JP4970186B2 - ゴキブリ用定着材 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴキブリの移動を抑制して(所定の領域に居続けさせて)捕獲・駆除するためのゴキブリ用定着材、ゴキブリ駆除装置およびゴキブリ駆除方法に関する。
従来から、誘引毒餌剤を用いて、ゴキブリ等の害虫を死滅させて駆除することが行われており、例えば、摂食物質の表面に溝、筋、網目模様等を付して、害虫が食し易いように工夫されているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、台所には、水、餌が豊富にあるとともに、台所の諸設備により発せられる熱により、年間を通じて適度な温度があることから、暖かいところを好むゴキブリ等の害虫が繁殖しやすい環境となっている。このため、台所においてゴキブリ等の害虫が繁殖するのを防止するために、台所に忌避剤や駆除剤を配置したり、電気機器(冷蔵庫など)に忌避剤や駆除剤を収容する収容容器を設けたりすることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
実開昭60−110402号公報 特開2005−13209号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような誘引毒餌剤は、通常いろいろな場所に多数配置して、ゴキブリ等の害虫が有効量を喫食するようにしなければならず使い勝手が悪かった。また、製剤によっては効果が十分ではなかったり、或いはカビが発生して不衛生となったりする問題があった。
また、上記特許文献2に記載の技術においては、冷蔵庫の機械室等に別途収容容器を設けなければならず、コストアップを招くという問題があった。また、後で取付けることも難しく、取付けた場合においても収容容器内に捕獲したゴキブリ等の死骸が溜まって不衛生であるという問題があった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低コストで簡単な構造によりゴキブリの捕獲・駆除効率を向上させて衛生を確保することができるゴキブリ用定着材、ゴキブリ駆除装置およびゴキブリ駆除方法を提供することにある。
本発明の発明者らは、鋭意検討の結果、今まだ知られることがなかったゴキブリの生物学的特徴、即ちゴキブリが粗面に居続ける(定着する)習性を有することを見出した。即ち、前述した本発明の目的は、その習性を利用した下記の構成により達成される。
(1) 樹脂製基材の上面に10〜1000μmの細かな凹凸を形成し、または、基材上面に砂のような細かな粒状物質を貼り付けて10〜1000μmの細かな凹凸を形成して、ザラザラに粗くした表面粗さの粗面からなるゴキブリ用定着材であって、かつ、設置場所に合わせて自由に切断して全体形状を調整できるものであることを特徴とするゴキブリ用定着材。
(2) 誘引毒餌剤を中央近傍に置いてなることを特徴とする上記(1)に記載のゴキブリ用定着材。
上記(1)の構成のゴキブリ用定着材によれば、ゴキブリは本発明のゴキブリ用定着材の上を通行すると、その習性により、粗面である表面に居続けようとし、そこからの移動が抑制される。即ち、ゴキブリはゴキブリ用定着材の上で移動を止めるので、例えばゴキブリ用定着材の近辺に誘引毒餌剤を置いておけば、この誘引毒餌剤を喫食する確率が高くなる。また、誘引剤を配置した収容容器をゴキブリ用定着材の近傍におけば、ゴキブリがこの誘引剤に誘引されて収容容器内に進入する確率が高くなる。このため、表面が粗面であるだけの安価で簡単な構造のゴキブリ用定着材を用いることにより、捕獲・駆除効率を向上させて衛生を確保することができる。
また、上記(2)の構成のゴキブリ駆除装置によれば、ゴキブリ駆除装置の、例えば入り口や周囲にゴキブリ用定着材を配置したので、ゴキブリ駆除装置の近辺を通行しようとしたゴキブリはゴキブリ用定着材の上を通行して、その習性により、粗面である表面に居続けようとし、そこからの移動が抑制される。即ち、ゴキブリはゴキブリ用定着材の上で移動を止めるので、ゴキブリ駆除装置に配されている誘引毒餌剤に誘引されて収容容器内に進入する確率が高くなるとともにこの誘引毒餌剤を喫食する確率が高くなる。或いは、ゴキブリ駆動装置に粘着部材を配した場合には、ゴキブリ駆除装置のケース内部に進入し、この粘着部材によって捕獲される確率が大きくなる。このため、表面が粗面であるゴキブリ用定着材を用いた安価で簡単な構造のゴキブリ駆除装置を用いることにより、捕獲・駆除効率を向上させて衛生を確保することができる。
そして、上記(3)の構成のゴキブリ駆除方法によれば、表面が粗面であってゴキブリが居続けるゴキブリ用定着材をゴキブリが通行する可能性がある場所に配置するので、ゴキブリはゴキブリ用定着材の上を通行する際に、その習性により、ゴキブリ用定着材の上に居続けようとし、そこからの移動が抑制される。このとき、ゴキブリ用定着材の近辺や上にゴキブリ駆除装置を配置しているので、ゴキブリがゴキブリ駆除装置の誘引毒餌剤に誘引されて、この誘引毒餌剤を喫食して死滅する確率が高くなる。或いは、ゴキブリ駆除装置の粘着部材によって捕獲される確率が大きくなる。これにより、安価で簡単な構造のゴキブリ用定着材を用いることにより、捕獲・駆除効率を向上させて衛生を確保することができる。
本発明によれば、ゴキブリはゴキブリ用定着材の上で移動を止めるので、ゴキブリ用定着材の近辺に、誘引毒餌剤を置いておく、又は粘着部材を配置させることにより、この誘引毒餌剤を喫食する確率又は粘着部材による捕獲・駆除確率が高くなる。また、誘引剤を配置したゴキブリ駆除装置をゴキブリ用定着材の近傍や上に置けば、ゴキブリがこの誘引剤に誘引されて収容容器内に進入する確率が高くなる。さらに、粘着部材を配置したゴキブリ駆除装置をゴキブリ用定着材の近傍や上に置けば、粘着部材との接触確率が高くなって捕獲・駆除確率が高くなる。
このため、表面が粗面であるだけの低コストで簡単な構造により、ゴキブリの捕獲・駆除効率を向上させて衛生を確保することができるゴキブリ用定着材、ゴキブリ駆除装置およびゴキブリ駆除方法を提供することができる。
以下、本発明に係る好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、図1(A)は本発明のゴキブリ用定着材に係る実施形態を示す斜視図であり、(B)は拡大断面図であり、図2はゴキブリ用定着材の上にゴキブリ駆除装置を配置した状態を示す斜視図であり、図3は本発明にかかるゴキブリ用定着材を使用した場合と使用しない場合を比較する平面図であり、図4(A)および(B)は図3の実験の比較結果を示す表であり、図5は図3の実験の比較結果を示す表であり、図6(A)〜(C)はゴキブリ駆除装置の変形例を示す斜視図であり、図7はゴキブリ用定着材のうえにゴキブリの誘引毒餌剤を含んだ摂食物質を配置した状態を示す斜視図である。
図1に示すように、本発明の実施形態にかかるゴキブリ用定着材10は、板状の基材11の少なくとも上面に粗面(ざらざら面)12が形成されている。
なお、基材11としては、紙、布、不織布、樹脂、木材、金属、セラミック等を例示することができるが、薄いもの、軽いもの、或いはやわらかいものなどが取り扱い容易なので好適である。また、システムキッチンや給食設備等の一部の表面に直接粗面12を設けることもできる。
紙としてはサンドペーパ、木材としてはベニヤ板が好適である。
基材11の表面に粗面12を形成するには、基材11として樹脂を用いる場合には基材11自身の上面に細かな凹凸を形成してざらざらに粗く形成することができる。あるいは、サンドペーパように、基材11の上面に、砂のような細かな粒状物質を噴射するなどして貼り付けて形成することもできる。
なお、ゴキブリ用定着材10の全体形状は、設置場所に合わせて切断して自由に調整できるものがよい。
ゴキブリ用定着材10は、ゴキブリの餌となる物質が多い場所の、ゴキブリの通行する可能性が高い場所、例えば台所や給食センター等の流し台、食器棚、食器ケース、食品ケース、ごみ箱、隙間ラック、収納家具等に配置して使用される。ゴキブリ用定着材10の上をゴキブリが通行すると、ゴキブリはゴキブリ用定着材10の粗面12に居続けようとして、そこからの移動が抑制される。
そこで、図2に示すように、ゴキブリ用定着材10の上にゴキブリ駆除装置20を配置する。ここで、ゴキブリ駆除装置20としては、誘引毒餌剤13によりゴキブリを死滅させて駆除するもの、あるいは内部に進入したゴキブリを粘着部材28や幾何学的形状又は粘着部材28等により外部に出られなくして捕獲して駆除するもの、さらに誘引毒餌剤13および粘着部材28等を併用するものがある。
ここでは、いずれのタイプにおいても同様の作用効果を有するので、以後、誘引毒餌剤13によりゴキブリを死滅させて駆除するゴキブリ駆除装置20を主に例示して説明することとし、特に異なる事項については、別途説明することとする。
ゴキブリ駆除装置20は、少なくとも1個の入り口25(図2においては前後面と左右両面の4個)を有する全体矩形の箱状の筐体(ケース)21を有しており、底部22、側壁23、23、蓋部24を有している。筐体21内部の底部22上に粘着部材28が付設されており、当該粘着部材28上の中央部に、誘引毒餌剤13が配置されている。
誘引毒餌剤13は、以下の各種成分を用いて製造することができる。
例えば、タンパク質、炭水化物、脂質などの少なくとも1種からなるものが挙げられる。タンパク質としては、動物性タンパク質や植物性タンパク質があるが、どちらでも良い。動物性タンパク質の例としては、アクチン、アルブミン、カゼイン、フィブリン、フィブリノーゲン、ケラチン、グロブリン(α、β、γ)、ヘモグロビン、ミオシンなど、あるいはフィッシュソリュブル、イナゴ、バッタ、カマキリ、コオロギ、ハチ、アブラムシ、ゴキブリ、チョウ、ガ、ハエ、アカムシ、ミールワーム、魚のエサ(ミミズ、ゴカイなど)、内臓(レバーなど)、タマゴ、魚粉、サナギ、オキアミ、エビ、ミルク、チーズ、飼料用酵母、馬肉などから得られる固体(粉体など)および液状物、その他の生物体の粉やその抽出物、酵素分解物などが挙げられる。
また、植物性タンパク質としては、エデスチン、ゼイン、グリアジン、アラチン、ツェイン、グルテンなど、あるいはジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシなどのデンプン粉、小麦粉、米粉、フスマ、大豆、綿実、菜種、ゴマ、粟、ヒエ、タマネギ、バナナなど、そして落花生、カボチャ種、ソラマメなどから得られる固体(粉体など)および液状物がある。またこれらの植物性タンパク質の加工物、即ち米ぬか、酒粕、ゴマ油粕、オカラ、ビールなど、さらに穀類の脱脂粕を酸分解後中和した組成物などが挙げられる。
また、炭水化物としては、例えば果汁、ハチミツ、廃糖蜜、砂糖きび、パラチノース、トレハロース、ソホロース、ツラノース、ラミナリビオース、ニゲエロース、セルビオース、キシロビオース、ロイクロース、ゲンチオビオース、メルビオース、ルチノース、プリムベロース、ビシアノース、ロビノース、N−アセチルグルコサミン、ガラクツロン酸、マンノース、キシロース、アラビノース、グルクロン酸、グルコサミン、ショ糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、黒砂糖、赤砂糖、三温糖、グラニュウ糖、麦芽糖、アラビノース、ガラクトース、ソルビトール、グリセリンなどが挙げられる。
また、脂質としては、植物性油や動物性油がある。植物性油としては例えば、木ロウ、ヤシ油、カカオ油、コーン油、ヌカ油、ナタネ油、ゴマ油などの植物油、ヒマシ油、オリーブ油、落花生油などの不乾性油、アマニ油、キリ油、麻実油、エノ油などの乾性油があげられる。また、動物性油としては例えば、哺乳類油である体脂、バター脂、脚脂、そして鳥類、爬虫類、両生類、昆虫などから得られる油、鯨油、イルカ油、イワシ油、ニシン油、タラ肝油、サメ肝油、イカ油、ハマグリ油、卵油および酵母または細菌などが生産する油脂、例えば米コウジや麦コウジ等の醗酵物などがあげられる。
前記タンパク質、炭水化物及び脂質は、単一の物質に存在することはあまりなく共存することが多いので、実際上は前記の例示した各物質に一緒に含まれていることが多く、1つの物質をこれらの成分の混在する材料として使用することがある。また、タンパク質、炭水化物及び脂質の混合割合が特定の範囲にあるものが害虫に対してその誘引作用が大きいことが多い。
害虫を誘引する物質としては天然物質、例えば昆虫または昆虫由来の生体物質、好ましくは膜翅目及び半翅目昆虫の各発育段階の生体物質が適している。生体物質の場合には、その乾燥物、冷凍乾燥物、破砕物そして抽出物を固形、粉末、液状などの形態で利用することができる。この物質は特に害虫について高嗜好性であって、害虫の誘引性に優れている。さらに、前記の誘引物質を組成するに適したタンパク質の一例を上げて説明すると、そのアミノ酸組成中に、1.0〜1.5重量%のトリプトファンを必要とし、主成分として9重量%以上のグルタミン酸及びアスパラ酸を含み、5重量%以上のレクチン、プロリン、グリシン、リジン、バリン、アラニン、チロシン、アルギン、イソレクチン及びその他のアミノ酸成分の少なくとも1種以上よりなるものである。
また、前記天然物質と併用できる害虫誘引物質としては、例えば脂肪酸のメチルまたはエチルエステル、飽和または不飽和アルコール、非還元性デンプン加水分解物、シクロヘキシル基を持つカルボン酸エステル、芳香性を持つ脂肪酸ケトン、アルコール、アルデヒド、ラクトン、エステル、アロエまたはユーカリ植物およびその抽出物、炭素数7ないし9のケトン、バニリン、エチルバニリン、イソバニリン、ピペロナール、ピペロナールアセトン、2.6−ノナジエーテルなど、また例えば道しるベフェロモンとして知られるもの、即ち、(3S,4R,6E,10Z)−3,4,7,11−テトラメチルートリデカー6,10−ジエナール、(Z)−9−ヘキサデセナール、2,5−ジメチルピラジン、3−メチル−2,5−ジメチルピラジン、Z,E−α−フラネセン、E,E−α−フラネセンなどが挙げられる。
そして、ゴキブリ駆除薬剤としては、従来からの害虫防除成分、即ち殺虫剤、または該殺虫剤とその共力剤の少なくとも一種以上を、対象害虫が摂食によりその致死量以上が体内に摂取される量を配合すればなんら制限されない。そして、該殺虫剤としては、ピレスロイド系殺虫剤、有機リン系殺虫剤、カーバメイト系殺虫剤、その他の殺虫剤および共力剤などが挙げられる。また、それらの具体例としては、以下のものがある。
害虫防除成分としては、ゴキブリに対して殺虫効果を有する成分であればよく、例えば、除虫菊エキス、天然ピレトリン、プラレトリン、イミプロトリン、フタルスリン、アレスリン、トランスフルトリン、ビフェントリン、レスメトリン、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、サイパーメスリン、エトフェンプロックス、シフルスリン、デルタメスリン、ビフェントリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、エムペンスリン、シラフルオフェン、メトフルトリン、プロフルトリン等のピレスロイド系化合物、フェニトロチオン、ダイアジノン、マラソン、ピリダフェンチオン、プロチオホス、ホキシム、クロルピリホス、ジクロルボス等の有機リン系化合物、カルバリル、プロポクスル、メソミル、チオジカルブ等のカーバメート系化合物、メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系化合物、フィプロニル等のフェニルピラゾール系化合物、アミドフルメト等のスルホンアミド系化合物、ジノテフラン、イミダクロプリド等のネオニコチノイド系化合物、メトプレン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン等の昆虫成長制御化合物、クロルフェナピル等のピロール系化合物等、ロテノン、ディート、P−メンタン−3,8−ジオール、エチルーブチルアセチルアミノプロピオネート、ヒドロキシアニソール、ベンジルアルコール、ハッカ油、シトロネラ油、ユーカリ油、ゲラニウム油、蚊連草等の1種又は2種以上が挙げられる。
また、粘着部材28に用いられる粘着剤としては、透明または半透明であり、加えて常温で粘着性を有する不乾性のものでかつ常温で流動性のないものであれば本発明おいて何ら制限されるものではない。
例えば、天然ゴム、合成ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイソブチレン、ポリブテン、アタクチックポリプロピレンおよびその他の液状重合体、石油樹脂などの粘着付与樹脂などを単独あるいは適宜溶剤の存在下もしくは無溶剤で加熱によりあるいはラテックス、エマルジョン状態で混合して、塗布して用いることができる。特に、スチレン−ブタジエンブロックポリマー、及び/又はエチレン−酢酸ビニル共重合体などと粘着付与樹脂、可塑剤との組み合わせ、ポリイソブチレンと液状ポリブテンおよびアタクチックポリプロピレンの組み合わせなどは無溶剤系で加熱混合ができ、そのまま塗布できることなど、粘着特性ばかりか作業性の面からも好ましいものである。
これらの材料により粘着部材28に塗布される粘着剤の粘度は例えばJIS K−6833(1980)に準拠する測定方法により測定され130℃で2500〜3300Pの間の粘着物質であればよいが、特にこの範囲には限定されない。
このように、ゴキブリ駆除装置20の周囲にゴキブリ用定着材10を配置したので、ゴキブリ駆除装置20の近辺を通行しようとしたゴキブリはゴキブリ用定着材10の上を通行し、その習性により、粗面12である表面に居続けようとし、そこからの移動が抑制される。即ち、ゴキブリはゴキブリ用定着材10の上で移動を止めるので、ゴキブリ駆除装置20に配されている誘引毒餌剤13に誘引されて収容容器である筐体21内に進入する確率が高くなる。これに伴い、この誘引毒餌剤13を喫食する確率や、粘着部材28により捕獲される確率が高くなる。このため、表面が粗面12であるゴキブリ用定着材10を用いることにより、安価で簡単な構造のゴキブリ駆除装置20による捕獲・駆除効率を向上させて衛生を確保することができる。
図3には、本発明にかかるゴキブリ用定着材10を使用した場合と使用しない場合を比較した実験例が示されている。一方には本発明にかかるゴキブリ用定着材10としてのベニヤ板(化粧板の裏)10Aの上にゴキブリ駆除装置20を配置し、他方にはつるつるの表面を有する化粧板(表)14の上にゴキブリ駆除装置20を配置した。両ゴキブリ駆除装置20、20はまったく同じものであり、見やすいように透明の円形ドーム型の筐体21を有して、複数の入り口を有している。また、筐体21の内部には、粘着部材28は付設されず、誘引剤13として角砂糖がそれぞれ配置されている。
このような状態で、ゴキブリGを放ち、暗室下で数日間放置後、筐体21内に収容されたゴキブリGをカウントした。なお、ゴキブリGとしてクロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)を用いた場合には1m×1mの試験箱にオス・メス各25匹を放ち、一方チャバネゴキブリ(Blattella germanica)を用いた場合には50cm×50cmの試験箱にオス・メス各30匹を放して実験を行った。
実験の結果から、図4(A)および(B)に示すように、クロゴキブリおよびチャバネゴキブリの両方について、ともにつるつる面を用いた場合に比して、ゴキブリ用定着材10を用いた場合の方が、多くのゴキブリが捕獲されることが示されている。
また、図3に示した同様の状態で、一方には本発明にかかるゴキブリ用定着材10としてのサンドペーパ(120#)の上にゴキブリ駆除装置20を配置し、他方にはつるつるの表面を有する黒紙15の上にゴキブリ駆除装置20を配置した。また、先の実験と同じく、両ゴキブリ駆除装置20、20はまったく同じものであり、見やすいように透明の筐体21を有している。また、筐体21の内部には、粘着部材28は付設されず、誘引剤13として角砂糖がそれぞれ配置されている。
この状態で、チャバネゴキブリをオス・メス各30匹放ち、暗室下で数日間放置後、筐体21内に収容されたゴキブリGをカウントした。
実験の結果、図5に示すように、つるつる面を有する黒紙15を用いた場合に比較して、ゴキブリ用定着材10としてのサンドペーパを用いた場合の方が、多くのゴキブリが捕獲されることがわかる。
このように、本発明にかかるゴキブリ駆除方法では、前述したゴキブリ用定着材10およびゴキブリ駆除装置20を用いて、ゴキブリが通行する可能性がある場所に表面が粗面12であってゴキブリが居続け、そこからの移動が抑制されるゴキブリ用定着材10を配置し、ゴキブリ用定着材10の近辺や上に誘引毒餌剤13を配置してゴキブリを死滅させて捕獲し、ゴキブリ駆除装置20を廃棄することによりゴキブリを駆除する。
あるいは、前述したゴキブリ用定着材10およびゴキブリ駆除装置20を用いて、ゴキブリが通行する可能性がある場所に表面が粗面12であってゴキブリが居続け、そこからの移動が抑制されるゴキブリ用定着材10を配置し、ゴキブリ用定着材10の近辺や上に粘着部材28を配置してゴキブリを粘着して捕獲し、ゴキブリ駆除装置20を廃棄することによりゴキブリを駆除する。
以上、説明したゴキブリ用定着材10、ゴキブリ駆除装置20およびゴキブリ駆除方法によれば、ゴキブリはゴキブリ用定着材10の上を通行しようとすると、その習性により粗面12である表面に居続けようとし、そこからの移動が抑制される。即ち、ゴキブリはゴキブリ用定着材10の上で移動を止めるので、例えばゴキブリ用定着材10の近辺に誘引毒餌剤13を置いておけば、この誘引毒餌剤13を喫食する確率が高くなる。また、ゴキブリ駆除装置20をゴキブリ用定着材10の近傍におけば、ゴキブリが筐体21内に進入する確率が高くなり、例えば粘着部材28により捕獲される確率が高くなる。
このため、表面が粗面12であるだけの安価で簡単な構造のゴキブリ用定着材を用いることにより、捕獲効率を向上させることができ、衛生を確保することができる。
なお、本発明のゴキブリ用定着材、ゴキブリ駆除装置およびゴキブリ駆除方法は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
図6(A)〜(C)には、ゴキブリ駆除装置20の変形例が示されている。前述したゴキブリ駆除装置20では、筐体21にはざらざら表面の粗面12が設けられずに、筐体21をゴキブリ用定着材10の粗面12の上に配置している。
一方、図6(A)に示すゴキブリ駆除装置20Bでは、筐体21の前後面および左右両側面の4箇所の入り口25付近に粗面26を展開することができるように、筐体21を形成している台紙に粗面26を設けたものである。使用前には、粗面26は筐体21の下面側へ折り返しておき、使用時に図6(A)に示すように、入り口25付近に展開する。
したがって、このゴキブリ駆除装置20Bでは、前述したゴキブリ駆除装置20のように、ゴキブリ用定着材10の上に置いて使用することができるが、ゴキブリ用定着材10を用いずに単独で使用することもできる。
図6(B)および(C)に示すゴキブリ駆除装置20C、20Dでは、筐体21を形成する台紙の表面の一部または全面を加工して粗面27を設け、この台紙を用いて表面に、直接、粗面27が現れるように筐体21を形成し、即ち筐体21自体に粗面27を設けたものである。
したがって、このゴキブリ駆除装置20Bでは、前述したゴキブリ駆除装置20のように、ゴキブリ用定着材10の上に置いて使用することができるが、ゴキブリ用定着材10を用いずに単独で使用することもできる。
また、前述した各実施形態においては、ゴキブリ駆除装置20として筐体21を有するものを例示したが、図7に示すように、本発明のゴキブリ用定着材10の上に、直接、誘引毒餌剤13を配置し、ゴキブリ用定着材10の上に居続けるゴキブリにこの誘引毒餌剤13を喫食させて、死滅させ、駆除することも可能である。また、ゴキブリ用定着材10にゴキブリ駆除用の薬剤等を直接処理して、直接ゴキブリを駆除する性質を備えるように構成してもよい。
さらに、粗面12、26、27におけるざらざらの度合い{例えば、凹凸の大きさ(目視、手触りなど)、触針式表面粗さ測定機による面粗度(R)}は、ゴキブリの大きさに応じて適切なものを用いるのが望ましい。例えば、1000μm以下の表面粗さが挙げられ、木板では10〜500μmが目安として挙げられ、またサンドペーパなどの他の基材も略同程度の表面粗さで用いることができる。
例えば、体の大きなゴキブリに対しては凹凸が大きなものを用い、体が小さなゴキブリに対しては凹凸が小さなものを用いるのが効果的である。さらに、凹凸の大きさを一定とせずに、種々の大きさを混在させることにより、種々の大きさのゴキブリに対応することもできる。
(A)は本発明のゴキブリ用定着材に係る実施形態を示す斜視図、(B)は拡大断面図である。 ゴキブリ用定着材の上にゴキブリ駆除装置を配置した状態を示す斜視図である。 本発明にかかるゴキブリ用定着材を使用した場合と使用しない場合を比較する実験の平面図である。 (A)および(B)は、図3の実験の比較結果を示す表である。 図3の実験の比較結果を示す表である。 (A)〜(C)は、ゴキブリ駆除装置の変形例を示す斜視図である。 ゴキブリ用定着材のうえにゴキブリの誘引毒餌剤を含んだ摂食物質を配置した状態を示す斜視図である。
符号の説明
10 ゴキブリ用定着材
12、26,27 粗面
13 誘引毒餌剤
20 ゴキブリ駆除装置(ゴキブリ駆除手段)
25 入り口
28 粘着部材

Claims (2)

  1. 樹脂製基材の上面に10〜1000μmの細かな凹凸を形成し、または、基材上面に砂のような細かな粒状物質を貼り付けて10〜1000μmの細かな凹凸を形成して、ザラザラに粗くした表面粗さの粗面からなるゴキブリ用定着材であって、かつ、設置場所に合わせて自由に切断して全体形状を調整できるものであることを特徴とするゴキブリ用定着材。
  2. 誘引毒餌剤を中央近傍に置いてなることを特徴とする請求項1記載のゴキブリ用定着材。
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