JP2008291106A - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、それを硬化して得られる硬化膜および該硬化膜を被膜として有する物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】保存安定性がよく、硬度、耐擦傷性、透明性に優れかつ高屈折率の被膜を形成することができる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】金属アルコキシドおよび/またはその縮合物(a)に、カルボキシル基とラジカル重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1つ以上有するカルボン酸化合物(b)を反応させてなる金属アルコキシドの部分カルボン酸塩化合物(A)を脱アルコール反応させて得られる縮合物を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】金属アルコキシドおよび/またはその縮合物(a)に、カルボキシル基とラジカル重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1つ以上有するカルボン酸化合物(b)を反応させてなる金属アルコキシドの部分カルボン酸塩化合物(A)を脱アルコール反応させて得られる縮合物を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、紫外線、電子線などの活性エネルギー線により硬化し、高屈折率でかつ硬度、耐擦傷性、透明性に優れた硬化膜を形成することのできる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、当該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜および該硬化膜を被膜として有する物品に関する。
近年、物品表面の保護のみならず、反射機能または反射防止機能を与えるために高い屈折率となる被膜を形成できるコーティング剤が求められている。このようなコーティング剤として、活性エネルギー線硬化性の樹脂組成物として種々のアクリレート化合物を含有する樹脂組成物が多用されているが、アクリレート化合物のみによって形成される硬化被膜では、高い屈折率を得るには限界があった。
そこで、金属酸化物微粒子を分散させてなる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が提案されているが、金属酸化物粒子は、沈降を起こしやすく安定なコーティング剤を得ることは困難であり、また透明性も十分でない。
また、特定の金属アルコキシド縮合物と少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含有する反応性単量体、および光重合開始剤を含有する樹脂組成物が提案されているが(特許文献1)、この樹脂組成物では、透明性の高い高屈折率の硬化被膜が得られるが、表面保護に必要な硬度、耐擦傷性が不足するという問題がある。
他方、高屈折率を有する有機系材料としては例えば、分子中に2つ以上の硫黄原子を含むモノマーと3官能以上のアクリルモノマーとで構成される活性エネルギー線硬化性組成物(特許文献2)や、ビスフェノキシフルオレン骨格を有するモノマーと3官能以上のアクリルモノマーとで構成される活性エネルギー線硬化性組成物(特許文献3)が提案されている。いずれの組成物でも高屈折化は可能となるが、表面保護に必要な硬度、耐擦傷性が十分なものが得られていない。
本発明は、前記事情に鑑み、従来のものに比べて、保存安定性がよく、硬度、耐擦傷性、透明性に優れかつ高屈折率の被膜を形成することができる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、金属アルコキシドおよび/またはその縮合物(a)に、カルボキシル基とラジカル重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1つ以上有するカルボン酸化合物(b)を反応させて、そのアルコキシ基の一部を塩とした金属アルコキシドの部分カルボン酸塩化合物(A)の脱アルコール反応縮合物をコーティング剤として用いることで、上記課題を解決しうることを見出した。本発明はかかる知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明は、
一般式(1):M(OR)m(式中、Mは、Ti、Zr、Ta、Sn、ZnおよびInからなる群より選ばれる1種、Rはアルキル基、mはMの原子価)で表される金属アルコキシドおよび/またはその縮合物(a)に、カルボキシル基とラジカル重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1つ以上有するカルボン酸化合物(b)を反応させてなる金属アルコキシドの部分カルボン酸塩化合物(A)を脱アルコール反応させて得られる縮合物を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。;一般式(2):M(OR)m−n(OCOR´)n(式中、Mは、Ti、Zr、Ta、Sn、ZnおよびInからなる群より選ばれる1種、Rはアルキル基、R´はラジカル重合性不飽和結合を含む官能基、mはMの原子価、nはmより小さい整数)で表される金属アルコキシドの部分カルボン酸塩化合物(A)を脱アルコール反応させて得られる縮合物を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。;前記記載の縮合物および1分子中に少なくとも2つのラジカル重合性不飽和結合性官能基を含有する水酸基価50mgKOH/g以下の活性エネルギー線硬化性樹脂を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。;さらに、光ラジカル開始剤を含有してなる前記記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。;前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜若しくは硬化被膜を有することを特徴とする物品に関する。
一般式(1):M(OR)m(式中、Mは、Ti、Zr、Ta、Sn、ZnおよびInからなる群より選ばれる1種、Rはアルキル基、mはMの原子価)で表される金属アルコキシドおよび/またはその縮合物(a)に、カルボキシル基とラジカル重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1つ以上有するカルボン酸化合物(b)を反応させてなる金属アルコキシドの部分カルボン酸塩化合物(A)を脱アルコール反応させて得られる縮合物を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。;一般式(2):M(OR)m−n(OCOR´)n(式中、Mは、Ti、Zr、Ta、Sn、ZnおよびInからなる群より選ばれる1種、Rはアルキル基、R´はラジカル重合性不飽和結合を含む官能基、mはMの原子価、nはmより小さい整数)で表される金属アルコキシドの部分カルボン酸塩化合物(A)を脱アルコール反応させて得られる縮合物を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。;前記記載の縮合物および1分子中に少なくとも2つのラジカル重合性不飽和結合性官能基を含有する水酸基価50mgKOH/g以下の活性エネルギー線硬化性樹脂を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。;さらに、光ラジカル開始剤を含有してなる前記記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。;前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜若しくは硬化被膜を有することを特徴とする物品に関する。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、含有成分の析出や沈降を生ずることなく長期保存安定性に優れ、透明かつ高い屈折率を有する硬化膜等を得ることができる。しかも、得られる硬化膜は、高硬度で耐擦傷性にも優れるものであり、従来の物品表面の保護を目的に塗布されるハードコート剤と同等の強固な保護機能も有するものである。よって、従来困難であった高屈折率と高硬度の特性を高次元で達成するものであり、例えばプラスチックやガラス等基材の保護と反射機能や反射防止機能を付与することのできる被膜形成用のコーティング剤として好適なものである。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、硬化性成分として、一般式(1):M(OR)m(式中、Mは、Ti、Zr、Ta、Sn、ZnおよびInからなる群より選ばれる1種、Rはアルキル基、mはMの原子価)で表される金属アルコキシドおよび/またはその縮合物(a)に、カルボキシル基とラジカル重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1つ以上有するカルボン酸化合物(b)を反応させ、金属アルコキシドのアルコキシ基の一部を前記カルボン酸化合物と反応させて金属アルコキシドの部分カルボン酸塩化合物とし、さらにこれを脱アルコール反応させて得られる縮合物を含有するものである。かかる縮合物は、分子レベルで金属−酸素−金属結合が均一に存在し、かつ活性エネルギー線によりラジカル重合可能な不飽和結合をも併せて有しているので、それ単独で、高い屈折率と透明性を有しつつ、架橋構造による強固な保護膜を形成することができるものである。
上記一般式(1)で表わされる、本発明に使用する金属アルコキシド(以下、(a)成分ということがある。)としては、具体的には、Ti(OCH3)4 、Ti(OC2H5)4 、Ti(OC3H7)4 、Ti(O−iso−C3H7)4 、Ti(OC4H9)4、Ti(O−iso−C3H7)2(CH3COCH3COCH3)2等のチタンアルコキシド、Zr(OCH3)4、Zr(OC2H5)4 、Zr(OC3H7)4、Zr(O−iso−C3H7)4 、Zr(OC4H9)4等のジルコニウムアルコキシド、Ta(OCH3)5、Ta(OC2H5)5
、Ta(OC4H9)5等のタンタルアルコキシドが挙げられる。
これらのうち、反応性及びコーティング溶液の安定性の点から、ペンタオキシド、ブトキシド、プロポキシド、エトキシド化合物が好ましい。また、(a)成分として、前記金属アルコキシド化合物の2〜10量体を使用してもよい。
、Ta(OC4H9)5等のタンタルアルコキシドが挙げられる。
これらのうち、反応性及びコーティング溶液の安定性の点から、ペンタオキシド、ブトキシド、プロポキシド、エトキシド化合物が好ましい。また、(a)成分として、前記金属アルコキシド化合物の2〜10量体を使用してもよい。
本発明で使用するカルボキシル基とラジカル重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1つ以上有するカルボン酸化合物(以下、(b)成分ということがある。)におけるラジカル重合性不飽和結合としては、特に限定されないが、ビニル基、アリル基及び(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。本発明に使用するカルボキシル基とラジカル重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1つ以上有するカルボン酸化合物としては、活性エネルギー線硬化反応性の点から特に(メタ)アクリロイル基含有のカルボン酸化合物が好ましい。具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、及び、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、ω-カルボキシ-ポリカポロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記(a)成分と(b)成分の使用割合は、(a)成分に含まれるアルコキシ基の総モル数(a1)に対する(b)成分に含まれるカルボキシル基の総モル数(b1)の比率((b1)/(a1))が、1未満となるように使用する。前記比率が、1以上となると(a)成分中に存在するアルコキシ基がすべて(b)成分のカルボキシル基と反応し、金属アルコキシドの部分カルボン酸塩化合物とならず、後の脱アルコール反応による縮合物とすることができなくなるおそれがある。好ましくは(b1)/(a1)が、0.8〜0.1の範囲となるように使用する。0.1を下回る場合には後の脱アルコール反応による縮合の際にゲル化しやすくなる傾向があり、0.8を上回ると析出物を生じることがあり、また、後の脱アルコール反応において十分に縮合反応が進行せず、結果として得られる硬化物の高屈折率化が図れないおそれや、塗膜が白化してしまうおそれがある。(a)成分と(b)成分の使用割合をかかる範囲内とすることにより、安定的に高屈折率を有する硬化物を形成し得る金属アルコキシドの部分カルボン酸塩化物を得ることができる。
上記のとおり、(a)成分と(b)成分とを反応させることにより、一般式(2):M(OR)m−n(OCOR´)n(nは1〜4の整数、Rはアルキル基、R´はラジカル重合性不飽和結合を含む官能基)で表わされるもの(以下、成分(A)ということがある。)となる。
本発明においては、成分(A)に残存しているアルコキシ基により脱アルコール反応させて縮合物とする。
成分(A)の脱アルコール反応の条件としては、特に限定されないが、通常、温度70〜240℃程度、好ましくは100〜180℃であり、全反応時間は、特に限定されないが、通常、2〜24時間程度である。(a)成分として使用する金属アルコキシドのアルコキシ基がメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基の場合、特に縮合反応の際の触媒は必要ではないが、反応を促進させる必要がある場合にはゾル-ゲル硬化触媒を使用するのが好ましい。ゾル-ゲル硬化触媒とは一般に酸又は塩基性触媒であって、その種類・量は特に限定されないが、塩酸、硝酸、硫酸、又は、p−トルエンスルホン酸・メタンスルホン酸、酢酸、蟻酸などの有機酸又はトリエチルアミン・トリメチルアミンなどの3級有機アミン、ジプロピルアミン、ジエチルアミンなどを、アルコキシ基(アルコキシ基を1モルとして)に対し、10-4〜1モル%程度使用するのが好ましい。また、同時に水をアルコキシ基(アルコキシ基を1モルとして)に対して0.5〜10モル%使用すると加水分解を生じ、縮合反応を促進させることができる。
成分(A)の脱アルコール反応の条件としては、特に限定されないが、通常、温度70〜240℃程度、好ましくは100〜180℃であり、全反応時間は、特に限定されないが、通常、2〜24時間程度である。(a)成分として使用する金属アルコキシドのアルコキシ基がメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基の場合、特に縮合反応の際の触媒は必要ではないが、反応を促進させる必要がある場合にはゾル-ゲル硬化触媒を使用するのが好ましい。ゾル-ゲル硬化触媒とは一般に酸又は塩基性触媒であって、その種類・量は特に限定されないが、塩酸、硝酸、硫酸、又は、p−トルエンスルホン酸・メタンスルホン酸、酢酸、蟻酸などの有機酸又はトリエチルアミン・トリメチルアミンなどの3級有機アミン、ジプロピルアミン、ジエチルアミンなどを、アルコキシ基(アルコキシ基を1モルとして)に対し、10-4〜1モル%程度使用するのが好ましい。また、同時に水をアルコキシ基(アルコキシ基を1モルとして)に対して0.5〜10モル%使用すると加水分解を生じ、縮合反応を促進させることができる。
脱アルコール反応による成分(A)の縮合は、一般式(2):M(OR)m−n(OCOR´)n(式中、Mは、Ti、Zr、Ta、Sn、ZnおよびInからなる群より選ばれる1種、Rはアルキル基、R´はラジカル重合性不飽和結合を含む官能基、mはMの原子価、nはmより小さい整数)で示すところのアルコキシ基由来のアルコールを反応系外へ留去することにより行う。脱アルコール反応の進行状態は、留去したアルコール量を例えば、1H−NMRにより測定することによって追跡することができる。
脱アルコール反応(縮合反応)は、通常、アルコキシ基が消費されるまで行うことが望ましいが、縮合物が生成する程度に進行していれば、その縮合物中にアルコキシ基が残存している場合であってもよい。
脱アルコール反応(縮合反応)は、通常、アルコキシ基が消費されるまで行うことが望ましいが、縮合物が生成する程度に進行していれば、その縮合物中にアルコキシ基が残存している場合であってもよい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、予め(a)成分を縮合させて得た縮合物に対して、(b)成分を反応させることによっても製造することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、成分(A)が高い屈折率性を与える金属成分とラジカル重合性不飽和結合を有することから、硬化性成分として成分(A)のみを使用して、透明で高い屈折率と高い硬度を有する硬化膜を得ることができるが、必要により硬化性成分として、さらに1分子中に少なくとも2つのラジカル重合性不飽和結合性官能基を含有する水酸基価50mgKOH/g以下の活性エネルギー線硬化性樹脂(以下、成分(B)ということがある。)を含有させることもできる。成分(B)の水酸基価が50mgKOH/gを超える場合には、成分(A)と配合すると増粘あるいはゲル化が生じ易くなり、保存安定性が悪くなる。成分(B)としては、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートに代表される多官能モノマー、さらに、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)エステルアクリレート等の(メタ)アクリル系オリゴマー等が挙げることができる。これらはそれぞれを単独で、または2種以上を併用して(A)成分と配合することができる。
(B)成分の使用割合は、特に制限されないが、成分(A)と成分(B)の合計100重量部中、成分(B)を90重量部以下で使用することが好ましく、より好ましくは80重量部以下である。90重量部を超えると、高屈折率性という特性を十分に確保することができなくなる傾向があるためである。上記観点から、高硬度かつ高屈折率の材料としては、成分(B)の使用割合は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部中、成分(B)を30〜80重量部の範囲で使用するのが適している。
(B)成分の使用割合は、特に制限されないが、成分(A)と成分(B)の合計100重量部中、成分(B)を90重量部以下で使用することが好ましく、より好ましくは80重量部以下である。90重量部を超えると、高屈折率性という特性を十分に確保することができなくなる傾向があるためである。上記観点から、高硬度かつ高屈折率の材料としては、成分(B)の使用割合は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部中、成分(B)を30〜80重量部の範囲で使用するのが適している。
本発明の成分(A)および/または成分(A)と成分(B)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物の硬化反応は、紫外線、電子線等の種々の活性エネルギー線を照射することにより行うことができる。活性エネルギー線として紫外線により硬化させる場合には、光重合開始剤を含有させればよい。一方、電子線等により硬化させる場合には、光重合開始剤を使用する必要はない。
本発明に使用する光重合開始剤としては、特に、制限なく従来公知のものを使用することができる。光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイルプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンなどを挙げることができ、これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
光重合開始剤の市販品としては、ダロキュアー1173、イルガキュアー651、イルガキュアー184、イルガキュアー907(いずれも、商品名,チバスペシャルティケミカルズ社製)などを挙げることができる。
光重合開始剤の市販品としては、ダロキュアー1173、イルガキュアー651、イルガキュアー184、イルガキュアー907(いずれも、商品名,チバスペシャルティケミカルズ社製)などを挙げることができる。
光重合開始剤の使用量は、本発明の硬化性成分である成分(A)の量または成分(A)に加えて成分(B)も併用する場合は成分(A)と成分(B)の合計量100重量部に対し、通常、光ラジカル開始剤を0.5〜20重量部程度、好ましくは1〜15重量部を使用する。光ラジカル開始剤の使用量が、0.5重量%を下回る場合には、十分な硬化状態を得ることが困難であり、20重量部を超える場合には、得られる表面状態が不均一となり、高い屈折率を得ることが困難となる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、その用途、塗工方法などにより適宜に、希釈溶剤や、その他各種添加剤を加えてもよい。
希釈溶剤は、本発明の組成物を塗工に適した粘度に調整するために加えられるものであるが、有機溶剤が好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン等の炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。なかでも、エタノール、ブタノール、トルエン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルが好ましい。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
その他各種添加剤としては、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、表面調整剤、顔料、帯電防止剤、金属酸化物微粒子等を本発明の目的を逸脱しない範囲で目的に応じて含有してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、各種のプラスチック、ガラス、金属などの基材表面に、グラビアコーター、ローラー、スプレー、スピン、流し塗り、浸漬等の従来の手段により塗布された後、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化して、透明で高い屈折率を有し、かつ高い硬度を有する硬化膜を形成することができる。このような高屈折率の硬化膜は、例えば、液晶表示装置やプラズマディスプレイパネルなどの画像表示装置表示面の反射防止と保護に好適なものとなる。なお、基材となるプラスチックに特に制限はなく、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂やポリオレフィン樹脂、シクロオレフィンポリマー等の各種のプラスチックの表面に硬化被膜を形成することができる。
以下に、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお以下「部」及び「%」は、特記しない限りいずれも重量基準である。
<実施例1> 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物1の合成
撹拌機、温度計、分縮器、エアーバブリング装置および還流冷却器を備えたフラスコに、Zr(OC3H7)4(25%フリーアルコール;和光純薬工業株式会社)33.4重量部、メタクリル酸(三菱レイヨン株式会社製)6.6重量部を仕込み、キシレンで固形分濃度20%に希釈した後、60℃に昇温した。4時間保温後さらに加熱を行い、溶剤分を留去した。流出した溶剤量と同量のキシレンを加えた。留去した溶液を1H-NMR測定によりプロパノール由来のピークが検出できなくなるまで溶剤留去を続けて、縮合反応を完遂させた後、冷却して樹脂組成物1を得た。
1H-NMR測定の結果、得たれた樹脂組成物1中に残存するプロポキシド基由来のピークは認められなかった。
撹拌機、温度計、分縮器、エアーバブリング装置および還流冷却器を備えたフラスコに、Zr(OC3H7)4(25%フリーアルコール;和光純薬工業株式会社)33.4重量部、メタクリル酸(三菱レイヨン株式会社製)6.6重量部を仕込み、キシレンで固形分濃度20%に希釈した後、60℃に昇温した。4時間保温後さらに加熱を行い、溶剤分を留去した。流出した溶剤量と同量のキシレンを加えた。留去した溶液を1H-NMR測定によりプロパノール由来のピークが検出できなくなるまで溶剤留去を続けて、縮合反応を完遂させた後、冷却して樹脂組成物1を得た。
1H-NMR測定の結果、得たれた樹脂組成物1中に残存するプロポキシド基由来のピークは認められなかった。
<実施例2> 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物2の合成
撹拌機、温度計、分縮器、エアーバブリング装置および還流冷却器を備えたフラスコに、Zr(OC3H7)4(25%フリーアルコール;和光純薬工業株式会社)33.4重量部、メタクリル酸(三菱レイヨン株式会社製)6.6重量部を仕込み、キシレンで固形分濃度20%に希釈した後、60℃に昇温した。4時間保温後、さらに加熱を行い、溶剤分を留去した。溶剤留去中、1H-NMRにより検出されるキシレンとプロパノールの混合溶剤組成比より、混合溶剤中のプロパノール量を測定して縮合反応を追跡し、プロパノールの留去量が16.2重量部に達したところで冷却し、樹脂組成物2を得た。1H-NMR測定の結果、得られた樹脂組成物2中に残存するプロポキシド基の量は、使用したZr(OC3H7)41モル当り2モル相当であった。
撹拌機、温度計、分縮器、エアーバブリング装置および還流冷却器を備えたフラスコに、Zr(OC3H7)4(25%フリーアルコール;和光純薬工業株式会社)33.4重量部、メタクリル酸(三菱レイヨン株式会社製)6.6重量部を仕込み、キシレンで固形分濃度20%に希釈した後、60℃に昇温した。4時間保温後、さらに加熱を行い、溶剤分を留去した。溶剤留去中、1H-NMRにより検出されるキシレンとプロパノールの混合溶剤組成比より、混合溶剤中のプロパノール量を測定して縮合反応を追跡し、プロパノールの留去量が16.2重量部に達したところで冷却し、樹脂組成物2を得た。1H-NMR測定の結果、得られた樹脂組成物2中に残存するプロポキシド基の量は、使用したZr(OC3H7)41モル当り2モル相当であった。
<実施例3> 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物3の合成
撹拌機、温度計、分縮器、エアーバブリング装置および還流冷却器を備えたフラスコに、Ti(OC4H9)4(和光純薬工業株式会社)29.4重量部、メタクリル酸(三菱レイヨン株式会社製)7.4重量部を仕込み、キシレンで固形分濃度20%に希釈した後、60℃に昇温した。4時間保温後さらに加熱を行い、溶剤分を留去した。溶剤留去中、1H-NMRにより検出されるキシレンとブタノールの混合溶剤組成比より、ブタノール量を測定して縮合反応の進行を追跡し、ブタノールの留去量が18.9重量部に達したところで冷却し、樹脂組成物3を得た。1H-NMR測定の結果、得られた樹脂組成物中に残存するブトキシド基の量は、使用したTi(OC4H9)41モル当り1モル相当量であった。
撹拌機、温度計、分縮器、エアーバブリング装置および還流冷却器を備えたフラスコに、Ti(OC4H9)4(和光純薬工業株式会社)29.4重量部、メタクリル酸(三菱レイヨン株式会社製)7.4重量部を仕込み、キシレンで固形分濃度20%に希釈した後、60℃に昇温した。4時間保温後さらに加熱を行い、溶剤分を留去した。溶剤留去中、1H-NMRにより検出されるキシレンとブタノールの混合溶剤組成比より、ブタノール量を測定して縮合反応の進行を追跡し、ブタノールの留去量が18.9重量部に達したところで冷却し、樹脂組成物3を得た。1H-NMR測定の結果、得られた樹脂組成物中に残存するブトキシド基の量は、使用したTi(OC4H9)41モル当り1モル相当量であった。
<比較例1> 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物4の合成
撹拌機、温度計、分縮器、エアーバブリング装置および還流冷却器を備えたフラスコに、Zr(OC3H7)4(25%フリーアルコール;和光純薬工業株式会社)33.4重量部、メタクリル酸(三菱レイヨン株式会社製)6.6重量部を仕込み、キシレンで固形分濃度20%に希釈した後、60℃に昇温した。4時間保温後さらに加熱を行い、溶剤分を留去した。溶剤留去中、1H-NMR測定により検出されるキシレンとプロパノール混合溶剤組成比より、混合溶剤中のプロパノール量を算出した。プロパノールの留去量が、原料に含まれるフリーアルコール分と、アルコキシ基がメタクリル酸への置換により発生するアルコール分の総和となる、12.2重量部に達したので冷却した。1H-NMR測定の結果、得られた樹脂組成物4中に残存するプロポキシド基の量は、使用したZr(OC3H7)41モル当り3モル相当量が残存しており、脱アルコール縮合反応が進行していないものであった。
撹拌機、温度計、分縮器、エアーバブリング装置および還流冷却器を備えたフラスコに、Zr(OC3H7)4(25%フリーアルコール;和光純薬工業株式会社)33.4重量部、メタクリル酸(三菱レイヨン株式会社製)6.6重量部を仕込み、キシレンで固形分濃度20%に希釈した後、60℃に昇温した。4時間保温後さらに加熱を行い、溶剤分を留去した。溶剤留去中、1H-NMR測定により検出されるキシレンとプロパノール混合溶剤組成比より、混合溶剤中のプロパノール量を算出した。プロパノールの留去量が、原料に含まれるフリーアルコール分と、アルコキシ基がメタクリル酸への置換により発生するアルコール分の総和となる、12.2重量部に達したので冷却した。1H-NMR測定の結果、得られた樹脂組成物4中に残存するプロポキシド基の量は、使用したZr(OC3H7)41モル当り3モル相当量が残存しており、脱アルコール縮合反応が進行していないものであった。
<比較例2> 樹脂組成物5の合成
撹拌機、温度計、分縮器、エアーバブリング装置および還流冷却器を備えたフラスコに、Zr(OC3H7)4 (25%フリーアルコール;和光純薬工業株式会社)27.2重量部、飽和脂肪酸として酪酸(和光純薬工業株式会社)10.9重量部を仕込み、キシレンで固形分濃度20%に希釈した後、60℃に昇温した。4時間保温後さらに加熱を行い、溶剤分を留去した。溶剤留去中、1H-NMRにより検出されるキシレンとプロパノール混合溶剤組成比より、プロパノール量を測定して縮合反応の進行を追跡し、プロパノールの留去量が16.4重量部に達したところで冷却し、樹脂組成物5を得た。 1H-NMR測定の結果、得たれた樹脂組成物5中に残存するプロポキシド基の量は、使用したZr(OC3H7)41モル当り1モル相当量であった。
撹拌機、温度計、分縮器、エアーバブリング装置および還流冷却器を備えたフラスコに、Zr(OC3H7)4 (25%フリーアルコール;和光純薬工業株式会社)27.2重量部、飽和脂肪酸として酪酸(和光純薬工業株式会社)10.9重量部を仕込み、キシレンで固形分濃度20%に希釈した後、60℃に昇温した。4時間保温後さらに加熱を行い、溶剤分を留去した。溶剤留去中、1H-NMRにより検出されるキシレンとプロパノール混合溶剤組成比より、プロパノール量を測定して縮合反応の進行を追跡し、プロパノールの留去量が16.4重量部に達したところで冷却し、樹脂組成物5を得た。 1H-NMR測定の結果、得たれた樹脂組成物5中に残存するプロポキシド基の量は、使用したZr(OC3H7)41モル当り1モル相当量であった。
<評価例1〜5>および<比較評価例1〜4>
成分(A)として、上記実施例1〜3および比較例1および2で得た樹脂組成物1〜5を、成分(B)としてトリメチロールプロパントリアクリレート(水酸基価;1mgKOH/g以下、以降TMPTAと記す)とを表1に示す固形分比で使用し、光重合開始剤としてイルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製)をそれら全固形分100部に対して5部を配合し(ただし、カルボン酸化合物としてラジカル重合性不飽和結合を有しない酪酸を使用し他の硬化性成分を配合していない比較評価例3を除く。)、MEK溶剤で固形分濃度30%に調整を行い塗料化した。
成分(A)として、上記実施例1〜3および比較例1および2で得た樹脂組成物1〜5を、成分(B)としてトリメチロールプロパントリアクリレート(水酸基価;1mgKOH/g以下、以降TMPTAと記す)とを表1に示す固形分比で使用し、光重合開始剤としてイルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製)をそれら全固形分100部に対して5部を配合し(ただし、カルボン酸化合物としてラジカル重合性不飽和結合を有しない酪酸を使用し他の硬化性成分を配合していない比較評価例3を除く。)、MEK溶剤で固形分濃度30%に調整を行い塗料化した。
<比較評価例5>
攪拌機を備えたフラスコに、市販のチタンブトキシドダイマー(5%フリーアルコール;松本製薬工業(株) 製品名:オルガチックスTA−22)の固形分として40部とTMPTAを60重量部、光重合開始剤としてイルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製)をそれら固形100部に対して5部を配合し、MEK溶剤で固形分濃度30%に調整を行い塗料化した。
攪拌機を備えたフラスコに、市販のチタンブトキシドダイマー(5%フリーアルコール;松本製薬工業(株) 製品名:オルガチックスTA−22)の固形分として40部とTMPTAを60重量部、光重合開始剤としてイルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製)をそれら固形100部に対して5部を配合し、MEK溶剤で固形分濃度30%に調整を行い塗料化した。
<比較評価例6>
攪拌機を備えたフラスコに、市販の酸化ジルコニウム分散液「サンコロイド HZ-307」(固形分濃度30% メタノール溶液;日産化学工業株式会社製)を69重量部とTMPTAを31重量部、光重合開始剤としてイルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製)をそれら固形100部に対して5部を配合し、MEK溶剤で固形分濃度30%に調整を行い塗料化した。
攪拌機を備えたフラスコに、市販の酸化ジルコニウム分散液「サンコロイド HZ-307」(固形分濃度30% メタノール溶液;日産化学工業株式会社製)を69重量部とTMPTAを31重量部、光重合開始剤としてイルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製)をそれら固形100部に対して5部を配合し、MEK溶剤で固形分濃度30%に調整を行い塗料化した。
<比較評価例7>
攪拌機を備えたフラスコに、高屈折率の活性エネルギー線硬化性アクリル樹脂である9,9-ビスフェノキシフルオレン骨格を有する2官能アクリレートモノマー(BPEF-A,大阪ガスケミカル(株))と、光重合開始剤としてイルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製)を固形100部に対して5部を配合し、MEK溶剤で固形分濃度30%に調整を行い塗料化した。
攪拌機を備えたフラスコに、高屈折率の活性エネルギー線硬化性アクリル樹脂である9,9-ビスフェノキシフルオレン骨格を有する2官能アクリレートモノマー(BPEF-A,大阪ガスケミカル(株))と、光重合開始剤としてイルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製)を固形100部に対して5部を配合し、MEK溶剤で固形分濃度30%に調整を行い塗料化した。
<比較評価例8>
攪拌機を備えたフラスコに、活性エネルギー線硬化性ハードコート樹脂として一般的に知られるペンタエリスリトールトリアクリレート(以下、PET3A)と、光重合開始剤としてイルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製)を固形100部に対して5部を配合し、MEK溶剤で固形分濃度30%に調整を行い塗料化した。
攪拌機を備えたフラスコに、活性エネルギー線硬化性ハードコート樹脂として一般的に知られるペンタエリスリトールトリアクリレート(以下、PET3A)と、光重合開始剤としてイルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ社製)を固形100部に対して5部を配合し、MEK溶剤で固形分濃度30%に調整を行い塗料化した。
得られた塗料について以下の試験を行った。結果を表2に示す。
(灰分)
各塗料をガラス板上にバーコーター#16で塗布し、80℃の循風乾燥機中で1分間乾燥し、その後、高圧水銀灯80W/cm(1灯)、照射距離10cm、ベルトスピード20m/minの条件で、5回照射(130mJ/cm2)した。得られたガラス板上の硬化塗膜を削ぎ落とし樹脂硬化物を回収し、その樹脂硬化物を電気炉にて600℃で4時間焼成した。焼成前の硬化物の重量を(X)、焼成後の重量を(Y)とし、(Y)/(X)で示される重量百分率(wt%)を灰分とした。
(灰分)
各塗料をガラス板上にバーコーター#16で塗布し、80℃の循風乾燥機中で1分間乾燥し、その後、高圧水銀灯80W/cm(1灯)、照射距離10cm、ベルトスピード20m/minの条件で、5回照射(130mJ/cm2)した。得られたガラス板上の硬化塗膜を削ぎ落とし樹脂硬化物を回収し、その樹脂硬化物を電気炉にて600℃で4時間焼成した。焼成前の硬化物の重量を(X)、焼成後の重量を(Y)とし、(Y)/(X)で示される重量百分率(wt%)を灰分とした。
(硬化性)
各塗料をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーター#16で塗布し、80℃の循風乾燥機中で1分間乾燥し、その後、高圧水銀灯80W/cm(1灯)、照射距離10cm、ベルトスピード20m/minの条件で照射した。1回(1パス)の照射で26mJ/cm2の照射量である。塗膜を爪で擦っても傷がつかなくなるまでの照射回数を測定した。
各塗料をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーター#16で塗布し、80℃の循風乾燥機中で1分間乾燥し、その後、高圧水銀灯80W/cm(1灯)、照射距離10cm、ベルトスピード20m/minの条件で照射した。1回(1パス)の照射で26mJ/cm2の照射量である。塗膜を爪で擦っても傷がつかなくなるまでの照射回数を測定した。
(耐擦傷性)
上記硬化性試験の高圧水銀灯を5回照射(130mJ/cm2)した塗膜をスチールウールで擦り、外観を観察し、以下の基準で評価した。
○:変化無し。△:細かいキズ有り。×:大きなキズ有り。
上記硬化性試験の高圧水銀灯を5回照射(130mJ/cm2)した塗膜をスチールウールで擦り、外観を観察し、以下の基準で評価した。
○:変化無し。△:細かいキズ有り。×:大きなキズ有り。
(鉛筆硬度)
上記硬化性試験の高圧水銀灯を5回照射(130mJ/cm2)した塗膜にて、JIS−K−5400の試験方法に則り、評価した。
上記硬化性試験の高圧水銀灯を5回照射(130mJ/cm2)した塗膜にて、JIS−K−5400の試験方法に則り、評価した。
(屈折率)
上記硬化性試験の高圧水銀灯を5回照射(130mJ/cm2)した塗膜を、アッベ屈折率計(ATAGO社製)にて、20℃雰囲気での屈折率を測定した。
上記硬化性試験の高圧水銀灯を5回照射(130mJ/cm2)した塗膜を、アッベ屈折率計(ATAGO社製)にて、20℃雰囲気での屈折率を測定した。
(ヘイズ)
上記硬化性試験の高圧水銀灯を5回照射(130mJ/cm2)した塗膜を、JIS K7361に準じて測定した。
上記硬化性試験の高圧水銀灯を5回照射(130mJ/cm2)した塗膜を、JIS K7361に準じて測定した。
(貯蔵安定性)
塗料化して1週間40℃保温庫に保管した後の塗料の外観を観察した。
塗料化して1週間40℃保温庫に保管した後の塗料の外観を観察した。
HZ−307;市販の酸化ジルコニウム分散液(日産化学工業(株)製品名:サンコロイド HZ-307)
BPEF−A;9,9-ビスフェノシキフルオレン骨格を有する2官能アクリレートモノマー(大阪ガスケミカル(株)製品名:BPEF-A)
TMPTA;トリメチロールプロパントリアクリレート
PETA;ペンタエリスリトールトリアクリレート
実施例1〜5の樹脂組成物からなるコーティング剤は、比較例1〜6で得られるコーティング剤と比較して、保存安定性が良く、且つ、ハードコート性能(耐傷つき性及び鉛筆硬度)、透明性が高い高屈折率ハードコート材料と言える。また、そのハードコート性能は比較例7に示す従来のハードコート剤と比較しても、なんら遜色が無いものであることがわかる。すなわち、本発明が解決しようとする課題であるところの、従来高屈折率コーティング剤のものに比べて、保存安定性がよく、硬度、耐擦傷性、透明性に優れかつ高屈折率の被膜を形成することができる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供する目的は、達成した。
Claims (6)
- 一般式(1):M(OR)m(式中、Mは、Ti、Zr、Ta、Sn、ZnおよびInからなる群より選ばれる1種、Rはアルキル基、mはMの原子価)で表される金属アルコキシドおよび/またはその縮合物(a)に、カルボキシル基とラジカル重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1つ以上有するカルボン酸化合物(b)を反応させてなる金属アルコキシドの部分カルボン酸塩化合物(A)を脱アルコール反応させて得られる縮合物を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 一般式(2):M(OR)m−n(OCOR´)n(式中、Mは、Ti、Zr、Ta、Sn、ZnおよびInからなる群より選ばれる1種、Rはアルキル基、R´はラジカル重合性不飽和結合を含む官能基、mはMの原子価、nはmより小さい整数)で表される金属アルコキシドの部分カルボン酸塩化合物(A)を脱アルコール反応させて得られる縮合物を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の縮合物および1分子中に少なくとも2つのラジカル重合性不飽和結合性官能基を含有する水酸基価50mgKOH/g以下の活性エネルギー線硬化性樹脂を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- さらに、光ラジカル開始剤を含有してなる請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜4いずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化被膜を有することを特徴とする物品。
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