JP2023162898A - β型チタン合金 - Google Patents

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Yoshiki Koike
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知徳 國枝
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Abstract

【課題】曲げ加工性に優れるβ型チタン合金を提供する。【解決手段】組織中にβ相を含有し、β相の結晶方位をオイラー角g={φ1,Φ,φ2}で示した場合、φ1:5°~30°、Φ:0°~60°、φ2:35°~55°の範囲の結晶方位を有する結晶粒の体積率をX1、φ1:0°~90°、Φ:50°~60°、φ2:35°~55°の範囲の結晶方位を有する結晶粒の体積率をX2としたとき、下記(1)式を満足するβ型チタン合金。X1/X2≧0.30 …(1)【選択図】なし

Description

本発明は、加工性に優れるβ型チタン合金に関する。
チタンは、比強度が高いことから軽量化を目的の一つとして使用される。また、チタンは、生体との適合性にも優れる。特に、チタン合金は、高強度を有し、軽量化への更なる寄与が期待される。このため、チタン及びチタン合金は、航空機、二輪・四輪などの輸送機器や、眼鏡などの民生品に使用される。しかし、チタンは、一般的に、室温ではhcp構造のα相であり、その異方性に起因して機械的特性の異方性が大きい。このため、加工が難しく、製造コストを増加させる場合があった。
これに対して、β型チタン合金は、金属組織が室温にてbcc構造のβ相であり、比較的優れた加工性を有する。特にヤング率が80GPa程度と低く、ばね性が求められる部材で多く使用される。代表的なβ型チタン合金として、Ti-15-3(Ti-15V-3Cr-3Sn-3Al)、SSAT-2041CF(Ti-20V-4Al-1Sn)、Ti-13V-11Cr-3Alなどがある。しかし、最近の製品の軽量化、小型化や製品形状の高精度化に際して、β型チタン合金には、更なる加工性の向上、特に曲げ加工性の向上を要望とされることも多い。
特許文献1には、1.0%以下のSiを含むβ型Ti合金またはnearβ型Ti合金を加熱して該Ti合金中のSi化合物が固溶した状態で塑性加工を行ない、β変態点以上の温度域を維持しつつSi化合物を微細析出させることにより再結晶を抑えることを特徴とする加工性に優れた高強度Ti合金の製法が記載されている。また、特許文献2には、質量%で、V:14~25%、Al:2.5~5%、Sn:0.5~4%、Cr:4%以下を含有し、残部はTiおよび不純物からなり、表面に硬質層を有し、表面から深さ10μmでの硬さが板厚中心の硬さの1.2倍以上であり、硬質層の厚さが板厚の2.0~10%/片面であるβ型チタン合金板が記載されている。しかしながら、特許文献1、2は、曲げ加工性について検討されたものではない。
特開平11-343548号公報 特開2016-176115号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、加工性に優れるβ型チタン合金を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
[1] 組織中にβ相を含有し、
β相の結晶方位をオイラー角g={φ,Φ,φ}で示した場合、φ:5°~30°、Φ:0°~60°、φ:35°~55°の範囲の結晶方位を有する結晶粒の体積率をX1、φ:0°~90°、Φ:50°~60°、φ:35°~55°の範囲の結晶方位を有する結晶粒の体積率をX2としたとき、下記(1)式を満足するβ型チタン合金。
X1/X2≧0.30 …(1)
[2] 質量%で、
V:12~25%、
Al:2.0~5.0%、
Sn:0.5~4.0%、
O:0.05~0.20%、
Cr:0~4.0%、
N:0.050%以下、
C:0.080%以下、
H:0.020以下を含有し、
残部:Ti及び不純物からなる化学組成からなる、[1]に記載のβ型チタン合金。
[3] β相の平均結晶粒径が100μm以下である、[1]または[2]に記載のβ型チタン合金。
本発明によれば、従来よりも曲げ加工性に優れるβ型チタン合金を提供できる。
本発明者らは、曲げ加工性に優れたβ型チタン合金を開発すべく、Ti-15-3合金を基本組成とした多数の実験を行い、鋭意検討を行った。その結果、β型チタン合金において、下記(A)に示す集合組織が加工性に大きく影響することを発見した。なお、本明細書中では下記集合組織を{h11}<1/h12>fiberと表記する。
Figure 2023162898000001
以下、本発明の実施形態であるβ型チタン合金について説明する。
本実施形態のβ型チタン合金は、組織中にβ相を含有し、β相の結晶方位をオイラー角g={φ,Φ,φ}で示した場合、φ:5°~30°、Φ:0°~60°、φ:35°~55°の範囲の結晶方位を有する結晶粒の体積率をX1、φ:0°~90°、Φ:50°~60°、φ:35°~55°の範囲の結晶方位を有する結晶粒の体積率をX2としたとき、下記式(1)を満足するβ型チタン合金である。
X1/X2≧0.30 …(1)
また、本実施形態のβ型チタン合金は、β相の平均結晶粒径が100μm以下であることが好ましい。
まず、本実施形態のβ型チタン合金の集合組織について説明する。β型チタン合金を冷間圧延して板状に加工する際、少ない圧延回数で加工した場合の集合組織は、同等の板厚をより多い回数で圧延した場合の集合組織に比べて、φ=20°の組織、{h11}<1/h12>fiberが発達した集合組織を形成する。このような集合組織をもつβ型チタン合金は、r値及びM値が小さいという特徴を有する。一般に曲げ加工性は、r値とM値とが低いほど良好であることから、上記の集合組織は優れた曲げ加工性を示す。なお、r値はランクフォード値であり、M値はTaylor因子である。
本実施形態では、β相の結晶方位をオイラー角g={φ,Φ,φ}で示した場合、{h11}<1/h12>fiberを、φ:5°~30°、Φ:0°~60°、φ:35°~55°の範囲の結晶方位を有する結晶粒の体積率と定義し、この結晶粒の体積率をX1とする。
一方で、β型チタン合金を冷間圧延すると、{h11}<1/h12>fiberではなく、γ-fiberが発達してくる。このγ-fiberの発達は、r値、及びM値を増加させ、曲げ加工性を劣化させる。そこで、本実施形態では、γ-fiberをφ:0°~90°、Φ:50°~60°、φ:35°~55°の範囲の結晶方位を有する結晶粒の体積率と定義し、この結晶粒の体積率X2とする。
そして、上記X1とX2の比であるX1/X2が下記式(1)を満足する場合に、良好な室温での曲げ加工性が得られることを見出したものである。
X1/X2≧0.30 …(1)
X1/X2は、0.35以上が好ましく、0.40以上が更に好ましい。また、曲げ加工性は大きいほど良好であるが、上限値は10.0程度と考える。実績値の上限は8.0であった。
以下、集合組織を表す結晶方位について説明する。集合組織における結晶方位を三次元で表現するため、オイラー角による表記方法を用いる。オイラー角による表記方法(Bungeの表記方法)は、試料座標系(板材の座標系)として、互いに直交する関係にある、RD、TDおよびNDの3本の座標軸を考える。
多結晶体の結晶方位分布はオイラー角(φ、Φ、φ)を用いた関数f(φ、Φ、φ)で表され、この関数のことを結晶方位分布関数(Orientation Distribution Function、ODF)と呼んでいる。
結晶方位分布関数(ODF)は、電子線後方散乱回折(Electron BackScattered Diffraction Pattern:EBSD)法にて求めることができる。検査面に走査電子顕微鏡(SEM)で電子線を走査しながら電子線後方散乱回折(EBSD)法にてEBSDパターンを測定、解析し、コンピュータ上での計算により、板表面に対する角度に変換することにより、各測定点における結晶方位のオイラー角(φ、Φ、φ)を得る。計測した視野内の測定点のデータに基づいて、ODF(f(φ、Φ、φ))を算出することができる。
β相は、β型チタン合金の組織中に均一に分布するので、β型チタン合金の任意の断面において結晶方位分布関数を測定してよい。例えば、β型チタン合金板の板幅1/2位置の板幅方向に垂直な面(以下「L断面」ともいう。)を研磨して測定面とし、この面の全板厚×10mmの視野に、10.0μmピッチ(ステップ10.0μm)で、走査電子顕微鏡(SEM)で電子線を走査しながら電子線後方散乱回折(EBSD)法にてEBSDパターンを測定、解析し、コンピュータ上での計算により、チタンのβ相結晶について、板表面に対する角度に変換することにより、各測定点のオイラー角を得る。
上記の条件で測定したデータについて、TSLソリューションズ製のOIM Analysisソフトウェア(version 8.1.0)を用いて、β相のODFを算出する。ODFの算出には、電子線後方散乱回折(EBSD)法の球面調和関数法を用いたTexture解析を用いる(展開指数=16、ガウス半値幅=5°)。その際に、圧延変形の対称性を考慮し、板厚方向、圧延方向、板幅方向それぞれに対して線対称となるように、計算を行う。
本発明はβ型チタン合金を対象とする。すなわち、前記の電子線後方散乱回折法によるβ相の割合が50面積%超のチタン合金である。β相の割合は、好ましくは70面積%以上、更に好ましくは90%面積以上である。
β型チタン合金は、β相の平均結晶粒径が粗粒になると成形性が向上する。しかしながら、β型チタン合金が薄厚の板材である場合、平均結晶粒径が粗粒になり過ぎると、板厚に対する結晶粒の数が少なくなり、逆に塑性変形能を低下させて曲げ加工性が低下する。平均結晶粒径が100μm以下であれば板厚に対し十分な結晶粒数を確保でき加工性が低下しないことから、β相の平均結晶粒径は100μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは50μm以下である。一方で、β相が細粒になると耐疲労特性などの特性が向上する一方で、高強度となるため、延性が低下する。平均結晶粒径が10μm以上であれば、延性が低下しないことから、10μm以上とすることが好ましい。
β相の結晶粒径は、所定の結晶方位を有する結晶粒の体積率の測定において、同様の条件で測定し、100個以上の結晶粒の粒径の平均値を算出する。結晶粒の粒径は円相当径とする。
本実施形態のβ型チタン合金は、β相を含有するとともに、上述した所定の結晶方位を有する結晶粒の体積率の比であるX1/X2が0.30以上を満たすものであればよく、チタン合金の化学成分を限定する必要はないが、以下に、本実施形態のβ型チタン合金に適用可能な化学組成を例示する。
すなわち、本実施形態のβ型チタン合金は、質量%で、V:12~25%、Al:2.0~5.0%、Sn:0.5~4.0%、O:0.05~0.20%、Cr:0~4.0%、N:0.050%以下、C:0.080%以下、H:0.020以下を含有し、残部:Ti及び不純物からなる化学組成を有するものであってもよい。以下の説明では、「質量%」を「%」と表記する。
[V含有量]
Vはβ相を安定化し、室温にて時効処理前の合金組織をβ相単相にするための重要な元素である。加えて、溶解時に凝固偏析し難いため、比較的多量に含有させやすい。一方、V含有量が少ないと、高温のβ単相域からの水冷などの急冷でも、β相が残留せずにマルテンサイト変態を生じ、室温での加工性を劣化させる場合がある。このためV含有量は12%以上が好ましい。さらに好ましくは13%以上である。一方、V含有量が25%を超える場合は、固溶強化による延性の低下に伴い、合金の冷間加工性が著しく劣化する場合がある。更に、β相の安定度が高くなりすぎてα相が析出しにくくなるため、時効処理に要する時間が長くなり、更に時効処理による強化が十分得られない場合がある。よってV含有量は25%以下がよく、好ましくは23%以下である。より好ましくは22%以下である。
[Al含有量]
β型チタン合金は、最終製品では時効処理による強化が施されるが、その際に十分な強度上昇が得られるために、α相安定化元素のAlを含有することが好ましい。また、Alは、時効処理において脆性なω相析出を抑制しα相の析出を促進させる効果もある。Al含有量2.0%未満では強度上昇及びω相抑制の効果が十分得られない。一方、Al含有量が5.0%を超えると、β相単相の状態で硬くなりすぎてしまい冷間加工性を低下させる。よってAl含有量は2.0~5.0%とする。好ましくは4.0%以下である。
[Sn含有量]
Snは中性元素であるが、上記のAlと同様な作用がある。そのため、Alに代わりSnに置き換えることにより、冷間加工性を損なわずに強化することができる。Sn含有量が0.5%未満では含有量が少ないため、Alに置き換えた効果が小さく強化が乏しくなる。一方、Sn含有量が4.0%を超える場合は、β相単相の状態で硬くなりすぎてしまい冷間加工性を低下させる。よってSn含有量は0.5~4.0%とする。
[Cr含有量]
Crは共析反応型の元素であり、Vよりもβ安定化能が高いため、少量の含有でもβ相を安定化させ冷間加工性を確保する上で有効な元素である。一方で、Crは溶解時に偏析し易い元素であり、Crを多量に含有させるとインゴット内での強度ばらつきが大きくなる。加えて、β相が安定しすぎてα相が析出しにくくなるため、時効処理に要する時間が長くなり、更に時効処理による強化が十分得られない。そのため、Crは4.0%までであれば、上記の問題が発生し難いため、これを上限に含有させてもよい。好ましくは3.5%以下である。Crは含有させなくてもよい。従ってCr含有量の下限は0%以上、好ましくは0%超である。
[O含有量]
Oは、固溶強化能が高い元素である。O含有量が0.05%未満では強度が不十分である。従ってO含有量は0.05%以上である。好ましくは0.06%以上である。一方、O含有量が0.20%を超えると、強度が高くなりすぎて成形加工性を著しく低下させてしまう。従ってO含有量は0.20%以下である。好ましくは0.18%以下である。
[N含有量、C含有量、H含有量]
N含有量、C含有量、H含有量がそれぞれ過剰になると、β型チタン合金の延性が低下する。そのため、N含有量を0.050%以下、C含有量を0.080%以下、H含有量を0.020%以下とする。C含有量は、好ましくは0.050%未満である。これらの元素の含有量は0%でもよいが、N含有量を0.0001%未満、C含有量を0.0001%未満、H含有量を0.00001%未満とするには、著しく製錬コストがかかる。そのため、N含有量を0.0001%以上、C含有量を0.0001%以上、H含有量を0.00001%以上としてもよい。N含有量を0.001%以上、C含有量を0.001%以上、H含有量を0.001%以上としてもよい。
残部はTiおよび不純物である。
また、本実施形態のβ型チタン合金を板材とする場合の板厚は4mm以下が好ましい。本実施形態のβ型チタン合金の形態は板材に限らず、棒材でもよく、管材でもよい。
次に、本実施形態のβ型チタン合金の製造方法を説明する。
まず、チタン合金スラブを製造する。チタン合金スラブの製造方法は、特段制限されないが、例えば、真空アーク溶解法(VAR)もしくは電子ビーム溶解法(EBR)にて製造することができる。得られたチタン合金スラブは必要であれば表面の切削などを行ってもよい。
次に、熱間圧延工程では、チタン合金スラブを800℃~1100℃に加熱した後、熱間圧延する。熱間圧延条件は、合計の圧延率が80%以上、好ましくは90%以上となる条件で行うことが好ましい。合計の圧延率を80%以上とすることで、焼鈍時の再結晶に必要なひずみを与えることができる。
熱間圧延工程後のチタン材に対して、600℃以上950℃以下の均熱温度で、1分以上30分以下(60秒以上1800秒以下)の均熱時間の条件で焼鈍を行ってもよく、行わなくてもよい。焼鈍後の冷却は、放冷でよい。焼鈍は、大気雰囲気、不活性雰囲気または真空雰囲気のいずれで行ってもよい。熱延板焼鈍を行う場合には、熱間圧延板の未再結晶粒を微細な再結晶粒として析出させることができ、最終的に得られるチタン合金板の金属組織中の結晶をより均一かつ微粒にすることができる。
焼鈍後のチタン材は、必要に応じて、酸洗または切削による酸化物スケール等の除去、更には洗浄処理等が施されてもよい。
次に、焼鈍後のβ型チタン合金に対して、その長手方向に1回以上の冷間圧延を実施する。冷間圧延の回数は、3回以下であってもよい。冷間圧延工程における1回当たりの圧延率は65%以上、好ましくは80%以上にする。1回当たりの圧下率を65%以上にすることにより、{h11}<1/h12>fiberを発達させてその体積率X1を高めることができ、これにより、X1/X2を0.30以上にすることで、β型チタン合金の曲げ加工性を向上できる。
冷間圧延を複数回行う場合は、中間焼鈍を行ってもよい。中間焼鈍の条件は、750℃以上950℃以下の均熱温度とすることが好ましい。また、均熱温度T(℃)における保持時間t(秒)は、下記式(2)を満足するように設定することが好ましい。なお、式(2)は、ラーソンミラーパラメータである。
22000≦(T+273.15)×(Log10(t)+20)≦28000…(2)
中間焼鈍後の冷却は放冷でよい。中間焼鈍は、大気雰囲気、不活性雰囲気または真空雰囲気のいずれで行ってもよい。
また、冷間圧延後のβ型チタン合金に対して、最終焼鈍を行ってもよい。最終焼鈍の条件は、750℃以上950℃以下の均熱温度とすることが好ましい。また、均熱温度T(℃)における保持時間t(秒)は、上記式(2)を満足するように設定することが好ましい。最終焼鈍後の冷却は放冷でよい。最終焼鈍は、大気雰囲気、不活性雰囲気または真空雰囲気のいずれで行ってもよい。最終焼鈍を行うことにより、冷延時のひずみを除去し、曲げ加工に適した材料特性に調整することが可能となる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、以下に説明する実施例は本発明の実施態様の一例であって、本発明を限定するものではない。
真空アーク溶解法(VAR)によりβ型チタン合金よりなるスラブを製造した。すなわち、表1に示す各化学組成になるように配合を調整した金属原料を真空アーク溶解して溶融金属とし、この溶融金属を水冷銅鋳型に装入することにより、厚み200mmのβ型チタン合金よりなるスラブを製造した。表1内の空欄は、合金元素を積極的に含有させなかったことを示す。
次に、スラブを950℃~1100℃に加熱した後、熱間圧延を行った。熱間圧延条件は、合計の圧延率が80%以上となる条件で行った。これにより、板厚3mm~6mmのβ型チタン合金よりなる熱間圧延板を得た。
次に、熱間圧延板に対して、表2Aに示す条件で焼鈍を行った。焼鈍雰囲気は真空雰囲気とした。焼鈍後の熱間圧延板に対して酸洗を行って酸化物スケールを除去した。
次に、熱延板焼鈍後のβ型チタン合金板に対して、その長手方向に一回以上の冷間圧延を実施し、必要に応じて中間焼鈍を行った。表2A及び表2Bに、冷間圧延条件及び中間焼鈍条件を示す。焼鈍雰囲気は大気雰囲気とした。
次いで、冷間圧延後のβ型チタン合金板の一部に対して、表2Bに示す条件で最終焼鈍を行った。焼鈍雰囲気は真空雰囲気とした。このようにして、No.1~21のβ型チタン合金板を得た。得られたチタン合金板の板厚はいずれも1.0mm以下であった。
集合組織の評価方法について説明する。集合組織における結晶方位を三次元で表現するため、オイラー角による表記方法を用いた。オイラー角による表記方法(Bungeの表記方法)は、試料座標系(板材の座標系)として、互いに直交する関係にある、RD、TDおよびNDの3本の座標軸を考えた。
多結晶体の結晶方位分布はオイラー角(φ、Φ、φ)を用いた関数f(φ、Φ、φ)で表され、この関数のことを結晶方位分布関数(Orientation Distribution Function、ODF)と呼ぶ。
結晶方位分布関数(ODF)は、電子線後方散乱回折(Electron BackScattered Diffraction Pattern:EBSD)法にて求めることができる。検査面に走査電子顕微鏡(SEM)で電子線を走査しながら電子線後方散乱回折(EBSD)法にてEBSDパターンを測定、解析し、コンピュータ上での計算により、板表面に対する角度に変換することにより、各測定点における結晶方位のオイラー角(φ、Φ、φ)を得た。計測した視野内の測定点のデータに基づいて、ODF(f(φ、Φ、φ))を算出した。
β相は、β型チタン合金の組織中に均一に分布するので、β型チタン合金板の板幅1/2位置の板幅方向に垂直な面(以下「L断面」ともいう。)を研磨して測定面とし、この面の全板厚×10mmの視野に、10.0μmピッチ(ステップ10.0μm)で、走査電子顕微鏡(SEM)で電子線を走査しながら電子線後方散乱回折(EBSD)法にてEBSDパターンを測定、解析し、コンピュータ上での計算により、チタンのβ相結晶について、板表面に対する角度に変換することにより、各測定点のオイラー角を得た。
上記の条件で測定したデータについて、TSLソリューションズ製のOIM Analysisソフトウェア(version 8.1.0)を用いて、β相のODFを算出した。ODFの算出には、電子線後方散乱回折(EBSD)法の球面調和関数法を用いたTexture解析を用いた(展開指数=16、ガウス半値幅=5°)。その際に、圧延変形の対称性を考慮し、板厚方向、圧延方向、板幅方向それぞれに対して線対称となるように、計算を行った。結果を表3に示す。
曲げ加工性の評価方法は次の通りとした。得られたチタン合金板(サイズ:圧延方向の長さ60mm、圧延幅方向の長さ30mm)に対して3点曲げ試験を実施した。試験条件として、曲げ軸を圧延方向にとり、曲げ半径0.4mm、板厚Ammに対して下記式(3)を満たすクリアランスCL(mm)を設定し、押し込み速度10min/mmで曲げ試験を行った。
CL=2.0×(A+1) …(3)
加工性の評価は、押し込み角が80°の時点での曲げ部表面を目視、及び、光学顕微鏡観察にて、倍率20倍から100倍で2~10視野を観察し、割れ有を「×」とし、割れ無を「○」とした。また、割れが無いものの、表面にシワや大きな凹凸が発生した場合を△とした。割れがあった場合は不合格とし、割れがなかった「○」と「△」の場合を合格とした。結果を表3に示す。
表1~表3に示すように、No.5、6、8、20,21は、1~3回の冷間圧延を行った場合に、少なくとも1回以上の冷間圧延において、冷間圧延率が65%未満であった。このため、X1/X2が0.30未満になり、曲げ加工性が低下した。
また、No.16、19は、ラーソンミラーパラメータが所定の範囲外となり、好ましい製造条件から外れた。このため、X1/X2が0.30未満になり、曲げ加工性が低下した。
一方、表1~3に示すように、No.1~4、7、9~15、17、18は、熱延板焼鈍条件、冷間圧延条件、中間焼鈍条件及び最終焼鈍条件が好ましい範囲内であったため、X1/X2が0.30以上になり、曲げ加工性が良好であった。なお、No.1~4、7、9~15、17、18は、β相の面積分率が50%超であり、β型合金であることが確認された。
Figure 2023162898000002
Figure 2023162898000003
Figure 2023162898000004
Figure 2023162898000005

Claims (3)

  1. 組織中にβ相を含有し、
    β相の結晶方位をオイラー角g={φ,Φ,φ}で示した場合、φ:5°~30°、Φ:0°~60°、φ:35°~55°の範囲の結晶方位を有する結晶粒の体積率をX1、φ:0°~90°、Φ:50°~60°、φ:35°~55°の範囲の結晶方位を有する結晶粒の体積率をX2としたとき、下記(1)式を満足するβ型チタン合金。
    X1/X2≧0.30 …(1)
  2. 質量%で、
    V:12~25%、
    Al:2.0~5.0%、
    Sn:0.5~4.0%、
    O:0.05~0.20%、
    Cr:0~4.0%、
    N:0.050%以下、
    C:0.080%以下、
    H:0.020以下を含有し、
    残部:Ti及び不純物からなる化学組成からなる、請求項1に記載のβ型チタン合金。
  3. β相の平均結晶粒径が100μm以下である、請求項1または請求項2に記載のβ型チタン合金。
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