以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると当該実施形態の理解が妨げられるおそれがあるため、当該実施形態の説明の後にまとめて記載する。
(構成)
図1を参照すると、移動体としての車両10は、いわゆる四輪自動車であって、平面視にて略矩形状の車体11を備えている。以下、平面視にて、車両10の車幅方向における中心を通り、且つ車両10における車両全長方向と平行な仮想直線を、車両中心線LCと称する。車両全長方向は、車幅方向と直交し且つ車高方向と直交する方向である。車高方向は、車両10の車高を規定する方向であって、車両10を水平面に載置した場合の重力作用方向と平行な方向である。図1において、車両全長方向は図中上下方向であり、車幅方向は図中左右方向である。
車両10における「前」「後」「左」「右」を、図1中にて矢印で示された通りに定義する。即ち、車両全長方向は、前後方向と同義である。また、車幅方向は、左右方向と同義である。さらに、車高方向は、上下方向と同義である。但し、後述するように、車高方向即ち上下方向は、車両10の載置条件等により、重力作用方向と平行とはならない場合があり得る。
車体11における前側の端部には、フロントバンパー12が装着されている。車体11における後側の端部には、リアバンパー13が装着されている。
車両10には、物体検知装置20が搭載されている。物体検知装置20は、車両10に搭載されることで、車両10の外側に存在する物体Bを検知可能に構成されている。具体的には、物体検知装置20は、測距センサ21と、車速センサ22と、シフトポジションセンサ23と、操舵角センサ24と、ヨーレートセンサ25と、表示部26と、警報音発生部27と、電子制御装置30とを備えている。なお、図示の簡略化のため、物体検知装置20を構成する各部の間の電気接続関係は、図1においては適宜省略されている。
測距センサ21は、探査波を車両10の外側に向けて発信するとともに、この探査波の物体Bによる反射波を含む受信波を受信することで、物体Bとの距離に対応する信号を出力するように設けられている。具体的には、本実施形態においては、測距センサ21は、いわゆる超音波センサであって、超音波である探査波を発信するとともに、超音波を含む受信波を受信可能に構成されている。
物体検知装置20は、複数の測距センサ21を備えている。複数の測距センサ21の各々は、平面視にて相互に異なる位置に設けられている。また、本実施形態においては、複数の測距センサ21の各々は、車両中心線LCから、車幅方向におけるいずれか一方側にシフトして配置されている。
具体的には、本実施形態においては、フロントバンパー12には、測距センサ21としての、第一フロントソナー211、第二フロントソナー212、第三フロントソナー213、及び第四フロントソナー214が装着されている。同様に、リアバンパー13には、測距センサ21としての、第一リアソナー215、第二リアソナー216、第三リアソナー217、及び第四リアソナー218が装着されている。
第一フロントソナー211、第二フロントソナー212、第三フロントソナー213、第四フロントソナー214、第一リアソナー215、第二リアソナー216、第三リアソナー217、及び第四リアソナー218のうちのいずれかであることを特定しない場合に、以下、「測距センサ21」という単数形の表現、又は「複数の測距センサ21」という表現を用いる。
或る1個の測距センサ21を「第一測距センサ」と称し、別の1個の測距センサ21を「第二測距センサ」と称して、「直接波」及び「間接波」を、以下のように定義する。第一測距センサに受信される受信波であって、第一測距センサから発信された探査波の物体Bによる反射波に起因する受信波を、「直接波」と称する。これに対し、第二測距センサに受信される受信波であって、第一測距センサから発信された探査波の物体Bによる反射波に起因する受信波を、「間接波」と称する。
図1に、第三フロントソナー213及び第四フロントソナー214を例として、互いに隣接する2個の測距センサ21における直接波領域R1と間接波領域R2とを示す。直接波領域R1は、物体Bが存在した場合に、当該物体Bに起因する直接波を受信可能な領域である。間接波領域R2は、物体Bが存在した場合に、当該物体Bに起因する間接波を受信可能な領域である。具体的には、間接波領域R2は、互いに隣接する2個の測距センサ21における直接波領域R1同士が重複する領域と、完全には一致しないものの、大部分が重複する。以下、説明の簡略化のため、間接波領域R2を、互いに隣接する2個の測距センサ21における直接波領域R1同士が重複する領域とほぼ一致するものとして取り扱う。
第一フロントソナー211は、車両10の左前方に探査波を発信するように、フロントバンパー12の前側表面における左端部に設けられている。第二フロントソナー212は、車両10の右前方に探査波を発信するように、フロントバンパー12の前側表面における右端部に設けられている。第一フロントソナー211と第二フロントソナー212とは、車両中心線LCを挟んで対称に配置されている。
第三フロントソナー213と第四フロントソナー214とは、フロントバンパー12の前側表面における中央寄りの位置にて、車幅方向に配列されている。第三フロントソナー213は、車両10の略前方に探査波を発信するように、車幅方向について第一フロントソナー211と車両中心線LCとの間に配置されている。第四フロントソナー214は、車両10の略前方に探査波を発信するように、車幅方向について第二フロントソナー212と車両中心線LCとの間に配置されている。第三フロントソナー213と第四フロントソナー214とは、車両中心線LCを挟んで対称に配置されている。
上記の通り、第一フロントソナー211と第三フロントソナー213とは、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第一フロントソナー211と第三フロントソナー213とは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として受信可能な位置関係に設けられている。
即ち、第一フロントソナー211は、自己が発信した探査波に対応する直接波と、第三フロントソナー213が発信した探査波に対応する間接波との双方を受信可能に配置されている。同様に、第三フロントソナー213は、自己が発信した探査波に対応する直接波と、第一フロントソナー211が発信した探査波に対応する間接波との双方を受信可能に配置されている。
同様に、第三フロントソナー213と第四フロントソナー214とは、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第三フロントソナー213と第四フロントソナー214とは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として受信可能な位置関係に設けられている。
同様に、第二フロントソナー212と第四フロントソナー214とは、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第二フロントソナー212と第四フロントソナー214とは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として受信可能な位置関係に設けられている。
第一リアソナー215は、車両10の左後方に探査波を発信するように、リアバンパー13の後側表面における左端部に設けられている。第二リアソナー216は、車両10の右後方に探査波を発信するように、リアバンパー13の後側表面における右端部に設けられている。第一リアソナー215と第二リアソナー216とは、車両中心線LCを挟んで対称に配置されている。
第三リアソナー217と第四リアソナー218とは、リアバンパー13の後側表面における中央寄りの位置にて、車幅方向に配列されている。第三リアソナー217は、車両10の略後方に探査波を発信するように、車幅方向について第一リアソナー215と車両中心線LCとの間に配置されている。第四リアソナー218は、車両10の略後方に探査波を発信するように、車幅方向について第二リアソナー216と車両中心線LCとの間に配置されている。第三リアソナー217と第四リアソナー218とは、車両中心線LCを挟んで対称に配置されている。
上記の通り、第一リアソナー215と第三リアソナー217とは、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第一リアソナー215と第三リアソナー217とは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として受信可能な位置関係に設けられている。
即ち、第一リアソナー215は、自己が発信した探査波に対応する直接波と、第三リアソナー217が発信した探査波に対応する間接波との双方を受信可能に配置されている。同様に、第三リアソナー217は、自己が発信した探査波に対応する直接波と、第一リアソナー215が発信した探査波に対応する間接波との双方を受信可能に配置されている。
同様に、第三リアソナー217と第四リアソナー218とは、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第三リアソナー217と第四リアソナー218とは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として受信可能な位置関係に設けられている。
同様に、第二リアソナー216と第四リアソナー218とは、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第二リアソナー216と第四リアソナー218とは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として受信可能な位置関係に設けられている。
複数の測距センサ21の各々は、電子制御装置30に電気接続されている。即ち、複数の測距センサ21の各々は、電子制御装置30の制御下で探査波を発信するとともに、受信波の受信結果に対応する信号を発生して電子制御装置30に送信するようになっている。受信波の受信結果に対応する信号に含まれる情報を、以下「受信情報」と称する。受信情報には、例えば、受信波の受信強度に対応する情報と、複数の測距センサ21の各々と物体Bとの距離に対応する情報が含まれる。物体Bとの距離に対応する情報には、例えば、探査波の発信から受信波の受信までの時間差に対応する情報が含まれる。
車速センサ22、シフトポジションセンサ23、操舵角センサ24、及びヨーレートセンサ25は、電子制御装置30に電気接続されている。車速センサ22は、車両10の走行速度に対応する信号を発生して、電子制御装置30に送信するように設けられている。車両10の走行速度を、以下単に「車速」と称する。シフトポジションセンサ23は、車両10のシフトポジションに対応する信号を発生して、電子制御装置30に送信するように設けられている。操舵角センサ24は、車両10の操舵角に対応する信号を発生して、電子制御装置30に送信するように設けられている。ヨーレートセンサ25は、車両10に作用するヨーレートに対応する信号を発生して、電子制御装置30に送信するように設けられている。
表示部26及び警報音発生部27は、車両10における車室内に配置されている。表示部26は、電子制御装置30の制御下で物体検知動作に伴う表示を行うように、電子制御装置30に電気接続されている。警報音発生部27は、電子制御装置30の制御下で物体検知動作に伴う警報音を発生するように、電子制御装置30に電気接続されている。
電子制御装置30は、車体11の内側に配置されている。電子制御装置30は、複数の測距センサ21の各々、車速センサ22、シフトポジションセンサ23、操舵角センサ24、ヨーレートセンサ25等から受信した信号及び情報に基づいて、物体検知動作を実行するように構成されている。
本実施形態においては、電子制御装置30は、いわゆる車載マイクロコンピュータであって、図示しないCPU、ROM、RAM、不揮発性RAM、等を備えている。不揮発性RAMは、例えば、フラッシュROM等である。電子制御装置30のCPU、ROM、RAM及び不揮発性RAMを、以下単に「CPU」、「ROM」、「RAM」及び「不揮発性RAM」と略称する。
電子制御装置30は、CPUがROM又は不揮発性RAMからプログラムを読み出して実行することで、各種の制御動作を実現可能に構成されている。このプログラムには、後述の各ルーチンに対応するものが含まれている。また、ROM又は不揮発性RAMには、プログラムの実行の際に用いられる各種のデータが、あらかじめ格納されている。各種のデータには、例えば、初期値、ルックアップテーブル、マップ、等が含まれている。
図2に示されているように、電子制御装置30は、機能上の構成として、検出距離取得部301と、推定距離取得部302と、検出位置取得部303と、推定位置取得部304と、距離信頼度判定部305と、位置信頼度判定部306と、選択部307と、制御部308とを備えている。
検出距離取得部301は、所定の距離取得条件が成立した場合に、複数の測距センサ21の各々の出力に基づいて、複数の測距センサ21の各々から物体Bまでの距離の検出結果に対応する検出距離を取得するように設けられている。距離取得条件は、以下の第一距離取得条件及び第二距離取得条件を含む。第一距離条件は、検出距離の取得に対応する測距センサ21にて、閾値以上の強度の受信波が受信されたことである。第二距離取得条件は、当該測距センサ21にて、多重反射等の阻害事由が発生していないことである。
推定距離取得部302は、距離取得条件が不成立の場合に、車両移動状態と、検出距離取得部301によって取得された過去の検出距離とに基づいて、複数の測距センサ21の各々から物体Bまでの距離の推定結果に対応する推定距離を取得するように設けられている。車両移動状態は、車速センサ22、シフトポジションセンサ23、操舵角センサ24、及びヨーレートセンサ25によって取得された、車両10の移動状態である。移動状態は「走行状態」とも称され得る。移動状態には、停車状態、即ち車速が0km/hである状態も含まれる。
検出位置取得部303は、所定の位置取得条件が成立した場合に、互いに隣接する2個の測距センサ21の出力に基づいて、車両10と物体Bとの相対位置の検出結果に対応する検出位置を取得するように設けられている。位置取得条件は、互いに隣接する2個の測距センサ21による三角測量が成立する条件である。具体的には、位置取得条件は、互いに隣接する2個の測距センサ21の双方にて、距離取得条件が成立して検出距離が取得されていることである。推定位置取得部304は、位置取得条件が不成立の場合に、車両移動状態と、検出位置取得部303によって取得された過去の検出位置とに基づいて、相対位置の推定結果に対応する推定位置を取得するように設けられている。
距離信頼度判定部305は、所定の検知判定時点における距離情報の取得状態に基づいて、距離情報の信頼度即ち距離信頼度を判定するように設けられている。検知判定時点は、フロントバンパー12又はリアバンパー13に装着された複数の測距センサ21を用いて、検出距離、推定距離、検出位置、及び推定位置を取得することで、車両10の前方又は後方に存在する物体Bを検知する、特定の時点である。即ち、検知判定時点は、物体Bを検知するための所定のルーチンの起動時点である。具体的には、検知判定時点は、物体検知装置20の動作条件が成立した時点から、所定時間(例えば200msec)間隔で到来するものである。
距離情報は、検出距離取得部301又は推定距離取得部302によって取得された、検出距離又は推定距離である。距離情報の取得状態は、検出距離及び推定距離が、それぞれ取得されたか否かである。距離信頼度は、距離情報の取得状態に対応する情報である。距離信頼度には、第一距離信頼度と、第二距離信頼度と、第三距離信頼度と、第四距離信頼度とが含まれる。即ち、距離信頼度判定部305は、検知判定時点にて取得された距離情報における距離信頼度が、第一距離信頼度と、第二距離信頼度と、第三距離信頼度と、第四距離信頼度とのうちのいずれであるかを判定するようになっている。
第一距離信頼度は、測距センサ21にて閾値以上の強度の受信波が受信されて距離取得条件が成立したことにより検出距離が取得された場合に対応する信頼度である。第二距離信頼度は、測距センサ21にて閾値以上の強度の受信波が受信されたにもかかわらず、多重反射等の阻害事由が発生して距離取得条件が不成立となったことにより、検出距離は取得されなかったものの推定距離は取得された場合に対応する信頼度である。即ち、第二距離信頼度は、測距センサ21における直接波領域R1内に物体Bが存在することが確実であるものの、当該物体Bまでの具体的な距離が不明である場合に対応する。
第三距離信頼度は、測距センサ21にて閾値以上の強度の受信波が受信されず距離取得条件が不成立となったことにより、検出距離は取得されなかったものの推定距離は取得された場合に対応する信頼度である。第四距離信頼度は、測距センサ21にて閾値以上の強度の受信波が受信されず距離取得条件が不成立となったことにより、検出距離及び推定距離がともに取得されなかった場合に対応する信頼度である。距離信頼度については、第一距離信頼度が最も信頼度が高く、第四距離信頼度が最も信頼度が低いものとする。
位置信頼度判定部306は、検知判定時点における位置情報の取得状態に基づいて、位置情報の信頼度即ち位置信頼度を判定するように設けられている。位置情報は、検出位置取得部303又は推定位置取得部304によって取得された、検出位置又は推定位置である。位置情報の取得状態は、検出位置及び推定位置が、それぞれ取得されたか否かである。
位置信頼度は、位置情報の取得状態に対応する情報である。位置信頼度には、第一位置信頼度と、第二位置信頼度と、第三位置信頼度とが含まれる。即ち、位置信頼度判定部306は、検知判定時点にて取得された位置情報における位置信頼度が、第一位置信頼度と、第二位置信頼度と、第三位置信頼度とのうちのいずれであるかを判定するようになっている。
第一位置信頼度は、位置取得条件が成立したことにより検出位置が取得された場合に対応する信頼度である。第二位置信頼度は、位置取得条件が不成立となったことにより検出位置は取得されなかったものの、推定位置が取得された場合に対応する信頼度である。第三位置信頼度は、位置取得条件が不成立となったことにより、検出位置及び推定位置がともに取得されなかった場合に対応する信頼度である。位置信頼度については、第一位置信頼度が最も信頼度が高く、第三位置信頼度が最も信頼度が低いものとする。
選択部307は、検知判定時点における、検出距離、推定距離、検出位置、及び推定位置の取得状態に基づいて、検知判定時点にて取得された検出距離、推定距離、検出位置、及び推定位置のうちのいずれか1つを、検知判定時点における物体Bの検知結果として選択するように設けられている。取得状態は、検出距離、推定距離、検出位置、及び推定位置が、それぞれ取得されたか否かである。具体的には、選択部307は、距離信頼度判定部305及び位置信頼度判定部306における信頼度の判定結果に基づいて、検知判定時点にて取得された検出距離、推定距離、検出位置、及び推定位置のうちのいずれか1つを選択するようになっている。選択部307における処理内容の詳細については後述する。
制御部308は、選択部307によって選択された情報に基づいて、物体Bの検知に対応する各種動作を実行するように設けられている。具体的には、制御部308は、選択部307によって選択された情報に基づいて、表示部26及び/又は警報音発生部27を動作させるための制御信号を生成し、かかる制御信号を表示部26及び/又は警報音発生部27に送信するようになっている。
(動作概要)
以下、物体検知装置20の動作の概要について、具体的な動作例を用いつつ説明する。
電子制御装置30は、車速センサ22、シフトポジションセンサ23、操舵角センサ24、ヨーレートセンサ25、等の出力に基づいて、車両移動状態を取得する。車両移動状態には、車両10の進行方向及び進行速度が含まれる。車両10の進行方向を、以下「車両進行方向」と称する。車両移動状態は、複数の測距センサ21の各々における移動状態に対応する。
電子制御装置30は、物体検知装置20の動作条件が成立した時点から、所定時間間隔で、検知判定時点の到来を判定する。検知判定時点が到来すると、電子制御装置30は、複数の測距センサ21の各々の動作を制御して、複数の測距センサ21の各々から受信情報を取得する。また、電子制御装置30は、取得した車両移動状態と受信情報とに基づいて、距離情報及び位置情報を取得する。
一動作例を示す図3A及び図3Bにおいて、車両10は前方に一定速度で直進中であり、物体Bは、フロントバンパー12に装着された複数の測距センサ21による検知範囲における先端部近傍にて、右方向に一定速度で直進中であるものとする。また、図3AにおけるB(J)は、J回目の検知判定時点における、物体Bの実際の相対位置を示すものとする。図3BにおけるB(K)等も同様である。
図3Aを参照すると、(J−3)回目の検知判定時点において、物体Bは、フロントバンパー12に装着された複数の測距センサ21における、いずれの直接波領域及び間接波領域にも含まれない。故に、(J−3)回目の検知判定時点において、物体Bは、物体検知装置20によっては検知されない。
(J−2)回目の検知判定時点において、物体Bは、第三フロントソナー213の直接波領域R13内に進入する。但し、このときの物体Bは、第三フロントソナー213と第四フロントソナー214とによる三角測量が可能な間接波領域R234内には含まれない。
このため、(J−2)回目の検知判定時点においては、物体検知装置20は、物体Bの車両10に対する相対位置は検出も推定もできない一方、物体Bの第三フロントソナー213からの距離に対応する検出距離は取得可能である。また、物体Bの第三フロントソナー213からの距離に対応する検出距離が取得可能である場合には、物体Bの第三フロントソナー213からの距離に対応する推定距離をさらに取得する必要はない。したがって、電子制御装置30は、物体Bに関して、第三フロントソナー213からの距離に対応する検出距離を取得する一方、推定距離、検出位置、及び推定位置は取得しない。
(J−1)回目の検知判定時点において、物体Bは、第三フロントソナー213の直接波領域R13のみならず、第三フロントソナー213と第四フロントソナー214とによる三角測量が可能な間接波領域R234内にも進入する。間接波領域R234は、第三フロントソナー213の直接波領域R13と第四フロントソナー214の直接波領域R14とが重複する領域である。
このため、(J−1)回目の検知判定時点においては、物体検知装置20は、物体Bの車両10に対する相対位置の検出結果である検出位置と、物体Bの第三フロントソナー213からの距離に対応する検出距離と、物体Bの第四フロントソナー214からの距離に対応する検出距離とが取得可能である。また、検出位置が取得可能である場合には、推定位置をさらに取得する必要はない。したがって、電子制御装置30は、物体Bに関して、第三フロントソナー213からの距離に対応する検出距離、第四フロントソナー214からの距離に対応する検出距離、及び物体Bの検出位置を取得する一方、推定距離及び推定位置は取得しない。
J回目の検知判定時点においても、(J−1)回目の検知判定時点と同様に、電子制御装置30は、物体Bに関して、第三フロントソナー213からの距離に対応する検出距離、第四フロントソナー214からの距離に対応する検出距離、及び物体Bの検出位置を取得する一方、推定距離及び推定位置は取得しない。即ち、J回目の検知判定時点においては、物体Bの検出位置が、複数回連続で取得されている。このため、(J+1)回目の検知判定時点において、物体Bが間接波領域R234から逸脱しても、物体検知装置20は、当該検知判定時点における物体Bと車両10との相対速度と、検出位置の取得履歴とに基づいて、物体Bの推定位置を良好に取得することが可能である。
また、(J+1)回目の検知判定時点において、物体Bは、第四フロントソナー214の直接波領域R14内に含まれる。このため、第四フロントソナー214からの距離に対応する検出距離は取得可能である。物体Bの推定位置が良好に取得され、且つ第四フロントソナー214からの距離に対応する検出距離が良好に取得された場合には、物体Bの第三フロントソナー213からの距離に対応する推定距離をさらに取得する必要はない。したがって、電子制御装置30は、物体Bに関して、第四フロントソナー214からの距離に対応する検出距離、及び物体Bの推定位置を取得する一方、推定距離及び検出位置は取得しない。
検出距離、推定距離、検出位置、及び推定位置の取得は、公知又は周知の技術を用いて実現可能である。具体的には、例えば、推定位置は、取得済みの過去の検出位置又は推定位置と、今回取得又は推定された車両10と物体Bとの相対速度とに基づいて、取得(即ち算出)可能である。推定距離についても同様であり、取得済みの過去の検出距離又は推定距離と、今回取得又は推定された車両10と物体Bとの相対速度とに基づいて、取得(即ち算出)可能である。このため、検出距離、推定距離、検出位置、及び推定位置の取得の詳細については、本明細書においては説明を省略する。例えば、検出位置及び推定位置の取得の詳細については、特開2016−80646号公報、米国特許第9,594,166号明細書、中国特許出願公開第105539437号明細書、等を参照のこと。
図3Bを参照すると、(K−3)回目の検知判定時点において、物体Bは、第二フロントソナー212と第四フロントソナー214とによる三角測量が可能な間接波領域R224内に含まれる。このため、電子制御装置30は、物体Bに関して、第二フロントソナー212からの距離に対応する検出距離、第四フロントソナー214からの距離に対応する検出距離、及び物体Bの検出位置を取得する一方、推定距離及び推定位置は取得しない。
(K−2)回目の検知判定時点において、物体Bは、間接波領域R224から逸脱するものの、第二フロントソナー212の直接波領域R12内に含まれる。また、前回である(K−3)回目の検知判定時点において、物体Bの検出位置が取得されている。このため、前回の検出位置に基づいた良好な位置推定が可能である。したがって、電子制御装置30は、物体Bに関して、第二フロントソナー212からの距離に対応する検出距離、及び物体Bの推定位置を取得する一方、推定距離及び検出位置は取得しない。
(K−1)回目の検知判定時点において、物体Bは、間接波領域R224の外であるものの、第二フロントソナー212の直接波領域R12内に含まれる。また、前回である(K−2)回目の検知判定時点において、物体Bの推定位置が良好に取得されている。このため、前回の推定位置に基づいた良好な位置推定が可能である。したがって、電子制御装置30は、物体Bに関して、第二フロントソナー212からの距離に対応する検出距離、及び物体Bの推定位置を取得する一方、推定距離及び検出位置は取得しない。
K回目の検知判定時点において、物体Bは、間接波領域R224の外であるものの、第二フロントソナー212の直接波領域R12内に含まれる。但し、前回である(K−1)回目の検知判定時点までに、物体Bの位置推定が複数回連続で行われている。このため、仮に今回も物体Bの推定位置を取得したとしても、かかる推定位置の精度は高くない可能性がある。したがって、電子制御装置30は、物体Bに関して、第二フロントソナー212からの距離に対応する検出距離を取得する一方、推定距離、検出位置、及び推定位置は取得しない。
(K+1)回目の検知判定時点において、物体Bは、間接波領域R224のみならず、第二フロントソナー212の直接波領域R12からも逸脱する。但し、前回であるK回目の検知判定時点までに、第二フロントソナー212からの距離に対応する検出距離の取得が、複数回連続で行われている。
このため、(K+1)回目の検知判定時点において、物体Bが直接波領域R12から逸脱しても、物体検知装置20は、前回であるK回目の検知判定時点における物体Bと車両10との相対速度と、前回までの検出距離の取得履歴とに基づいて、推定距離を良好に取得することが可能である。したがって、電子制御装置30は、物体Bに関して、第二フロントソナー212からの距離に対応する推定距離を取得する一方、検出距離、検出位置及び推定位置は取得しない。
他の一動作例を示す図3Cにおいて、車両10は前方に一定速度で直進中であり、物体B2は、フロントバンパー12の近傍にて、右方向に一定速度で直進中であるものとする。また、図3CにおけるB(L)は、L回目の検知判定時点における、物体Bの実際の相対位置を示すものとする。
図3Cを参照すると、(L−2)回目の検知判定時点において、物体Bは、第三フロントソナー213と第四フロントソナー214とによる三角測量が可能な間接波領域R234内に含まれる。このため、電子制御装置30は、物体Bに関して、第三フロントソナー213からの距離に対応する検出距離、第四フロントソナー214からの距離に対応する検出距離、及び物体Bの検出位置を取得する一方、推定距離及び推定位置は取得しない。
(L−1)回目の検知判定時点において、物体Bは、間接波領域R234から逸脱するものの、第四フロントソナー214の直接波領域R14内に含まれる。また、前回である(L−2)回目の検知判定時点において、物体Bの検出位置が取得されている。このため、前回の検出位置に基づいた良好な位置推定が可能である。したがって、電子制御装置30は、物体Bに関して、第四フロントソナー214からの距離に対応する検出距離、及び物体Bの推定位置を取得する一方、推定距離及び検出位置は取得しない。
L回目の検知判定時点において、物体Bは、第二フロントソナー212と第四フロントソナー214とによる三角測量が可能な間接波領域R224内に進入する。但し、このときの物体Bは、第四フロントソナー214との距離が、非常に近い。この場合、第四フロントソナー214においては、受信波の強度は閾値以上であるものの、多重反射等により、良好な距離検出ができない。故に、この場合、三角測量による位置検出もできないこととなる。
即ち、L回目の検知判定時点において、閾値強度以上の受信波の受信により、物体Bが検知範囲内に存在すること自体は検知可能であるものの、正確な相対位置及び距離の検出はできない。但し、前回である(L−1)回目の検知判定時点において、物体Bの推定位置が取得されている。また、前回である(L−1)回目までに、第四フロントソナー214からの距離に対応する検出距離が複数回連続で取得されている。そこで、電子制御装置30は、物体Bに関して、第四フロントソナー214からの距離に対応する推定距離、及び物体Bの推定位置を取得する一方、検出距離及び検出位置は取得しない。
上記のように、複数の測距センサ21と物体Bとの位置関係に応じて、検出位置と推定位置とのうちの一方が位置情報として取得可能となるとともに、検出距離と推定距離とのうちの一方が距離情報として取得可能となる。位置情報と距離情報とのうちの一方のみが取得された場合は、当該一方に基づいて、物体Bの検知動作に関する所定の処理(警報音発生等)を実行すればよい。これに対し、位置情報と距離情報との双方が取得された場合は、いずれの情報を用いて上記の処理を実行すればよいのかが問題となる。
そこで、電子制御装置30は、位置情報及び距離情報の取得状態に基づいて、取得された検出距離、推定距離、検出位置、及び推定位置のうちのいずれか1つを、物体Bの検知結果として選択する。具体的には、電子制御装置30は、位置情報及び距離情報の取得状態に応じて信頼度を判定し、判定した信頼度に基づいて、検出距離、推定距離、検出位置、及び推定位置のうちのいずれか1つを選択する。
図4は、信頼度に基づく情報選択の一例を示す。表中、「位置」と表示されている欄は、位置情報が選択されることを示す。同様に、「距離」と表示されている欄は、距離情報が選択されることを示す。また、「位置/距離」は、位置情報と距離情報とのうち、車両10から物体Bまでの距離が小さいと推定される方が選択されることを示す。「車両10から物体Bまでの距離」とは、検知判定時点における車両移動状態を前提とした場合の、車両10における車両進行方向側の端面と物体Bとの、平面視における進行方向に沿った距離である。「車両10における車両進行方向側の端面」は、フロントバンパー12の前側表面又はリアバンパー13の後側表面である。
上記の通り、第一距離信頼度は、検出距離が取得された場合に対応する。第二距離信頼度は、物体Bが検知範囲内に存在すること自体は確実であるものの、検出距離は取得されず推定距離が取得された場合に対応する。即ち、例えば、図3CにおけるL回目の検知判定時点の例が、第二距離信頼度の場合の一例に相当する。第三距離信頼度は、推定距離は取得されたものの、物体Bが検知範囲内に存在することが確実であるとはいえないような場合に対応する。第四距離信頼度は、検出距離及び推定距離がともに取得されなかった場合に対応する。第一位置信頼度は、検出位置が取得された場合に対応する。第二位置信頼度は、推定位置が取得された場合に対応する。第三位置信頼度は、検出位置及び推定位置がともに取得されなかった場合に対応する。
図4を参照すると、検出位置が取得された第一位置信頼度の場合、取得された検出位置を用いれば、良好な物体検知動作が可能である。したがって、電子制御装置30即ち選択部307は、第一位置信頼度の場合、距離信頼度の判定結果にかかわらず、検出位置を選択する。
一方、検出位置も推定位置も取得されない第三位置信頼度の場合、物体検知に利用可能であるのは、取得された距離情報だけである。したがって、電子制御装置30即ち選択部307は、第三位置信頼度の場合、検出距離が取得されていれば検出距離を選択する一方、検出距離が取得されていないものの推定距離が取得されていれば推定距離を選択する。
検出位置が取得されず推定位置が取得された第二位置信頼度の場合、距離情報の取得状態に応じて、選択される情報が異なる。即ち、この場合、電子制御装置30即ち選択部307は、距離信頼度判定部305における判定結果である距離信頼度に応じて、選択すべき情報を決定する。
具体的には、例えば、距離信頼度が第一距離信頼度である場合、精度の高い検出距離が取得されている。そこで、電子制御装置30即ち選択部307は、第二位置信頼度且つ第一距離信頼度の場合、推定位置と検出距離とのうち、車両10から物体Bまでの距離が小さいと推定される方を選択する。
あるいは、例えば、距離信頼度が第二距離信頼度である場合、物体Bが検知範囲内に存在することが確実である。そこで、電子制御装置30即ち選択部307は、第二位置信頼度且つ第二距離信頼度の場合、推定位置と検出距離とのうち、車両10から物体Bまでの距離が小さいと推定される方を選択する。
あるいは、例えば、第二位置信頼度且つ第三距離信頼度の場合、推定位置と推定距離とが取得されている。この場合、方位情報が不明な推定距離よりは、方位情報を含む推定位置の方が、物体Bの検知動作に関する所定の処理(警報音発生等)を実行するか否かについて、より有益な情報となる。そこで、電子制御装置30即ち選択部307は、第二位置信頼度且つ第三距離信頼度の場合、推定位置を選択する。
あるいは、例えば、第二位置信頼度且つ第四距離信頼度の場合、推定位置のみが取得されている。即ち、この場合、物体検知に利用可能であるのは、取得された推定位置だけである。したがって、電子制御装置30即ち選択部307は、第二位置信頼度且つ第四距離信頼度の場合、推定位置を選択する。
上記の通り、本実施形態においては、物体検知装置20は、互いに隣接する2個の測距センサ21による三角測量に基づく位置情報のみならず、これらの測距センサ21のうちの一方のみによる距離情報をも用いて、物体Bの検知を行う。また、物体検知装置20は、位置情報及び距離情報の取得状態に基づいて、検知判定時点にて取得された検出距離、推定距離、検出位置、及び推定位置のうちのいずれか1つを、検知判定時点における物体Bの検知結果として選択する。
距離情報の取得によれば、複数の測距センサの各々における直接波領域の総和に対応する広い検知範囲が得られる一方、車両10を基準とした物体Bの方位は不明である。これに対し、位置情報の取得によれば、距離情報よりも検知範囲が狭くなる一方、車両10を基準とした物体Bまでの距離だけでなく、車両10を基準とした物体Bの方位をも認識可能となる。
したがって、本実施形態によれば、検知範囲の広い距離情報と、検知範囲の狭い位置情報とを併用することで、可及的に広い検知範囲を確保しつつ良好な物体検知を行うことが可能となる。また、位置情報と距離情報との双方が取得された場合に、位置信頼度及び距離信頼度に基づいて、位置情報と距離情報とのうちのいずれか一方を選択することで、可及的に精度の高い物体検知を行うことが可能となる。
(具体的な処理操作例)
以下、本実施形態の構成による具体的な処理操作例について、フローチャートを用いて説明する。図面及び明細書中の以下の説明において、「ステップ」を単に「S」と略記する。
図5は、位置情報及び距離情報の取得結果の、不揮発性RAMにおける格納状態の一例を示す。図5において、「D1」は、第一測距センサ即ち互いに隣接する2個の測距センサ21における一方から、検知した物体Bまでの距離である。同様に、「D2」は、第二測距センサ即ち互いに隣接する2個の測距センサ21における他方から、検知した物体Bまでの距離である。
「D1(N)」及び「D2(N)」は、N回目の検知判定時点に取得された、検出距離又は推定距離を示す。「P」は、第一測距センサ及び第二測距センサによって取得された、物体Bの相対位置である。「P(N)」は、N回目の検知判定時点に取得された、検出位置又は推定位置を示す。
強度フラグFR1は、第一測距センサにて受信波の強度が閾値強度以上であったか否かを示すフラグである。即ち、強度フラグFR1=1は、第一測距センサにて受信波の強度が閾値強度以上であったことを示す。これに対し、強度フラグFR1=0は、第一測距センサにて受信波の強度が閾値強度未満であったことを示す。同様に、強度フラグFR2は、第二測距センサにて受信波の強度が閾値強度以上であったか否かを示すフラグである。
距離検出フラグFD1は、第一測距センサから物体Bまでの検出距離が取得されたか否かを示すフラグである。即ち、距離検出フラグFD1=1は、第一測距センサから物体Bまでの検出距離が取得されたことを示す。これに対し、距離検出フラグFD1=0は、第一測距センサから物体Bまでの検出距離が取得されなかったことを示す。同様に、距離検出フラグFD2は、第二測距センサから物体Bまでの検出距離が取得されたか否かを示すフラグである。
距離推定フラグFE1は、第一測距センサから物体Bまでの推定距離が取得されたか否かを示すフラグである。即ち、距離推定フラグFE1=1は、第一測距センサから物体Bまでの推定距離が取得されたことを示す。これに対し、距離推定フラグFE1=0は、第一測距センサから物体Bまでの推定距離が取得されなかったことを示す。同様に、距離推定フラグFE2は、第二測距センサから物体Bまでの推定距離が取得されたか否かを示すフラグである。
位置検出フラグFDPは、物体Bの検出位置が取得されたか否かを示すフラグである。即ち、位置検出フラグFDP=1は、物体Bの検出位置が取得されたことを示す。これに対し、位置検出フラグFDP=0は、物体Bの検出位置が取得されなかったことを示す。同様に、位置推定フラグFEPは、物体Bの推定位置が取得されたか否かを示すフラグである。
図5において、「左前方」の表は、第一フロントソナー211と第三フロントソナー213とを用いた、車両10の左前方領域の検知結果を示す。「前方」の表は、第三フロントソナー213と第四フロントソナー214とを用いた、車両10の前方領域の検知結果を示す。「右前方」の表は、第二フロントソナー212と第四フロントソナー214とを用いた、車両10の右前方領域の検知結果を示す。
図5に示されているように、CPUは、検知判定時点の到来毎に、複数の測距センサ21のうちの隣接する2個を順次選択する。また、CPUは、選択した2個の測距センサ21の組み合わせ毎に、位置情報及び距離情報を取得する。また、CPUは、取得した位置情報及び距離情報を、時系列で不揮発性RAMに順次格納する。
図6A〜図6Cに示された距離取得ルーチンは、物体検知装置20の動作条件が不成立から成立に切り替わった時点に初回起動され、その後、物体検知装置20の動作条件が不成立となるまで、検知判定時点が到来する度に繰り返し起動される。具体的には、今回の検知判定時点が到来すると、まず、第一フロントソナー211と第三フロントソナー213とが選択されて、同ルーチンが起動される。次に、第三フロントソナー213と第四フロントソナー214とが選択されて、同ルーチンが起動される。続いて、第四フロントソナー214と第二フロントソナー212とが選択されて、同ルーチンが起動される。このように、複数の測距センサ21のうちの隣接する2個が順次選択されつつ、同ルーチンが起動される。
図6A〜図6Cに示された距離取得ルーチンが起動されると、まず、S601にて、CPUは、複数の測距センサ21のうちの隣接する2個を第一測距センサ及び第二測距センサとして選択する。具体的には、例えば、第一フロントソナー211と第三フロントソナー213とが選択された場合、第一フロントソナー211が第一測距センサとされ、第三フロントソナー213が第二測距センサとされ得る。
また、S601にて、CPUは、第一測距センサ及び第二測距センサにおける送受信を実行する。即ち、第一測距センサから探査波が発信され、第一測距センサ及び第二測距センサにて受信波が受信される。これにより、CPUは、第一測距センサ及び第二測距センサにおける受信情報を取得する。
次に、S602にて、CPUは、第一測距センサ及び第二測距センサのうちのいずれか一方にて、受信波の強度が閾値以上であったか否かを判定する。第一測距センサ及び第二測距センサのうちのいずれか一方にて、受信波の強度が閾値以上であった場合(即ちS602=YES)、CPUは、処理をS603に進行させる。S603にて、CPUは、受信波が間接波を含むか否かを判定する。
S602にて「YES」であり且つS603にて「YES」の場合、直接波及び間接波のいずれもが閾値以上の強度で受信されたこととなる。よって、この場合、CPUは、処理をS604に進行させ、強度フラグFR1及びFR2をともに「1」に設定する。
S602にて「YES」であり且つS603にて「NO」の場合、直接波のみが閾値以上の強度で受信されたこととなる。よって、この場合、CPUは、処理をS605に進行させ、強度フラグFR1を「1」に設定する一方、強度フラグFR2を「0」に設定する。
S602にて「NO」の場合、直接波及び間接波のいずれもが、閾値以上の強度で受信されなかったこととなる。よって、この場合、CPUは、処理をS606に進行させ、強度フラグFR1及びFR2をともに「0」に設定する。
処理がS604又はS605に進行した場合、CPUは、処理をS611に進行させる。S611にて、CPUは、D1に対応する検出距離が取得可能であるか否かを判定する。
D1に対応する検出距離が取得可能である場合(即ちS611=YES)、CPUは、処理をS612及びS613に進行させる。S612にて、CPUは、D1に対応する検出距離を取得(即ち算出)する。S613にて、CPUは、距離検出フラグFD1を「1」に設定する一方、距離推定フラグFE1を「0」に設定する。
D1に対応する検出距離が取得不可能である場合(即ちS611=NO)、CPUは、処理をS614に進行させる。例えば、直接波が閾値以上の強度で受信されなかった場合、D1に対応する検出距離が取得不可能となる。あるいは、直接波が閾値以上の強度で受信されても、多重反射等の阻害事由が発生した場合、D1に対応する検出距離が取得不可能となる。S614にて、CPUは、D1に対応する推定距離が取得可能であるか否かを判定する。
D1に対応する推定距離が取得可能である場合(即ちS614=YES)、CPUは、処理をS615及びS616に進行させる。S615にて、CPUは、D1に対応する推定距離を取得(即ち算出)する。S616にて、CPUは、距離検出フラグFD1を「0」に設定する一方、距離推定フラグFE1を「1」に設定する。
D1に対応する推定距離が取得不可能である場合(即ちS614=NO)、CPUは、処理をS617に進行させる。例えば、D1の推定が所定回数以上継続すると、D1に対応する推定距離の精度が低下する。このため、CPUは、例えば、D1に対応する推定距離の前回取得時点にて推定距離の取得が所定回数連続していた場合、今回のS614における判定を「NO」とする。S617にて、CPUは、距離検出フラグFD1及び距離推定フラグFE1を、ともに「0」に設定する。
S613、S616又はS617の処理が実行された後、CPUは、処理をS621に進行させる。S621にて、CPUは、D2に対応する検出距離が取得可能であるか否かを判定する。
D2に対応する検出距離が取得可能である場合(即ちS621=YES)、CPUは、処理をS622及びS623に進行させる。S622にて、CPUは、D2に対応する検出距離を取得(即ち算出)する。S623にて、CPUは、距離検出フラグFD2を「1」に設定する一方、距離推定フラグFE2を「0」に設定する。
D2に対応する検出距離が取得不可能である場合(即ちS621=NO)、CPUは、処理をS624に進行させる。S624にて、CPUは、D2に対応する推定距離が取得可能であるか否かを判定する。
D2に対応する推定距離が取得可能である場合(即ちS624=YES)、CPUは、処理をS625及びS626に進行させる。S625にて、CPUは、D2に対応する推定距離を取得(即ち算出)する。S626にて、CPUは、距離検出フラグFD2を「0」に設定する一方、距離推定フラグFE2を「1」に設定する。
D2に対応する推定距離が取得不可能である場合(即ちS624=NO)、CPUは、処理をS627に進行させる。S627にて、CPUは、距離検出フラグFD2及び距離推定フラグFE2を、ともに「0」に設定する。
S623、S626又はS627の処理が実行された後、CPUは、処理をS630に進行させる。S630にて、CPUは、距離情報の取得結果及びフラグの設定結果を、不揮発性RAMに格納する。その後、CPUは、本ルーチンを一旦終了する。
処理がS606に進行した場合、CPUは、処理をS641に進行させる。S641にて、CPUは、D1に対応する推定距離が取得可能であるか否かを判定する。
D1に対応する推定距離が取得可能である場合(即ちS641=YES)、CPUは、処理をS642及びS643に進行させる。S642にて、CPUは、D1に対応する推定距離を取得(即ち算出)する。S643にて、CPUは、距離検出フラグFD1を「0」に設定する一方、距離推定フラグFE1を「1」に設定する。
D1に対応する推定距離が取得不可能である場合(即ちS641=NO)、CPUは、処理をS644に進行させる。S644にて、CPUは、距離検出フラグFD1及び距離推定フラグFE1を、ともに「0」に設定する。
S643又はS644の処理が実行された後、CPUは、処理をS651に進行させる。S651にて、CPUは、D2に対応する推定距離が取得可能であるか否かを判定する。
D2に対応する推定距離が取得可能である場合(即ちS651=YES)、CPUは、処理をS652及びS653に進行させる。S652にて、CPUは、D2に対応する推定距離を取得(即ち算出)する。S653にて、CPUは、距離検出フラグFD2を「0」に設定する一方、距離推定フラグFE2を「1」に設定する。
D2に対応する推定距離が取得不可能である場合(即ちS651=NO)、CPUは、処理をS654に進行させる。S654にて、CPUは、距離検出フラグFD2及び距離推定フラグFE2を、ともに「0」に設定する。
S653又はS654の処理が実行された後、CPUは、処理をS630に進行させる。S630にて、CPUは、距離情報の取得結果及びフラグの設定結果を、不揮発性RAMに格納する。その後、CPUは、本ルーチンを一旦終了する。
図7に示された位置取得ルーチンは、図6A〜図6Cに示された距離取得ルーチンが初回起動された直後に初回起動され、その後、物体検知装置20の動作条件が不成立となるまで、検知判定時点が到来する度に、図6A〜図6Cに示された距離取得ルーチンの起動直後に起動される。
図7に示された位置取得ルーチンが起動されると、まず、S701にて、CPUは、D1及びD2に対応する距離情報を、不揮発性RAMから読み出す。次に、S702にて、CPUは、S701にて読み出した距離情報に対応する距離検出フラグFD1及びFD2がいずれも「1」であるか否かを判定する。具体的には、CPUは、FD1とFD2との積が「1」であるか否かを判定する。
距離検出フラグFD1及びFD2がいずれも「1」である場合(即ちS702=YES)、D1及びD2は、ともに検出距離である。この場合、D1及びD2に対応する検出距離に基づいて、三角測量により、物体Bの位置を精度良く検出することが可能である。そこで、この場合、CPUは、処理をS711及びS712に進行させる。S711にて、CPUは、検出距離D1及びD2に基づいて、検出位置を取得(即ち算出)する。S712にて、CPUは、位置検出フラグFDPを「1」に設定する一方、位置推定フラグFEPを「0」に設定する。
距離検出フラグFD1又はFD2が「0」である場合(即ちS702=NO)、D1に対応する検出距離、又はD2に対応する検出距離が取得されていない。本具体例においては、この場合、検出位置は取得しない。よって、この場合、CPUは、処理をS721及びS722に進行させる。S721にて、CPUは、位置検出フラグFDPを「0」に設定する。S722にて、CPUは、推定位置が取得可能であるか否かを判定する。
推定位置が取得可能である場合(即ちS722=YES)、CPUは、処理をS731及びS732に進行させる。S731にて、CPUは、推定位置を取得(即ち算出)する。S732にて、CPUは、位置推定フラグFEPを「1」に設定する。
推定位置が取得不可能である場合(即ちS722=NO)、CPUは、処理をS733に進行させる。S733にて、CPUは、位置推定フラグFEPを「0」に設定する。例えば、位置の推定が所定回数以上継続すると、推定位置の精度が低下する。このため、CPUは、例えば、推定位置の取得が所定回数連続した場合、推定位置が取得不可能であると判定する。
S712、S732又はS733の処理が実行された後、CPUは、処理をS740に進行させる。S740にて、CPUは、位置情報の取得結果及びフラグの設定結果を、不揮発性RAMに格納する。その後、CPUは、本ルーチンを一旦終了する。
図8に示された物体検知ルーチンは、図7に示された位置取得ルーチンが初回起動された直後に初回起動され、その後、物体検知装置20の動作条件が不成立となるまで、検知判定時点が到来する度に、図7に示された位置取得ルーチンの起動直後に起動される。図8に示された物体検知ルーチンが起動されると、CPUは、S801〜S806の処理を順に実行した後、本ルーチンを一旦終了する。
S801にて、CPUは、最新の距離情報D1(N)及びD2(N)を、不揮発性RAMから読み出す。S802にて、CPUは、強度フラグ、距離検出フラグ、及び距離推定フラグの設定状態に基づいて、距離信頼度を判定する。
具体的には、FD1=1の場合、D1(N)の距離信頼度は第一距離信頼度である。FR1=1且つFE1=1の場合、D1(N)の距離信頼度は第二距離信頼度である。FR1=0且つFE1=1の場合、D1(N)の距離信頼度は第三距離信頼度である。FE1=0の場合、D1(N)の距離信頼度は第四距離信頼度である。D2(N)の距離信頼度についても同様である。CPUは、D1(N)の距離信頼度と、D2(N)の距離信頼度とのうちの、信頼度が高い方を、距離信頼度の判定結果とする。
S803にて、CPUは、最新の位置情報P(N)を、不揮発性RAMから読み出す。S804にて、CPUは、強度フラグ、位置検出フラグ、及び位置推定フラグの設定状態に基づいて、位置信頼度を判定する。
具体的には、FDP=1の場合、P(N)の位置信頼度は第一位置信頼度である。FEP=1の場合、P(N)の位置信頼度は第二位置信頼度である。FEP=0の場合、P(N)の位置信頼度は第三位置信頼度である。
S805にて、CPUは、S802にて判定された距離信頼度及びS804にて判定された位置信頼度に基づいて、D1(N)、D2(N)及びP(N)のうちのいずれか1つを選択する。S806にて、CPUは、S805にて選択した情報に基づいて、物体Bの検知に対応する各種動作を実行する。具体的には、CPUは、表示部26及び/又は警報音発生部27を動作させるための制御信号を生成し、かかる制御信号を表示部26及び/又は警報音発生部27に送信する。
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一又は均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾又は特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な装置構成に限定されない。即ち、例えば、車両10は、四輪自動車に限定されない。具体的には、車両10は、三輪自動車であってもよいし、貨物トラック等の六輪又は八輪自動車であってもよい。「物体」は、「障害物」とも言い換えられ得る。即ち、物体検知装置は、障害物検知装置とも称され得る。
測距センサ21の配置及び個数は、上記の具体例に限定されない。即ち、例えば、図1を参照すると、第三フロントソナー213が車幅方向における中央位置に配置される場合、第四フロントソナー214は省略される。同様に、第三リアソナー217が車幅方向における中央位置に配置される場合、第四リアソナー218は省略される。
測距センサ21は、超音波センサに限定されない。即ち、例えば、測距センサ21は、レーザレーダセンサ、又はミリ波レーダセンサであってもよい。車両移動状態の取得は、車速センサ22、シフトポジションセンサ23、操舵角センサ24、及びヨーレートセンサ25を用いた態様に限定されない。即ち、例えば、ヨーレートセンサ25は省略され得る。あるいは、例えば、車両移動状態の取得の際に、上記以外のセンサが用いられ得る。
上記実施形態においては、電子制御装置30は、CPUがROM等からプログラムを読み出して起動する構成であった。しかしながら、本発明は、かかる構成に限定されない。即ち、例えば、電子制御装置30は、上記のような動作を可能に構成されたデジタル回路、例えばゲートアレイ等のASICであってもよい。ASICはAPPLICATION SPECIFIC INTEGRATED CIRCUITの略である。
電子制御装置30は、車載通信ネットワークを介して、車速センサ22等と電気接続され得る。車載通信ネットワークは、CAN(国際登録商標)、FlexRay(国際登録商標)等の車載LAN規格に準拠して構成される。CAN(国際登録商標)は、Controller Area Networkの略である。LANはLocal Area Networkの略である。この場合、移動状態取得部は、車速センサ22等との間の信号又は情報の授受のために電子制御装置30に設けられたインタフェース部であってもよい。
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な動作例及び処理態様に限定されない。例えば、上記の動作概要及び動作例は、車両10の前進時に対応するものであった。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。即ち、本発明は、車両10の後退時にも、同様に適用され得る。
図3Aを参照すると、(J+1)回目の検知判定時点において、電子制御装置30は、物体Bの第三フロントソナー213からの距離に対応する推定距離をさらに取得してもよい。同様に、図3Bを参照すると、(K−2)回目の検知判定時点において、電子制御装置30は、物体Bの第四フロントソナー214からの距離に対応する推定距離をさらに取得してもよい。
図4に対する変形例を以下に例示する。第二位置信頼度且つ第一距離信頼度の場合の「位置/距離」は、「距離」に変更され得る。第二位置信頼度且つ第二距離信頼度の場合の「位置/距離」は、「位置」に変更され得る。第二位置信頼度且つ第三距離信頼度の場合の「位置」は、「位置/距離」に変更され得る。
図5のデータは、RAMに格納されてもよい。
例えば、第一フロントソナー211と第三フロントソナー213とが選択された場合、第三フロントソナー213が第一測距センサとされ、第一フロントソナー211が第二測距センサとされ得る。
距離情報の推定が所定回数連続すると「1」に設定される、連続推定フラグが用意されてもよい。この場合、連続推定フラグが「0」に設定されていれば、推定距離の精度は高いものと推定される。そこで、連続推定フラグが「0」に設定されていれば、D1及びD2に対応する検出距離の一方又は双方が取得されていなくても、推定距離を用いて、三角測量により検出位置が取得され得る。
図8におけるS801及びS802の処理に際し、読み出される距離情報、及び判定される距離信頼度は、直接波距離即ちD1(N)に対応するものだけであってもよい。あるいは、図8におけるS801及びS802の処理に際し、読み出される距離情報、及び判定される距離信頼度は、D1(N)及びD2(N)のうちの値が小さい方だけであってもよい。
上記の通り、間接波領域R2と、互いに隣接する2個の測距センサ21における直接波領域R1同士が重複する領域とは、完全には一致しない。故に、上記の具体例は、間接波領域R2と、互いに隣接する2個の測距センサ21における直接波領域R1同士が重複する領域との、実際の差異に対応して、適宜変更され得る。
「取得」は、「算出」等の他の表現に適宜変更可能である。各判定処理における不等号は、等号付きであってもよいし、等号無しであってもよい。即ち、例えば、「閾値以上」は、「閾値を超える」に変更され得る。
変形例も、上記の例示に限定されない。また、複数の変形例が、互いに組み合わされ得る。更に、上記実施形態の全部又は一部と、変形例の全部又は一部とが、互いに組み合わされ得る。