JP2010082727A - ショット処理装置およびショット処理用治具 - Google Patents

Abstract

【課題】本発明は、筒状部を有する被処理製品に打痕を生成することなくショット処理品質を向上させ、コンパクトなショット処理装置およびその装置に用いられるショット処理用治具を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のショット処理装置は、１個ないし複数個の被処理製品の筒状部を貫通して保持できるシャフトを備えたショット処理用治具と、該ショット処理用治具を回転保持する治具回転保持手段と、前記ショット処理用治具および治具回転保持手段が密閉される構造を有する投射室本体と、投射室本体に設置され被処理製品の方向に向けて投射材を投射する投射装置と、前記投射装置にて投射された投射材を回収し繰り返し投射装置に供給する投射材循環手段とを備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明はハンガー式ショット処理装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、自動車や工作機械に用いられる筒状部を有する被処理製品であるコイルばねに金属製鋼球を打ち付けてコイルばねに付着した酸化スケールなど異物の除去を行なうブラスト処理や、コイルばねの強度向上のためのピーニング加工を目的としたショット処理装置およびその装置に用いられるショット処理用治具に関する。

従来より、筒状部を有する被処理製品であるコイルばねに付着した酸化スケールなど異物の除去や、コイルばねの強度向上のためのピーニング加工を目的としてショット処理がなされており、その方式としては、ドラムの中に複数のコイルばねを投入し、ドラムの回転によりコイルばねを撹拌させながら投射材を打ち付けるタンブリング式のショット処理装置や、コイルばねを１個ずつ搬送するベルトコンベアと回転させるローラを組み合わせたコンベア式のショット処理装置（特許文献１参照)などがある。

特許２５１２２７８号公報

しかしながら、これらの装置において、タンブリング式の場合は複数のコイルばねを撹拌することによって、コイルばね同士が衝突しコイルばねの表面に衝突による打痕が発生してしまい、処理後の見栄えも悪く、最悪の場合は製品として使用中にその打痕が破壊起点となり破断してしまう場合もある。
また、コンベア式の場合、１個処理ができるためコイルばね同士の打痕は回避できるものの、コイルばねが搬送方向に直線的な配列となりショット処理装置は長大になってしまう。

そこで本発明は、叙上の事情に鑑み、筒状部を有する被処理製品であるコイルばねに打痕を生成することなくショット処理品質を向上させ、コンパクトなショット処理装置およびその装置に用いられるショット処理用治具を提供することを目的とする。

本発明のショット処理装置は、１個ないし複数個の被処理製品の筒状部を貫通して保持できるシャフトを備えたショット処理用治具と、該ショット処理用治具を回転保持する治具回転保持手段と、前記ショット処理用治具および治具回転保持手段が密閉される構造を有する投射室本体と、投射室本体に設置され被処理製品の方向に向けて投射材を投射する投射装置と、前記投射装置にて投射された投射材を回収し繰り返し投射装置に供給する投射材循環手段とを備えたことを特徴としている。
また、ショット処理用治具は、被処理製品の筒状部の内径より細く、１個ないし複数個の被処理製品の筒状部を貫通して保持できる軸および該軸の一端に設けたストッパとを備えたシャフトと、該シャフトを複数個着脱可能に構成したケージと、該ケージを吊るすハンガーとを備えたことを特徴としている。

本発明によれば、ショット処理用治具に筒状部を有する被処理製品である複数のコイルばねをセットでき、処理中の被処理製品同士の打痕がなく、被処理製品が整然と配列されているため安定した処理品質を向上させ、大量の被処理製品をコンパクトな装置容積で処理することができる。

以下、添付図面に基づいて本発明のショット処理装置を説明する。本発明のショット処理装置は、自動車や工作機械などで使用されるコイルばねを被処理製品Ｗとし、該被処理製品Ｗのスケール落しに使用されるショットブラスト装置または被処理製品Ｗのピーニング加工に使用されるショットピーニング装置として適用することができる。

本実施の形態にかかわるショット処理装置は、図１に示されるように、１個ないし複数個の被処理製品Ｗを保持できるショット処理用治具１と、該ショット処理用治具１を収容し投射材Ｓや粉じんを外部に洩らさないよう密閉された箱形状で内面は耐摩耗のライナを付設された投射室本体２と、ショット処理用治具１を回転保持させるため投射室本体２へ付設された治具回転保持手段３と、投射室本体２へ被処理製品Ｗを搬入出でき投射室本体２側面に設置される搬入出扉６と、投射材Ｓを被処理製品Ｗに向けて加速投射させ投射室本体２に設置される投射装置７と、前記投射装置７にて投射された投射材Ｓを回収し繰り返し投射装置７に供給する投射材循環手段８とを備えている。

前記治具回転保持手段３は、前記投射室本体２の上面に配置され、前記ショット処理用治具１を吊設するフック４と該フック４を軸先端に設けた減速機付きモータ５とを備えている。

前記投射材循環手段８は投射により投射室本体２中に貯留した投射材Ｓを回収するホッパ９と、回収された投射材Ｓを一時的に貯留する投射材貯留ホッパ１０へ輸送するバケットエレベータ１１と、投射材貯留ホッパ１０から投射装置７に投射材Ｓを供給する投射材供給パイプ１２とを備えている。

ショット処理用治具１は、図２に示されるように、被処理製品Ｗの筒状部の内径より細く、１個ないし複数個の被処理製品Ｗの筒状部を貫通して保持することができる軸２２および該軸２２の一端に設けたストッパ２３とを備えたシャフト２１と、被処理製品Ｗが貫通して保持された該シャフト２１を複数個着脱可能に構成したケージ２４と、該ケージ２４を該フック４に吊るすハンガー２５とを備えている。

前記ストッパ２３は被処理製品Ｗの外径と同等またはそれより大きな円形状または複数の突起をもつ星形状の板材であり、該被処理製品Ｗのシャフト２１からの脱落を防止するものである。

前記ケージ２４は、図２に示されるように、被処理製品Ｗが貫通して保持されたシャフト２１を設置するためにシャフト２１の両端に配された円形または多角形の上部板２６と、下部板２７と、該上部・下部板２６、２７を接続する複数の連結材２８とを備えている。
また、該上部板２６は、該シャフト２１の一端を引っ掛けて保持するための溝が円周上に切られている。さらに、該下部板２７には、該ストッパ２３を貫通して突出した該軸２２を通すための穴が円周上に開けられている。

次に、被処理製品Ｗの前記ショット処理用治具１へのセット方法は、図３に示されるように、まずショット処理装置の外でシャフト２１へ被処理製品Ｗを貫通して保持し、被処理製品Ｗが保持されたシャフト２１を投射室本体２内に配設されるケージ２４に取り付ける。次に、固定用ブラケット２９をボルト３０もしくはナット３０等により被処理製品Ｗが貫通して保持されたシャフト２１の固定が完了する。

なお、ショット処理中に処理前の被処理製品Ｗを予備のシャフト２１へ貫通して保持する工程を平行して行なえば処理工程を効率的に活用でき、シャフト２１が処理によって摩耗した場合も簡単に交換できるなどの効果がある。
さらに、予備のショット処理用治具１を用意して、ショット処理用治具１へのシャフト２１の固定までショット処理中に完了すれば、ショット処理装置内のショット処理後のショット処理用治具１と交換・取り付けするだけで、即時にショット処理を実施できる。

ここでショット処理装置各部の機構を投射材Ｓの流れに従って説明する。
投射装置７によって投射された投射材Ｓは、ショット処理用治具１に設置され回転する被処理製品Ｗを処理し、投射室本体２の下部に設置されたホッパ９に集められたのち、投射室本体２と接続されたバケットエレベータ１１により装置上部に輸送される。装置上部に輸送された投射材Ｓは投射材貯留ホッパ１０に一時的に貯留される。その後、投射材貯留ホッパ１０に貯留された投射材Ｓは、投射材供給パイプ１２の途中に設置された供給弁３１の開閉により投射材供給パイプ１２を通じ、再び投射装置７に送られ、加速、投射される。

なお、本実施の形態では、投射装置７は回転するブレードによって投射材Ｓを遠心加速させる遠心式投射装置を用いたが、圧縮空気とともに投射材Ｓを圧送しノズルから噴射するエアノズル式の投射装置を用いることもできる。

また、本実施の形態では、投射材循環手段８にバケットエレベータ１１を用いたが、投射材Ｓを輸送することができれば、このほかにスクリュコンベア、ベルトコンベアなどの機構としても良い。

つぎに本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。被処理製品Ｗは外径φ５．２ｍｍ、内径φ４ｍｍ、長さ１５ｍｍのＳＵＰ材のコイルばねであり、ばね成型後の熱処理工程により発生する酸化スケールを除去するために本発明のショット処理装置を使用する。

ここでショット処理用治具１のシャフト２１の軸２２の径はφ１．６ｍｍで、有効長さ５００ｍｍとし、コイルばねを２６個積み重ねることができるものとした。シャフト２１はケージ２４に２４本セットでき、φ３００ｍｍの位置に円形に配置するものとした。ショット処理用治具１は、減速機付きモータ５により２８ｒｐｍで回転させた。
ここで、投射材Ｓの粒度はφ０．３ｍｍとし、投射装置７は遠心式投射装置を２台使用し、各投射装置あたり、１２０ｋｇ／ｍｉｎの投射量とした。これらの条件で８０秒の投射で完全に酸化スケールを除去することができた。

これまでの説明から明らかなように、本実施の形態は、ショット処理用治具１に複数の非処理製品Ｗをセットでき、処理中の非処理製品Ｗ同士の打痕がなく、非処理製品Ｗが整然と配列されているため安定した処理品質を向上させ、大量の非処理製品Ｗをコンパクトな装置容積で処理することができる。

さらに、図４に示されるようなショット処理装置において、ショット処理用治具１を複数個備え、投射室本体２内の非処理製品Ｗに投射材Ｓを投射して処理を行う投射空間４１と、作業者側に開放され非処理製品Ｗの搬入出を行なう被処理製品搬入出空間４２の２つの領域に分けてショット処理用治具１をそれぞれの空間に配置することによりショット処理と非処理製品Ｗの搬入出を同時に行うことができ、工程の効率化を図ることができる。

前記ショット処理装置には、公転駆動装置４３によって回転自在で複数のショット処理用治具１を配置することができる公転天井板４４が付設されており、公転天井板４４の回転によりショット処理用治具１は、投射空間４１または被処理製品搬入出空間４２へと順次位置され、投射空間４１に位置するショット処理用治具１は、自転回転処理部４５に接続された駆動プーリ４６およびショット処理用治具１上部に設置された従動プーリ４７の連結によって、ショット処理中は回転することが可能となる。

ショット処理用治具に複数の被処理製品をセットでき、処理中の被処理製品同士の打痕がなく、被処理製品が整然と配列されているため安定した処理品質を向上させ、大量の被処理製品をコンパクトな装置容積で処理することが可能であるため、本実施例のコイルばね以外でもスペーサやブッシュなどの筒状の機械部品のショット処理に使用できる。

本発明の一実施の形態にかかわるショット処理装置の概略構成図である。 本発明のショット処理用治具の詳細図である。 本発明のショット処理用治具における非処理製品の取り付け説明図である。 本発明の別の実施の形態にかかわるショット処理装置の概略構成図である。

符号の説明

Ｗ 被処理製品
Ｓ 投射材
１ ショット処理用治具
２ 投射室本体
３ 治具回転保持手段
７ 投射装置
８ 投射材循環手段
２１ シャフト
２２ 軸
２３ ストッパ
２４ ケージ
２６ 上部板
２７ 下部板
２９ 固定用ブラケット
４１ 投射空間
４２ 被処理製品搬入出空間
４３ 公転駆動装置
４４ 公転天井板
４５ 自転回転処理部

Claims (2)

1. 筒状部を有する被処理製品のショット処理装置であって、
   １個ないし複数個の被処理製品の筒状部を貫通して保持できるシャフトを備えたショット処理用治具と、
   該ショット処理用治具を回転保持する治具回転保持手段と、
   前記ショット処理用治具および治具回転保持手段が密閉される構造を有する投射室本体と、
   投射室本体に設置され被処理製品の方向に向けて投射材を投射する投射装置と、
   前記投射装置にて投射された投射材を回収し繰り返し投射装置に供給する投射材循環手段とを備えたショット処理装置。
2. 筒状部を有する被処理製品のショット処理用治具であって、
   被処理製品の筒状部の内径より細く、１個ないし複数個の被処理製品の筒状部を貫通して保持できる軸および該軸の一端に設けたストッパとを備えたシャフトと、
   該シャフトを複数個着脱可能に構成したケージと、
   該ケージを吊るすハンガーとを備えたショット処理用治具。