JP7140275B2 - チタン板、チタン圧延コイル及び銅箔製造ドラム - Google Patents
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Description
本願は、2019年4月17日に、日本に出願された特願2019-78826号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
(1)本発明の第1の態様は、質量%で、
N :0.10%以下、
C :0.08%以下、
H :0.015%以下、
Fe:0%以上0.50%以下、
O :0%以上0.40%以下、及び、
Cu:0%以上1.50%以下、を含み、
残部Ti及び不純物である化学組成を有し、
平均結晶粒径が40μm以下であり、
結晶粒径(μm)の対数に基づく粒度分布の標準偏差が0.80以下であり、及び、
結晶方位をBungeの表記方法によるオイラー角で表した場合に、集積度が最大となる方位を中心に方位差が15°以内の結晶方位を有する結晶粒の面積率が20%以上である、チタン板である。
(2)上記(1)に記載のチタン板は、前記集積度が最大となる方位が、Bungeの表記方法によるオイラー角で表した場合に、Φが10°以上35°以下かつφ1が0°以上15°以下であってもよい。
(3)上記(1)又は上記(2)に記載のチタン板は、質量%で、Cu:0.10%以上1.50%以下を含んでもよい。
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載のチタン板は、銅箔製造ドラム用チタン板であってもよい。
N :0.10%以下、
C :0.08%以下、
H :0.015%以下、
Fe:0%以上0.50%以下、
O :0%以上0.40%以下、及び、
Cu:0%以上1.50%以下、を含み、
残部Ti及び不純物である化学組成を有し、
平均結晶粒径が40μm以下であり、
結晶粒径(μm)の対数に基づく粒度分布の標準偏差が0.80以下であり、及び、
結晶方位をBungeの表記方法によるオイラー角で表した場合に、集積度が最大となる方位を中心に方位差が15°以内の結晶方位を有する結晶粒の面積率が20%以上である、チタン圧延コイルである。
(6)上記(5)に記載のチタン圧延コイルは、長手方向の長さが20m以上であってもよい。
前記チタン板の突き合わせ部に配された溶接部と、を有する、銅箔製造ドラムである。
<1.チタン板>
まず、本実施形態に係るチタン板について説明する。本実施形態に係るチタン板は、銅箔製造用のドラムの材料として利用され、チタン板の一方の面は、製造されるドラムの円筒表面を構成する。したがって、本実施形態に係るチタン板は、銅箔製造ドラム用チタン板であるともいえる。
まず、本実施形態に係るチタン板の金属組織について説明する。本実施形態に係るチタン板の金属組織は、平均結晶粒径が40μm以下であり、結晶粒径(μm)の対数に基づく粒度分布の標準偏差が0.80以下であり、及び、Bungeの表記方法によるオイラー角で表した場合に、集積度が最大となる方位(最大集積方位)を中心に方位差が15°以内の結晶方位を有する結晶粒の面積率が20%以上である。以下、本実施形態に係るチタン板の金属組織について、順を追って詳細に説明する。
まず、本実施形態に係るチタン板の金属組織に含まれる結晶粒の平均粒径及び粒度分布について説明する。
チタン板の金属組織の結晶粒の粒径(結晶粒径)が粗大であると、その結晶粒そのものが模様となり、銅箔に模様が転写されるため、結晶粒径は微細な方が良い。このため、チタン板の金属組織の結晶粒の平均結晶粒径は、40μm以下とする。平均結晶粒径を40μm以下とすることで、結晶粒が十分に微細となり、マクロ模様の発生が抑制される。チタン板の金属組織の結晶粒の平均結晶粒径は、好ましくは38μm以下、より好ましくは35μm以下である。
次に、チタン板の集合組織について説明する。チタンの結晶構造は、α相を含み、α相は、六方最密充填構造(hexagonal close-packed、hcp)をとる。hcp構造は、結晶方位による物性の異方性が大きい。具体的には、(0001)面の法線方向であるc軸方向に平行な方向では強度が高く、c軸方向と垂直な方向に近づくほど強度が低い。このため、チタン板が上述したような結晶粒の粒度分布を満足しても、結晶方位の異なる結晶の集合体が発生すると、両集合体間での加工性が異なり、銅箔製造用ドラム製造時において、研磨時の加工量に差が発生する。この結果、得られるドラムにおいて結晶粒に近いサイズでの模様として認識されてしまう。したがって、本発明者らは、チタン板の集合組織をできる限り集積させることにより、上記の模様の発生を抑制できることを知見した。
本実施形態に係るチタン板の金属組織は、主としてα相を含むことが好ましい。β相は、α相よりも優先して腐食する。このため、均一な腐食を達成し、マクロ模様の発生を抑制する観点からは、β相は少ないほうが好ましい。一方で、β相が少量存在する場合、熱処理時の結晶粒成長を抑制できるため、均一かつ微細な結晶粒径を得ることができる。また、チタン板がCuを含有する場合、生成するTi2Cuは粒成長を抑制できるが、析出し過ぎると研磨性が変化する恐れがある。このような観点から、チタン板の金属組織は、β相、Ti2Cuの体積率は、それぞれ、2.0%以下であることが望ましい。この場合において、チタン板の金属組織の残部はα相である。β相、Ti2Cuの各体積率は、好ましくは1.0%以下であり、さらに好ましくは、チタン板の金属組織はα単相である。また、本実施形態に係るチタン板の金属組織におけるα相の体積率は、好ましくは98.0%以上、より好ましくは99.0%以上、さらに好ましくは100%である。すなわち、実質的にα相単相である。このような実質的なα相単相の金属組織は、上述したようなチタン板の化学組成により達成することができる。
続いて、本実施形態に係るチタン板の化学組成について説明する。質量%で、N :0.10%以下、C :0.08%以下、H :0.015%以下、Fe:0%以上0.50%以下、O :0%以上0.40%以下、及び、Cu:0%以上1.50%以下、を含み、残部がTi及び不純物を含む。本実施形態に係るチタン板は、例えば、工業用純チタン、又は、前記工業用純チタン中のTiの一部に代え、0.1質量%以上1.5質量%以下のCuを含むチタン合金により構成されることが好ましい。
以下、具体的に説明する。なお、以下では特に断りのない限り、「%」との表記は「質量%」を表わすものとする。
質量%で、
N :0.100%以下、
C :0.08%以下、
H :0.015%以下、
Fe:0.50%以下、及び
O :0.40%以下を含み、
残部がTi及び不純物を含む化学組成を有することができる。
質量%で、
N :0.100%以下、
C :0.08%以下、
H :0.015%以下、
Fe:0%以上0.50%以下、
O :0%以上0.40%以下、及び
Cu:0%以上1.50%以下を含み、
残部がTi及び不純物を含む化学組成を有することができる。
上述した元素のうち、Nは、チタン板に多量に含有されると、チタン板の延性又は加工性を低下させる場合がある。よって、N含有量は、0.100%以下である。なお、Nは、不可避的に混入する不純物であり、実質的な含有量は、通常、0.0001%以上である。
上述した元素のうち、Cは、チタン板に多量に含有されると、チタン板の延性又は加工性を低下させる場合がある。よって、C含有量は、0.08%以下である。なお、Cは、不可避的に混入する不純物であり、実質的な含有量は、通常、0.0001%以上である。
上述した元素のうち、Hは、チタン板に多量に含有されると、水素化物を生成してチタン板の衝撃特性が劣化し、加工性を低下させる場合がある。よって、H含有量は、0.015%以下である。なお、H含有量は少ない方が良いが、Hは不可避的に混入する不純物であるため、実質的な含有量は、通常、0.0001%以上である。
上述した元素のうち、Oは、チタン板のα相の強度の向上とともに、加工中の双晶変形の発生の抑制に寄与する。チタン板のα相の強度が向上することにより、チタン板の表面硬度が増大する。これにより、ドラム製造過程における研磨時に、表面が平滑になりやすい。また、双晶が抑制されることで、結晶方位分布のばらつきが抑制され、均一な研磨が可能となる。上記効果を得るためには、Oの含有量は、0.02%以上であることが好ましい。Oの含有量は、より好ましくは、0.03%以上である。
Feは、β相を安定化する元素である。チタン板においてはβ相の析出量が多くなるとマクロ模様の生成に影響を及ぼすことがあるため、Feの含有量は、0.50%以下とする。Feの含有量は、好ましくは0.10%以下、より好ましくは0.08%以下である。
なお、Fe含有量は少ない方が良いが、Feが少量含有することでβ相をわずかに析出させ、β相のピン止め効果により粒成長が抑制される。また、FeはTi中に固溶した状態でもソリュートドラッグ効果により粒成長を抑制する。なお、Feは不可避的に混入する不純物でもあるため、実質的な含有量は、通常、0.0001%以上である。Fe含有量は、例えば、0.001%以上であってもよいし、0.01%以上であってもよい。また、β相のピン止め効果やソリュートドラッグ効果による粒成長抑制効果を得るために、Fe含有量は、0.02%以上であってもよい。
Cuは、β相を安定化させるとともに、α相にも固溶し、α相を強化する。そして、Cuは、α相中への固溶限が大きいため、含有させてもβ相やTi2Cuを生成し難い。一方、Cuを1.50%超含有させると、Ti2Cuが過度に析出し表面性状を劣化(マクロ模様形成)させることから、Cuの含有量を1.5%以下とする。Cuの含有量は、好ましくは1,30%以下、より好ましくは1.20%以下である。また、Cuは比較的固溶強化能が高いため、チタン板の後述する表面硬度を高くすることができ、研磨性を高めることが期待できる。さらに、Ti2Cuは結晶粒成長を抑制するため、研磨性に影響しない程度でTi2Cuを析出させると、チタン板において均一かつ微細な結晶粒径が得られやすくなる。このような効果を得るために、チタン板は、好ましくは、0.10%以上、より好ましくは0.20%以上、さらに好ましくは0.40%以上のCuを含有してもよい。
以上、本実施形態に係るチタン板の化学組成について説明した。
本実施形態に係るチタン板の長さは、特に限定されず、製造されるドラムの用途、仕様等に合わせて適宜設定することができる。本実施形態に係るチタン板は、後述するように、クロス圧延を行うことなく、一方向圧延で製造されるため、長尺のチタン板を製造することができる。よって、本実施形態に係るチタン板の長さは、例えば、20m以上、200m以下とすることができる。さらに、より長尺のチタン圧延コイルとすることができる。このチタン圧延コイルの長さは、本実施形態に係るチタン板と同様、特に限定されず、製造されるドラムの用途、仕様等に合わせて適宜設定することができ、例えば、20m以上、400m以下とすることができる。
本実施形態に係るチタン板の厚さは、特に限定されず、製造されるドラムの用途、仕様等に合わせて適宜設定することができる。本実施形態に係るチタン板の板厚は、例えば、4.0mm以上15.0mm以下であり、6.0mm以上10.0mm以下としてもよい。銅箔製造ドラムの材料として用いられる場合、銅箔製造ドラムの使用に伴い、板厚が減少するため、チタン板の厚さの下限は、4.0mm以上とすることが好ましく、6.0mm以上であってもよいし、7.0mm以上であってもよい。また、本実施形態に係るチタン板の厚さの上限は、特に限定されないが、例えば、15.0mm以下であり、12.0mm以下であってもよいし、10.0mm以下であってもよいし、9.0mm以下であってもよい。
本実施形態に係る銅箔製造ドラムは、公知の方法で製造でき、例えば、本実施形態に係るチタン板をインナードラムの外側面に張設し、円筒状に加工したチタン板の突き合わされた2つの端部を公知の溶接棒で溶接して製造される。溶接部とは、溶接棒の凝固組織をいう。
本実施形態に係る銅箔製造ドラムのサイズは特段制限されないが、例えば、その直径を2~5mとすることができる。
このような銅箔製造ドラムは、マクロ模様の発生が抑制されており、高品質の銅箔を製造することができる。
なお、本実施形態に係るチタン圧延コイルを用いて銅箔製造ドラムを製造する場合、チタン圧延コイルを巻き戻し、製造する銅箔製造ドラムの大きさに応じて、チタン圧延コイルを切断しても当然構わない。チタン圧延コイルから切り出されたチタン板も本発明に係るチタン板に含まれる。したがって、本発明に係るチタン板は、上述したチタン板と、チタン圧延コイルから切り出されたチタン板と、を含む。
詳細な製造方法は後述するが、チタン圧延コイルから切り出されたチタン板の場合、例えば、サイズ160~250mm厚×1000~1500mm幅×40000~8000mm長のチタンスラブを連続圧延する。当該チタンスラブを熱間圧延して厚さ10mm、64~200m長の熱延板とし、コイル状に巻き取る。コイル状のチタン材(チタン圧延コイル)から、3~16m長さに切り出してチタン板とすることができる。
本実施形態に係るチタン板の製造方法では、一方向に圧延してチタン板を製造するチタン板の製造方法であって、圧延前の加熱温度が300℃以上600℃以下であり、圧下率が75%以上であり、最終圧延後のチタン素材の板厚の1.5倍の厚さから最終圧延後の板厚までのひずみ速度が0.05/s以上10.0/s以下であり、最終圧延後のチタン素材の表面温度が250℃以上500℃以下である圧延工程を行う。圧延工程後、チタン板を、600℃以上850℃以下の温度で1分以上480分以下の時間、熱処理(焼鈍)する。以下、本実施形態に係るチタン板の製造方法を詳細に説明する。
まず、チタン板の素材(チタン素材)を準備する。チタン素材としては、上述した化学組成のものを用いることができ、公知の方法により製造されたものを用いることができる。例えば、チタン素材は、スポンジチタンから真空アーク溶解法や電子ビーム溶解法又はプラズマ溶解法等のハース溶解法等の各種溶解法によりインゴットを作製する。次に、得られたインゴットをα相高温域やβ単相域の温度で熱間鍛造することにより、チタン素材を得ることができる。なお、チタン素材には、必要に応じて洗浄処理、切削等の前処理が施されていてもよい。また、ハース溶解法で熱延可能な矩形のスラブ形状を製造した場合は、熱間鍛造などを行わず直接圧延に供しても良い。
本工程では、加熱されたチタン板の素材を一方向に圧延(熱間圧延)する。本工程において、圧延前の加熱温度が300℃以上600℃以下であり、圧下率が75%以上であり、最終圧延後のチタン素材の板厚の1.5倍の厚さから最終圧延後の板厚までのひずみ速度が0.05/s以上10.0/s以下であり、最終圧延後のチタン素材の表面温度が250℃以上500℃以下である。
本工程では、600℃以上850℃以下の温度で1分以上480分以下の時間、圧延工程後のチタン素材を保持する熱処理(焼鈍)を行う。これにより、未再結晶粒を再結晶させ、かつ粒成長を抑制することができる。これにより、得られるチタン板の金属組織中の結晶粒を均一かつ細粒にすることができる。この結果、マクロ模様の発生をより確実に抑制できる。
後処理としては、酸洗や切削による酸化物スケール等の除去や、洗浄処理等が挙げられ、必要に応じて適宜適用することができる。あるいは、後処理として、チタン板の矯正加工を行ってもよい。但し、双晶が生成することから、冷間圧延は行わないことが好ましい。
まず、真空アーク溶解法により作製したインゴットを熱間鍛造することにより、表1の化学組成を有するチタンの素材A~Hを得た。なお、表1中、「Bal.」は残部を表す。
本実施例における各発明例及び比較例に係るチタン板について、以下の項目について分析及び評価を行った。
各発明例及び比較例に係るチタン板の金属組織の結晶の平均結晶粒径及び粒度分布の標準偏差は、以下のようにして測定、算出した。チタン板を切断した断面を化学研磨し、EBSDを用いて、チタン板圧延面下部及び板厚中央部のそれぞれについて、(1/4×板厚)mm×2mmの領域をステップ1~2μmで2~10視野程度測定した。その後、結晶粒径についてはEBSDにより測定された5°以上の方位差境界を結晶粒界とし、この結晶粒界で囲まれた範囲を結晶粒とし、結晶粒面積より円相当粒径(面積A=π×(粒径D/2)2)を求め、この個数基準の平均値を平均結晶粒径とし、さらに、結晶粒径分布より対数正規分布(各結晶粒の円相当粒径Dを自然対数LnDに変換した変換値の分布)における標準偏差σを算出した。
また、未再結晶粒の有無を、以下の方法で確認した。すなわち、アスペクト比が5.0以上である結晶粒を未再結晶粒とし、その有無を確認した。具体的には、チタン板を切断した断面を化学研磨し、電子線後方散乱回折法を用いて、チタン板圧延面下部及び板厚中央部のそれぞれについて、(1/4×板厚)mm×2mmの領域をステップ1~2μmで2~10視野程度測定した。その後、EBSDにより測定された5°以上の方位差境界を結晶粒界とし、この結晶粒界で囲まれた範囲を結晶粒とし、結晶粒の長軸および短軸を求め、長軸を短軸で除した値(長軸/短軸)をアスペクト比とし算出した。なお、長軸とは、α相の粒界上の任意の2点を結ぶ線分のうちで、長さが最大になるものをいい、短軸とは、長軸に直交し、かつ粒界上の任意の2点を結ぶ線分のうちで、長さが最大になるものをいう。
各発明例及び比較例に係るチタン板の集積度が最大となる方位、及び集積度が最大となる方位を中心に方位差が15°以内の結晶方位を有する結晶粒の面積率は、以下のようにして測定、算出した。チタン板を切断した断面を化学研磨し、EBSDを用いて結晶方位解析を行う。チタン板表面下部及び板厚中央部のそれぞれについて、(1/4×板厚)mm×2mmの領域をステップ1~5μmで2~10視野程度測定した。そのデータについて、TSLソリューションズ製のOIM Analysisソフトウェアを用いてODFを算出し、このODFから、集積度のピーク位置及び面積率を算出した。ODFは、後方散乱電子線回折(EBSD)法の球面調和関数法を用いたTexture解析を用いて算出した(展開指数=16、ガウス半値幅=5°)。その際に、圧延変形の対称性を考慮し、板厚方向、圧延方向、板幅方向それぞれに対して線対称となるように、計算を行った。なお、表2に示す「最大方位」は、集積度が最大となる方位であり、「Φ」及び「φ1」は、Bungeの表記方法に基づく角度である。
マクロ模様については、5~10枚程度の50×100mmサイズの各発明例及び比較例に係るチタン板の表面を#800のエメリー紙により研磨し、硝酸10質量%、ふっ酸5質量%溶液を用い表面を腐食させることで観察した。次いで、3mm以上の長さのスジ状の模様をマクロ模様とし、発生割合に応じて下記のように評価を行った。
B:発生割合が1.0個/枚超10.0個/枚以下(良好、50×100mmの中に1.0個超10.0個以下)
C:発生割合が超10.0個/枚超(不合格、50×100mmの中に10個超)
得られた分析結果・評価結果を表2に示す。なお、表2に示す「面積率」は、集積度が最大となる方位を中心に方位差が15°以内の結晶方位を有する結晶粒の面積率である。また、表2中の「再結晶未完」とは、未再結晶部が確認されたことを示す。
10 電解槽
20 電着ドラム
21 インナードラム
22 チタン板
23 溶接部
24 側板
25 回転軸
30 電極板
40 巻取部
50 ガイドロール
60 巻取ロール
Claims (7)
- 質量%で、
N :0.10%以下、
C :0.08%以下、
H :0.015%以下、
Fe:0%以上0.50%以下、
O :0%以上0.40%以下、及び、
Cu:0%以上1.50%以下、を含み、
残部Ti及び不純物である化学組成を有し、
平均結晶粒径が40μm以下であり、
結晶粒径(μm)の対数に基づく粒度分布の標準偏差が0.80以下であり、及び、
結晶方位をBungeの表記方法によるオイラー角で表した場合に、集積度が最大となる方位を中心に方位差が15°以内の結晶方位を有する結晶粒の面積率が20%以上である、チタン板。 - 前記集積度が最大となる方位が、Bungeの表記方法によるオイラー角で表した場合に、Φが10°以上35°以下かつφ1が0°以上15°以下である、請求項1に記載のチタン板。
- 質量%で、Cu:0.10%以上1.50%以下を含む、請求項1又は2に記載のチタン板。
- 銅箔製造ドラム用チタン板である、請求項1~3のいずれか一項に記載のチタン板。
- 質量%で、
N :0.100%以下、
C :0.08%以下、
H :0.015%以下、
Fe:0%以上0.50%以下、
O :0%以上0.40%以下、及び、
Cu:0%以上1.50%以下、を含み、
残部Ti及び不純物である化学組成を有し、
平均結晶粒径が40μm以下であり、
結晶粒径(μm)の対数に基づく粒度分布の標準偏差が0.80以下であり、及び、
結晶方位をBungeの表記方法によるオイラー角で表した場合に、集積度が最大となる方位を中心に方位差が15°以内の結晶方位を有する結晶粒の面積率が20%以上である、チタン圧延コイル。 - 長手方向の長さが20m以上である、請求項5に記載のチタン圧延コイル。
- 円筒状のインナードラムの外周面に沿って被着された、請求項1~4のいずれか一項に記載のチタン板と、
前記チタン板の突き合わせ部に配された溶接部と、を有する、銅箔製造ドラム。
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