JP7155098B2 - 光学素子用シリカガラスおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、チタニアを含有する光学素子用シリカガラスに関する。
シリカガラスは熱膨張係数の小さいセラミック材料として知られ、従来から種々の光学素子等に使用されているが、現在、リソグラフィー分野では、これまでのシリカガラスよりもさらに熱膨張係数の小さい材料が必要とされている。リソグラフィーとは、フォトマスクを介して感光性材料を塗布したウェハ上に紫外光を用いて回路パターンを転写する技術である。近年では、EUV(極紫外光)リソグラフィーが登場しており、極低熱膨張材料をフォトマスクとして使用する必要性から、熱膨張係数が極めて小さい、チタニアを含有したシリカガラスが使用されている。
例えば、特許文献1には、極紫外光リソグラフィー用素子として、5~10重量%のチタニアを含有するシリカガラスからなり、20~35℃において、+30~-30ppb/℃の熱膨張係数(CTE)を有する素子が開示されている。
このような素子からなるEUVマスクはEUV(波長13.56nm)を用いるため、微細なパターン形成が可能になる一方で、従来のArFエキシマレーザー(波長193nm)等とは異なり、ガラスレンズによる光の屈折現象では集光することができない。このため、熱膨張係数の極めて小さいチタニア含有シリカガラスからなるウェハ露光機およびマスクはすべて、紫外線も透過しない光学反射系のものとなる。
一方、このようなチタニア含有シリカガラスをレンズや窓素子等の光学素子に使用しようとする場合、いわゆる脈理と呼ばれるストリエーション欠陥により、反射光のずれが生じたり、結像性能に悪影響を及ぼすことが知られている。脈理は、組成の不均一性に起因して生じるものであり、特許文献1では、火炎加水分解法でシリカガラスを作製する際のパラメーターを幾つか制御することで、この不均一性を低減できることが報告されている。
しかしながら、このような方法で作製しても、チタニア含有シリカガラスに生じる脈理を、従来の光学素子用のシリカガラスと同等程度まで低減することは困難である。この理由として、チタニアの原料ガスやシリカの原料ガスはいずれも、短時間で加水分解が進行するものの、加水分解する温度に差があり、火炎加水分解に用いる火炎バーナーの温度分布に従って、原料ガスのいずれかが優先的に加水分解されることとなり、結果として、組成不均一性に繋がるものと推察される。
一方、再結晶法を用いた低熱膨張性の結晶化ガラスも知られている。しかしながら、結晶化ガラスはアモルファス相と結晶相とを含むガラスであり、結晶相の粒状や粒界相が脈理と同等の作用をするので、レンズや窓素子のような光学素子に用いる際には悪影響を及ぼす。
チタニア含有シリカガラスの脈理の評価方法として、従来より、フィゾー式レーザー干渉計により脈理の曲率半径を求める方法(特許文献2)や、位相差を計測しその大きさで脈理を計算する方法が知られている(特許文献3および4)。しかし、前者の方法は、脈理が材料の表面に存在しないことは確認できるが、その内部には脈理が存在していないことが前提となる。一方、後者の方法は、歪みを介して間接的に脈理を評価する手法であり、歪みは脈理以外でも増減するために、必ずしも位相差がなければ脈理がないものとみなすことは妥当ではない。
一方、シリカガラスの作製方法として、ゾルゲル法が広く知られている。この方法では、原料であるシリコンアルコキシドを、触媒を用いて加水分解することで酸化物(SiO2粒子)を生成し、乾燥させてキセロゲルと呼ばれる多孔体を形成し、さらに800℃以上で加熱することで、緻密化したシリカガラスを形成する。ゾルゲル法において、シリカガラスにチタニアを含有させるには、原料であるシリコンアルコキシドに、チタンアルコキシドを加えてゲル化して加熱または溶融することが知られているが(特許文献5)、2種類以上のアルコキシドを使用する場合、加水分解に要する時間がそれぞれ異なるため、シリカまたはチタニアが形成するまでに要する時間の差が組成不均一の原因となる。このような組成不均一の問題を解決して、均一なチタニア含有シリカガラスを作製するには、原料組成比や攪拌時間、反応系のpHを調節することが考えられる。特許文献5では、反応系のpHを11~12に調節することにより、シリコンアルコキシドの反応を、より反応の早いチタンアルコキシドに合うように進行させている。
特開2008-182220号公報 特開2014-160237号公報 特開2010-163345号公報 特開2007-186412号公報 特開昭58-55344号公報
幸塚 広光、"ゾル‐ゲルコーティング技術の基礎"、New Glass 25.3 (2010): 40-45
しかしながら、シリコンアルコキシドおよびチタンアルコキシドが同じ速度で加水分解しても、それぞれが独立して反応しているのであり、得られるシリカガラスにおいてシリカおよびチタニアが完全に均質となるものではない。
逆に、加水分解の速度を小さくする方法として、アセチルアセトンや酢酸などのキレート剤を添加する方法もある(非特許文献1)。しかしながら、これらの添加物は不純物としてガラス中に残留する懸念があることや、また仮に高純度品を使用したとしても、キレート剤の種類や量などの影響を受けて、pHをはじめとする反応条件の制御は容易ではない。
このように、チタニア含有シリカガラスは、熱膨張係数の極めて小さいシリカガラスとして従来より知られているが、従来品はいずれも脈理を含んでおり、光学素子には実際的に使用できないか、或いは、限定的な用途でしか使用することができない。
本発明は、ゾルゲル法において、原料の種類や組成比、攪拌時間、反応系のpHを調節することで、脈理の発生を抑え、光学素子の用途に好適なチタニア含有シリカガラスを提供することを目的とする。
本発明は、チタニア含有シリカガラスの製造に際して、ゾルゲル法を用いることで、脈理の発生をシリカガラス同等程度に抑えて、紫外光透過型のレンズや窓素子に用いることを可能にするものである。
本発明は以下の事項からなる。
本発明のFe、Cr、NiおよびCuの濃度がそれぞれ1wtppm以下であり、チタニアの含有量が3wt%以上10wt%以下であり、20~80℃における熱膨張係数が-3.0×10 -7 /K以上3.5×10 -7 /K以下であり、波長325nmおよび500nmにおける直線透過率が80%以上であり、透過型シュリーレン法で観察される脈理が検出限界以下であるシリカガラスの製造方法は、シリコンアルコキシドを加水分解したゾルに、チタンアルコキシド以外の有機チタン化合物の溶液をpH2~7の条件で接触させる工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、チタン含有シリカガラスの製造方法としてゾルゲル法を採用し、原料として、シリコンアルコキシドと、チタンアルコキシド以外の特定の有機チタン化合物とを選択し、かつ、製造工程の一部である原料混合工程において、シリコンアルコキシドを加水分解したゾルに、有機チタン化合物溶液をpH2~7の条件で接触させて混合することで、脈理の発生が抑えられ、取り扱い容易なチタニア含有シリカガラスが得られる。前記チタニア含有シリカガラスは、光学素子に好適に用いられ、特に光位置センサおよび反射ミラー、露光ステージ基板、光源モジュール、レーザーダイシング装置、ならびに紫外線照射装置に用いられるレンズなど、高精度な位置合わせ・光軸合わせが重要な分野で利用することができる。
以下、本発明のシリカガラスおよびその製造方法について詳細に説明する。
本発明のシリカガラスは、シリコンアルコキシドを加水分解したゾルに、チタンアルコキシド以外の有機チタン化合物溶液をpH2~7の条件で接触させる工程を含む製造方法で得られる。
本発明のシリカガラスでは、Fe、Cr、NiおよびCuの濃度がそれぞれ1wtppm以下であり、チタニアの含有量が3wt%以上10wt%以下であり、20~80℃における熱膨張係数が-3.0×10-7/K以上3.5×10-7/K以下であり、波長325nmおよび500nmにおける直線透過率が80%以上であり、透過型シュリーレン法で観察される脈理が検出限界以下である。
シリコンアルコキシドには、例えば、テトラメトキシシランおよびテトラエトキシシラン等が挙げられる。
シリコンアルコキシドは、塩酸、硝酸およびフッ酸等の酸触媒の存在下に有機溶媒に溶解させると加水分解され、ゾルを形成する。前記ゾル中にpH2~7の条件下に有機チタン化合物溶液を添加する。
有機チタン化合物溶液は、有機チタン化合物を有機溶媒に溶解させた溶液である。有機チタン化合物は、チタンアルコキシド以外の化合物であれば、制限されるものではないが、具体例を挙げると、チタンアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテートおよびチタンラクテート等である。これらの有機チタン化合物は、アルコキシドと異なり、水存在下で加水分解反応を起こさず、解離反応が生じるため、チタンアルコキシドを用いた場合に見られるようなシリカより先にチタニアが生成することを回避することができる。シリコンアルコキシドから生成するシロキサン骨格と解離したチタンを含むイオン化合物が共存した溶液を作ることで、得られるシリカガラスにおけるシリカおよびチタニアを均質にすることができる。
また、前記の有機チタン化合物を使用することで、該有機チタン化合物を種々の濃度で添加した場合においても脈理は生じない。この理由は任意の濃度で均質なチタンイオン化合物が共存した溶液を作ることができることによる。
前記有機チタン化合物を使用した場合、有機チタン化合物溶液の添加量に比例して、得られるシリカガラス中のチタン量が増加する。よって、本発明のシリカガラス中のチタニアの含有量を3wt%以上10wt%以下にすべく、チタン添加量を調節するのが容易である。
さらに、シリコンアルコキシドの加水分解には、通常、酸触媒を用いるため、反応系が酸性になるが、有機チタン化合物溶液を添加する場合は特段のpH調整を行う必要がなく、pH2~7の範囲でシリコンアルコキシドとの反応を行うことができる。
シリコンアルコキシドおよび有機チタン化合物の加水分解に使用する有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノール等の極性溶媒である。
なお、ゾルゲル法では、原料としてシリカのナノ粒子およびチタニアのナノ粒子を使用する手法も知られているが、ナノ粒子の混合は粒状脈理の原因となることがある。また、シリカガラスに生じやすい結晶相として、クリストバライト相、トリジマイト相またはコーサイト相がある。シリカガラス中にこれらの結晶相を含むことも、ナノ粒子を混合する場合と同様に、結晶相が粒状脈理と同様の作用を及ぼすことがある。よって、この手法で得られるシリカガラスは脈理や結晶相を有するため、光学素子に使用すると、結像性能に悪影響を与えるおそれがある。
シリカガラスは、シリコンアルコキシドおよび有機チタン化合物の加水分解物をゲル化させて、チタニア含有シリカ多孔体を合成した後、大気中で500~800℃で加熱するなどの酸化燃焼をさせることによって合成する。
次いで、得られたシリカガラスを1200~1700℃の高温で加熱する。前記温度範囲で加熱すると、シリカガラスを適度に緻密化することができる。加熱には火炎加熱、抵抗加熱、誘導加熱、またはマイクロ波加熱など、種々の方法が用いられる。また、ガラスの流動による変形を抑えるため、或いは、チタニア濃度分布の平坦化のため、被処理物であるシリカガラスを回転させながら加熱してもよい。
このようにして得られたシリカガラスにもし歪みが生じてしまった場合には、600~1700℃でアニールするとよい。アニール温度が600℃未満では歪みがとれないことがある。一方、アニール温度が1700℃を超えると失透を起こすことがある。
本発明のシリカガラスの脈理は、米軍規格MIL-G-174によると、MIL-G-174A(A等級)またはMIL-G-174B(B等級)であり、具体的には、A等級である。この脈理のグレードは、光学ガラス一般の脈理に広く用いられるものであり、A等級は一般的な脈理フリーを意味する。
また、本発明のシリカガラスを透過型シュリーレン法で脈理観察すると、検出限界以下である。透過型シュリーレン法は、透明体の中に屈折率のわずかに異なる部分があるときに、凸レンズでの光学レイアウトにて、光線の進行方向の変化を利用してその部分が明確に見えるようにする撮影法である。透過型シュリーレン法によれば、屈折率の揺らぎである脈理を、透過光の揺らぎとして直接的に捉え、ガラス内部の脈理を高い解像度で観測することができる。
シリカガラスの脈理が、前記のグレードでかつシュリーレン撮影で検出限界以下のレベルにあるとき、レンズや窓素子等の光学素子の用途に好適である。
なお、その他の脈理の評価としては、簡易的には光源にサンプルをかざして目視で観察する方法や光学顕微鏡で観察する方法がある。市販のチタニア含有シリカガラスには強い脈理があるため、これらの簡易的な方法でも十分評価可能である。一方、本発明のシリカガラスのように脈理がほとんど存在しない場合は、精度の高い評価が可能な透過型シュリーレン法が有効である。
前記シリカガラスの20~80℃における熱膨張係数は、-3.0×10-7/K以上3.5×10-7/K以下、好ましくは1.0×10-7/K以上1.0×10-7/K以下である。熱膨張係数が前記範囲内にあると、EUVマスクのみならず、レンズや窓素子等の光学素子として好適である。熱膨張係数は、レーザー変位計を用いて光干渉法により、変位量を検出して算出する。
前記シリカガラスは、Fe、Cr、NiおよびCuの濃度がそれぞれ1wtppm以下である。これらの元素は、シリカガラスの製造工程において不可避的に混入する不純物である。Fe、Cr、NiおよびCuの濃度は、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析、高周波誘導結合プラズマ(ICP)質量分析および蛍光X線分析等の化学分析により行う。これらの不純物がそれぞれ1wtppm以下であれば、シリカガラスの熱膨張係数のばらつきや、透過率の低下に影響を及ぼすことがない。
前記シリカガラスをICP発光分析による化学分析に基づくチタニアの含有量は3wt%以上10wt%以下、好ましくは5wt%以上7wt%以下である。チタニア含有量が3wt%以上10wt%以下であるとき、均質なアモルファス相となり、シリカガラスは極めて小さい熱膨張係数を発現する。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、下記実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
テトラエトキシシラン1モル、チタンラクテート0.2モル、水4モル、エタノール6モル、およびフッ酸0.1モルをpH2の条件下で、15℃で40分間混合・撹拌した後、反応物を乾燥器内において20℃で静置し、ゲル化させた。乾燥後、大気下に500℃で加熱し、さらに真空下に1400℃で加熱することで緻密なアモルファス体を得た。
アモルファス体から試験片を切り出し、ICP発光分析による化学分析を行った結果、アモルファス体に含まれるTiO2は6.0wt%であった。Fe、Cr、NiおよびCuはそれぞれ0.1ppm以下であった。このアモルファス体の熱膨張係数をレーザー変位計で測定したところ、20~80℃の範囲で0.2×10-7/Kであった。また、脈理をシュリーレン装置で測定したが、観察されなかった。さらに、試験片を研磨加工後に、直線透過率を測定したところ、波長325nmおよび500nmでの透過率は89%であった。粉末X線評価では結晶相は検出されなかった。
[実施例2]
テトラエトキシシラン1モル、チタンラクテート0.1モル、水4モル、エタノール6モル、およびフッ酸0.1モルをpH3の条件下で、15℃で40分間混合・撹拌した後、反応物を乾燥器内において20℃で静置し、ゲル化させた。乾燥後、大気下に500℃で加熱し、さらに真空下に1400℃で加熱することで緻密なアモルファス体を得た。
アモルファス体から試験片を切り出し、ICP発光分析による化学分析を行った結果、アモルファス体に含まれるTiO2は3.0wt%であった。Fe、Cr、NiおよびCuはそれぞれ0.1ppm以下であった。このアモルファス体の熱膨張係数をレーザー変位計で測定したところ、20~80℃の範囲で2.5×10-7/Kであった。また、脈理をシュリーレン装置で測定したが、観察されなかった。さらに、試験片を研磨加工後に直線透過率を測定したところ、波長325nmおよび500nmで透過率は90%であった。粉末X線評価では結晶相は検出されなかった。
[実施例3]
テトラエトキシシラン1モル、チタンラクテート0.2モル、水9.5モル、および硝酸0.02モルをpH2の条件下で、15℃で90分間混合・撹拌した後、反応物を乾燥器内において20℃で静置し、ゲル化させた。乾燥後、大気下に500℃で加熱し、さらに真空下に1500℃で加熱することで緻密なアモルファス体を得た。
アモルファス体から試験片を切り出し、ICP発光分析による化学分析を行った結果、アモルファス体に含まれるTiO2は5.8wt%であった。Fe、Cr、NiおよびCuはそれぞれ0.1ppm以下であった。このアモルファス体の熱膨張係数をレーザー変位計で測定したところ、20~80℃の範囲で0.3×10-7/Kであった。また、脈理をシュリーレン装置で測定したが、観察されなかった。さらに、試験片を研磨加工後に直線透過率を測定したところ、波長325nmおよび500nmで透過率は89%であった。粉末X線評価では結晶相は検出されなかった。
[比較例1]
実施例1において、チタンラクテート0.2モルをチタニウムテトライソプロポキシド0.01モルに、pH2をpH4の条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、アモルファス体を作製した。
ICP発光分析による化学分析の結果、アモルファス体に含まれるTiO2は1.2wt%であった。Fe、Cr、NiおよびCuはそれぞれ0.1ppm以下であった。得られたアモルファス体の熱膨張係数をレーザー変位計で測定したところ、20~80℃の範囲で4.2×10-7/Kであった。試験片を研磨加工後に直線透過率を測定したところ、波長325nmおよび500nmで透過率は82%であった。脈理をシュリーレン装置で測定したところ、粒状脈理および筋状脈理が観察された。粉末X線評価では結晶相は検出されなかった。
[比較例2]
実施例1において、チタンラクテート0.2モルをチタニウムテトライソプロポキシド0.06モルに、pH2をpH4の条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、アモルファス体を作製した。
ICP発光分析による化学分析の結果、アモルファス体に含まれるTiO2は7.1wt%であった。Fe、Cr、NiおよびCuはそれぞれ0.1ppm以下であった。得られたアモルファス体の熱膨張係数をレーザー変位計で測定したところ、20~80℃の範囲で-0.2×10-7/Kであった。試験片を研磨加工後に直線透過率を測定したところ、波長325nmおよび500nmで透過率は2%であった。透過性がないため、目視、光学顕微鏡、およびシュリーレン装置での測定、のいずれによっても脈理を観察することができなかった。粉末X線評価では結晶相は検出されなかった。
[比較例3]
実施例1において、チタンラクテート0.2モルをチタニウムテトライソプロポキシド0.09モルに、pH2をpH4の条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、アモルファス体を作製した。
得られたアモルファス体の熱膨張係数をレーザー変位計で測定したところ、20~80℃の範囲で-3.2×10-7/Kであった。ICP発光分析による化学分析の結果、TiO2は10.6wt%であった。Fe、Cr、NiおよびCuはそれぞれ0.1ppm以下であった。試験片を研磨加工後に直線透過率を測定したところ、波長325nmおよび500nmで透過率1%であった。透過性がないため、目視、光学顕微鏡、およびシュリーレン装置での測定、のいずれによっても脈理を観察することができなかった。粉末X線評価ではクリストバライト相、トリジマイト相、コーサイト相、およびTiO2アナターゼ相が検出された。
[比較例4]
比較例2において、チタニウムテトライソプロポキシド0.06モルをチタニアナノ粒子(AEROXIDE(登録商標) TiO2 NKT90)0.06モルに変更したこと以外は、比較例2と同様にして、アモルファス体を作製した。
得られたアモルファス体の熱膨張係数をレーザー変位計で測定したところ、20~80℃の範囲で-0.3×10-7/Kであった。ICP発光分析による化学分析の結果、TiO2は7.3wt%であった。Fe、Cr、NiおよびCuは0.1ppm以下であった。また、脈理をシュリーレン装置で測定したところ、粒状脈理が観察された。さらにサンプルを研磨加工後に直線透過率測定を行い、325nmおよび500nmで透過率83%であった。粉末X線評価ではクリストバライト相、トリジマイト相、TiO2アナターゼ相が検出された。
[比較例5]
原料ガスをTiCl4とSiCl4として、反応ガスを酸素と水素としたVAD法(気相軸付け法)によりチタニア-シリカ多孔質スートを作製し、高周波炉内で1500℃で焼結することによりアモルファス体を作製した。
ICP発光分析による化学分析の結果、アモルファス体に含まれるTiO2は6.8wt%であった。Fe、Cr、NiおよびCuは0.1ppm以下であった。得られたアモルファス体の熱膨張係数をレーザー変位計で測定したところ、20~80℃の範囲で0.2×10-7/Kであった。また、脈理をシュリーレン装置で測定したところ、筋状脈理が観察された。さらに、試験片を研磨加工後に直線透過率を測定したところ、波長325nmおよび500nmでの透過率は88%であった。粉末X線評価ではクリストバライト相、トリジマイト相、コーサイト相、およびTiO2アナターゼ相は検出されなかった。
本発明のチタニア含有シリカガラスは、光位置センサおよび反射ミラー、露光ステージ基板、光源モジュール、レーザーダイシング装置、ならびに紫外線照射装置に用いられるレンズなど、高精度な位置合わせ・光軸合わせが重要な分野で利用することができる。

Claims (1)

  1. シリコンアルコキシドを加水分解したゾルに、チタンアルコキシド以外の有機チタン化合物の溶液をpH2~7の条件で接触させる工程を有することを特徴とする、
    Fe、Cr、NiおよびCuの濃度がそれぞれ1wtppm以下であり、チタニアの含有量が3wt%以上10wt%以下であり、20~80℃における熱膨張係数が-3.0×10-7/K以上3.5×10-7/K以下であり、波長325nmおよび500nmにおける直線透過率が80%以上であり、透過型シュリーレン法で観察される脈理が検出限界以下であるシリカガラスの製造方法。
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