JP7105343B2 - 工業用防カビ防藻剤 - Google Patents
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Description
また、建造物の外壁、船体、水路などに藻類やカビが繁殖し、外観や機能を損なうなどの原因となっており、それを防止するために防藻剤や防カビ剤を含有する塗料を用いて塗装をすることが広く行われている。そのため、塗料に、カビや藻類等の有害微生物に対して防カビ効果や防藻効果を発揮する種々の防カビ剤や防藻剤を組み合わせて添加することが広く知られており、塗料に添加できる防カビ剤や防藻剤として、トリアジン系化合物、イソチアゾリン系化合物およびハロアセチレン系化合物を含有する防藻剤(特許文献1)や、イソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物およびピリチオン系化合物を含有する防カビ防藻剤(特許文献2)、さらに、無機酸化微粒子、イソチアゾリン系化合物およびベンゾイミダゾール系化合物を含有する抗菌防カビ防藻剤(特許文献3)等が提案されている。
そこで、本発明は、カビ及び藻類に対して優れた防除効果を有する工業用防カビ防藻剤の開発を課題としている。
さらに詳しく説明すると、トリアゾール系化合物として公知の化合物の中でも、α-[2-(4-クロロフェニル)エチル]-α-(1,1-ジメチルエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール(慣用名:テブコナゾール)を、メチル-2-ベンゾイミダゾールカルバメート(慣用名:カルベンダジム)と2-メチルチオ-4-シクロプロピルアミノ-6-tert-ブチルアミノ-1,3,5-トリアジン(慣用名:シブトリン)と併用することにより、その他のトリアゾール系化合物と併用する場合に比べ、カビ及び藻類に対する防除効果が格別顕著に向上することを、数多くの実験により見出し、本発明を完成するに至ったものである。
1. メチル-2-ベンゾイミダゾールカルバメート(慣用名:カルベンダジム)、2-メチルチオ-4-シクロプロピルアミノ-6-tert-ブチルアミノ-1,3,5-トリアジン(慣用名:シブトリン)およびα-[2-(4-クロロフェニル)エチル]-α-(1,1-ジメチルエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール(慣用名:テブコナゾール)を含有することを特徴とし、プレウロコックス・スピーシーズ(Pleurococcus sp.)、プロトコッカス(Protococcus)およびデスモデスムス・スピーシーズ(Desmodesmus sp.)から選択される1種以上の藻類の防除に用いる、工業用防カビ防藻剤。
2.1.記載の工業用防カビ防藻剤を含有する、工業製品。
3.1.記載の工業用防カビ防藻剤を、工業用材料に適用する工業用材料の防カビ防藻方法。
なお、本発明における工業用防カビ防藻剤とは、工業製品や工業用材料等の工業用途において問題となるカビと藻類に対して防カビ・防藻活性を有する組成物のことを意味する。
カルベンダジムは、化学名「メチル-2-ベンゾイミダゾールカルバメート」であり、イミダゾール系化合物の1つとして公知の、次の化学式で示される化合物である。カルベンダジムは、殺菌活性を有する化合物として公知であるが、防藻活性はほとんど示さない化合物である。
本発明は、この皮膚感作性の低いテブコナゾールを有効成分の1つとして、カルベンダジムおよびシブトリンを併用することにより、それぞれ単剤もしくは2つの活性成分を併用する混合組成物の防カビ防藻活性から、単純に予想される相加効果を遥かに超える防カビ防藻活性の相乗的な向上が得られることを確認し、工業用防カビ防藻剤として完成したものである。
所定濃度のカルベンダジム、シブトリンおよびテブコナゾールを組み合わせると、それぞれ単剤による防カビ防藻効果はもとより、カルベンダジムとシブトリン、カルベンダジムとテブコナゾール、シブトリンとテブコナゾール、それぞれの組み合わせによる防カビ防藻効果に比べて、単純に予想される相加効果を遥かに超える相乗効果が得られることを、後述する実験により確認している。
本発明の3化合物による組み合わせが、相乗的な防カビ防藻活性を示す作用機構についての詳細は不明であるが、異なる作用メカニズムを有する3化合物を組み合わせることにより、作用点レベルにおける相互共力作用が発現した結果、このような顕著な効果が得られるものと推測される。しかしながら、カルベンダジム、シブトリンおよびテブコナゾールを組み合わせることにより得られる相乗効果は、テブコナゾールと同じトリアゾール系化合物であるプロピコナゾールやヘキサコナゾールと、カルベンダジムとシブトリンとの組み合わせでは得ることができない。したがって、本発明の工業用防カビ防藻剤は、非常に複雑な相互共力作用により優れた相乗効果が発現しているものと考えられる。
すなわち、カルベンダジム、シブトリンおよびテブコナゾールを組み合わせることにより得られる本発明の相乗効果は、この3つの化合物を組み合わせることにより初めて得られる効果であり、これは本発明者が多くの実験を行い初めて当該効果を確認した格別顕著なものである。
前記エアゾール剤は、カルベンダジム、シブトリンおよびテブコナゾールを必要に応じて適当な溶剤で希釈し、噴射剤と共に容器に充填することにより製造できる。溶剤としては、例えば、前記液体担体として例示した溶剤などが挙げられる。噴射剤としては、フロン、液化天然ガスなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-4’-n-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;サリチル酸フェニル、p-t-ブチルフェニルサリシレートなどのサリチル酸系化合物;2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル、2-エトキシ-2’-エチルシュウ酸ビスアニリド、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物などが挙げられる。
結合剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、デキストリン、アルファ化デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カリウムなどが例示できる。
被膜形成能を有する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂、フッ素樹脂、塩素化ポリオレフィン、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが例示できる。
増粘剤には、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸とその塩などが例示でき、流動助剤として、PAP助剤(例えば、イソプロピルリン酸)、ワックス、ポリエチレン、脂肪酸金属塩、パラフィン、シリコーンオイルなどの有機滑剤、タルクなどの無機滑剤が例示できる。固結防止剤として、例えば、ホワイトカーボン、ケイソウ土、ステアリン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化チタンなどが挙げられる。凝集剤としては、例えば、流動パラフィン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソブチレン重合体[例えば、出光興産(株)製、商品名IPソルベント-2835]などが挙げられる。紫外線散乱剤としては、二酸化チタンなどが例示できる。水分除去剤としては、無水石膏、シリカゲル粉末などの乾燥剤などが挙げられる。着色剤には、例えば、有機又は無機顔料や染料が含まれる。
カビとしては、例えば、アブシジア(Absidia)属、ムコール(Mucor)属、リゾプス(Rhizopus)属などの接合菌類、例えば、ケトミウム(Chaetomium)属、ユーロチウム(Eurotium)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属などの子嚢菌類、例えば、アクレモニウム(Acremonium)属、アルタナリア(Alternaria)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属、クラドスポリウム(Cladosporium)属、フザリウム(Fusarium)属、ペニシリウム(Penicillium)属、フォーマ(Phoma)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、カンジダ(Candida)属、トリコフィトン(Trichophyton)属などの不完全菌類などが挙げられる。
また、藻類としては、水中や陸上に生息し、同化色素を持ち独立して栄養生活をする植物であって、例えば、藍藻類、灰青藻類、紅藻類、黄色鞭毛藻類、黄緑色藻類、緑藻類、珪藻類、褐色鞭毛藻類、渦鞭毛藻類、緑色鞭毛藻類、褐藻類、緑虫藻類、車軸藻類などが含まれる。本発明の工業用防カビ防藻剤は、とりわけ、藍藻類、緑藻類の防除に優れた防藻効果を発現する。藍藻類としては、例えば、オシラトリア(Oscillatoria)属、フォルミジウム(Phormidium)属などが挙げられ、緑藻類としては、例えば、クラミドモナス(Chlamydomonas)属、クロロコックム(Chlorococcum)属、クロレラ(Chlorella)属、デスモデスムス(Desmodesmus)属、クレブソルミディウム(Klebsormidium)属、トレボキシア(Trebouxiophyceae)属、ウロスリックス(Ulothrix)属などが挙げられる。
本発明の工業用防カビ防藻剤が、カビや藻類に対し優れた防カビ防藻活性を有することを試験例に示す。
(1)試験検体
<実施例1>
カルベンダジム8.5重量部と、シブトリン8.5重量部、テブコナゾール83.0重量部とを乳鉢を用いて1分間混合し、粉末状の3剤混合組成物を調製した。
実施例2~3、比較例1~6は下記表1、2に示した配合で、実施例1と同様にして、粉末状の防カビ防藻組成物を調製し、得られた防カビ防藻組成物10mgにメチルカルビトール2mLと滅菌水8mLを添加して撹拌混合し、有効成分量1000ppmの懸濁分散溶液(液剤)とし、液剤の試験検体を得た。
なお、以下の実施例および比較例の組成物の調製に際して、カルベンダジム、シブトリン、テブコナゾール、プロピコナゾール、ヘキサコナゾールは、以下に示すものを使用した。
カルベンダジム :和光純薬工業(株)製:純度98%
シブトリン :三協化成(株)製:商品名「SanAlga1907」
テブコナゾール :和光純薬工業(株)製:純度98%
プロピコナゾール:和光純薬工業(株)製:純度99%
ヘキサコナゾール:和光純薬工業(株)製:純度99%
上記試験検体を、グルコースブイヨン培地(pH6.0)にそれぞれ添加し、その後、ミクロプランター((株)佐久間製作所製)を用いて、表1に記載のカビを含有するカビ懸濁液を接種して、33℃で18時間、28℃で2日間培養した。その後、培養後の各カビの生育を観察して、最小発育阻止濃度(MIC:μg/mL)をそれぞれ算出した。試験はそれぞれ5回行い、その平均値をMIC値として使用した。
(3)防藻性の試験方法
上記試験検体を、それぞれアレン改変培地(pH8.0)に添加し、その後、ミクロプランター((株)佐久間製作所製)を用いて、表1に記載の藻類を含有する藻類懸濁液を接種して、照度2500Lxで、1日当たり16時間の照射条件下、23℃で30日間培養した。その後、培養後の藻類の生育を観察して、最小発育阻止濃度(MIC:μg/mL)をそれぞれ算出した。
(4)防カビ防藻活性の評価方法
防カビ防藻活性の評価は、カルベンダジムとシブトリンを1:1(重量比)で含有する混合組成物を1剤とみなし、この混合組成物、テブコナゾール、プロピコナゾール、ヘキサコナゾールをそれぞれ単独で用いた場合(比較例1~4)のMIC値から、実施例1~3および比較例5~6の試験検体について次式によりMICの理論値を算出し、実際に測定したMIC値をそれらと比較することにより行った。MICの測定値がその理論値よりも小さくなる場合、すなわち「測定値/理論値」が1より小さくなる場合には、上記のカルベンダジムとシブトリンを1:1(重量比)で含有する混合組成物、テブコナゾール、プロピコナゾール、ヘキサコナゾールそれぞれを単独で用いた場合の代数和より防カビ防藻活性が増強されているといえるため、相乗効果が認められると評価した。
CA;カルベンダジムとシブトリンを1:1(重量比)で含有する混合組成物を用いた場合(比較例1)のMIC値
CB;テブコナゾール、プロピコナゾール、ヘキサコナゾールをそれぞれ単独で用いた場合(比較例2~4)のMIC値
x;防カビ防藻性成分中においてカルベンダジムとシブトリンを1:1(重量比)で含有する混合組成物の占める割合(重量%)
y;防カビ防藻性成分中において、テブコナゾール、プロピコナゾール、ヘキサコナゾールそれぞれの占める割合(重量%)
防カビ防藻活性に関する検討結果を、表1、2に示した。
さらに、表2の比較例5、6の結果から明らかなように、カルベンダジムとシブトリンを含有する混合組成物(比較例1)と、プロピコナゾールまたはヘキサコナゾールを併用した場合は、カビ、藻類に対して、MICの測定値/理論値が1以上であり、テブコナゾールを併用する実施例2とは異なり、相乗効果が得られないことも明らかとなった。
すなわち、カルベンダジム、シブトリンおよびテブコナゾールを組み合わせることにより得られる相乗効果は、カルベンダジム、シブトリンおよびプロピコナゾールや、カルベンダジム、シブトリンおよびヘキサコナゾールの組み合わせでは得ることができないものであり、これは本発明者が多くの実験を行い初めて確認した格別顕著な効果である。
<カビ>
ペニシリウム・シトリナム :Penicillium citrinum
クラドスポリウム・クラドスポリオイデス:Cladosporium cladosporioides
グリオクラヂウム・ヴィレンス :Gliocladium virens
<藻類>
クロロコックム・エチノジゴツム:Chlorococcum echinozygotum
ウロスリックス・ヴァリアビリス:Ulothrix variabilis
プレウロコックス・スピーシーズ:Pleurococcus sp.
プロトコッカス :Protococcus
デスモデスムス・スピーシーズ :Desmodesmus sp.
(5)試験検体
実施例4、比較例7~12は、下記表3、4に示した配合で、実施例1と同様にして、粉末状の防カビ防藻組成物を調製し、得られた防カビ防藻組成物10mgにメチルカルビトール2mLと滅菌水8mLを添加して撹拌混合し、有効成分量1000ppmの懸濁分散溶液(液剤)とし、液剤の試験検体を得た。
(6)防カビ防藻試験
得られた試験検体を使用して、上記防カビ性の試験方法、防藻性の試験方法に従い試験を行い、最小発育阻止濃度(MIC:μg/mL)を算出した。
(7)防カビ防藻活性の評価方法
防カビ防藻活性の評価は、カルベンダジムとテブコナゾール、カルベンダジムとプロピコナゾール、カルベンダジムとヘキサコナゾールの組み合わせにおいて、それぞれを1:1(重量比)で含有する混合組成物を1剤とみなし、この混合組成物とシブトリン単独で用いた場合(比較例7~10)のMIC値から、実施例4および比較例11~12の試験検体について次式によりMICの理論値を算出し、実際に測定したMIC値をそれらと比較することにより行った。MICの測定値がその理論値よりも小さくなる場合、すなわち「測定値/理論値」が1より小さくなる場合には、上記のカルベンダジムとテブコナゾール、カルベンダジムとプロピコナゾール、カルベンダジムとヘキサコナゾールの組み合わせにおいて、それぞれを1:1(重量比)で含有する混合組成物、シブトリンを単独で用いた場合の代数和より防カビ防藻活性が増強されているといえるため、相乗効果が認められると評価した。
CA;カルベンダジムとテブコナゾール、カルベンダジムとプロピコナゾール、カルベンダジムとヘキサコナゾールの組み合わせにおいて、それぞれを1:1(重量比)で含有する混合組成物を用いた場合(比較例7~9)のMIC値
CB;シブトリン単独で用いた場合(比較例10)のMIC値
x;防カビ防藻性成分中においてカルベンダジムとテブコナゾール、カルベンダジムとプロピコナゾール、カルベンダジムとヘキサコナゾールの組み合わせにおいて、それぞれを1:1(重量比)で含有する混合組成物の占める割合(重量%)
y;防カビ防藻性成分中において、シブトリンの占める割合(重量%)
防カビ防藻活性に関する検討結果を、表3、4に示した。
さらに、表4の比較例11、12の結果から明らかなように、カルベンダジムとプロピコナゾール、カルベンダジムとヘキサコナゾールを含有する混合組成物(比較例8、9)と、シブトリンを併用した場合は、カビ、藻類に対して、MICの測定値/理論値が1より大きく、テブコナゾールを含有する実施例4とは異なり、相乗効果が得られないことも明らかとなった。
すなわち、カルベンダジム、シブトリンおよびテブコナゾールを組み合わせることにより得られる相乗効果は、カルベンダジム、シブトリンおよびプロピコナゾールや、カルベンダジム、シブトリンおよびヘキサコナゾールの組み合わせでは得ることができないものであり、これは本発明者が多くの実験を行い初めて確認した格別顕著な効果である。
(8)試験検体
実施例5、比較例13~18は、下記表5、6に示した配合で、実施例1と同様にして、粉末状の防カビ防藻組成物を調製し、得られた防カビ防藻組成物それぞれ10mgにメチルカルビトール2mLと滅菌水8mLを添加して撹拌混合し、有効成分量1000ppmの懸濁分散溶液(液剤)とし、液剤の試験検体を得た。
(9)防カビ防藻試験
得られた試験検体を使用して、上記防カビ性の試験方法、防藻性の試験方法に従い試験を行い、最小発育阻止濃度(MIC:μg/mL)を算出した。
(10)防カビ防藻活性の評価方法
防カビ防藻活性の評価は、シブトリンとテブコナゾール、シブトリンとプロピコナゾール、シブトリンとヘキサコナゾールの組み合わせにおいて、それぞれを1:1(重量比)で含有する混合組成物を1剤とみなし、この混合組成物、カルベンダジム単独で用いた場合(比較例13~16)のMIC値から、実施例5および比較例17~18の試験検体について次式によりMICの理論値を算出し、実際に測定したMIC値をそれらと比較することにより行った。MICの測定値がその理論値よりも小さくなる場合、すなわち「測定値/理論値」が1より小さくなる場合には、上記のシブトリンとテブコナゾール、シブトリンとプロピコナゾール、シブトリンとヘキサコナゾールの組み合わせにおいて、それぞれを1:1(重量比)で含有する混合組成物、カルベンダジムを単独で用いた場合の代数和より防カビ防藻活性が増強されているといえるため、相乗効果が認められると評価した。
CA;シブトリンとテブコナゾール、シブトリンとプロピコナゾール、シブトリンとヘキサコナゾールの組み合わせにおいて、それぞれを1:1(重量比)で含有する混合組成物を用いた場合(比較例13~15)のMIC値
CB;カルベンダジム単独で用いた場合(比較例16)のMIC値
x;防カビ防藻性成分中、シブトリンとテブコナゾール、シブトリンとプロピコナゾール、シブトリンとヘキサコナゾールの組み合わせにおいて、それぞれを1:1(重量比)で含有する混合組成物の占める割合(重量%)
y;防カビ防藻性成分中において、カルベンダジムの占める割合(重量%)
防カビ防藻活性に関する検討結果を、表5、6に示した。
さらに、表6の比較例17、18の結果から明らかなように、シブトリンとプロピコナゾール、シブトリンとヘキサコナゾールを含有する混合組成物(比較例14、15)と、カルベンダジムを併用した場合は、カビ、藻類に対して、MICの測定値/理論値が1より大きく、テブコナゾールを含有する実施例5とは異なり、相乗効果が得られないことも明らかとなった。
すなわち、カルベンダジム、シブトリンおよびテブコナゾールを組み合わせることにより得られる相乗効果は、カルベンダジム、シブトリンおよびプロピコナゾールや、カルベンダジム、シブトリンおよびヘキサコナゾールの組み合わせでは得ることができないものであり、これは本発明者が多くの実験を行い初めて確認した格別顕著な効果である。
これら本発明の効果は、本発明者の具体的な実験により初めて明らかにされたものであり、顕著な効果である。
Claims (3)
- メチル-2-ベンゾイミダゾールカルバメート(慣用名:カルベンダジム)、2-メチルチオ-4-シクロプロピルアミノ-6-tert-ブチルアミノ-1,3,5-トリアジン(慣用名:シブトリン)およびα-[2-(4-クロロフェニル)エチル]-α-(1,1-ジメチルエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール(慣用名:テブコナゾール)を含有することを特徴とし、プレウロコックス・スピーシーズ(Pleurococcus sp.)、プロトコッカス(Protococcus)およびデスモデスムス・スピーシーズ(Desmodesmus sp.)から選択される1種以上の藻類の防除に用いる、工業用防カビ防藻剤。
- 請求項1記載の工業用防カビ防藻剤を含有する、工業製品。
- 請求項1記載の工業用防カビ防藻剤を、工業用材料に適用する工業用材料の防カビ防藻方法。
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