JP2018200939A - 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置、有機薄膜太陽電池 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置、有機薄膜太陽電池 Download PDF

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Katsuyuki Morii
克行 森井
弘彦 深川
Hirohiko Fukagawa
弘彦 深川
久夫 石井
Hisao Ishii
久夫 石井
有弥 田中
Yuya Tanaka
有弥 田中
康平 清水
Kohei Shimizu
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    • Y02E10/549Organic PV cells

Abstract

【課題】電子輸送速度の速い有機EL素子、この有機EL素子を備えた表示装置および照明装置を提供する。【解決手段】基板1上に、陰極2と発光層6と陽極9とがこの順に設けられ、発光層6が、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料を含む有機エレクトロルミネッセンス素子10とする。基板1上に、陰極2と発光層6と陽極9とがこの順に設けられ、陰極2と発光層6との間に電子輸送層が設けられ、電子輸送層が、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料を含む有機エレクトロルミネッセンス素子としてもよい。【選択図】図2

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、エレクトロルミネッセンス(電界発光)を「EL」と記す場合がある。)、表示装置、照明装置、有機薄膜太陽電池に関する。
有機EL素子は、薄く、柔軟でフレキシブルである。また、有機EL素子を用いた表示装置は、現在主流となっている液晶表示装置およびプラズマ表示装置と比較して、高輝度で高精細な表示が可能である。また、有機EL素子を用いた表示装置は、液晶表示装置と比べて視野角が広い。これらのことから、有機EL素子は、テレビや携帯電話のディスプレイ等としての利用の拡大や、照明装置としての利用が期待されている。
有機EL素子としては、有機EL素子を構成する各層が全て有機物からなるものの他、有機EL素子を構成する層の一部が無機物からなる有機無機ハイブリッド型のもの(Hybrid Organic Inorganic LED:HOILED)が研究されている。
また、有機EL素子としては、基板と発光層との間に陽極が配置された順構造(通常構造)のものと、基板と発光層との間に陰極が配置された逆構造のもの(例えば、特許文献1参照)とがある。逆構造の有機EL素子では、基板上に発光層を形成する前に、電子注入層を形成できる。したがって、例えば、スパッタ法を用いて電子注入層を形成しても、発光層が損傷を受けることがなく、好ましい。
特許第6110099号公報
E. Ito, Y. Washizu, N. Hayashi, H. Ishii, N. Matsuie, K. Tsuboi, Y. Ouchi, Y.Harima, K. Yamashita and K. Seki: J. Appl. Phys.,92(2002)7306. Y. Noguchi, Y. Miyazaki, Y. Tanaka, N. Sato, Y. Nakayama, T. D. Schmidt, W. Brua tting and H. Ishii: J. Appl. Phys., 111 (2012) 114508.
しかしながら、従来の逆構造の有機EL素子は、陰極から発光層への電子輸送性が不十分であった。このため、従来の逆構造の有機EL素子は、効率が低く、寿命の短いものであった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、電子輸送速度の速い有機EL素子、この有機EL素子を備えた表示装置および照明装置を提供することを課題とする。
また、本発明は、電子輸送速度の速い有機薄膜太陽電池を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた。その結果、基板と発光層との間に陰極が配置された逆構造の有機EL素子において、発光層と電子輸送層のいずれか一方または両方を、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料を含むものとすればよいことを見出し、本発明を想到した。
すなわち、本発明は、以下の発明に関わる。
〔1〕 基板上に、陰極と発光層と陽極とがこの順に設けられ、
前記発光層が、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
〔2〕 基板上に、陰極と発光層と陽極とがこの順に設けられ、
前記陰極と前記発光層との間に電子輸送層が設けられ、前記電子輸送層が、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
〔3〕 前記膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料が、下記一般式(1)で表わされる化合物であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 2018200939
〔4〕 前記陰極と前記発光層との間に金属酸化物からなる電子注入層を有することを特徴とする〔1〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
〔5〕 前記陰極と前記電子輸送層との間に金属酸化物からなる電子注入層を有することを特徴とする〔2〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を含むことを特徴とする表示装置。
〔7〕 〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を含むことを特徴とする照明装置。
〔8〕 基板上に、陰極と有機層と陽極とがこの順に設けられ、
前記有機層が、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料を含むことを特徴とする有機薄膜太陽電池。
本発明の有機EL素子は、基板上に、陰極と発光層と陽極とがこの順に設けられた逆構造のものであり、発光層が、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料を含むため、陰極から発光層への電子輸送速度が速く、電子注入性に優れる。したがって、本発明の有機EL素子は、高輝度で外部量子効率が高く、長寿命である。
また、本発明の有機EL素子は、陰極と発光層との間に電子輸送層が設けられ、電子輸送層が、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料を含む逆構造のものである。この有機EL素子は、陰極から発光層への電子輸送速度が速く、電子注入性に優れるため、高輝度で外部量子効率が高く、長寿命である。
本発明の表示装置および照明装置は、本発明の有機EL素子を含むものであり、有機EL素子が高輝度で外部量子効率が高く、長寿命であるため優れた性能を有する。
本発明の有機薄膜太陽電池は、基板上に、陰極と有機層と陽極とがこの順に設けられ、有機層が、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料を含むため、有機層の電子輸送速度の速い。したがって、本発明の有機薄膜太陽電池は、高効率で、長寿命である。
有機層を形成している膜の成長方向に対する配向分極と、素子の電子輸送速度との関係について説明するための説明図である。 第1実施形態の有機EL素子を説明するための断面模式図である。 第2実施形態の有機EL素子を説明するための断面模式図である。 Bebq2の膜厚と表面電位との関係を示したグラフである。 実施例1および比較例1の有機EL素子における電圧と輝度との関係を示したグラフである。 実施例1および比較例1の有機EL素子における電流密度と外部量子効率との関係を示したグラフである。 実施例1および比較例1の有機EL素子における電圧と電流密度との関係を示したグラフである。 実施例1および比較例1の有機EL素子における初期輝度を1としたときの輝度と、初期輝度に達した時点からの経過時間との関係を示したグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者は、上記課題を解決するために、以下に示すように、鋭意検討を重ねた。
すなわち、有機材料の多くは、分子内に永久双極子を持っている。有機材料からなる膜では、双極子を有する分子が成膜時に規則性を持って重なり合って並ぶことにより、配向分極が形成されている。本発明者は、有機材料からなる膜の配向分極の向きを利用して、基板上に陰極と有機層と陽極とがこの順に設けられた素子における電子輸送速度を向上させるべく検討を重ねた。その結果、有機層を、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料を含むものとすればよいことを見出し、本発明を想到した。
ここで、基板上に、陰極と有機層と陽極とがこの順に設けられた素子における、有機層を形成している膜の成長方向に対する配向分極と、素子の電子輸送速度との関係について詳細に説明する。
図1(a)〜(d)は、有機層を形成している膜の成長方向に対する配向分極と、素子の電子注入性との関係について説明するための説明図である。図1(a)および(b)は、基板上に、陰極と有機層と陽極とがこの順に設けられている場合(図1における「逆構造」の場合)である。図1(c)および(d)は、基板上に、陽極と有機層と陰極とがこの順に設けられている場合(図1における「通常構造」の場合)である。
逆構造の場合、図1(a)に示すように、有機層が、膜の成長方向(図1における上方向)に対して負の配向分極(−δ)を形成する材料であるとよい。この場合、陰極の有機層側の界面には、イメージチャージ(鏡像電荷)として、有機層とは反対の−δの分極が形成される。このことにより、図1において△で示される真空準位(Evac)のシフトが起こり、陰極の有機層側の界面の仕事関数が下がる。その結果、陰極のフェルミ準位(E)に対する最低非占有軌道(LUMO)の位置が下がる。よって、LUMOの位置が陰極のフェルミ準位(E)に近づき、電子の移動が促進され、電子輸送速度が向上する。
これに対し、図1(b)に示すように、逆構造の場合に、有機層が、膜の成長方向(図1における上方向)に対して正の配向分極(+δ)を形成する材料であると、電子の移動が困難となる。これは、陰極の有機層側の界面に+δで示す真空準位(Evac)のシフトが起こり、陰極のフェルミ準位(E)に対する最低非占有軌道(LUMO)の位置が上がり、LUMOの位置が陰極のフェルミ準位(E)から遠くなるためである。
一方、通常構造の場合、図1(c)に示すように、有機層が、膜の成長方向(図1における上方向)に対して負の配向分極(−δ)を形成する材料であると、電子の移動が困難となる。これは、通常構造では、陰極の有機層側の界面に、図1(b)の場合と同様に、電子注入に不利な鏡像電荷である+δの分極が形成されるためである。
また、通常構造の場合、図1(d)に示すように、有機層が、膜の成長方向(図1における上方向)に対して正の配向分極(+δ)を形成する材料であると、陰極の有機層側の界面に、図1(a)の場合と同様に、電子注入に有利な鏡像電荷である−δの分極が形成される。
図1(a)〜(d)に示すように、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料(以下、「負の分極材料」と略記する場合がある。)を含むことによって電子輸送速度が向上する有機層とは、基板上に、陰極と有機層と陽極とがこの順に設けられた逆構造の素子に設けられた有機層である。具体的には、逆構造の有機EL素子の発光層、逆構造の有機EL素子の陰極と発光層との間に設けられた電子輸送層、逆構造の有機薄膜太陽電池の有機層(発電層)である。
なお、負の分極材料は、成膜開始後、膜の厚さ方向に1つの分子のみが並んでいる第1層目を形成した段階で負の配向分極を発現するものであってもよいし、膜の厚さ方向に複数個の分子を積層させることで負の配向分極を発現するものであってもよい。負の分極材料における負の配向分極の起源は明らかではないが、本発明における有機層の電子輸送速度向上の観点から、負の分極材料は、負の配向分極が発現するものであればよく、薄膜での利用が想定される。
以下、本発明の有機EL素子、表示装置、照明装置、有機薄膜太陽電池について、図面を用いて詳細に説明する。
[有機EL素子]
(第1実施形態)
図2は、本発明の有機EL素子の一例である第1実施形態の有機EL素子を説明するための断面模式図である。図2に示す有機EL素子10は、基板1上に、陰極2と発光層6と陽極9とがこの順に設けられた逆構造の有機EL素子10である。
本実施形態の有機EL素子10は、陰極2と陽極9との間に、電子注入層3と、バッファ層4と、発光層6と、正孔輸送層7と、正孔注入層8とがこの順に積層された積層構造を有する。本実施形態の有機EL素子10は、電子注入層3として無機材料である金属酸化物膜が設けられた逆構造の有機−無機ハイブリッド有機EL素子である。
図2に示す有機EL素子10は、基板1と反対側に光を取り出すトップエミッション型であってもよいし、基板2側に光を取り出すボトムエミッション型であってもよい。
「基板」
基板1の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
図2に示す有機EL素子10がトップエミッション型である場合、基板1の材料として、透明材料だけでなく不透明材料も用いることができる。具体的には、図2に示す有機EL素子10がトップエミッション型である場合、基板1として、例えば、アルミナ等のセラミックス材料からなる基板、ステンレス鋼などの金属からなる基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料からなる基板等も用いることができる。
基板1の平均厚さは、0.1〜30mmであることが好ましく、より好ましくは、0.1〜10mmである。基板1の平均厚さは、デジタルマルチメーターおよび/またはノギスにより測定できる。
「陰極」
陰極2としては、ITO(インジウム酸化錫)、IZO(インジウム酸化亜鉛)、FTO(フッ素酸化錫)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物等からなる膜を用いることができる。上記の中でも、陰極2として、ITO膜、IZO膜、FTO膜のいずれかを用いることが好ましい。
有機EL素子10がトップエミッション型である場合、陰極2の材料として、透明材料だけでなく、金属などからなる不透明材料も用いることができ、反射性の材料を用いてもよい。
陰極2の平均厚さは、特に制限されないが、10〜500nmであることが好ましく、より好ましくは、100〜200nmである。陰極2の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
「電子注入層」
電子注入層3は、陰極2と発光層6との間に設けられている。電子注入層3は、金属酸化物からなるものであることが好ましい。有機EL素子10が金属酸化物からなる電子注入層3を有する場合、より一層電子注入性が向上するため、輝度、外部量子効率、寿命の全ての特性がより一層良好となる。
電子注入層3の用いられる金属酸化物としては、特に制限されないが、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化二オブ(Nb)、酸化鉄(Fe)、酸化錫(SnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ジルコニウム(ZrO)等の1種又は2種以上を用いることができる。
図2に示す有機EL素子10は、逆構造の有機EL素子10であるので、基板1上に発光層6を形成する前に、電子注入層3を形成できる。したがって、例えば、スパッタ法を用いて電子注入層3を形成しても、電子注入層3よりも後に形成される発光層6を含む各層が損傷を受けることがなく、好ましい。
電子注入層3の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは、2〜100nmである。電子注入層3の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
「バッファ層」
バッファ層4は、電子注入層3と発光層6との間に設けられている。バッファ層4の材料としては、電子輸送性を有する化合物全般を用いることができる。
バッファ層4の材料としては、例えば、トランス型ポリアセチレン、シス型ポリアセチレン、ポリ(ジ−フェニルアセチレン)(PDPA)、ポリ(アルキル,フェニルアセチレン)(PAPA)のようなポリアセチレン系化合物;ポリ(パラ−フェンビニレン)(PPV)、ポリ(2,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレンビニレン)(RO−PPV)、シアノ−置換−ポリ(パラ−フェンビニレン)(CN−PPV)、ポリ(2−ジメチルオクチルシリル−パラ−フェニレンビニレン)(DMOS−PPV)、ポリ(2−メトキシ,5−(2’−エチルヘキソキシ)−パラ−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)のようなポリパラフェニレンビニレン系化合物;ポリ(3−アルキルチオフェン)(PAT)、ポリ(オキシプロピレン)トリオール(POPT)のようなポリチオフェン系化合物;ポリ(9,9−ジオクチルフルオレンのようなポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)、ポリ(ジオクチルフルオレン−アルト−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)、α,ω−ビス[N,N’−ジ(メチルフェニル)アミノフェニル]−ポリ[9,9−ビス(2−エチルヘキシル)フルオレン−2,7−ジル](PF2/6am4)、ポリ(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニル−オルト−コ(アントラセン−9,10−ジイル)のようなポリフルオレン系化合物;ポリ(パラ−フェニレン)(PPP)、ポリ(1,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレン)(RO−PPP)のようなポリパラフェニレン系化合物;ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)のようなポリカルバゾール系化合物;ポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS)、ポリ(ナフチルフェニルシラン)(PNPS)、ポリ(ビフェニリルフェニルシラン)(PBPS)のようなポリシラン系化合物やジアザビシクロノネン、ホウ素含有化合物等が挙げられる。バッファ層4の材料として、上記の材料から選ばれる1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
バッファ層4は、還元剤を含むものであってもよい。バッファ層4に含まれる還元剤は、n−ドーパントとして働く。このため、バッファ層4が還元剤を含む場合、陰極2から発光層6への電子の供給が充分に行われ、有機EL素子10の発光効率がより一層向上する。
バッファ層4に含まれる還元剤としては、電子供与性の化合物であれば特に制限されない。バッファ層4に含まれる還元剤としては、具体的には、1,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1,3−ジメチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、(4−(1,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フェニル)ジメチルアミン(N−DMBI)、1,3,5−トリメチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール等の2,3−ジヒドロベンゾ[d]イミダゾール化合物;3−メチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾ[d]チアゾール等の2,3−ジヒドロベンゾ[d]チアゾール化合物;3−メチル−2−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール等の2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール化合物;ロイコクリスタルバイオレット(=トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン)、ロイコマラカイトグリーン(=ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フェニルメタン)、トリフェニルメタン等のトリフェニルメタン化合物;2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチル(ハンチュエステル)等のジヒドロピリジン化合物等の1種又は2種以上を用いることができる。この中でも、2,3−ジヒドロベンゾ[d]イミダゾール化合物や、ジヒドロピリジン化合物が好ましい。特に、バッファ層4に含まれる還元剤として、(4−(1,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フェニル)ジメチルアミン(N−DMBI)、または2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチル(ハンチュエステル)を用いることが好ましい。
バッファ層4に含まれる還元剤の含有量は、バッファ4層を形成する有機化合物100質量%に対して、0.1〜15質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましく、更に好ましくは1〜5質量%である。バッファ層4に含まれる還元剤の含有量が0.1〜15質量%であると、有機EL素子10の発光効率がより一層高くなる。
バッファ層4の平均厚さは、5〜100nmであることが好ましい。バッファ層4の平均厚さが5nm以上であると、電子注入層3の表面に存在する凹凸が、バッファ層4が設けられていることにより、十分に平滑化される。その結果、電子注入層3の表面に存在する凹凸に起因するリーク電流が抑制され、バッファ層4を形成することによる効果が充分に発揮される。バッファ層4の平均厚さが100nm以下であると、バッファ層4が厚すぎることによる有機EL素子10の駆動電圧の上昇を抑制でき、好ましい。
バッファ層4の平均厚さは、5〜100nmであることが好ましく、より好ましくは10〜60nmである。
バッファ層4の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
「発光層」
発光層6は、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料(以下、「負の分極材料」と略記する場合がある。)を含む。
負の分極材料としては、例えば、下記一般式(1)で表わされる化合物(Bebq2)、下記一般式(2)で表わされる化合物(Al(7−Prq))などが挙げられる。特に、負の分極材料としては、式(1)で表わされるBebq2を用いることが好ましい。
また、Bebq2は電子輸送性の材料である。このため、発光層6に含まれる負の分極材料としてBebq2を用いた場合、図2に示す有機EL素子10のように電子輸送層を設けなくても、十分な電子輸送性が得られる。
Figure 2018200939
Figure 2018200939
発光層6に含まれる発光材料としては、燐光性化合物、蛍光材料、熱活性化遅延蛍光材料などを用いることができる。
発光層6に含まれる材料は、低分子化合物であることが好ましい。本発明において低分子化合物とは、高分子化合物(重合体)ではない化合物を意味し、分子量が低い化合物を必ずしも意味するものではない。発光層6に含まれる材料が低分子化合物である場合、輝度、外部量子効率、寿命の全ての特性がより良好な逆構造の有機EL素子10となる。
本実施形態における発光層6は、ホスト材料とゲスト材料とを含むことが好ましい。
(ホスト材料)
ホスト材料は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。本実施形態では、ホスト材料として、負の分極材料を用いることが好ましい。
(ゲスト材料)
ゲスト材料は、燐光性化合物であることが好ましい。ゲスト材料が燐光性化合物である場合、輝度、外部量子効率、寿命の各特性がより優れたものとなる。ゲスト材料は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
燐光性化合物としては、例えば、下記式(61)または(62)で表される化合物を好適に用いることができる。
Figure 2018200939
式(61)中、点線の円弧は、窒素原子と3つの炭素原子とで構成された骨格部分の一部とともに環構造が形成されていることを表し、窒素原子を含んで形成される環構造は、複素環構造である。
X’、X’’は、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。X’、X’’は、結合して点線の円弧で表される2つの環構造の一部とともに新たな環構造を形成してもよい。X’、X’’は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(61)中、窒素原子と3つの炭素原子とで構成された骨格部分における点線は、点線で結ばれる2つの原子が単結合又は二重結合で結合していることを表す。
式(61)中、M’は、金属原子を表す。窒素原子からM’への矢印は、窒素原子がM’原子へ配位していることを表す。nは、金属原子M’の価数を表す。
式(62)中、点線の円弧は、窒素原子と3つの炭素原子とで構成された骨格部分の一部とともに環構造が形成されていることを表し、窒素原子を含んで形成される環構造は、複素環構造である。
X’、X’’は、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。X’、X’’は、結合して点線の円弧で表される2つの環構造の一部とともに新たな環構造を形成してもよい。X’、X’’は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(62)中、窒素原子と3つの炭素原子とで構成された骨格部分における点線は、点線で結ばれる2つの原子が単結合又は二重結合で結合していることを表す。
式(62)中、M’は、金属原子を表す。窒素原子からM’への矢印は、窒素原子がM’原子へ配位していることを表す。nは、金属原子M’の価数を表す。
式(62)中、XaとXbとを結ぶ実線の円弧は、XaとXbとが少なくとも1つの他の原子を介して結合していることを表し、XaとXbとともに環構造を形成していてもよい。Xa、Xbは、酸素原子、窒素原子、炭素原子のいずれかを表す。Xa、Xbは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。XbからM’への矢印は、XbがM’原子へ配位していることを表す。m’は、1〜3の数である。
上記式(61)及び式(62)における点線の円弧で表される環構造としては、炭素数2〜20の芳香環や複素環が挙げられる。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香族炭化水素環;ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾオキソール環、ベンゾイミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、およびフェナントリジン環、チオフェン環、フラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環等の複素環が挙げられる。
上記式(61)及び式(62)において、X’、X’’で表される環構造の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアラルキル基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルケニル基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアリール基、アリールアミノ基、シアノ基、アミノ基、アシル基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のジアルキルアミノ基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアラルキルアミノ基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、カルバゾール基等が挙げられる。
上記式(61)及び式(62)において、X’、X’’が結合して点線の円弧で表される2つの環構造の一部とともに新たな環構造を形成している場合、点線の円弧で表される2つの環構造と新たな環構造を合わせた環構造としては、例えば、下記(63−1)、(63−2)に示す構造が挙げられる。
Figure 2018200939
上記式(61)及び式(62)に示す化合物において、M’で表される金属原子としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金及び金が挙げられる。
上記式(62)に示される化合物は、下記式(64−1)に示される構造または(64−2)に示される構造を有するものであることが好ましい。
Figure 2018200939
式(64−1)、(64−2)中、R〜Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。R〜Rは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(64−2)において、R〜Rが1価の置換基の場合、環構造が複数の1価の置換基を有していてもよい。
式(64−1)、(64−2)中、窒素原子からM’への矢印は、窒素原子がM’原子へ配位していることを表す。式(64−1)中、酸素原子からM’への矢印は、酸素原子がM’原子へ配位していることを表す。
上記式(61)または式(62)で表される化合物の具体例としては、下記式(65−1)〜(65−5)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2018200939
Figure 2018200939
Figure 2018200939
Figure 2018200939
ゲスト材料として使用される燐光性化合物としては、上記燐光性化合物の中でも特に、式(65−1)で表されるイリジウム トリス(2−フェニルピリジン)(Ir(ppy)3)、式(65−2)で表されるイリジウム トリス(1−フェニルイソキノリン)(Ir(piq)3)、式(65−3)で表されるイリジウム ビス(2−メチルジベンゾ−[f,h]キノキサリン)(アセチルアセトナート)(Ir(MDQ)2(acac))、式(65−4)で表されるイリジウム トリス[3−メチル−2−フェニルピリジン](Ir(mppy))から選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
ゲスト材料として使用される燐光性化合物は、Pt錯体である式(65−5)で示されるTLEC025を用いてもよい。
また、ゲスト材料として使用される燐光性化合物は、常温で燐光発光する材料であることが好ましい。
発光層6中の燐光性化合物の含有量は、発光層6を形成する材料100質量%に対して、0.5〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましく、更に好ましくは1〜6質量%である。燐光性化合物の含有量が0.5〜20質量%であると、有機EL素子10の発光特性がより良好となる。
発光層6は、以下に示す低分子化合物などを含有していてもよい。低分子化合物としては、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq)、トリス(4−メチル−8キノリノレート)アルミニウム(III)(Almq)、8−ヒドロキシキノリン亜鉛(Znq)、(1,10−フェナントロリン)−トリス−(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−ブタン−1,3−ジオネート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)(phen))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィンプラチナム(II)のような各種金属錯体;ジスチリルベンゼン(DSB)、ジアミノジスチリルベンゼン(DADSB)のようなベンゼン系化合物、ナフタレン、ナイルレッドのようなナフタレン系化合物、フェナントレンのようなフェナントレン系化合物、クリセン、6−ニトロクリセンのようなクリセン系化合物、ペリレン、N,N’−ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)−3,4,9,10−ペリレン−ジ−カルボキシイミド(BPPC)のようなペリレン系化合物、コロネンのようなコロネン系化合物、アントラセン、ビススチリルアントラセンのようなアントラセン系化合物、ピレンのようなピレン系化合物、4−(ジ−シアノメチレン)−2−メチル−6−(パラ−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)のようなピラン系化合物、アクリジンのようなアクリジン系化合物、スチルベンのようなスチルベン系化合物、4,4’−ビス[9−ジカルバゾリル]−2,2’−ビフェニル(CBP)、4、4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)のようなカルバゾール系化合物、2,5−ジベンゾオキサゾールチオフェンのようなチオフェン系化合物、ベンゾオキサゾールのようなベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾイミダゾールのようなベンゾイミダゾール系化合物、2,2’−(パラ−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾールのようなベンゾチアゾール系化合物、ビスチリル(1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン)、テトラフェニルブタジエンのようなブタジエン系化合物、ナフタルイミドのようなナフタルイミド系化合物、クマリンのようなクマリン系化合物、ペリノンのようなペリノン系化合物、オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物、アルダジン系化合物、1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シクロペンタジエン(PPCP)のようなシクロペンタジエン系化合物、キナクリドン、キナクリドンレッドのようなキナクリドン系化合物、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジンのようなピリジン系化合物、2,2’,7,7’−テトラフェニル−9,9’−スピロビフルオレンのようなスピロ化合物、フタロシアニン(HPc)、銅フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物、さらには特開2009−155325号公報および特願2010−28273号に記載のホウ素化合物材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
ゲスト材料およびホスト材料を除く低分子化合物の発光層6中における含有量は、発光層6を形成する材料100質量%に対して、0.5〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましく、更に好ましくは1〜6質量%である。低分子化合物の含有量が0.5〜20質量%であると、有機EL素子10の発光特性がより良好となる。
発光層6の平均厚さは、特に限定されないが、10〜100nmであることが好ましく、より好ましくは10〜50nmである。発光層6の平均厚さが10nm以上であると、発光層6が負の分極材料を含むことによる陰極から発光層6への電子注入性向上効果が顕著となる。また、発光層6の平均厚さが100nm以下であると、発光層6が厚いことによる有機EL素子10の駆動電圧の上昇を抑制でき、好ましい。
発光層6の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定できる。
「正孔輸送層」
正孔輸送層7の材料としては、正孔輸送層の材料として通常用いることができるいずれの化合物も用いることができ、これらを混合して用いてもよい。具体的には、正孔輸送層7の材料として、1,1−ビス(4−ジ−パラ−トリアミノフェニル)シクロへキサン、1,1’−ビス(4−ジ−パラ−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサンのようなアリールシクロアルカン系化合物、4,4’,4’’−トリメチルトリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD1)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−メトキシフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD3)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、TPTEのようなアリールアミン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(パラ−トリル)−パラ−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(メタ−トリル)−メタ−フェニレンジアミン(PDA)のようなフェニレンジアミン系化合物、カルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−フェニルカルバゾールのようなカルバゾール系化合物、スチルベン、4−ジ−パラ−トリルアミノスチルベンのようなスチルベン系化合物、オキサゾールのような置き鎖ゾール系化合物、トリフェニルメタン、4,4‘,4’‘−トリス[フェニル(m−トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m−MTDATA)のようなトリフェニルメタン系化合物、1−フェニル−3−(パラ−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンのようなピラゾリン系化合物、ベンジン(シクロヘキサジエン)系化合物、トリアゾールのようなトリアゾール系化合物、イミダゾールのようなイミダゾール系化合物、1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジ(4−ジメチルアミノフェニル)−1,3,4,−オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物、アントラセン、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンのようなアントラセン系化合物、フルオレノン、2,4,7,−トリニトロ−9−フルオレノン、2,7−ビス(2−ヒドロキシ−3−(2−クロロフェニルカルバモイル)−1−ナフチルアゾ)フルオレノンのようなフルオレノン系化合物、ポリアニリンのようなアニリン系化合物、シラン系化合物、1,4−ジチオケト−3,6−ジフェニル−ピロロ−(3,4−c)ピロロピロールのようなピロール系化合物、フルオレンのようなフルオレン系化合物、ポルフィリン、金属テトラフェニルポルフィリンのようなポルフィリン系化合物、キナクリドンのようなキナクリドン系化合物、フタロシアニン、銅フタロシアニン、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン、鉄フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物、銅ナフタロシアニン、バナジルナフタロシアニン、モノクロロガリウムナフタロシアニンのような金属または無金属のナフタロシアニン系化合物、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジンのようなベンジジン系化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、正孔輸送層7の材料としてα−NPDが好ましい。
図2に示す有機EL素子10のように、独立した層として正孔輸送層7が形成されている場合、正孔輸送層7の平均厚さは、10〜150nmであることが好ましく、より好ましくは40〜100nmである。
電子輸送層5の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定できる。
「正孔注入層」
正孔注入層8としては、特に制限されないが、酸化バナジウム(V)、酸化モリブテン(MoO)、酸化ルテニウム(RuO)等金属酸化物の1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、酸化バナジウム又は酸化モリブテンを主成分とすることが好ましい。正孔注入層8が酸化バナジウム又は酸化モリブテンを主成分とする場合、正孔注入層8が陽極9から正孔を注入して発光層6又は正孔輸送層7へ輸送する正孔注入層8としての機能がより優れたものとなる。また、酸化バナジウム又は酸化モリブテンは、それ自体の正孔輸送性が高いため、陽極9から発光層6又は正孔輸送層7への正孔の注入効率が低下するのを好適に防止できる。正孔注入層8は、酸化バナジウム及び/又は酸化モリブテンからなるものであることがより好ましい。
また、正孔注入層8として、正孔注入が促進可能なアクセプター材料である1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)、アクセプター材料である2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノ−キノジメタン(F4−TCNQ)、アクセプター材料であるHexafluorotetracyanonaphthoquinodimethane(F6−TNAP)等も用いることができる。
正孔注入層8の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは5〜50nmである。正孔注入層8の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
「陽極」
陽極9としては、Au、Pt、Ag、Cu、Alまたはこれらを含む合金等からなる金属膜を用いることができる。この中でも、陽極9としては、Au膜、Ag膜、Al膜のいずれかを用いることが好ましい。
陽極9の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは30〜150nmである。また、陽極9の材料として、不透過な材料を用いる場合でも、例えば平均厚さを10〜30nm程度にすることで、トップエミッション型及び透明型の陽極9として使用することができる。
陽極9の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
本実施形態の有機EL素子10は、基板1上に、陰極2と、電子注入層3と、バッファ層4と、発光層6と、正孔輸送層7と、正孔注入層8と、陽極9とをこの順に形成することにより製造できる。陰極2、電子注入層3、バッファ層4、発光層6、正孔輸送層7、正孔注入層8、陽極9の各層の形成方法は、特に限定されず、各層に用いられる材料の特性に合わせて、従来公知の種々の形成方法を適宜用いて形成できる。
有機EL素子10に含まれる上記各層の形成方法として、具体的には、気相成膜法であるプラズマCVD、熱CVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射法、そして液相成膜法である電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、ゾル・ゲル法、MOD法、スプレー熱分解法、微粒子分散液を用いたドクターブレード法、スピンコート法、インクジェット法、スクリーンプリンティング法等の印刷技術等を用いることができる。
本実施形態の有機EL素子10は、基板1上に、陰極2と発光層6と陽極9とがこの順に設けられた逆構造のものであり、発光層6が、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料を含むため、陰極2から発光層6への電子輸送速度が速く、電子注入性に優れる。したがって、本実施形態の有機EL素子10は、高輝度で外部量子効率が高く、長寿命である。よって、本実施形態の有機EL素子10は、表示装置および照明装置の材料として好適に用いることができる。
(第2実施形態)
図3は、本発明の有機EL素子の一例である第2実施形態の有機EL素子を説明するための断面模式図である。図3に示す有機EL素子11は、基板1上に、陰極2と発光層6と陽極9とがこの順に設けられた逆構造の有機EL素子11である。
本実施形態の有機EL素子11は、陰極2と陽極9との間に、電子注入層3と、バッファ層4と、電子輸送層5と、発光層6と、正孔輸送層7と、正孔注入層8とがこの順に積層された積層構造を有する。本実施形態の有機EL素子11が、上述した第1実施形態の有機EL素子10と異なるのは、バッファ層4と発光層6との間に電子輸送層5が設けられていることのみである。したがって、本実施形態においては、上述した第1実施形態の有機EL素子10と同じ部材についての説明を省略する。
「電子輸送層」
電子輸送層5は、負の分極材料を含む。
負の分極材料としては、例えば、式(1)で表わされる化合物(Bebq2)、式(2)で表わされる化合物などが挙げられる。負の分極材料としては、式(1)で表わされるBebq2を用いることが好ましい。
電子輸送層5には、負の分極材料とともに、以下に示す1種または2種以上の化合物が含まれていてもよい。
負の分極材料とともに電子輸送層5に用いることのできる材料としては、例えば、トリス−1,3,5−(3’−(ピリジン−3’’−イル)フェニル)ベンゼン(TmPyPhB)のようなピリジン誘導体、(2−(3−(9−カルバゾリル)フェニル)キノリン(mCQ))のようなキノリン誘導体、2−フェニル−4,6−ビス(3,5−ジピリジルフェニル)ピリミジン(BPyPPM)のようなピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、バソフェナントロリン(BPhen)のようなフェナントロリン誘導体、2,4−ビス(4−ビフェニル)−6−(4’−(2−ピリジニル)−4−ビフェニル)−[1,3,5]トリアジン(MPT)のようなトリアジン誘導体、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)のようなトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾール)(PBD)のようなオキサジアゾール誘導体、2,2’,2’’−(1,3,5−ベントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)(TPBI)のようなイミダゾール誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ピリジン]ベリリウム(Bepp2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ))、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)などに代表される各種金属錯体、2,5−ビス(6’−(2’,2’’−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール誘導体に代表される有機シラン誘導体、ホウ素含有化合物等が挙げられる。
図3に示す有機EL素子11のように、独立した層として電子輸送層5が形成されている場合、電子輸送層5の平均厚さは、5〜150nmであることが好ましい。電子輸送層5の平均厚さが5nm以上であると、電子輸送層5が負の分極材料を含むことによる陰極から発光層6への電子注入性向上効果が顕著となる。また、電子輸送層5の平均厚さが150nm以下であると、電子輸送層5が厚いことによる有機EL素子11の駆動電圧の上昇を抑制でき、好ましい。有機EL素子11の駆動電圧を低くするため、電子輸送層5の平均厚さは5〜20nmであることがより好ましい。
電子輸送層5の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定できる。
図3に示す有機EL素子11では、発光層6は負の分極材料を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。発光層6が負の分極材料を含む場合、図3に示す有機EL素子11の発光層6は、上述した第1実施形態の有機EL素子10と同様のものとすることができる。
図3に示す有機EL素子11の発光層6が、負の分極材料を含まない場合、発光層6の材料として、従来公知の如何なる材料を用いてもよい。
例えば、発光層6としてのホスト材料として、12,12'−(6−phenyl−1,3,5−triazine−2,4−diyl)bis(11−phenyl−11,12−dihydroindolo[2,3−a]carbazole)(BPICbPTRZ)、2−biphenyl−4,6−bis(12−phenylindolo[2,3−a]carbazole−11−yl)−1,3,5−triazine(PIC−TRZ)などを用いることができる。
また、ゲスト材料としては、上述した第1実施形態の有機EL素子10と同様の材料を用いることができる。
本実施形態の有機EL素子10は、基板1上に、陰極2と、電子注入層3と、バッファ層4と、電子輸送層5と、発光層6と、正孔輸送層7と、正孔注入層8と、陽極9とをこの順に形成することにより製造できる。電子輸送層5の形成方法は、特に限定されず、従来公知の種々の形成方法を適宜用いて形成できる。
本実施形態の有機EL素子11は、基板1上に、陰極2と発光層6と陽極9とがこの順に設けられた逆構造のものである。有機EL素子11では、陰極2と発光層6との間に電子輸送層5が設けられ、電子輸送層5が、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料を含む。このため、有機EL素子11は、陰極2から発光層6への電子輸送速度が速く、電子注入性に優れ、高輝度で外部量子効率が高く、長寿命ある。したがって、本実施形態の有機EL素子11は、表示装置および照明装置の材料として好適に用いることができる。
「他の例」
本発明の有機EL素子は、上述した実施形態において説明した有機EL素子に限定されるものではない。
具体的には、上述した第1実施形態においては、基板1上に、陰極2と、電子注入層3と、バッファ層4と、発光層6と、正孔輸送層7と、正孔注入層8と、陽極9とがこの順に形成された有機EL素子10を例に挙げて説明したが、本発明の有機EL素子においては、電子注入層3、バッファ層4、正孔輸送層7、正孔注入層8は、必要に応じて形成すればよく、設けられていなくてもよい。
また、上述した第1実施形態においては、電子輸送層5が設けられていない有機EL素子10を例に挙げて説明したが、第1実施形態の有機EL素子10には、負の分極材料を含まない電子輸送層5が設けられていてもよい。この場合、電子輸送層5の材料として、従来公知の如何なる材料を用いてもよい。具体的には、第1実施形態における電子輸送層5の材料として、第2実施形態において負の分極材料とともに電子輸送層5に含まれていてもよい1種または2種以上の化合物を用いることができる。
また、陰極2、電子注入層3、バッファ層4、電子輸送層5、発光層6、正孔輸送層7、正孔注入層8、陽極9の各層は、1層で形成されているものであってもよいし、2層以上からなるものであってもよい。
また、本発明の有機EL素子は、陰極2、電子注入層3、バッファ層4、電子輸送層5、発光層6、正孔輸送層7、正孔注入層8、陽極9の各層の間に、さらに他の層を有するものであってもよい。
[表示装置]
本実施形態の表示装置は、本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子を含む。
本実施形態の表示装置は、高輝度で外部量子効率が高く、長寿命の有機EL素子を含むため優れた性能を有する。
[照明装置]
本実施形態の照明装置は、本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子を含む。
本実施形態の照明装置は、高輝度で外部量子効率が高く、長寿命の有機EL素子を含むため優れた性能を有する。
[有機薄膜太陽電池]
本実施形態の有機薄膜太陽電池は、基板上に、陰極と有機層と陽極とがこの順に設けられたものである。本実施形態の有機薄膜太陽電池では、有機層(発電層)が、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料を含む。
したがって、陰極の有機層側の界面には、電子取り出しに有利な鏡像電荷である−δの分極が形成される。その結果、有機層の電子輸送速度が速く、発電効率が高く、寿命の長い有機薄膜太陽電池となる。
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
(膜の配向分極の測定)
式(1)で表わされるBebq2からなる膜について、以下に示す方法により、膜厚に依存した表面電位を測定した。その結果を図4に示す。
(測定方法)
真空一貫で蒸着法により成膜しながら、ケルビン法を用いて膜の表面電位特性を測定した。なお、膜の配向分極は、膜中に生成したフォトキャリアを補償電荷として、不可逆的に減衰する性質を持つため、光を入れないようにして表面電位を測定した。
図4は、Bebq2の膜厚と表面電位との関係を示したグラフである。図4に示すように、Bebq2からなる膜では、5nm程度までの極薄膜を形成した段階では負の配向分極を形成する効果が見られない。しかし、Bebq2からなる膜では、膜厚が厚くなるのにしたがって、表面電位がマイナスになっていっており、成膜により負の表面電位が観測された。このことから、Bebq2は、膜の成長方向に対して、負の配向分極を形成する材料であることが確認できた。また、図4に示すように、Bebq2は、膜の厚さ方向に1つの分子のみが並んでいる第1層目を形成した段階で負の配向分極を発現するものではなく、膜の厚さ方向に複数個の分子を積層(5nm程度)することで負の配向分極を発現するものである。
以下の実施例および比較例において、有機EL素子を構成する各層の厚さは、触針式段差計(製品名「アルファステップIQ」、KLAテンコール社製)を用いて測定した。
「実施例1」
以下に示す[1]〜[5]の工程を行うことにより、図1に示す逆構造の有機EL素子10を得た。
[1]ITO電極(陰極2)付きの平均厚さ0.7mmの市販されている透明ガラスからなる基板1を用意した。ITO電極としては、幅3mmにパターニングされている厚み100nmのものを用いた。
この基板1に対し、以下に示す方法により、洗浄を行った。すなわち、基板1をアセトン中とイソプロパノール中でそれぞれ10分間超音波洗浄した。次に、基板1をイソプロパノール中で5分間煮沸して取り出し、窒素ブローにより乾燥させた。その後、UV(紫外線)オゾン洗浄を20分間行った。
[2]洗浄後の基板1を、亜鉛金属ターゲットを持つミラトロンスパッタ装置の基板ホルダーに固定した。そして、スパッタ装置内を約1×10−4Paに減圧し、アルゴンと酸素を導入した状態でスパッタ法により、陰極2上に電子注入層3である膜厚7nmの酸化亜鉛層を作成した。電子注入層3を形成する際には、電極取り出しのため、メタルマスクを用いて陰極2上の一部に電子注入層3が形成されないようにした。
次に、電子注入層3の形成された基板1に対し、大気下で400℃、1時間のアニールを行った。
[3]次に、電子注入層3上にバッファ層4として以下の膜を形成した。
まず、下記式(3)で示されるホウ素化合物と、下記式(4)で示されるジアザビシクロノネンとを1:2の質量比でシクロペンタノンに溶解し、塗料組成物を得た。次に、電子注入層3の形成された基板1をスピンコーターに設置した。そして、塗料組成物を電子注入層3上に滴下しながら、基板1を毎分3000回転で30秒間回転させて塗膜を形成した。その後、ホットプレートを用いて窒素雰囲気下で120℃、2時間のアニール処理を施した。以上の工程により、電子注入層3上に厚み20nmのバッファ層4を形成した。
Figure 2018200939
[4]バッファ層4までの各層を形成した基板1を、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。また、発光層6、正孔輸送層7、正孔注入層8、陽極9の各層に使用する以下に示す材料を、それぞれアルミナルツボに入れて蒸着源にセットした。
(各層の材料)
発光層6(ホスト材料)上記式(1)で表されるBebq2
発光層6(ゲスト材料)上記式(65−2)で表されるIr(piq)3
正孔輸送層7:下記式(5)で表されるα−NPD
正孔注入層8:下記式(6)で表されるHAT−CN
陽極9:Al
Figure 2018200939
Figure 2018200939
[5]次に、さらにBebq2からなるホスト材料とIr(piq)3からなるゲスト材料とを共蒸着し、厚み25nmの発光層6を成膜した。ゲスト材料の含有量は、発光層6全体に対して6質量%となるようにした。
次に、発光層6までの各層を形成した基板1上に、α−NPDを蒸着し、厚み40nmの正孔輸送層7を成膜した。
次に、正孔輸送層7までの各層を形成した基板1上に、HAT−CNを蒸着し、厚み10nmの正孔注入層8を成膜した。
次に、正孔注入層8までの各層を形成した基板1上に、Alを膜厚100nmになるように蒸着し、陽極9を形成した。
以上の工程により、実施例1の逆構造の有機EL素子10を得た。
なお、陽極9を蒸着する時、ステンレス製の蒸着マスクを用いて蒸着面が幅3mmの帯状になるようにした。このことにより、有機EL素子10の発光面積を9mmとした。
「比較例1」
発光層6のホスト材料として、下記式(7)で示されるTPBi(2,2‘,2“−(1,3,5−Benzinetriyl)−tris(1−phenyl−1−h−benzimidazole))を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の逆構造の有機EL素子10を得た。
TPBiは、電子輸送性の材料であり、非特許文献2に記載されているように、膜の成長方向に対して正の配向分極を形成する材料である。
Figure 2018200939
(有機EL素子の発光特性測定)
実施例1および比較例1の有機EL素子を窒素雰囲気下で封止し、0V〜10Vまでの直流電圧を印加した時の電圧と輝度との関係、電流密度と外部量子効率との関係、電流密度と電圧との関係を調べた。
ケースレー社製の「2400型ソースメーター」により、各有機EL素子への電圧印加と、電流測定を行った。また、コニカミノルタ社製の「LS−100」により、発光輝度を測定した。その結果を図5〜図7に示す。
図5は、実施例1および比較例1の有機EL素子における電圧と輝度との関係を示したグラフである。図6は、実施例1および比較例1の有機EL素子における電流密度と外部量子効率との関係を示したグラフである。図7は、実施例1および比較例1の有機EL素子における電圧と電流密度との関係を示したグラフである。
図5〜図7に示すように、ホスト材料としてBebq2を用いた実施例1の有機EL素子は、ホスト材料としてTPBiを用いた比較例1の有機EL素子と比較して、外部量子効率が高く、電圧が同じである場合に高い輝度および電流値が得られている。
(有機EL素子の寿命測定)
実施例1および比較例1の有機EL素子を、初期輝度を1000cd/mとして連続駆動し、初期輝度に達した時点からの経過時間に対する輝度の変化を測定した。輝度の変化は、初期輝度(1000cd/m)を1として評価した。その結果を図8に示す。
図8は、実施例1および比較例1の有機EL素子における初期輝度を1としたときの輝度と、初期輝度に達した時点からの経過時間との関係を示したグラフである。
図8に示すように、ホスト材料としてBebq2を用いた実施例1の有機EL素子は、ホスト材料としてTPBiを用いた比較例1の有機EL素子と比較して、初期輝度からの輝度の低下が少なく、長寿命である。
図5〜図8に示す結果は、発光層が、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料(Bebq2)を含むことにより、陰極の発光層側の界面に発光層とは反対の−δの分極が形成されて、陰極の発光層側の界面の仕事関数が下がり、電子の移動が促進されためであると推定される。
1…基板、2…陰極、3…電子注入層、4…バッファ層、5…電子輸送層、6…発光層、7…正孔輸送層、8…正孔注入層、9…陽極、10、11…有機EL素子。

Claims (8)

  1. 基板上に、陰極と発光層と陽極とがこの順に設けられ、
    前記発光層が、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 基板上に、陰極と発光層と陽極とがこの順に設けられ、
    前記陰極と前記発光層との間に電子輸送層が設けられ、前記電子輸送層が、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料が、下記一般式(1)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2018200939
  4. 前記陰極と前記発光層との間に金属酸化物からなる電子注入層を有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記陰極と前記電子輸送層との間に金属酸化物からなる電子注入層を有することを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を含むことを特徴とする表示装置。
  7. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を含むことを特徴とする照明装置。
  8. 基板上に、陰極と有機層と陽極とがこの順に設けられ、
    前記有機層が、膜の成長方向に対して負の配向分極を形成する材料を含むことを特徴とする有機薄膜太陽電池。
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