JP7126831B2 - ムカデ類誘引香料、及びムカデ類防除用毒餌剤 - Google Patents
ムカデ類誘引香料、及びムカデ類防除用毒餌剤 Download PDFInfo
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Description
食品香料を含有する多足類害虫誘引香料であって、
前記食品香料は、フレッシュミルクオイル、ストロベリーエッセンス、アセトイン、マンゴーエッセンス、鰹・鮪エキス、カマンベールチーズフレーバー、アップルオイル、鰹塩辛エキス、鮪エキス、バナナエッセンス、ノリフレーバー、イカペースト、及びメープルエッセンスからなる群から選択される少なくとも1種であることにある。
前記食品香料は、ストロベリーエッセンス、アセトイン、マンゴーエッセンス、鰹・鮪エキス、カマンベールチーズフレーバー、鰹塩辛エキス、鮪エキス、バナナエッセンス、ノリフレーバー、イカペースト、及びメープルエッセンスからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記食品香料は、水溶性であることが好ましい。
多足類害虫防除用毒餌剤の誘引成分として用いられることが好ましい。
前記多足類害虫防除用毒餌剤に、0.1~4.9重量%添加されることが好ましい。
界面活性剤と併用されないことが好ましい。
多足類害虫防除用毒餌剤は、誘引成分である本発明の多足類害虫誘引香料、害虫防除成分、摂食促進成分である糖類、保湿成分である多価アルコール、及び水を含有する薬液を含むことが好ましい。薬液は、ゲル状体、マット体、及びシート体等の薬液保持体に保持されていることが好ましい。
[多足類害虫誘引香料]
ムカデは、動物性蛋白質からフルーツ、樹液等の植物由来の物質まで幅広い食性を有し、特に好む食物は諸説ある。本発明者らは、ムカデの誘引性について詳細に検討を行ったところ、ムカデは特定の種類の食品香料に強く誘引される傾向があることが判明した。この新たな知見に基づき、特定の種類の食品香料を含有させた結果、優れた誘引効果が認められた。本発明の多足類害虫防除用毒餌剤が含有する食品香料は、フレッシュミルクオイル、ストロベリーエッセンス、アセトイン、マンゴーエッセンス、鰹・鮪エキス、カマンベールチーズフレーバー、アップルオイル、鰹塩辛エキス、鮪エキス、バナナエッセンス、ノリフレーバー、イカペースト、及びメープルエッセンスが挙げられる。これらの食品香料は、単独で使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。さらに、本発明者らによるムカデの誘引性についての検討過程において、多足類害虫防除用毒餌剤に界面活性剤を添加した場合に、ムカデに対する摂食性が低下する傾向があることが明らかとなった。そのため、本発明の多足類害虫誘引香料は、界面活性剤と併用されないことが好ましく、界面活性剤の添加が不要となる水溶性の食品香料を含有することが好ましい。そのような水溶性の食品香料として、例えば、ストロベリーエッセンス、アセトイン、マンゴーエッセンス、鰹・鮪エキス、カマンベールチーズフレーバー、鰹塩辛エキス、鮪エキス、バナナエッセンス、ノリフレーバー、イカペースト、及びメープルエッセンスが挙げられる。薬液中の多足類害虫誘引香料の含有量は、0.1~5重量%が好ましい。薬液が薬液保持体に保持された多足類害虫防除用毒餌剤の状態では、多足類害虫誘引香料の含有量は、0.1~4.9重量%が好ましい。このような範囲であれば、多足類害虫に対する優れた誘引性を発揮することができる。多足類害虫防除用毒餌剤中の多足類害虫誘引香料の含有量が0.1重量%未満であると、多足類害虫の誘引性が不十分なものとなる場合がある。一方、多足類害虫防除用毒餌剤中の多足類害虫誘引香料の含有量が4.9重量%を超えると、多足類害虫防除用毒餌剤を閉鎖空間に設置した場合等に、臭気が過剰に強くなる虞がある。
薬液の主成分の一つである害虫防除成分は、ムカデ、ヤスデ等の多足類害虫の駆除に有効な成分であることが好ましい。そのような成分として、ネオニコチノイド系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤が挙げられ、特に、ネオニコチノイド系殺虫剤が好ましい。ネオニコチノイド系殺虫剤としては、例えば、ジノテフラン、アセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアクロプリド、チアメトキサム、及びニテンピラムが挙げられ、特に、ジノテフランが好ましい。なお、ジノテフランには、不斉炭素に基づく光学異性体や幾何異性体が存在するが、それらも害虫防除成分に含まれる。カーバメート系殺虫剤としては、プロポクスル、カルバリル、メソミル、チオジカルブが挙げられ、特に、プロポクスルが好ましい。これらのネオニコチノイド系殺虫剤、及びカーバメート系殺虫剤は、単独で使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。薬液中の害虫防除成分の含有量は、0.1~1.0重量%が好ましい。このような範囲であれば、薬液が薬液保持体によって保持された状態においても、害虫防除成分の効果を奏することができる。薬液中の害虫防除成分の含有量が0.1重量%未満である場合、害虫防除成分が不足し殺虫効果が不十分なものとなる。一方、薬液中の害虫防除成分の含有量が1.0重量%を超える場合、害虫防除成分の濃度が高くなるため、薬液を適切に調製し難くなる。
薬液の主成分の一つである摂食促進成分は、糖類であることが好ましい。糖類としては、例えば、グルコース、及びフルクトース等の単糖類、スクロース、マルトース、及びトレハロース等の二糖類、三温糖、グラニュー糖、及び上白糖等の精製糖が挙げられ、特に、三温糖が好ましい。これらの糖類は、単独で使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。また、糖類だけではなく、ソルビトール、キシリトール等の糖アルコール、及びその他の甘味料を摂食促進成分として配合することも可能である。薬液中の摂食促進成分の含有量は、10~70重量%が好ましい。このような範囲であれば、多足類害虫に対する優れた摂食性を発揮することができ、さらに、低温でも摂食促進成分が結晶化することがないため多足類害虫防除用毒餌剤の保存性に優れる。薬液中の摂食促進成分の含有量が10重量%未満であると、多足類害虫の摂食性が不十分なものとなる場合がある。一方、薬液中の摂食促進成分の含有量が70重量%を超えると、低温環境において摂食促進成分が結晶化する虞がある。
薬液の主成分の一つである保湿成分は、多価アルコールであることが好ましい。多価アルコールとしては、例えば、グリセリンや、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、及びベンジルグリコール等のグリコール類が挙げられ、特に、グリセリンが好ましい。これらの多価アルコールは、単独で使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。薬液中の保湿成分の含有量は、10~40重量%が好ましい。保湿成分の含有量がこのような範囲であれば、多足類害虫防除用毒餌剤を設置後、乾燥、変質を防ぎ、多足類害虫誘引香料による誘引性を長期間にわたって維持することができる。薬液中の保湿成分の含有量が10重量%未満であると、設置後に多足類害虫防除用毒餌剤が早期に乾燥、変質し、ムカデに対する誘引性及び摂食性を維持できない虞がある。薬液中の保湿成分の含有量が40重量%を超える場合、保湿成分の濃度が高くなるため、薬液を適切に調製し難くなる。
薬液には、本発明の効果に支障を来たさない限り、必要に応じ、カビ類や菌類等を対象とした防カビ剤、抗菌剤、殺菌剤、ビトレックス等の苦味剤、pH調整剤、着色剤等を適宜配合してもよい。防カビ剤、抗菌剤、及び殺菌剤としては、ヒノキチオール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(4-チアゾリル)ベンツイミダゾール、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、トリホリン、3-メチル-4-イソプロピルフェノール、オルト-フェニルフェノール等が挙げられる。また、上述したように、多足類害虫防除用毒餌剤に界面活性剤を添加した場合、ムカデに対する摂食性が低下する傾向があるため、多足類害虫誘引香料を配合する多足類害虫防除用毒餌剤は、界面活性剤を含有しないことが好ましい。
本発明の多足類害虫誘引香料を含む薬液を保持する薬液保持体としては、薬液をゲル化剤を用いてゲル化させたゲル状体、薬液をマットに吸収させたマット体、薬液をシートに吸収させたシート体等が挙げられる。例えば、薬液保持体としてゲル状体を用いる場合、ゲル状の多足類害虫防除用毒餌剤を形成することができる。これにより、多足類害虫防除用毒餌剤は、取り扱いが容易なものとなり、さらに、長期間にわたって乾燥することなく、多足類害虫を防除することができる。ゲル化剤としては、例えば、吸水性樹脂、キサンタンガム、カラギナン、ローカストビーンガム、及び寒天等が挙げられる。ここで、本発明者らは、ゲル化剤の種類によって摂食性に相違があることを見出し、ゲルの性状に注目してムカデに対する摂食性を検討したところ、曳糸性の高いゲルではムカデに対する摂食性が低下する傾向があることが判明した。そのため、ゲル化剤としては、曳糸性が低い吸水性樹脂が好ましい。そのような吸水性樹脂として、自重の100倍以上の水を吸収することができるアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物等のアクリル酸系吸水性ポリマーが挙げられる。薬液とゲル化剤とは、重量比として、20:1~70:1で配合されることが好ましい。薬液とゲル化剤との配合比がこのような範囲であれば、ムカデが摂食しやすい硬さ、及び含水率の粒状の毒餌剤が得られ、ムカデに対する高い防除効果を奏することができる。薬液とゲル化剤との配合比が20:1より小さい、即ち薬液をゲル化剤に対して20:1の配合比よりも減らすと、多足類害虫誘引香料による誘引性が十分に効力を示さず、多足類害虫を効果的に誘引できない虞がある。薬液とゲル化剤との配合比が70:1より大きい、即ち薬液をゲル化剤に対して70:1の配合比よりも増やすと、多足類害虫防除用毒餌剤の粘度が過度に小さくなり、取り扱いの面で不便なものとなる虞がある。
誘引成分として本発明の多足類害虫誘引香料であるアセトイン1g、及び鮪エキス1g、害虫防除成分としてジノテフラン0.3g、摂食促進成分として三温糖40g、保湿成分としてグリセリン20g、その他の成分としてイソチアゾリン系抗菌剤0.02g、及びビトレックス0.002gを、精製水に混合して100gとすることで、薬液を調製した。さらに、吸水性樹脂(三洋化成、サンフレッシュ)0.3gに薬液10gを分注して膨潤させることで、実施例1の多足類害虫防除用毒餌剤を得た。
誘引成分として本発明の多足類害虫誘引香料であるストロベリーエッセンス1g、及び鰹・鮪エキス1g、害虫防除成分としてジノテフラン0.3g、摂食促進成分として三温糖20g、保湿成分としてグリセリン20g、その他の成分としてイソチアゾリン系抗菌剤0.02g、及びビトレックス0.002gを、精製水に混合して100gとすることで、薬液を調製した。さらに、パルプ製マット体(12mm×6.3mm×厚み15mm)に薬液4gを分注して保持させることで、実施例2の多足類害虫防除用毒餌剤を得た。
誘引成分として本発明の多足類害虫誘引香料であるフレッシュミルクオイル1g、及びアップルオイル1g、害虫防除成分としてジノテフラン0.3g、摂食促進成分として三温糖20g、保湿成分としてグリセリン20g、その他の成分としてイソチアゾリン系抗菌剤0.02g、及びビトレックス0.002gを、精製水に混合して100gとすることで、薬液を調製した。さらに、パルプ製マット体(12mm×6.3mm×厚み15mm)に薬液4gを分注して保持させることで、実施例3の多足類害虫防除用毒餌剤を得た。
実施例1に準じて表1に示す各種の組成で多足類害虫防除用毒餌剤(ゲル状体)を調製し、摂食性確認試験を実施した。
摂食率(%) = Ce/Cd × 100
Cd:ゲル状体の提示回数
Ce:摂食回数
Claims (3)
- ムカデ類防除用毒餌剤の誘引成分として用いられる、食品香料を含有するムカデ類誘引香料であって、
前記食品香料は、ストロベリーエッセンス、アセトイン、鰹・鮪エキス、鮪エキス、及びノリフレーバーからなる群から選択される2種以上であり、
前記食品香料は、水溶性であり、
前記ムカデ類防除用毒餌剤に、0.8重量%以上添加され、
前記ムカデ類防除用毒餌剤に用いられる際に、界面活性剤と併用されないムカデ類誘引香料(但し、アルギン酸エステルと併用される場合を除く)。 - 前記ムカデ類防除用毒餌剤に、4.9重量%以下添加される請求項1に記載のムカデ類誘引香料。
- 請求項1又は2に記載のムカデ類誘引香料を誘引成分として含有する薬液を含むムカデ類防除用毒餌剤であって、
前記薬液は、害虫防除成分、摂食促進成分である糖類、保湿成分である多価アルコール、及び水をさらに含有するムカデ類防除用毒餌剤。
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