本発明の一実施形態に係るショット処理装置としてのブラスト加工装置について図1~図13Bを用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは図1の装置正面視の手前側を示しており、矢印UPは装置上方側を示しており、矢印LHは図1の装置正面視の左側を示している。また、矢印Xは被処理品Wの搬送方向を示している。
(ブラスト加工装置10の概要)
まず、ブラスト加工装置10の装置概要について説明する。本実施形態に係るブラスト加工装置10は、例えば、被処理品の溶接部の汚れ落とし等に適用される装置であり、マスキングをすることなく特定箇所のみをブラスト加工することが可能な構成とされている。
図5に示されるように、ブラスト加工装置10は、被処理品Wが内側にセットされる枠体12(基部材)を備えたワークセット治具14と、ワークセット治具14を吊った状態で案内経路16に沿って移動及び停止が可能な吊下げ搬送装置18と、を有する。図4には、吊下げ搬送装置18の案内経路16及び停止位置が平面図で示されている。なお、符号S1、S2、S3、S4、S5は、被処理品に対する各処理(搬入工程、投射工程、エアブロー工程及び搬出工程のうちの1つ)を実行するために吊下げ搬送装置18が停止するステーションであり(詳細後述)、符号Swa、Swb、Swcは、待機のために吊下げ搬送装置18が一時停止するステーションである。
案内経路16は、レール20によって形成された無端の循環路とされ、レール20は、装置平面視で装置左右方向に長い長方形のコーナ部分をR状に湾曲させたような形状に形成されている。これにより、案内経路16は、湾曲した四つのカーブ経路16A、16B、16C、16Dを備えている。また、図5に示される枠体12の内側にセットされた被処理品Wが吊下げ搬送装置18の移動によって搬送される搬送路22も案内経路16と同様に循環路とされている。また、レール20に沿って給電用の電力幹線路(バスダクト21)が設けられている。
図13Bに示されるように、吊下げ搬送装置18は、クレーン機構を有し、案内経路16に沿って案内される可動部18Aを備えると共に、バスダクト21から給電されて可動部18Aを案内経路16に沿って移動させる駆動機構18Bを備えている。バスダクト21から駆動機構18Bへの給電は、端子ボックス18Dに収容された接続端子(図示省略)を介して行う。駆動機構18B及び端子ボックス18Dは、可動部18Aと共に移動するように構成されている。
可動部18Aは、回転しながらレール20の長手方向に沿って移動可能なローラ(を含んで構成されている。駆動機構18Bは、可動部18Aを駆動するモータ18Mと、モータ18Mの回転速度を調整するためのインバータ(図示省略)と、を含んで構成されている。前記インバータは、図13Aに示されるインバータ盤18Nに格納されると共に、制御装置120に電気的に接続されている。なお、吊下げ搬送装置18は、ワークセット治具14が振れることで可動部18Aがスリップするのを防ぐための部材としてガイドローラ18Rを備えている。ガイドローラ18Rは、レール20の下面に当てられ、搬送方向上流側及び搬送方向下流側に対で設けられている。
また、吊下げ搬送装置18は、可動部18Aに一体的に設けられたハンガー部18Cを備えている。ハンガー部18Cには、ワークセット治具14が吊り下げられる。本実施形態では、吊下げ搬送装置18は複数台設けられており、各吊下げ搬送装置18は、自走するように構成されている。本実施形態では、八台の吊下げ搬送装置18が設けられている。各吊下げ搬送装置18の識別及び走行制御については、詳細後述する。
図1~図3に示されるように、ブラスト加工装置10は、ワークセット治具14が通り抜けるキャビネット26を備えている。図3に示されるように、キャビネット26に対して搬送方向上流側(図中左側)には搬入エリア24が設けられ、キャビネット26に対して搬送方向下流側(図中右側)には搬出エリア28が設けられている。
搬入エリア24には、搬送路22においてワークセット治具14が停止されて被処理品Wの搬入がなされる搬入ステーションS1(受渡ステーション)が設けられている。また、搬出エリア28には、搬送路22においてワークセット治具14が停止されて被処理品W(図5参照)の搬出がなされる搬出ステーションS5(受渡ステーション)が設けられている。搬入ステーションS1及び搬出ステーションS5は、装置平面視で搬送路22のうちその短手方向に延びる領域に配置されている。なお、本実施形態の搬送路22には、ワークセット治具14の内側に被処理品Wがセットされていない状態でワークセット治具14が搬送される領域でかつ装置平面視で直線状とされた直線部22Lが設けられている。
搬入エリア24には、搬入ステーションS1において被処理品Wを搬入する装置として受渡ロボットR1が吊下げ搬送装置18とは別に設けられている。受渡ロボットR1は、ブラスト加工のための搬入工程の作業を行う。また、搬出エリア28には、搬出ステーションS5において被処理品Wを搬出する装置として受渡ロボットR5が吊下げ搬送装置18とは別に設けられている。受渡ロボットR5は、ブラスト加工のための搬出工程の作業を行う。搬出エリア28には、受渡ロボットR5の近傍に投射材回収装置29が設けられている。投射材回収装置29は、ホッパ部を含んで構成されており、図示しないパイプを介してキャビネット26に連通接続されている。受渡ロボットR5は、被処理品Wを把持したうえで、被処理品Wを投射材回収装置29の上で逆さにして揺すって被処理品Wの隙間に入った投射材を投射材回収装置29に落とすように動作する。なお、受渡ロボットR1、R5の制御の微調整については、詳細後述する。
また、図5に示されるように、キャビネット26の搬入側にはスライド扉25Aが設けられ、キャビネット26の搬出側にはスライド扉25Cが設けられている。また、キャビネット26の中には、ブラスト加工室30(投射室)とエアブロー室40を仕切るようにスライド扉25Bが設けられている。スライド扉25A、25B、25Cは、一例としていずれも両開きのスライド扉とされる。スライド扉25A、25B、25Cが設けられることで、投射材がキャビネット26の外に飛散するのを防止し、また騒音が低減される。なお、図3では、図を簡略化するためにスライド扉25A、25B、25Cの図示を省略している。
図3に示されるように、搬送路22における側方側には、被処理品Wが搬入されるブラスト加工室30内で枠体12の内側にセットされた被処理品Wに投射材を投射する投射機としての第一上流側投射機32A、第二上流側投射機32B、第一下流側投射機32C及び第二下流側投射機32Dが設けられている。なお、以下の説明において、第一上流側投射機32A、第二上流側投射機32B、第一下流側投射機32C及び第二下流側投射機32Dを区別しないで説明する場合は、投射機32A~32Dと略す。
投射機32A~32Dは、エア供給部としてのコンプレッサで加圧されたエアと投射材とを混合させてノズル33から噴射するエア圧式投射機とされている。以下、より具体的に詳細に説明する。投射機32A~32Dは、それぞれノズル33を備えており、ノズル33はホース34の先端部に取り付けられている。図6に示されるように、ノズル33はノズル保持ロボット31に保持されている。ノズル保持ロボットは、ロボットアームとしても把握できるように構成されており、ノズル33は、アーム部材の先端部に保持されている。ノズル保持ロボット31は、基台Abに配置されて複数のアーム部材が回動可能に連結されており、予め設定されたデータ(要投射部位に応じたデータ)に基づいてノズル33の先端を被処理品に向けて移動させるようになっている。すなわち、ノズル保持ロボット31は、吊下げ搬送装置18とは別に設けられ、ブラスト加工のための投射工程の作業を行うロボットとされる。なお、ノズル保持ロボット31の制御の微調整については、詳細後述する。
ホース34の基端側は、図1に示される接続部35を介して加圧タンク36の底側に接続されている。接続部35には、分岐部35A及びミキシングバルブ35Bが設けられ、分岐部35Aは、1つの加圧タンク36と2本のミキシングバルブ35Bとを連結するための分岐用の箱体とされており、ミキシングバルブ35Bは、配管を介して図示しないコンプレッサに接続されている。また、加圧タンク36の上端側はバルブ部37を介してショットタンク38に接続されている。ショットタンク38内には、投射材が貯蔵されている。
ブラスト加工装置10では、投射機32A~32Dで投射材を投射(噴射)させる場合には、ショットタンク38側から加圧タンク36内に投射材を十分に供給した後に加圧タンク36内を加圧した状態で、コンプレッサからミキシングバルブ35B側へ圧縮空気を流してミキシングバルブ35Bを開く。この場合、加圧タンク36側から分岐部35Aを通過した投射材がミキシングバルブ35Bへ流れて圧縮空気により加速されてホース34を通ることで、ノズル33から投射材が投射される。これにより、被処理品Wへのブラスト加工がなされるようになっている。すなわち、本実施形態のブラスト加工装置10は、所謂エアブラスト装置とされている。
図3に示されるブラスト加工室30内には、ワークセット治具14が停止されて投射機32A~32Dが被処理品Wに投射材を投射する領域である投射ステーションが設けられている。本実施形態では、2つの投射ステーション(第一投射ステーションS2と、第一投射ステーションS2よりも搬送方向下流側に配置された第二投射ステーションS3)が設けられている。第一投射ステーションS2及び第二投射ステーションS3は、装置平面視で搬送路22のうちその長手方向に延びる領域に配置されている。各投射機32A~32Dの配置及び投射範囲については、詳細後述する。
ブラスト加工装置10は、投射機32A~32Dのノズルから投射された投射材を回収すると共に循環させて再利用するための循環装置44(図1参照)を有する。循環装置44についての詳細説明を省略するが、ブラスト加工室30及びエアブロー室40の下側には、ホッパ44Aが設けられている。また、ホッパ44Aよりも下方側には装置左右方向に延在するスクリューコンベヤ44Bが配置されると共に、スクリューコンベヤ44Bの搬送方向下流側の側方側において装置上方側に立設されたバケットエレベータ44Cが配置されている。なお、バケットエレベータ44Cの下部に隣接して投射材供給ボックス45が設けられている。
バケットエレベータ44Cの上部にはセパレータ44Dが接続されている。セパレータ44Dは、ダクトP1及びダクトD1等を介して集塵機46に接続されると共に、パイプP2を介して振動篩44Eに接続されている。集塵機46は、粉塵(ブラスト加工によって発生した微粉等)を含む空気を吸引する。セパレータ44Dは、投射材等を分級し、分級された適正な投射材のみを振動篩44Eへ供給する。振動篩44Eは、パイプP3を介してショットタンク38に接続されており、再使用可能なサイズの投射材と再使用できないサイズの投射材とに分離し、再使用可能なサイズの投射材のみがショットタンク38に供給される。
図3に示されるように、エアブロー室40には、搬送路22の両サイド側に吹付装置42が設けられている。一対の吹付装置42は、図5に示される被処理品Wが搬入されるエアブロー室40で吊下げ搬送装置18の下部、ワークセット治具14、及び被処理品Wに対して気体を吹き付けるように配置されている。また、エアブロー室40内には、ワークセット治具14が停止されて図3に示される吹付装置42が被処理品Wに対して気体を吹き付けるエアブローステーションS4が設けられている。エアブローステーションS4は、装置平面視で搬送路22のうちその長手方向に延びる領域に配置されている。
一対の吹付装置42は、それぞれノズル42Aを備えており、ノズル42Aはホース42Bの先端部に取り付けられている。本実施形態では、ノズル42Aは吹付装置用ロボット42Rに保持されている。吹付装置用ロボット42Rは、ロボットアームとしても把握できるように構成されており、ノズル42Aは、アーム部材の先端部に保持されている。吹付装置用ロボット42Rは、予め設定されたデータに基づいてノズル42Aの先端を被処理品W等に向けて移動させるようになっている。すなわち、吹付装置用ロボット42Rは、吊下げ搬送装置18とは別に設けられ、ブラスト加工のためのエアブロー工程の作業を行うロボットとされる。なお、吹付装置用ロボット42Rの制御の微調整については、詳細後述する。ホース42Bの基端側は、図示しない圧縮空気供給部に接続されている。そして、前記圧縮空気供給部からホース42Bに圧縮空気が供給されるとノズル42Aから空気(気体)が吹き出すようになっている。
なお、複数の吊下げ搬送装置18は、搬入ステーションS1、第一投射ステーションS2、第二投射ステーションS3、エアブローステーションS4及び搬出ステーションS5の各ステーションでの処理が完了すると次のステーション側へ向けて移動するように構成されている。これにより、タイムサイクルの短縮が図られる。
(ワークセット治具14及びその周辺の構成)
次に、ワークセット治具14及びその周辺の構成について説明する。
ブラスト加工装置10には、吊下げ搬送装置18(図5参照)に吊り下げられた状態のワークセット治具14を案内するためのレール状の案内部として、第一ガイドレール部51(停止エリア案内部)と、第二ガイドレール部52及び第三ガイドレール部53(ブラスト加工室30内の案内部)と、第四ガイドレール部54(エアブロー室40内の案内部)と、第五ガイドレール部55(停止エリア案内部)と、がそれぞれ上下に設けられている。なお、以下の説明においては、これらのガイドレール部のうち下側ガイドレール部を指す場合は各符号51、52、53、54、55の末尾にLを付し、これらのガイドレール部のうち上側ガイドレール部を指す場合は、各符号51、52、53、54、55の末尾にUを付す。
第一ガイドレール部51、第二ガイドレール部52、第三ガイドレール部53、第四ガイドレール部54及び第五ガイドレール部55(以下、「第一~第五ガイドレール部51~55」と略す。)は、案内経路16とは別に搬送路22の一部に沿って配置された左右対の案内部とされ、ワークセット治具14の振れ(ひいては被処理品Wの振れ)を抑制することができるようになっている。
図3及び図4に示されるように、第一ガイドレール部51は、装置平面視でカーブ経路16Aの終端側に対応して入口部が形成されて搬入ステーションS1におけるワークセット治具14の停止位置を含む範囲に配置されている。第二ガイドレール部52は、ブラスト加工室30内の第一投射ステーションS2におけるワークセット治具14の停止位置を含む範囲に配置されている。第三ガイドレール部53は、ブラスト加工室30内の第二投射ステーションS3におけるワークセット治具14の停止位置を含む範囲に配置されている。第四ガイドレール部54は、エアブロー室40内のエアブローステーションS4におけるワークセット治具14の停止位置を含む範囲に配置されている。第五ガイドレール部55は、装置平面視でカーブ経路16C(図4参照)の終端側に対応して入口部が形成されて搬出ステーションS5におけるワークセット治具14の停止位置を含む範囲に配置されている。本実施形態では、ブラスト加工装置10には、装置平面視で搬送路22に沿って、レール状の案内部(第一~第五ガイドレール部51~55)が配置されていない領域が設けられている。
図7Bに示されるように、第二ガイドレール部52及び第三ガイドレール部53の上側ガイドレール部52U、53Uは連続して形成されている。上側ガイドレール部52U、53U、54Uは、対となるL字状の金属板の各一辺側が垂下部として対向するように配置されることで形成されている(図7Aの金属板54U1、54U2を参照)。
図8に示されるように、ワークセット治具14の枠体12は、ワークセット治具14の正面視で矩形状に形成されている。すなわち、枠体12は、互いに対向配置された上下一対の横材部12A、12Bと、上下一対の横材部12A、12Bの長手方向の端部同士を繋ぐ一対の縦材部12C、12Dと、を有する。枠体12には、上下一対の横材部12A、12B同士の間で一対の縦材部12C、12D同士の間(言い換えれば枠体12の内側)被処理品Wがセットされる。
ワークセット治具14には、ワークセット治具14の正面視で枠体12の下方側かつ左右両側に被案内部としてのローラ60Lが設けられている。ローラ60Lは、装置上下方向の軸周りに回転自在とされ、図3に示される第一~第五ガイドレール部51~55の下側ガイドレール部51L、52L、53L、54L、55L(以下、「下側ガイドレール部51L~55L」と略す。)に案内される。なお、下側ガイドレール部52L、53L、54Lは、搬送方向上流側の部分が搬送方向上流側へ向けて間口を広げるように傾斜するように配置されており、ローラ60Lが入り易い構成になっている。
ワークセット治具14には、枠体12の上面側に天板62が固定されている。そして、図7A~図8に示されるように、天板62の四隅側の上方側に被案内部としてのローラ60Uが設けられている。ローラ60Uは、装置上下方向の軸周りに回転自在とされる。ローラ60Uは、第一~第五ガイドレール部51~55の上側ガイドレール部51U、52U、53U、54U、55U(以下、「上側ガイドレール部51U~55U」と略す。)に案内される(図5参照)。なお、図8に示されるように、ワークセット治具14の天板62は、前述した吊下げ搬送装置18のハンガー部18Cに吊り下げられている。
ブラスト加工装置10は、ワークセット治具14がブラスト加工室30内の停止位置に配置されるように吊下げ搬送装置18が停止している状態でワークセット治具14をブラスト加工室30内の停止位置に位置決めする投射用位置決め機構70を有している。なお、変形例として、ワークセット治具14がブラスト加工室30内で吊下げ搬送装置18によって低速で搬送されている状態で投射用位置決め機構70がワークセット治具14をブラスト加工室30内の停止位置に位置決めし、それに応じるように吊下げ搬送装置18が停止されるような構成も採り得る。
図9A~図9Cに示されるように、投射用位置決め機構70は、ワークセット治具14がブラスト加工室30内の停止位置に停止するようにローラ60Lを押さえて位置決めする押さえ機構72を備えている。言い換えれば、投射用位置決め機構70は、ローラ60Lと押さえ機構72とによってワークセット治具14を位置決めするように構成されている。また、図4に示される第一投射ステーションS2及び第二投射ステーションS3は、吊下げ搬送装置18が停止してかつワークセット治具14が投射用位置決め機構70によって位置決めされるステーションである。
押さえ機構72は、ブラスト加工室30内に配置された駆動用のシリンダ73を備えると共に、シリンダ73のピストンロッド73Rの先端部側に一端側が連結された棒状部材74を備えている。シリンダ73は、一例としてエアシリンダとされて装置前後方向を軸方向として配置され、図示しない配線又は配管は下方側のパイプP4内に延びている。棒状部材74は、ピストンロッド73Rの延在方向と直交する方向の軸周りに回動可能とされている。シリンダ73及び棒状部材74は、カバー構造76によって覆われている。カバー構造76は、シリンダ73の一部を覆うカバー76Aと、シリンダ73の一部と棒状部材74の一部とを覆うカバー76Bと、棒状部材74の一部を覆うカバー76Cと、で構成されている。なお、図9A~図9Cでは、構成を分かり易く示すために、カバー76A、76B、76Cの壁部を透視した状態で示している。
押さえ機構72は、棒状部材74の一端側(下端側)の回動軸75の軸方向と平行な方向に沿って延在して自身の軸周りに回転可能に支持される軸部材77を備えている。軸部材77は、装置左右方向に沿って延在しており、棒状部材74の他端側(上端側)が固定され、ピストンロッド73Rの進退移動に連動した棒状部材74の回動によって自身の軸周りに回転するようになっている。
軸部材77の軸線方向一方側(図9A、Bでは、図中左側)の端部及び当該端部を軸受する軸受構造部79Aは、前述したカバー76Cによって覆われ、軸部材77の軸線方向他方側(図9A、Bでは、図中右側)の端部及び当該端部を軸受する軸受構造部79Bは、カバー76Dによって覆われている。図中では、構成を分かり易く示すために、カバー76Dの壁部を透視した状態で示している。
また、軸部材77の長手方向両側でカバー76C、76Dに覆われていない部分には、押さえ部材78の基端側が固定されている。左右一対の押さえ部材78は、軸部材77の回転によって、先端側の押さえ部分78Aがローラ60Lを押さえる押さえ位置78Xと、先端側の押さえ部分78Aがローラ60Lから離れた解除位置78Y(図9C参照)と、の間で回動可能とされている。押さえ部分78Aは、押さえ部分78Aが押さえ位置78Xに配置された状態ではローラ60Lの一部が入り込む凹形状に形成されている(図9A参照)。なお、押さえ部材78の先端側の一部は、下側ガイドレール部52L、53Lに設けられた切欠部分Kに入り込むように配置されている。
また、図5に示されるように、ブラスト加工装置10は、ワークセット治具14がエアブローステーションS4の停止位置に配置されるように吊下げ搬送装置18が停止している状態でワークセット治具14をエアブローステーションS4の停止位置に位置決めするエアブロー用位置決め機構170を有している。なお、変形例として、ワークセット治具14が吊下げ搬送装置18によって低速で搬送されている状態でエアブロー用位置決め機構170がワークセット治具14をエアブローステーションS4の停止位置に位置決めし、それに応じるように吊下げ搬送装置18が停止されるような構成も採り得る。本実施形態のエアブロー用位置決め機構170は、上述したブラスト加工室30内の停止位置に位置決めする投射用位置決め機構70と同様の機構とされているので、詳細図示及び詳細説明を省略する。なお、エアブローステーションS4は、吊下げ搬送装置18が停止してかつワークセット治具14がエアブロー用位置決め機構170によって位置決めされるステーションである。
また、ブラスト加工装置10は、ワークセット治具14が搬入ステーションS1の停止位置に配置されるように吊下げ搬送装置18が停止している状態でワークセット治具14を搬入ステーションS1の停止位置に位置決めする受渡用位置決め機構80を有している。なお、変形例として、ワークセット治具14が吊下げ搬送装置18によって低速で搬送されている状態で受渡用位置決め機構80がワークセット治具14を搬入ステーションS1の停止位置に位置決めし、それに応じるように吊下げ搬送装置18が停止されるような構成も採り得る。
図10A及び図10Bに示されるように、受渡用位置決め機構80は、搬入ステーションS1におけるワークセット治具14の停止位置にワークセット治具14が停止するようにローラ60Lを押さえて位置決めする押さえ用機構82を備えている。言い換えれば、受渡用位置決め機構80は、ローラ60Lと押さえ用機構82とによってワークセット治具14を位置決めするように構成されている。また、搬入ステーションS1は、吊下げ搬送装置18が停止してかつワークセット治具14が受渡用位置決め機構80によって位置決めされるステーションである。
押さえ用機構82は、押さえ部材84を備えている。押さえ部材84は、ローラ60Lを押さえる押さえ位置84Xと、ローラ60Lから離れた解除位置84Yと、の間で移動可能とされており、図示しない駆動部によって移動されるようになっている。押さえ部材84は、解除位置84Yに配置された状態ではカバー86によって覆われている。なお、図10Aでは、解除位置84Yを分かり易く示すために、カバー86を透視した状態で、解除位置84Yを二点鎖線で示している。また、図10Bでは、カバー86を透視した状態で押さえ部材84を図示すると共にカバー86の外形を二点鎖線で示している。
ブラスト加工装置10は、ワークセット治具14が搬出ステーションS5の停止位置に配置されるように吊下げ搬送装置18が停止している状態でワークセット治具14を搬出ステーションS5の停止位置に位置決めする受渡用位置決め機構88を有している。なお、変形例として、ワークセット治具14が吊下げ搬送装置18によって低速で搬送されている状態で受渡用位置決め機構88がワークセット治具14を搬出ステーションS5の停止位置に位置決めし、それに応じるように吊下げ搬送装置18が停止されるような構成も採り得る。本実施形態の受渡用位置決め機構88は、上述した搬入ステーションS1の受渡用位置決め機構80と同様の機構とされているので、詳細図示及び詳細説明を省略する。なお、搬出ステーションS5は、吊下げ搬送装置18が停止してかつワークセット治具14が受渡用位置決め機構88によって位置決めされるステーションである。
以下の説明において、吊下げ搬送装置18が停止してかつワークセット治具14が位置決め機構(受渡用位置決め機構80、88と、投射用位置決め機構70と、エアブロー用位置決め機構170)によって位置決めされる搬入ステーションS1、第一投射ステーションS2、第二投射ステーションS3、エアブローステーションS4及び搬出ステーションS5をまとめて説明するときはステーションS1~S5と略す。
(被処理品Wを固定するための機構)
次に、被処理品Wを固定するための機構について説明する。
ブラスト加工装置10は、図8に示される被処理品Wを枠体12の内側(つまり上下一対の横材部12A、12B同士の間)において挟持によって固定する固定用とされたクランプ機構90を有する。クランプ機構90は、図9A~図9Cに示される投射用位置決め機構70がワークセット治具14をブラスト加工室30内の停止位置に位置決めしている状態で、被処理品Wを枠体の内側において固定するように配置されている。クランプ機構90は、枠体12の内側下部に設けられて被処理品Wが載せられる受け部92を備えると共に、枠体12の内側にセットされる被処理品Wを上側から押さえる押さえ部94を備える。
受け部92は、本実施形態では、ワークセット治具14の正面視で枠体12の開口下縁の左右両サイドから立設されており、その上端側に上向きに開口した切欠部が形成されている。これに対して、押さえ部94は、枠体12の上部及び天板62を貫通して装置上下方向を軸方向として配置された押さえ用部材94Aと、押さえ用部材94Aの上端が固定される第一水平部材94Bと、第一水平部材94Bと天板62とを連結する弾性機構としての引っ張りバネ94Cと、を含んで構成されている。
押さえ用部材94Aは、枠体12の内側にセットされる被処理品Wを上側から押さえる部材である。押さえ用部材94Aは、ワークセット治具14の正面視で一例として受け部92の直上に一対で設けられ、その下端側に下向きに開口したV字状の切欠部が形成されている。なお、押さえ用部材94Aの外周側には一例として蛇腹状で伸縮可能な筒状部材(図示省略)が配設されている。また、枠体12の内側で押さえ用部材94Aの外周側には、筒部94Dが配置されており、この筒部94Dの上端部は枠体12の上部に取り付けられている。なお、図中では、筒部94Dをその軸線方向に沿って切断した半断面で示している。また、押さえ用部材94Aの上端が固定される第一水平部材94Bは、天板62に対してその上方側において平行に配置され、装置平面視で枠体12が延在する方向に沿って延在している。引っ張りバネ94Cは、ワークセット治具14の正面視で一対の押さえ用部材94Aの間の中央部に配置され、押さえ用部材94Aを枠体12の内側にセットされる被処理品Wの側に付勢する。引っ張りバネ94Cの上端部は、第一水平部材94Bの長手方向中央部に取り付けられている。
一方、第一水平部材94Bの長手方向中央部の上面側には、第二水平部材94Eが固定されている。第二水平部材94Eは、第一水平部材94Bの延在方向とは直交する方向でかつ水平方向に延在した略三角筒状の部材とされ(図11A及び図11B参照)、その長手方向中央部に第一水平部材94Bが固定されている。
(被処理品Wの固定を解除するための機構)
次に、被処理品Wの固定を解除するための機構について説明する。
図11A及び図11Bに示されるように、搬入ステーションS1には、レール20が固定される梁部材100から垂下された一対の垂下部材102が吊下げ搬送装置18の通路の両サイドに配置されている。一対の垂下部材102の各下端部には水平部材104が固定されており、一対の水平部材104は、互いに接近する方向に延在している。一対の水平部材104の先端部の対向面側には、第一ガイドレール部51における上側ガイドレール部51Uが設けられている。
一対の水平部材104の各々の上には、変位機構96が設けられている。変位機構96は、装置上下方向を軸方向として配置されたシリンダ96Aを備えている。シリンダ96Aは、外筒体96A1と、外筒体96A1の上端側の開口から軸方向に伸縮可能とされたロッド96A2と、を備えている。ロッド96A2の先端部(上端部)には、当て部材96Bが固定されており、当て部材96Bは、ロッド96A2が伸びた場合に第二水平部材94Eを介して第一水平部材94B(図8に示されるクランプ機構90の押さえ部94の一部)を押し上げるようになっている。言い換えれば、搬入ステーションS1に設けられた変位機構96は、図8に示されるクランプ機構90の押さえ用部材94Aを引っ張りバネ94Cの付勢力に抗して押さえ解除の方向に変位させるようになっている。
図5に示されるブラスト加工装置10の搬出ステーションS5には、被処理品Wの固定解除用の変位機構98が設けられている。変位機構98は、クランプ機構90の押さえ用部材94Aを引っ張りバネ94Cの付勢力に抗して押さえ解除の方向に変位させるようになっている。変位機構98は、上述した搬入ステーションS1の変位機構96と同様の機構とされているので、詳細図示及び詳細説明を省略する。
(各吊下げ搬送装置18の識別及び走行制御並びにロボット制御)
次に、各吊下げ搬送装置18の識別及び走行制御並びにロボット制御について説明する。なお、受渡ロボットR1、R5、ノズル保持ロボット31、及び吹付装置用ロボット42Rには、例えば、特開2013-158876号公報や特開2016-083706号公報等に開示される公知構成を備えたロボットを適用することができる。このロボットの構成は公知であるため詳細説明を省略する。また、受渡ロボットR1、R5と、ノズル保持ロボット31と、吹付装置用ロボット42Rとは、制御装置120に電気的に接続されている。
吊下げ搬送装置18の上端部の一方側(より具体的には装置平面視での循環路のループ内側とは反対側)には、自身を特定する識別情報を提供するための識別情報提供部18Sが設けられている。識別情報提供部18Sは、本実施形態では、図中のa、b、c、dのいずれか一つ又は二つの箇所に設けられた凸状部を備えており、この凸状部の数及び設置箇所は、吊下げ搬送装置18毎に異なっている。なお、図13Bでは説明の都合上、識別情報提供部18Sの凸状部について、a、b、c、dの四つを図示している(図5~図7等も便宜上同様としている。)。
識別情報提供部18Sに形成された凸状部は、ブラスト加工装置10の上部に設けられた搬送装置識別用のリミットスイッチLSa、LSb、LSc、LSd(以下、「リミットスイッチLSa~LSd」と略す。検出用手段としても把握される要素である。)に当接可能とされている。また、リミットスイッチLSa~LSdには、制御装置120が電気的に接続されている。そして、制御装置120は、どのリミットスイッチLSa~LSdが識別情報提供部18Sの前記凸状部の当接によってオンされたかによってどの吊下げ搬送装置18が通過したかを認識することができるようになっている。
また、吊下げ搬送装置18の上端部の他方側(より具体的には装置平面視での循環路のループ内側)には、凸状とされた第一当て部18Xが設けられている。第一当て部18Xは、ブラスト加工装置10の上部に設けられた加減速用のリミットスイッチLS1、LS2、LS3(図4参照、以下、「リミットスイッチLS1~LS3」と略す。)に当接可能とされている。リミットスイッチLS1~LS3(図4参照)には、制御装置120が電気的に接続されている。制御装置120は、リミットスイッチLS1~LS3が第一当て部18Xの当接によってオンされた場合に、予め設定された情報に基づいて、吊下げ搬送装置18が加速又は減速するように、吊下げ搬送装置18のインバータ盤18Nに格納されたインバータ(図示省略)に制御信号を出力し、吊下げ搬送装置18の移動速度を制御する。
また、第一当て部18Xの隣には、凸状とされた第二当て部18Yが第一当て部18Xとは離間して設けられている。第二当て部18Yは、ブラスト加工装置10の上部に設けられた停止用のリミットスイッチLS9(検出用手段としても把握される要素である。)に当接可能とされている。リミットスイッチLS9には、制御装置120が電気的に接続されている。制御装置120は、リミットスイッチLS9が第二当て部18Yの当接によってオンされた場合に、停止するように、吊下げ搬送装置18の駆動機構18Bのインバータ盤18Nに格納されたインバータ(図示省略)に制御信号を出力する。
図4に示されるように、リミットスイッチLS1(第一の検出手段)は、装置平面視でカーブ経路16A、16Cの始端側近傍(搬送方向上流側端部の近傍)に配置されている。リミットスイッチLS2(第6態様の第二の検出手段の一例)は、吊下げ搬送装置18が停止してかつワークセット治具14が位置決めされるステーションS1~S5の搬送方向上流側に配置されている。リミットスイッチLS3(第7態様の第二の検出手段の一例)は、直線部22Lにおける搬送方向上流側に対応して配置されている。停止用のリミットスイッチLS9は、図4に示される吊下げ搬送装置18の各停止位置に対応する位置に配置されている。搬送装置識別用のリミットスイッチLSa~LSdは、搬送方向に沿ってリミットスイッチLS1~LS3及びリミットスイッチLS9が配置されたそれぞれの位置に配置されていてもよい。
制御装置120は、吊下げ搬送装置18の移動速度を以下のように制御する。カーブ経路16Aの始端側近傍に設けられたリミットスイッチLS1(LS1a)によって、当該リミットスイッチLS1(LS1a)の配置位置近傍を通る吊下げ搬送装置18が検出されたタイミングで、その吊下げ搬送装置18の移動速度は、ワークセット治具14が遠心力によって振れてもローラ60Uが左右対の第一ガイドレール部51の中に入ることが可能な移動速度V1a(第一の移動速度)に設定される。移動速度V1aは、一例として、12.5m/minである。同様に、装置平面視でカーブ経路16Cの始端側近傍に設けられたリミットスイッチLS1(LS1b)によって当該リミットスイッチLS1(LS1b)の配置位置近傍を通る吊下げ搬送装置18が検出されたタイミングで、その吊下げ搬送装置18の移動速度は、ワークセット治具14が遠心力によって振れてもローラ60Uが左右対の第五ガイドレール部55の中に入ることが可能な移動速度V1b(第一の移動速度)に設定される。移動速度V1aは、一例として、12.5m/minである。
また、リミットスイッチLS2によって当該リミットスイッチLS2の配置位置近傍を通る吊下げ搬送装置18が検出されたタイミングで、その吊下げ搬送装置18の移動速度が制御されて、移動速度V2に設定される。移動速度V2(第6態様の第二の移動速度の一例)は、リミットスイッチLS1によって当該リミットスイッチLS1の配置位置近傍を通る吊下げ搬送装置18が検出されたタイミングで設定される移動速度V1a、V1bよりも低速(一例として、6m/min)に設定される。さらに、加速用のリミットスイッチLS3によって当該リミットスイッチLS3の配置位置近傍を通る吊下げ搬送装置18が検出されたタイミングで、その吊下げ搬送装置18の移動速度が制御されて、移動速度V3に設定される。移動速度V3(第7態様の第二の移動速度の一例)は、リミットスイッチLS1によって当該リミットスイッチLS1の配置位置近傍を通る吊下げ搬送装置18が検出されたタイミングで設定される移動速度V1a、V1bよりも高速(一例として、25m/min)に設定される。
図13A及び図13Bに示される制御装置120は、例えば、記憶装置や演算処理装置等を有して構成されている。詳細図示を省略するが、前記演算処理装置は、CPU、RAM、ROM、及び通信インタフェース(I/F)部を備え、これらがバスを介して互いに接続されており、ROMには種々の制御処理のプログラムが記憶されている。また、記憶装置と演算処理装置とは、互いの通信インタフェース(I/F)部によって通信可能とされている。そして、制御装置120においては、作業者による図示しない操作盤の操作に応じて、制御処理のプログラムがROMから読み出されてRAMに展開され、RAMに展開された制御処理のプログラムがCPUによって実行されるようになっている。
制御装置120は、吊下げ搬送装置18の識別情報に対応付けて個々の吊下げ搬送装置18に関する情報をデータベース(より具体的には一例としてテーブル)に記憶している。吊下げ搬送装置18の識別情報に対応付けて予め記憶された個々の吊下げ搬送装置18に関する情報には、例えば吊下げ搬送装置18の外形に関する情報(若干の歪みに関する寸法情報等も含む)の他、吊下げ搬送装置18がどのような外形のワークセット治具14を吊っているかといった情報が含まれ、これらの情報は、ユーザが適宜更新できるようになっている。
そして、制御装置120は、個々の吊下げ搬送装置18から提供された識別情報と、前記識別情報に対応付けて予め記憶された個々の吊下げ搬送装置18に関する情報と、に基づいて、受渡ロボットR1、R5、ノズル保持ロボット31及び吹付装置用ロボット42Rに対して複数の吊下げ搬送装置18の各々に応じた動作信号を出力することで、受渡ロボットR1、R5、ノズル保持ロボット31及び吹付装置用ロボット42Rの各動作を制御する。すなわち、制御装置120は、ロボットティーチングの微調整を行う。この微調整の一例は、個々の吊下げ搬送装置18に関する情報として、ある特定の吊下げ搬送装置18が若干歪みのあるワークセット治具14を吊っているとの情報が含まれている場合に、ワークセット治具14の歪みの部位や歪みの量に応じてロボットの動作部分の所定部位を数mmだけ予め設定された位置に対して上下左右にずらすような微調整等が挙げられる。
また、制御装置120は、個々の吊下げ搬送装置18から提供された識別情報と、前記識別情報に対応付けて予め記憶された個々の吊下げ搬送装置18に関する情報と、に基づいて、複数の吊下げ搬送装置18の各々に対して当該各々に応じた制御信号を出力することで、吊下げ搬送装置18の作動を制御する。一例として、個々の吊下げ搬送装置18に関する情報として、ある特定の吊下げ搬送装置18が搬送方向において若干歪みのあるワークセット治具14を吊っているとの情報が含まれている場合に、制御装置120は、その吊下げ搬送装置18の停止位置を、ワークセット治具14の歪みの部位や歪みの量に応じて数mmだけ予め設定された停止位置に対して搬送方向上流側又は搬送方向下流側にずらすような作動制御を行う。
(投射機32A~32Dの配置及び投射範囲)
次に、図3に示される投射機32A~32Dの配置及び各投射機の投射範囲について図12Aを参照しながら説明する。なお、図中において、一点鎖線CL1は、被処理品Wにおいて搬送路22に沿う方向における中央位置を示す中央線を示している。また、図中において、符号W1は、被処理品Wにおいて搬送路22に沿う方向の一方側(本実施形態では搬送方向下流側)の半部である第一半部としての前半部の範囲を指し、符号W2は、被処理品Wにおいて搬送路22に沿う方向における他方側(本実施形態では搬送方向上流側)の半部である第二半部としての後半部の範囲を指している。
第一投射ステーションS2には、第一上流側投射機32Aと第二上流側投射機32Bとが設けられている。第一上流側投射機32Aは、搬送路22に対して搬送幅方向一方側(より具体的には搬送方向下流側を向いた場合の左側)の側方側から投射材を投射し、第二上流側投射機32Bは、搬送路22に対して搬送幅方向他方側(より具体的には搬送方向下流側を向いた場合の右側)の側方側から投射材を投射する。第一上流側投射機32Aは、被処理品Wの前半部W1及び後半部W2のうちの一方である後半部W2に対して投射材を投射するように構成され、第二上流側投射機32Bは、被処理品Wの前半部W1及び後半部W2のうちの他方である前半部W1に対して投射材を投射するように構成されている。
第二投射ステーションS3には、第一下流側投射機32Cと第二下流側投射機32Dとが設けられている。第一下流側投射機32Cは、搬送路22に対して搬送幅方向一方側(より具体的には搬送方向下流側を向いた場合の左側)の側方側から投射材を投射し、第二下流側投射機32Dは、搬送路22に対して搬送幅方向他方側(より具体的には搬送方向下流側を向いた場合の右側)の側方側から投射材を投射する。第一下流側投射機32Cは、被処理品Wの前半部W1及び後半部W2のうちの前記他方である前半部W1に対して投射材を投射するように構成され、第二下流側投射機32Dは、被処理品Wの前半部W1及び後半部W2のうちの前記一方である後半部W2に対して投射材を投射するように構成されている。
なお、ブラスト加工室30内には、ノズル保持ロボット31によって移動されるノズル33の位置精度が正しいか否かを検査するために、図9Aに示されるように、下側ガイドレール部52L、53Lの長手方向中間部の両側方側に検査穴110が設けられている。補足説明すると、ノズル保持ロボット31の作動用プログラムとして検査モードが予め組み込まれており、この検査モードが実行された場合、正常であれば、ノズル33が検査穴110に入るように構成されている。言い換えると、検査モードが実行されてノズル33が検査穴110に入らない場合は、ノズル保持ロボット31の動作精度やノズル33に変形がある等何等かの異常があるものと判断できる。このような検査は、週1回や毎日始業時に1回等、定期的に実行されることが好ましい。
(ブラスト加工装置10の運転)
次に、ブラスト加工装置10の運転について概説する。
まず、集塵機46を起動させる。次に、投射材を投射材供給ボックス45へ投入し、循環装置44を起動させる。そして、投射機32A~32Dを起動させる。
次に、吊下げ搬送装置18を移動させてワークセット治具14を搬入ステーションS1へ移動させる。なお、本実施形態では吊下げ搬送装置18は、搬入ステーションS1の手前で一次停止し、搬入ステーションS1にワークセット治具14が存在してないことが確認されると搬入ステーションS1に進入する。
次に、受渡用位置決め機構80を作動させてワークセット治具14のローラ60Lを固定する。そして、搬入ステーションS1では、変位機構96を作動させて当て部材96Bを上昇させることで引っ張りバネ94Cを引き上げる。この状態で受渡ロボットR1がワークセット治具14に被処理品Wをセットし、変位機構96を作動させて当て部材96Bを下降させることで引っ張りバネ94Cを元の状態に戻し、被処理品Wをクランプ機構90でクランプさせる。
次に、搬入側のスライド扉25Aを開ける。また、搬入ステーションS1において受渡用位置決め機構80を作動させてワークセット治具14のローラ60Lの固定を解除し、吊下げ搬送装置18を移動させることでワークセット治具14を第一投射ステーションS2へ移動させる。なお、本実施形態では吊下げ搬送装置18は、キャビネット26の搬入側の手前で一次停止し、第一投射ステーションS2にワークセット治具14が存在してないことが確認されると第一投射ステーションS2に進入して停止する。そして、投射用位置決め機構70を作動させてワークセット治具14のローラ60Lを固定し、搬入側のスライド扉25A及びキャビネット26内のスライド扉25Bを閉める。この状態で第一上流側投射機32A及び第二上流側投射機32Bから投射材が噴射されてブラスト加工が行われる。
第一投射ステーションS2でのブラスト加工が終了したら、第一投射ステーションS2において、投射用位置決め機構70を作動させてワークセット治具14のローラ60Lの固定を解除する。また、吊下げ搬送装置18を移動させて第二投射ステーションS3で停止させることでワークセット治具14を第二投射ステーションS3へ移動させる。そして、投射用位置決め機構70を作動させてワークセット治具14のローラ60Lを固定する。この状態で図3に示される第一下流側投射機32C及び第二下流側投射機32Dから投射材が噴射されてブラスト加工が行われる。
第二投射ステーションS3でのブラスト加工が終了したら、キャビネット26内のスライド扉25Bを開ける。また、第二投射ステーションS3において、投射用位置決め機構70を作動させてワークセット治具14のローラ60Lの固定を解除する。また、吊下げ搬送装置18を移動させてエアブローステーションS4で停止させることでワークセット治具14をエアブローステーションS4へ移動させる。そして、エアブロー用位置決め機構170を作動させてワークセット治具14のローラ60Lを固定する。この状態で吹付装置42がエアブロー室40で吊下げ搬送装置18の下部、ワークセット治具14、及び被処理品Wに対して気体を吹き付け、それらに残留する投射材を落とす。これにより、キャビネット26の外への投射材の持ち出しが抑えられので、作業環境が向上する。
エアブローステーションS4での気体吹き付け処理が終了したら、搬出側のスライド扉25Cを開ける。また、エアブローステーションS4において、エアブロー用位置決め機構170を作動させてワークセット治具14のローラ60Lの固定を解除する。また、吊下げ搬送装置18を移動させることでワークセット治具14を搬出ステーションS5へ移動させる。なお、本実施形態では吊下げ搬送装置18は、キャビネット26と搬出ステーションS5との間でキャビネット26寄りの位置で一次停止し、搬出ステーションS5にワークセット治具14が存在してないことが確認されると搬出ステーションS5に進入して停止する。ワークセット治具14が搬出ステーションS5に到達すると、図3に示される受渡用位置決め機構88を作動させてワークセット治具14のローラ60Lを固定する。
搬出ステーションS5では、まず受渡ロボットR5がワークセット治具14に保持されている被処理品Wを掴み、その状態で図5に示される変位機構98を作動させて引っ張りバネ94Cを引き上げる。次に、受渡ロボットR5がワークセット治具14から被処理品Wを取り出し、その後、変位機構98を作動させることで引っ張りバネ94Cを元の状態に戻す。また、受渡ロボットR5は、被処理品Wを把持したうえで、被処理品Wを投射材回収装置29の上で逆さにして揺すって被処理品Wの隙間に入った投射材を投射材回収装置29に落とし、その後に被処理品Wを搬出する。
(実施形態の作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態では、複数の吊下げ搬送装置18は、被処理品Wがセットされるワークセット治具14を吊った状態で案内経路16に沿って移動し、また、搬入ステーションS1、第一投射ステーションS2、第二投射ステーションS3、エアブローステーションS4及び搬出ステーションS5に停止可能となっている。
搬入ステーションS1では、受渡ロボットR1が、搬入工程の作業として、被処理品Wを搬入する。また、第一投射ステーションS2及び第二投射ステーションS3では、ブラスト加工室30内のノズル保持ロボット31が、投射工程の作業として、ノズル33を保持すると共に投射機32A~32Dのノズル33の先端を被処理品Wに向けて移動させる。これにより、投射機32A~32Dから投射した投射材が被処理品Wの所定位置に当てられる。また、エアブローステーションS4では、エアブロー室40内の吹付装置用ロボット42Rが、エアブロー工程の作業として、ノズル42Aを保持すると共にノズル42Aの先端を被処理品W等に向けて移動させる。これにより、吹付装置42から吹き出した空気が被処理品W等の所定位置に吹き付けられる。さらに、搬出ステーションS5では、受渡ロボットR5は、搬出工程の作業として、被処理品Wを搬出する。
ここで、吊下げ搬送装置18は、自身を特定する識別情報を提供可能となっている。そして、制御装置120は、個々の吊下げ搬送装置18から提供された識別情報と、前記識別情報に対応付けて予め記憶された個々の吊下げ搬送装置18に関する情報と、に基づいて、複数の吊下げ搬送装置18の各々に対して当該各々に応じた制御信号を出力することで、吊下げ搬送装置18の作動を制御する。また、制御装置120は、個々の吊下げ搬送装置18から提供された識別情報と、前記識別情報に対応付けて予め記憶された個々の吊下げ搬送装置18に関する情報と、に基づいて、受渡ロボットR1、R5、ノズル保持ロボット31及び吹付装置用ロボット42Rに対して複数の吊下げ搬送装置18の各々に応じた動作信号を出力することで、受渡ロボットR1、R5、ノズル保持ロボット31及び吹付装置用ロボット42Rの動作を制御する。
以上説明したように、本実施形態のブラスト加工装置10によれば、各吊下げ搬送装置18の個体差に応じてブラスト加工をすることができる。
また、本実施形態では、図4に示される案内経路16とは別に図3に示される搬送路22の一部に沿って第一~第五ガイドレール部51~55が設けられている。そして、吊下げ搬送装置18は、被処理品Wが内側にセットされる枠体12を備えたワークセット治具14を吊っており、ワークセット治具14のローラ60L、60Uは、第一~第五ガイドレール部51~55に案内される。このため、ワークセット治具14の枠体12の内側にセットされた被処理品Wは、より安定的に搬送される。
また、案内経路16は、搬入ステーションS1の搬送方向上流側に装置平面視で湾曲したカーブ経路16Aを備えている。そして、左右対の第一ガイドレール部51は、装置平面視でカーブ経路16Aの終端側に対応して入口部が形成されてワークセット治具14の停止位置(搬入ステーションS1の停止位置)を含む範囲に配置されている。ここで、装置平面視でカーブ経路16Aの始端側近傍に配置されたリミットスイッチLS1(LS1a)によって当該リミットスイッチLS1(LS1a)の配置位置近傍を通る吊下げ搬送装置18が検出されたタイミングで、その吊下げ搬送装置18の移動速度V1aは、ワークセット治具14が遠心力によって振れてもローラ60L、60Uが左右対の第一ガイドレール部51の中に入ることが可能な速度に設定される。このため、搬入ステーションS1の搬送方向上流側にカーブ経路16Aがあっても被処理品Wは安定的に搬送されて停止される。
また、案内経路16は、搬出ステーションS5の搬送方向上流側に装置平面視で湾曲したカーブ経路16Cを備えている。そして、左右対の第五ガイドレール部55は、装置平面視でカーブ経路16Cの終端側に対応して入口部が形成されてワークセット治具14の停止位置(搬出ステーションS5の停止位置)を含む範囲に配置されている。ここで、装置平面視でカーブ経路16Cの始端側近傍に配置されたリミットスイッチLS1(LS1b)によって当該リミットスイッチLS1(LS1b)の配置位置近傍を通る吊下げ搬送装置18が検出されたタイミングで、その吊下げ搬送装置18の移動速度V1bは、ワークセット治具14が遠心力によって振れてもローラ60L、60Uが左右対の第五ガイドレール部55の中に入ることが可能な速度に設定される。このため、搬出ステーションS5の搬送方向上流側にカーブ経路16Cがあっても被処理品Wは安定的に搬送されて停止される。
また、上記実施形態では、吊下げ搬送装置18が停止してかつワークセット治具14が位置決めされるステーションS1~S5の搬送方向上流側にリミットスイッチLS2が配置されている。リミットスイッチLS2によって当該リミットスイッチLS2の配置位置近傍を通る吊下げ搬送装置18が検出されたタイミングで、制御装置によって吊下げ搬送装置18の移動速度が移動速度V2に設定される。この移動速度V2は、前述したリミットスイッチLS1によって当該リミットスイッチLS1の配置位置近傍を通る吊下げ搬送装置18が検出されたタイミングで設定される移動速度V1a、V1bよりも低速である。このため、吊下げ搬送装置18が停止する際に図5に示されるワークセット治具14及びその内側にセットされる被処理品Wを精度良く停止させることができる。
また、上記実施形態では、搬送路22においてワークセット治具14の内側に被処理品Wがセットされていない状態でワークセット治具14が搬送される領域でかつ装置平面視で直線状とされた直線部22Lにおける搬送方向上流側に加速用のリミットスイッチLS3が配置されている。この加速用のリミットスイッチLS3によって当該リミットスイッチLS3の配置位置近傍を通る吊下げ搬送装置18が検出されたタイミングで、制御装置によって吊下げ搬送装置18の移動速度が移動速度V3に設定される。この移動速度V3は、前述したリミットスイッチLS1によって当該リミットスイッチLS1の配置位置近傍を通る吊下げ搬送装置18が検出されたタイミングで設定される移動速度V1a、V1bよりも高速である。このため、サイクルタイムが短縮される。
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例を、図12Bを参照しながら説明する。なお、図中において、一点鎖線CL2は、被処理品Wにおいて装置上下方向における中央位置を示す中央線を示している。また、図中において、符号Waは、被処理品Wにおいて装置上下方向における一方側の半部である第一半部としての上半部の範囲を指し、符号Wbは、被処理品Wにおいて装置上下方向における他方側の半部である第二半部としての下半部の範囲を指している。
この変形例では、第一上流側投射機32Aは、被処理品Wの上半部Wa及び下半部Wbのうちの一方である上半部Waに対して投射材を投射するように構成され、第二上流側投射機32Bは、被処理品Wの上半部Wa及び下半部Wbのうちの他方である下半部Wbに対して投射材を投射するように構成されている。第一下流側投射機32Cは、被処理品Wの上半部Wa及び下半部Wbのうちの前記他方である下半部Wbに対して投射材を投射するように構成され、第二下流側投射機32Dは、被処理品Wの上半部Wa及び下半部Wbのうちの前記一方である上半部Waに対して投射材を投射するように構成されている。
この変形例によっても、サイクルタイムを短縮することができる。なお、他の変形例として、図12Aに示される第一投射ステーションS2での投射範囲と第二投射ステーションS3での投射範囲とが逆に構成されてもよいし、図12Bに示される第一投射ステーションS2での投射範囲と第二投射ステーションS3での投射範囲とが逆に構成されてもよい。
(実施形態の補足説明)
なお、上記実施形態の変形例として、吊下げ搬送装置は、被処理品(W)を直接吊った状態で案内経路に沿って移動及び停止が可能とされてもよい。
また、上記実施形態では、図13Aに示される吊下げ搬送装置18の識別情報提供部18SとリミットスイッチLSa~LSdとの当接によって、吊下げ搬送装置18から制御装置120に、吊下げ搬送装置18を特定する識別情報が提供されているが、例えば、吊下げ搬送装置18の上端部側の部位に、自身を特定する識別情報のコードがレーザマーカー等によって予め付され、その識別情報のコードをコードリーダーが読み取ることで、吊下げ搬送装置18から制御装置120に、吊下げ搬送装置18を特定する識別情報が提供されるような構成も採り得る。
また、本実施形態では、待機のために吊下げ搬送装置18が一時停止するステーションSwa、Swb、Swcが3つ設けられているが、この3つに加えて、例えば、ステーションSwaの搬送方向上流側で第一投射ステーションS2の装置後方側に、待機のために吊下げ搬送装置18が一時停止できるステーションを設けてもよい。
また、上記実施形態のリミットスイッチLS1、LS2、LS3に代えて、例えば赤外線センサ等のような他の検出手段が適用されてもよい。
また、吊下げ搬送装置18の移動速度の制御は、上記実施形態の例が好ましいが、例えば常時低速(一例として移動速度V2と同等の速度)に設定されてもよい。
また、上記実施形態では、ショット処理装置が図3等に示されるエア圧式の投射機32A~32Dを有するブラスト加工装置10とされているが、ショット処理装置は、遠心式投射機を有するショット処理装置であってもよいし、エア圧式の投射機又は遠心式投射機を有するショットピーニング装置であってもよい。また、ショット処理装置は、ブラスト加工及びショットピーニング加工のための装置であってもよい。ショットピーニング加工が行われる投射室は、ショットピーニング加工室である。
また、上記実施形態では、図8に示されるクランプ機構90が弾性機構としての引っ張りバネ94Cを含んで構成されているが、クランプ機構は、例えば、枠体(12)の内側(上下一対の横材部(12A、12B)の間)にセットされる被処理品(W)を押さえる押さえ用部材を、枠体(12)の内側に(上下一対の横材部(12A、12B)の間に)セットされる被処理品(W)の側に付勢する弾性機構としての圧縮バネ等の他の弾性機構を含んで構成されたものであってもよい。
また、上記実施形態の他の変形例として、クランプ機構は、枠体(12)の内側に(上下一対の横材部(12A、12B)の間に)セットされる被処理品(W)を押さえるための機構としてシリンダ(電動シリンダ又はエアシリンダ)を含んで構成されたものであってもよい。この場合、例えば、図9A~図9Cに示される押さえ機構72を転用したような構成とされてもよい。また、前記変形例においてシリンダとして電動シリンダが適用される場合、その電動シリンダは、例えば、レール20に沿って設けたバスダクト(電力幹線路)21から給電される構成としてもよい。
また、上記実施形態の他の変形例として、図8に示されるクランプ機構90に代えて適用されるクランプ機構は、装置上下方向を軸線方向として配置された押さえ用のボルトを含んで構成されて被処理品(W)を上下一対の横材部(12A、12B)の間において挟持によって固定するようなものとされてもよい。
また、上記実施形態の変形例として、図8に示される枠体12に代えて、図8と同様の方向視でH字形状を横倒ししたような基部材等のような他の基部材が適用されてもよい。H字形状を横倒ししたような基部材について補足説明すると、当該基部材は、互いに対向配置された上下一対の横材部と、前記上下一対の横材部の長手方向(左右方向)中間部同士を繋ぐ縦材部と、を有する構成とされ、前記上下一対の横材部同士の間に被処理品がセットされることになる。
また、上記実施形態では、クランプ機構90の押さえ部94による押さえを解除するために図5及び図11に示される変位機構96、98が設けられており、このような構成が好ましいが、上記実施形態の変形例として、変位機構96、98を設けない構成も採り得る。この場合は、例えば、手動等でクランプ機構90の押さえ部94による押さえを解除することになる。
また、上記実施形態では、ワークセット治具14は、図3等に示されるレール状の案内部としての第一~第五ガイドレール部51~55に案内される被案内部としてローラ60L、60Uを有するが、上記実施形態の変形例として、ワークセット治具は、レール状の案内部に案内される被案内部として例えば案内部に摺動案内されるスライダ等のようなローラ以外の被案内部を有するような構成も採り得る。
また、上記実施形態の変形例として、位置決め機構は、例えば、ワークセット治具に別途設けられて被案内部とは別に設定された位置決め停止用の係合凹部と、前記係合凹部に係合可能であって前記係合凹部に係合する係合位置と前記係合凹部から離れた非係合位置との間で移動可能な係合凸部と、前記係合凸部を前記係合位置と前記非係合位置との間で移動させる駆動部と、を含んで構成され、前記駆動部が作動することで、ワークセット治具をブラスト加工室内の停止位置に位置決めするように、前記係合凸部が前記係合凹部に係合するような機構であってもよい。
また、上記実施形態では、レール状の案内部としての第一~第五ガイドレール部51~55が搬送路22の一部に沿って設けられており、作業スペースを確保する観点からは、このような構成が好ましいが、レール状の案内部は、搬送路22の全長に沿って設けられるような構成も採り得る。
また、上記実施形態では、ブラスト加工室30内に設けられる押さえ機構72がシリンダ73、棒状部材74、カバー76A、76B、76C、76D、軸部材77及び押さえ部材78を備えており、このような構成が好ましいが、上記実施形態の変形例として、ブラスト加工室(30)内に設けられる押さえ機構は、例えば、図10A及び図10Bに示される押さえ用機構82を転用したような構成とすることも可能である。
また、上記実施形態では、搬入ステーションS1及び搬出ステーションS5の停止位置に位置決めする受渡用位置決め機構80、88が設けられており、このような構成が好ましいが、受渡用位置決め機構80、88が設けられない構成も採り得る。また、上記実施形態では、搬入ステーションS1及び搬出ステーションS5に受渡ロボットR1、R5が設けられており、このような構成が好ましいが、受渡ロボットR1、R5が設けられない構成も採り得る。
また、上記実施形態では、投射ステーションとして、第一投射ステーションS2及び第二投射ステーションS3の2ステーションが設けられており、このような構成が好ましいが、投射ステーションは1ステーションでもよい。
また、本実施形態の変形例として、搬入ステーションS1と搬出ステーションS5とが兼用された受渡ステーションとしての搬入出ステーションとされてもよい。
また、上記実施形態では、吹付装置42のノズル42Aは吹付装置用ロボット42Rの先端部に保持されているが、変形例として吹付装置のノズルが固定されたような構成も採り得る。
なお、上記実施形態及び上述の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
2018年3月26日に出願された日本国特許出願2018-058023号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。