以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。以下の図においては、説明の便宜上、一部の構成を省略することがある。また、以下の説明において、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、各図において矢印で示した方向を基準として用いる。但し、以下の各実施の形態での各構成の向きは、一例にすぎず、任意の向きに変更することができる。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る把持機構を下方から見た概略斜視図である。図2は、上記把持機構の正面図である。図1及び図2に示すように、把持機構1は、把持部10と、把持部10を支持するための支持体30と、駆動機構(駆動部)40とを備えている。支持体30は、本実施の形態では、上下方向に軸線が向けられた四角柱状に形成されている。把持機構1は、支持体30の一端(上端)側が不図示の多関節アーム等のロボットアームや2軸或いは3軸の移動機構等に取り付けられ、物品W(図1では不図示)を把持して搬送するために用いられる。
本実施の形態の把持機構1で把持する物品Wは、正面視で三角形状のおにぎりを包装したもの(以下、「三角おにぎり」と称する場合がある)であり、物品Wの外周側となる上部の頂点からシート部(被把持部)Waが突出するよう形成される。
図3は、上記把持機構の正面断面図である。図1及び図3に示すように、把持部10は、左右方向に並ぶ一対の把持体11と、把持体11を揺動可能に支持する単一の支持軸12と、支持軸12に設けられた付勢部材13とを備えている。把持体11は、表裏各面が前後方向(図3の紙面直交方法)と平行になる主板部11aと、主板部11aの前後両側を内向きに屈曲して形成された側板部11bとをそれぞれ備えている。
支持軸12は、前後方向に平行に延びて各把持体11における側板部11bの上側領域を貫通し、且つ、支持体30の下端に形成されたブラケット部31を介して支持されている。従って、把持部10は、支持軸12を介して支持体30に支持されつつ、把持体11の下端(先端)が離反及び接近する方向(概略左右方向)に揺動して開閉動作可能となっている。なお、図1~図3では、把持体11が開いた状態を図示している。
付勢部材13は、本実施の形態ではトーションばねによって構成されている。付勢部材13は、巻回されたコイル状部に支持軸12が貫通され、コイル状部から延びる一対のアーム部(図3にて一方だけ図示)が各把持体11を開く方向に付勢する力を加えている。
左右の把持体11それぞれの下端側には、当接体14が相対するように支持されている。当接体14は、概略ブロック状をなすゴム等の弾性部材からなり、把持部10で把持する物品W(図2参照)に圧力を加えながら当接する部分となる。
当接体14は、物品Wに当接する方形状の当接面14aと、当接面14aに交差する方向であって把持体11の主板部11a側に延びる外周面14bと、外周面14bにおける当接面14aと反対側に連なる取付面14cとを有する。本実施の形態では当接体14が概略ブロック状をなすので、外周面14bは、上下及び前後に位置する4つの平坦面によって形成される。当接体14を正面視したときに、当接体14の最下端は当接面14aと外周面14bとの交差位置となり、該交差位置から当接面14aと外周面14bとが上方に向かって次第に離れる方向に傾斜している。当接面14aと取付面14cとは平行にならないように形成されている。具体的には、当接体14の左右の厚みが上方に向かうに従って次第に厚くなるように形成されている。
当接体14は、揺動支持部15を介して把持体11の下端部に揺動可能に支持されている。揺動支持部15は、当接体14の取付面14cが取り付けられる板状のベース15aと、ベース15aに設けられて前後方向に延出する中心軸15bとを備えている。中心軸15bは、把持体11の側板部11bに貫通して回動可能に支持されている。従って、ベース15aに取り付けられる当接体14は中心軸15b回りで把持体11に対して相対的に揺動可能となり、把持体11に対する当接面14aの向きが変更可能となっている。
図3に示す方向から見て、中心軸15bは、把持体11の重心位置より下方に設けられ、また、当接体14の当接面14aとは反対側に配置される。従って、当接体14の自重によって、左側の当接体14が時計回りに、右側の当接体14が反時計回りに回動する方向に倒れる力が作用し、かかる回動が図3に示す位置にて不図示のストッパによって規制される。言い換えると、把持部10が開いた状態にて、各当接体14が図3に示す揺動位置に位置決めされる。
把持機構1にあっては、把持部10における左右の把持体11の下端部にそれぞれ設けられる接触回避部20を更に備えている。各接触回避部20は、把持体11の下端側における側板部11bの内方端に沿って装着され、当接体14が通過可能な開口21を備えた板状部材を屈曲するようにして形成されている。
左右の接触回避部20それぞれには、案内部22が設けられ、各案内部22は、下方から上方に向かって第1案内壁部23及び第2案内壁部24を備えている。第1案内壁部23は、当接体14の下方に配置され、第2案内壁部24には開口21が形成されている。把持部10が開いた状態では、当接体14の上部領域が開口21を通じて第2案内壁部24から突出するよう配置される。一方、当接体14の下部領域は、第1案内壁部23と第2案内壁部24の下部領域とによって下方から覆われるようになる。従って、当接体14の下方から接近する物品Wが、当接体14における外周面14b下部に接触することが抑制可能とされる。
左右の第1案内壁部23は、上方に向かって次第に接近する方向に傾斜しており、左右の第2案内壁部24も上方に向かって次第に接近する方向に傾斜している。左右の第2案内壁部24のなす角度(内角)は、左右の第1案内壁部23のなす角度より小さくなり、左右の主板部11aのなす角度と概略同一に設定されている。左右の第1案内壁部23のなす角度は、左右の当接面14aのなす角度と概略同一に設定されている。案内部22の一部となる左右の第2案内壁部24のなす角度は、左右の当接面14aのなす角度と異なる角度に配置されている。
また、把持機構1は、把持部10を開閉動作(把持駆動)させるための駆動機構40を備えている。駆動機構40は、支持体30に設けられている。駆動機構40は、支持体30が挿入される筒状の移動体41と、移動体41に装着された駆動源42とを備えている。
移動体41は、四角柱状の支持体30の側面に平行に位置する角筒状をなすよう、主として、4体の壁部を備えている。ここで、本実施の形態では、支持体30の左右方向両側に位置して相対する一対の壁部を第1の壁部43、支持体30の前後方向両側に位置して相対する一対の壁部を第2の壁部44とする。
第1の壁部43の上端部には、外方に突出する耳部43aが形成され、一方の第1の壁部43における耳部43aの上には、駆動源42が連結されている。駆動源42は、本体部42aから出力軸42bを進退させるエアシリンダ等により構成されている。駆動源42の本体部42aは支持体30の側面に固定され、出力軸42bの先端側は耳部43aに連結されている。出力軸42bは、支持体30の延出方向となる上下方向に進退動作可能に設けられ、この進退動作に応じて移動体41が支持体30に対し上下方向に相対移動可能となる。
第1の壁部43の面内中央部には、上下方向に延びるスロット穴43bが形成されている。また、支持体30のブラケット部31より上方には軸部材32が設けられ、軸部材32は、支持体30の左右両側面から突出するように貫通して支持されている。軸部材32の端部がスロット穴43bの内部に挿入され、この挿入によって、駆動源42を作動して移動体41を駆動させたときに、移動体41の移動方向が上下方向と平行になるように案内される。
第1の壁部43の下端部にはガイド面部43cが形成され、ガイド面部43cは下方に向かうに従って外側に傾斜している。また、ガイド面部43cに接触するように、把持体11の主板部11a外面側には板状をなす調整部材45が装着されている。調整部材45は、摩擦抵抗が少なくなるよう、PTFEによって表面処理が施された部材等によって形成されている。
調整部材45は、付勢部材13の付勢力によってガイド面部43cに押し当てられている。この押し当てによって、ガイド面部43cから付勢部材13の付勢力に抗する力が作用し、把持体11の開放動作が規制される。このように押し当てられた状態で、移動体41が上下動作すると、調整部材45がガイド面部43cと擦れ合い、それらの接触位置の変化に応じて把持体11を開閉動作できるようになっている。
続いて、第1の実施の形態の把持機構1が物品Wのシート部(被把持部)Waを把持する際の動作について、図2、図4、図5を参照して説明する。
ここで、把持機構1で把持する前において、物品(三角おにぎり)Wのシート部Waは、上下及び前後方向に沿う平面と概ね平行に向けられているものとする。
物品Wを把持する前は、図2に示すように、把持部10が開いた状態とし、また、図示の向きに把持機構1を向けて把持体11の先端を下向きとする。この状態から、物品Wを把持する場合は、不図示の搬送機構を介して把持機構1を物品Wの上方に移動する。この移動において、左右に離間した当接体14の概略中間点が物品Wのシート部Waの直上に位置するよう前後及び左右方向にて位置合わせする。その後、離間した当接体14の間にシート部Waが挿入(配置)されるよう、把持部10を含む把持機構1を下方に移動する把持準備動作を行う。
かかる把持準備動作を行って当接体14の間にシート部Waを挿入した後、駆動源42を作動して移動体41を下降する。この下降によって、ガイド面部43cが調整部材45を介して把持体11を徐々に押圧し、把持体11を閉塞するよう揺動する把持動作を行う。この把持動作で、把持部10にて、当接体14が相互に接近する方向(左右方向)に変位する。そして、図4に示すように、把持体11の主板部11aが上下方向に向けられるまで回動すると、当接体14で左右方向から物品Wのシート部Waを挟み込んで把持する。その後、把持機構1を上方に移動することで、把持部10によりシート部Waを介して物品Wを吊り下げて搬送する。
ここで、シート部Waを把持するときに、当接体14は把持体11に対して揺動するように相対変位する。かかる当接体14の揺動について図4及び図5を参照して説明する。図5は、第1の実施の形態に係る把持機構で物品を把持する中途状態の正面断面図である。
当接体14にあっては、その厚みや中心軸15bの位置を上述のように設定したので、把持部10を閉塞動作して左右の当接体14が接近すると、先ず、図5に示すように、当接面14aの上端がシート部Waに線接触して挟み込む。この状態から把持部10の閉塞動作を更に進行すると、当接体14が中心軸15bを中心として矢印R1方向に揺動する。この揺動によって、図4に示すように、左右の当接面14aの下端側同士が接近し、各当接面14aがシート部Waに面接触して挟み込むようになる。
これにより、シート部Waの厚みが変化しても、揺動支持部15によって当接体14が揺動して当接面14aとシート部Waとを面接触させることができる。この結果、当接面14aによる面圧の均一化を図ることができ、把持部10による把持状態を良好に維持することができる。なお、図5では、当接面14aの上端がシート部Waに線接触した状態を図示したが、シート部Waの上端高さが低い場合には、当接面14aの上端同士が線接触する。
また、正面視にて、各当接体14がシート部Waに当接して挟み込んだときに(図4参照)、上述した当接体14の揺動によって当接面14aの下部領域が第2案内壁部24から内方に突出する位置関係に設けられる。従って、把持部10で物品Wを把持した状態では、当接面14aの全領域が案内部22から露出するようになる。これにより、案内部22を含む接触回避部20が把持される物品W(シート部Wa)に対して挟持力が殆ど加わらずに接触した状態或いはと非接触な状態となり、当接面14aをシート部Waに良好に圧接して物品Wの把持の安定化を図ることができる。
ところで、搬送対象となる物品(三角おにぎり)Wにあっては、搬送前に、例えば仕切部材等を利用して整列されて所定位置に配置され、かかる位置に対して把持機構1を位置合わせしてから搬送される。ところが、整列した物品Wの位置精度が低かったり、物品Wのシート部Waが鉛直方向に対して倒れたり折れ曲がったりした状態となる場合がある。このような場合、従来構造の把持機構では、物品Wの把持不良が生じるという問題がある。
かかる問題について、図6を参照して以下に説明する。図6は、従来構造に係る把持機構の不具合を説明するための図である。図6に示す従来構造の把持機構100では、支持軸112を中心として揺動可能な一対の把持体111を備え、各把持体111の先端が開閉して物品Wを挟持可能に設けられる。各把持体111の先端側には、物品Wに当接可能な当接体114が内方に突出して設けられている。そして、従来構造の把持機構100では、上述した接触回避部20を備えていない構成となっている。
かかる把持機構100にて物品Wを把持する際、左右に離間した当接体114の中間点が物品Wのシート部Waに対して左右方向にずれると、図6Aに示すように、把持機構100の下降中に当接体114の下部の外周面114bにシート部Waが接触する。この状態から把持機構100の下降を更に進行すると、図6Bに示すように、シート部Waが当接体114の外周面114bや把持体11に引っ掛かって折れ曲がったり皺になったりする。そして、把持可能な位置まで把持機構100を下降しても、当接体114の当接面114a間にシート部Waが挿入されなくなり、この状態から、各把持体111を閉塞動作しても当接体114でシート部Waを把持できなくなる。
これに対し、上記第1の実施の形態の把持機構1では、物品Wの同様のずれに対し、図7に示すように対応することが可能となる。図7は、第1の実施の形態に係る把持機構における接触回避部の作用説明図である。
第1の実施の形態では、図7Aに示すように、把持部10が下降する把持準備動作を行うと、当接体14より下方に接触回避部20の案内部22が配置されるので、当接体14よりも先に案内部22にシート部Waが接触する。これにより、当接体14における外周面14b下部にシート部Waが接触することが抑制され、シート部Waが当接体14の外周面14bに引っ掛かって折れ曲がったり皺になることを防止可能となる。
図7Aに示す状態から更に把持部10を下降すると、図7Bに示すように、シート部Waが案内部22に沿うようになり、離間した当接体14の間に挿入される挿入方向に案内される。かかる挿入方向に案内されてシート部Waが当接体14の間に配置され、把持体11を把持動作することでシート部Waに当接体14の当接面14aが面接触して把持できるようになる。
ここで、図7A及び図7Bでは、シート部Waの先端が案内部22の第1案内壁部23に先ず接触した場合を図示したが、第2案内壁部24の下部領域に接触した場合も同様にシート部Waが案内される。
また、案内部22で案内したシート部Waが当接面14aに接触する場合や、シート部Waが案内部22に接触せずに当接面14aに直接接触する場合がある。この場合には、シート部Waが当接面14aに接触したタイミングから把持部10の下降が継続されると、シート部Waが撓み易い場合には、当接面14aに沿ってシート部Waが相対的に上昇する方向に案内される。シート部Waがある程度硬い場合には、シート部Waが当接面14aを押圧するようになり、当接体14の上部が外側に変位するように揺動しつつシート部Waが当接面14aに沿って案内される。このように当接体14においても、当接面14aにてシート部Waを案内するので、当接面14aも案内部22の一部として構成することができる。
以上のように、第1の実施の形態によれば、接触回避部20の形状及び配置と揺動支持部15による当接体14の揺動支持とによって、把持部10が開いた状態では、当接体14の下部領域を接触回避部20で下方からカバー可能となる。そして、案内部22を有する接触回避部20によって、シート部Waが当接体14の外周面14b側に変形して把持不能となることを回避でき、且つ、当接面14a側にシート部Waをスムースに導くことができる。これにより、搬送前の物品Wの配置の精度が低くても、物品Wを把持不能となったり不十分な把持状態となったりすることを回避でき、物品Wを安定して良好に搬送することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について図8から図11を参照して説明する。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いる場合があり、説明を省略若しくは簡略にする場合がある。
図8は、第2の実施の形態の把持機構の正面図であり、図9は、図8の側面図である。図10は、第2の実施の形態に係る把持機構で物品を把持した状態の正面断面図である。図11は、図10の状態の当接体周りの説明図である。第2の実施の形態では、第1の実施の形態に対し、把持部10、50及び接触回避部20、60の構成を変更している。また、第2の実施の形態では、第1の実施の形態における揺動支持部15を省略した構成としている。
ここで、第2の実施の形態の把持機構1で把持する物品Wは、おにぎりの形状は任意で包装となる袋形状が側面視で方形となったもの(以下、便宜上「袋おにぎり」と称する場合がある)である。袋おにぎりとなる物品Wでは、物品Wの外周側となる前後方向両側が圧着や融着等によって恰も一枚厚のシート部(被把持部)Wbとして形成される。
図8に示すように、第2の実施の形態における把持部50の把持体51は、上部領域において連結板55に連結されている。把持体51は、それぞれ一枚の板部材を折り曲げるように形成されている。把持体51は、連結板55にねじ止めによって連結され、連結板55と平行に延びる被連結面部51aを備えている。更に、把持体51は、被連結面部51aの下端から下方に向かって相互に接近する方向に傾斜する内向屈曲面部51bと、内向屈曲面部51bの下端に連なる外向屈曲面部51cとを更に備えている。外向屈曲面部51cは、内向屈曲面部51bの下端から下方に向かって相互に離反する方向に傾斜している。なお、被連結面部51aと外向屈曲面部51cとは概略平行となっている。
図9に示すように、把持体51において、被連結面部51aは、下端部が前後方向両側に大きく突出するように形成されている。そして、内向屈曲面部51bは、上下方向中間部にて前後方向両端側だけが下方に突出する二股状に形成されている。従って、内向屈曲面部51bに連なる外向屈曲面部51cも、前後方向両側に離れた位置にそれぞれ形成される。
図8に戻り、前後方向両側の外向屈曲面部51cには、当接体54が相対するようにねじ止め等によって固定されている。当接体54は、ブロック状をなすゴム等の弾性部材からなり、把持部50で把持する物品Wに当接する部分となる。当接体54は、物品Wに当接する当接面54aと、当接面54aに交差する方向であって把持体51の外向屈曲面部51c側に延びる外周面54bとを有する。
左右の把持体51にて、前後方向(図8の紙面直交方向)両側の外向屈曲面部51cの下端部それぞれに接触回避部60が設けられている。接触回避部60は、外向屈曲面部51cに連結される装着部材61と、装着部材61を介して把持体51に装着される案内部62とを備えている。
装着部材61は、外向屈曲面部51cと平行に延びる上側形成面部61aを備えている。また、装着部材61は、上側形成面部61aの下端から下方に向かって相互に接近する方向に傾斜する中間面部61bと、中間面部61bの下端に連なる下側形成面部61cとを更に備えている。下側形成面部61cは、中間面部61bの下端から下方に向かって相互に離反する方向に傾斜している。下側形成面部61cは、当接体54に対して上下方向に重なり、中間面部61bとの境界部分が当接面54aより外側に配置されている。
案内部62は、弾性変形可能な板バネ等の弾性体によって形成され、中間面部61bにねじ止め固定されている。案内部62は、下方から上方に向かって第1案内壁部63及び第2案内壁部64を備えている。把持部10が開いた状態で、第1案内壁部63は当接体54の下方に配置され、第2案内壁部64は正面視で当接面54aに対し若干の隙間分離れて配置されている。当接体54の下部領域は、第1案内壁部63と第2案内壁部64の下部領域とによって下方から覆われるようになる。従って、当接体54の下方から接近する物品Wが、当接体54における外周面54b下部に接触することが抑制可能とされる。なお、各案内壁部63、64は、全てが弾性体でなくてもよく、弾性変形が必要な領域を弾性体によって形成すればよい。
なお、図11に示すように、第2案内壁部64は前後に分かれる二股状に形成され、側面視で該二股となる領域に当接体54が収まるように配置されている。従って、当接体54と第2案内壁部64とが左右方向(図11の紙面直交方向)に相対変位しても、相互に接触しないようになっている。
図8に戻り、左右の第1案内壁部63は、上方に向かって次第に接近する方向に傾斜しており、左右の第2案内壁部64も上方に向かって次第に接近する方向に傾斜している。左右の第2案内壁部64のなす角度(内角)は、左右の第1案内壁部63のなす角度より小さくなり、左右の外向屈曲面部51cのなす角度及び左右の当接面54aのなす角度と概略同一に設定されている。第1案内壁部63は、隣接する外向屈曲面部51cと概略同一面上に位置している。案内部62の一部となる左右の第1案内壁部63のなす角度は、左右の当接面54aのなす角度と異なる角度に配置されている。
第2の実施の形態の駆動機構40では、支持体30の前後両側それぞれに駆動源42が設けられている。第2の壁部44の上端部に、外方に突出する耳部44aが形成され、前後両方の耳部44aの上に駆動源42が連結されている。
第2の壁部44の面内中央部には、上下方向に延びるスロット穴44bが形成されている。スロット穴44bの内部には、把持体51を揺動可能に支持する支持軸52の端部が挿入されている。これにより、駆動源42の作動によって移動体41を駆動させたときに、移動体41の移動方向が上下方向と平行になるように案内される。
続いて、第2の実施の形態の把持機構1が物品Wのシート部(被把持部)Wbを把持する際の動作について説明する。ここで、把持機構1で把持する前において、物品(袋おにぎり)Wのシート部Wbは、上下及び前後方向に沿う平面と概ね平行に向けられているものとする。
物品Wを把持する前は、図8に示すように、把持部10が開いた状態とし、左右に離間した当接体54の概略中間点が物品Wのシート部Wbの直上に位置するよう不図示の搬送機構を介して把持機構1を物品Wの上方に移動する。次いで、把持部50を含む把持機構1を下方に移動する把持準備動作を行い、離間した当接体54の間にシート部Wbを挿入する。その後、駆動源42を作動して把持体51を閉塞するよう揺動(把持動作)し、図10に示すように当接体54で左右方向から物品Wのシート部Wbを挟み込んで把持する。
把持体51を閉塞するときに、当接体54がシート部Wbを挟み込む直前で、シート部Wbに当接面54aが接触せずに、案内部62の第2案内壁部64がシート部Wbに接触する。かかる接触後も、把持体51の閉塞動作が進行すると、左右の案内部62が互いに押し合い、それらの上端が離れる方向に弾性変形する。この弾性変形によって、第1案内壁部63及び第2案内壁部64の角度を変化させ、当接面54aがシート部Wbに接触するようになって当接体54でシート部Wbを把持する。この把持時の状態では、案内部62にて屈曲形成される第1案内壁部63及び第2案内壁部64の境界部分がシート部Wbに線接触するよう弾性変形した状態となる。従って、線接触となる案内部62とシート部Wbとの接触面積が、当接面54aとシート部Wbとの接触面積よりも小さくなる。
第2の実施の形態において、把持機構1にて物品Wを把持する際、左右に離間した当接体54の中間点が物品Wのシート部Wbに対して左右方向にずれた場合は以下のようになる。先ず、把持体51を下降する把持準備動作中において、物品Wの左右のずれ量に応じて、案内部62及び下側形成面部61cの何れかにシート部Wbの上端側が接触する。これにより、当接体54における外周面54b下部にシート部Wbを含む物品Wが接触することが抑制され、シート部Wbが当接体14に引っ掛かって折れ曲がったり皺になることを防止可能となる。そして、シート部Wbの接触後も把持準備動作が継続されると、シート部Wbが案内部62や下側形成面部61cに沿うようになり、離間した当接体54の間に挿入される挿入方向に案内される。
このような第2の実施の形態によっても、案内部62を含む接触回避部60によって、第1の実施の形態と同様に物品Wを把持不能となることを防止でき、当接面54aにて物品Wを良好に把持することができる。また、把持部50を下方に移動する把持準備動作中、案内部62によってシート部Wbが当接面54aに接触することを抑制することができ、シート部Wbを離間した当接体54の間によりスムースに挿入することができる。
また、本発明の実施の形態は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
上記各実施の形態では、把持する物品Wをおにぎりとしたが、把持機構1によって把持できる物品であれば何ら限定されるものでない。例えば、サンドイッチやパン、弁当等の他の食品としたり、箱やトレイによって梱包されたものとしてもよい。これら物品を複数とし、少なくとも把持される部分の向きや位置、形状が異なっていても、把持機構1では、これに応じて複数の把持部で物品を保持する。
また、把持部10、50で把持する対象(被把持部)は、上記のシート部Wa、Wbのように薄厚のものに限られるものでなく、所定の厚みを有する部分や剛体であって案内部22、62に当接したときに上記挿入方向に変位するようなものであってもよい。
また、上記各実施の形態におけるねじ止め固定は、接着やリベット止めにする等、ねじ止めと同様に固定状態を維持できる限りにおいて変更してもよい。
また、上記各実施の形態では、物品Wの搬送時に、単体の把持機構1を搬送機構(不図示)で移動する場合を説明したが、複数の把持機構1によって把持ユニットUを形成し、該把持ユニットUを搬送機構で移動するようにしてもよい。