JP7124429B2 - コイル部品およびコイル装置 - Google Patents

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Description

本発明は、たとえばインダクタなどとして用いられるコイル装置と、そのコイル装置の内部に配置されるコイル部品とに関する。
各種の電子・電気機器には、インダクタなどとして用いられる多くのコイル装置が搭載されている。そのようなコイル装置を構成するコイル部品の一例として、たとえば特許文献1に示すコイル部品が開発されている。この特許文献1に示すコイル部品では、環状のコイルパターン部からはみ出している部分に、連結部分や屈曲部分が形成されてコイル部品が構成してある。
しかしながら、コイル装置の小型化と大電流化によりコイル部品を構成する導電板部の板厚が厚くなると、環状部からはみ出す連結部分や屈曲部分が小型化に対応できなくなってきている。
特に、特許文献1に示すコイル部品を、磁性粉体などを含む圧縮成型体から成るコア部で覆ってコイル装置を構成する場合に、環状のコイルパターン部から大きくはみ出している連結部分や屈曲部分をもコア部で覆うことになり、コイル装置の小型化が図れないという課題を有している。また、環状のコイルパターン部から大きくはみ出している連結部分や屈曲部分をもコア部で覆うために、コイルとして機能しない無駄な部分をコア部で覆うことになり、材料の無駄になり、コストアップにもつながる。
特開2013-187454号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、コイル部品の小型化と大電流化の双方を満足することが容易なコイル部品とコイル装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係るコイル部品は、
第1開口部を持つ第1コイルパターン部が形成してある第1導電板部と、
前記第1導電板部に対して積層方向に所定間隔で配置され、第2開口部を持つ第2コイルパターン部が形成してある第2導電板部と、
前記第1導電板部および前記第2導電板部と同じ板材から成形され、これらの前記第1導電板部および前記第2導電板部を接続している折曲連結部と、を有するコイル部品であって、
前記折曲連結部が、前記第1開口部に接する前記第1コイルパターン部の第1外側縁部の一部と、前記第2開口部に接する前記第2コイルパターン部の第2外側縁部の一部とを直接に連結している。
本発明に係るコイル部品では、折曲連結部が、第1開口部に接する第1コイルパターン部の第1外側縁部の一部と、第2開口部に接する第2コイルパターン部の第2外側縁部の一部とを直接に連結している。そのため、環状の第1コイルパターン部および環状の第2コイルパターン部から突出する折曲連結部の飛び出し部分を必要最小限にすることができる。したがって、コイル部品の小型化を図ることが容易になる。
また、コイル部品の小型化を図ることが容易になるため、コイル部品と、そのコイル部品が一体的に内蔵されるコア圧粉体とを有するコイル装置の小型化を図ることも容易である。さらに、コイル部品の小型化を図ることが容易になるため、コイル部品と、そのコイル部品が内部に装着されるコア部材とを有するコイル装置の小型化を図ることも容易である。さらに、第1コイルパターン部が形成してある第1導電板部と、第2コイルパターン部が形成してある第2導電板部とを、厚く成形することが容易になり、これらのコイルパターン部に流れる電流の高電流化を図ることが可能になる。
好ましくは、前記折曲連結部は、前記第1コイルパターン部の第1パターン終点から前記第1開口部の周囲に沿って所定の第1終点長さで、前記第1コイルパターン部に連結してあると共に、前記第2コイルパターン部の第2パターン終点から前記第2開口部の周囲に沿って所定の第2終点長さで、前記第2コイルパターン部に連結してある。
折曲連結部と第1コイルパターン部との接続部の幅が、第1終点長さに対応し、折曲連結部と第2コイルパターン部との接続部の幅が、第2終点長さに対応し、これらの長さを所定範囲に保つことで、これらの接続部での電気抵抗の増大を抑制することができる。
好ましくは、前記第1終点長さは、前記第1コイルパターン部の第1幅よりも長く、前記第2終点長さは、前記第2コイルパターン部の第2幅よりも長い。このように構成することで、折曲連結部の厚みを薄くしても、折曲連結部の横断面積の減少を抑制し、電気抵抗の増大を抑制することができる。また、好ましくは、前記第1終点長さと前記第2終点長さとは略同一である。さらに、折曲連結部は、折曲方向に沿って幅が略同一であることも好ましい。ただし、折曲連結部は、必ずしも積層方向に沿って同一の位置に配置されること無く、折曲連結部の両幅方向端は、傾斜して配置されていても良い。
好ましくは、前記第1パターン終点から前記第1終点長さの位置で、前記第1コイルパターン部には、前記第1開口部に向けて凹んでいる第1切欠が形成してあり、
前記第2パターン終点から前記第2終点長さの位置で、前記第2コイルパターン部には、前記第2開口部に向けて凹んでいる第2切欠が形成してある。
このように構成することで、環状の第1コイルパターン部および環状の第2コイルパターン部から突出する折曲連結部の飛び出し量をさらに小さくすることができる。したがって、コイル部品のより小型化を図ることができる。
好ましくは、前記折曲連結部の屈曲内面または屈曲外面には、屈曲用凹部が形成してあり、
前記折曲連結部の厚みが、前記第1コイルパターン部の第1厚みよりも小さく、前記第2コイルパターン部の第2厚みよりも小さい。
このように構成することで、環状の第1コイルパターン部および環状の第2コイルパターン部から突出する折曲連結部の飛び出し量をさらに小さくすることができる。したがって、コイル部品のより小型化を図ることができる。また、折曲連結部の厚みを小さくすることで、第1コイルパターン部と第2コイルパターン部との間の積層方向の隙間を、さらに小さくすることが容易になる。その結果、これらのコイルパターン間の磁気的結合を強くすることが可能になると共に、これらの間に、コア圧粉体に含まれる金属磁性粉などが入り込み難くなり、短絡不良などが生じ難くなる。
好ましくは、前記第1コイルパターン部と前記第2コイルパターン部との間には、絶縁部材が介在してある。絶縁部材としては、たとえば接着剤が例示される。
前記第1導電板部は、前記1コイルパターン部の第1パターン始点から前記第1開口部の周囲に沿って所定の第1始点長さで、前記第1コイルパターン部に連結してある第1リード部を有していてもよい。
好ましくは、前記第1リード部は、前記第1コイルパターン部の平面から前記積層方向に沿って折り曲げられている。このように構成することで、コイル部品をさらに小型化することができる。また、好ましくは、第1リード部の先端部には、先端に向けて幅が狭くなるテーパ部が形成してある。
この第1リード部の先端部が、たとえばコア圧粉体から露出することになり、実装部との接続部になる。第1リード部の先端部にテーパ部を形成することで、たとえば金属磁性体を含むコア圧粉体との接触を容易に避けることができ、金属磁性体との短絡を防止することができる。
好ましくは、前記第1導電板部は、前記第1リード部の先端部以外で、絶縁層で覆われている。このように構成することで、たとえば金属磁性体を含むコア圧粉体との接触を容易に避けることができ、第1導電板部と金属磁性体との短絡を有効に防止することができる。
前記第2導電板部は、前記2コイルパターン部の第2パターン始点から前記第2開口部の周囲に沿って所定の第2始点長さで、前記第2コイルパターン部に連結してある第2リード部を有していてもよい。好ましくは、第2リード部は、第2コイルパターン部の平面から積層方向に沿って折り曲げられて、第1コイルパターン部の外側に位置する。このように構成することで、コイル部品をさらに小型化することができる。また、好ましくは、第2リード部の先端部にも、第1リード部と同様に、先端に向けて幅が狭くなるテーパ部が形成してある。また、好ましくは、第2導電板部も、第1導電板部と同様に、第2リード部の先端部以外で、絶縁層で覆われている。
前記第1開口部の長手方向の一端に位置する内側面が第1円弧状内曲面を有してもよく、
前記第1円弧状内曲面に対応する前記第1導電板部の外側面が第1角状突出部を有してもよく、
前記第2開口部の長手方向の一端に位置する内側面が第2円弧状内曲面を有してもよく、
前記第2円弧状内曲面に対応する前記第2導電板部の外側面が第2角状突出部を有してもよい。
このように構成することで、第1角状突出部および第2角状突出部の近くに位置するコア圧粉体またはコア部材にまで磁束を広げることが可能になり、磁束をコア圧粉体またはコア部材の全体へ広げ、コア圧粉体またはコア部材の角部を有効利用することができる。また、第1角状突出部では、第1導電板部の横断面積が広がり、電気抵抗が下がると共に、第2角状突出部では、第2導電板部の横断面積が広がり、電気抵抗が下がる。
本発明の第1の観点に係るコイル装置は、
上記のいずれかに記載のコイル部品と、
前記コイル部品の第1開口部の内部と、前記第2開口部の内部と、前記第1コイルパターン部の外面と、前記第2コイルパターン部の外面と、前記折曲連結部の外面とを一体的に覆う磁性体を含有するコア圧粉体と、を有する。
本発明の第2の観点に係るコイル装置は、
上記のいずれかに記載のコイル部品と、
磁性体で成形されて、前記コイル部品が内部に装着されるコア部材と、を有するコイル装置であって、
前記コア部材が、
前記コイル部品の前記第1開口部の内部と前記第2開口部の内部とに挿入される中脚部と、
前記第1コイルパターン部の軸芯方向の外面と、前記第2コイルパターン部の前記軸芯方向の外面とに配置される平板状のベース部と、
前記第1コイルパターン部の外側面と、前記第2コイルパターン部の外側面と、前記折曲連結部の外側面とに配置される外脚部と、を有する。
図1は本発明の一実施形態に係るコイル装置の概略斜視図である。 図2は図1に示すコイル装置に内蔵してあるコイル部品の斜視図である。 図3は図2に示すIII-III線に沿うコイル装置の断面図である。 図4Aは図2に示すIVA-IVA線に沿うコイル装置の断面図である。 図4Bは図2に示すIVB-IVB線に沿うコイル装置の断面図である。 図5Aは図2に示すコイル部品の製造過程を示す斜視図である。 図5Bは図5Aの続きの工程を示す斜視図である。 図5Cは図5Bの続きの工程を示す斜視図である。 図6は本発明の他の実施形態に係るコイル装置の分解斜視図である。 図7Aは図6に示すコイル部品の拡大斜視図である。 図7Bは図6に示す上側コアを異なる角度から見た拡大斜視図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
第1実施形態
図1に示すように、本発明の一実施形態におけるコイル装置としてのインダクタ素子2は、圧粉成形体としてのコア部(封止部)4を有する。コア部4は、本実施形態では、略6面体形状を有し、上面4Aと、その上面4AとZ軸方向の反対側に位置する下面4Bと、4つの側面4Cとを有する。本実施形態では、下面4Bが、回路基板などに接続するための実装面となる。
コア部4の上面4Aは、下面4Bに対して略平行な反実装側外面であり、4つの側面4Cは、これらの上面および下面に対して略垂直となっている。ただし、コア部4の形状は、特に限定されず、6面体に限らず、円柱形、楕円柱、多角柱などであってもよい。
また、本実施形態では、コア部4は、Y軸方向よりも、X軸方向に細長く成形してあり、X軸方向の側面4Cに、図2に示すリード部66,67がX軸方向に露出して形成してある。これらのリード部66,67の先端は、図3に示すように、コア部4の下面4BよりもZ軸方向の下側に突出するようにコア部4に装着してある。なお、図面において、X軸とY軸とZ軸は、相互に略垂直であり、本実施形態では、Z軸がコイル装置2の上下方向であり、X軸がコイル装置2の長手方向に一致する。
図2に示すように、コア部4の内部には、コイル部品6が装着してある。コイル部品6の主要部分は、コア部4により覆われている。なお、コイル部品6の主要部分とは、コア部4から露出しているリード部66,67の一部を除く部分である。
なお、図3に示すように、本実施形態では、好ましくは、リード部66,67のX軸方向端面の大部分がコア部4から露出しているが、必ずしも露出している必要はなく、コア部4の内部に埋め込まれていても良い。ただし、各リード部66,67のZ軸方向の下端部は、回路基板との接続部になるため、少なくともZ軸方向の所定高さZ1の範囲でコア部4から露出していることが好ましい。所定高さZ1は、好ましくは0.1~0.5mmである。
各リード部66,67のZ軸方向の下端部を所定高さZ1以上の範囲で、コア部4に接触しないように露出させるために、図3および図4Bに示すように、コア部4からのリード取出部には、Z軸方向の下方に向けて広がるテーパ状凹部4Dが形成してある。また、同様な理由により、各リード部66,67のZ軸方向の下端部には、図4Bに示すように、Z軸方向の下端に向けてY軸方向幅および/またはX軸方向厚みが小さくなるようなテーパ部が形成してあることが好ましい。
このように構成することで、回路基板のランド部に、リード部66,67の下端部をハンダなどで容易に接続することができ、しかも、ハンダは、コア部4の下面4Bには付着し難くなる。なお、各リード部66,67の下端部では、後述する絶縁層64が剥離されており、リード部66,67を構成する金属の表面が露出している。
図2および図3に示すように、コイル部品6は、Z軸方向(積層方向)に積層される複数の導電板部を有する。以下の実施形態では、2つの第1および第2導電板部61および62がZ軸方向に積層されてコイル部品6が構成されているものとして説明するが、これに限定されない。
図2に示すように、第1導電板部61には、第1開口部61aを持つ第1コイルパターン部61bが形成してある。第2導電板部62は、第1導電板部61に対して積層(Z軸)方向に所定間隔で配置される。第2導電板部62には、第1開口部61aとZ軸方向に連通して略同じサイズの第2開口部62aを持つ第2コイルパターン部62bが形成してある。
本実施形態では、第1コイルパターン部61bは、X軸方向に細長く伸びる第1開口部を、第1パターン始点61cから第1パターン終点61dまでの約一周弱で囲むパターンを有する。第1パターン始点61cと第1パターン終点61dとの間には、第1開口部61aが外部に向けて開かれている第1切り欠き部が形成してある。第1切り欠き部のX軸方向の切欠幅は、特に限定されず、第1パターン始点61cと第1パターン終点61dとの間の絶縁性が保たれる程度の幅であれば特に限定されない。
第2コイルパターン部62bは、X軸方向に細長く伸びる第2開口部を、第2パターン始点62cから第2パターン終点62dまでの約一周弱で囲むパターンを有する。第2パターン始点62cと第2パターン終点62dとの間には、第2開口部62aが外部に向けて開かれている第2切り欠き部が形成してある。第2切り欠き部のX軸方向の切欠幅は、特に限定されず、第2パターン始点62cと第2パターン終点62dとの間の絶縁性が保たれる程度の幅であれば特に限定されない。
本実施形態では、第1導電板部61および第2導電板部62と同じ板材から成形してある折曲連結部63により、これらの第1導電板部61および第2導電板部62が接続されている。折曲連結部63は、第1開口部61aに接する第1コイルパターン部61bの第1外側縁部の一部と、第2開口部62aに接する第2コイルパターン部62bの第2外側縁部の一部とを直接に連結している。
すなわち、折曲連結部63は、第1コイルパターン部61bの第1パターン終点61dから第1開口部61aの周囲に沿って所定の第1終点長さX1(X軸方向の長さ)で、第1コイルパターン部61bの第1外側縁部に一体的に連結してある。また、折曲連結部63は、第2コイルパターン部62bの第2パターン終点62dから第2開口部62aの周囲に沿って所定の第2終点長さX2(X軸方向の長さ)で、第2コイルパターン部62bの第2外側縁部に一体的に連結してある。
これらの終点長さX1およびX2は、好ましくは略同一であることが好ましいが、異なっていても良い。また、本実施形態では、折曲連結部63と第1コイルパターン部61との接続部のX軸方向位置と、折曲連結部63と第2コイルパターン部62との接続部のX軸方向位置とが略一致しているが、X軸方向に位置ずれしていてもよい。
本実施形態では、好ましくは、第1パターン終点61dから第1終点長さX1の位置で、第1コイルパターン部61bには、折曲連結部63の折曲方向と反対方向(第1開口部61aに向かう方向)に凹んでいる第1切欠61eが形成してある。また、好ましくは、第2パターン終点62dから第2終点長さX2の位置で、第2コイルパターン部62bには、折曲連結部63の折曲方向と反対方向(第2開口部62aに向かう方向)に凹んでいる第2切欠62eが形成してある。
これらの切欠61e,62eは、必ずしも具備させる必要は無いが、具備させることで、環状の第1コイルパターン部61bおよび環状の第2コイルパターン部62bからY軸方向に突出する折曲連結部63の飛び出し量をさらに小さくすることができる。したがって、コイル部品2のより小型化を図ることができる。
なお、これらの切欠61e,62eの各々のX軸方向幅は、特に限定されないが、第1導電板部61および第2導電板部62の厚み(Z軸方向厚み)の0.1~2倍程度が好ましい。また、切欠61e,62eの各々のY軸方向深さは、特に限定されないが、第1導電板部61および第2導電板部62の幅(Y軸方向幅)の0.1~0.7倍程度が好ましい。
また、折曲連結部63の屈曲内面には、屈曲用凹部63aが形成してあり、その部分で、図4Aに示すように、折曲連結部63の厚みt0が、第1コイルパターン部61bの代表的な第1厚みt1よりも小さくなっている。なお、第1コイルパターン部61bの代表的な第1厚みt1は、第2コイルパターン部62bの第2厚みと同程度であり、これらのパターン部を構成する金属板の板厚と同等である。t0/t1は、1以下であり、好ましくは、0.3以上~1未満である。
図2に示す第1終点長さX1は、図4Aに示す第1コイルパターン部61bの代表的な第1幅W1よりも長い。たとえばW1/X1(W1/X2も同様)は、1以下であり、好ましくは0.1以上で1未満である。第1コイルパターン部61bの代表的な第1幅W1は、第2コイルパターン部62bの代表的な第2幅と同等である。第1コイルパターン部61bの代表的な第1幅W1は、折曲連結部63および切り欠き部61eが形成されていない部分における第1コイルパターン部61bのY軸方向幅の最小値として定義される。また、同様に、第2コイルパターン部62bの代表的な第2幅は、折曲連結部63および切り欠き部62eが形成されていない部分における第2コイルパターン部62bのY軸方向幅の最小値として定義され、第1幅W1と略同一である。
本実施形態では、図4Aに示す第1コイルパターン部61bの代表的な第1幅W1は、特に限定されないが、第1開口部61aのY軸方向幅W0との関係で、W1/W0が、好ましくは0.2~2となるように決定される。また、第1幅W1は、第1コイルパターン部61bの代表的な第1厚みt1との関係で、好ましくはt1/W1が0.3~1となるように決定される。なお、第1開口部61aと第2開口部62aとは、Y軸方向およびX軸方向に位置決めされて配置され、第2開口部62aのY軸方向幅は、第1開口部61aのY軸方向幅W0と同等であることが好ましい。
図2に示すように、本実施形態では、第1導電板部61は、第1コイルパターン部61bの第1パターン始点61cから第1開口部61aの周囲に沿って所定の第1始点長さY1(Y軸方向の長さ)で、第1コイルパターン部61bに連結してある第1リード部66を有する。第1リード部66は、第1コイルパターン部61bのX軸およびY軸を含む平面から積層方向(Z軸方向の下方)に沿って折り曲げられている。図4Bに示すように、第1リード部66の先端部には、先端に向けて幅が狭くなるテーパ部66aが形成してある。
図2に示すように、第2導電板部62は、第2コイルパターン部62bの第2パターン始点62cから第2開口部62aの周囲に沿って所定の第2始点長さY2(Y軸方向の長さ)で、第2コイルパターン部62bに連結してある第2リード部67を有する。第2リード部67は、第2コイルパターン部62bのX軸およびY軸を含む平面からZ軸方向に沿って下方に向けて折り曲げられて、第1コイルパターン部61bの外側に位置する。第2リード部67の先端部には、先端に向けて幅が狭くなるテーパ部67aが形成してある。図4Bに示すように、第2リード部67の先端部は、第1リード部66の先端部と同様に、コア部4の下面4Bから下方に飛び出している。
第2始点長さY2は、第1始点長さY1と同程度であることが好ましいが、必ずしも同一である必要は無い。これらの長さY1,Y2は、それぞれ図4Aに示す第1コイルパターン部61bの代表的な第1幅W1と同等以上の幅であることが好ましく、Y1/W1は、好ましくは1以上であり、さらに好ましくは、1.2~3である。
図3、図4Aおよび図4Bに示すように、第1導電板部61、第2導電板部62および折曲連結部63は、第1リード部66および第2リード部67の先端部以外で、絶縁層64で覆われている。第1導電板部61、第2導電板部62および折曲連結部63は、後述するように、一枚の金属板から成形され、その厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1~2mmである。絶縁層64の厚みは、特に限定されないが、好ましくは5~40μmである。
第1導電板部61、第2導電板部62および折曲連結部63を構成する金属としては、特に限定されないが、たとえばCu、Al、Fe、Ag、Au、およびそれらの合金などが例示される。また、絶縁層64としては、特に限定されないが、金属酸化物あるいは樹脂などで構成される。
絶縁層64を構成する金属酸化物としては、特に限定されないが、酸化チタンやアルマイトなどが例示される。絶縁層64を構成する樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂あるいはポリイミド系樹脂などの熱可塑性樹脂、あるいはメラミン樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、エポキシなどの紫外線硬化樹脂などが例示される。なお、絶縁被覆あるいは酸化被膜を施す方法としては、特に限定されないが、電着法、蒸着法あるいはスパッタリング法などが例示される。
図2に示すように、本実施形態では、第1開口部61aの長手方向(X軸方向)の一端に位置する内側面が第1円弧状内曲面61fを有し、第1円弧状内曲面61fに対応する第1導電板部61の外側面が第1角状突出部61gを有する。また、第2開口部62aの長手方向(X軸方向)の他端に位置する内側面が第2円弧状内曲面62fを有し、第2円弧状内曲面62fに対応する第2導電板部62の外側面が第2角状突出部62gを有する。
このように構成することで、第1角状突出部61gおよび第2角状突出部62gの近くに位置するコア圧粉体としてのコア部4にまで磁束を広げることが可能になり、コア圧粉体から成るコア部4の角部を有効利用することができる。また、第1角状突出部61gでは、第1導電板部61の横断面積が広がり、電気抵抗が下がると共に、第2角状突出部62gでは、第2導電板部62の横断面積が広がり、電気抵抗が下がる。
図3および図4Aに示すように、本実施形態では、コイル部品6の第1開口部61aの内部と、第2開口部62aの内部と、第1コイルパターン部61bの外面と、第2コイルパターン部62bの外面と、折曲連結部63の外面とが、磁性体を含有するコア圧粉体から成るコア部4により一体的に覆われている。折曲連結部63により折り曲げられて積層してある第1導電板部61と第2導電板部62との間には、絶縁部材としての接着剤8が充填してあり、それらの間に、コア部4を構成する磁性体粉が入り込むことを抑制している。第1導電板部61と第2導電板部62との間の隙間は、特に限定されないが、好ましくは10~500μmである。
コア部4は、磁性粉体およびバインダを含む顆粒を圧縮成形または射出成形して形成してある。磁性粉体としては、特に限定されないが、センダスト(Fe-Si-Al;鉄-シリコン-アルミニウム)、Fe-Si-Cr(鉄-シリコン-クロム)、パーマロイ(Fe-Ni)、カルボニル鉄系、カルボニルNi系、アモルファス粉、ナノクリスタル粉などの金属磁性体粉が好ましく用いられる。
磁性粉体の粒径は、好ましくは0.5~50μmである。本実施形態では、磁性粉体は、金属磁性粒子であり、その粒子外周は、絶縁被膜してあることが好ましい。絶縁被膜としては、金属酸化物被膜、樹脂被膜、リンや亜鉛などの化成膜などが例示される。
ただし、磁性粉体としては、Mn-Zn、Ni-Cu-Znなどのフェライト磁性体粉であってもよい。バインダ樹脂としては、特に限定されないが、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、シリコン樹脂、これらを組み合わせたものなどが例示される。
本実施形態では、図1に示すコア部4の下面4Bは、回路基板などに接続される実装側外面であり、相互に垂直なX軸およびY軸を通る平面と略平行に形成してあり、コイル部品6の巻軸が、X軸およびY軸を通る平面と垂直なZ軸に対して略平行になっている。
本実施形態のインダクタ素子2のサイズは、特に限定されないが、たとえばX軸方向幅が1.0~20mm、Y軸方向幅Y0が1.0~20mm、高さZ0が1.0~10mmである。このインダクタ素子2は、たとえばトランス、バラン、コモンモードフィルタ(コモンモードチョーク)、DC/DCコンバータ等の回路素子、電源ラインにおけるチョークコイル、デカップリング素子、インピーダンスマッチングのための素子、フィルタの構成素子、アンテナ素子などとして用いることができる。
次に、図1~図4Bに示すインダクタ素子2の製造方法について説明する。まず、金属板(たとえば、Snめっき金属板)などの導電板部を図5Aに示すような形状に打抜き加工する(スタンピング工程)。図5Aに示すように、打抜き加工後の導電板部には、リード部66を介してリードフレーム10に接続された複数の第1導電板部61が形成されている。
各第1導電板部61には、折曲連結部63を介して第2導電板部62が一体的に成形してある。第1導電板部61には、第1開口部61aを持つ第1コイルパターン部61bが形成してあり、第1コイルパターン部61bの第1パターン始点61cに第1リード部66が形成してある。また、第2導電板部62には、第2開口部62aを持つ第2コイルパターン部62bが形成してあり、第2コイルパターン部62bの第2パターン始点62cに第2リード部67が形成してある。
折曲連結部63の表面には、屈曲用凹部63aが成形してあり、その部分のみ、板厚が他の部分よりも薄くなっている。屈曲用凹部63aでの折曲連結部63の厚みが、図4Aに示す厚みt0に対応する。図5Aに示す第1導電板部61の厚みが、図4Aに示す厚みt1に対応する。図5Aに示す状態では、第1導電板部61と第2導電板部62とは、X軸およびY軸を含む平面に略平行になる。
次に、図5Aに示す第2導電板部62を、第1導電板部61に対して、折曲連結部63を支点して折り曲げ、図5Bに示すように、第2導電板部62を、第1導電板部61に対して、略垂直に折り曲げる。その状態で、第1導電板部61、第2導電板部62および折曲連結部63の表面に絶縁被覆を施す(絶縁被覆工程)。この工程では、第1導電板部61、第2導電板部62および折曲連結部63の表面に電着により、絶縁性の樹脂層を形成し、必要に応じて、乾燥、熱処理を施し、各導電板部61,62および折曲連結部63の表面を覆う絶縁層64(図3~図4B参照)を形成する。
絶縁層64を電着形成するための電着液に用いられる高分子としては、電着性を有する各種アニオン性、またはカチオン性合成高分子樹脂を挙げることができる。また、上記の高分子樹脂に粘着性を付与するために、ロジン系、テルペン系、石油樹脂等の粘着性付与樹脂を必要に応じて添加することも可能である。
特に、絶縁性、強度、化学的安定性の面から絶縁層64がポリイミド樹脂であることが好ましい。たとえば、イオン性基を含有するポリイミド樹脂と、当該ポリイミド樹脂を溶解可能な有機溶剤、水、前記イオン性基と極性が異なるイオン性化合物からなる電着塗料組成物より電着により形成され、乾燥、熱処理された絶縁性の樹脂層が挙げられる。なお、樹脂を加熱して溶融させるとともに、溶融された樹脂を各導電板部61および62に塗布し、その後、樹脂を本硬化させることで、絶縁層64を形成してもよい。なお、その前後の工程において、第2リード部67を、第1コイルパターン部62bの平面から略垂直方向に折り曲げても良い。
次に、図5Cに示すように、第2導電板部62を、第1導電板部61に対して、折曲連結部63を支点して、さらに折り曲げ、第2導電板部62を、第1導電板部61の上に平行に積層させ(積層工程)、コイル部品6を形成する。なお、積層工程の前後に、図3および図4Aに示すように、第1導電板部61と第2導電板部62との間に、絶縁部材としての接着剤8を充填する。
次に、コイル部品6の主要部分を金型の内部にインサートし、リード部66および67の先端部を金型から露出させ、金型内でコア部4を圧縮成形により形成する(モールド工程)。圧縮成形時には、磁性粉末とバインダ樹脂とを含む混合物を金型のキャビティ内に充填し、全体を加熱圧縮することで、図1~図4Bに示すインダクタ素子2が得られる。
加熱圧縮時の加熱温度は、好ましくは50~300°Cであり、圧縮圧力は、好ましくは1~400Paである。圧縮成形するための方法としては、金型を用いてもよいし、油圧や水圧を利用してもよい。なお、圧縮成型時には、上述した混合物に代えて、樹脂のみをキャビティ内に充填してもよい。また、モールド工程を省略し、コイル部品6の主要部分を単に外装体(封止部)に入れて固定するだけでもよい。
図5Cに示すリードフレーム10は、圧縮成形によるコア部4の成型後に切断器具で切断して除去してもよいし、コア部4の成形前に除去してもよい。また、図示は省略するが、コア部4から飛び出しているリード部66および67の先端部には、予め図4Bに示すテーパ部66a,67aが形成してあることが好ましい。また、コア部4には、テーパ部66a,67aに対応してテーパ状凹部4Dがが成形されることが好ましい。また、図3および図4Bに示すように、各リード部66および67の先端部に被膜してある絶縁層64は、コア部4の成形前に除去してあることが好ましいが、コア部4の成形後に除去しても良い。
図2に示すように、本実施形態に係るコイル部品6では、折曲連結部63が、第1開口部61aに接する第1コイルパターン部61bの第1外側縁部の一部と、第2開口部62aに接する第2コイルパターン部62bの第2外側縁部の一部とを直接に連結している。そのため、環状の第1コイルパターン部61bおよび環状の第2コイルパターン部62bから突出する折曲連結部63のY軸方向の飛び出し部分を必要最小限にすることができる。したがって、コイル部品6の小型化を図ることが容易になる。
また、コイル部品6の小型化を図ることが容易になるため、コイル部品6と、そのコイル部品6が一体的に内蔵されるコア圧粉体から成るコア部4とを有するインダクタ素子2の小型化を図ることも容易である。さらに、第1コイルパターン部61bが形成してある第1導電板部61と、第2コイルパターン部62bが形成してある第2導電板部62とを、比較的に厚く成形することが容易になり、これらのコイルパターン部61b,62bに流れる電流の高電流化を図ることが可能になる。
また、本実施形態では、折曲連結部63と第1コイルパターン部61bとの接続部の幅が、第1終点長さX1に対応し、折曲連結部63と第2コイルパターン部62bとの接続部の幅が、第2終点長さX2に対応し、これらの長さX1,X2を所定範囲に保つことで、これらの接続部での電気抵抗の増大を抑制することができる。
本実施形態では、図2に示す終点長さX1およびX2を、それぞれ図4Aに示す第1コイルパターン部の第1幅W1よりも長くすることで、折曲連結部63の厚みt0を薄くしても、折曲連結部63の横断面積の減少を抑制し、電気抵抗の増大を抑制することができる。なお、折曲連結部63は、折曲方向に沿って幅が略同一であることも好ましいが、必ずしも積層方向に沿って同一の位置に配置されること無く、折曲連結部63のX軸方向の両幅方向端は、傾斜して配置されていても良い。
さらに、本実施形態では、折曲連結部63の屈曲内面には、屈曲用凹部63aが形成してあることから、環状の第1コイルパターン部61bおよび環状の第2コイルパターン部62bから突出する折曲連結部63のY軸方向の飛び出し量をさらに小さくすることができる。したがって、コイル部品6のより小型化を図ることができる。
また、折曲連結部63の厚みt0(図4A参照)を小さくすることで、第1コイルパターン部61bと第2コイルパターン部62bとの間のZ軸方向の隙間を、さらに小さくすることが容易になる。その結果、これらのコイルパターン61b,62b間の磁気的結合を強くすることが可能になると共に、これらの間に、コア部4に含まれる金属磁性粉などが入り込み難くなり、短絡不良などが生じ難くなる。
本実施形態では、図4Bに示すように、第1リード部66および第2リード部67の先端部にテーパ部66a,67aを形成することで、たとえば金属磁性体を含むコア部4とテーパ部66a,67aの金属露出面との接触を容易に避けることができ、金属磁性体との短絡を防止することができる。
また本実施形態では、導電板部61および62は、リード部66,67の先端部以外で、絶縁層64で覆われていることで、たとえば金属磁性体を含むコア圧部4との接触を容易に避けることができ、導電板部61,62の金属露出面と金属磁性体との短絡を有効に防止することができる。
さらに本実施形態では、第2導電板部62は、第2コイルパターン部の第2パターン始点62cから第2開口部62aの周囲に沿って所定の第2始点長さY2で、第2コイルパターン部62bに連結してある第2リード部を有している。そして、第2リード部67は、第2コイルパターン部2bの平面から積層方向に沿って折り曲げられて、第1コイルパターン部61bの外側に位置する。このように構成することで、コイル部品6をさらに小型化することができる。
第2実施形態
図6に示すように、本実施形態に係るインダクタ素子102では、コイル部品106の構成が異なると共に、コア部(コア部材41および42)の構成が異なる以外は、第1実施形態に係るインダクタ素子2と同様である。以下、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、共通する部分の説明は省略する。また図面に示す部材において、共通する部材には共通する符号を付し、その説明は一部省略する。
図7Aに示すように、コイル部品106は、Z軸方向(積層方向)に積層される2つの第1および第2導電板部161および162を有する。第1導電板部161には、第1開口部161aを持つ第1コイルパターン部161bが形成してある。第2導電板部162は、第1導電板部161に対して積層(Z軸)方向に所定間隔で配置される。第2導電板部162には、第1開口部161aとZ軸方向に連通して略同じサイズの第2開口部162aを持つ第2コイルパターン部162bが形成してある。
本実施形態では、第1導電板部161および第2導電板部162と同じ板材から成形してある折曲連結部163により、これらの第1導電板部161および第2導電板部162が接続されている。折曲連結部163は、第1開口部161aに接する第1コイルパターン部161bの第1外側縁部の一部と、第2開口部162aに接する第2コイルパターン部162bの第2外側縁部の一部とを直接に連結している。
すなわち、折曲連結部163は、第1コイルパターン部161bの第1パターン終点161dから第1開口部161aの周囲に沿って所定の第1終点長さX1(図2参照)で、第1コイルパターン部161bの第1外側縁部に一体的に連結してある。また、折曲連結部163は、第2コイルパターン部162bの第2パターン終点62dから第2開口部62aの周囲に沿って所定の第2終点長さX2(図2参照)で、第2コイルパターン部162bの第2外側縁部に一体的に連結してある。
本実施形態では、折曲連結部63の屈曲外面には、屈曲用凹部163aが形成してあり、その部分で、折曲連結部163の厚みt0(図4A参照)が、第1コイルパターン部161bの代表的な第1厚みt1(図4A参照)よりも小さくなっている。
本実施形態では、コア部は、下コア部材41と上コア部材42とからなり、これらのコア部材41および42は、予め別部材で構成され、後工程でコイル部品106と組み合わされる。下コア部材41は、略四角平板状のベース部41aを有する。ベース部41aの周囲には、外脚部41c1および41c2が一体化して成形してある。外脚部41c1および41c2は、ベース部41aからZ軸方向に所定の高さを有するように突出して成形され、一対のリード用切欠41eにより、相互に分離されて形成される。
一対のリード用切欠41eは、コイル部品106のX軸方向の両側に形成してある第1リード部66および第2リード部67が、ベース部41aからX軸方向の外側およびZ軸方向の下側に突出することを許容するように形成してあり、外脚部41c1および41c2を相互に分離するようになっている。
ベース部41aのX軸方向およびY軸方向の略中央部には、中脚部41bがZ軸方向に突出するように一体成形してある。中脚部41bの形状は、コイル装置106の第1開口部161aの内部に挿入可能な形状であり、第1開口部161aの内部形状より僅かに小さな略同一形状である。
図7Bに示すように、上コア部材42は、略四角平板状のベース部42aを有する。ベース部42aのX軸方向およびY軸方向の略中央部には、中脚部42bがZ軸方向に突出するように一体成形してある。中脚部42bの形状は、コイル装置106の第2開口部162aの内部に挿入可能な形状であり、第2開口部162aの内部形状より僅かに小さな略同一形状である。
また、ベース部42aの周囲には、外脚部42c1および42c2が一体化して成形してある。外脚部42および42c2は、ベース部42aからZ軸方向に所定の高さを有するように突出して成形され、一対のリード用切欠42eにより、相互に分離されて形成される。
一対のリード用切欠42e1,42e2は、図7Aに示すコイル部品106のX軸方向の両側に形成してある第1リード部66および第2リード部67が、ベース部42aからX軸方向の外側に突出することを許容するように形成してあり、外脚部42c1および42c2を相互に分離するようになっている。
なお、コイル部品106の第1リード部66は、第1導電板部161から取り出され、第2リード部67は、第2導電板部162から取り出されることから、それぞれのZ軸方向の取出位置が異なる。そのため、第1リード部66に対応する一方のリード用切欠42e1は、必ずしも具備させる必要は無く、具備させるにしても、他方のリード用切欠き42e2に比較して、Z軸方向の深さを浅くすることができる。
本実施形態では、コイル部品106の第1開口部161aに下コア部材41の中脚部41bが入り込み、第2開口部162aに上コア部材42の中脚部42bが入り込み、中脚部41bおよび42bの先端は、相互に突き合わされて接触するか、所定のギャップで向き合い、磁気回路の一部を構成する。
また、コア部材41の外脚部41c1と、コア部材42の外脚部42c1とは、コイル部品106の折曲連結部163の外側でZ軸方向に突き合わされて接触し、磁気回路の一部を構成する。また、コア部材41の外脚部41c2と、コア部材42の外脚部42c2とは、コイル部品106の折曲連結部163の反対側の外側でZ軸方向に突き合わされ、磁気回路の一部を構成する。
なお、図6に示すように、一方の外脚部41c2(および/または42c2)には、段差部41dが形成してあってもよく、他方の外脚部41c1(および/または41c2)のZ軸方向高さよりも小さくなっていても良い。段差部41dは、コイル部品106の折曲連結部163とはY軸方向の反対側の位置に対応するように、外脚部41c2(および/または42c2)にX軸方向に沿って形成される。
段差部41dのX軸方向長さは、コイル装置106の折曲連結部163のX軸方向の長さと同程度の長さであることが好ましい。コイル部品106において、連結板部163が形成されている部分に比較して、そのY軸方向の反対側に位置するコイル部品106の部分では、コイルとしての磁気特性が強くなる。そのため、コア部材41または42の外脚部41c2(および/または42c2)に段差部41dを設け、これらの突合せ部にギャップを持たせることで、コイル装置106としてY軸方向の両側における磁気特性のバランスを図ることが容易になる。
なお、コア部材41と42とは、少なくとも4つの角部において、外脚部41c1と外脚部42c1同士、および外脚部41c2と外脚部42c2同士を接着剤などで接合しても良い。コア部材41および42は、コイル部品106のリード部66および67以外の主要部分を囲むことになる。すなわち、コア部材41および42のベース部41a,42aは、それぞれ第1コイルパターン部161bの軸芯方向の外面と、第2コイルパターン部162bの軸芯方向の外面とを覆う。また、第1コイルパターン部161bの外側面と、第2コイルパターン部162bの外側面と、折曲連結部163の外側面とは、外脚部41c1,41c2,42c1,42c2により覆われる。
本実施形態では、コア部材41および42は、それぞれ、第1実施形態のコア部4と同様な材質の磁性体または樹脂で構成することができると共に、コア部4と異なり、金属を含むコイル部品106と一体成形する必要が無いため、樹脂を含まない焼結体の磁性体で構成することもできる。本実施形態では、コア部材41および42は、コア部4とは異なり、たとえばNiZn系フェライト、MnZn系フェライト、Fe系粉体、Fe系焼結体などの磁性体で構成することもできる。
本実施形態に係るコイル部品106およびインダクタ素子102は、上述した以外は、第1実施形態のコイル部品6およびインダクタ素子2と同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、コイル部品6を、二枚の導電板部61,62と単一の折曲連結部63で構成してあるが、三枚以上の導電板部と2つ以上の折曲連結部で構成しても良い。
2,102… インダクタ素子(コイル装置)
4… コア部(コア圧粉体)
4A… 上面
4B… 下面
4C… 側面
4D… テーパ状の凹部
41… 下コア部材
41a… ベース部
41b… 中脚部
41c1,41c2… 外脚部
41d… 段差部
41e… リード用切欠き
42… 上コア部材
42a… ベース部
42b… 中脚部
42c1,42c2… 外脚部
42e… リード用切欠き
6,106… コイル部品
61,161… 第1導電板部
61a,161a… 第1開口部
61b,161b… 第1コイルパターン部
61c… 第1パターン始点
61d… 第1パターン終点
61e… 第1切欠
61f… 第1円弧状内曲面
61g… 第1角状突出部
62,162… 第2導電板部
62a,162a… 第2開口部
62b,162b… 第2コイルパターン部
62c… 第2パターン始点
62d… 第2パターン終点
62e… 第2切欠
62f… 第2円弧状内曲面
62g… 第2角状突出部
63,163… 折曲連結部
63a,163a… 屈曲用凹部
64… 絶縁層
66… 第1リード部
66a… テーパ部
67… 第2リード部
67a… テーパ部
8… 接着剤(絶縁部材)
10… リードフレーム

Claims (11)

  1. 第1開口部を持つ第1コイルパターン部が形成してある第1導電板部と、
    前記第1導電板部に対して積層方向に所定間隔で配置され、第2開口部を持つ第2コイルパターン部が形成してある第2導電板部と、
    前記第1導電板部および前記第2導電板部と同じ板材から成形され、これらの前記第1導電板部および前記第2導電板部を接続している折曲連結部と、を有するコイル部品であって、
    前記折曲連結部が、前記第1開口部に接する前記第1コイルパターン部の第1外側縁部の一部と、前記第2開口部に接する前記第2コイルパターン部の第2外側縁部の一部とを直接に連結してあり、
    前記折曲連結部は、前記第1コイルパターン部の第1パターン終点から前記第1開口部の周囲に沿って所定の第1終点長さで、前記第1コイルパターン部に連結してあると共に、前記第2コイルパターン部の第2パターン終点から前記第2開口部の周囲に沿って所定の第2終点長さで、前記第2コイルパターン部に連結してあり、
    前記第1パターン終点から前記第1終点長さの位置で、前記第1コイルパターン部には、前記第1開口部に向けて凹んでいる第1切欠が形成してあり、
    前記第2パターン終点から前記第2終点長さの位置で、前記第2コイルパターン部には、前記第2開口部に向けて凹んでいる第2切欠が形成してあるコイル部品。
  2. 前記第1終点長さは、前記第1コイルパターン部の第1幅よりも長く、前記第2終点長さは、前記第2コイルパターン部の第2幅よりも長く、
    前記第1終点長さと前記第2終点長さとは略同一である請求項1に記載のコイル部品。
  3. 前記折曲連結部の屈曲内面または屈曲外面には、屈曲用凹部が形成してあり、
    前記折曲連結部の厚みが、前記第1コイルパターン部の第1厚みよりも小さく、前記第2コイルパターン部の第2厚みよりも小さい請求項1または2に記載のコイル部品。
  4. 前記第1コイルパターン部と前記第2コイルパターン部との間には、絶縁部材が介在してある請求項1~3のいずれかに記載のコイル部品。
  5. 前記第1導電板部は、前記1コイルパターン部の第1パターン始点から前記第1開口部の周囲に沿って所定の第1始点長さで、前記第1コイルパターン部に連結してある第1リード部を有する請求項1~4のいずれかに記載のコイル部品。
  6. 前記第1リード部は、前記第1コイルパターン部の平面から前記積層方向に沿って折り曲げられており、
    前記第1リード部の先端部には、先端に向けて幅が狭くなるテーパ部が形成してある請求項5に記載のコイル部品。
  7. 前記第1導電板部は、前記第1リード部の先端部以外で、絶縁層で覆われている請求項5または6に記載のコイル部品。
  8. 前記第2導電板部は、前記2コイルパターン部の第2パターン始点から前記第2開口部の周囲に沿って所定の第2始点長さで、前記第2コイルパターン部に連結してある第2リード部を有し、
    前記第2リード部は、前記第2コイルパターン部の平面から前記積層方向に沿って折り曲げられて、前記第1コイルパターン部の外側に位置する請求項1~7のいずれかに記載のコイル部品。
  9. 前記第1開口部の長手方向の一端に位置する内側面が第1円弧状内曲面を有し、
    前記第1円弧状内曲面に対応する前記第1導電板部の外側面が第1角状突出部を有し、
    前記第2開口部の長手方向の一端に位置する内側面が第2円弧状内曲面を有し、
    前記第2円弧状内曲面に対応する前記第2導電板部の外側面が第2角状突出部を有する請求項1~8のいずれかに記載のコイル部品。
  10. 請求項1~9のいずれかに記載のコイル部品と、
    前記コイル部品の第1開口部の内部と、前記第2開口部の内部と、前記第1コイルパターン部の外面と、前記第2コイルパターン部の外面と、前記折曲連結部の外面とを一体的に覆う磁性体を含有するコア圧粉体と、を有するコイル装置。
  11. 請求項1~9のいずれかに記載のコイル部品と、
    磁性体で成形されて、前記コイル部品が内部に装着されるコア部材と、を有するコイル装置であって、
    前記コア部材が、
    前記コイル部品の前記第1開口部の内部と前記第2開口部の内部とに挿入される中脚部と、
    前記第1コイルパターン部の軸芯方向の外面と、前記第2コイルパターン部の前記軸芯方向の外面とに配置される平板状のベース部と、
    前記第1コイルパターン部の外側面と、前記第2コイルパターン部の外側面と、前記折曲連結部の外側面とに配置される外脚部と、を有するコイル装置。

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