JP2014154715A - 有機電界発光素子、表示装置および有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子、表示装置および有機電界発光素子の製造方法 Download PDF

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弘彦 深川
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充 中田
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貴央 清水
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洋一 有元
Katsuyuki Morii
克行 森井
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Abstract

【課題】 電子注入層の電子移動度を良好とするとともに、その他の有用な効果を奏し得る、有機電界発光素子、表示装置、照明装置および有機電界発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 有機電界発光素子10は、透明基板1上に、ITO膜からなる第1の電極膜(陰極)2と、IGZO膜からなる電子注入層(第1の金属酸化物層)3と、バッファ層4と、発光層5と、α-npd層からなる正孔輸送層6と、三酸化モリブデン層からなる正孔注入層(第2の金属酸化物層)7と、金からなる第2の電極膜(陽極)8とを、この順に積層してなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機電界発光素子、表示装置、照明装置および有機電界発光素子の製造方法に関し、特に、フレキシブルな表示装置用や照明装置用等として好適な有機電界発光素子に関するものである。
有機電界発光素子は、陰極と陽極との間に、電子輸送層、発光層、正孔輸送層等の複数の層が積層された構造を有しており、各層を構成するのに適した材料について、研究、開発が行われている。
このうち、陰極については従来LiF等のアルカリ金属やアルミニウム等の大気中の水分や酸素の影響を受け劣化しやすい材料が用いられてきた。したがって、有機電界発光素子をディスプレイ等に応用する際には、厳密な封止が必要であり、低コスト化やフレキシブル化が困難であった。これに対して近年、下部電極表面に大気中で安定かつ仕事関数が小さい金属酸化物を成膜することで、有機層への電子注入が促進され、大気中で安定動作可能な電界発光素子(有機−無機ハイブリッド有機EL素子:Hybrid Organic Inorganic LED:HOILED)が実現できることが報告されている。
このハイブリッド有機EL素子の特徴として、<1>大気安定性が高いこと、<2>ディスプレイへの応用を考慮して、トランジスタとのコンタクト部となる下部電極を陰極としたこと、が挙げられる(通常の有機EL素子では下部電極は陽極となる:下記非特許文献1,2)参照)。
このような電子注入性酸化物半導体層を構成する金属酸化物としては、伝導バンドのエネルギー準位が高いものが好ましく、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化鉄(Fe)、酸化錫(SnO)等が使用可能なことが既に報告されており、(下記特許文献1,2参照)その中でも酸化亜鉛(ZnO)等の材料が特に注目されている。
特開2012−4492号公報 特開2007−53286号公報
APPLIED PHYSICS LETTERS Volume 89, page 183510 (2006) Advanced Materials Volume 23, page 1829 (2011)
しかしながら、現在、上述した材料以外の、種々の優れた特性を有する金属酸化物材料が求められており、特に上述した酸化亜鉛(ZnO)と同等以上の電子注入性を有し、かつ、例えば薄膜化等の効果を奏し得る新たな金属酸化物材料が強く求められている。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、電子注入層の電子移動度を良好とするとともに、その他の有用な効果も発揮し得る、有機電界発光素子、表示装置、照明装置および有機電界発光素子の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る有機電界発光素子は、
陰極である第1の電極膜と陽極である第2の電極膜との間に、複数の層を積層してなる有機電界発光素子であって、前記複数の層は、該第1の電極膜側から順に、少なくとも、電子注入機能を有する電子注入層および発光層を含む複数の層を積層してなり、
前記電子注入層は、InGaZnOを含む層であることを特徴とするものである。
なお、以下の説明では、上記「電子注入層」は第1の金属酸化物層と称する場合もあり、また、「発光層」は他の低分子化合物層とともに順次積層されることも多いので、「発光層」という用語に替えて「発光層を含む低分子化合物層」という用語を用いる場合もある。
また、前記複数の層は、前記第1の電極膜側から順に、少なくとも、電子注入機能を有する電子注入層、発光層、および正孔注入機能を有する正孔注入層であることが好ましい。
なお、以下の説明では、上記「正孔注入層」は第2の金属酸化物層と称する場合もある。
さらに具体的には、前記複数の層は、該第1の電極膜側から順に、少なくとも、電子注入機能を有する電子注入層、バッファ層、発光層、正孔輸送層、および正孔注入機能を有する正孔注入層を積層してなることが好ましい。
また、前記InGaZnOを含む層は、成膜後に所定の光が照射されることにより、電子移動度が高められた層であることが好ましい。
本発明の表示装置は、上記いずれかの有機電界発光素子を用いて形成されてなることを特徴とするものである。
また、本発明の照明装置は、上記いずれかの有機電界発光素子を用いて形成されてなることを特徴とするものである。
本発明の、有機電界発光素子の製造方法は、基板上に、陰極である第1の電極膜と陽極である第2の電極膜を、この順または逆の順で該基板側から配列形成するとともに、これら2つの電極膜の間において、該第1の電極膜側から順に、少なくとも、電子注入機能を有するInGaZnOからなる電子注入層および発光層を含む複数の層が配設されるように積層することを特徴とするものである。
また、前記積層する処理が終了した後、前記基板側または該基板とは該積層方向逆側から、前記電子注入層に所定の光を照射せしめて、前記電子注入層の電子移動度を高めることが好ましい。
また、上記有機電界発光素子の製造方法は、前記所定の光が、エキシマレーザ光、フラッシュランプ光、およびCWレーザ光のいずれかであることが好ましい。
また、「フラッシュランプ」とは、用途に応じて、直管形、螺旋形、U形、環形等の形状の、石英ガラス管あるいは高シリカガラス管等の両端に電極を封止し、例えば2〜10kPaのキセノン等の希ガスや水素ガスが封入された形態をなし、短時間だけ閃光発光を行う光源である。
本発明の有機電界発光素子、表示装置、照明装置および有機電界発光素子の製造方法によれば、陰極である第1の電極膜と陽極である第2の電極膜との間に、該第1の電極膜側から順に、少なくとも、電子注入機能を有する電子注入層および発光層を含む複数の層を積層し、この電子注入層を、InGaZnOを含む層としている。
InGaZnOは金属酸化物でありながら、酸化亜鉛などと同等以上という良好な電子注入性能を有するため、本来、電子移動度が低いため電子注入層としては適さない金属酸化物を含む層を、極めて良好な電子注入層として容易に形成することができる。
これにより、高輝度かつ高コントラストな画像表示や発光照明が容易に実現可能となる。
また、InGaZnOは一般に非晶質構造をとるため、薄膜化等の有用な効果を容易に発揮することができ、素子全体を薄型化したいという要請にも対応することが可能である。
本実施形態に係る有機電界発光素子の層構成を示す模式図である。 実施例および比較例に係る有機電界発光素子各々の駆動電圧−輝度特性を示すグラフである。 実施例および比較例に係る有機電界発光素子のEL発光スペクトル(強度)を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態に係る、有機電界発光素子およびその製造方法について図面および実施例を用いて詳細に説明する。
なお、以下において記載する本発明の個々の形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の実施形態である。また、本実施形態においては、記載の有無に拘わらず、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
本実施形態の有機電界発光素子は、基板側から、陰極である第1の電極膜と陽極である第2の電極膜とが配設形成されるとともに、これら2つの電極膜の間に、複数の層を積層されてなる有機電界発光素子であって、これら複数の層は、該第1の電極膜側から順に、少なくとも、電子注入層として機能する第1の金属酸化物層、および発光層を含む低分子化合物層を積層してなる。また、上記第1の金属酸化物層は、InGaZnO(以下、IGZO(商標登録第5451821号)と称する)を含む層として構成されている。
なお、上記複数の層は、該第1の電極膜側から順に、少なくとも、電子注入層として機能する第1の金属酸化物層、および発光層を含む低分子化合物層および正孔注入層として機能する第2の金属酸化物層を積層してなることが好ましい。
また、本実施形態の有機電界発光素子は、画素電極上に隣接して電子注入用の第1の金属酸化物層が形成された、通常とは逆の積層構造の素子であって、画素電極(陰極)と陽極との間に、第1の金属酸化物層と発光層を有し、第1の金属酸化物層と発光層との間に、必要に応じて電子輸送層を有し、発光層と陽極との間に正孔輸送層および/または正孔注入層を有する構成の素子であることが好ましい。
また本発明の有機電界発光素子は、これらの各層の間に他の層を有していてもよいが、これらの各層のみから構成される素子であってもよい。また、適宜、バッファ層を層間に挿入することが可能である。すなわち、陰極、電子注入層、必要に応じて電子輸送層(またはバッファ層)、発光層、正孔輸送層および/または正孔注入層、ならびに陽極の各層がこの順に積層された素子であることが好ましい。なお、これらの各層は、1層からなるものであってもよく、2層以上からなるものであってもよい。
上記構成の有機電界素子において、素子が電子輸送層(またはバッファ層)を有さない場合は、電子注入層と発光層とが隣接することになる。また、素子が正孔輸送層、正孔注入層のいずれか一方のみを有する場合には、当該一方の層が発光層と陽極とに隣接して積層されることになり、素子が正孔輸送層と正孔注入層の両方を有する場合には、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順にこれらの層が隣接して積層されることになる。
本実施形態の有機電界発光素子において、各層を形成する材料は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよく、これらを混合して用いてもよい。
なお、本発明において低分子材料とは、高分子材料(重合体)ではない材料を意味し、必ずしも分子量が低い有機化合物を意味するものではない。
さらに、本実施形態の有機電界発光素子において、各層を形成する有機層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、20〜100nmである。
なお、各層の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーを用いて測定することができ、また、発光層を真空蒸着法で形成する場合は水晶振動子膜厚計を用いて製膜時に測定することができる。
以下、上記実施形態の各構成について順次説明する。
なお、このIGZOは、通常、非晶質とされている。
本実施形態の有機電界発光素子において、電子注入層の上に発光層を含む低分子化合物層を積層させる構成とした場合、この電子注入層に接する低分子化合物層の結晶化が起こることによってリーク電流が増大して電流効率が低下し、顕著な場合では結晶化により均一な面発光が得られないという不具合が発生するおそれがある。有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子において、低分子化合物層が結晶化する原因は以下のように考えられる。
有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子では、ガラス等の基板上に配置された第1の電極膜と、第1の金属酸化物層が存在し、その上に発光層を含む低分子化合物層を成膜することになる。ここで、従来の方法によれば第1の金属酸化物層はスプレー熱分解法、ゾル・ゲル法、スパッタ法等の方法で成膜され、表面は平滑ではなく凹凸を有する。この第1の金属酸化物層の上に、真空蒸着等の方法で発光層を含む低分子化合物層を成膜した場合、第1の金属酸化物層の表面の凹凸が結晶核となり、第1の金属酸化物層に接する低分子化合物層の結晶化が促進される。このため、有機電界発光素子を完成させたとしても、大きなリーク電流が流れ、発光面が不均一化して、実用に耐える素子は得られないことになる。
一方で、第1の電極膜上に第1の金属酸化物層を有さない、いわゆる通常構造の有機電界発光素子においては、第1の電極膜表面が十分平滑に研磨されたものが入手可能であり、たとえ第1の電極膜表面上に発光層を含む低分子化合物層を直接成膜したとしても、結晶化という問題は起こりにくい。したがって、このような結晶化は、有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子に特有の課題であり、発光層のホストとして低分子化合物を用いる場合に新たに生じる課題である。
この課題に対し、第1の金属酸化物層である電子注入層(IGZO膜)と発光層を含む低分子化合物層との間に有機化合物を含む溶液を塗布することで形成される平均厚さが5〜100nmのバッファ層を設けると、低分子化合物層における低分子化合物の結晶化が抑制され、これによって、有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子が発光層等として低分子化合物から形成される層を有する場合でもリーク電流の抑制と、均一な面発光を得ることができることになる。
本実施形態の有機電界発光素子は、バッファ層上に積層された発光層を含む低分子化合物層を含むが、発光層を含む低分子化合物層とは、低分子化合物によって形成される1つの層または低分子化合物によって形成される複数の層が積層されたものであって、その中の1つの層が発光層であるものである。すなわち、発光層を含む低分子化合物層とは、低分子化合物によって形成される発光層、または、低分子化合物によって形成される発光層と低分子化合物によって形成されるその他の層とが積層されたもの、のいずれかである。低分子化合物によって形成されるその他の層は、1層であってもよいし2層以上であってもよい。また、発光層とその他の層の積層される順番は特に制限されない。
上記低分子化合物によって形成されるその他の層は、正孔輸送層または電子輸送層であることが好ましい。すなわち、低分子化合物層が複数の層からなるものである場合、発光層以外のその他の層として、正孔輸送層および/または電子輸送層を有することが好ましい。このように、有機電界発光素子が、発光層とは異なる独立した層として正孔輸送層および/または電子輸送層を有することは、本実施形態の有機電界発光素子の好適な実施形態の1つである。
本実施形態の有機電界発光素子が正孔輸送層を独立した層として有する場合、発光層と第2の金属酸化物層との間に正孔輸送層を有することが好ましい。本実施形態の有機電界発光素子が電子輸送層を独立した層として有し、さらに上述したバッファ層も有する場合、有機化合物から形成されるバッファ層と発光層との間に電子輸送層を有することが好ましい。
本実施形態の有機電界発光素子が独立した層として正孔輸送層や電子輸送層を有さない場合、本実施形態の有機電界発光素子の必須の構成として有する層のいずれかが、これらの層の機能を兼ねることになる。
本実施形態の有機電界発光素子の好ましい形態の1つは、例えば、図1に示すように、透明基板1上に、ITO膜からなる第1の電極膜(陰極)2と、IGZO膜からなる電子注入層(第1の金属酸化物層)3と、バッファ層4と、発光層5と、α-npd層からなる正孔輸送層6と、三酸化モリブデン層からなる正孔注入層(第2の金属酸化物層)7と、金からなる第2の電極膜(陽極)8とを、この順に積層してなる。
また、有機電界発光素子の独立した各層が、例えば、第1の電極膜(陰極)2と、IGZO膜からなる電子注入層(第1の金属酸化物層)3と、バッファ層4と、発光層5と、三酸化モリブデン層からなる正孔注入層(第2の金属酸化物層)7と、金からなる第2の電極膜(陽極)8とからなり、これらの層のいずれかが正孔輸送層および電子輸送層の機能を兼ねる形態もまた、本実施形態の有機電界発光素子の好ましい形態の1つである。
本実施形態の有機電界発光素子において、第1の電極膜を構成する材料としては、ITO(インジウム酸化錫)、IZO(インジウム酸化亜鉛)、FTO(フッ素酸化錫)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物等が挙げられる。この中でも、ITO、IZO、FTOが好ましい。
第2の電極膜を構成する材料としては、Au、Pt、Ag、Cu、Alまたはこれらを含む合金等が挙げられる。この中でも、Au、Ag、Alが好ましい。
上記第1の電極膜の平均厚さは、特に制限されないが、所定の光がフラッシュランプの場合、例えば10〜500nmであることが好ましい。より好ましくは、100〜200nmである。
上記第2の電極膜の平均厚さは、特に限定されないが、所定の光がフラッシュランプの場合、例えば10〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、30〜150nmである。また、照射光に不透明な材料を用いる場合でも、例えば平均厚さを10〜30nm程度にすることで、トップエミッション型および透明型の陽極として使用することができる。
第2の電極膜の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
上記第1の金属酸化物層は、電子注入層として機能し、第2の金属酸化物層は、正孔注入層として機能する層である。
本実施形態の主要ポイントは、第1の金属酸化物層として、IGZO(酸化インジウムガリウム亜鉛(InGaZnO))を用いたことにある。すなわち、ITOからなる電極(陰極、第1の電極膜)を備えた有機電界発光素子においては、ITOからの電子注入があまり起こらず、高輝度とするためには高い駆動電圧が必要である。これに対し、本実施形態の有機電界発光素子のように、電極(陰極、第1の電極膜)の表面にIGZOを含む電子注入層(IGZOからなる電子注入層を含む:以下同じ)を成膜した場合には、低い駆動電圧で高い輝度が得られる。これは、ITOの仕事関数は約5eVであり電子注入に不適切であるのに対し、IGZOの伝導バンドのエネルギー準位は約4.3eVであり、酸化亜鉛等の電子注入性金属酸化物層と比べても、IGZOの電子注入力は同等以上に高いものである。
上記第2の金属酸化物層としては、特に制限されないが、酸化バナジウム(V)、三酸化モリブデン(酸化モリブデン:MoO)、酸化ルテニウム(RuO)等のうち、1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、酸化バナジウムまたは酸化モリブデンを主成分とするものが好ましい。第2の金属酸化物層は、酸化バナジウムまたは酸化モリブデンを主成分とするものにより構成されると、第2の金属酸化物層が第2の電極膜から正孔を注入して発光層または正孔輸送層へ輸送するという正孔注入層としての機能により優れたものとなる。また、酸化バナジウムまたは酸化モリブデンは、それ自体の正孔輸送性が高いため、第2の電極膜から発光層または正孔輸送層への正孔の注入効率が低下するのを好適に防止することもできるという利点がある。
上記第1の金属酸化物層(IGZO)の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、2〜100nmである。
上記第2の金属酸化物層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、5〜50nmである。
なお、第1の金属酸化物層の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
また、第2の金属酸化物層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
発光層の材料としては、発光層の材料として通常用いることができるいずれの低分子化合物も用いることができ、これらを混合して用いてもよい。
低分子系のものとしては、配位子に2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸を持つ3配位のイリジウム錯体、ファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))、8−ヒドロキシキノリン アルミニウム(Alq)、トリス(4−メチル−8キノリノレート)アルミニウム(III)(Almq)、8−ヒドロキシキノリン 亜鉛(Znq)、(1,10−フェナントロリン)−トリス−(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−ブタン−1,3−ジオネート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)(phen))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン プラチナム(II)のような各種金属錯体;ジスチリルベンゼン(DSB)、ジアミノジスチリルベンゼン(DADSB)のようなベンゼン系化合物、ナフタレン、ナイルレッドのようなナフタレン系化合物、フェナントレンのようなフェナントレン系化合物、クリセン、6−ニトロクリセンのようなクリセン系化合物、ペリレン、N,N’−ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)−3,4,9,10−ペリレン−ジ−カルボキシイミド(BPPC)のようなペリレン系化合物、コロネンのようなコロネン系化合物、アントラセン、ビススチリルアントラセンのようなアントラセン系化合物、ピレンのようなピレン系化合物、4−(ジ−シアノメチレン)−2−メチル−6−(パラ−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)のようなピラン系化合物、アクリジンのようなアクリジン系化合物、スチルベンのようなスチルベン系化合物、4,4’−ビス[9−ジカルバゾリル]−2,2’−ビフェニル(CBP)のようなカルバゾール系化合物、2,5−ジベンゾオキサゾールチオフェンのようなチオフェン系化合物、ベンゾオキサゾールのようなベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾイミダゾールのようなベンゾイミダゾール系化合物、2,2’−(パラ−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾールのようなベンゾチアゾール系化合物、ビスチリル(1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン)、テトラフェニルブタジエンのようなブタジエン系化合物、ナフタルイミドのようなナフタルイミド系化合物、クマリンのようなクマリン系化合物、ペリノンのようなペリノン系化合物、オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物、アルダジン系化合物、1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シクロペンタジエン(PPCP)のようなシクロペンタジエン系化合物、キナクリドン、キナクリドンレッドのようなキナクリドン系化合物、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジンのようなピリジン系化合物、2,2’,7,7’−テトラフェニル−9,9’−スピロビフルオレンのようなスピロ化合物、フタロシアニン(HPc)、銅フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物、さらには特開2009−155325号および特願2010−28273号に記載のホウ素化合物材料等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
上記発光層は、ドーパントを含んでいてもよい。ドーパントとしては、ドーパントとして通常用いることができるいずれの化合物も用いることができる。ドーパントとして用いることができる化合物の例としては、イリジウム トリス(1−フェニルイソキノリン)(Ir(piq))、イリジウム トリス(2−フェニルピリジン)(Ir(ppy))、イリジウム トリス[2−(トリル)ピリジン](Ir(mppy))、イリジウム ビス(2−メチルジベンゾ−[f,h]キノキサリン)(アセチルアセトナート)(Ir(MDQ)(acac))等のイリジウム化合物;4、4’−ビス(9−エチルー3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)等の低分子有機化合物等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
上記発光層がドーパントを含む場合、ドーパントの含有量は、発光層を形成する材料100質量%に対して、0.5〜20質量%であることが好ましい。このような含有量であると、発光特性をより良好なものとすることができる。より好ましくは、0.5〜10質量%であり、さらに好ましくは、1〜6質量%である。
本実施形態の有機電界発光素子の発光層は、上記のものの中でも、リン光発光材料を含むものであることが好ましい。発光層がリン光材料発光を含むことで、有機電界発光素子がより発光効率に優れたものとなる。
発光層がリン光発光材料を含む場合、ホスト材料にゲスト材料(ドーパント)としてリン光発光材料を含ませた材料により発光層が形成されることが好ましい。発光層がこのような材料で形成されるものである場合、発光層を形成する材料に対するリン光発光材料の含有量は、上記発光層がドーパントを含む場合の発光層を形成する材料に対するドーパントの含有量と同様であることが好ましい。
上記リン光発光材料としては、リン光発光材料としては、下記式(1)、(2)のいずれかで表される化合物を好適に用いることができる。
Figure 2014154715
(式(1)中、点線の円弧は、酸素原子と3つの炭素原子とで構成された骨格部分の一部とともに環構造が形成されていることを表し、窒素原子を含んで形成される環構造は、複素環構造である。X、X’’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、または環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。X、X’’は、結合して点線の円弧で表される2つの環構造の一部とともに新たな環構造を形成してもよい。窒素原子と3つの炭素原子とで構成された骨格部分における点線は、点線で結ばれる2つの原子が単結合または二重結合で結合していることを表す。M’は、金属原子を表す。窒素原子からM’への矢印は、窒素原子がM’原子へ配位していることを表す。nは、金属原子M’の価数を表す。)
Figure 2014154715
(式(2)中、点線の円弧は、酸素原子と3つの炭素原子とで構成された骨格部分の一部とともに環構造が形成されていることを表し、窒素原子を含んで形成される環構造は、複素環構造である。X、X’’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、または環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。X、X’’は、結合して点線の円弧で表される2つの環構造の一部とともに新たな環構造を形成してもよい。窒素原子と3つの炭素原子とで構成された骨格部分における点線は、点線で結ばれる2つの原子が単結合または二重結合で結合していることを表す。M’は、金属原子を表す。窒素原子からM’への矢印は、窒素原子がM’原子へ配位していることを表す。nは、金属原子M’の価数を表す。XとXとを結ぶ実線の円弧は、XとXとが少なくとも1つの他の原子を介して結合していることを表し、XとXとともに環構造を形成していてもよい。X、Xは、同一であっても異なっていてもよく、酸素原子、窒素原子、炭素原子のいずれかを表す。XからM’への矢印は、XがM’原子へ配位していることを表す。m’は、1〜3の数である。)
上記式(1)および式(2)における点線の円弧で表される環構造としては、炭素数2〜20の芳香環や複素環が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香族炭化水素環;ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾオキソール環、ベンゾイミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、およびフェナントリジン環、チオフェン環、フラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環等の複素環が挙げられる。
上記式(1)および式(2)においてX、X’’で表される環構造が有する置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアラルキル基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルケニル基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアリール基、アリールアミノ基、シアノ基、アミノ基、アシル基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のジアルキルアミノ基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアラルキルアミノ基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、カルバゾール基等が挙げられる。
上記式(1)および式(2)において、M’で表される金属原子としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金および金が挙げられる。
上記ホスト材料としては、下記式(3);
Figure 2014154715
(上記式(3)中、点線の円弧は、酸素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部とともに環構造が形成されていることを表し、Zと窒素原子とを含んで形成される環構造は、複素環構造である。X、X’’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、または環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。X、X’’は、結合して点線の円弧で表される2つの環構造の一部とともに新たな環構造を形成してもよい。酸素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線は、点線で結ばれる2つの原子が単結合または二重結合で結合していることを表す。Mは、金属原子を表す。Zは、炭素原子または窒素原子を表す。窒素原子からMへの矢印は、窒素原子がM原子へ配位していることを表す。Rは、1価の置換基または2価の連結基を表す。mはRの数を表し、0または1の数である。nは、金属原子Mの価数を表す。rは、1または2の数である。)で表される金属錯体、
下記式(4);
Figure 2014154715
(式(4)中、X、X’’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、または、キノリン環構造の置換基となる1価の置換基を表し、キノリン環構造に複数個結合していてもよい。Mは、金属原子を表す。窒素原子からMへの矢印は、窒素原子がM原子へ配位していることを表す。Rは、1価の置換基または2価の連結基を表す。mはRの数を表し、0または1の数である。nは、金属原子Mの価数を表す。rは、1または2の数である。)で表される金属錯体、
下記式(5);
Figure 2014154715
(上記式(5)中、点線の円弧は、酸素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部とともに環構造が形成されていることを表し、Zと窒素原子とを含んで形成される環構造は、複素環構造である。X、X’’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、または、環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。X、X’’は、結合して点線の円弧で表される2つの環構造の一部とともに新たな環構造を形成してもよい。酸素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線は、点線で結ばれる2つの原子が単結合または二重結合で結合していることを表す。Mは、金属原子を表す。Zは、炭素原子または窒素原子を表す。窒素原子からMへの矢印は、窒素原子がM原子へ配位していることを表す。nは、金属原子Mの価数を表す。XとXとを結ぶ実線の円弧は、XとXとが少なくとも1つの他の原子を介して結合していることを表し、XとXとともに環構造を形成していてもよい。また少なくとも1つの他の原子を介したXとXとの結合の中に配位結合を含んでいてもよい。X、Xは、同一であっても異なっていてもよく、酸素原子、窒素原子、炭素原子のいずれかを表す。XからMへの矢印は、XがM原子へ配位していることを表す。m’は、1〜3の数である。)で表される金属錯体が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
上記式(3)において、rが1である場合、M原子を構造中に1つ有する下記式(6−1)で表される金属錯体となり、rが2である場合、M原子を構造中に2つ有する下記式(6−2)で表される金属錯体となる。
Figure 2014154715
上記式(3)、式(5)において点線の円弧で表される環構造としては、1つの環からなる環構造であってもよく、2つ以上の環からなる環構造であってもよい。このような環構造としては、炭素数2〜20の芳香環や複素環が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香環;ジアゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ジアジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾトリアゾール環等の複素環が挙げられる。
これらの中でも、ベンゼン環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾトリアゾール環が好ましい。
上記式(3)〜(5)においてX、X’’で表される環構造が有する置換基としては、上記式(1)、式(2)においてX、X’’で表される環構造が有する置換基と同様のものが挙げられる。
上記式(3)〜(5)において、Mで表される金属原子としては、周期表の第1〜3族、9族、10族、12族または13族の金属原子が好ましく、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、白金、ロジウム、イリジウム、ベリリウム、マグネシウムのいずれかが好ましい。
上記式(3)、式(4)においてRが1価の置換基である場合、1価の置換基は、下記式(7−1)〜(7−3)のいずれかであることが好ましい。
Figure 2014154715
(上記式(7)中、Ar〜Arは、置換基を有していてもよい芳香環、複素環、若しくは、芳香環または複素環が2つ以上直接に結合した構造を表し、Ar〜Arは、同一の構造であっても異なる構造であってもよい。Qは、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を表す。)
Ar〜Arの芳香環または複素環の具体例としては、上記式(3)において点線の円弧で表される環構造の芳香環または複素環の具体例と同様のものを挙げることができ、芳香環または複素環が2つ以上直接に結合した構造としては、これら芳香環または複素環の具体例として挙げられた環構造が2つ以上直接に結合した構造が挙げられる。なおこの場合、直接に結合する2つ以上の芳香環や複素環は同一の環構造であってもよく、異なる環構造であってもよい。
芳香環または複素環の置換基の具体例としては、上記式(3)において点線の円弧で表される環構造の芳香環または複素環の置換基の具体例と同様のものを挙げることができる。
上記式(3)、式(4)においてRが2価の連結基である場合、Rは−O−、−CO−いずれかであることが好ましい。
上記式(5)において、Xと、Xと、XおよびXを結ぶ実線の円弧とで形成される構造は、環構造を1つまたは複数含んでいてもよい。環構造は、X、Xを含んで形成されていてもよく、その場合の環構造としては、上記式(3)、式(5)において点線の円弧で表される環構造と同様のものや、ピラゾール環が挙げられる。好ましくは、X、Xを含んでピラゾール環が形成された構造である。
上記式(5)において、XとXとを結ぶ実線の円弧は、炭素原子のみからなるものであってもよく、他の原子を含んでいてもよい。他の原子としては、ホウ素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
またXとXとを結ぶ実線の円弧は、X、Xを含んで形成される環構造以外の環構造を1つまたは2つ以上含んでいてもよく、その場合の環構造としては、上記式(3)、式(5)において点線の円弧で表される環構造と同様のものや、ピラゾール環が挙げられる。
上記式(5)で表される具体的な構造としては、下記式(8)の構造等が挙げられる。
Figure 2014154715
(上記式(8)中、R〜Rは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子または1価の置換基を表す。窒素原子からMへの矢印および酸素原子からMへの矢印は、窒素原子、酸素原子がM原子へ配位していることを表す。点線の円弧、酸素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線、X、X’’、M、Z、n、m’は、式(5)と同様である。)
上記式(8)のR〜Rの1価の置換基としては、上記式(1)、(2)においてX、X’’で表される環構造が有する置換基と同様のものが挙げられる。
上記発光層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、20〜100nmである。
発光層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
上記正孔輸送層の材料としては、正孔輸送層の材料として通常用いることができるいずれの低分子化合物も用いることができ、これらを混合して用いてもよい。
低分子化合物としては、1,1−ビス(4−ジ−パラ−トリルアミノフェニル)シクロへキサン、1,1’−ビス(4−ジ−パラ−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサンのようなアリールシクロアルカン系化合物、4,4’,4’’−トリメチルトリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD1)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−メトキシフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD3)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、TPTEのようなアリールアミン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(パラ−トリル)−パラ−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(メタ−トリル)−メタ−フェニレンジアミン(PDA)のようなフェニレンジアミン系化合物、カルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−フェニルカルバゾールのようなカルバゾール系化合物、スチルベン、4−ジ−パラ−トリルアミノスチルベンのようなスチルベン系化合物、OxZのようなオキサゾール系化合物、トリフェニルメタン、m−MTDATAのようなトリフェニルメタン系化合物、1−フェニル−3−(パラ−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンのようなピラゾリン系化合物、ベンジン(シクロヘキサジエン)系化合物、トリアゾールのようなトリアゾール系化合物、イミダゾールのようなイミダゾール系化合物、1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジ(4−ジメチルアミノフェニル)−1,3,4,−オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物、アントラセン、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンのようなアントラセン系化合物、フルオレノン、2,4,7,−トリニトロ−9−フルオレノン、2,7−ビス(2−ヒドロキシ−3−(2−クロロフェニルカルバモイル)−1−ナフチルアゾ)フルオレノンのようなフルオレノン系化合物、ポリアニリンのようなアニリン系化合物、シラン系化合物、1,4−ジチオケト−3,6−ジフェニル−ピロロ−(3,4−c)ピロロピロールのようなピロール系化合物、フルオレンのようなフルオレン系化合物、ポルフィリン、金属テトラフェニルポルフィリンのようなポルフィリン系化合物、キナクリドンのようなキナクリドン系化合物、フタロシアニン、銅フタロシアニン、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン、鉄フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物、銅ナフタロシアニン、バナジルナフタロシアニン、モノクロロガリウムナフタロシアニンのような金属または無金属のナフタロシアニン系化合物、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジンのようなベンジジン系化合物等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
これらの中でも、α−NPD、TPTEのようなアリールアミン系化合物が好ましい。
本実施形態の有機電界発光素子が独立した層として正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、40〜100nmである。
正孔輸送層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
上記電子輸送層の材料としては、電子輸送層の材料として通常用いることができるいずれの低分子化合物も用いることができ、これらを混合して用いてもよい。
電子輸送層の材料として用いることができる低分子化合物の例としては、後述する式(15)で表されるホウ素含有化合物の他、トリス−1,3,5−(3’−(ピリジン−3’’−イル)フェニル)ベンゼン(TmPyPhB)のようなピリジン誘導体、(2−(3−(9−カルバゾリル)フェニル)キノリン(mCQ))のようなキノリン誘導体、2−フェニル−4,6−ビス(3,5−ジピリジルフェニル)ピリミジン(BPyPPM)のようなピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、バソフェナントロリン(BPhen)のようなフェナントロリン誘導体、2,4−ビス(4−ビフェニル)−6−(4’−(2−ピリジニル)−4−ビフェニル)−[1,3,5]トリアジン(MPT)のようなトリアジン誘導体、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)のようなトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾール)(PBD)のようなオキサジアゾール誘導体、2,2’,2’’−(1,3,5−ベントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)(TPBI)のようなイミダゾール誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ))、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)等に代表される各種金属錯体、2,5−ビス(6’−(2’,2’’−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール誘導体に代表される有機シラン誘導体等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
これらの中でも、Alqのような金属錯体、TmPyPhBのようなピリジン誘導体が好ましい。
本実施形態の有機電界発光素子が独立した層として電子輸送層を有する場合、電子輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、40〜100nmである。
電子輸送層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
本実施形態の有機電界発光素子において、第1、第2の電極膜、第1、第2の金属酸化物層、発光層、バッファ層、正孔輸送層、電子輸送層、あるいはこれらのうちのいくつかの層を兼用する層を形成する方法は特に制限されず、気相成膜法であるプラズマCVD、熱CVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射法、そして液相成膜法である電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、ゾル・ゲル法、MOD法、スプレー熱分解法、微粒子分散液を用いたドクターブレード法、スピンコート法、インクジェット法、スクリーンプリンティング法等の印刷技術等を用いることができ、材料に応じた適切な方法を選択して用いることができる。
本実施形態の有機電界発光素子に含まれるバッファ層は、上述のとおり、有機化合物を含む溶液を塗布することで形成される層であることが好ましい。塗布により所定の厚みのバッファ層を形成することでバッファ層上に成膜する低分子化合物の結晶化を効果的に抑制することが可能となる。
上記有機化合物を含む溶液を塗布する方法は特に制限されず、スピンコート法、キャスティング法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の各種塗布方法を用いることができる。この中でも、スピンコート法が好ましい。
バッファ層を塗布成膜することで、第1の金属酸化物層表面に存在する凹凸が平滑化されるため、次にバッファ層上に成膜する低分子化合物の結晶化が抑制される。
上記有機化合物を含む溶液を調製するために使用する溶媒としては、有機化合物を溶解することができるものである限り特に制限されないが、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等の1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、THF、トルエン、クロロホルム、ジクロロエタンが好ましい。
上記有機化合物を含む溶液は、溶媒中の有機化合物の濃度が0.05〜10質量%であることが好ましい。このような濃度であると、塗布した時の塗りムラや凹凸の発生を抑えることができる。溶媒中の有機化合物の濃度はより好ましくは、0.1〜5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜3質量%である。
上記バッファ層は、平均厚さが5〜100nmであることが好ましい。平均厚さがこのような範囲であることで、発光層を含む低分子化合物層の結晶化を抑制する効果を充分に発揮することができる。バッファ層の平均厚さが5nmより薄いと、第1の金属酸化物表面に存在する凹凸を十分に平滑化できず、リーク電流が大きくなってバッファ層を形成することの効果を充分に発揮することができないおそれがある。また、バッファ層の平均厚さが100nmより厚いと、駆動電圧が上昇し実用上好ましくない。また、有機化合物として、後述する本実施形態における好ましい構造の化合物を用いた場合には、バッファ層は電子輸送層としての機能も充分に発揮することができる。上記バッファ層の平均厚さは、より好ましくは、10〜60nmである。
本実施形態の有機電界発光素子は、基板上に有機電界発光素子を構成する各層が積層されたものであってもよい。基板上に各層が積層されたものである場合、基板上に形成された第1の電極膜上に、各層が形成されたものであることが好ましい。この場合、本実施形態の有機電界発光素子は、基板がある側とは反対側に光を取り出すトップエミッション型のものであってもよく、基板がある側に光を取り出すボトムエミッション型のものであってもよい。
上記基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような透明樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
また、トップエミッション型の場合には、不透明基板も用いることができ、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等も用いることができる。
上記基板の平均厚さは、0.1〜30mmであることが好ましい。より好ましくは、0.1〜10mmである。
基板の平均厚さはデジタルマルチメーター、ノギスにより測定することができる。
本実施形態の有機電界発光素子において、バッファ層を形成する有機化合物は、塗布により有機化合物の層の形成が可能なものであれば特に制限されないが、有機化合物の例としては、トランス型ポリアセチレン、シス型ポリアセチレン、ポリ(ジ−フェニルアセチレン)(PDPA)、ポリ(アルキル,フェニルアセチレン)(PAPA)のようなポリアセチレン系化合物;ポリ(パラ−フェンビニレン)(PPV)、ポリ(2,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレンビニレン)(RO−PPV)、シアノ−置換−ポリ(パラ−フェンビニレン)(CN−PPV)、ポリ(2−ジメチルオクチルシリル−パラ−フェニレンビニレン)(DMOS−PPV)、ポリ(2−メトキシ,5−(2’−エチルヘキソキシ)−パラ−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)のようなポリパラフェニレンビニレン系化合物;ポリ(3−アルキルチオフェン)(PAT)、ポリ(オキシプロピレン)トリオール(POPT)のようなポリチオフェン系化合物;ポリ(9,9−ジオクチルフルオレンのようなポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)、ポリ(ジオクチルフルオレン−アルト−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)、α,ω−ビス[N,N’−ジ(メチルフェニル)アミノフェニル]−ポリ[9,9−ビス(2−エチルヘキシル)フルオレン−2,7−ジル](PF2/6am4)、ポリ(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニル−オルト−コ(アントラセン−9,10−ジイル)のようなポリフルオレン系化合物;ポリ(パラ−フェニレン)(PPP)、ポリ(1,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレン)(RO−PPP)のようなポリパラフェニレン系化合物;ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)のようなポリカルバゾール系化合物;ポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS)、ポリ(ナフチルフェニルシラン)(PNPS)、ポリ(ビフェニリルフェニルシラン)(PBPS)のようなポリシラン系化合物や、ホウ素含有化合物等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
このように、本実施形態の有機電界発光素子によれば、従来の、いわゆる有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子に比べて発光効率、発光寿命等の発光特性に優れるものである。この有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子は、有機電界発光素子を構成する各層が全て有機物で構成された有機電界発光素子のように各層を厳密に密閉する必要性が低減されたものである等の製造上の利点を有しており、このような利点と、優れた発光特性とを有する本実施形態の有機電界発光素子は、表示装置や照明装置の材料等として好適に用いることができる。
また、電子注入層をIGZOを含む層により形成しており、良好な電子移動度を有する電子注入層として機能させることができ、高輝度かつ高コントラストな表示あるいは高輝度な照明を実現することができる。また、IGZOは通常非晶質の状態とされているから、通常、結晶化されている酸化亜鉛(ZnO)等と比べて薄膜化や軽量化することが容易であり、これにより薄型およびコンパクトな有機電界発光素子を形成することができる。
なお、本実施形態においては、積層された素子構造体において、基板(ガラス基板やPET等の透明な樹脂基板)側からIGZO膜である電子注入層に向かって所定の光を照射してもよい。
この場合に上記所定の光は、照射された領域において、光エネルギーによる直接的な作用効果と、光照射に伴う温度上昇効果によって酸素を欠損させ、自由電子を増加させることができる光であればフラッシュランプ光やエキシマレーザに限られるものではなく、他の光とすることも可能である。例えばArレーザ等の気体レーザでも、YAGレーザ等の固体レーザでもよく、さらに、CWレーザ等の連続光を用いることも可能である。
ここでは、代表例として、フラッシュランプ光とエキシマレーザ光を用いた場合について説明する。
まず、フラッシュランプ光について説明すると、フラッシュランプ光が照射されたIGZO膜(図1に示す電子注入層3に相当:以下の実施形態において同じ)の領域は、光エネルギーによる直接的な作用効果と、光照射に伴う温度上昇効果が付与されることによって酸素が欠損し自由電子が増加することから、フラッシュランプ光が照射されない領域と比較して低い抵抗をもつ領域となる。
なお、フラッシュランプとは、用途に応じて、直管形、螺旋形、U形、環形等の形状の、石英ガラス管あるいは高シリカガラス管等の両端に電極を封止し、例えば2〜10kPaのキセノン等の希ガスや水素ガスが封入された形態をなし、短時間だけ閃光発光を行う光源である。
ここで、上記フラッシュランプ1パルスあたりのエネルギー密度(照射強度)は、その照射により、IGZO膜中の酸素の結合が解かれ、酸素原子が欠損し、自由電子が増加するエネルギー密度とする必要がある。これにより、この領域の抵抗値が低下する。その一方、上記1パルスあたりのエネルギー密度(照射強度)は、その照射により、基板(図1に示す透明基板1に相当:以下の実施形態において同じ)の収縮や反り、あるいはこの基板からの層の剥離が発生しないような密度(強度)とする必要がある。このような観点から、フラッシュランプ光の1パルスあたりのエネルギー密度(照射強度)は、0.01〜500J/cm2であることが好ましい。
また、1パルスあたりの幅(発光時間)についても、上記エネルギー密度(照射強度)で説明した理由と同様の理由から、例えば、0.001〜100msecに設定することが好ましい。
さらに、フラッシュランプ光の波長が、上記エネルギー密度(照射強度)で説明した理由と同様の理由から、200〜1500nmの範囲内における波長を含むことが好ましい。
なお、上記フラッシュランプ光はIGZO膜における吸収率が高くなる波長を含むことが好ましい。
次に、上記実施形態において、照射光としてフラッシュランプ光に替えてエキシマレーザ光を用いた場合について簡単に説明する。
エキシマレーザとしては、XeClエキシマレーザの他、KrFレーザ、ArFレーザ、XeFレーザ、KrClレーザ、ArClレーザ等を用いることも可能である。
なお、基本的な積層構造は上記フラッシュランプ光を照射されるものと変わらないが、例えば、各層の適切な膜厚は相違する場合がある。
また、エキシマレーザ光の1パルスあたりのエネルギー密度(照射強度)は、例えば1〜1000mJ/cm2とすることが好ましく、1パルスあたりの幅(発光時間)についても、例えば、1〜1000nsecに設定することが好ましく、さらに、エキシマレーザ光の波長は、例えば400nm以下の範囲内における波長を含むことが好ましい。
また、上記照射光は、IGZO膜には作用するが、この基板にできるだけ損傷を与えないようなものである必要がある。そのような意味からも間欠的にエネルギーを付与し得る、フラッシュ光やエキシマレーザ光等のパルス光を選択することが好ましい。
本実施形態の有機電界発光素子は、前述したように、電子注入層がIGZO膜を含む(IGZO膜からなるものを含む)ものであり、成膜後に所定の光を照射したものである。このような、所定の光が照射されたIGZO膜を電子注入層に用いることで、有機電界発光素子を高輝度かつ高コントラストな、発光特性に優れたものとすることができ、また、素子の薄型化が容易なものとすることができる。
また、本実施形態に係る表示装置や照明装置は、有機電界発光素子を複数配列し、この素子配列群を用いて画像の表示や、面発光を行うものであり、その特徴は有機電界発光素子として上記実施形態に係る有機電界発光素子を用いたことにある。これにより、高輝度かつ高コントラストの画像表示が可能となり、また、高輝度の光源として機能させることが可能となる。
以下、本発明に係る有機電界発光素子および有機電界発光素子の製造方法について、具体的な実施例を用いてさらに説明する。
<有機電界発光素子の実施例>
本実施例に係る有機電界発光素子は、上述した図1に示す構成とされている。
すなわち、この有機電界発光素子10は、ガラスからなる透明基板1上に陰極であるITO電極膜2と、IGZOからなる電子注入層3と、バッファ層4と、有機層からなる発光層5と、正孔輸送層6と、三酸化モリブデンからなる正孔注入層7と、陽極である金の電極膜8とから構成されている。
<有機電界発光素子の製造方法に係る実施例および比較例>
以下の実施例および比較例において、有機電界発光素子を構成する各層の平均厚さは触針式段差計(製品名「アルファステップIQ」、KLAテンコール社製)を用いて測定した。
(実施例)
[1]市販されている平均厚さ0.7mmのITO電極膜2付き透明ガラス基板(以下、単に基板とも称する)1を用意し、この基板1を、ITOターゲットを有するミラートロンスパッタ装置のチャンバー内の基板ホルダーに固定した。この時、基板1上のITO電極膜2は幅3mmにパターニングできるよう、メタルマスクを併設した。チャンバー内を約1×10−4Paまで減圧した後、アルゴンと酸素を導入した状態でスパッタリング処理を実行した。これにより、膜厚が90nmであるITO電極膜2を形成した。
[2]次に、この基板1を、メタルマスクを併設したままIGZOターゲットを有するマグネトロンスパッタ装置のチャンバー内の基板ホルダーに固定した。チャンバー内を約1×10−4Paまで減圧した後、アルゴンと酸素を導入した状態でIGZOをITOと同様のパターンでスパッタリング処理を実行した。これにより、膜厚が10nmである電子注入層(IGZO膜)3を形成した。その後、アセトン中、およびイソプロパノール中でそれぞれ10分間超音波洗浄し、さらにイソプロパノール中で5分間煮沸した。このような処理に供した基板1をイソプロパノール中から取り出し、窒素ブローにより乾燥させ、UVオゾン洗浄を20分間行った。
[3]次に、ホウ素含有化合物2,7−ビス(3−ジベンゾボロリル−4−ピリジルフェニル)−9,9’−スピロフルオレン(下記式(9)を参照のこと)の1.0%、(4−(1,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フェニル)ジメチルアミン(N−DMBI)の0.01%の1,2−ジクロロエタン混合溶液を作成した。工程[2]で作成した基板1をスピンコーターにセットした。この基板1上に化1、N−DMBI混合溶液を滴下し、毎分2000回転で30秒間回転させ、ホウ素含有有機化合物を含むバッファ層4を形成した。さらに、これを窒素雰囲気中で100℃にセットしたホットプレートにより1時間のアニール処理を行った。これにより、平均膜厚が60nmであるバッファ層4を形成した。
[4]次に、バッファ層4まで形成した基板1を真空蒸着装置のチャンバー内の基板ホルダーに固定した。ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(Bebq2)(下記式(10)を参照のこと)、イリジウムトリス(1−フェニルイソキノリン)(Ir(piq)3)(下記式(11)を参照のこと)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)(下記式(12)を参照のこと)をそれぞれアルミナルツボに入れて蒸着源にセットした。真空蒸着装置内を約1×10−5Paまで減圧し、Bebq2をホスト、Ir(piq)3をドーパントとして共蒸着した。これにより、膜厚が35nmの発光層5を形成した。この時、ドープ濃度はIr(piq)3が発光層全体に対して6重量%となるようにした。次に、α−NPDを蒸着し、膜厚が40nmの正孔輸送層6を形成した。次に、窒素パージした後、三酸化モリブデン、金をアルミナルツボに入れて蒸着源にセットした。真空蒸着装置内を約1×10−5Paまで減圧し、三酸化モリブデン(第2の金属酸化物)を蒸着し、膜厚10nmの正孔注入層7を形成した。次に、金(第2の電極:陽極)を蒸着し、膜厚50nmの電極膜8を形成した。
なお、上記電極膜8を形成する際には、ステンレス製の蒸着マスクを用いて蒸着面が幅2mmの帯状のパターンとなるようにした。すなわち、作製した有機電界発光素子10の発光面積が4mmとなるようにした。
Figure 2014154715
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(比較例)
IGZO膜を成膜しなかったこと以外は、上記実施例と同様にして、有機電界発光素子10を作製した。
(有機電界発光素子の発光特性測定)
ケースレー社製の「2400型ソースメーター」により、素子への電圧印加と、電流測定を行った。また、コニカミノルタ社製の「LS−110」により、発光輝度を測定した。
実施例および比較例で作製した有機電界発光素子各々の駆動電圧−輝度特性を図2に、また、EL発光スペクトルを図3に示す。ITOのみを陰極とした有機電界発光素子では、ITO電極膜(陰極)からの電子注入が効率良く起こらず、高い輝度を得るためには高い駆動電圧が必要であり、高い発光効率は得られない。
一方、ITO電極膜(陰極)表面にIGZO膜を形成した有機電界発光素子10においては、低い駆動電圧で高い輝度が得られている。ITOの仕事関数は約5eVであり電子注入が困難であるのに対し、IGZO膜の伝導バンドのエネルギー準位は約4.3eVであり、酸化亜鉛等先述の電子注入性金属酸化物層と比べても、電子注入性は同等程度以上と十分に高い。したがって、IGZO膜は有機電界発光素子10の電子注入層として使用可能な材料であることが明らかである。特に、IGZO-TFT素子と組み合わせることで高輝度かつ高コントラストなディスプレイが容易に実現可能となる。
また、図3に示すように、実施例と比較例の発光スペクトル形状は大きく異なる。すなわち、実施例においては、ITO電極膜2上にIGZOからなる電子注入層3が形成されていることから、比較例に比して電子注入が効率良くなされ、一方、比較例においては、素子内において実施例とは異なる位置に発光領域(再結合領域)が形成され、さらにAu電極膜からの光反射による光波干渉効果が実施例のものとは異なることから、上述したような発光スペクトル形状の差異が生じているものと考えられる。
1 透明基板
2 電極膜(陰極、ITO膜)
3 電子注入層(第1の金属酸化物層、IGZO膜)
4 バッファ層
5 発光層
6 正孔輸送層
7 正孔注入層(第2の金属酸化物層、三酸化モリブデン)
8 電極膜(陽極:金)
10 有機電界発光素子

Claims (9)

  1. 陰極である第1の電極膜と陽極である第2の電極膜との間に、複数の層を積層してなる有機電界発光素子であって、前記複数の層は、該第1の電極膜側から順に、少なくとも、電子注入機能を有する電子注入層および発光層を含む複数の層を積層してなり、
    前記電子注入層は、InGaZnOを含む層であることを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 前記複数の層は、該第1の電極膜側から順に、少なくとも、電子注入機能を有する電子注入層、発光層、および正孔注入機能を有する正孔注入層であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 前記複数の層は、該第1の電極膜側から順に、少なくとも、電子注入機能を有する電子注入層、バッファ層、発光層、正孔輸送層、および正孔注入機能を有する正孔注入層を積層してなることを特徴とする請求項1または2に記載の有機電界発光素子。
  4. 前記InGaZnOを含む層は、成膜後に所定の光が照射されることにより、電子移動度が高められた層であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機電界発光素子を用いて形成されてなることを特徴とする表示装置。
  6. 請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の有機電界発光素子を用いて形成されてなることを特徴とする照明装置。
  7. 基板上に、陰極である第1の電極膜と陽極である第2の電極膜を、この順または逆の順で該基板側から配列形成するとともに、これら2つの電極膜の間において、該第1の電極膜側から順に、少なくとも、電子注入機能を有するInGaZnOからなる電子注入層および発光層を含む複数の層が配設されるように積層することを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  8. 前記積層する処理が終了した後、前記基板側または該基板とは該積層方向逆側から、前記電子注入層に所定の光を照射せしめて、前記電子注入層の電子移動度を高めることを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  9. 前記有機電界発光素子の製造方法は、前記所定の光が、エキシマレーザ光、フラッシュランプ光、およびCWレーザ光のいずれかであることを特徴とする請求項8記載の有機電界発光素子の製造方法。
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