JP7105607B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、エレクトロルミネッセンス(電界発光)を「EL」と記す場合がある。)に関する。
有機EL素子は、自発光型である、視野角が広い、視認性に優れる、低電圧で駆動できる、面発光で薄型化・軽量化可能である、多色表示可能である、等の特徴を有している。このため、有機EL素子は、ディスプレイ等の画像表示装置や照明装置に好適に用いられる。
一般的な有機EL素子の構造は、透明基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極がこの順に積層される構成であり、これらは順構造デバイスと呼ばれる(例えば、非特許文献1を参照)。このような順構造デバイスに用いられる電子注入層や陰極の材料は、アルカリ金属(主にリチウム(Li))やアルミニウム(Al)等、仕事関数が小さく活性の高い材料であるため、大気中では、酸素や水分の影響を受けて陰極部が酸化すること等によって劣化してしまう。従って、順構造デバイスを製品に用いる場合には、ガラスや接着剤を用いた厳密な封止を必要とする。このことが、有機ELを用いたディスプレイや照明の高コスト化を招く1つの要因であり、フレキシブルなディスプレイや照明を実現するにあたっての大きな妨げになる。一方、厳密な封止を行うことなく駆動できる有機EL素子として、陽極と、基板上に形成された陰極との間に複数の層が積層された逆構造の有機EL素子が報告されている(例えば、特許文献1、非特許文献2を参照)。
有機EL素子の発光は、以下に示す(i)~(v)の過程を経て生じる。
(i)正孔及び電子が電極から注入される。
(ii)注入された正孔及び電子が輸送される。
(iii)発光層内で正孔と電子とが再結合する。
(iv)発光材料が電子的励起状態を形成する。
(v)発光材料が電子的励起状態から光を放射する。
有機EL素子においては、高効率化を目的として、発光層の発光材料としてリン光材料を用いることが提案されている。発光材料は、エネルギーを得て電子的励起状態となるとき、一重項励起状態(S)と三重項励起状態(T)を1:3の確率で生成する。そして、発光材料が電子的励起状態から基底状態に戻る際に、光としてエネルギーを放出する。発光材料として蛍光材料を用いた場合、Sからのエネルギーしか光に変換されない。これに対し、リン光材料を用いた場合、Sからのエネルギーだけでなく、Tからのエネルギーも光に変換される。このため、発光材料として、蛍光材料を用いた有機EL素子よりも、リン光材料を用いた有機EL素子の方が、高効率化が期待できる(非特許文献3を参照)。
リン光材料は、通常、ゲスト材料として、ホスト材料とともに用いられる。ホスト材料とリン光材料(ゲスト材料)とを含む発光層を有する有機EL素子では、正孔と電子との再結合により励起されたホスト材料のエネルギーがリン光材料に移動する。そのエネルギーによりリン光材料が励起され、光エネルギーとして放出される。
ホスト材料からリン光材料への効率的なエネルギー移動を可能とするためには、ホスト材料の三重項励起状態(T)のエネルギーを、ゲスト材料であるリン光材料のTエネルギーよりも大きくすることが好ましい(例えば、非特許文献4を参照)。ホスト材料のTエネルギーよりもゲスト材料のTエネルギーが大きいと、ゲスト材料からホスト材料への逆エネルギー移動が起こって、リン光発光の高効率化が妨げられる可能性がある。
また、近年、ドナー性を有する部位とアクセプター性を有する部位を組み合わせた発光材料が報告されており、フェニル基を介してドナーとアクセプターをオルト位で結合した構造とすることで、高いPL量子収率が得られることが報告されている(例えば、非特許文献5を参照)。
発光層に用いられるホスト材料は、これまでにも多数報告されている。例えば、ホスト材料として、カルバゾール系化合物等が挙げられる。カルバゾール系化合物は、比較的大きなTエネルギーを有する。ホスト材料として一般的に用いられるカルバゾール系化合物としては、下記一般式(10)で示されるCBP(4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル)等がある。近年、有機EL素子のフレキシブル化を目指して、逆構造の有機EL素子も検討されているが、高効率な素子の報告は少ない。また、有機EL素子の特性は素子構造にも依存することが報告されており、例えば、順構造の有機EL素子の発光層ホスト材料に適したホスト材料である下記一般式(11)で示される化合物を、逆構造の有機EL素子のホスト材料として用いた場合、外部量子効率(EQE)が低下する(非特許文献6参照)。
一方、順構造の有機EL素子の発光層ホスト材料として適している、下記一般式(11)で示される化合物のドナー部位であるインドロカルバゾール基のインドール環構造中の一つの窒素原子が、酸素又は硫黄に置換されていることによってドナー性を低減した下記一般式(12)で示される化合物を用いることで、逆構造の有機ELのホスト材料として用いた場合に陰極から発光層への電子注入性が良好となり、高い外部量子効率が得られる。
Figure 0007105607000001
特許第6110099号公報
有機ELディスプレイ,株式会社オーム社,pp.27~30(2011) SID symposium Digest,790(2016) 有機ELディスプレイ,株式会社オーム社,pp.83(2011) Appl.Phys.Lett.,83,569(2003) ACS Appl.Mater. Interfaces,8,23190(2016) 第78会応用物理学会秋季学術講演会 講演予稿集,6p―A203―2(2017)
有機EL素子においては、発光効率を確保しつつ、駆動電圧を低くすることが要求されている。しかしながら、従来のホスト材料である一般式(10)で示される化合物を用いた順構造の有機EL素子では、電極から発光層への正孔及び電子の移動におけるエネルギー障壁が大きいため、十分に駆動電圧を低くしつつ、高い外部量子効率を示す素子の実現が困難だった。また、リン光素子のホスト材料として一般式(11)で示される化合物を用いた順構造の有機EL素子は、高い発光効率が得られるものの、同材料を逆構造の有機EL素子のホスト材料として用いると発光効率が低くなるといった課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、順構造有機EL素子において、高い発光効率及び低い駆動電圧を実現するホスト材料を発光層に含み、高効率且つ低消費電力な有機EL素子を提供することを課題とする。また、順構造のみならず、有機EL素子のフレキシブル化に有利な逆構造素子に適用した場合においても、高効率な有機EL素子を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた。その結果、有機EL素子の2つの電極間に形成された発光層が、ゲスト材料とホスト材料とを含み、前記ホスト材料が、正孔輸送性及び電子輸送性に寄与する下記一般式(1)で示される化合物を含むものとすればよいことを見出し、本発明を想到した。
即ち、発光層ホスト材料として、SとTのエネルギー差が小さい下記一般式(1)で示される化合物を用いることで、一般的なホスト材料である上記一般式(10)で示されるCBPと同程度のTエネルギーを有する材料において、CBPに比べてホスト材料のエネルギーギャップを小さくすることができる。これにより、正孔輸送層・電子輸送層、又はこれら両層から発光層への正孔・電子移動におけるエネルギー障壁が小さくなるため、順構造の有機ELデバイスの駆動電圧を下げることができる。化合物のSとTのエネルギー差を小さくする手段としては、正孔輸送性と電子輸送性の両方を兼ね備えた下記一般式(1)に示す化合物を用いる。下記一般式(1)で示される化合物では、インドロカルバゾール骨格のインドール環構造中の一つの窒素原子が、酸素原子又は硫黄原子に置換されている構造が正孔輸送性に寄与する。また、一般式(1)で示される化合物では、1,3,5-トリアジン骨格が電子輸送性に寄与する。
さらに、一般式(1)で示される化合物は、フェニル基を介してドナーとアクセプターをオルト位で結合することで、高いPL量子効率を示す。これにより、発光層のホスト材料として使用した際、ホスト材料からゲスト材料へのエネルギー受け渡し効率が高まり、順構造の有機EL素子のみならず、逆構造の有機EL素子で使用した場合においても高い発光効率が実現できる。
なお、一般式(1)中の環Aは、隣接環と任意の位置で縮合する下記一般式(1a)で表される芳香環を表す。一般式(1)中の環Bは、隣接環と任意の位置で縮合する下記一般式(1b-1),(1b-2)の何れかで表される環構造を表す。Rは、それぞれ独立に水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基からなる群から選択される置換基である。Xは、独立にN、C-H又はC-Ar1を示し、少なくとも1つはNである。Ar1は、独立に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示す。XがC-Ar1を含む場合、Ar1とXを含む環とで一辺を共有する縮合環を形成してもよい。
Figure 0007105607000002
即ち、本発明は以下の構成を採用する。
[1] 2つの電極間に、発光層を含む積層構造が形成され、前記発光層が、ゲスト材料とホスト材料とを含み、前記ホスト材料が、下記一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0007105607000003
(但し、一般式(1)中のYは、酸素原子または硫黄原子を表す。Xは、独立にC-H又はC-Ar1を示す。Ar1は、独立に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示す。)
[2] 前記発光層中のゲスト材料が、有機金属錯体であることを特徴とする上記[1]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[3] 前記発光層が、上記一般式(1)で表される化合物からなるホスト材料と、下記一般式(65-4)で表されるゲスト材料とを含むことを特徴とする上記[1]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0007105607000004
[4] 前記発光層が、下記一般式(13)で表される化合物からなるホスト材料と、ゲスト材料とを含むことを特徴とする上記[1]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0007105607000005
[5] 前記発光層が、上記一般式(13)で表される化合物からなるホスト材料と、下記一般式(65-4)で表されるゲスト材料とを含むことを特徴とする上記[4]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0007105607000006
本発明に係る有機EL素子によれば、本発明で規定する発光層ホスト材料を用いることで、高効率且つ低消費電力な順構造の有機EL素子を提供することができる。また、上記材料を用いることで、順構造のみならず、有機EL素子のフレキシブル化に有利な逆構造素子に適用した場合においても、高効率な有機EL素子を提供することが可能となる。
本発明の実施形態に係る有機EL素子の一例を模式的に説明する図であり、順構造とされた有機EL素子の層構造を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る有機EL素子の他の例を模式的に説明する図であり、逆構造とされた有機EL素子の層構造を示す断面図である。 本発明に係る有機EL素子の実施例について説明する図であり、実験1で形成した薄膜の300K及び10Kにおける発光スペクトルを測定した結果を示すグラフである。 本発明に係る有機EL素子の実施例について説明する図であり、実験2で形成した薄膜の300K及び77Kにおける発光スペクトルを測定した結果を示すグラフである。 本発明に係る有機EL素子の実施例について説明する図であり、実施例1及び比較例1の有機EL素子における印加電圧と輝度との関係を示したグラフである。 本発明に係る有機EL素子の実施例について説明する図であり、実施例1及び比較例1の有機EL素子における電流密度と電力効率との関係を示したグラフである。
以下、本発明を適用した有機EL素子の実施の形態について、図1及び図2を適宜参照しながらその構成を説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、その特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
<有機EL素子>
本実施形態の有機EL素子は、2つの電極間に、発光層を含む積層構造が形成され、発光層が、ゲスト材料とホスト材料とを含み、ホスト材料が、下記一般式(1)で表される化合物を含む。
Figure 0007105607000007
但し、一般式(1)中の環Aは、隣接環と任意の位置で縮合する式(1a)で表される芳香環を表す。一般式(1)中の環Bは、隣接環と任意の位置で縮合する一般式(1b-1)、(1b-2)の何れかで表される環構造を表す。また、Rは、それぞれ独立に水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基からなる群から選択される置換基である。また、Xは、独立にN、C-H又はC-Ar1を示し、少なくとも1つはNである。また、Ar1は、独立に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示す。なお、XがC-Ar1を含む場合、Ar1とXを含む環とで一辺を共有する縮合環を形成してもよい。
上記一般式(1)で表される化合物は、有機EL素子の発光層に含まれるホスト材料として適したものであり、例えば、下記一般式(65-4)で表されるIr(mppy)等の発光材料(ゲスト材料)と組み合わせて用いるのに好適なものである。
Figure 0007105607000008
[有機EL素子の構造]
図1は、本実施形態における順構造の有機EL素子1を説明するための模式断面図である。図1に示す有機EL素子1は、陽極9(電極)と陰極3(電極)との間に、発光層6を含む積層構造が形成されているものである。有機EL素子1における積層構造は、基板2上に形成された陽極9の上に、正孔注入層8と、正孔輸送層7と、発光層6と、電子輸送層5と、電子注入層4とがこの順で形成されたものである。
図2は、本実施形態における逆構造の有機EL素子を説明するための模式断面図である。図2に示す有機EL素子11の各層の名称と番号は図1と同様である。なお、図2に示すような逆構造の有機EL素子11の場合には、電子注入層4と電子輸送層5との間にバッファ層10を形成する。
各層の形成方法は、特に限定されず、各層に用いられる材料の特性に合わせて、適宜、従来公知の種々の形成方法を用いて形成できる。
図1に示す有機EL素子1は、基板2と反対側に光を取り出すトップエミッション型のものであってもよいし、基板2側に光を取り出すボトムエミッション型のものであってもよい。
[基板]
基板2の材料としては、樹脂材料、ガラス材料等が挙げられる。基板2の材料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
基板2に用いられる樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等が挙げられる。基板2の材料として、樹脂材料を用いた場合、柔軟性に優れた有機EL素子1が得られるため好ましい。
基板2に用いられるガラス材料としては、石英ガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)等が挙げられる。
有機EL素子1がボトムエミッション型のものである場合には、基板2の材料として、透明基板を用いる。
有機EL素子1がトップエミッション型のものである場合には、基板2の材料として、透明基板だけでなく、不透明基板を用いてもよい。不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料からなる基板、ステンレス鋼のような金属板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成した基板、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
基板2の平均厚さとしては、特に限定されないが、例えば、強度やコスト等のバランスの観点から、0.1~30mmであることが好ましく、より好ましくは、0.1~10mmである。基板2の平均厚さは、デジタルマルチメーター及び/又はノギスによって測定できる。
[陽極]
有機EL素子1及び有機EL素子11で用いられる陽極9は、正孔注入層8又は正孔輸送層7に正孔を注入する。このため、順構造の有機EL素子1においては、陽極9の材料としては、仕事関数が比較的大きい各種金属材料や、各種合金等が用いられる。陽極9の材料としては、例えば、金、ヨウ化銅、酸化スズ、アルミニウムドープの酸化亜鉛(ZnO:Al)、インジウム酸化スズ(ITO)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、フッ素酸化スズ(FTO)等が挙げられる。これらの中でも、透明性や仕事関数の観点から、陽極9の材料として、ITO、IZO、FTOが好ましい。
有機EL素子1がボトムエミッション型のものである場合、陽極9の材料として、透明導電材料が用いられる。
有機EL素子1がトップエミッション型のものである場合、陽極9の材料として、透明導電材料だけでなく、不透明材料を用いてもよく、反射性の材料を用いてもよい。
逆構造の有機EL素子11においては、陽極9の材料として、Au、Pt、Ag、Cu、Al又はこれらを含む合金等からなる金属膜を用いることができる。これらの中でも、陽極9としては、Au膜、Ag膜、Al膜の何れかを用いることが好ましい。
有機EL素子1及び有機EL素子11で用いられる陽極9の平均厚さは、特に限定されないが、10~1000nmであることが好ましく、より好ましくは30~150nmである。
また、有機EL素子11においては、陽極9の材料として、不透過な材料を用いる場合でも、例えば、平均厚さを10~30nm程度にすることで、トップエミッション型及び透明型の陽極9として使用することができる。
陽極9の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
[正孔注入層]
正孔注入層8に用いられる材料は、陽極の仕事関数と正孔輸送層7のイオン化ポテンシャル(IP)との関係、電荷輸送特性等の観点から選択できる。正孔注入層8の材料は、適切なIPと電荷輸送特性を有する化合物であればよく、低分子、高分子問わず、各種の有機化合物、無機化合物を選択して用いることができる。正孔注入層8の材料は、1種のみであってもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正孔注入層8に用いられる無機化合物としては、例えば、モリブデン酸化物(MoOx)、酸化バナジウム(V)、酸化ルテニウム(RuO)等からなる金属酸化物の群の中から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。正孔注入層8が酸化バナジウム又は酸化モリブテンを主成分とする場合、正孔注入層8が、陽極9から正孔を注入して発光層6又は正孔輸送層7へ輸送する正孔注入層としての機能がより優れたものとなる。また、酸化バナジウム又は酸化モリブテンは、それ自体の正孔輸送性が高いため、陽極9から発光層6又は正孔輸送層7への正孔の注入効率が低下するのを好適に防止できる。正孔注入層8は、酸化バナジウム及び/又は酸化モリブテンからなるものであることがより好ましい。
有機EL素子1及び有機EL素子11の正孔注入層8に用いられる有機化合物としては、例えば、下記一般式(8-1)~(8-19)で表される化合物が挙げられる。これら一般式(8-1)~(8-19)で表される化合物の中でも、一般式(8-11)で表されるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)、一般式(8-19)で表されるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、一般式(8-4)で表される銅フタロシアニン(CuPc)が好ましく、特に、一般式(8-19)で表されるPEDOTが好ましい。
正孔注入層8の平均厚さは、特に限定されないが、1~1000nmであることが好ましく、より好ましくは5~50nmである。
正孔注入層8の平均厚さは、水晶振動子膜厚計又は触針式段差計により成膜時に測定することができる。
Figure 0007105607000009
Figure 0007105607000010
[正孔輸送層]
正孔輸送層7に用いられる材料としては、例えば、下記一般式(7-1)~(7-37)で表される化合物が挙げられる。一般式(7-1)~(7-37)で表される化合物の中でも、特に、一般式(7-1)で表されるα-NPDと、バンドギャップが大きく、電気的安定性・熱的安定性に優れる一般式(7-37)で表される化合物とを組み合わせて用いることが好ましい。
正孔輸送層7の材料は、1種のみであってもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、正孔輸送層7は、1層のみで形成されていてもよいし、2層以上で積層して形成されたものであってもよい。例えば、正孔輸送層7は、発光層6側に配置した一般式(7-37)で表される化合物からなる層と、正孔注入層8側に配置した一般式(7-1)で表されるα-NPDからなる層とを積層したものとすることができる。
正孔輸送層7が独立した層として形成されている場合、正孔輸送層7の平均厚さは、10~150nmであることが好ましく、より好ましくは40~100nmである。
正孔輸送層7の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定できる。
Figure 0007105607000011
Figure 0007105607000012
Figure 0007105607000013
Figure 0007105607000014
[発光層]
本実施形態の有機EL素子1及び有機EL素子11に含まれる発光層6は、電荷輸送及び電荷再結合を行うホスト材料と、発光材料であるゲスト材料とを含む。
(ホスト材料)
本実施形態では、発光層6に含まれるホスト材料が、一般式(1)で表わされる化合物を含む。
Figure 0007105607000015
但し、一般式(1)中の環Aは、隣接環と任意の位置で縮合する式(1a)で表される芳香環を表す。一般式(1)中の環Bは、隣接環と任意の位置で縮合する一般式(1b-1)、(1b-2)の何れかで表される環構造を表す。また、Rは、それぞれ独立に水素、又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基からなる群から選択される置換基である。一般式(1)中のRは、上記の中でも、特に、水素、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のアルキルアミノ基からなる群から選択される置換基であることが好ましく、全て水素であることが最も好ましい。また、Xは、独立にN、C-H又はC-Ar1を示し、少なくとも1つはNである。また、Ar1は、独立に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示す。なお、XがC-Ar1を含む場合、Ar1とXを含む環とで一辺を共有する縮合環を形成してもよい。
ホスト材料として、SとTのエネルギー差が小さい一般式(1)で示される化合物を用いることで、ホスト材料のエネルギーギャップを小さくすることができ、正孔輸送層・電子輸送層、またはこの両層から発光層への正孔・電子移動におけるエネルギー障壁が小さくなるので、順構造の有機EL素子1の駆動電圧を下げることができる。化合物のSとTのエネルギー差を小さくする手段として、正孔輸送性と電子輸送性の両方を兼ね備えた下記一般式(1)に示す化合物を用いる。一般式(1)で示される化合物では、インドロカルバゾール骨格のインドール環構造中の一つの窒素原子が、酸素原子又は硫黄原子に置換されている構造が、正孔輸送性に寄与する。また、一般式(1)で示される化合物では、1,3,5-トリアジン骨格が電子輸送性に寄与する。
また、一般式(1)で表される化合物と、上記の一般式(12)で表される化合物とのPL量子収率の差は、化合物のドナー部位とアクセプター部位の結合位置により生じる。一般式(1)で表される化合物は、ドナー部位とアクセプター部位とがフェニル基を介してオルト位で結合することで、一般式(12)で表される化合物と比べてPL量子収率が高くなる。さらに、一般式(1)で表される化合物は、ドナー-アクセプター間がフェニル基を介して「オルト位で」結合していることにより、PL量子収率が大きく、尚且つ分子サイズが小さい。これにより、一般式(1)で表される化合物を用いた有機EL素子では、ホスト材料からゲスト材料への効率的なエネルギー移動が生じるため、順構造だけでなく、逆構造の有機EL素子11においても高効率化が実現できる。
(ゲスト材料)
ゲスト材料は、有機金属錯体であることが好ましい。ゲスト材料が有機金属錯体である場合、輝度、外部量子効率、寿命の各特性がより優れたものとなる。有機金属錯体としては、例えば、下記一般式(61)又は(62)で表される化合物を好適に用いることができる。
Figure 0007105607000016
ゲスト材料は、ホスト材料からのエネルギー移動を有効に行うために、ホスト材料の発光波長と重なる吸収波長を有することが好ましい。ゲスト材料は、1種のみ用いてもよいし、2種以上で用いてもよい。ゲスト材料が有機金属錯体である場合、ゲスト材料がホスト材料中に分散したものであることが好ましい。この場合、ホスト材料は、ゲスト材料との間でエネルギーや電子を移動させてゲスト材料を励起状態にする役割を有する。このため、ホスト材料の励起エネルギーは、ゲスト材料の励起エネルギーよりも大きいことが好ましい。
一般式(61)中、点線の円弧は、窒素原子と3つの炭素原子とで構成された骨格部分の一部とともに環構造が形成されていることを表し、窒素原子を含んで形成される環構造は、複素環構造である。
X’、X’’は、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。X’、X’’は、結合して点線の円弧で表される2つの環構造の一部とともに新たな環構造を形成してもよい。X’、X’’は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
一般式(61)中、窒素原子と3つの炭素原子とで構成された骨格部分における点線は、点線で結ばれる2つの原子が単結合又は二重結合で結合していることを表す。
一般式(61)中、M’は、金属原子を表す。窒素原子からM’への矢印は、窒素原子がM’原子へ配位していることを表す。nは、金属原子M’の価数を表す。
一般式(62)中、点線の円弧は、窒素原子と3つの炭素原子とで構成された骨格部分の一部とともに環構造が形成されていることを表し、窒素原子を含んで形成される環構造は、複素環構造である。
X’、X’’は、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。X’、X’’は、結合して点線の円弧で表される2つの環構造の一部とともに新たな環構造を形成してもよい。X’、X’’は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
一般式(62)中、窒素原子と3つの炭素原子とで構成された骨格部分における点線は、点線で結ばれる2つの原子が単結合又は二重結合で結合していることを表す。
一般式(62)中、M’は、金属原子を表す。窒素原子からM’への矢印は、窒素原子がM’原子へ配位していることを表す。nは、金属原子M’の価数を表す。
一般式(62)中、XaとXbとを結ぶ実線の円弧は、XaとXbとが少なくとも1つの他の原子を介して結合していることを表し、XaとXbとともに環構造を形成していてもよい。Xa、Xbは、酸素原子、窒素原子、炭素原子の何れかを表す。Xa、Xbは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。XbからM’への矢印は、XbがM’原子へ配位していることを表す。m’は、1~3の数である。
上記一般式(61)及び一般式(62)における点線の円弧で表される環構造としては、炭素数2~20の芳香環や複素環が挙げられる。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香族炭化水素環;ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾオキソール環、ベンゾイミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、及びフェナントリジン環、チオフェン環、フラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環等の複素環が挙げられる。
上記一般式(61)及び一般式(62)において、X’、X’’で表される環構造の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10のアラルキル基、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10のアルケニル基、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10のアリール基、アリールアミノ基、シアノ基、アミノ基、アシル基、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10のジアルキルアミノ基、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10のアラルキルアミノ基、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10のハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、カルバゾール基等が挙げられる。
上記一般式(61)及び一般式(62)において、X’、X’’が結合して、点線の円弧で表される2つの環構造の一部とともに新たな環構造を形成している場合、点線の円弧で表される2つの環構造と新たな環構造を合わせた環構造としては、例えば、下記一般式(63-1)、(63-2)で表される構造が挙げられる。
Figure 0007105607000017
上記一般式(61)及び一般式(62)で表される化合物において、M’で表される金属原子としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金及び金が挙げられる。
上記一般式(62)で表される化合物は、下記一般式(64-1)で表される構造又は下記一般式(64-2)で表される構造を有するものであることが好ましい。
Figure 0007105607000018
一般式(64-1)、(64-2)中、R~Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。R~Rは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
一般式(64-2)において、R~Rが1価の置換基の場合、環構造が複数の1価の置換基を有していてもよい。
一般式(64-1)、(64-2)中、窒素原子からM’への矢印は、窒素原子がM’原子へ配位していることを表す。一般式(64-1)中、酸素原子からM’への矢印は、酸素原子がM’原子へ配位していることを表す。
上記一般式(61)又は一般式(62)で表される化合物の具体例としては、下記一般式(65-1)~(65-7)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0007105607000019
ゲスト材料として使用される有機金属錯体としては、上記リン光性化合物の中でも、特に、一般式(65-1)で表されるイリジウム トリス(2-フェニルピリジン)(Ir(ppy)3)、一般式(65-2)で表されるイリジウム トリス(1-フェニルイソキノリン)(Ir(piq)3)、一般式(65-3)で表されるイリジウム ビス(2-メチルジベンゾ-[f,h]キノキサリン)(アセチルアセトナート)(Ir(MDQ)2(acac))、一般式(65-4)で表されるイリジウム トリス[3-メチル-2-フェニルピリジン](Ir(mppy))から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
ゲスト材料として使用される有機金属錯体は、Pt錯体である一般式(65-5)で表されるTLEC025や、一般式(65-6)、Pd錯体である一般式(65-7)を用いてもよい。
また、ゲスト材料として使用される有機金属錯体は、常温で発光する材料であることが好ましい。
発光層6中の有機金属錯体の含有量は、発光層6を形成する材料100質量%に対して、0.5~20質量%であることが好ましく、0.5~10質量%であることがより好ましく、さらに好ましくは1~6質量%である。有機金属錯体の含有量が0.5~20質量%であると、有機EL素子1及び有機EL素子11の発光特性がより良好となる。
発光層6は、ゲスト材料と、一般式(1)で表わされる化合物であるホスト材料とを含むものであればよく、例えば、以下に示す低分子化合物等を含有していてもよい。低分子化合物としては、例えば、8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq)、トリス(4-メチル-8キノリノレート)アルミニウム(III)(Almq)、8-ヒドロキシキノリン亜鉛(Znq)、(1,10-フェナントロリン)-トリス-(4,4,4-トリフルオロ-1-(2-チエニル)-ブタン-1,3-ジオネート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)(phen))、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィンプラチナム(II)等のような各種金属錯体;ジスチリルベンゼン(DSB)、ジアミノジスチリルベンゼン(DADSB)等のようなベンゼン系化合物、ナフタレン、ナイルレッド等のようなナフタレン系化合物、フェナントレン等のようなフェナントレン系化合物、クリセン、6-ニトロクリセン等のようなクリセン系化合物、ペリレン、N,N’-ビス(2,5-ジ-t-ブチルフェニル)-3,4,9,10-ペリレン-ジ-カルボキシイミド(BPPC)等のようなペリレン系化合物、コロネン等のようなコロネン系化合物、アントラセン、ビススチリルアントラセン等のようなアントラセン系化合物、ピレン等のようなピレン系化合物、4-(ジ-シアノメチレン)-2-メチル-6-(パラ-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン(DCM)等のようなピラン系化合物、アクリジン等のようなアクリジン系化合物、スチルベン等のようなスチルベン系化合物、4,4’-ビス[9-ジカルバゾリル]-2,2’-ビフェニル(CBP)、4、4’-ビス(9-エチル-3-カルバゾビニレン)-1,1’-ビフェニル(BCzVBi)等のようなカルバゾール系化合物、2,5-ジベンゾオキサゾールチオフェン等のようなチオフェン系化合物、ベンゾオキサゾール等のようなベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾイミダゾール等のようなベンゾイミダゾール系化合物、2,2’-(パラ-フェニレンジビニレン)-ビスベンゾチアゾール等のようなベンゾチアゾール系化合物、ビスチリル(1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン)、テトラフェニルブタジエン等のようなブタジエン系化合物、ナフタルイミド等のようなナフタルイミド系化合物、クマリン等のようなクマリン系化合物、ペリノン等のようなペリノン系化合物、オキサジアゾール等のようなオキサジアゾール系化合物、アルダジン系化合物、1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1,3-シクロペンタジエン(PPCP)等のようなシクロペンタジエン系化合物、キナクリドン、キナクリドンレッド等のようなキナクリドン系化合物、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン等のようなピリジン系化合物、2,2’,7,7’-テトラフェニル-9,9’-スピロビフルオレン等のようなスピロ化合物、フタロシアニン(HPc)、銅フタロシアニン等のような金属又は無金属のフタロシアニン系化合物、さらには特開2009-155325号公報に記載のホウ素化合物材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
ゲスト材料と、ホスト材料である一般式(1)で表わされる化合物とを除く、低分子化合物の発光層6中における含有量は、発光層6を形成する材料100質量%に対して、0.5~20質量%であることが好ましく、0.5~10質量%であることがより好ましく、さらに好ましくは1~6質量%である。発光層6中における低分子化合物の含有量が0.5~20質量%であると、有機EL素子10の発光特性がより良好となる。
発光層6の平均厚さは、特に限定されないが、10~150nmであることが好ましく、より好ましくは20~100nmである。
発光層6の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定できる。
[電子輸送層]
有機EL素子1及び有機EL素子11においては、適切な最低未占有分子軌道(LUMO)レベルを有する電子輸送層5を、陰極3又は電子注入層4と発光層6との間に設けることで、陰極3又は電子注入層4から電子輸送層5への電子注入障壁が緩和され、電子輸送層5から発光層6への電子注入障壁が緩和される。また、電子輸送層5に用いられる材料が適切な最高被占有分子軌道(HOMO)レベルを有する場合、正孔が発光層6で再結合せずに対極へ流出するのが阻止される。その結果、発光層6内に正孔が閉じ込められ、発光層6内での再結合効率が高められる。
電子輸送層5は、電子注入障壁が問題とならず、発光層6の電子輸送能が十分に高い場合には、省略される場合がある。
有機EL素子1及び有機EL素子11に用いる電子輸送層5の材料としては、例えば、下記一般式(5-1)~(5-29)で表される化合物が挙げられる。これら一般式(5-1)~(5-29)で表される化合物の中でも、特に、一般式(5-4)で表されるTPBiを用いることが好ましい。逆構造の有機EL素子11に用いる電子輸送層5の材料としては、特に、一般式(5-29)で表されるBepp2、Alqのような金属錯体、一般式(5-24)で表されるTmPyPhBのようなピリジン誘導体を用いることが好ましい。
図1に示す有機EL素子1、及び、図2に示す有機EL素子11のように、独立した層として電子輸送層5が形成されている場合、電子輸送層5の平均厚さは、10~150nmであることが好ましく、より好ましくは40~100nmである。
電子輸送層5の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定できる。
Figure 0007105607000020
Figure 0007105607000021
Figure 0007105607000022
[電子注入層]
有機EL素子1及び有機EL素子11の電子注入層4に用いられる材料は、陰極3の仕事関数と電子輸送層5のLUMOレベル等の観点から選ばれる。電子注入層4に用いられる材料は、電子輸送層5を設けない場合には、発光層6のゲスト材料及びホスト材料のLUMOレベルを考慮して選ばれる。
順構造の有機EL素子1の電子注入層4に用いられる材料は、有機化合物でもよいし、無機化合物でもよい。電子注入層4が、無機化合物からなるものである場合には、例えば、アルカリ金属や、アルカリ土類金属の他、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、炭酸セシウム等を用いることができ、フッ化リチウムを用いることが好ましい。
逆構造の有機EL素子11の電子注入層4に用いられる材料は、金属酸化物からなるものであることが好ましい。電子注入層4に用いられる金属酸化物としては、特に制限されないが、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化二オブ(Nb)、酸化鉄(Fe)、酸化錫(SnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ジルコニウム(ZrO)等の1種又は2種以上を用いることができる。逆構造の有機EL素子11では、基板2上に発光層6を形成する前に、電子注入層4を形成できる。従って、例えば、スパッタ法を用いて電子注入層4を形成しても、電子注入層4よりも後に形成される発光層6を含む各層が損傷を受けることがなく、好ましい。
また、逆構造の有機EL素子11においては、陰極3から発光層6への電子注入性を向上させるために、アルカリ金属からなる電子注入層4を設けてもよい。アルカリ金属からなる電子注入層4は、電子注入性に優れる。しかしながら、アルカリ金属は、酸化しやすい材料であるため、大気中の酸素や水分等に触れると容易に変質する。逆構造の有機EL素子11においては、アルカリ金属からなる電子注入層4を設けなくても、良好な電子注入性が得られる。このため、本実施形態では、有機EL素子11の材料として、アルカリ金属を使用しないことが好ましい。アルカリ金属を含まない有機EL素子とすることで、アルカリ金属を含む有機EL素子と比較して、大気安定性が良好で寿命の長いものとなる。
有機EL素子1及び有機EL素子11の電子注入層4の平均厚さは、特に限定されないが、0.5~1000nmであることが好ましく、より好ましくは、0.8~100nmである。電子注入層4の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
[バッファ層]
バッファ層10は、図2に示す逆構造の有機EL素子11において、電子注入層4と発光層6との間に設けられている。バッファ層10の材料としては、電子輸送性を有する化合物全般を用いることができる。バッファ層10の材料としては、ポリエチレンイミン等、電子注入を促進可能な材料であることが好ましい。
バッファ層10の材料としては、例えば、トランス型ポリアセチレン、シス型ポリアセチレン、ポリ(ジ-フェニルアセチレン)(PDPA)、ポリ(アルキル,フェニルアセチレン)(PAPA)等のようなポリアセチレン系化合物;ポリ(パラ-フェンビニレン)(PPV)、ポリ(2,5-ジアルコキシ-パラ-フェニレンビニレン)(RO-PPV)、シアノ-置換-ポリ(パラ-フェンビニレン)(CN-PPV)、ポリ(2-ジメチルオクチルシリル-パラ-フェニレンビニレン)(DMOS-PPV)、ポリ(2-メトキシ,5-(2’-エチルヘキソキシ)-パラ-フェニレンビニレン)(MEH-PPV)等のようなポリパラフェニレンビニレン系化合物;ポリ(3-アルキルチオフェン)(PAT)、ポリ(オキシプロピレン)トリオール(POPT)のようなポリチオフェン系化合物;ポリ(9,9-ジオクチルフルオレン等のようなポリ(9,9-ジアルキルフルオレン)(PDAF)、ポリ(ジオクチルフルオレン-アルト-ベンゾチアジアゾール)(F8BT)、α,ω-ビス[N,N’-ジ(メチルフェニル)アミノフェニル]-ポリ[9,9-ビス(2-エチルヘキシル)フルオレン-2,7-ジル](PF2/6am4)、ポリ(9,9-ジオクチル-2,7-ジビニレンフルオレニル-オルト-コ(アントラセン-9,10-ジイル)等のようなポリフルオレン系化合物;ポリ(パラ-フェニレン)(PPP)、ポリ(1,5-ジアルコキシ-パラ-フェニレン)(RO-PPP)等のようなポリパラフェニレン系化合物;ポリ(N-ビニルカルバゾール)(PVK)等のようなポリカルバゾール系化合物;ポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS)、ポリ(ナフチルフェニルシラン)(PNPS)、ポリ(ビフェニリルフェニルシラン)(PBPS)等のようなポリシラン系化合物や、ホウ素含有化合物等が挙げられる。バッファ層10の材料として、上記の材料から選ばれる1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
バッファ層10は、還元剤を含むものであってもよい。バッファ層10に含まれる還元剤は、n-ドーパントとして働く。このため、バッファ層10が還元剤を含む場合、陰極3から発光層6への電子の供給が充分に行われ、有機EL素子11の発光効率がより一層向上する。
バッファ層10に含まれる還元剤としては、電子供与性の化合物であれば特に制限されない。バッファ層10に含まれる還元剤としては、具体的には、1,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、1,3-ジメチル-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、(4-(1,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)フェニル)ジメチルアミン(N-DMBI)、1,3,5-トリメチル-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール等の2,3-ジヒドロベンゾ[d]イミダゾール化合物;3-メチル-2-フェニル-2,3-ジヒドロベンゾ[d]チアゾール等の2,3-ジヒドロベンゾ[d]チアゾール化合物;3-メチル-2-フェニル-2,3-ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール等の2,3-ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール化合物;ロイコクリスタルバイオレット(=トリス(4-ジメチルアミノフェニル)メタン)、ロイコマラカイトグリーン(=ビス(4-ジメチルアミノフェニル)フェニルメタン)、トリフェニルメタン等のトリフェニルメタン化合物;2,6-ジメチル-1,4-ジヒドロピリジン-3,5-ジカルボン酸ジエチル(ハンチュエステル)等のジヒドロピリジン化合物等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、2,3-ジヒドロベンゾ[d]イミダゾール化合物や、ジヒドロピリジン化合物が好ましい。特に、バッファ層10に含まれる還元剤として、(4-(1,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)フェニル)ジメチルアミン(N-DMBI)、又は2,6-ジメチル-1,4-ジヒドロピリジン-3,5-ジカルボン酸ジエチル(ハンチュエステル)を用いることが好ましい。
バッファ層10に含まれる還元剤の含有量は、バッファ10層を形成する有機化合物100質量%に対して、0.1~15質量%であることが好ましく、0.5~10質量%であることがより好ましく、さらに好ましくは1~5質量%である。バッファ層10に含まれる還元剤の含有量が0.1~15質量%であると、有機EL素子11の発光効率がより一層高くなる。
バッファ層10の平均厚さは、5~100nmであることが好ましい。バッファ層10の平均厚さが5nm以上であると、電子注入層4の表面に存在する凹凸が、バッファ層10が設けられていることにより、十分に平滑化される。その結果、電子注入層4の表面に存在する凹凸に起因するリーク電流が抑制され、バッファ層10を形成することによる効果が充分に発揮される。バッファ層10の平均厚さが100nm以下であると、バッファ層10が厚すぎることによる有機EL素子11の駆動電圧の上昇を抑制でき、好ましい。
バッファ層10の平均厚さは、5~100nmであることが好ましく、より好ましくは10~60nmである。
バッファ層10の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
[陰極]
有機EL素子1及び有機EL素子11で用いられる陰極3は、電子注入層4又は電子輸送層5に電子を注入する。このため、陰極3の材料としては、仕事関数の比較的小さな各種金属材料、各種合金等が用いられる。陰極3の材料としては、例えば、アルミニウム、銀、マグネシウム、カルシウム、金、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、マグネシウムインジウム合金(MgIn)、FTO(フッ素酸化錫)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物、銀合金等からなる膜等が挙げられる。
有機EL素子1がボトムエミッション型である場合、又は有機EL素子11がトップエミッション型である場合、陰極3の材料として、金属からなる不透明電極を用いることができ、反射性の材料を用いてもよい。
有機EL素子1がトップエミッション型である場合、又は有機EL素子11がボトムエミッション型のものである場合、陰極3の材料として、透明導電材料が用いられる。
なお、陰極3の材料としてITOを用いた場合には、ITOは仕事関数が大きいことから、電子注入が困難となる。また、ITO膜は、スパッタ法やイオンビーム蒸着法を用いて成膜するため、成膜時に電子注入層4等にダメージが与えられる可能性がある。このため、陰極3の材料としてITOを用いる場合には、電子注入層4とITOとの間に、マグネシウム層や銅フタロシアニン層を設けることが好ましい。
有機EL素子1及び有機EL素子11で用いられる陰極3の平均厚さは、特に制限されないが、10~500nmであることが好ましく、より好ましくは、100~200nmである。陰極3の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
<有機EL素子の製造方法>
図1に示す順構造の有機EL素子1は、基板2上に、陽極9と、正孔注入層8と、正孔輸送層7と、発光層6と、電子輸送層5と、電子注入層4と、陰極3とを、この順で形成することによって製造できる。陽極9、正孔注入層8、正孔輸送層7、発光層6、電子輸送層5、電子注入層4、及び陰極3の各層の形成方法は、特に限定されず、各層に用いられる材料の特性に合わせて、適宜、従来公知の種々の形成方法を用いて形成できる。
具体的には、例えば、陰極3及び陽極9を形成する方法として、スパッタ法、真空蒸着法、ゾルゲル法、スプレー熱分解(SPD)法、原子層堆積(ALD)法、気相成膜法、液相成膜法等が挙げられる。
また、電子注入層4、電子輸送層5、発光層6、正孔輸送層7、正孔注入層8の各層を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、各層を構成する有機化合物を含む有機化合物溶液を塗布する塗布法、真空蒸着法、ESDUS(Evaporative Spray Deposition from Ultra-dilute Solution)法等が挙げられる。これらの形成方法の中でも、特に、塗布法を用いることが好ましい。
また、電子注入層4、電子輸送層5、正孔輸送層7、正孔注入層8のうちの何れかの層が無機材料からなるものである場合、無機材料からなる層は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法等の方法を用いて形成できる。
また、図2に示す逆構造の有機EL素子11は、基板2上に、陰極3と、電子注入層4と、バッファ層10と、電子輸送層5と、発光層6と、正孔輸送層7と、正孔注入層8と、陽極9とをこの順に形成することにより製造できる。陰極3、電子注入層4、バッファ層10、電子輸送層5、発光層6、正孔輸送層7、正孔注入層8、陽極9の各層の形成方法は、上記同様、特に限定されず、各層に用いられる材料の特性や積層順等を考慮しながら、適宜、従来公知の種々の形成方法を採用できる。
<有機EL素子の他の例>
本発明の有機EL素子は、上述した実施形態において説明した有機EL素子の構成に限定されるものではない。
例えば、電子注入層4、バッファ層10、電子輸送層5、正孔輸送層7、正孔注入層8は、必要に応じて形成すればよく、これらの層は設けられていなくても構わない。
また、陰極3、電子注入層4、電子輸送層5、発光層6、正孔輸送層7、正孔注入層8、陽極9、バッファ層10の各層は、1層で形成されているものであってもよいし、2層以上からなる層であってもよい。
また、図1に示す有機EL素子1及び図2に示す有機EL素子11は、図1又は図2中に示す陽極9、正孔注入層8、正孔輸送層7、発光層6、電子輸送層5、電子注入層4、陰極3、バッファ層10の各層の間に、さらに他の層を有するものであってもよい。
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の有機EL素子1によれば、2つの電極間、即ち陽極9と陰極3との間に発光層6を含む積層構造が形成され、発光層6がゲスト材料とホスト材料とを含み、このホスト材料が、上記の一般式(1)で表される化合物を含む。これにより、高効率且つ低消費電力な順構造の有機EL素子1が実現できる。また、発光層に含まれるホスト材料が一般式(1)で表される化合物を含むことで、順構造の有機EL素子1及び逆構造の有機EL素子11の何れの構造であっても高い発光効率が得られ、有機EL素子のフレキシブル化が可能になる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお本発明は、本実施例によってその範囲が制限されるものではなく、本発明に係る有機EL素子は、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
なお、以下の各例において、有機EL素子を構成する各層の厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定した。
[実験1]
ガラス材料からなる基板上に、真空蒸着法により、上記一般式(13)で表される化合物からなる厚み50nmの薄膜を形成した。
[実験2]
ガラス材料からなる基板上に、真空蒸着法により、上記一般式(10)で表されるCBPからなる厚み50nmの薄膜を形成した。
[実験3]
ガラス材料からなる基板上に、真空蒸着法により、上記一般式(65-4)で表されるIr(mppy)からなる厚み50nmの薄膜を形成した。
[実験1~3の評価]
実験1で形成した薄膜について、HORIBA社製のFluoroMax-4を用い、波長300nmの励起光源を用いて、300K及び10Kにおける発光スペクトルを測定した。実験2で形成した薄膜について、同様の装置を用い、波長300nmの励起光源を用いて、300K及び77Kにおける発光スペクトルを測定した。そして、その結果を図3及び図4のグラフに示した。図3は、実験1で形成した薄膜の発光スペクトルの測定結果を示したグラフである。また、図4は、実験2で形成した薄膜の発光スペクトルの測定結果を示したグラフである。
常温(300K)における発光スペクトルは、蛍光発光を示す。従って、常温(300K)での発光スペクトルから、S(一重項励起状態)エネルギーに相当する知見が得られる。図3及び図4のグラフに示すように、一般式(13)で表される化合物(実験1)の蛍光発光は、一般式(10)で表される化合物(実験2)の蛍光発光よりも長波長側に見られる。従って、一般式(13)で表される化合物のSエネルギーは、一般式(10)で表される化合物よりも小さい。
また、実験1及び実験2で形成した薄膜について、低温(77K以下)での発光スペクトル測定によってリン光発光を観測し、薄膜の三重項励起状態(T)のエネルギーを求めた。なお、低温での発光スペクトル測定は、蛍光発光成分を除去してリン光スペクトルを観測するために、励起光照射後50msの遅延を設けて測定した。このようにして求めた、実験1及び実験2で形成した薄膜の三重項励起状態(T)のエネルギーを下記表1に示す。
Figure 0007105607000023
図3及び図4のグラフに示すように、一般式(13)で表される化合物のSエネルギーは、一般式(10)で表される化合物よりも小さい。また、表1に示すように、一般式(13)で表される化合物(実験1)のTエネルギーは、一般式(10)で表される化合物(実験2)とほぼ同程度である。従って、一般式(13)で表される化合物は、CBPよりもエネルギーギャップが小さい。よって、一般式(13)で表される化合物は、発光層のホスト材料として、一般式(10)で表される化合物よりも好ましいことがわかる。
また、実験3で形成した薄膜について、実験1及び実験2と同様にして、薄膜の三重項励起状態(T)のエネルギーを求めた。
このようにして求めた、実験3で形成した薄膜(Ir(mppy))の三重項励起状態(T)のエネルギーを上記の表1中に示した。
表1に示すように、一般式(13)で表される化合物(実験1)のTエネルギーは、一般的な緑色リン光材料であるIr(mppy)のTエネルギーよりも大きかった。
従って、一般式(13)で表される化合物は、発光層のホスト材料に適していることがわかる。
「実験4」
ガラス材料からなる基板上に、真空蒸着法により、下記一般式(14)で表されるワイドバンドギャップである化合物中に、上記一般式(12)で表される化合物を6質量%含有させた、厚み50nmの薄膜を形成した。
「実験5」
ガラス材料からなる基板上に、真空蒸着法により、一般式(14)で表される化合物中に、上記一般式(11)で表される化合物を6質量%含有させた、厚み50nmの薄膜を形成した。
「実験6」
ガラス材料からなる基板上に、真空蒸着法により、一般式(14)で表される化合物中に、上記一般式(13)で表される化合物を6質量%含有させた、厚み50nmの薄膜を形成した。
Figure 0007105607000024
実験4、実験5、及び実験6で形成した薄膜について、浜松ホトニクス社製のC9920-02を用い、波長300nmの励起光源を用いて、300Kかつ窒素雰囲気下におけるPL量子収率を測定した。その結果を下記表2に示す。
Figure 0007105607000025
表2に示すように、一般式(13)で示される化合物のPL量子収率は、一般式(12)で示される化合物及び一般式(11)で示される化合物よりも大きい。これは、一般式(13)で示される化合物のドナー部位とアクセプター部位が、フェニル基を介してオルト位で結合しているためである。
[実施例1]
以下に示す材料を用いて、以下に示す方法により、実施例1の有機EL素子を作製した。
基板上に形成した陽極上に、スピンコート法による正孔注入層と、真空蒸着法による第2正孔輸送層と、第1正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層と、電子注入層と、陰極とを、この順に形成し、図1に示すような順構造の有機EL素子1を作製した。
(基板、陽極)ITO(酸化インジウムスズ)からなる幅3mmにパターニングされた電極を有する平均厚さ0.7mmの市販の透明ガラス基板。
(正孔注入層)PEDOT(Clevios HIL1.3N)(厚み30nm)
(正孔輸送層)「第1正孔輸送層」一般式(7-37)で表される化合物(厚み10nm);「第2正孔輸送層」α-NPD(厚み20nm)
(発光層)一般式(13)で表される化合物をホスト材料として用い、ホスト材料中にゲスト材料である一般式(65-4)で表されるIr(mppy)を3重量%含む(厚み30nm)
(電子輸送層)TPBi(厚み35nm)
(電子注入層)LiF膜(厚み0.8nm)
(陰極)Al膜(厚み100nm)
[比較例1]
発光層のホスト材料に使用した化合物を、上記一般式(10)で表される化合物とした点以外は、実施例1と同様にして、比較例1の順構造の有機EL素子を作製した。
「比較例2」
発光層のホスト材料に使用した化合物を、上記一般式(12)で示される化合物とした点以外は、実施例1と同様にして、比較例2の順構造の有機EL素子を作製した。
[実施例2]
基板上に形成した陰極上に、スパッタ法による電子注入層と、スピンコート法によるバッファ層と、真空蒸着法による発光層と、正孔輸送層と、第1正孔輸送層と、第2正孔輸送層と、陰極とを、この順に形成し、逆構造の有機EL素子を作製した。
具体的には、以下に示す[1]~[6]の工程を行うことにより、図2に示すような逆構造の有機EL素子11を得た。
[1]ITO電極(陰極)付きで平均厚さ0.7mmとされた、透明ガラスからなる市販の基板を用意した。ITO電極としては、幅3mmにパターニングされている厚み100nmのものを用いた。
この基板に対し、以下に示す方法により、洗浄処理を行った。即ち、基板を、アセトン中とイソプロパノール中で、それぞれ10分間超音波洗浄した。次に、基板を、イソプロパノール中で5分間煮沸して取り出し、窒素ブローにより乾燥させた。その後、UV(紫外線)オゾン洗浄を20分間行った。
[2]洗浄後の基板を、亜鉛金属ターゲットを備えるミラトロンスパッタ装置の基板ホルダーに固定した。そして、スパッタ装置内を約1×10-4Paに減圧し、アルゴン及び酸素を導入した状態で、スパッタ法により、陰極3上に、電子注入層4である膜厚2nmの酸化亜鉛層を形成した。次に、表面に電子注入層が形成された基板に対し、UV(紫外線)オゾン洗浄を20分間行った。
[3]まず、酢酸マグネシウム四水和物の1重量%エタノール溶液を調製した。そして、洗浄後の電子注入層が形成された基板を、スピンコーターにセットし、上記で調製した溶液を滴下し、毎分1300回転で60秒間回転させて、上記[2]で形成した電子注入層上に塗布した。その後、上記の溶液を塗布した基板を、400℃で1時間、ホットプレートを用いて焼成した。これにより、ガラス基板上のITO電極の上に、ZnO膜、MgO膜を形成した。
[4]下記一般式(15)で表される化合物の1重量%トルエン溶液、及び、ジアザビシクロノネンの2重量%トルエン溶液を調製し、これらを1:1の容量比で混合した。そして、上記[3]で得られた焼成後の基板をスピンコーターにセットし、上記の混合溶液を滴下し、毎分3000回転で30秒間回転させて電子注入層上に塗布した。この基板を、窒素雰囲気下において、150℃で1時間、ホットプレートを用いて焼成することにより、電子注入層上に、一般式(15)で表される化合物とジアザビシクロノネンとからなる厚み30nmのバッファ層を形成した。
Figure 0007105607000026
[5]バッファ層までの各層を形成した基板を、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。また、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の各層に使用する以下に示す材料を、それぞれアルミナルツボに入れて蒸着源にセットした。
(各層の材料)
電子輸送層:一般式(12)で表される化合物
発光層:一般式(13)で表される化合物をホスト材料として用い、ホスト材料中にゲスト材料である一般式(65-4)で表されるIr(mppy)を3重量%含む
正孔輸送層:HTM-081(商品名;メルク社製)
正孔注入層:HAT-CN
陽極:Al
[6]真空蒸着装置内を約2×10-5Paに減圧し、一般式(12)で表される化合物を蒸着し、厚み5nmの電子輸送層を成膜した。
次に、さらに、一般式(13)で表される化合物からなるホスト材料と、Ir(mppy)からなるゲスト材料とを共蒸着し、厚み25nmの発光層を成膜した。ゲスト材料の含有量は、発光層全体に対して3質量%となるように調整した。
次に、HTM-081を蒸着し、厚み40nmの正孔輸送層を成膜した。
次に、HAT-CNを蒸着し、厚み10nmの正孔注入層を成膜した。
次に、Alを膜厚100nmになるように蒸着し、陽極を形成した。
以上の工程により、実施例2の逆構造の有機EL素子を得た。
なお、陽極を蒸着する際、ステンレス製の蒸着マスクを用いて蒸着面が幅3mmの帯状になるように調整した。これにより、有機EL素子の発光面積を9mmとした。
「比較例3」
発光層のホスト材料に使用した化合物を、一般式(11)で表される化合物とした点以外は、実施例1と同様にして、比較例3の逆構造の有機EL素子を作製した。
[有機EL素子の印加電圧と発光輝度との関係]
実施例1及び比較例1の有機EL素子に対して、ケースレー社製の「2400型ソースメーター」を用いて電圧を印加し、コニカミノルタ社製の「LS-100」を用いて輝度を測定し、印加電圧と輝度の関係を調べた。その結果を図5のグラフに示す。
図5のグラフに示すように、実施例1の有機EL素子では、比較例1の有機EL素子と比較して、印加電圧が同じである場合に高い輝度が得られており、駆動電圧が低かった。これは、発光層のホスト材料として、実施例1で使用した一般式(13)で表される化合物が、比較例1で使用した一般式(10)で表される化合物と比較して、エネルギーギャップが小さいためであると推定される。
[有機EL素子の電流密度と電力効率との関係]
実施例1及び比較例1の有機EL素子に対して、上述したケースレー社製の「2400型ソースメーター」を用いて、電流密度と電力効率との関係を調べた。そして、その結果を図6のグラフに示した。
図6のグラフに示すように、実施例1の有機EL素子では、比較例1の有機EL素子と比較して、電流密度が同じである場合に高い電力効率が得られていることがわかる。これは、発光層のホスト材料として、実施例1で使用した一般式(13)で表される化合物が、比較例1で使用した一般式(10)で表される化合物と比較して、エネルギーギャップが小さいためであると推定される。
[有機EL素子の発光特性測定]
実施例1、2及び比較例1~3の有機EL素子を窒素雰囲気下で封止し、ケースレー社製の「2400型ソースメーター」により、各有機EL素子への電圧印加と、電流測定を実施した。また、コニカミノルタ社製の「LS-100」により、各例の有機EL素子の発光輝度を測定した。上記測定結果によって求められる、電流密度10mA/cmにおける外部量子効率を下記表3及び表4に示す。
Figure 0007105607000027
表3に示す結果より、一般式(13)で示される化合物を発光層ホスト材料として用いた順構造の有機EL素子は、一般式(10)で示される化合物及び一般式(12)で示される化合物に比べて高い発光効率が得られるため、好ましいことがわかる。これは、一般式(13)で示される化合物のドナー部位とアクセプター部位とが、フェニル基を介してオルト位で結合していることで、PL量子収率が大きくなるためである。
Figure 0007105607000028
表4に示す結果より、一般式(13)で示される化合物を発光層ホスト材料として用いた逆構造の有機EL素子は、一般式(11)で示される化合物に比べて高い発光効率が得られるため、好ましいことがわかる。これは、一般式(13)で示される化合物のドナー部位とアクセプター部位とが、フェニル基を介してオルト位で結合していることで、PL量子収率が大きくなるため、逆構造の有機EL素子に用いた場合においても、高い効率を示すためである。
以上説明した実施例及び比較例の結果より、一般式(13)で表される化合物は、順構造の有機EL素子のホスト材料として適していると同時に、逆構造の有機EL素子のホスト材料としても適していることが明らかである。
本発明に係る順構造の有機EL素子は、高効率且つ低消費電力であり、且つ、順構造及び逆構造の何れの構造であっても高効率であるフレキシブル性を兼ね備えているものなので、例えば、テレビや携帯電話のディスプレイ等の画像表示装置や、照明装置等に好適に用いられる。
1,11…有機EL素子
2…基板
3…陰極
4…電子注入層
5…電子輸送層
6…発光層
7…正孔輸送層
8…正孔注入層
9…陽極
10…バッファ層

Claims (5)

  1. 2つの電極間に、発光層を含む積層構造が形成され、
    前記発光層が、ゲスト材料とホスト材料とを含み、
    前記ホスト材料が、下記一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0007105607000029
    (但し、一般式(1)中のYは、酸素原子または硫黄原子を表す。Xは、独立にC-H又はC-Ar1を示す。Ar1は、独立に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示す。)
  2. 前記発光層中のゲスト材料が、有機金属錯体であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記発光層が、上記一般式(1)で表される化合物からなるホスト材料と、下記一般式(65-4)で表されるゲスト材料とを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0007105607000030
  4. 前記発光層が、下記一般式(13)で表される化合物からなるホスト材料と、ゲスト材料とを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0007105607000031
  5. 前記発光層が、上記一般式(13)で表される化合物からなるホスト材料と、下記一般式(65-4)で表されるゲスト材料とを含むことを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0007105607000032
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