(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると当該実施形態の理解が妨げられるおそれがあるため、当該実施形態の説明の後にまとめて記載する。
(構成)
図1を参照すると、移動体としての車両10は、いわゆる四輪自動車であって、平面視にて略矩形状の車体11を備えている。以下、平面視にて、車両10の車幅方向における中心を通り、且つ車両10における車両全長方向と平行な仮想直線を、車両中心線LCと称する。車両全長方向は、車幅方向と直交し且つ車高方向と直交する方向である。車高方向は、車両10の車高を規定する方向であって、車両10を水平面に載置した場合の重力作用方向と平行な方向である。図1において、車両全長方向は図中上下方向であり、車幅方向は図中左右方向である。
車両10における「前」「後」「左」「右」を、図1中にて矢印で示された通りに定義する。すなわち、車両全長方向は、前後方向と同義である。また、車幅方向は、左右方向と同義である。「平面視」における各部の形状は、当該各部を車高方向と平行な視線で車両10の上方から見た場合の形状を指すものである。
車体11における前側の端部には、フロントバンパー12が装着されている。車体11における後側の端部には、リアバンパー13が装着されている。車体11における側面部には、ドアパネル14が装着されている。図1に示す具体例においては、左右にそれぞれ二枚ずつ、合計四枚のドアパネル14が設けられている。前側の左右一対のドアパネル14のそれぞれには、ドアミラー15が装着されている。
車両10には、物体検知装置20が搭載されている。本実施形態に係る物体検知装置20を搭載した車両10を、以下「自車両」と称することがある。物体検知装置20は、自車両に搭載されることで、自車両の外側に存在する物体Bを検知するように構成されている。
具体的には、物体検知装置20は、測距センサ21と、車速センサ22と、シフトポジションセンサ23と、操舵角センサ24と、ヨーレートセンサ25と、表示部26と、警報音発生部27と、電子制御装置30とを備えている。なお、図示の簡略化のため、物体検知装置20を構成する各部の間の電気接続関係は、図1においては適宜省略されている。
測距センサ21は、自車両の外側に向けて探査波を送信するとともに、この探査波の物体Bによる反射波を含む受信波を検知することで、測距情報を出力するように設けられている。測距情報は、測距センサ21の出力信号に含まれる情報であって、自車両の周囲の物体Bとの距離に対応する情報である。本実施形態においては、測距センサ21は、いわゆる超音波センサであって、超音波である探査波を発信するとともに、超音波を含む受信波を受信可能に構成されている。
なお、ここにいう、受信波の「検知」とは、有効に測距情報を取得可能な程度に受信波を受信することをいう。このため、測距情報が有効に取得できない程度の、弱い受信強度の受信は、ここにいう「検知」とは取り扱われない。よって、ここにいう「検知」は、「閾値受信強度以上での受信」、「有効な受信」、「良好な受信」、あるいは単に「受信」と言い換えられ得る。
自車両には、測距センサ21が複数搭載されている。複数の測距センサ21の各々は、平面視にて相互に異なる位置に設けられている。また、本実施形態においては、複数の測距センサ21の各々は、車両中心線LCから、車幅方向におけるいずれか一方側にシフトして配置されている。
具体的には、本実施形態においては、フロントバンパー12には、測距センサ21としての、第一フロントソナー211A、第二フロントソナー211B、第三フロントソナー211C、および第四フロントソナー211Dが装着されている。同様に、リアバンパー13には、測距センサ21としての、第一リアソナー212A、第二リアソナー212B、第三リアソナー212C、および第四リアソナー212Dが装着されている。また、車体11の側面部には、第一サイドソナー213A、第二サイドソナー213B、第三サイドソナー213C、および第四サイドソナー213Dが装着されている。以下の説明において、上記の第一フロントソナー211A等のうちのいずれであるかを特定しない場合、「測距センサ21」という表現を用いる。
「直接波」および「間接波」を、以下のように定義する。複数の測距センサ21のうちの一つを「第一測距センサ」と称し、他の一つを「第二測距センサ」と称する。第一測距センサにおける受信波であって、第一測距センサから送信された探査波の物体Bによる反射波に起因する受信波を、「直接波」と称する。直接波は、典型的には、第一測距センサから送信された探査波の物体Bによる反射波を第一測距センサが受信波として検知したときの当該受信波である。すなわち、直接波は、探査波を送信した測距センサ21と、当該探査波の物体Bによる反射波を受信波として検知した測距センサ21とが、同一である場合の、当該受信波である。
これに対し、第二測距センサにおける受信波であって、第一測距センサから送信された探査波の物体Bによる反射波に起因する受信波を、「間接波」と称する。間接波は、典型的には、第一測距センサから送信された探査波の物体Bによる反射波を第二測距センサが受信波として検知したときの当該受信波である。すなわち、間接波とは、探査波を送信した測距センサ21と、当該探査波の物体Bによる反射波を受信波として検知した測距センサ21とが、異なる場合の、当該受信波である。
図1に、第三フロントソナー211Cおよび第四フロントソナー211Dを例として、二個の測距センサ21における直接波領域RDおよび間接波領域RIを示す。直接波領域RDは、物体Bが存在した場合に、当該物体Bに起因する直接波を検知可能な領域である。間接波領域RIは、物体Bが存在した場合に、当該物体Bに起因する間接波を検知可能な領域である。具体的には、間接波領域RIは、二個の測距センサ21における直接波領域RD同士が重複する領域と、完全には一致しないものの、大部分が重複する。以下、説明の簡略化のため、間接波領域RIを、二個の測距センサ21における直接波領域RD同士が重複する領域とほぼ一致するものとして取り扱う。
第一フロントソナー211Aは、自車両の左前方に探査波を発信するように、フロントバンパー12の前側表面における左端部に設けられている。第二フロントソナー211Bは、自車両の右前方に探査波を発信するように、フロントバンパー12の前側表面における右端部に設けられている。第一フロントソナー211Aと第二フロントソナー211Bとは、車両中心線LCを挟んで対称に配置されている。
第三フロントソナー211Cおよび第四フロントソナー211Dは、フロントバンパー12の前側表面における中央寄りの位置にて、車幅方向に配列されている。第三フロントソナー211Cは、自車両の略前方に探査波を発信するように、車幅方向について第一フロントソナー211Aと車両中心線LCとの間に配置されている。第四フロントソナー211Dは、自車両の略前方に探査波を発信するように、車幅方向について第二フロントソナー211Bと車両中心線LCとの間に配置されている。第三フロントソナー211Cと第四フロントソナー211Dとは、車両中心線LCを挟んで対称に配置されている。
上記の通り、第一フロントソナー211Aと第三フロントソナー211Cとは、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第一フロントソナー211Aと第三フロントソナー211Cとは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として検知可能な位置関係に設けられている。
すなわち、第一フロントソナー211Aは、自己が送信した探査波に対応する直接波と、第三フロントソナー211Cが送信した探査波に対応する間接波との双方を検知可能に配置されている。同様に、第三フロントソナー211Cは、自己が送信した探査波に対応する直接波と、第一フロントソナー211Aが送信した探査波に対応する間接波との双方を検知可能に配置されている。
同様に、第三フロントソナー211Cと第四フロントソナー211Dとは、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第三フロントソナー211Cと第四フロントソナー211Dとは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として検知可能な位置関係に設けられている。
同様に、第二フロントソナー211Bと第四フロントソナー211Dとは、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第二フロントソナー211Bと第四フロントソナー211Dとは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として検知可能な位置関係に設けられている。
第一リアソナー212Aは、自車両の左後方に探査波を発信するように、リアバンパー13の後側表面における左端部に設けられている。第二リアソナー212Bは、自車両の右後方に探査波を発信するように、リアバンパー13の後側表面における右端部に設けられている。第一リアソナー212Aと第二リアソナー212Bとは、車両中心線LCを挟んで対称に配置されている。
第三リアソナー212Cおよび第四リアソナー212Dは、リアバンパー13の後側表面における中央寄りの位置にて、車幅方向に配列されている。第三リアソナー212Cは、自車両の略後方に探査波を発信するように、車幅方向について第一リアソナー212Aと車両中心線LCとの間に配置されている。第四リアソナー212Dは、自車両の略後方に探査波を発信するように、車幅方向について第二リアソナー212Bと車両中心線LCとの間に配置されている。第三リアソナー212Cと第四リアソナー212Dとは、車両中心線LCを挟んで対称に配置されている。
上記の通り、第一リアソナー212Aと第三リアソナー212Cとは、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第一リアソナー212Aと第三リアソナー212Cとは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として検知可能な位置関係に設けられている。
すなわち、第一リアソナー212Aは、自己が送信した探査波に対応する直接波と、第三リアソナー212Cが送信した探査波に対応する間接波との双方を検知可能に配置されている。同様に、第三リアソナー212Cは、自己が送信した探査波に対応する直接波と、第一リアソナー212Aが送信した探査波に対応する間接波との双方を検知可能に配置されている。
同様に、第三リアソナー212Cと第四リアソナー212Dとは、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第三リアソナー212Cと第四リアソナー212Dとは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として検知可能な位置関係に設けられている。
同様に、第二リアソナー212Bと第四リアソナー212Dとは、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第二リアソナー212Bと第四リアソナー212Dとは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として検知可能な位置関係に設けられている。
第一サイドソナー213A、第二サイドソナー213B、第三サイドソナー213C、および第四サイドソナー213Dは、車体11の側面から自車両の側方に探査波を発信するように設けられている。第一サイドソナー213Aおよび第二サイドソナー213Bは、車体11における前側部分に装着されている。第一サイドソナー213Aと第二サイドソナー213Bとは、車両中心線LCを挟んで対称に配置されている。第三サイドソナー213Cおよび第四サイドソナー213Dは、車体11における後側部分に装着されている。第三サイドソナー213Cと第四サイドソナー213Dとは、車両中心線LCを挟んで対称に配置されている。
第一サイドソナー213Aは、自車両の左方に探査波を発信するように、前後方向について第一フロントソナー211Aと左側のドアミラー15との間に配置されている。第一サイドソナー213Aは、第一フロントソナー211Aとの間で、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として検知可能な位置関係に設けられている。
第二サイドソナー213Bは、自車両の右方に探査波を発信するように、前後方向について第二フロントソナー211Bと右側のドアミラー15との間に配置されている。第二サイドソナー213Bは、第二フロントソナー211Bとの間で、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として検知可能な位置関係に設けられている。
第三サイドソナー213Cは、自車両の左方に探査波を発信するように、前後方向について第一リアソナー212Aと左後側のドアパネル14との間に配置されている。第三サイドソナー213Cは、第一リアソナー212Aとの間で、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として検知可能な位置関係に設けられている。
第四サイドソナー213Dは、自車両の右方に探査波を発信するように、前後方向について第二リアソナー212Bと右後側のドアパネル14との間に配置されている。第四サイドソナー213Dは、第二リアソナー212Bとの間で、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として検知可能な位置関係に設けられている。
複数の測距センサ21の各々は、電子制御装置30に電気接続されている。すなわち、複数の測距センサ21の各々は、電子制御装置30の制御下で超音波を送受信するように設けられている。また、複数の測距センサ21の各々は、受信波の検知結果に対応する出力信号を発生して、電子制御装置30に送信するようになっている。
車速センサ22、シフトポジションセンサ23、操舵角センサ24、およびヨーレートセンサ25は、電子制御装置30に電気接続されている。車速センサ22は、自車両の走行速度に対応する信号を発生して、電子制御装置30に送信するように設けられている。自車両の走行速度を、以下単に「車速」と称する。シフトポジションセンサ23は、自車両のシフトポジションに対応する信号を発生して、電子制御装置30に送信するように設けられている。操舵角センサ24は、自車両の操舵角に対応する信号を発生して、電子制御装置30に送信するように設けられている。ヨーレートセンサ25は、自車両に作用するヨーレートに対応する信号を発生して、電子制御装置30に送信するように設けられている。
表示部26および警報音発生部27は、自車両における車室内に配置されている。表示部26は、電子制御装置30の制御下で物体検知動作に伴う表示を行うように、電子制御装置30に電気接続されている。警報音発生部27は、電子制御装置30の制御下で物体検知動作に伴う警報音を発生するように、電子制御装置30に電気接続されている。
電子制御装置30は、車体11の内側に配置されている。電子制御装置30は、複数の測距センサ21の各々、車速センサ22、シフトポジションセンサ23、操舵角センサ24、およびヨーレートセンサ25等から受信した信号および情報に基づいて、所定の動作を実行するように構成されている。「所定の動作」には、物体検知動作と、物体検知結果に基づく自車両の運転支援動作とが含まれる。「運転支援動作」は、例えば、衝突回避動作、駐車支援動作、自動運転動作、等が含まれる。
本実施形態においては、電子制御装置30は、いわゆる車載マイクロコンピュータであって、図示しないCPU、ROM、RAM、不揮発性RAM、等を備えている。不揮発性RAMは、例えば、フラッシュROM等である。電子制御装置30のCPU、ROM、RAMおよび不揮発性RAMを、以下単に「CPU」、「ROM」、「RAM」および「不揮発性RAM」と略称する。
電子制御装置30は、CPUがROMまたは不揮発性RAMからプログラムを読み出して実行することで、各種の制御動作を実現可能に構成されている。このプログラムには、後述のルーチンに対応するものが含まれている。また、ROMまたは不揮発性RAMには、プログラムの実行の際に用いられる各種のデータが、あらかじめ格納されている。各種のデータには、例えば、初期値、ルックアップテーブル、マップ、等が含まれている。
図2に示されているように、電子制御装置30は、機能上の構成として、測距情報取得部301と、位置算出部302と、信頼度算出部303と、物体判定部304と、運転支援制御部305とを備えている。以下、図2に示されている電子制御装置30の機能構成について説明する。
測距情報取得部301は、複数の測距センサ21の各々から出力された測距情報を取得するように設けられている。すなわち、測距情報取得部301は、複数の測距センサ21の各々から受信した測距情報を、所定期間分、RAMまたは不揮発性RAMに時系列で一時的に格納するようになっている。また、測距情報取得部301は、取得した測距情報に基づいて、複数の測距センサ21の各々における、直接波および間接波の検知状態を取得すなわち判定するようになっている。
位置算出部302は、物体Bの自車両との相対位置を算出するように設けられている。説明の簡略化のため、物体Bの自車両との相対位置を、以下単に「物体位置P」と称する。
直接波および間接波の双方がともに検知されることで、三角測量が成立する場合があり得る。この場合、位置算出部302は、直接波に基づく測距情報と間接波に基づく測距情報とを用いた三角測量の原理により、物体位置Pを算出するようになっている。すなわち、位置算出部302は、同一物体について直接波および間接波の双方が検知されることで三角測量が成立する場合に、物体位置Pの測量値を算出するようになっている。
一方、直接波および間接波のうちの一方のみが検知されることで、三角測量が不成立となる場合があり得る。この場合、位置算出部302は、三角測量が不成立でも、下記の条件1と条件2との双方が成立する場合に、物体位置Pの推定値を算出するようになっている。
条件1:直接波と間接波とのうちのいずれか一方が受信波として検知されること。
条件2:当該受信波が、既知の物体B、すなわち、物体位置Pが算出および格納済みの物体Bによる、反射波であること。
信頼度算出部303は、検知状態取得部としての測距情報取得部301により取得した、直接波および間接波の検知状態に基づいて、指標値Nを算出するように設けられている。指標値Nは、実数であって、物体検知信頼度に対応する値である。指標値Nは、例えば、数値が大きくなるほど物体検知信頼度が高くなる整数型カウンタである。指標値Nは、特許文献1における「信頼レベル判定カウンタ」に対応する。指標値Nは、第一測距センサとしての測距センサ21毎、および、物体B毎に設定されるようになっている。
物体検知信頼度は、測距センサ21を用いた物体Bの検知の信頼度である。すなわち、物体検知信頼度は、物体検知装置20による物体Bの検知の信頼度である。また、物体検知信頼度は、位置算出部302による物体位置Pの算出値の信頼度あるいは算出精度にも対応し得る。物体検知信頼度は、自車両の周囲に対象物体が存在することの確からしさにも対応し得る。「対象物体」は、自車両の運転支援制御にて考慮すべき物体Bである。具体的には、例えば、対象物体は、衝突回避制御あるいは自動運転制御における、衝突を回避すべき物体である。あるいは、例えば、対象物体は、駐車支援制御における目標駐車空間の周囲の物体であって、同空間を規定するために用いられる物体である。したがって、「対象物体」は、「障害物」とも称され得る。
本実施形態においては、信頼度算出部303は、測距センサ21で同一の物体Bを検知した回数に基づいて、指標値Nを算出するようになっている。具体的には、信頼度算出部303は、直接波および間接波の検知状態に応じて、指標値Nの更新値Vを決定するようになっている。また、信頼度算出部303は、算出された物体位置Pに応じて、指標値Nの更新値Vを決定するようになっている。信頼度算出部303の具体的動作の詳細については後述する。
物体判定部304は、指標値Nが判定閾値Nthに達したことを判定条件として、対象物体の検知を判定するように設けられている。判定閾値Nthは、物体検知信頼度が所定程度高いことに対応する値である。
運転支援制御部305は、位置算出部302による算出結果と、物体判定部304による判定結果とに基づいて、運転支援動作制御を実行するように設けられている。また、運転支援制御部305は、運転支援動作に対応して、表示部26および/または警報音発生部27を適宜動作させるようになっている。
(動作概要)
以下、本実施形態に係る物体検知装置20の動作概要について、実施形態の構成による効果とともに説明する。なお、説明の簡略化のため、本説明においては、物体Bは、静止物であるものとする。静止物には、壁、ポール、等の固定物のみならず、駐車車両も含まれる。
電子制御装置30は、車速センサ22、シフトポジションセンサ23、操舵角センサ24、ヨーレートセンサ25、等の出力に基づいて、車両移動状態を取得する。車両移動状態は、車速センサ22、シフトポジションセンサ23、操舵角センサ24、およびヨーレートセンサ25によって取得された、自車両の移動状態である。車両移動状態は「走行状態」とも称され得る。車両移動状態には、停車状態、すなわち車速が0km/hである状態も含まれる。車両移動状態には、自車両の進行方向および車速が含まれる。自車両の進行方向を、以下「車両進行方向」と称する。車両移動状態は、複数の測距センサ21の各々における移動状態に対応する。
電子制御装置30は、物体検知装置20の動作条件が成立した時点から、所定時間間隔で、所定のセンサ組み合わせにおける物体検知タイミングの到来を判定する。「動作条件」には、例えば、車速が所定範囲内であること、シフトポジションが所定ポジションであること、等が含まれる。
「所定のセンサ組み合わせ」は、複数の測距センサ21のうちの一つを第一測距センサとして選択した場合の、当該第一測距センサと、第二測距センサとなり得る他の少なくとも一つの測距センサ21との組み合わせである。具体的には、例えば、第一測距センサとして第三フロントソナー211Cを選択した場合を想定する。この場合、「所定のセンサ組み合わせ」は、第一測距センサとしての第三フロントソナー211Cと、第二測距センサとなり得る他の複数の測距センサ21とを含む。この場合の「他の複数の測距センサ21」は、第一フロントソナー211A、第二サイドソナー213B、および第四フロントソナー211Dである。「所定のセンサ組み合わせ」は、「所定の第一測距センサの選択」とも称され得る。
「物体検知タイミング」とは、所定のセンサ組み合わせ用いて物体位置Pを算出する、特定の時点である。すなわち、物体検知タイミングは、物体Bを検知するための後述するルーチンの起動時点である。
物体検知タイミングは、所定のセンサ組み合わせの各々について、物体検知装置20の動作条件が成立した後、所定時間T(例えば200msec)間隔で到来する。すなわち、電子制御装置30は、所定時間T周期で、複数の測距センサ21のうちから第一測距センサを順に選択して、選択した第一測距センサによる探査波の発信と、直接波および間接波の検知とを実行する。よって、所定のセンサ組み合わせにおいて、物体検知タイミングは、所定時間T毎に到来する。所定時間Tは「演算周期」とも称される。また、第一測距センサとなり得る測距センサ21の個数をCとすると、物体検知装置20において、物体検知タイミングは、T/C毎に到来する。
物体検知タイミングが到来すると、電子制御装置30は、物体検知動作を実行する。具体的には、電子制御装置30は、複数の測距センサ21のうちの所定の一個を第一測距センサとして選択して、選択した第一測距センサから探査波を発信させる。また、電子制御装置30は、複数の測距センサ21の各々の動作を制御して、複数の測距センサ21の各々から、測距情報を含む出力信号を受信する。すると、測距情報取得部301は、複数の測距センサ21の各々から出力された測距情報を取得する。すなわち、測距情報取得部301は、複数の測距センサ21の各々から受信した測距情報を、所定期間分、RAMまたは不揮発性RAMに時系列で一時的に格納する。
位置算出部302は、測距情報取得部301による測距情報の取得結果に基づいて、物体位置Pを算出する。例えば、第一測距センサと第二測距センサを用いた物体検知動作の実行中に、直接波と間接波との双方がともに検知される場合がある。この場合、位置算出部302は、直接波に基づく測距情報と間接波に基づく測距情報とを用いた三角測量の原理により、物体位置Pを算出する。
一方、物体検知動作の実行中に、三角測量が不成立となる場合がある。この場合、三角測量の原理により物体位置Pを算出することはできない。但し、この場合でも、直接波と間接波とのうちの一方のみが検知されることがある。具体的には、間接波は検知されない一方で直接波が検知されることがあり得る。あるいは、直接波は検知されない一方で間接波が検知されることがあり得る。この場合、検知された受信波が、物体位置Pを算出済みの物体Bによる反射波であれば、かかる物体位置Pの近傍に物体Bが存在する可能性が高い。そこで、位置算出部302は、三角測量が不成立でも、物体位置Pの推定値を算出する。
測距情報取得部301は、直接波および間接波の検知状態を取得する。すなわち、測距情報取得部301は、今回の直接波の検知の有無、および、今回の間接波の検知の有無を、測距情報の取得結果に基づいて判定する。信頼度算出部303は、測距情報取得部301により取得した、直接波および間接波の検知状態に基づいて、指標値Nを算出する。具体的には、信頼度算出部303は、同一物体の検知回数が多いほど指標値Nが大きい値となるように、指標値Nを算出する。典型的には、信頼度算出部303は、同一物体についての直接波および間接波の双方の検知により、物体検知信頼度を高くする側に指標値Nを更新する。
物体Bの検知の信頼度、すなわち、物体検知信頼度は、物体位置Pによって変動し得る。具体的には、例えば、物体位置Pが間接波領域RI内である場合があり得る。この場合、かかる物体位置Pに物体Bが位置することの確からしさが高い。
一方、例えば、物体位置Pが間接波領域RI外であって且つ第一測距センサおよび第二測距センサうちの一方のみの直接波領域RD内である場合があり得る。この場合、かかる物体位置Pに物体Bが位置することの確からしさは、三角測量が成立中であっても、比較的低い。
そこで、信頼度算出部303は、今回の所定のセンサ組み合わせにおける物体検知タイミング、すなわち、今回の指標値Nの算出タイミングにおける物体位置Pに応じて、同タイミングにおける更新値Vを決定する。具体的には、信頼度算出部303は、直接波領域RDおよび間接波領域RIと物体位置Pとの位置関係に応じて、更新値Vを決定する。
例えば、直接波と間接波との双方が検知され、且つ、これらにより算出された物体位置Pが間接波領域RI内である場合があり得る。この場合、信頼度算出部303は、更新値Vを所定の正数δ1に設定する。
また、例えば、直接波と間接波との双方が検知されるとともに、これらにより算出された物体位置Pが間接波領域RI外であって且つ直接波領域RD内である場合があり得る。この場合、信頼度算出部303は、更新値Vを所定の正数δ2に設定する。δ2<δ1である。
信頼度算出部303は、前回の算出タイミングにて算出された指標値Nを、今回の算出タイミングにて決定された更新値Vにより更新する。これにより、今回の算出タイミングにおける指標値Nが算出される。具体的には、信頼度算出部303は、指標値Nの前回値に更新値Vを加算する。物体判定部304は、指標値Nが判定閾値Nthに達したことを判定条件として、対象物体の検知を判定する。
特許文献1に記載の構成においては、三角測量成立前は、指標値Nは、判定閾値Nthに達し難い。具体的には、例えば、同構成においては、直接波および間接波のうちの一方のみの検知が同一物体について連続しても、指標値Nは上昇しない。同構成において、指標値Nが上昇するのは、三角測量成立中、すなわち、直接波および間接波の双方の検知中のみである。
直接波および間接波のうちの一方のみの検知が、同一物体について連続する場合がある。具体的には、例えば、物体Bが自車両に接近中に、以下のような経過をたどることがあり得る。まず、図1に示されているように、物体Bが、直接波領域RDおよび間接波領域RIの外から、間接波領域RIの外であって直接波領域RDの外縁部内に進入することで、直接波のみが検知される。そして、直接波のみが検知される一方で間接波が検知されない状態が、所定期間継続する。その後、物体Bが間接波領域RI内に進入することで、直接波および間接波の双方が検知される。このように、直接波および間接波のうちの一方のみの検知が連続している物体Bは、その後、対象物体として検知されるべきものとなる可能性が高い。そこで、直接波および間接波のうちの一方のみが連続検知される期間中に、指標値Nを所定程度上昇させれば、かかる物体Bが対象物体である旨の検知判定がより早期に成立し得る。これにより、より適切な運転支援が実現され得る。
この点、本実施形態において、信頼度算出部303は、指標値Nの算出にて、直接波および間接波のうちの一方のみの検知が同一物体について連続した場合に、物体検知信頼度を高くする側に指標値Nを更新する。具体的には、信頼度算出部303は、直接波のみの検知または間接波のみの検知が同一物体について連続した場合に、物体検知信頼度を高くする側に指標値Nを更新する。したがって、かかる構成を有する物体検知装置20、および、これにより実行される物体検知方法によれば、対象物体の検知がより早期に判定され得る。すなわち、上記構成および方法によれば、検知した物体Bが回避対象等となるものであるか否かを、より早期に判定することが可能となる。このように、上記構成および方法によれば、物体検知性能を従来よりもよりいっそう向上することが可能となる。
また、信頼度算出部303は、直接波および間接波の双方の不検知が所定程度継続した場合に、指標値Nを低信頼度側のリセット値にリセットする。具体的には、信頼度算出部303は、直接波も間接波も検知しない状態が所定のリセット回数連続した場合、指標値Nをリセットする。指標値Nのリセット値は、例えば0である。
(第一動作例)
以下、本実施形態の構成による具体的な動作例について、図3Aおよび図3Bのフローチャートを用いて説明する。図3A以降にて図示されたフローチャートにおいて、「S」は、「ステップ」を略記したものである。また、図3A等において、WDは直接波を示し、WIは間接波を示す。
説明の簡略化のため、本動作例において、運転支援制御部305が実行する運転支援動作は、自車両の前進時における衝突回避動作であるものとする。図3Aに示された物体検知ルーチンは、物体検知装置20の動作条件が不成立から成立に切り替わった時点に初回起動され、その後、物体検知装置20の動作条件が不成立となるまで、物体検知タイミングが到来する度に繰り返し起動される。
例えば、最初の物体検知タイミングが到来すると、CPUは、第一フロントソナー211Aを第一測距センサとして選択して、図3Aに示された物体検知ルーチンを起動し実行する。次の物体検知タイミングが到来すると、CPUは、第二フロントソナー211Bを第一測距センサとして選択して、図3Aに示された物体検知ルーチンを起動し実行する。さらに次の物体検知タイミングが到来すると、CPUは、第三フロントソナー211Cを第一測距センサとして選択して、図3Aに示された物体検知ルーチンを起動し実行する。このようにして、所定時間T(例えば200msec)内に、第一測距センサとして選択可能なC個の測距センサ21が、それぞれ一回ずつ選択される。
最初の物体検知タイミングの到来から所定時間T経過することで、第一フロントソナー211Aを第一測距センサとする物体検知タイミングが再度到来する。すると、CPUは、第一フロントソナー211Aを再び第一測距センサとして選択して、図3Aに示された物体検知ルーチンを起動し実行する。さらに次の物体検知タイミングが到来すると、CPUは、第二フロントソナー211Bを再び第一測距センサとして選択して、図3Aに示された物体検知ルーチンを起動し実行する。以下同様にして、物体検知装置20の動作条件が不成立となるまで、CPUは、第一測距センサを順次変更しつつ、図3Aに示された物体検知ルーチンを繰り返し起動し実行する。
図3Aに示された物体検知ルーチンが起動されると、まず、ステップ310にて、CPUは、直接波と間接波との双方がともに検知されたか否かを判定する。直接波と間接波との双方がともに検知された場合(すなわちステップ310=YES)、三角測量が成立する。そこで、この場合、CPUは、ステップ320に処理を進行させる。
ステップ320にて、CPUは、直接波距離と間接波距離とを用いた三角測量の原理により、今回検知した物体Bについて物体位置Pを算出する。直接波距離は、今回検知した直接波に基づく測距情報に対応する。間接波距離は、今回検知した間接波に基づく測距情報に対応する。なお、ステップ320における物体位置Pの算出に際しては、車速、ヨーレート、等の、車両移動状態が適宜勘案されることは、いうまでもない。
ステップ320の処理に続いて、CPUは、ステップ330に処理を進行させる。ステップ330にて、CPUは、今回検知した物体Bが前回と同一物体であるか否かを判定する。「前回」とは、所定時間T前、すなわち、今回の所定のセンサ組み合わせと同一のセンサ組み合わせによる一演算周期前をいう。
同一物体であるか否かの判定には、今回算出した物体位置P(i)と、前回算出した物体位置P(i-1)とが用いられる。具体的には、CPUは、ΔPxとΔPyとを算出する。ΔPxは、物体位置P(i)と物体位置P(i-1)との、X座標の差分である。X座標は車幅方向における位置に相当する。ΔPyは、物体位置P(i)と物体位置P(i-1)との、Y座標の差分である。Y座標は車両全長方向における位置に相当する。CPUは、ΔPxが所定閾値Δxよりも小さく、且つΔPyが所定閾値Δyよりも小さい場合に、同一物体であると判定する。
今回検知した物体Bが前回とは異なる場合(すなわちステップ330=NO)、CPUは、ステップ331の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。ステップ331にて、CPUは、指標値Nをリセットする。一方、今回と前回とで同一物体を検知した場合(すなわちステップ330=YES)、CPUは、ステップ332~334の処理を順に実行する。
ステップ332にて、CPUは、今回算出した物体位置Pに基づいて、更新値Vを決定する。ステップ333にて、CPUは、ステップ332にて決定した更新値Vを用いて、指標値Nを更新する。具体的には、CPUは、指標値Nの前回値に更新値Vを加算することで、指標値Nの今回値を算出する。
ステップ334にて、CPUは、ステップ333にて更新した最新の指標値Nが判定閾値Nthに達したか否かを判定する。なお、「指標値Nが判定閾値Nthに達した」とは、指標値Nが判定閾値Nthよりも小さな値から判定閾値Nthと同値に変化したことのみを指すものではない。すなわち、「指標値Nが判定閾値Nthに達した」には、指標値Nが判定閾値Nthよりも小さな値から判定閾値Nthよりも大きな値に変化したことをも含む。よって、「指標値Nが判定閾値Nthに達した」は、「指標値Nが判定閾値Nth以上となった」とも言い換えられ得る。
指標値Nが判定閾値Nthに達した場合(すなわちステップ334=YES)、CPUは、ステップ335に処理を進行させる。これに対し、指標値Nが判定閾値Nthに達していない場合(すなわちステップ334=NO)、CPUは、ステップ335の処理をスキップして、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ335にて、CPUは、今回検知した物体Bが自車両の進路内に存在するか否かを判定する。今回検知した物体Bが自車両の進路内である場合(すなわちステップ335=YES)、CPUは、ステップ336の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。一方、今回検知した物体Bが自車両の進路外である場合(すなわちステップ335=NO)、CPUは、ステップ336の処理をスキップして、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ336にて、CPUは、今回検知した物体Bが対象物体である旨判定する。すなわち、CPUは、今回検知した物体Bを、対象物体として検知する。この場合、CPUは、自車両の衝突回避制御を実行する。これにより、例えば、操舵角制御、減速制御、表示部26および/または警報音発生部27を用いた運転者への報知、等が実行される。
直接波と間接波とのうちの少なくともいずれか一方が不検知の場合(すなわちステップ310=NO)、三角測量が不成立となる。そこで、この場合、CPUは、図3Bに示されたステップ340に処理を進行させる。
ステップ340にて、CPUは、直接波および間接波のうちのいずれか一方が今回検知されたか否かを判定する。直接波および間接波のうちのいずれか一方が今回検知された場合(すなわちステップ340=YES)、CPUは、ステップ341に処理を進行させる。
ステップ341にて、CPUは、受信波の検知状態が前回と同一であるか否かを判定する。具体的には、今回直接波のみが検知されたとすると、CPUは、直接波のみの検知が同一物体について連続したか否かを判定する。一方、今回間接波のみが検知されたとすると、CPUは、間接波のみの検知が同一物体について連続したか否かを判定する。同一物体であるか否かの判定は、上記と同様である。
受信波の検知状態が前回と同一である場合(すなわちステップ341=YES)、CPUは、ステップ342の処理を実行した後、ステップ333に処理を進行させる。ステップ342にて、CPUは、更新値Vを正値+Vpに設定する。Vpは例えば1である。この場合、ステップ333にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値に+Vpを加算した値となる。このステップ333以降の処理は、上記と同様である。
受信波の検知状態が前回と異なる場合(すなわちステップ341=NO)、CPUは、ステップ343の処理を実行した後、ステップ333に処理を進行させる。ステップ343にて、CPUは、更新値Vを0に設定する。この場合、ステップ333にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値と同一となる。このステップ333以降の処理は、上記と同様である。
直接波および間接波の双方が不検知である場合(すなわちステップ340=NO)、CPUは、ステップ344に処理を進行させる。ステップ344にて、CPUは、直接波および間接波の双方の不検知が所定のリセット回数連続したか否かを判定する。
直接波および間接波の双方の連続不検知回数がリセット回数に達していない場合(すなわちステップ344=NO)、CPUは、ステップ345の処理を実行した後、ステップ333に処理を進行させる。ステップ345にて、CPUは、更新値Vを負値-Vnに設定する。Vnは例えば1である。この場合、ステップ333にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値からVnを減算した値となる。このステップ333以降の処理は、上記と同様である。
直接波および間接波の双方の不検知がリセット回数連続した場合(すなわちステップ344=YES)、CPUは、ステップ346の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。ステップ346にて、CPUは、指標値Nをリセットする。
(第二動作例)
自車両の走行中、自車両と物体Bとの相対位置は、刻々と変化し得る。特に、自車両が操舵状態で走行中、すなわち、自車両の操舵角が0ではない所定量である場合、物体Bの水平方位が大きく変化し得る。このような状況においては、直接波および間接波の双方の検知による三角測量が一旦成立した後、一方が不検知となることで三角測量が不成立となる場合があり得る。
三角測量不成立中は、三角測量成立中よりも、物体検知信頼度が低い。また、上記の通り、物体位置Pが間接波領域RI外である場合、物体Bの検知の信頼度は比較的低い。さらに、三角測量が成立から不成立に変化した場合、物体Bをロストした可能性がある。このため、このような場合に、直接波および間接波のうちの一方のみの連続検知により対象物体の検知判定を行うと、誤判定となる可能性がある。
そこで、本動作例においては、物体判定部304は、直接波および間接波の双方の検知中に指標値Nが判定閾値Nth1に達したことを判定条件として、対象物体の検知を判定するようになっている。具体的には、信頼度算出部303は、直接波および間接波のうちの一方のみの検知中は、判定閾値Nth1に達しないように指標値Nをガードする。これにより、判定の確実性が向上する。すなわち、検知した物体Bが回避対象等となるものであるか否かを、より確実に判定することが可能となる。なお、「指標値Nが判定閾値Nthに達した」の意義は、上記の「指標値Nが判定閾値Nthに達した」と同様である。
図4A~図4Cは、本動作例に対応するフローチャートである。図4Aに示された物体検知ルーチンの起動タイミングは、図3Aに示された物体検知ルーチンと同様である。図4A~図4C内のステップにおける、図3Aおよび図3B内のステップと同様の処理内容のものについては、上記動作例における説明を援用することができる。よって、かかるステップについては、説明を適宜簡略化する。
図4Aに示された物体検知ルーチンが起動されると、まず、ステップ410にて、CPUは、直接波と間接波との双方がともに検知されたか否かを判定する。ステップ410の処理内容は、図3Aに示された物体検知ルーチンにおけるステップ310の処理内容と同様である。直接波と間接波との双方がともに検知された場合(すなわちステップ410=YES)、CPUは、ステップ420~422の処理を順に実行する。
ステップ420にて、CPUは、無検知カウンタMをリセットする。無検知カウンタMは、直接波および間接波の双方の不検知が連続した回数を計数するための整数型カウンタである。無検知カウンタMのリセット値は0である。
ステップ421にて、CPUは、直接波距離と間接波距離とを用いた三角測量の原理により、今回検知した物体Bについて物体位置Pを算出する。ステップ421の処理内容は、図3Aに示された物体検知ルーチンにおけるステップ320の処理内容と同様である。
ステップ422にて、CPUは、三角測量フラグFをセットする(すなわちF=1)。三角測量フラグFは、三角測量成立中にセットされ、三角測量不成立中にリセットされるフラグである。
ステップ422の処理に続いて、CPUは、ステップ430に処理を進行させる。ステップ430にて、CPUは、今回検知した物体Bが前回と同一物体であるか否かを判定する。ステップ430の処理内容は、図3Aに示された物体検知ルーチンにおけるステップ330の処理内容と同様である。
今回検知した物体Bが前回とは異なる場合(すなわちステップ430=NO)、CPUは、ステップ431の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。ステップ431にて、CPUは、指標値Nをリセットする。ステップ431の処理内容は、図3Aに示された物体検知ルーチンにおけるステップ331の処理内容と同様である。
一方、今回と前回とで同一物体を検知した場合(すなわちステップ430=YES)、CPUは、ステップ432~434の処理を順に実行する。ステップ432にて、CPUは、今回算出した物体位置Pに基づいて、更新値Vを決定する。ステップ433にて、CPUは、ステップ432にて決定した更新値Vを用いて、指標値Nを更新する。ステップ432および433の処理内容は、図3Aに示された物体検知ルーチンにおけるステップ332および333の処理内容と同様である。
ステップ434にて、CPUは、ステップ433にて更新した最新の指標値Nが判定閾値Nth1に達したか否かを判定する。ステップ434の処理内容は、図3Aに示された物体検知ルーチンにおけるステップ334の処理内容と同様である。すなわち、ステップ434における判定閾値Nth1は、ステップ334における判定閾値Nthと同一である。
指標値Nが判定閾値Nth1に達した場合(すなわちステップ434=YES)、CPUは、ステップ435に処理を進行させる。これに対し、指標値Nが判定閾値Nth1に達していない場合(すなわちステップ434=NO)、CPUは、ステップ435の処理をスキップして、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ435にて、CPUは、今回検知した物体Bが自車両の進路内に存在するか否かを判定する。今回検知した物体Bが自車両の進路内である場合(すなわちステップ435=YES)、CPUは、ステップ436の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。一方、今回検知した物体Bが自車両の進路外である場合(すなわちステップ435=NO)、CPUは、ステップ436の処理をスキップして、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ436にて、CPUは、今回検知した物体Bが対象物体である旨判定する。ステップ435および436の処理内容は、図3Aに示された物体検知ルーチンにおけるステップ335および336の処理内容と同様である。
直接波と間接波とのうちの少なくともいずれか一方が不検知の場合(すなわちステップ410=NO)、三角測量が不成立となる。そこで、この場合、CPUは、図4Bに示されたステップ440に処理を進行させる。
ステップ440にて、CPUは、直接波が今回検知されたか否かを判定する。直接波が今回検知された場合(すなわちステップ440=YES)、CPUは、ステップ451~453の処理を順に実行する。
ステップ451にて、CPUは、無検知カウンタMをリセットする。ステップ452にて、CPUは、間接波検知カウンタKをリセットする。間接波検知カウンタKは、間接波のみの検知の連続回数を計数するための整数型カウンタである。間接波検知カウンタKのリセット値は0である。ステップ453にて、CPUは、直接波検知カウンタDをインクリメントする。すなわち、CPUは、直接波検知カウンタDの値に1を加算する。直接波検知カウンタDは、直接波のみの検知の連続回数を計数するための整数型カウンタである。直接波検知カウンタDのリセット値は0である。
ステップ453の処理に続いて、CPUは、ステップ454に処理を進行させる。ステップ454にて、CPUは、直接波検知カウンタDが1を超えているか否かを判定する。すなわち、CPUは、直接波のみの検知が2回以上連続しているか否かを判定する。
直接波検知カウンタDの値が1である場合(すなわちステップ454=NO)、今回の直接波のみの検知は単発のものであって、直接波のみの検知が連続しているわけではない。そこで、この場合、CPUは、ステップ459の処理を実行した後、ステップ433に処理を進行させる。ステップ459にて、CPUは、更新値Vを0に設定する。この場合、ステップ433にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値と同一となる。
直接波検知カウンタDが2以上である場合(すなわちステップ454=YES)、直接波のみの検知が連続していることになる。そこで、この場合、CPUは、ステップ455に処理を進行させる。ステップ455にて、CPUは、三角測量フラグFがリセットされているか否かを判定する。
三角測量フラグFがセットされている場合(すなわちステップ455=NO)、これ以前に三角測量が成立していた期間にて、指標値Nの値が、判定閾値Nth1に近い程度にまで大きくなっている可能性がある。この状態で、直接波のみの連続検知により指標値Nを上昇させると、三角測量不成立中に指標値Nの値が判定閾値Nth1に達して対象物体検知が判定されることとなってしまう。
そこで、本動作例においては、三角測量フラグFがセットされている場合(すなわちステップ455=NO)、CPUは、ステップ459の処理を実行した後、ステップ433に処理を進行させる。ステップ459にて、CPUは、更新値Vを0に設定する。この場合、ステップ433にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値と同一となる。
三角測量フラグFがリセットされている場合(すなわちステップ455=YES)、CPUは、ステップ456に処理を進行させる。ステップ456にて、CPUは、今回直接波により検知した物体Bが前回と同一物体であるか否かを判定する。ステップ456の処理における「前回」および「同一物体」の内容は、図3Aに示された物体検知ルーチンにおけるステップ330における内容と同様である。
今回直接波により検知した物体Bが前回とは異なる場合(すなわちステップ456=NO)、CPUは、ステップ459の処理を実行した後、ステップ433に処理を進行させる。ステップ459にて、CPUは、更新値Vを0に設定する。この場合、ステップ433にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値と同一となる。
今回直接波により検知した物体Bが前回と同一物体である場合(すなわちステップ456=YES)、CPUは、ステップ457に処理を進行させる。ステップ457にて、CPUは、現在の指標値Nの値、すなわち、前回の指標値Nの算出値が、ガード値Nth2よりも小さいか否かを判定する。ガード値Nth2は、判定閾値Nth1近傍の値であって、判定閾値Nth1よりも小さい。ガード値Nth2と判定閾値Nth1との差ΔNthは、後述するVp1またはVp2のβ倍である。1<βであり、例えばβ≦4である。典型的には例えばβ=1.5~3である。Vp1とVp2とが異なる値の場合は、ΔNthは、Vp1とVp2とのうちの絶対値の大きな方のβ倍である。
現在直接波のみを連続検知中の物体Bについて、これまでに三角測量が不成立であっても、直接波の多数回の連続検知のみによって指標値Nが判定閾値Nth1に達すると、三角測量不成立中に対象物体検知が判定されることとなってしまう。そこで、本動作例においては、現在の指標値Nの値がガード値Nth2以上となった場合(すなわちステップ457=NO)、CPUは、ステップ459の処理を実行した後、ステップ433に処理を進行させる。ステップ459にて、CPUは、更新値Vを0に設定する。この場合、ステップ433にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値と同一となる。このように、本動作例においては、直接波のみの検知中は、判定閾値Nth1に達しないように指標値Nがガードされる。
現在の指標値Nの値がガード値Nth2よりも小さい場合(すなわちステップ457=YES)、CPUは、ステップ458の処理を実行した後、ステップ433に処理を進行させる。ステップ458にて、CPUは、更新値Vを正値+Vp1に設定する。Vp1は例えば1である。この場合、ステップ433にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値に+Vp1を加算した値となる。
三角測量が不成立であり(すなわちステップ410=NO)、且つ直接波が今回検知されなかった場合(すなわちステップ440=NO)、CPUは、図4Cに示されたステップ460に処理を進行させる。
ステップ460にて、CPUは、間接波が今回検知されたか否かを判定する。間接波が今回検知された場合(すなわちステップ460=YES)、CPUは、ステップ471~473の処理を順に実行する。
ステップ471にて、CPUは、無検知カウンタMをリセットする。ステップ472にて、CPUは、直接波検知カウンタDをリセットする。ステップ473にて、CPUは、間接波検知カウンタKをインクリメントする。すなわち、CPUは、間接波検知カウンタKの値に1を加算する。
ステップ473の処理に続いて、CPUは、ステップ474に処理を進行させる。ステップ474にて、CPUは、間接波検知カウンタKが1を超えているか否かを判定する。すなわち、CPUは、間接波のみの受信が2回以上連続しているか否かを判定する。
間接波検知カウンタKの値が1である場合(すなわちステップ474=NO)、今回の間接波のみの受信は単発のものであって、間接波のみの受信が連続しているわけではない。そこで、この場合、CPUは、ステップ479の処理を実行した後、ステップ433に処理を進行させる。ステップ479にて、CPUは、更新値Vを0に設定する。この場合、ステップ433にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値と同一となる。
間接波検知カウンタKの値が2以上である場合(すなわちステップ474=YES)、間接波のみの受信が連続していることになる。そこで、この場合、CPUは、ステップ475に処理を進行させる。ステップ475にて、CPUは、三角測量フラグFがリセットされているか否かを判定する。
三角測量フラグFがセットされている場合(すなわちステップ475=NO)、上記のステップ455と同様の理由により、CPUは、ステップ479の処理を実行した後、ステップ433に処理を進行させる。ステップ479にて、CPUは、更新値Vを0に設定する。この場合、ステップ433にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値と同一となる。
三角測量フラグFがリセットされている場合(すなわちステップ475=YES)、CPUは、ステップ476に処理を進行させる。ステップ476にて、CPUは、今回間接波により検知した物体Bが前回と同一物体であるか否かを判定する。
今回間接波により検知した物体Bが前回とは異なる場合(すなわちステップ476=NO)、CPUは、ステップ479の処理を実行した後、ステップ433に処理を進行させる。ステップ479にて、CPUは、更新値Vを0に設定する。この場合、ステップ433にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値と同一となる。
今回間接波により検知した物体Bが前回と同一物体である場合(すなわちステップ476=YES)、CPUは、ステップ477に処理を進行させる。ステップ477にて、CPUは、現在の指標値Nの値、すなわち、前回の指標値Nの算出値が、ガード値Nth2よりも小さいか否かを判定する。
現在の指標値Nの値がガード値Nth2以上となった場合(すなわちステップ477=NO)、CPUは、ステップ479の処理を実行した後、ステップ433に処理を進行させる。ステップ479にて、CPUは、更新値Vを0に設定する。この場合、ステップ433にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値と同一となる。このように、本動作例においては、間接波のみの検知中は、判定閾値Nth1に達しないように指標値Nがガードされる。
現在の指標値Nの値がガード値Nth2よりも小さい場合(すなわちステップ477=YES)、CPUは、ステップ478の処理を実行した後、ステップ433に処理を進行させる。ステップ478にて、CPUは、更新値Vを正値+Vp2に設定する。Vp2は例えば1である。この場合、ステップ433にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値に+Vp2を加算した値となる。
直接波および間接波の双方が今回不検知である場合(すなわちステップ460=NO)、CPUは、ステップ481および482の処理を順に実行する。ステップ481にて、CPUは、無検知カウンタMをインクリメントする。すなわち、CPUは、無検知カウンタMの値に1を加算する。ステップ482にて、CPUは、無検知カウンタMの値がリセット閾値Mthを超えたか否かを判定する。
無検知カウンタMの値がリセット閾値Mth以下である場合(すなわちステップ482=NO)、CPUは、ステップ483の処理を実行した後、ステップ433に処理を進行させる。ステップ483にて、CPUは、更新値Vを負値-Vnに設定する。Vnは例えば2である。この場合、ステップ433にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値からVnを減算した値となる。
無検知カウンタMの値がリセット閾値Mthを超えた場合(すなわちステップ482=YES)、直接波および間接波の双方の不検知が所定のリセット回数連続したこととなる。そこで、この場合、CPUは、ステップ484および485の処理を実行した後、本ルーチンを一旦終了する。ステップ484にて、CPUは、三角測量フラグFをリセットする(すなわちF=0)。ステップ485にて、CPUは、指標値Nをリセットする。
(第三動作例)
上記の第二動作例においては、信頼度算出部303は、直接波および間接波のうちの一方のみの検知中は、判定閾値Nth1に達しないように指標値Nをガードした。これに対し、本動作例においては、指標値Nのガードに代わる別の手法を採用した。具体的には、本動作例においては、信頼度算出部303は、直接波および間接波のうちの一方のみの検知が同一物体について連続した場合の、指標値Nの更新回数に、上限を設けた。
図5Aおよび図5Bは、本動作例に対応するフローチャートである。図5Aは、図4Bの一部を変更したものである。図5Bは、図4Cの一部を変更したものである。すなわち、本動作例は、図4A、図5A、および図5Bによって構成される。
図5Aにおけるステップ540~556、558、および559の処理内容は、図4Bにおけるステップ440~456、458、および459の処理内容と同一である。図5Bにおけるステップ560~576、578、および579~585の処理内容は、図4Cにおけるステップ460~476、478、および479~485の処理内容と同一である。以下、変更点を主として説明する。
図5Aを参照すると、ステップ556にて、CPUは、今回直接波により検知した物体Bが前回と同一物体であるか否かを判定する。今回直接波により検知した物体Bが前回と同一物体である場合(すなわちステップ556=YES)、CPUは、ステップ557に処理を進行させる。ステップ557にて、CPUは、直接波検知カウンタDが制限値Dthよりも小さいか否かを判定する。
直接波検知カウンタDが制限値Dthよりも小さい場合(すなわちステップ557=YES)、CPUは、ステップ558の処理を実行した後、図4Aに示されたステップ433に処理を進行させる。ステップ558にて、CPUは、更新値Vを正値+Vp1に設定する。この場合、ステップ433にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値に+Vp1を加算した値となる。
これに対し、直接波検知カウンタDが制限値Dth以上である場合(すなわちステップ557=NO)、CPUは、ステップ559の処理を実行した後、図4Aに示されたステップ433に処理を進行させる。ステップ559にて、CPUは、更新値Vを0に設定する。この場合、ステップ433にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値と同一となる。このように、本動作例によれば、直接波のみを連続検知した場合の、+Vp1の加算回数が、所定の上限回数「Dth-1」に制限される。
同様に、図5Bを参照すると、ステップ576にて、CPUは、今回間接波により検知した物体Bが前回と同一物体であるか否かを判定する。今回間接波により検知した物体Bが前回と同一物体である場合(すなわちステップ576=YES)、CPUは、ステップ577に処理を進行させる。ステップ577にて、CPUは、間接波検知カウンタKが制限値Kthよりも小さいか否かを判定する。
間接波検知カウンタKが制限値Kthよりも小さい場合(すなわちステップ577=YES)、CPUは、ステップ578の処理を実行した後、図4Aに示されたステップ433に処理を進行させる。ステップ578にて、CPUは、更新値Vを正値+Vp2に設定する。この場合、ステップ433にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値に+Vp2を加算した値となる。
これに対し、間接波検知カウンタKが制限値Kth以上である場合(すなわちステップ577=NO)、CPUは、ステップ579の処理を実行した後、図4Aに示されたステップ433に処理を進行させる。ステップ579にて、CPUは、更新値Vを0に設定する。この場合、ステップ433にて、今回の指標値Nの算出値は、前回値と同一となる。このように、本動作例によれば、間接波のみを連続検知した場合の、+Vp2の加算回数が、所定の上限回数「Kth-1」に制限される。
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な装置構成に限定されない。すなわち、例えば、車両10は、四輪自動車に限定されない。具体的には、車両10は、三輪自動車であってもよいし、貨物トラック等の六輪または八輪自動車であってもよい。「物体」は、「障害物」とも言い換えられ得る。すなわち、「物体検知装置」は、「障害物検知装置」とも称され得る。
測距センサ21の配置および個数は、上記の具体例に限定されない。すなわち、例えば、図1を参照すると、第三フロントソナー211Cが車幅方向における中央位置に配置される場合、第四フロントソナー211Dは省略される。同様に、第三リアソナー212Cが車幅方向における中央位置に配置される場合、第四リアソナー212Dは省略される。
測距センサ21は、超音波センサに限定されない。すなわち、例えば、測距センサ21は、レーザレーダセンサ、またはミリ波レーダセンサであってもよい。車両移動状態すなわち走行状態の取得は、車速センサ22、シフトポジションセンサ23、操舵角センサ24、およびヨーレートセンサ25を用いた態様に限定されない。すなわち、例えば、ヨーレートセンサ25は省略され得る。あるいは、例えば、車両移動状態の取得の際に、上記以外のセンサが用いられ得る。
上記実施形態においては、電子制御装置30は、CPUがROM等からプログラムを読み出して起動する構成であった。しかしながら、本発明は、かかる構成に限定されない。すなわち、例えば、電子制御装置30は、上記のような動作を可能に構成されたデジタル回路、例えばゲートアレイ等のASICであってもよい。ASICはAPPLICATION SPECIFIC INTEGRATED CIRCUITの略である。
電子制御装置30は、車載通信ネットワークを介して、車速センサ22等と電気接続され得る。車載通信ネットワークは、CAN(国際登録商標)、FlexRay(国際登録商標)等の車載LAN規格に準拠して構成される。CAN(国際登録商標)は、Controller Area Networkの略である。LANはLocal Area Networkの略である。
第一サイドソナー213A、第二サイドソナー213B、第三サイドソナー213C、および第四サイドソナー213Dは、それぞれ、直接波のみを検知可能に設けられていてもよい。あるいは、第一サイドソナー213A、第二サイドソナー213B、第三サイドソナー213C、および第四サイドソナー213Dは、省略され得る。
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な動作例および処理態様に限定されない。例えば、上記の動作概要および動作例は、自車両の前進時における衝突回避動作に対応するものであった。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、本発明は、自車両の後退時にも、同様に適用され得る。また、運転支援動作は、衝突回避動作に限定されず、駐車支援動作であってもよいし、レベル1以上のレベルの自動運転動作であってもよい。
第一測距センサおよび第二測距センサは、典型的には、互いに隣接する二個の測距センサ21である。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、図1を参照すると、第二フロントソナー211Bと第三フロントソナー211Cとによっても三角測量は成立し得る。よって、第二フロントソナー211Bが第一測距センサであって第三フロントソナー211Cが第二測距センサである場合もあり得る。
図2に示された機能ブロック構成は、本発明の一実施形態を簡略的に説明するために便宜的に示された、単なる一例である。よって、本発明は、かかる機能ブロック構成に限定されるものではない。すなわち、機能配置に関しては、図2に示された具体的一例から、適宜変更され得る。
上記の具体例においては、物体Bを静止物として説明を行ったが、本発明はかかる態様に限定されない。すなわち、例えば、物体Bが移動物である場合、自車両と物体Bとの相対移動の態様が、上記の各処理において考慮されることは、いうまでもない。また、この場合、車両移動状態を取得するためのセンサとして、CMOSセンサあるいはCCDセンサ等の画像センサも用いられ得る。CMOSはComplementary MOSの略である。CCDはCharge Coupled Deviceの略である。
上記具体例において、信頼度算出部303は、直接波のみの検知または間接波のみの検知が同一物体について連続した場合に、物体検知信頼度を高くする側に指標値Nを更新するものであった。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、信頼度算出部303は、直接波および間接波のうちの一方のみの検知が同一物体について連続した場合に、物体検知信頼度を高くする側に指標値Nを更新するものであればよい。
同一物体か否かの判定手法についても、上記の具体例のような、座標の差分に基づくものに限定されない。すなわち、かかる判定に際しては、座標の差分に代えて、あるいはこれとともに、距離差、受信強度、周波数変調状態、等の、他の情報が用いられ得る。
「連続」は、回数ではなく、時間によって判定されてもよい。すなわち、信頼度算出部303は、直接波および間接波のうちの一方のみの検知が同一物体について所定時間継続した場合に、物体検知信頼度を高くする側に指標値Nを更新するものであってもよい。具体的には、カウンタに代えてタイマが用いられ得る。
図3Bにおいて、ステップ341の直前に、ステップ320と同様の「物体位置P算出」のステップが挿入され得る。この場合の、物体位置Pの算出は、推定値の算出となる。
ステップ454にて、CPUは、直接波のみの検知がG回以上連続しているか否かを判定してもよい。Gは2以上の整数であり、典型的には2である。ステップ554についても同様である。同様に、ステップ474にて、CPUは、間接波のみの検知がH回以上連続しているか否かを判定してもよい。Hは2以上の整数であり、典型的には2である。ステップ574についても同様である。
ステップ457とステップ477とで、異なるガード値を設定してもよい。同様に、ステップ557とステップ577とで、異なるガード値を設定してもよい。
ステップ455とステップ457とのうちの一方は、省略され得る。同様に、ステップ475とステップ477とのうちの一方は、省略され得る。同様に、ステップ555とステップ557とのうちの一方は、省略され得る。同様に、ステップ575とステップ577とのうちの一方は、省略され得る。
上記第二動作例および第三動作例においては、或る物体Bについての三角測量成立により、三角測量フラグFがセットされる。その後、同フラグがリセットされるまでの間に、直接波および間接波のうちの一方のみの検知が別物体について連続する場合があり得る。この場合、信頼度算出部303は、当該別物体についての検知が所定回数連続したことを条件として、指標値Nをリセットするようになっていてもよい。
具体的には、例えば、上記第二動作例において、CPUは、ステップ456の判定が「NO」の場合、かかるNO判定が所定回数連続したか否かを判定する。そして、かかるNO判定が所定回数連続した場合、CPUは、指標値Nをリセットし、ルーチンを一旦終了する。このとき、CPUは、三角測量フラグFをリセットしてもよい。これに対し、かかるNO判定の連続回数が所定回数に達していない場合、CPUは、ステップ459に処理を進行させる。上記第三動作例(すなわちステップ556の判定)についても同様である。
同様に、CPUは、ステップ476の判定が「NO」の場合、かかるNO判定が所定回数連続したか否かを判定する。そして、かかるNO判定が所定回数連続した場合、CPUは、指標値Nをリセットし、ルーチンを一旦終了する。このとき、CPUは、三角測量フラグFをリセットしてもよい。これに対し、かかるNO判定の連続回数が所定回数に達していない場合、CPUは、ステップ459に処理を進行させる。上記第三動作例(すなわちステップ576の判定)についても同様である。
「算出」、「演算」、「取得」、「推定」等の、互いに概念が類似する表現同士は、技術的矛盾が生じない限り、互いに入れ替え可能である。また、各判定処理における不等号は、等号付きであってもよいし、等号無しであってもよい。すなわち、例えば、「閾値以上」は、「閾値を超える」に変更され得る。
変形例も、上記の例示に限定されない。また、複数の変形例が、互いに組み合わされ得る。更に、上記実施形態の全部または一部と、変形例の全部または一部とが、互いに組み合わされ得る。
上記の各機能構成および方法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。