JP7110832B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
近年、液晶表示装置の大型化あるいは薄型化に伴い、TACフィルムよりも透湿防止性が高く、非晶性で透明性や光学的等方性、耐熱性に優れる環状オレフィン重合体を基材とした偏光板保護フィルムや位相差フィルムの検討が行われている。
また、特許文献2には熱可塑性ノルボルネン系樹脂への密着性に優れた、ハードコート層用の硬化性組成物が記載されている。
また特許文献2に記載の方法は、ハードコート層の表面の平滑性が不十分であった。
本発明の積層体における硬化性組成物の硬化物を含む層は、(メタ)アクリル系重合体とラジカル重合性の二重結合を2個以上有する(メタ)アクリレートを含む硬化性組成物が硬化した硬化物を含む層である。
本発明において、前記(メタ)アクリル系重合体は(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含む重合体である。本発明では、前記(メタ)アクリル系重合体が、メタクリル酸メチルに由来する構成単位を60質量%以上含むことが必要である。前記(メタ)アクリル系重合体中のメタクリル酸メチルに由来する構成単位が60質量%未満では、環状オレフィン重合体を含む基材との密着性が不十分となる。前記(メタ)アクリル系重合体中のメタクリル酸メチルに由来する構成単位は、環状オレフィン重合体を含む基材との密着性の点から、70質量%以上が好ましい。
なお前記(メタ)アクリル系重合体は、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合等の公知の方法で製造できる。
本発明では、前記ラジカル重合性の二重結合を2個以上有する(メタ)アクリレートを含むことで、前記硬化性組成物の硬化物の硬度が向上する。
前記ラジカル重合性の二重結合を2個以上有する(メタ)アクリレートのラジカル重合性の二重結合の数は、硬化性組成物の硬化物の表面硬度の点から3以上が好ましく、密着性の点から9以下が好ましい。
前記硬化性組成物中の前記(メタ)アクリル系重合体の配合量は、前記ラジカル重合性の二重結合を2個以上有する(メタ)アクリレート100質量%に対して、10質量%以上200質量%以下が好ましい。
硬化性組成物の硬化物と基材との密着性の点から高いほうが好ましく、硬化性組成物の硬化物の表面の硬度の点から低いほうが好ましい。
前記環状オレフィン重合体としては、例えば、日本ゼオン(株)製、商品名「ゼオノア、ゼオネックス」、JSR(株)製、商品名「アートン」等の環状オレフィン重合体(COP)や、三井化学(株)製、商品名「アペル」、TOPAS製「TOPAS」等の環状オレフィン共重合体などが挙げられる。
本発明の積層体は、前記硬化性組成物の硬化物を含む層が、前記環状オレフィン重合体を含む基材に積層された積層体である。
前記硬化物の厚さは、得られる積層体の硬度や耐擦傷性の点から、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、4μm以上がさらに好ましい。また、耐クラック性の点から、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。
次に本発明の積層体の製造方法の一例を示す。
本発明の積層体は、(メタ)アクリル系重合体と、ラジカル重合性の二重結合を2個以上有する(メタ)アクリレートを含む硬化性組成物を、環状オレフィン重合体を含む基材に塗布した後、活性エネルギー線で前記硬化性組成物を硬化することで製造できる。
なお、(メタ)アクリル系重合体と、ラジカル重合性の二重結合を2個以上有する(メタ)アクリレートについては、前述の積層体に使用するものと同様のものが使用できる。
前記活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、赤外線及び可視光線が挙げられる。これらの中でも、前記硬化性組成物の硬化性前記基材の劣化防止の点から、紫外線及び電子線が好ましい。
なお、前記積層体は、前記基材の一方の面にのみ前記硬化物が形成されていてもよく、両面に前記硬化物が形成されていてもよい。
環状オレフィン重合体を含む基材(ZF16、日本ゼオン株式会社製;厚さ=50μm)の表面に、バーコーター#12を用いて乾燥後の膜厚が5μmになるように硬化性組成物を塗布し、90℃で1分間加熱乾燥した後、岩崎電気株式会社製高圧水銀灯「US5-X0401」を使用して、表1に示す条件で紫外線照射を行い、硬化性組成物の硬化物が基材に積層された積層体を得た。
B型粘度計「東機産業株式会社製BL粘度計」にて、25℃における硬化性組成物の粘度を測定した。
前記評価サンプルの外観を目視確認し、以下評価基準で評価した。
○:硬化膜にバーコーター跡が無い。
△:硬化膜にバーコーター跡が薄く残る。
×:硬化膜の全面にバーコーター跡が明確に残る。
前記評価サンプルをJIS K-5400の碁盤目剥離試験(碁盤目数:100個)に準じて測定し、以下の基準で評価した。
◎:試験後に残ったマス目の数が100個(=剥離が無い)。
○:試験後に残ったマス目の数が70個以上99個以下。
△:試験後に残ったマス目の数が10個以上69個以下。
×:試験後に残ったマス目の数が0個以上9個以下。
得られた積層体の硬化性組成物の硬化物の表面に対して、JIS準拠鉛筆硬度計を用い、JIS K-5400に準じて、荷重500gで傷の入らない鉛筆硬度を測定した。
Gel Permeation Chromatography法「HLC-8120」(東ソー(株)製)を用いて測定した。カラムは、TSKgel G5000HXL*GMHXL-L(東ソー(株)製)を使用した。また、標準ポリスチレンとして、F288/F80/F40/F10/F4/F1/A5000/A1000/A500(東ソー(株)製)及びスチレンを使用して検量線を作成した。
重合体をテトラヒドロフランに濃度が0.4%になるように溶解した溶液100μlを使用してカラムオーブン温度40℃で測定を行った。標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量(Mw)を算出した。
撹拌機、冷却管及び温度計を備えたフラスコ中に脱イオン水900部、メタクリル酸2-スルホエチルナトリウム60部、メタクリル酸カリウム10部及びメタクリル酸メチル12部を入れて撹拌し、フラスコ内を窒素置換しながら50℃に昇温した。次いで、フラスコ中に重合開始剤として2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.08部を添加し、さらに60℃に昇温した。昇温後、滴下ポンプを使用して、メタクリル酸メチル18部を0.24部/分の速度で連続的に滴下した。得られた反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10%の分散剤(X)を得た。
撹拌装置を備えたフラスコ中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物1.00g、ジフェニルグリオキシム1.93g及び予め窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル80mlを入れ、室温で30分間攪拌した。次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体10mlを加え、さらに6時間攪拌した。得られた反応物を濾過し、固形分をジエチルエーテルで洗浄し、15時間真空乾燥して、赤褐色固体の連鎖移動剤(Y)2.12gを得た。
(A-1)
撹拌機、冷却管及び温度計を備えたフラスコ中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び分散剤(X)0.25部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次いで、フラスコ中にメタクリル酸メチル49.5部、メタクリル酸イソボルニル49.5部、メタクリル酸1部、チオグリコール酸オクチル6部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.4部の単量体混合物を加え、水性懸濁液とした。次に、フラスコ内を窒素置換し、80℃に昇温して約2時間反応させ、さらに重合率を上げるため、95℃に昇温して1時間保持した。次に、反応液を40℃に冷却して、水性重合体懸濁液を得た。この水性重合体懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で16時間乾燥することで、重合体A-1を得た。重合体のガラス転移温度Tgは70℃、重量平均分子量(Mw)は7000であった。
撹拌機、冷却管及び温度計を備えたフラスコ中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び分散剤(X)0.25部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次いで、フラスコ中にメタクリル酸メチル100部、連鎖移動剤(Y)0.005部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.4部の単量体混合物を加え、水性懸濁液とした。次に、フラスコ内を窒素置換し、80℃に昇温して約1時間反応させ、さらに重合率を上げるため、93℃に昇温して1時間保持した。次に、反応液を40℃に冷却して、水性重合体懸濁液を得た。この水性重合体懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で16時間乾燥することで、重合体A-2を得た。重合体A-2のガラス転移温度Tgは82℃、重量平均分子量(Mw)は7800であった。
AA-6(東亜合成株式会社製)
MMAに由来する構成単位100質量%
重量平均分子量(Mw)12000の(メタ)アクリル系重合体
撹拌機、冷却管及び温度計を備えたフラスコ中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び前記分散剤(X)0.25部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次いで、フラスコ中にメタクリル酸メチル100部、前記連鎖移動剤(Y)0.0025部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.4部の単量体混合物を加え、水性懸濁液とした。次に、フラスコ内を窒素置換し、80℃に昇温して約1時間反応させ、さらに重合率を上げるため、93℃に昇温して1時間保持した。次に、反応液を40℃に冷却して、水性重合体懸濁液を得た。前記水性重合体懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で16時間乾燥することで、重合体A-4を得た。重合体A-4のガラス転移温度Tgは100℃、重量平均分子量(Mw)は20000であった。
BR83(三菱ケミカル株式会社製)
MMAに由来する構成単位100質量%
重量平均分子量(Mw)40000の(メタ)アクリル系重合体
BR80(三菱ケミカル株式会社製)
MMAに由来する構成単位100質量%
重量平均分子量(Mw)100000の(メタ)アクリル系重合体
(B-1)
HEA(大阪有機化学工業株式会社製)
2-ヒドロキシエチルアクリレート
ビスコート#300(大阪有機化学工業株式会社製)
ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアク
リレートの混合物
カヤラッドDPHA(日本化薬株式会社製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレートの混合物
ベンゾフェノン(大同化成工業株式会社製)
ユピマーUV H6700(三菱ケミカル株式会社製)
イオン性アクリル系重合体を含む活性エネルギー線硬化性材料
KY1203(信越化学工業株式会社製)
ラジカル重合性の二重結合を2個以上有する(メタ)アクリレートとしてB-2を30質量部、B-3を70質量部、メタアクリル系重合体としてA-2を20質量部、光重合開始剤としてC-1を5質量部を、フラスコ中で混合し、これにイソプロピルアルコール(IPA)とメチルイソブチルケトン(MIBK)の50:50(重量比)の混合溶媒を加え、固形分濃度35質量%となるように希釈して硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物を、表1に示す紫外線照射条件で硬化し積層体を得た。積層体の評価結果を表1に記載した。
表1に示すように硬化性組成物の組成、紫外線照射条件を変更した以外は実施例1と同様にして硬化性組成物およびその積層体を得た。
積層体の評価結果を表1に記載した。
Claims (7)
- 硬化性組成物の硬化物を含む層が環状オレフィン重合体を含む基材に積層された積層体
であって、前記硬化性組成物が、(メタ)アクリル系重合体と、ラジカル重合性の二重結
合を2個以上有する(メタ)アクリレートを含み、
前記(メタ)アクリル系重合体が、メタクリル酸メチルに由来する構成単位を60質量%
以上含み、前記(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量が1000以上50000以
下であり、前記(メタ)アクリル系重合体の配合量は、前記ラジカル重合性の二重結合を
2個以上有する(メタ)アクリレート100質量%に対して、10質量%以上200質量
%以下である、積層体。 - 前記(メタ)アクリレートのラジカル重合性の二重結合の数が3以上9以下である請求
項1に記載の積層体。 - 前記硬化性組成物中の前記(メタ)アクリル系重合体及び前記(メタ)アクリレートの
合計質量が70質量%以上である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の積層体。 - 前記硬化性組成物が、さらに光重合開始剤を含む請求項1から請求項3のいずれか1項
に記載の積層体。 - 前記光重合開始剤がベンゾフェノンである請求項4に記載の積層体。
- (メタ)アクリル系重合体と、ラジカル重合性の二重結合を2個以上有する(メタ)ア
クリレートを含む硬化性組成物を、環状オレフィン重合体を含む基材に塗布した後、活性
エネルギー線で前記硬化性組成物を硬化する積層体の製造方法であって、前記(メタ)ア
クリル系重合体が、メタクリル酸メチルに由来する構成単位を60質量%以上含み、前記
(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量が1000以上50000以下である積層体
の製造方法。 - 前記硬化性組成物の、B型粘度計で測定した粘度が、25℃において100mPa・s
以下である請求項6に記載の積層体の製造方法。
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