JP7107297B2 - 有機ケイ素化合物、活性エネルギー線硬化性組成物および被膜物品 - Google Patents

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Description

本発明は、有機ケイ素化合物、活性エネルギー線硬化性組成物および被膜物品に関する。
従来、光学ディスプレイや樹脂ガラスなどの表面には、傷つき防止や汚染防止、反射防止、滑り性付与等を目的として表面処理やコーティングが施されているが、これには、基材との密着性や表面硬度を維持しながらも、ハジキやムラ、白化がなく、基材の外観を損なわないコーティング組成物が求められている。
有機官能基を含有するシロキサン化合物は、耐熱性、耐候性、耐薬品性、耐水性等の特性を有することから、各種コーティング材料等の分野で、表面処理剤やカップリング剤、樹脂改質剤として広く利用されている。
一方、(メタ)アクリレート化合物は、活性エネルギー線硬化性組成物に広く利用されている。しかし、(メタ)アクリレート化合物に従来の有機官能基を含有するシロキサン化合物を混合した場合、両者の相溶性が悪いため組成物の分離が起こり、基材との密着性の悪化や、被膜の表面にクラック、塗りムラ、白化をもたらす等の問題を有している。
また、特許文献1には、(メタ)アクリレート化合物と、アクリル基含有アルコキシシランカップリング剤と、チオウレア構造を有するアルコキシシランカップリング剤とを含む、(メタ)アクリレート系活性エネルギー線硬化性組成物が提案されており、この活性エネルギー線硬化性組成物の硬化被膜は、金属薄膜への密着性および透明性が良好であることが報告されている。
しかしながら、活性エネルギー線硬化性組成物にアルコキシシランカップリング剤を使用した場合、硬化時または経時のアルコキシ基の加水分解・縮合に伴って、硬化物にボイドやクラックの発生を引き起こす可能性があった。
特許第5697223号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、(メタ)アクリレート化合物との相溶性に優れ、有機樹脂基板への密着性および撥水撥油性に優れた硬化被膜を与える活性エネルギー線硬化性組成物を形成できる有機ケイ素化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、チオウレア結合部位とシロキサン結合部位とを含有する有機ケイ素化合物が、(メタ)アクリレート化合物との相溶性に優れ、種々の樹脂と相溶し、この有機ケイ素化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物が、有機樹脂基材への密着性、および撥水撥油性に優れた被膜を与えることを見出し、本発明を完成させた。なお、本発明において、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイルオキシは、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシを意味する。
すなわち、本発明は、
1. 下記構造式(I)を含む有機ケイ素化合物、
Figure 0007107297000001
(式中、R1は、互いに独立に、炭素原子数1~10の2価の炭化水素基を表し、R2は、互いに独立に、水素原子、またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~8のアルキル基、フェニル基、アクリロイルオキシプロピル基、メタクリロイルオキシプロピル基、およびグリシドキシプロピル基から選ばれる基であり、nは1以上の整数である。)
2. R1がトリメチレン基であり、R2がメチル基であり、nが5~100である1記載の有機ケイ素化合物、
3. 1または2記載の有機ケイ素化合物、ケイ素原子を有しない重合性化合物、および光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性組成物、
4. コーティング剤である3記載の活性エネルギー線硬化性組成物、
5. 3または4記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなる硬化物、
6. 5記載の硬化物からなるフィルム、
7. 基材と、該基材の少なくとも一方の面に直接または少なくとも1種のその他の層を介して積層された硬化膜とを有し、
前記硬化膜が、3または4記載の活性エネルギー線硬化性組成物から作製された硬化膜である被覆物品
を提供する。
本発明の有機ケイ素化合物は、(メタ)アクリレート化合物や種々の樹脂と相溶するため、種々の活性エネルギー線硬化性組成物に配合することができる。また、樹脂改質剤等として有用である。本発明の有機ケイ素化合物を含む活性エネルギー線硬化性組成物は、有機樹脂基材への密着性および撥水撥油性に優れた硬化被膜を与えるため、各種物品のコーティング剤として有用である。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
[有機ケイ素化合物]
本発明の有機ケイ素化合物は、繰り返し単位が下記構造式(I)で表されるものである。
Figure 0007107297000002
式(I)において、R1は、互いに独立に、炭素原子数1~10の2価の炭化水素基を表し、R2は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~8のアルキル基、フェニル基、アクリロイルオキシプロピル基、メタクリロイルオキシプロピル基、およびグリシドキシプロピル基から選ばれる基であり、nは1以上の整数である。
1としては、炭素原子数1~6が好ましく、具体例としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン等の直鎖、分岐または環状アルキレン基、フェニレン等のアリーレン基などが挙げられる。これらの中でも好ましくはメチレン、エチレン、トリメチレンである。
2のアルキル基としては、炭素原子数1~6が好ましく、具体例としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル等の直鎖、分岐または環状アルキル基が挙げられる。また、これらのアルキル基の水素原子の一部又は全部が、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子で置換されたクロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基も挙げられる。これらの中でも好ましくはメチル基、エチル基である。
nは1~200が好ましく、より好ましくは5~100である。
特に、重合性化合物との相溶性や、本発明の有機ケイ素化合物を含む組成物の硬化性、およびこの組成物から得られる硬化物の有機樹脂基材への密着性の観点から、構造式(I)において、R1はトリメチレン基であり、R2はメチル基であり、nは5~100、特に5~50が好ましい。
また、本発明の有機ケイ素化合物は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量は500~30,000が好ましい。より好ましくは1,000~10,000であり、さらに好ましくは1,500~5,000である。
上記構造式(I)で表される有機ケイ素化合物は、下記構造式(II)で表される有機ケイ素化合物と、下記構造式(III)で表される化合物とを反応させて得ることができる。
Figure 0007107297000003
(式中、R1、R2は、上述の通りである。)
Figure 0007107297000004
上記構造式(II)で表される化合物と上記構造式(III)で表される化合物との反応は、好ましくは、上記構造式(III)で表される化合物1モルに対して、上記構造式(II)で表される化合物を1モル以上用いて行うのがよい。より好ましくは、構造式(II)で表される化合物を1~10モル使用する。
反応温度は-80~200℃が好ましく、-20~80℃がより好ましい。反応時間は10分間~48時間が好ましく、1~24時間がより好ましい。また、この反応には、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等の有機溶媒を用いてもよい。
[活性エネルギー線硬化性組成物]
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、上述した有機ケイ素化合物、ケイ素原子を有しない重合性化合物、および光重合開始剤を含有する。
ケイ素原子を有しない重合性化合物としては、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、3-(メタ)アクリロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、エステルアクリレート等が挙げられる。
ケイ素原子を有しない重合性化合物の配合量は、本発明の有機ケイ素化合物1質量部に対して、5~2,000質量部が好ましく、より好ましくは10~500質量部である。
光重合開始剤としては、活性エネルギー線によりラジカル種を発生する開始剤であれば、特に限定されるものではなく、アセトフェノン系、ベンゾイン系、アシルフォスフィンオキサイド系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の公知の光重合開始剤から適宜選択すればよい。
光重合開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、チオキサントン誘導体、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、2-メチル-1-{4-(メチルチオ)フェニル}-2-モルフォリノプロパン-1-オン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルファイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、光重合開始剤は市販品を使用することもできる。市販品としては、例えば、Omnirad 1173、Omnirad MBF、Omnirad 127、Omnirad 184、Omnirad 369、Omnirad 379、Omnirad 379EG、Omnirad 651、Omnirad 754、Omnirad 784、Omnirad 819、Omnirad 819DW、Omnirad 907、Omnirad 2959、Omnirad TPO(いずれもIGM RESINS B.V.社製)等が挙げられる。
光重合開始剤の量は、硬化性を良好にするとともに、硬化後の表面硬度の低下を防止することを考慮すると、ケイ素原子を有しない重合性不飽和化合物100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、さらに好ましくは0.5~10質量部である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて溶剤を含有してもよい。好ましい溶剤としては、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルのエステル化物などが挙げられる。
溶剤を配合する場合、その配合量は特に制限されないが、本発明の有機ケイ素化合物、ケイ素原子を有しない重合性化合物の合計100質量部に対して5~200質量部が好ましく、より好ましくは10~100質量部である。
なお、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、さらに、金属酸化物微粒子、シリコーンレジン、シランカップリング剤、希釈溶剤、可塑剤、充填剤、増感剤、光吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、熱線反射剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防汚性付与剤、撥水性付与剤、消泡剤、着色剤、増粘剤、レベリング剤等の各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で含んでいてもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、上記各成分を常法に準じて均一に混合することにより得られる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の粘度は特に限定されるものではないが、成形または塗布作業性を良好にし、すじむら等の発生を抑制することを考慮すると、回転粘度計により測定される25℃での粘度が10,000mPa・s以下が好ましく、2,000mPa・s以下がより好ましい。なお、25℃における粘度の下限は10mPa・s以上が好ましい。
[コーティング剤および被覆物品]
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、コーティング剤として好適に使用可能であり、基材の少なくとも一方の面に、直接または少なくとも1種のその他の層を介して塗布し、それを硬化させることにより被膜を形成した被覆物品を得ることができる。また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は、フィルムとしても好適に使用可能である。
上記基材としては、特に限定されるものではないが、プラスチック成形体、木材系製品、セラミックス、ガラス、金属、それらの複合物等が挙げられる。また、これらの基材の表面が、化成処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、酸やアルカリ液で処理されている基材や、基材本体と表層が異なる種類の塗料で被覆された化粧合板等も用いることもできる。
さらに、予めその他の機能層が形成された基材表面に、本発明のコーティング剤による被覆を施してもよく、その他の機能層としては、プライマー層、防錆層、ガスバリア層、防水層、熱線遮蔽層等が挙げられ、これらのいずれか一層または複数層が基材上に予め形成されていてもよい。
被覆物品は、本発明のコーティング剤からなる塗膜が形成された面に、さらに、CVD(化学気相成長)法による蒸着層、ハードコート層、防錆層、ガスバリア層、防水層、熱線遮蔽層、防汚層、光触媒層、帯電防止層等の1層または複数層によって被覆されていてもよい。さらに、被覆物品は、本発明のコーティング剤からなる塗膜が形成された面とは反対側の面が、ハードコート層、防錆層、ガスバリア層、防水層、熱線遮蔽層、防汚層、光触媒層、帯電防止層等の一層または複数層によって被覆されていてもよい。
本発明のコーティング剤は、表面に耐擦傷性および耐磨耗性の付与が必要とされる物品、特に液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プラズマディスプレー、ELディスプレイ等の各種表示素子等の表面に塗布し、硬化被膜とすることにより、これらの表面に耐擦傷性、耐磨耗性、耐屈曲性、および耐クラック性を付与することが可能である。
コーティング剤の塗布方法としては、公知の手法から適宜選択すればよく、例えば、バーコーター、刷毛塗り、スプレー、浸漬、フローコート、ロールコート、カーテンコート、スピンコート、ナイフコート等の各種塗布方法を用いることができる。
活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させるための光源としては、通常、200~450nmの範囲の波長の光を含む光源、例えば高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、カーボンアーク灯等が挙げられる。照射量は特に制限されないが、10~5,000mJ/cm2が好ましく、20~1,000mJ/cm2がより好ましい。硬化時間は、通常0.5秒~2分であり、好ましくは1秒~1分である。
以下、合成例、実施例および比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記において、重量平均分子量はGPC装置(HLC-8220、東ソー(株)製)を用いてテトラヒドロフラン(THF)を展開溶媒として測定した標準ポリスチレン換算値である。反応の進行は、1H-NMRスペクトル測定の結果から確認した。
[1]有機ケイ素化合物の製造
[実施例1]
1,1’-チオカルボイミダゾール(富士フィルム和光純薬(株)製)17.8g(0.1モル)とジメチルアセトアミド(富士フィルム和光純薬(株)製)46.9gを200mLフラスコ中で撹拌しながら、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(PAM-E、信越化学工業(株)製)26.1g(0.105モル)を滴下し、25℃で24時間攪拌した。水洗後、減圧留去することで黄色粘稠液体が得られた。 1H-NMR測定の結果から、生成物は下記構造式(IV)で表される繰り返し単位からなる有機ケイ素化合物であった(重量平均分子量3,000、n=8.5)。1H-NMR(300MHz,CDCl3)、0.01(12H,s),0.48(4H,bs),1.56(4H,bs),3.39(4H,bs),6.70(2H,bs).
Figure 0007107297000005
[2]活性エネルギー線硬化性組成物の製造
[実施例2-1、比較例2-1]
実施例1で得られた有機ケイ素化合物、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、MIWON社製)、メチルエチルケトン(MEK、東京化成工業(株)製)、および2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン(ラジカル系光重合開始剤、Omnirad 1173、IGM RESINS B.V.社製)を表1に示す組成比(質量部)で混合し、活性エネルギー線硬化性組成物(コーティング剤)を得た。
Figure 0007107297000006
[3]硬化膜の特性評価
[実施例3-1,3-2、比較例3-1,3-2]
得られたコーティング剤をバーコーターNo.14を用いてアクリル基材(アクリライト、三菱ケミカル(株)製)またはポリカーボネート(PC)基材(ユーピロンシートNF2000、三菱ガス化学(株)製)上に塗布し、乾燥機中(80℃)で20分間乾燥させた。その後、高圧水銀灯で積算照射量600mJ/cm2となるように光を照射し、硬化させることで被覆物品を製造した。
得られた被覆物品の硬化膜について、密着性、水接触角、ヘキサデカン接触角を評価した。結果を表2に示す。
(1)密着試験
JIS K5600-5-6:1999に準じて25マスによるクロスカット試験を行い、(剥離せず残ったマスの数)/25として表した。
(2)接触角試験
試験片に精製水を1滴(約2μL)、またはヘキサデカンを1滴(約2μL)滴下して、接触角計(装置名:Drop MasterDM-701、協和界面科学(株)製)を用いて測定した。
Figure 0007107297000007
[4]活性エネルギー線硬化性組成物の製造
[実施例4-1、比較例4-1]
実施例1で得られた有機ケイ素化合物、活性エネルギー線硬化性アクリルシリコーン(X-40-2761、信越化学工業(株)製)、メチルエチルケトン(MEK、東京化成工業(株)製)、および2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン(ラジカル系光重合開始剤、Omnirad 1173、IGM RESINS B.V.社製)を表3に示す組成比(質量部)で混合し、活性エネルギー線硬化性組成物(コーティング剤)を得た。
Figure 0007107297000008
[5]硬化膜の特性評価
[実施例5-1,5-2、比較例5-1,5-2]
得られたコーティング剤をバーコーターNo.8を用いてPC基材(ユーピロン・シートNF2000、三菱ガス化学(株)製)またはポリエチレンテレフタレート(PET)基材(コスモシャインA4300、東洋紡(株)製)上に塗布し、乾燥機中(80℃)で20分間乾燥させた。その後、高圧水銀灯で積算照射量600mJ/cm2となるように光を照射し、硬化させることで被覆物品を製造した。
得られた被覆物品の硬化膜について密着性を評価した。結果を表4に示す。
Figure 0007107297000009
表2に示されるように、本発明の有機ケイ素化合物を含む活性エネルギー線硬化性組成物の硬化被膜は、比較例のものよりも高い水接触角およびヘキサデカン接触角を示し、撥水撥油性に優れている。
また、表4に示されるように、有機樹脂基材との密着性が悪いシリコーン系のコーティング剤においても、本発明の有機ケイ素化合物を少量添加することで、良好な基材密着性を付与することができる。

Claims (7)

  1. 下記構造式(I)を含む有機ケイ素化合物。
    Figure 0007107297000010
    (式中、R1は、互いに独立に、炭素原子数1~10の2価の炭化水素基を表し、R2は、互いに独立に、水素原子、またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~8のアルキル基、フェニル基、アクリロイルオキシプロピル基、メタクリロイルオキシプロピル基、およびグリシドキシプロピル基から選ばれる基であり、nは1以上の整数である。)
  2. 1がトリメチレン基であり、R2がメチル基であり、nが5~100である請求項1記載の有機ケイ素化合物。
  3. 請求項1または2記載の有機ケイ素化合物、ケイ素原子を有しない重合性化合物、および光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. コーティング剤である請求項3記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. 請求項3または4記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
  6. 請求項5記載の硬化物からなるフィルム。
  7. 基材と、該基材の少なくとも一方の面に直接または少なくとも1種のその他の層を介して積層された硬化膜とを有し、
    前記硬化膜が、請求項3または4記載の活性エネルギー線硬化性組成物から作製された硬化膜である被覆物品。
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