JP7115867B2 - 環状オレフィン系樹脂基材を含む積層体、及び環状オレフィン系樹脂基材を含む積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
項1
環状オレフィン系樹脂基材(I)上に、活性エネルギー線硬化型組成物による硬化被膜層(II)、及び無機物質層(III)が順次積層されてなる積層体であって、
前記活性エネルギー線硬化型組成物が、平均一次粒子径が1~100nmの範囲内であるシリカ微粒子(A)、重合性不飽和化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含み、前記シリカ微粒子(A)の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型組成物の全硬化被膜形成成分を基準として、30~85質量%である、積層体。
項2
前記シリカ微粒子(A)が、不飽和基を有する有機物変性シリカ微粒子を含むものである、請求項1に記載の積層体。
項3
前記重合性不飽和化合物(B)が、ウレタン結合を有する重合性不飽和化合物(b1)を含有する、請求項1又は2に記載の積層体。
項4
前記、活性エネルギー線硬化型組成物による硬化被膜層(II)の膜厚が、0.5~8μmの範囲内である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
項5
前記環状オレフィン系樹脂基材(I)が、易接着処理をしていないものである、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
項6
積層体の製造方法であって、
易接着処理をしていない環状オレフィン系樹脂基材(I)上に、活性エネルギー線硬化型組成物を塗装して、活性エネルギー線硬化型組成物による被膜層を形成する工程と、
前記活性エネルギー線硬化型組成物による被膜層に活性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線硬化型組成物による硬化被膜層(II)を形成する工程と、
前記硬化被膜層(II)上に、乾式成膜工法によって無機物質層(III)を少なくとも1層形成する工程と、
を含み、前記活性エネルギー線硬化型組成物が、平均一次粒子径が1~100nmの範囲内であるシリカ微粒子(A)、重合性不飽和化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含み、前記シリカ微粒子(A)の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型組成物の全硬化被膜形成成分を基準として、30~85質量%である、積層体の製造方法。
本発明に係る積層体は、環状オレフィン系樹脂を基材とするものである。前記基材としては各種環状オレフィン樹脂成形品を用いることができるが、特に環状オレフィン樹脂フィルムが好ましい。
前記環状オレフィン樹脂フィルムの厚さは、50~200μmの範囲が好ましく、80~150μmの範囲がより好ましく、90~130μmの範囲がさらに好ましい。フィルム基材の厚さを当該範囲とすることで、環状オレフィン樹脂フィルムの片面に、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物によるハードコート層を設けた場合にもカールを抑制しやすくなる。
本発明に係る積層体は、環状オレフィン系樹脂基材(I)上に、特定の組成を有する活性エネルギー線硬化型組成物による硬化被膜層(II)を備えたものである。環状オレフィン系樹脂基材(I)と無機物質層(III)との間に前記硬化被膜層(II)を配置した積層構造とすることにより、環状オレフィン樹脂基材(I)と硬化被膜層(II)との層間密着性のみならず、硬化被膜層(II)と無機物質層(III)との間でも十分な層間密着性を有し、さらには耐摩擦性や透明性等の面でも優れた特性を示し得る積層体を提供することができる。以下、硬化被膜層(II)を形成する活性エネルギー線硬化型組成物につき説明する。
本発明において用いられる活性エネルギー線硬化型組成物は、平均一次粒子径が1~100nmの範囲内であるシリカ微粒子(A)、重合性不飽和化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含む。
本発明に用いるシリカ粒子(A)は、平均一次粒子径が1~100nmの範囲内であり、具体的には、乾式シリカ、湿式シリカ、シリカゲル、カルシウムイオン交換シリカ微粒子、コロイダルシリカ等を挙げることができる。
シリカ粒子(A)の平均一次粒子径は、1~100nmであり、中でも硬化被膜の耐擦傷性の点からは、平均一次粒子径が比較的大きいものを用いることが有利であるが、耐擦傷性と硬化被膜の透明性の両立の観点から、5nm~100nmの範囲内が好ましい。
平均一次粒子径が1nm未満であると、シリカ粒子(A)を他の有機材料と混合して使用した場合に被膜の耐擦傷性及び基材との密着性等の改良効果が小さくなるときがある。平均一次粒子径が100nmを超えるものであると、上記材料の透明性が損なわれる場合がある。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリロイルを意味し、「(メタ)アクリルアミド」は、「アクリルアミド又はメタクリルアミド」を意味する。
重合性不飽和化合物(B)は、分子内に1個以上の重合性不飽和基を有する化合物である。前記重合性不飽和基はラジカル重合しうる不飽和基であって、具体的には、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、マレイミド基、ビニルエーテル基等を挙げることができる。これらの重合性不飽和基のうち、反応性に優れる観点から、アクリロイル基及びメタクリロイル基が好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した保持時間(保持容量)を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間(保持容量)によりポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置として、「HLC-8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G3000HXL」、「TSKgel G2500HXL」及び「TSKgel G2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の計4本を使用し、検出器として、示差屈折率計を使用し、移動相:テトラヒドロフラン、測定温度:40℃、流速:1mL/minの条件下で測定することができる。
(1)ポリイソシアネート化合物と水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを反応させる、
(2)ポリイソシアネート化合物とポリオールとを反応させて得られるポリウレタンポリオールにイソシアネート基含有(メタ)アクリレートモノマーを反応させる、
等の方法により製造される反応生成物が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で用いる活性エネルギー線硬化型組成物が、ウレタン結合を有する重合性不飽和化合物(b1)以外の重合性不飽和化合物(b2)を含有する場合、その含有率は、耐カール性を考慮する場合には、活性エネルギー線硬化型組成物中の全硬化被膜形成成分に対して40質量%未満であることが好ましい。
すなわち、ウレタン結合を有する重合性不飽和化合物(b1)及びその他の重合性不飽和化合物(b2)を、100/0~0/100、耐カール性の点から、15/85~70/30の範囲内で適宜調整することができる。
最も好ましくは、本発明で用いる活性エネルギー線硬化型組成物に含まれる全硬化被膜形成成分に対して、シリカ粒子(A)、ウレタン結合を有する重合性不飽和化合物(b1)及び光重合開始剤(C)の合計質量が、80質量%以上であることが好ましい。
ここで、本明細書において、本発明で用いる活性エネルギー線硬化型組成物中の全硬化被膜形成成分とは、該組成物から、水、有機溶媒等の溶媒を除いた残渣(固形分)の合計質量を意味する。
光重合開始剤(C)は、活性エネルギー線を吸収して、フリーラジカル(中間体の形態でも)を発生する化合物であり、2種以上の化合物の混合物であってもよい。光重合開始剤(C)としては、光化学的に活性化可能な化合物(たとえばベンゾイン)、発色団と共開始剤(たとえばベンゾフェノン及び第三級アミン)との組合せ及びこれらの混合物、増感剤と、共開始剤との(たとえばチオキサントンと第三級アミン)又は発色団との(たとえばチオキサントンとアミノケトン)の組合せ、H2O2と鉄(II)塩との組合せ等のレドックス系、染料及びホウ酸塩及び/又はアミン等の電子輸送ペアー等を挙げることができる。
上記光重合開始剤(C)は、それぞれ単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
好適なチオキサントン系開始剤としては、例えば、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントンが挙げられる。
好適なα-ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンが、また好適なアシルフォスフィンオキサイド系開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、SpeedCure XKm(商品名:Lambson社製)が、それぞれ例示される。
活性エネルギー線の積算照射量が200mJ/cm2以下である場合には、前記光重合開始剤(C)の固形分含有量は、シリカ粒子(A)及び重合性不飽和化合物(B)の合計固形分100質量部に対して、10~30質量部の範囲内が好ましい。
本発明で用いる活性エネルギー線硬化型組成物は、さらに必要に応じて各種添加剤を配合してもよく、所望により溶媒で希釈してもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、レオロジーコントロール剤、表面調整剤(シリコン系表面調整剤、アクリル系表面調整剤、フッ素系表面調整剤、ビニル系表面調整剤等)、界面活性剤、樹脂粒子、易滑剤、脱泡剤、離型剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤等が使用できる。本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、耐光性が求められる用途に関しては、さらに紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含有していても良い。
上記紫外線吸収剤としては、従来から公知の有機系紫外線吸収剤及び無機系紫外線吸収剤が使用でき、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤及びその他(ヒドロキシフェニルトリアジン系、シュウ酸アニリド、シアノアクリレート等)の化合物等が挙げられる。無機系紫外線吸収剤としては、例えば微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄等が挙げられる。また、上記紫外線吸収剤は、重合性不飽和基を有するものであっても良い。前記紫外線吸収剤を含有する場合、該紫外線吸収剤の含有量は、全硬化被膜形成成分に対して、0.01~10質量%、好ましくは0.05~9質量%の範囲内であることが好適である。
上記光安定剤としては、特に限定されず、従来公知のものを広く使用することができるが、好ましくはヒンダードピペリジン化合物が挙げられる。ヒンダードピペリジン化合物は、一分子中に少なくとも一個のヒンダードピペリジン基を有する化合物である。
ヒンダードピペリジン化合物としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル){[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル}ブチルマロネート等のモノマータイプのもの;ポリ{[6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノール]}等のオリゴマータイプのもの;4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールとコハク酸とのポリエステル化物等のポリエステル結合タイプのもの等が挙げられるが、これらに限ったものではない。光安定剤としては、また、公知の重合性光安定剤も使用することが可能である。
これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記光安定剤を含有する場合、その含有量は、全硬化被膜形成成分に対して、0.01~10質量%、好ましくは0.05~9質量%の範囲内であることが好適である。
本発明で用いる活性エネルギー線硬化型組成物は、以上に述べたシリカ粒子(A)、重合性不飽和化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を必須として主成分として含むものであり、さらに必要に応じて使用される添加成分を溶媒中に混合し、溶解又は分散せしめることができる。
本発明における無機物質層(III)としては、乾式成膜工法で形成されたものであれば特に制限されるものではなく、積層体に付与しようとする特性に応じて選択可能であり、例えば、Si、Ti、Zn、Al、Ga、In、Ce、Bi、Sb、B、Zr、Sn、及びTa等の元素を有する少なくとも1種以上の各種金属又は金属酸化物、窒化物及び硫化物等を主成分とする層が挙げられる。また、例えば、高硬度で絶縁性に優れたダイヤモンドライクカーボン(以下DLC)膜層も挙げられる。DLC膜は、炭素間のSP3結合を主体としたアモルファス構造の炭素膜で、非常に硬く、低摩擦係数、耐摩耗性、耐食性、ガスバリア性を有し、絶縁性に優れたダイヤモンド状炭素膜である。
無機物質層(III)をプラズマCVD法で形成する際に、原料の有機珪素化合物や炭化水素系化合物のほかに、分解ガスとして、水素ガス、メタンガス、オゾンガス、酸素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、二酸化窒素ガス、一酸化二窒素ガス、等を用いる。この中でも、酸素ガス、オゾンガス、二酸化窒素ガス、一酸化二窒素ガス、二酸化ガス、一酸化ガス等のいずれか又は2種以上の組合せ等を好適に用いることができる。
<積層体の製造方法>
本発明に係る積層体は、環状オレフィン系樹脂基材(I)上に、活性エネルギー線硬化型組成物を塗装して活性エネルギー線硬化型組成物による被膜層を形成する工程と、前記活性エネルギー線硬化型組成物による被膜層に活性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線硬化型組成物による硬化被膜層(II)を形成する工程と、前記硬化被膜層(II)上に、乾式成膜工法によって無機物質層(III)を少なくとも1層形成する工程と、を含む方法により製造することができる。ここで活性エネルギー線硬化型組成物は、平均一次粒子径が1~100nmの範囲内であるシリカ微粒子(A)、重合性不飽和化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含み、前記シリカ微粒子(A)の含有量は、前記活性エネルギー線硬化型組成物の全硬化被膜形成成分を基準として、30~85質量%である。
本発明で用いる活性エネルギー線硬化型組成物によれば、高濃度にシリカ微粒子を含有し、層中に緻密にシリカ微粒子が充填されているにもかかわらず、透明性の低下及びワレなどの不具合を発生させることなく、無機物質層(III)及び環状オレフィン樹脂系基材(I)の双方に対して密着性に優れた硬化被膜を得ることができ、しかも、易接着処理をしていない環状オレフィン系樹脂基材を用いても、優れた層間密着性を有する積層構造を形成することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を塗装する方法は、特に限定されるものではない。例えば、スプレー、回転霧化塗装機、浸漬塗装、ダイコート、マイクログラビアコート、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、かけ渡しコート、ディップコート、スピンナーコート、ホイーラーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート等により塗装することができる。塗装の際、静電印加を行ってもよい。
塗装膜厚は、硬化膜厚で通常0.5~100μm、好ましくは0.5~8μmの範囲内、さらに好ましくは1~7.8μmの範囲内とすることができる。本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、特に10μm以下の薄膜において、基材との十分な密着性、透明性及び耐擦傷性に優れた硬化被膜を形成することができる。
上記基材に塗布された被膜は、活性エネルギー線を照射することにより重合させ、硬化被膜とすることができる。照射される活性エネルギー線としては、公知のものを使用することができる。具体的には、紫外線、可視光線、レーザー光(近赤外線レーザー、可視光レーザー、紫外線レーザー等)、マイクロ波、電子ビーム、電磁波等を挙げることができる。これらの活性エネルギー線のうち、経済性の観点から、紫外線を好適に使用することができる。
また、活性エネルギー線の照射は、全領域及び/又は一部を、例えば、マスクを介して行っても、レーザービームを用いて行ってもよい。その手段によって特定の領域だけの被膜の硬化を行うことも可能である。
活性エネルギー線の照射量は、照射源によって異なるが、活性エネルギー線硬化型組成物の重合を行なうことができる範囲であればよく、例えば、高圧水銀灯を使用した場合、積算照射量で100~500mJ/cm2、特に200~500mJ/cm2の範囲内が好ましい。
無機物質層(III)の形成
無機物質層(III)の形成は、上記<無機物質層(III)>において説明したとおり、乾式成膜工法で形成することができる。
シリカ微粒子No.1(*1)を150部(固形分60部)、重合性不飽和化合物No.1を40部(固形分40部)(*5)、光重合開始剤としてDETX(*10)を6.0部、DAROCURE 1173(*14)を固形分で0.8部、BYK-354(*15)(商品名、アクリル系表面調整剤)を固形分で0.10部、紫外線吸収剤としてTINUVIN 1130(*16)を固形分で0.20部、及び光安定剤としてHOSTAVIN 3052(*17)を固形分で0.20部配合し、酢酸エチルで固形分含有率40%まで希釈し攪拌し、活性エネルギー線硬化型組成物No.1を製造した。表1-1に各成分の配合量を固形分質量比で示した。また、表中のシリカ粒子含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の全硬化被膜形成成分を基準とした質量%である。
製造例1において、各成分の配合を表1-1~1-3に示すものとする以外は製造例1と同様にして、製造例2~28の固形分含有率40%の活性エネルギー線硬化型組成物No.2~28を得た。表1-1~1-3に示す各組成物の配合は、各成分の固形分質量比である。
(*1)シリカ微粒子No.1:MEK-ST-40、商品名、日産化学社製、MEK-ST40、商品名、日産化学社製、コロイダルシリカ、平均一次粒子径13nm、メチルエチルケトン分散液、固形分含有率40質量%
(*2)シリカ微粒子No.2:下記製造方法にて得られた不飽和基を有する有機物変性シリカ微粒子分散液、平均一次粒子径23nm、固形分40質量%;<シリカ微粒子No.2の製造方法>還流冷却器、温度計及び攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコにコロイダルシリカ(スノーテックスST-O-40;商品名、分散媒;水、シリカ濃度;40質量%、平均一次粒子径;23nm、日産化学工業社製)を250部(シリカ微粒子量は100部)、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを10部、p-メトキシフェノールを0.2部及びイソプロパノールを143部配合した後、攪拌しながら昇温した。揮発成分の還流が始まったところで、プロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて共沸留出させ、反応系内の溶媒を置換した。続いて、95℃で2時間攪拌しながら反応を行った後、60℃に温度を下げて4級アンモニウム塩を0.03部加えて更に1時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、減圧状態で揮発成分を留出させ、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて共沸留出させた。プロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて共沸留出する操作を数回行うことで溶媒を置換し、不飽和基を有する有機物変性シリカ微粒子No.2を得た。得られたシリカ微粒子No.2の平均一次粒子径は23nm、該シリカ微粒子No.2の分散液の固形分含有率は40質量%であった。
(*4)シリカ微粒子No.4:前記<シリカ微粒子No.2の製造方法>において、コロイダルシリカをスノーテックスMP-2040(商品名、分散媒;水、シリカ濃度;40質量%、平均一次粒子径;200nm、日産化学工業社製)にする以外は同様にして不飽和基を有する有機物変性シリカ微粒子分散液、平均一次粒子径200nm、固形分40質量%を得た。
(*5)重合性不飽和化合物No.1:KARAYAD-DPHA、商品名、日本化薬株式会社製、平均重合性不飽和基数6個、分子量524、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、
(*6)重合性不飽和化合物No.2:EBECRYL 884、商品名、ダイセル・オルネクス株式会社性、平均重合性不飽和基数3個、重量平均分子量1,250、多価アルコールとアクリル酸のエステル化物(ポリエステルアクリレート)、
(*7)重合性不飽和化合物No.3:アロニックス M-325、商品名、東亞合成社製、平均重合性不飽和基数3個、重量平均分子量538、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチルイソシアヌレート、ウレタンアクリレート
(*8)重合性不飽和化合物No.4:ウレタンアクリレート、平均重合性不飽和基数9個、重量平均分子量3,700、
(*9)重合性不飽和化合物No.5:ウレタンアクリレート、平均重合性不飽和基数10個、重量平均分子量4,900、
(*10)DETX:光重合開始剤(a1)、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン、チオキサントン系開始剤、
(*12)IRGACURE TPO:光重合開始剤(a2)、商品名、BASF社製、アシルフォスフィンオキサイド系開始剤、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド。
(*13)IRGACURE 184:光重合開始剤(a2)、商品名、BASF社製、α-ヒドロキシアセトフェノン系開始剤、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、
(*14)DAROCURE 1173:光重合開始剤(a2)、商品名、BASF社製、α-ヒドロキシアセトフェノン系開始剤、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、
(*15)BYK-354:BYK-354:商品名、ビックケミー・ジャパン社製、アクリル系表面調整剤、固形分含有率51質量%
(*16)TINUVINE 1130:商品名、BASF社製、紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系、固形分含有率88質量%、
(*17)HOSTAVINE 3052:商品名、クラリアントジャパン社製、ヒンダードピペリジン系光安定剤。
(実施例及び比較例)
基材1(環状オレフィン樹脂基材:COP基材(I)表中COPと表記)に、易接着処理せずそのまま前記活性エネルギー線硬化型組成物No.1をバーコーターで硬化後の膜厚が4μmとなる条件で塗装し、100℃で30秒プレヒートして溶媒を除去した後、紫外線照射装置で、紫外線(ピークトップ波長365nm)を照度150mW/cm2で積算照射量500mJ/cm2となる条件で照射し、被膜を硬化させて硬化被膜層(II)を作製した。次いでその上に、表2-1に示す無機物質層(III)を膜厚が1.5μmとなるようプラズマCVD装置を用いて積層させた(実施例1)。同様にして、表2-1~表2-3、及び表3に示す実施例2~31、比較例1~4の試験積層体を得た。得られた各試験積層体について、下記評価試験に供した。評価結果を表2-1~表2-3及び表3に示す。
基材1:A4サイズの厚さ100μmの環状オレフィン樹脂基材〔「ゼオノアフィルム、ZF16-100」商品名、日本ゼオン(株)社製、ヘーズ値0.1%未満、全光線透過率92%以上、鉛筆硬度HB〕。
また、前記基材1にかえて、基材2(ポリエチレンテレフタレート樹脂基材:PET基材、表中PETと表記)にして、非易接着処理面に塗装したものを参考例1として、易接着処理面に塗装したものを参考例2として、各々積層体を作製した。得られた各積層体を試験板として、実施例1と同じく各種試験に供した。
基材2は下記のものを使用した。
基材2:A4サイズの厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム(「コスモシャインA4100」商品名、東洋紡(株)社製、ヘーズ値0.9%、全光線透過率92.0%」)。
JIS K7361-1(1997)に準拠して、各得られた積層体の全光線透過率を無機層(III)側から測定を行った。また、JIS K7136(2000)に準拠して、同様に積層体のヘーズ値を無機層(III)側から測定を行った。下記基準にて評価を行った。全光線透過率は91.0%以上、ヘーズ値は5%以下であれば透明性が良好である。
<全光線透過率>
3:91%以上、
2:90%以上91%未満
1:90%未満、
<ヘーズ値>
3:0.5%未満
2:0.5%以上5%未満
1:5%以上
各試験板の無機層(III)面にJIS K 5600-5-6(1990)に準じて1mm×1mmのゴバン目100個を素地に到達するまで作り、その面に粘着テープを貼着し、急激に剥がした後のゴバン目被膜の残存状態と剥離界面を調べ、下記基準で付着性を評価した。
5:残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けなし、
4:残存個数/全体個数=95~100個/100個で縁欠けあり、
3:残存個数/全体個数=90~95個未満/100個で、縁欠けあり、
2:残存個数/全体個数=80~90個未満/100個縁欠けあり、
1:残存個数/全体個数=79個以下/100個縁欠けあり。
JIS K 5600-5-4に準拠し、各積層体の無機層(III)面に、該面に対して角度45度、荷重750gで、次第に硬度を増して鉛筆を押し付け、キズ跡を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を鉛筆硬度として評価する。鉛筆硬度F以上を良好とする。
スチールウール法:各試験板の無機層(III)面に、市販のスチールウール(#0000)を荷重1000gで50往復擦り、積層体表面を目視で観察し下記の基準に従って評価した。耐擦傷性がよいため、傷の個数で評価した。
5:ワレ、剥がれがない、若しくは傷がまったくない、
4:ワレ、剥がれがない、若しくは傷の数が5個未満である、
3:ワレ、剥がれがない、若しくは傷が5個以上10個未満認められるが実用上問題ない
2:ワレ、剥がれがない、若しくは傷が10個以上20個未満認められる、
1:ワレ、剥がれ、若しくは著しい傷等が認められる。
各積層体の中央部分を10cm角に切り出して試験サンプルとした。評価は4隅の反りを定規で計測し、その4点の合計を試験サンプルにおけるカール値とした。
4:5mm未満、
3:5mm以上20mm未満、
2:20mm以上50mm未満、
1:50mm以上。
Claims (7)
- 環状オレフィン系樹脂基材(I)上に、活性エネルギー線硬化型組成物による硬化被膜層(II)、及び無機物質層(III)が順次積層されてなる積層体であって、
前記活性エネルギー線硬化型組成物が、平均一次粒子径が1~100nmの範囲内であるシリカ微粒子(A)、重合性不飽和化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含み、前記シリカ微粒子(A)の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型組成物の全硬化被膜形成成分を基準として、30~85質量%であり、
前記環状オレフィン系樹脂基材(I)が、易接着処理をしていないものであり、
前記光重合開始剤(C)は、ベンゾフェノン系開始剤及び/又はチオキサントン系開始剤(c1)、並びに、ベンゾイン系、α-ヒドロキシアセトフェノン系及びアシルフォスフィンオサイド系から選ばれる少なくとも1種(c2)からなる群から選択され、c1/c2の質量比率が100/0~70/30の範囲内である、積層体。 - 前記シリカ微粒子(A)が、不飽和基を有する有機物変性シリカ微粒子を含むものである、請求項1に記載の積層体。
- 前記重合性不飽和化合物(B)が、ウレタン結合を有する重合性不飽和化合物(b1)を含有する、請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記、活性エネルギー線硬化型組成物による硬化被膜層(II)の膜厚が、0.5~8μmの範囲内である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記c1/c2の質量比率が99/1~70/30の範囲内である、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記ベンゾフェノン系開始剤及び/又はチオキサントン系開始剤(c1)が、ベンゾフェノン及び/又はメチルベンゾフェノンを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
- 積層体の製造方法であって、
易接着処理をしていない環状オレフィン系樹脂基材(I)上に、活性エネルギー線硬化型組成物を塗装して、活性エネルギー線硬化型組成物による被膜層を形成する工程と、
前記活性エネルギー線硬化型組成物による被膜層に活性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線硬化型組成物による硬化被膜層(II)を形成する工程と、
前記硬化被膜層(II)上に、乾式成膜工法によって無機物質層(III)を少なくとも1層形成する工程と、
を含み、
前記活性エネルギー線硬化型組成物が、平均一次粒子径が1~100nmの範囲内であるシリカ微粒子(A)、重合性不飽和化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含み、前記シリカ微粒子(A)の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型組成物の全硬化被膜形成成分を基準として、30~85質量%であり、
前記光重合開始剤(C)は、ベンゾフェノン系開始剤及び/又はチオキサントン系開始剤(c1)、並びに、ベンゾイン系、α-ヒドロキシアセトフェノン系及びアシルフォスフィンオサイド系から選ばれる少なくとも1種(c2)からなる群から選択され、c1/c2の質量比率が100/0~70/30の範囲内である、
積層体の製造方法。
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