JP7102748B2 - 青緑色蛍光体の製造方法 - Google Patents
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このような青色系蛍光体の製造方法として、紫外線や電界及び電子線に対して安定であり、優れた青色発光特性を有する青色系蛍光体を製造することを目的とした青色系蛍光体の製造方法が報告されている(特許文献2参照。)。
酸素含有亜鉛化合物とマグネシウム化合物と硫黄単体及び/又は硫黄含有化合物とを乾式で混合する混合工程における乾式混合は、一般に乾式混合とされるものであればよく、混合する成分が溶剤に分散した状態で混合されない限り、混合する成分が溶媒を含んでいてもよい。
なお、本発明において青緑色蛍光体とは、波長365nmの光で励起したときの極大発光波長(主波長)が460nm~504nmの範囲であるものをいう。
酸化亜鉛の比表面積は、比表面積測定装置(マウンテック製、Macsorb Model HM-1220)により測定することができる。
マグネシウム化合物の比表面積は、比表面積測定装置(マウンテック製、Macsorb Model HM-1220)により測定することができる。
例えば、上記乾式混合を袋混合で行う場合、酸素含有亜鉛化合物とマグネシウム化合物と硫黄単体及び/又は硫黄含有化合物とを十分に混合するために、これらを袋に入れた後、150回以上振盪することが好ましい。より好ましくは、500回以上振盪することであり、更に好ましくは、1000回以上振盪することである。
大気焼成の焼成温度は、550~850℃であることが好ましい。更に好ましくは、600~800℃である。
また本発明の製造方法では、従来の固相法に比べて焼成による粒成長を抑制して青緑色蛍光体を製造することが可能であるため、微細な粒子の青緑色蛍光体を製造することができる。
評価対象の蛍光体サンプルの発光物性(発光強度及び主波長)を、蛍光分光光度計(日本分光製、FP-6500)を用いて測定した。蛍光積分球にはISF-513型を使用し、光電子倍増管(PMT)の電圧の設定値を340として、波長365nmの光で励起したときの極大発光波長(主波長)及び発光強度を測定した。
各サンプルにつき、レーザー回折型粒度分布測定装置(日機装社、マイクロトラックMT3000)により粒度分布を測定し、粒度分布曲線を得た。この測定ではまず、測定対象の粉末(粉体)を、透過率が0.7~0.99になるように投入し、流速60%にて、超音波分散及び循環させながら測定を行った。測定時の装置循環水は水とした。そして、この個数基準粒度分布曲線において積算値が50%のときの粒径値を、平均粒子径D50(μm)とした。
以下の条件によりBET比表面積(SSA)の測定を行った。
-測定条件-
使用機:マウンテック社製、Macsorb Model HM-1220
雰囲気:窒素ガス(N2)
外部脱気装置の脱気条件:105℃-15分
比表面積測定装置本体の脱気条件:105℃-5分
原料として用いる酸化亜鉛と水酸化マグネシウムの純度を考慮して、亜鉛とマグネシウムのモル比が85:15になるように、酸化亜鉛(堺化学工業製、微細酸化亜鉛)18.5g、水酸化マグネシウム(岩谷化学工業製、MH-30)2.4g、硫黄(和光純薬工業製)0.012gを秤量してポリ袋に入れ、ポリ袋を1000回程度振盪して混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、1体積%H2/N2雰囲気中で200℃/時にて850℃まで昇温し、そのまま6時間保持した後、200℃/時で降温した。こうして得られた焼成物を乳鉢で解砕し、アルミナ坩堝に全量充填した後、大気雰囲気にて200℃/時で700℃まで昇温し、そのまま1時間保持後、200℃/時で降温し、蛍光体Aを得た。蛍光体Aについて上述した評価試験を行った。結果を表1に示す。なお、表1では、実施例2~11及び比較例1~3における各蛍光体の発光強度は、実施例1の蛍光体Aの発光強度を基準(100)とした強度比で記載した。
1体積%H2/N2雰囲気中での焼成工程まで、実施例1と同様にして行い、大気雰囲気での焼成を行わずに、蛍光体Bを得た。蛍光体Bについて上述した評価試験を行った。結果を表1に示す。
硫黄の代わりに、硫化亜鉛(堺化学工業製、RAK-T)を0.035g使用したこと以外は、実施例1と同様にして、蛍光体Cを得た。蛍光体Cについて上述した評価試験を行った。結果を表1に示す。
原料として用いる酸化亜鉛と水酸化マグネシウムの純度を考慮して、亜鉛とマグネシウムのモル比が90:10になるように、酸化亜鉛(堺化学工業製、微細酸化亜鉛)19.1g、水酸化マグネシウム(岩谷化学工業製、MH-30)1.6g、硫黄(和光純薬工業製)0.012gを秤量してポリ袋に入れ、ポリ袋を1000回程度振盪して混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、1体積%H2/N2雰囲気中で200℃/時にて850℃まで昇温し、そのまま6時間保持した後、200℃/時で降温した。こうして得られた焼成物を乳鉢で解砕し、アルミナ坩堝に全量充填した後、大気雰囲気にて200℃/時で700℃まで昇温し、そのまま1時間保持後、200℃/時で降温し、蛍光体Dを得た。蛍光体Dについて上述した評価試験を行った。結果を表1に示す。
原料として用いる酸化亜鉛と水酸化マグネシウムの純度を考慮して、亜鉛とマグネシウムのモル比が95:5になるように、酸化亜鉛(堺化学工業製、微細酸化亜鉛)19.6g、水酸化マグネシウム(岩谷化学工業製、MH-30)0.76g、硫黄(和光純薬工業製)0.012gを秤量してポリ袋に入れ、ポリ袋を1000回程度振盪して混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、1体積%H2/N2雰囲気中で200℃/時にて850℃まで昇温し、そのまま6時間保持した後、200℃/時で降温した。こうして得られた焼成物を乳鉢で解砕し、アルミナ坩堝に全量充填した後、大気雰囲気にて200℃/時で700℃まで昇温し、そのまま1時間保持後、200℃/時で降温し、蛍光体Eを得た。蛍光体Eについて上述した評価試験を行った。結果を表1に示す。
亜鉛原料として、微細酸化亜鉛(堺化学工業製)を使用し、マグネシウム原料として、水酸化マグネシウム(堺化学工業製、MGZ-0)、酸化マグネシウム(岩谷化学工業製、MJ-30もしくはMTK-30)、炭酸マグネシウム(神島化学工業製、GP-30N)を使用した。亜鉛原料とマグネシウム原料の純度を考慮して、亜鉛とマグネシウムのモル比が85:15になるように、実施例6では、微細酸化亜鉛を18.5gとMGZ-0を2.3g、実施例7では、微細酸化亜鉛を18.5gとMJ-30を1.7g、実施例8では、微細酸化亜鉛を18.5gとMTK-30を2.2g、実施例9では、微細酸化亜鉛を18.5gとGP-30Nを3.8gとをそれぞれ秤量してポリ袋に入れ、さらに、それぞれポリ袋に硫黄(和光純薬工業製)0.012gを秤量して加えて、ポリ袋を1000回程度振盪して混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、1体積%H2/N2雰囲気中で200℃/時にて850℃まで昇温し、そのまま6時間保持した後、200℃/時で降温し、蛍光体F、G、H、Iを得た。蛍光体F、G、H、Iについて上述した評価試験を行った。結果を表1に示す。
亜鉛原料である酸化亜鉛として、酸化亜鉛一種(堺化学工業製)もしくはFINEX-30(堺化学工業製)を使用し、また、マグネシウム原料として炭酸マグネシウム(神島化学工業製、GP-30N)を使用した。
亜鉛原料とマグネシウム原料の純度を考慮して、亜鉛とマグネシウムのモル比が85:15になるように、実施例10では、酸化亜鉛一種を9.3gと炭酸マグネシウムを1.9g、実施例11では、FINEX-30を9.3gと炭酸マグネシウムを1.9gをそれぞれ秤量してポリ袋に入れ、さらに、それぞれのポリ袋に硫黄(和光純薬工業製)0.0058gを秤量して加えて、ポリ袋を1000回程度振盪して混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、1体積%H2/N2雰囲気中で200℃/時にて850℃まで昇温し、そのまま6時間保持した後、200℃/時で降温した。こうして得られた焼成物を乳鉢で解砕し、アルミナ坩堝に全量充填した後、大気雰囲気にて200℃/時で700℃まで昇温し、そのまま1時間保持後、200℃/時で降温し、蛍光体J、Kを得た。蛍光体J、Kについて上述した評価試験を行った。結果を表1に示す。
大気雰囲気での焼成における保持時の温度を600℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、蛍光体Lを得た。蛍光体Lについて上述した評価試験を行った。結果を表1に示す。
大気雰囲気での焼成における保持時の温度を800℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、蛍光体Mを得た。蛍光体Mについて上述した評価試験を行った。結果を表1に示す。
水酸化マグネシウムを使用しないこと以外は、実施例2と同様にして、蛍光体Nを得た。蛍光体Nについて上述した評価試験を行った。結果を表1に示す。
硫黄を使用しないこと以外は、実施例1と同様にして、蛍光体Oを得た。蛍光体Oについて上述した評価試験を行った。結果を表1に示す。
塩化マグネシウム六水和物(和光純薬工業製)10gを純水30mlに溶解した。亜鉛原料とマグネシウム原料の純度を考慮して、亜鉛とマグネシウムのモル比が90:10になるように、この塩化マグネシウム水溶液11.2gと酸化亜鉛(堺化学工業製、微細酸化亜鉛)9.5gをポリ袋に入れて混合した。得られた原料混合ペーストを磁性皿に移し、130℃で一晩乾燥した。得られた乾燥物を乳鉢で粉砕した。
乳鉢粉砕物9.8gと硫黄(和光純薬工業製)0.0053gを秤量してポリ袋に入れ、ポリ袋を1000回程度振盪して混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、1体積%H2/N2雰囲気中で200℃/時にて850℃まで昇温し、そのまま6時間保持した後、200℃/時で降温し、蛍光体Pを得た。蛍光体Pについて上述した評価試験を行った。結果を表1に示す。
また、実施例1、3及び比較例2の比較から、硫黄もしくは硫化亜鉛を使用した場合には発光強度の高い蛍光体が得られるのに対し、硫黄含有化合物を使用しないと著しく発光強度が低下することがわかった。さらに、比較例3の結果から、混合をより均一にする目的で水を使用して混合すると、主波長のシフトは大きくなるが、発光強度が著しく低下することがわかった。
更に、実施例1、4および5より、添加するマグネシウムの量に応じて、発光強度を維持したまま、主波長を制御することが可能であることがわかり、実施例9~11より、比表面積が異なる酸化亜鉛を使用することで、異なる粒子径の蛍光体を得ることができることがわかった。
Claims (3)
- 波長365nmの光で励起したときの極大発光波長が460nm~504nmの範囲である青緑色蛍光体を製造する方法であって、
該製造方法は、酸素含有亜鉛化合物とマグネシウム化合物と硫黄単体及び/又は硫黄含有化合物とを、酸素含有亜鉛化合物とマグネシウム化合物の、亜鉛原子とマグネシウム原子のモル比率(亜鉛/マグネシウム)が70/30~98/2となる割合であって、かつ、硫黄単体及び/又は硫黄含有化合物に含まれる硫黄原子の重量割合が、酸素含有亜鉛化合物とマグネシウム化合物の合計100重量%に対して0.01~0.5重量%となる割合で乾式で混合する工程と、
該混合工程で得られた混合物を還元雰囲気下で焼成する工程と、
該還元焼成工程の後に、更に大気雰囲気下で550~850℃で焼成する工程とを含み、
該マグネシウム化合物は、比表面積が5~40m 2 /gである
ことを特徴とする青緑色蛍光体の製造方法。 - 前記酸素含有亜鉛化合物は、比表面積が5~30m2/gの酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1に記載の青緑色蛍光体の製造方法。
- 前記マグネシウム化合物は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の青緑色蛍光体の製造方法。
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