ましくは多角形状の板状面と端面部が接触しているカードハウス構造を主としてもつ形態と表現することもできる(図1参照)。なお、「球状」とは、アスペクト比(長径と短径の比)が1以上2以下、好ましくは1以上1.5以下であることをさす。本発明のBN凝集粒子のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影された画像から200個以上の粒子を任意に選択し、それぞれの長径と短径の比を求めて平均値を算出することにより決定する。またカードハウス構造は、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影された粒子表面や断面の画像から観察することができる。この形態を物性にて表現すると、例えば粉末X線回折測定による(100)面と(004)面の強度比((100)/(004))が3以上であり、かつBN凝集粒子の粉末X線回折測定における(002)面ピークから求めた平均結晶子径が375Å以上であるであること特徴とするBN凝集粒子とも表現することができる。
以下に、本発明で用いる窒化ホウ素粒子、特に窒化ホウ素凝集粒子の代表的な特性を記載するが、本発明で用いる窒化ホウ素粒子は下記特性に限定されるものではない。
窒化ホウ素凝集粒子(BN凝集粒子)の例としては、BN凝集粒子を構成するBN一次粒子の長軸が通常0.5〜10μmに成長し、凝集粒子の中心側から表面側へ向けて放射状に成長したカードハウス構造の外観を形成している(図1参照)。BN凝集粒子を構成するBN一次粒子の長軸は、好ましくは0.6〜5μmであり、より好ましくは0.8〜3μmであり、更に好ましくは1〜3μmのBN一次粒子が凝集した粒子である。
尚、長軸とは走査型電子顕微鏡(SEM)測定により得られた粒子1粒を拡大し、1粒の粒子を構成している一次粒子について、画像上で観察できる一次粒子の最大長を平均した値である。
BN凝集粒子の結晶構造は特に制限はないが、例えば、立方晶系、斜方晶系、六方晶系、が挙げられるが、合成の容易さと熱伝導性の点で六方晶系のh−BNを主成分として含むものが好ましい。また、バインダーとしてh−BN以外の無機成分が含まれる場合、熱処理の過程でそれらが結晶化するが、六方晶系のh−BNが主成分として含まれていればよい。なお、BN凝集粒子の結晶構造は、粉末X線回折測定により確認することができる。
BN凝集粒子の粉末X線回折測定による(002)面ピークから求めた平均結晶子径は、通常375Å以上であり、好ましくは380Å以上、より好ましくは390Å以上、更に好ましくは400Å以上であり、通常5000Å以下、好ましくは2000Å以下、更に好ましくは1000Å以下である。上記上限より大きいと、凝集粒子を構成するBN一次粒子が成長しすぎるため、凝集粒子内の間隙が多くなるため成形体とした際の成形性が悪化するとともに、間隙が多くなることにより熱伝導性が向上しなくなる傾向があり、上記下限未満だと、凝集粒子を構成するBN一次粒子内の粒界が増えるため、フォノン散乱が結晶粒界で発生し、低熱伝導になる傾向がある。
なお、ここで、「平均結晶子径」とは、粉末X線回折測定によって得られる(002)面ピークからScherrer式にて求められる結晶子径をさす。なお、測定に供する試料は、BN凝集粒子紛体でもよいし、BN凝集粒子が含有した成形体でもよい。
BN凝集粒子の平均結晶子径は、粉末X線回折測定により確認することができる。
BN凝集粒子の(100)面と(004)面のピーク強度比は通常3以上、好ましくは3.2以上、より好ましくは3.4以上、更に好ましくは3.5以上であり、通常10以下、好ましくは8以下、更に好ましくは7以下である。上記上限より大きいと、成形体とした際に粒子が崩壊しやすくなる傾向があり、上記下限未満だと、厚み方向の熱伝導性が向上しない傾向がある。
なお、ピーク強度比は粉末X線回折測定により測定された該当するピーク強度の強度比から計算することができる。なお、測定に供する試料は、BN凝集粒子紛体でもよいし、BN凝集粒子が含有した成形体でもよい。
平均粒子径(D50)は、通常20μm以上、好ましくは26μm以上、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは40μm以上、特に好ましくは51μm以上であり、通常200μm以下、好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。上記上限より大きいと成形体とした際に表面の平滑性がなくなったり、凝集粒子間の間隙が多くなるため、熱伝導性が逆に向上しなくなる傾向があり、上記下限未満だと成形体とした際に凝集粒子間の接触抵抗が大きくなったり、凝集粒子自体の熱伝導性が低くなる傾向がある。なお、一次粒子が凝集しているということは、体積基準の平均粒子径(D50)で表現することができる。
なお、D50の測定方法は、分散安定剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを含有する純水媒体中にBN凝集粒子を分散させた試料に対して、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置などを用いて測定することができる。
BN凝集粒子の破壊強度は、通常2.5MPa以上、好ましくは3.0MPa以上、より好ましくは3.5MPa以上、更に好ましくは4.0MPa以上であり、通常20MPa以下、好ましくは15MPa以下、更に好ましくは10MPa以下である。上記上限より大きいと、粒子の強度が強すぎるため、成形体とした際に表面平滑性が失われ、熱伝導性が低下する傾向があり、上記下限未満だと、成形体を作製する際の圧力で粒子が変形しやすくなり、熱伝導性が向上しない傾向がある。
により算出できる。通常、粒子は5点以上測定し、その平均値を採用する。
式:Cs=2.48P/πd2
Cs:破壊強度(MPa)
P:破壊試験力(N)
d:粒子径(mm)
ただし、粒子が変形したりして破壊強度が算出できず、10%強度で表す場合があるが、この場合は破壊強度という概念を適用しない。
BN凝集粒子の全細孔容積は、通常2.2cm3/g以下である。全細孔容積が小さいものは、BN凝集粒子内が密になっているために、熱伝導を阻害する境界面を少なくすることが可能となり、より熱伝導性の高いBN凝集粒子となる。BN凝集粒子の全細孔容積が2.2cm3/gよりも大きいと、組成物中のフィラーとして用いた場合に、細孔に樹脂が取り込まれ、見かけの粘度が上昇して、組成物の成形加工或いは塗布液の塗布が困難となる。
BN凝集粒子の全細孔容積の下限値は特に制限はないが、通常0.01cm3/gである。本発明の全細孔容積は、好ましくは0.01cm3/g以上2cm3/g以下、より好ましくは0.02cm3/g以上1.5cm3/g以下である。
BN凝集粒子の比表面積は通常1m2/g以上であるが、好ましくは3m2/g以上50m2/g以下、より好ましくは5m2/g以上40m2/g以下である。
なお、凝集BN粉末の全細孔容積は、窒素吸着法および水銀圧入法で測定することができ、比表面積は、BET1点法(吸着ガス:窒素)で測定することができる。
BN凝集粒子のバルク密度は、樹脂の取り込みを最小限とするためにBN凝集粒子のバルク密度は大きい方が良く、通常0.3g/cm3以上であることが好ましく、より好ましくは0.35g/cm3以上、更に好ましくは0.4g/cm3以上である。BN凝集粒子のバルク密度が0.3g/cm3未満の場合、見かけの体積が大きくなり、組成物中の樹脂に対して、添加するBN凝集粒子の体積が多くなるとともに、樹脂の取り込みが大きくなり、また、BN凝集粒子の取り扱い性が著しく悪化する傾向がある。BN凝集粒子のバルク密度の上限については特に制限はないが、通常0.95g/cm3以下、好ましくは0.9g/cm3以下、より好ましくは0.85g/cm3以下である。BN凝集粒子のバルク密度が大きすぎると組成物中で凝集BNの分散に偏りが出来てしまい、沈降しやすくなる傾向がある。
なお、BN凝集粒子のバルク密度は、粉体のバルク密度を測定する通常の装置や方法を用いて求めることができる。
窒化ホウ素粒子を製造する方法は、何ら本発明の窒化ホウ素粒子に限定されるものではないが、製造方法の一例を以下に記載する。
・原料BN粉末の種類
本発明で用いる原料BN粉末としては、市販のh−BN、市販のαおよびβ−BN、ホウ素化合物とアンモニアの還元窒化法により作製されたBN、ホウ素化合物とメラミンなどの含窒素化合物から合成されたBNなど何れも制限なく使用できるが、特にh−BNが本発明の効果をより発揮する点で好ましく用いられる。
本発明で用いる原料BN粉末の形態としては、粉末X線回折測定によりえられるピークの半値幅が広く、結晶性が低い粉末状のBN粒子が好ましい。結晶性の目安として、粉末X線回折測定から得られる(002)面のピーク半値幅が、2θの角度で、通常0.4°
以上、好ましくは0.45°以上、より好ましくは0.5°以上である。また、通常2.0°以下、好ましくは1.5°以下、更に好ましくは1°以下である。上記上限より大きいと、結晶子が十分大きくならず、大きくするためには長時間を要するため、生産性が悪くなる傾向がある。上記下限未満だと、結晶性が高すぎて、十分な結晶成長が見込めず、また、スラリー作製時の分散安定性が悪くなる傾向がある。
BN結晶成長の観点からは、原料BN中に酸素原子がある程度存在することが好ましく、本発明では、原料BN粉末中の全酸素濃度は、通常1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上である。また、通常、10質量%以下、更に好ましくは9質量%以下である。上記上限より大きいと、熱処理後も酸素が残存しやすくなるため、熱伝導性の改善効果が小さくなる傾向がある。上記下限未満だと、結晶性が高すぎて、結晶成長が見込めず、粉末X線回折測定から確認できるピーク強度比が所望の範囲から外れる傾向がある。
なお、原料BN粉末の全酸素濃度は、不活性ガス融解−赤外線吸収法により、株式会社堀場製作所製の酸素・窒素分析計を用いて測定することができる。
また、原料BN粉末の比表面積は通常20m2/g以上であるが、好ましくは20m2/g以上500m2/g以下、より好ましくは50m2/g以上200m2/g以下である。
なお、原料BN粉末の全細孔容積は、窒素吸着法および水銀圧入法で測定することができ、比表面積は、BET1点法(吸着ガス:窒素)で測定することができる。
原料BN粉末の全細孔容積及び比表面積は、具体的には後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
BNスラリーの調製に用いる媒体としては特に制限はなく、水及び/又は各種の有機溶媒を用いることができるが、噴霧乾燥の容易さ、装置の簡素化などの観点から、水を用いることが好ましく、純水がより好ましい。
BNスラリーの調製に用いる媒体の使用量は、BNスラリーの粘度が200〜5000mPa・sとなる量を加えることが好ましい。
つまり、原料BN粉末のスラリー((以下「BNスラリー」とも称す。)の粘度が通常200〜5000mPa・sであるようなBNスラリーを造粒し、加熱処理をすることによって、その造粒粒子の大きさを保持したままBNの結晶子を成長させて、本発明の窒化ホウ素粒子を製造することが好ましく、より好ましくは300mPa・s以上、更に好ましくは500mPa・s以上、特に好ましくは700mPa・s以上、とりわけ好ましくは1000mPa・s以上であり、好ましくは4000mPa・s以下、より好ましくは3000mPa・s以下である。
BNスラリーの調製に用いる媒体の使用量は、通常10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、通常、70質量%以下、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。媒体の使用量が上記上限より大きいと、スラリー粘度が低くなりすぎるため、沈降などによるBNスラリーの均一性が損なわれ、所望の結晶子径範囲から外れる傾向がある。下限未満であるとスラリー粘度が高すぎるため、造粒が困難になる傾向がある。すなわち、凝集粒子の大きさと凝集粒子を構成するBN一次粒子の結晶性とBN一次粒子中の結晶粒界の低減を同時に満足することが困難になる。なお、BNスラリーの粘度とは、FUNGILAB社の回転粘度計「VISCO BASIC Plus R」を用い、ブレード回転数100rpmにて測定した粘度のことである。
BNスラリーには、スラリーの粘度を調節すると共に、BN粒子の分散安定性(凝集抑制)の観点から、種々の界面活性剤を添加するのが好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を用いることができ、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
BNスラリーは、原料BN粉末を効果的に粒子状に造粒するために、バインダーを含んでもよい。バインダーは、元来粒子同士接着性のないBNを強固に結びつけ、造粒粒子を安定化するために作用する。
BNスラリーに用いるバインダーとしては、BN粒子同士の接着性を高めることができるものであればよいが、造粒粒子は粒子化後に通常加熱処理されるため、この加熱処理工程における高温条件に対する耐熱性を有するものが好ましい。
い。
BNスラリーから造粒粒子を得るには、スプレードライ法、転動法、流動層法、そして撹拌法などの一般的な造粒方法を用いることができ、この中でもスプレードライ法が好ましい。
スプレードライ法では、原料となるスラリーの濃度、装置に導入する単位時間当たりの送液量と送液したスラリーを噴霧する際の圧空圧力及び圧空量により、所望の大きさの造粒粒子を製造することが可能であって、球状の造粒粒子を得ることも可能である。球状化に際して使用するスプレードライ装置に制限はないが、より大きな球状BN造粒粒子とするためには、回転式ディスクによるものが最適である。このような装置としては、大川原化工機社製スプレードライヤーFシリーズ、藤崎電機社製スプレードライヤー「MDL−050M」などが挙げられる。
上述にて製造されたBN造粒粒子は、更に非酸化性ガス雰囲気下に加熱処理することで窒化ホウ素粒子を製造することができる。
加熱処理は、非酸化性ガス雰囲気下で行うために、好ましくは、通常、炉内を真空ポンプで引き、排気を行った後、非酸化性ガスを導入しながら、所望の温度まで加熱して昇温する。加熱処理を施す焼成炉は、マッフル炉、管状炉、雰囲気炉などのバッチ式炉やロータリーキルン、スクリューコンベヤ炉、トンネル炉、ベルト炉、プッシャー炉、竪型連続炉などの連続炉が挙げられ、目的に応じて使い分けられる。
上記加熱処理後の窒化ホウ素粒子は、粒子径分布を小さくし、BN粒子含有樹脂組成物に配合したときの粘度上昇を抑制するために、好ましくは分級処理する。この分級は、通
常、造粒粒子の加熱処理後に行われるが、加熱処理前の造粒粒子について行い、その後加熱処理に供してもよい。
乾式の分級には、篩による分級のほか、遠心力と流体抗力の差によって分級する風力分級などがあるが、旋回気流式分級機、強制渦遠心式分級機、半自由渦遠心式分級機などの分級機を用いて行うこともできる。これらの中で、サブミクロンからシングルミクロン領域の小さな微粒子を分級するには旋回気流式分級機を、それ以上の比較的大きな粒子を分級するには半自由渦遠心式分級機など、分級する粒子の粒子径に応じて適宜使い分ければよい。
本発明の窒化ホウ素シートを製造する際に少なくともBN粒子と樹脂とを含有したBN粒子含有樹脂組成物を製造することでより高い熱伝導率と耐電圧性を併せ持つ放熱シートを製造することが可能となる。
BN粒子含有樹脂組成物中におけるBN粒子の含有割合(本明細書では、フィラー充填量ともいう)は、BN粒子と樹脂の合計を100質量%として、通常5〜95質量%、好ましくは30〜90質量%、更に好ましくは50〜90質量%である。上記上限より大きいと、粘度が高くなりすぎて成形加工性が確保できなくなるとともに、逆にBN粒子の密な充填が阻害されるために熱伝導性が低下する傾向があり、上記下限未満だと、成形加工性は確保できるものの、BN粒子が少なすぎて熱伝導性が向上しない傾向がある。
BN粒子含有樹脂組成物に用いる樹脂としては、特に制限はないが、好ましくは硬化性樹脂、熱可塑性樹脂である。例えば、硬化性樹脂としては、熱硬化性、光硬化性、電子線硬化性など重合可能なものであれば良いが、耐熱性、吸水性、寸法安定性などの点で、熱硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂が好ましく、これらの中でもエポキシ樹脂がより好ましい。これらの樹脂は2種以上組わせて用いてもよい。
ここで、塗膜性ないしは成膜性や接着性と併せて、硬化物中のボイドを低減して高熱伝導の硬化物を得るために、エポキシ樹脂として少なくとも後述するフェノキシ樹脂(以下、「エポキシ樹脂(A)」と称す。)を含むことが好ましく、特にエポキシ樹脂全量に対するエポキシ樹脂(A)の質量比率が、通常は5〜95質量%の範囲、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜80質量%の範囲で含有されることが好ましいが、何らこのようなものに限定されるものではない。
ここで、質量平均分子量とは、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の値である。
ジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有するフェノキシ樹脂が好ましい。中でも、耐熱性がより一層高められるので、フルオレン骨格および/またはビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂が特に好ましい。
上記エポキシ樹脂(A)以外のエポキシ樹脂としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(以下「エポキシ樹脂(B)」と称す場合がある。)であることが好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂等の、各種エポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂(B)は、溶融粘度制御の観点から、その質量平均分子量が、好ましくは100〜5000であり、より好ましくは200〜2000である。質量平均分子量が100より低いものでは、耐熱性が劣る傾向にあり、5000より高いと、エポキシ樹脂の融点が高くなり、作業性が低下する傾向がある。
またエポキシ樹脂は、その目的を損なわない範囲において、エポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)以外のエポキシ樹脂(以下、「他のエポキシ樹脂」)を含んでいてもよい。他のエポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)の合計に対して、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下である。
本発明の窒化ホウ素シートは、本発明の効果が得られる範囲において、さらなる成分を含有していてもよい。このようなさらなる成分としては、例えば、液晶性エポキシ樹脂等の、前記の樹脂に機能性を付与した機能性樹脂、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、繊維状窒化ホウ素等の窒化物粒子、アルミナ、繊維状アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン等の絶縁性金属酸化物、ダイヤモンド、フラーレン等の絶縁性炭素成分、樹脂硬化剤、樹脂硬化促進剤、粘度調整剤、分散安定剤が挙げられる。
BN粒子又は上述したBN粒子含有樹脂組成物から本発明の放熱シートを製造するためのBN粒子含有スラリー(本明細書では塗布用スラリーともいう)は、沸点が150℃以上であるケトン系化合物(本明細書では有機溶媒(F)ともいう)を少なくとも含み、更に沸点が100℃以下の有機溶媒(Fa)を含有させることが好ましい。
有機溶媒(F)としては、ケトン系化合物の中から、150℃以上の沸点のものを選択して用いることができる。これらの中でも環状ケトンが好ましい。
メチルn−アミルケトン(沸点152℃)、エチルブチルケトン(沸点149℃)、エチルsec−アミルケトン(沸点159℃)、アセチルアセトン(沸点140℃)、ジアセトンアルコール(沸点166℃)、ジiso−ブチルケトン(沸点169℃)、シクロヘキサノン(以下「CHN」と略記する。)(沸点157℃)、シクロヘキシルシクロヘキサノン(沸点261℃)等が挙げられる。
49℃)、エチルsec−アミルケトン(沸点159℃)、アセチルアセトン(沸点140℃)CHN(沸点157℃)が好ましく、メチルn−アミルケトン(沸点152℃)、エチルブチルケトン(沸点149℃)、シクロヘキサノン(沸点157℃)がエポキシ樹脂の溶解性、有機溶媒の揮発速度、低沸点有機溶媒との混和性などの観点でより好ましい。
上述した沸点が150℃以上であるケトン系化合物の他、沸点が100℃以下の有機溶媒(Fa)も併せて用いることにより、樹脂を溶解させて、組成物全体に均一に分散させることができ、また、放熱シート製造時の有機溶媒の蒸発効率を高めることができるので併せて用いることが好ましい。ただし、この有機溶媒(Fa)の沸点が過度に低いと、蒸発荒れの問題が生じるため、有機溶媒(Fa)の沸点は60℃以上であることが好ましく、65℃以上がより好ましい。また上限の沸点は95℃以下であることが好ましい。
有機溶媒(F)と有機溶媒(Fa)を併用する場合、これらの混合割合は、有機溶媒(F)と有機溶媒(Fa)との併用による相乗効果を得るために、質量%として、有機溶媒(F):有機溶媒(Fa)=95〜50:5〜50、特に90〜60:10〜40の割合(有機溶媒(F)と有機溶媒(Fa)との合計で100質量%とする。)で用いることが好ましい。前記有機溶媒(Fa)の量が下限未満の場合、放熱シートに残存する高沸点の有機溶媒(F)の量が多くなりすぎ、シート化工程における高温加圧処理で蒸発し、残留溶媒の蒸発跡がボイドとなって、高熱伝導性、高絶縁性、所定の物理的強度等を有するシートを形成し得ない。逆に、前記範囲の上限以上の場合、低沸点である有機溶媒(Fa)が多くなりすぎ、有機溶媒蒸発が短時間で起こってしまうため、樹脂が乾燥しすぎて、良好な強度の塗布膜が得られないばかりか、シート化工程における樹脂の可塑化によっても十分な流動性が得られず、シート内に存在するボイドに十分樹脂が浸透できなくなって、高熱伝導性、高絶縁性、所定の物理的強度等を有するシートを形成できない傾向がある。すなわち、有機溶媒(F)と有機溶媒(Fa)を併用し、有機溶媒(F)を0ppm超750ppm以下とするためには、両溶媒が共沸させることが好ましい。
窒化ホウ素粒子の塗布液(スラリー)する際の調製方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。なお、その際、塗布液の均一性の向上、脱泡等を目的として、ペイントシェーカーやビーズミル、プラネタリミキサ、攪拌型分散機、自公転攪拌混合機、三本ロール、ニーダー、単軸又は二軸混練機等の一般的な混練装置などを用いて混合・撹拌することが好ましい。
以下、窒化ホウ素粒子の塗布液(スラリー)を用いて本発明の放熱シートを製造する方法を具体的に説明する。
まず基板の表面に、窒化ホウ素粒子の塗布液(スラリー)を用いて塗膜を形成する。
即ち、塗布液(スラリー)を用いて、ディップ法、スピンコート法、スプレーコート法、ブレード法、その他の任意の方法で塗膜を形成する。組成物塗布液の塗布には、スピンコーター、スリットコーター、ダイコーター、ブレードコーターなどの塗布装置を用いることにより、基板上に所定の膜厚の塗膜を均一に形成することが可能であり、ギャップを調製可能なブレードコーターが好ましい。
なお、窒化ホウ素シート中に沸点が150℃以上であるケトン系化合物を0ppm超750ppm以下含有させるためには、下記のような制御が重要な手段の一つである。
次に、基板に塗布された塗布液(スラリー)を乾燥させる。乾燥温度は、通常15℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは23℃であり、通常100℃以下、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
この乾燥の加熱温度が低過ぎたり、加熱時間が短過ぎたりすると、塗膜中の有機溶媒を十分に除去し得ず、得られる乾燥膜中に有機溶媒が残留し、残留した有機溶媒が次のシート化工程における高温加圧処理で蒸発し、残留溶媒の蒸発跡がボイドとなって、高熱伝導性、高絶縁性、所定の物理的強度等を有するシートを形成し得ない。逆に、乾燥の加熱温度が高過ぎたり、加熱時間が長過ぎたりすると、樹脂の硬化が進行し、良好な乾燥膜とすることができない。
この乾燥の時間が下限未満の場合、塗膜中の有機溶媒を十分に除去し得ず、得られる乾燥膜中に有機溶媒が残留し、残留した有機溶媒が次のシート化工程における高温加圧処理で蒸発し、残留溶媒の蒸発跡がボイドとなって、高熱伝導性、高絶縁性、所定の物理的強度等を有するシートを形成し得ない。逆に、乾燥の時間が上限を超えると、樹脂が乾燥しすぎて、良好な強度の塗布膜が得られないばかりか、シート化工程における樹脂の可塑化によっても十分な流動性が得られず、シート内に存在するボイドに十分樹脂が浸透できなくなって、高熱伝導性、高絶縁性、所定の物理的強度等を有するシートを形成できない傾向がある。
ート化工程における樹脂の可塑化によっても十分な流動性が得られず、シート内に存在するボイドに十分樹脂が浸透できなくなって、高熱伝導性、高絶縁性、所定の物理的強度等を有するシートを形成できない傾向がある。
乾燥工程の後には、シート化工程を行う。シート化工程では、通常、銅基板に塗布、乾燥した組成物膜を所定の大きさにカットする。この工程においても窒化ホウ素シート中に沸点が150℃以上であるケトン系化合物を0ppm超750ppm以下含有させるために好ましい制御手段の一つである。
この加熱温度が上記下限未満の場合、熱硬化反応が十分進行せず、BN粒子同士の接触やBN粒子と樹脂界面の接触も不十分となるため高熱伝導性、高絶縁性、所定の物理的強度等を有するシートを形成し得ない。逆に、前記範囲の上限を超える場合、樹脂の分解が生じやすくなり、該分解によるボイドや分子量の低下により、高熱伝導性、高絶縁性、所定の物理的強度等を有するシートを形成できない傾向がある。
また、窒化ホウ素シート中に沸点が150℃以上であるケトン系化合物を0ppm超750ppm以下含有させるためには、更に下記のような制御をすることがより好ましい。
熱硬化工程では、銅基板に塗布、乾燥した組成物膜を通常80℃以上、好ましくは100℃以上、例えば100〜140℃の温度で1〜5分程度所定の加重をかけて加圧することにより、塗布・乾燥膜中の樹脂の溶融粘度を低下させると同時に、ある程度硬化反応を進めて、銅基板への接着を促進する加圧工程と、その後、樹脂膜を完全に硬化させるために、所望の硬化温度、例えば150℃以上で2〜4時間程度、オーブンなどで加熱することにより硬化反応を行わせてシートを作製する硬化工程とが行われる。硬化工程において完全硬化させる際の加熱温度の上限は、使用する樹脂が分解、変質しない温度であり、樹脂の種類、グレードにより適宜決定されるが、通常300℃以下で行われる。
上述したような製造方法で得られた窒化ホウ素シートは、該シート中に沸点が150℃以上であるケトン系化合物を0ppm超、好ましくは10ppm以上、より好ましくは30ppm以上、更に好ましくは50ppm以上であり、750ppm以下、好ましくは730ppm以下、より好ましくは700ppm以下、更に好ましくは650ppm以下である。
なお、上述したケトン系化合物のシート中の含有量はヘッドスペースガスクロマトグラフ
ィーにて測定できる。
また、このような圧縮率で硬化させて得られる本発明の放熱シートの厚み方向の熱伝導率は、通常10〜70W/mK、好ましくは10〜40W/mK、より好ましくは15〜40W/mKである。
本発明の銅張り合わせ放熱シートは、例えば、上述の放熱シートの製造方法により製造される銅基板としての銅箔が積層一体化されたものである。
本発明の放熱シート又は本発明の銅張り合わせ放熱シートに銅箔と積層された放熱シートの厚さについては特に制限はないが、通常100〜1000μm、特に150〜500μmであることが好ましい。放熱シートの厚さが上記下限未満では、硬化膜の厚さが薄すぎて、耐電圧特性が悪化し、絶縁破壊電圧が低くなるため好ましくなく、上記上限を超えるとパワー半導体デバイスの小型化や薄型化が達成できなくなるため好ましくない。
また、銅箔の厚さは通常、十分な放熱性を確保するという理由から、30〜200μm、特に30〜150μmであることが好ましい。
本発明のパワーデバイス装置は、本発明の放熱シート又は本発明の銅張り合わせ放熱シートが放熱基板として実装されたものであり、その高い熱伝導性による放熱効果で、高い信頼性のもとに、高出力、高密度化が可能である。パワー半導体デバイス装置において、本発明の放熱シート以外のアルミ配線、封止材、パッケージ材、ヒートシンク、サーマルペースト、はんだというような部材は従来公知の部材を適宜採用できる。
本発明における物性や特性は以下に記載の方法にて測定した。
・粘度:
FUNGILAB社の回転粘度計「VISCO BASIC Plus R」を用い、ブレード回転数100rpmにて測定した。
・D50:
BN凝集粒子をヘキサメタリン酸ナトリウム0.2質量%水溶液30mlに、透過率が90%以上となるように添加し、さらにアルドリッチ社製ノニオン系界面活性剤「Tri
tonX100」の10質量%水溶液を0.1g加えた後、150Wの超音波を1分間照射して、粒子径分布測定用の分散液を調製した。この分散液について日機装(株)製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置「マイクロトラックMT3300EX」を用いてD50測定した。
・平均結晶子径:
粉末X線回折測定によって得られたBN(002)ピークから、Scherrer式を用いて平均結晶子径を求めた。粉末X線回折測定は、PANalytical社製X線回折装置「X‘Pert Pro MPD」を用いた。Scherrer式とは次の式である。
ここで、D:結晶子径、K:Scherrer定数、λ:X線(CuKα1)波長、β:ピーク半値幅、θ:CuKα1由来のブラッグ角である。またβは、次の補正式を用いて求めた。
β=(βo 2−βi 2)0.5
ここで、βi:装置由来半値幅である。各定数の値は、以下を用いた。
K=0.9、λ=1.54059Å
BN凝集粒子の粉末X線回折測定によって得られた(100)面および(004)面ピーク強度を(100)面ピーク強度で規格化し、その比を計算することによりBN凝集粒子を構成するBN一次粒子の配向を評価した。粉末X線回折測定は、PANalytical社製X線回折装置「X‘Pert Pro MPD」を用いた。
・成形体の厚み方向熱伝導率
成形体を株式会社アイフェイズ製の熱拡散率測定装置「ai―Phase Mobile 1u」で熱拡散率を測定し、これと成形体の比重および比熱を乗じることにより求めた。
・成形体の耐電圧測定
成形体を菊水製の定電圧発生装置TOS5051Aを用いて印加交流電圧値を徐々に上げ
、電流が流れ始める電圧値を測定した。
・シート中のケトン系化合物の量
ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにて測定した。
以下に記載される方法で、BN−A凝集粒子、BN−A凝集粒子を含むBN粒子含有樹脂組成物、該BN粒子含有樹脂組成物を成形した成形体を作製した。BN―A凝集粒子を作製するためには、原料として、粉末X線回折測定によりえられる(002)面ピークの半値幅が2θ=0.67°、酸素濃度が7.5質量%であるh−BN(以下原料h−BN粉末と記載)を用いた。
[スラリーA]
以下の配合で粘度が810mPa・sのスラリーAを調製した。
スラリーA配合
原料h−BN粉末:10000g
純水:0g
バインダー(多木化学(株)製「タキセラムM160L」、固形分濃度21質量%):11496g
界面活性剤(花王(株)製界面活性剤「アンモニウムラウリルサルフェート」:固形分濃度14質量%):250g
原料h−BN粉末を樹脂製のボトルに所定量計量し、次いで純水、バインダーの順に所定量添加した。さらに、界面活性剤を所定量添加した後、ジルコニア性のセラミックボールを添加して、ポットミル回転台で撹拌した。撹拌は、1〜5時間所望の粘度になるまで実施した。
BNスラリーからの造粒は、大河原化工機株式会社製FOC−20を用いて造粒した。ディスク回転数20000〜23000rpm、乾燥温度80℃で実施した。
上記BN造粒粒子を、2000℃で5時間、窒素ガス流通下に加熱処理した。
加熱処理時の昇温および降温は、以下のように行った。
室温で真空引きをした後、窒素ガスを導入して復圧し、そのまま窒素ガスを導入しながら2000℃まで83℃/時で温度を上げ、2000℃到達後、5時間保持した。その後、室温まで冷却し、BN−A凝集粒子を得た。
更に、上記加熱処理後のBN凝集粒子を、乳鉢および乳棒を用いて軽粉砕した後、目開き90μmの篩を用いて分級した。分級後、BN−A凝集粒子の平均結晶子径、D50を測定した。測定結果は表1に示す。
上記で得られたBN−A凝集粒子をフィラーとして用い、フィラーとエポキシ樹脂とからなるBN粒子含有樹脂組成物を調製した。
樹脂組成物としては、以下の樹脂を用いた。
エポキシ樹脂は、いずれも三菱化学社製のエポキシ樹脂を用いた。主剤としては多官能エポキシ樹脂157S70を用い、BPA液状エポキシ樹脂828US、及び4275を、157S70 : 828US : 4275= 4 : 1 : 1の重量比で混合した。更に
、エポキシ樹脂混合物と溶媒メチルエチルケトン(MEK)とを66:34重量比で撹拌・混合して所望のエポキシ樹脂液を得た。
[ 塗布液(スラリー)の調製]
上記エポキシ樹脂液3.0gを50cc軟膏瓶にとり、凝集によるだまを無くすためにメノウ乳鉢を用いて解砕した2000℃焼成のBN−A凝集粒子6.0gと、表1に記載のモメンティブ社製の市販球状BN粒子(PTX60)粒子2.0g、液粘度調整のための溶媒としてシクロヘキサノン(CHN)6gとを混合して、それぞれ手撹拌した後、自公転攪拌機「泡取り錬太郎」AR−250を用いて二分間攪拌を行った。
スラリーとした。
次に、ドクターブレードを用いて、ギャップ400μmで福田金属箔粉製Cu箔(厚み
105μm、表面処理あり)上に塗布後、一昼夜風乾し、BN/PTX60/EPO=6
0/20/20wt%の組成のシートを得た。風乾後、4cm角にカットし、チャック付ビニール袋内にて二日間保管した。
サンプルシートを入れて上蓋をセットした後、素早く所定温度のプレス機にセットして500kg/cm2で3分間プレス処理を行った。
熱硬化処理は、プレス処理後のシートを約1cm厚みの剥離性ガラス板に挟んだ状態で熱
風乾燥機内に投入し、150度,2hr熱硬化させた。
次いで、この硬化物サンプルについて、厚み方向の熱伝導度と耐電圧、残存溶媒量を測定した。得られた放熱シートの熱伝導度は13.0W/mKで、耐電圧は4.8V、残存溶媒量の、CHNは701ppm、MEKは9ppmであった。結果を表2に示す。
プレス温度を130℃とした以外は、実施例1と同法によりシートを作成した。
次いで、この硬化物サンプルについて、厚み方向の熱伝導度と耐電圧、残存溶媒量を測定した。得られた放熱シートの熱伝導度は15.0W/mKで、耐電圧は5.5V、残存溶媒量の、CHNは326ppm、MEKは6ppmであった。結果を表2に示す。
CHNの代わりにMEKのみを用いた以外は、実施例1と同法によりシートを作成した。次いで、この硬化物サンプルについて、厚み方向の熱伝導度と耐電圧、残存溶媒量を測定した。得られた放熱シートの熱伝導度は11.3W/mKで、耐電圧は5.8V、残存溶媒量(シート中の含有量)のCHNは0ppm、MEKは0ppmであった。結果を表2に示す。
風乾後のビニール袋内での二日間保管を行なわない以外は、実施例1と同法によりシートを作成した。
次いで、この硬化物サンプルについて、厚み方向の熱伝導度と耐電圧、残存溶媒量を測定した。得られた放熱シートの熱伝導度は12.6W/mKで、耐電圧は3.2V、残存溶媒量の、CHNは790ppm、MEKは13ppmであった。結果を表2に示す。
沸点が150℃以上であるケトン系化合物(CHN)は、エポキシ樹脂との親和性が高く、また、樹脂単独の場合よりも粘度が低いためにBN粒子との親和性も高いと考えられる。それらを適度(0ppm超750ppm以下)に含有することにより、シート中の樹脂の靱性が向上し、また、BN粒子と樹脂界面の親和性、或いは接着性が向上するために、樹脂部分やBN粒子と樹脂界面部分にクラック等が入りにくくなり、熱伝導度が向上すると推定される。
Claims (10)
- 窒化ホウ素粒子(以下「BN粒子」と称す。)を含む窒化ホウ素シートであって、該シ
ート中に沸点が150℃以上であるケトン系化合物を10ppm以上750ppm以下含
有した窒化ホウ素シート。 - BN粒子が、窒化ホウ素粒子の一次粒子が凝集したものである請求項1に記載の窒化ホ
ウ素シート。 - BN粒子が、球状である請求項1又は2に記載の窒化ホウ素シート。
- BN粒子の形態が、カードハウス構造である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
窒化ホウ素シート。 - BN粒子が、粉末X線回折測定による(100)面と(004)面の強度比((100
)/(004))が3以上であり、かつBN凝集粒子の粉末X線回折測定における(00
2)面ピークから求めた平均結晶子径が375Å以上である請求項1ないし4のいずれか
1項に記載の窒化ホウ素シート。 - 更に、100℃以下の沸点を有するケトン系化合物が含有する請求項1ないし5のいず
れか1項に記載の窒化ホウ素シート。 - 沸点が150℃以上であるケトン系化合物が、環状ケトンである請求項1ないし6のい
ずれか1項に記載の窒化ホウ素シート。 - 硬化前シートを厚み方向に加圧して硬化させてなる硬化シートよりなる放熱シートであ
って、(硬化シート厚み)/(硬化前シート厚み)から計算される圧縮率(1−(硬化シ
ート厚み)/(硬化前シート厚み))が0.2以上0.8以下であり、該硬化シートの厚
み方向の熱伝導率が10W/mK以上50W/mK以下である請求項1ないし7のいずれ
か1項に記載の窒化ホウ素シート。 - 請求項1ないし8のいずれか1項に記載のシートと銅箔とを積層一体化してなる銅張り
合わせ放熱シート。 - 請求項9に記載の放熱シートを含むパワーデバイス装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014066827A JP6379579B2 (ja) | 2014-03-27 | 2014-03-27 | 窒化ホウ素シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014066827A JP6379579B2 (ja) | 2014-03-27 | 2014-03-27 | 窒化ホウ素シート |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015189823A JP2015189823A (ja) | 2015-11-02 |
JP6379579B2 true JP6379579B2 (ja) | 2018-08-29 |
Family
ID=54424627
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014066827A Active JP6379579B2 (ja) | 2014-03-27 | 2014-03-27 | 窒化ホウ素シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6379579B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7207302B2 (ja) * | 2017-06-27 | 2023-01-18 | 味の素株式会社 | d14圧電定数を有する圧電フィルム製造用多糖類組成物およびd14圧電定数を有する圧電フィルムの製造方法 |
KR20210038872A (ko) * | 2018-07-30 | 2021-04-08 | 가부시키가이샤 아데카 | 복합 재료 |
JP7295635B2 (ja) * | 2018-12-21 | 2023-06-21 | 積水化学工業株式会社 | 積層体、電子部品およびインバータ |
IL265374B2 (en) * | 2019-03-14 | 2023-11-01 | Israel Aerospace Ind Ltd | Composite material with improved thermal conductivity and method of production |
JPWO2020196477A1 (ja) * | 2019-03-26 | 2020-10-01 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5431595B2 (ja) * | 2011-03-28 | 2014-03-05 | 日立化成株式会社 | 樹脂組成物、樹脂シート、樹脂シート硬化物、樹脂シート積層体、樹脂シート積層体硬化物及びその製造方法、半導体装置、並びにled装置 |
JP5915509B2 (ja) * | 2011-11-29 | 2016-05-11 | 三菱化学株式会社 | 窒化ホウ素凝集粒子、窒化ホウ素凝集粒子を含有する組成物、及び該組成物からなる層を有する三次元集積回路 |
JP2014111686A (ja) * | 2012-12-05 | 2014-06-19 | Hitachi Chemical Co Ltd | 2液タイプのウレタン樹脂組成物及びこれを用いた電気電子部品 |
-
2014
- 2014-03-27 JP JP2014066827A patent/JP6379579B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015189823A (ja) | 2015-11-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7455047B2 (ja) | 窒化ホウ素凝集粒子、窒化ホウ素凝集粒子の製造方法、該窒化ホウ素凝集粒子含有樹脂組成物、及び成形体 | |
JP6786778B2 (ja) | 放熱樹脂シート及び該放熱樹脂シートを含むデバイス | |
JP6364883B2 (ja) | 窒化ホウ素粒子および窒化ホウ素粒子の製造方法、該窒化ホウ素粒子を含む放熱シート用塗布液、該窒化ホウ素粒子を含む放熱シート、並びにパワーデバイス装置 | |
JP6500339B2 (ja) | 放熱シートおよび放熱シート用塗布液、並びにパワーデバイス装置 | |
JP6379579B2 (ja) | 窒化ホウ素シート | |
JP7467980B2 (ja) | 窒化ホウ素凝集粉末、放熱シート及び半導体デバイスの製造方法 | |
JP7517323B2 (ja) | 窒化ホウ素凝集粉末、放熱シート及び半導体デバイス | |
JP6394115B2 (ja) | 樹脂組成物、樹脂組成物からなる放熱シート、及び放熱シートを含むパワーデバイス装置 | |
JP2017036190A (ja) | 窒化ホウ素凝集粒子組成物、bn凝集粒子含有樹脂組成物及びそれらの成形体、並びに窒化ホウ素凝集粒子の製造方法、 | |
JP2015189609A (ja) | 窒化ホウ素シートの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170125 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20170418 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20171018 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20171031 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20171220 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180227 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180703 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180716 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6379579 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |