JP7259231B2 - 粒子状シリカ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
更に、シリカを蛍光発光材料の母体として用いた蛍光シリカとしての応用もなされており、蛍光シリカを、例えば樹脂と混練して成形することにより、可視光透過性と発光特性を両立させた樹脂組成物を得ることができることから、例えば太陽電池用波長変換材料などへ応用することについても報告されている(非特許文献1参照)。
本発明の粒子状シリカは、アルミニウム化合物を含む複合酸化物であり、光学顕微鏡で該粒子状シリカの屈折率から±0.01の屈折率を有する屈折率標準液に分散して観察したときに、粒子内部に不透明な粒子が観察される粒子状シリカの割合が、粒子状シリカ100個当たり、10個以下であることを特徴とする。
シリカにシリカ以外の元素の化合物を添加した粒子を製造する従来の方法で製造されたシリカ粒子を、そのシリカ粒子の屈折率に近い屈折液に浸した状態で粒子を光学顕微鏡で観察すると、粒子の中に不透明な粒子が観察される。これは、粒子中に屈折率の異なる部分が存在することを意味し、これが粒子を樹脂に混練した際に樹脂の光透過率を低下させる原因の1つとなる。本発明の粒子状シリカは、このような粒子中に屈折率の異なる部分が存在する粒子の割合が少ないため、樹脂の光透過率の低下が抑制されることになる。
上記シリカ粒子内部に不透明な粒子が観察される粒子状シリカの割合は、粒子状シリカ100個当たり、8個以下であることが好ましい。より好ましくは、5個以下である。
粒子状シリカの顔料試験方法によるpH値は、後述の顔料試験方法によるpH値の測定方法により測定することができる。
アルミニウム化合物の含有量は、より好ましくは、シリカ100mol%に対してAl換算で1~8mol%であり、更に好ましくは、2~7mol%である。
粒子状シリカにおけるアルミニウム化合物の含有量は、後述の誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により測定することができる。
粒子状シリカの平均粒径は、より好ましくは、5~28μmであり、更に好ましくは、10~23μmである。
なお、本明細書中、平均粒径とは、体積基準での50%積算粒径を意味し、粉体(粒子)をある粒子径から2つに分けた際に、大きい側と小さい側とが等量になる径をいう。
粒子状シリカの平均粒径は、実施例に記載の方法により測定することができる。
粒子状シリカの平均円形度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明はまた、粒子状の形状を有するシリカを製造する方法であって、該製造方法は、ケイ酸アルカリ水溶液、アルミニウム化合物又はその水溶液、界面活性剤及び有機溶媒を含む原料を混合してエマルションを得る工程と、該混合工程で得られたエマルションと無機塩及び有機塩から選択される少なくとも1種の塩(以下、単に「塩」とも言う。)とを混合する工程とを含み、該混合工程におけるアルミニウム化合物又はその水溶液の量は、アルミニウム化合物又はその水溶液に含まれるアルミニウム化合物の量が、該混合工程におけるケイ酸アルカリ水溶液に含まれるケイ酸アルカリ金属塩のシリカ換算で100mol%に対してAl換算で0.5~15mol%となる量であり、かつ有機溶媒の量は、該混合工程における水に対する重量比(有機溶媒/水)で、0.35~0.9となる量であることを特徴とする粒子状シリカの製造方法でもある。
本発明の製造方法で製造すると、平均円形度及び屈折率が高く、更に粒子内部の均一性が高く、光透過性に優れた粒子状シリカを製造することができる。
ケイ酸アルカリ水溶液、アルミニウム化合物又はその水溶液、界面活性剤及び有機溶媒を含む原料を所定の割合で混合してエマルションを得る混合工程において、ケイ酸アルカリ水溶液、アルミニウム化合物又はその水溶液を含む水相成分と、界面活性剤及び有機溶媒を含む油相成分が十分に混合されてエマルションが形成される限り混合方法は特に制限されないが、撹拌機を用いて撹拌して行われることが好ましい。撹拌翼を用いて撹拌する場合、周速を1~30m/秒として撹拌することが好ましい。このような周速で撹拌することで、均一でかつ細かなエマルション粒子を形成することができ、製造される粒子状シリカをより平均円形度が高く、粒径がより均一なものとすることができる。撹拌翼の周速は、より好ましくは、2~20m/秒であり、更に好ましくは、4.5~10m/秒である。
ケイ酸ナトリウム水溶液としては、市販のJIS規格の1号から3号の水ガラス、4号水ガラス、メタ珪酸ナトリウム等の水溶液を用いることができる。
ケイ酸ナトリウムにおけるナトリウムとケイ酸の割合は、Na2O/SiO2(モル比)で2.0~3.8が好ましく、より好ましくは、2.0~3.5である。
これらの中でも、HLB(Hydrophile-lipophile balance)7以下の親油性非イオン界面活性剤が好ましい。
これらの中でも、脂肪族炭化水素類が好ましく、特にn-ヘキサンが好ましい。
本発明の粒子状シリカの製造方法において、上記工程で得られたエマルションと無機塩及び有機塩から選択される少なくとも1種の塩とを混合する工程は、上記工程で得られたエマルションを塩と接触させることでシリカ粒子を析出させる工程である。
エマルションと塩とを混合する場合、エマルションに塩の水溶液を添加してもよく、塩の水溶液にエマルションを添加してもよいが、エマルションの粒子サイズを維持して平均円形度の高い粒子状シリカを得る観点から、塩の水溶液にエマルションを添加することが好ましい。
これらの中でも好ましくは、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムである。
本発明の粒子状シリカの製造方法は、上述したケイ酸アルカリ水溶液、アルミニウム化合物又はその水溶液、界面活性剤及び有機溶媒を含む原料を混合してエマルションを得る工程と、該混合工程で得られたエマルションと塩基とを混合する工程とを含む限り、その他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、上記混合工程で得られたエマルションと塩基とを混合する工程によって析出したシリカを分離する工程、得られたシリカを精製する工程、得られたシリカを乾燥する工程、得られたシリカを焼成する工程等が挙げられる。
また得られたシリカを乾燥する工程の時間は、シリカを十分に乾燥させることと製造の効率とを考慮すると、12~48時間であることが好ましい。より好ましくは、12~24時間である。
また得られたシリカを焼成する工程の時間は、シリカを十分に焼成することと製造の効率とを考慮すると、1~12時間であることが好ましい。より好ましくは、2~6時間である。
本発明の粒子状シリカ、及び、本発明の粒子状シリカの製造方法で得られた粒子状シリカは、蛍光体の原料として好適に用いることができる。以下においては、粒子状シリカから蛍光体を製造する方法について説明する。
乾式混合を用いる場合、原料を袋の中に入れて震盪や揉みほぐし等の手法で混合してもよいし、ボールミルやブレンダー等を使用してもよい。
湿式混合を用いる場合、水等の溶媒を用いてビーズミル等で投入した原料の解砕をしながら混合をすることが好適である。
アルミニウム化合物は、アルミニウム原子を含む化合物であればよいが、例えば、炭酸アルミニウム、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム等が挙げられる。中でも、原料の混合を乾式法により行う場合は、より均一に混合する観点から、水溶性のアルミニウム化合物を溶解させた水溶液を用いることが好ましい。水溶液を用いた場合は、混合物を焼成する前に加熱乾燥等の操作で水分を取り除くことが好ましい。原料の混合を湿式法により行う場合は、水溶性のアルミニウム化合物であっても水不溶性のアルミニウム化合物であってもよい。
共賦活剤としては、テルビウム、ジスプロシウム等の希土類元素の化合物を用いることができる。希土類元素の化合物としては、酸化物、塩化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩等が挙げられる。
また、酸素含有雰囲気下での焼成、還元雰囲気下での焼成とも焼成方法は特に制限されず、流動床焼成法、固定床焼成法のいずれを用いてもよい。
酸素含有雰囲気下での焼成における焼成時間は、0.5~12時間であることが好ましい。より好ましくは、1~6時間である。酸素含有雰囲気下での焼成を複数回行う場合には、それらの酸素含有雰囲気下での焼成時間の合計がこのような時間であることが好ましい。
還元雰囲気下での焼成における焼成時間は、0.5~12時間であることが好ましい。より好ましくは、1~6時間である。還元雰囲気下での焼成を複数回行う場合には、それらの還元雰囲気下での焼成時間の合計がこのような時間であることが好ましい。
低温での焼成の温度は、高温での焼成よりも低温であって、かつ、200℃以上であることが好ましい。より好ましくは300℃以上、更に好ましくは、400℃以上である。
また低温での焼成時間は、0.5~12時間であることが好ましい。より好ましくは、1~6時間である。低温での焼成を複数回行う場合には、それらの低温での焼成時間の合計がこのような時間であることが好ましい。
粉砕は、湿式粉砕、乾式粉砕のいずれでもよいが、湿式粉砕により行うことが好ましい。湿式粉砕では、必要に応じて遊星ミル、ビーズミル、及び振動ミル等の粉砕媒体撹拌型粉砕機を用いてもよい。
このような本発明の粒子状シリカや本発明の粒子状シリカの製造方法で得られた粒子状シリカを用いて得られる蛍光体もまた、本発明の1つである。
上述したように、粒子状シリカを用いて蛍光体を製造する方法として、粒子状シリカとユーロピウム化合物とを含む原料を混合する工程と、該混合工程で得られた混合物を焼成する工程とを含む方法が挙げられる。このようにして得られる蛍光シリカ、すなわち、本発明の粒子状シリカとユーロピウム化合物を含む複合酸化物である蛍光シリカもまた、本発明の1つである。
(1)SEM観察
走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JSM-7000F)により各粉体の一次粒子径やその表面等を観察した。また、そのSEM写真を、ソフトウェアWinROOF2015(三谷商事社製)を用いて平均円形度を測定した。
(2)光学顕微鏡観察
実施例及び比較例で得た粉体(試料)について、スライドガラス上に、粉体の屈折率から±0.01の屈折率を有する接触液(屈折液、米国カーギル研究所製)に浸した試料を載せて、その試料を光学顕微鏡(OLYPUS BH-2)にて、500倍の倍率で5視野撮影した。それぞれの写真1枚に付き、無作為に選択した粒子状シリカの内、粒子内部に不透明な粒子が存在する粒子状シリカの個数を数え、粒子状シリカ100個あたりの、粒子内部に不透明な粒子が存在している粒子状シリカの個数を数えた。
以下の条件により粉末X線回折パターン(単にX線回折(XRD)パターンともいう)を測定した。粒子状シリカのXRDパターンにおいて、非晶質に特有のハローピークが観測された場合、粒子状シリカを非晶質(アモルファス)と判断した。
-分析条件-
使用機:リガク社製、RINT-TTRIII
線源:CuKα
電圧:50kV
電流:300mA
試料回転速度:60rpm
発散スリット:1.00mm
発散縦制限スリット:10mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
走査モード:連続
スキャンスピード:1
計数単位:Counts
ステップ幅:0.0100°
操作軸:2θ/θ
走査範囲:10.0000~70.0000°
粒子状シリカの組成式の同定には、JCPDSカードを用いた。なお、JCPDSカードとは、各種物質のX線回折法によるピークプロファイルをまとめたものである。
クリストバライト:SiO2、JCPDSカード 00-039-1425
スライドガラス上に、粉体(蛍光体)を接触液(屈折液、米国カーギル研究所製)に浸した試料を載せて、光学顕微鏡で観察した。粒子の屈折率と屈折液の屈折率とが近いほど粒子の輪郭が見えにくくなることから、屈折液中の粒子の輪郭が見えない、あるいは屈折液中の粒子の輪郭が最も判りにくい屈折液の屈折率をその粒子の屈折率と等しいと判断した。
なお、後述の試験例で使用したEVA樹脂の屈折率は、1.49~1.50であった。
(5)全光線透過率、ヘイズ及び透明性評価
シートの透明性評価として、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH4000)を用いて行い、ヘイズ(曇り度)と全光線透過率を測定した。透明性評価では、全光線透過率が90%以上であり、かつヘイズが13%以下であるものを○、それ以外を×と評価した。
(6)蛍光強度
各粉体(蛍光体)と各シートの発光物性(発光強度)を、蛍光分光光度計(日本分光社製、FP-8600)を用いて測定した。蛍光積分球にはISF-834型を使用し、光電子倍増管(PMT)の電圧の設定値を400として、波長365nmの光で励起したときの極大発光波長(主波長)及び発光強度を測定した。測定範囲は380~720nmとし、蛍光スペクトルを測定したところ、450nm付近で強い発光を示した。
各試料の顔料pHを、JIS K5101-17-1(2004)の顔料試験方法に準拠した以下の方法により測定した。
栓付ガラス容器に蒸留水50gに試料5gを投入し、栓を外したまま、約5分間加熱して煮沸状態にした後、更に5分間煮沸した。煮沸後、栓をして常温まで放冷した後、栓を開き、減量に相当する蒸留水を加えて、再び栓をして1分間振り混ぜた後、5分間静置した。栓を取り外し、pH測定器にてpHを測定した。結果を表2に示す。
(8)平均粒径(D50)
実施例及び比較例で得た粉体(試料)について、レーザー回折・散乱式粒度分析計(HORIBA社製、型番:LA-950-V2)により粒度分布測定を行った。
まずサンプル(試料)0.1gにイオン交換水60mLを加えることにより、試料の懸濁液を準備した。イオン交換水を試料循環器に循環させ、透過率が80~95%になるように上記懸濁液を滴下して、循環速度5、撹拌速度1にて測定を行った。結果を表1に示す。
(9)ICP発光分光分析
各粉体中の元素含有量は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置(SII社製、ICP SPS3100)を用い、スカンジウム(Sc)を内標準とした検量線法によって求めた。測定試料は、四ホウ酸リチウムを用いたアルカリ溶融法により調製した。
実施例1(粒子状シリカの合成)
水相成分の調製;
水ガラス3号30g(シリカ含有量0.14mol、Na2O/SiO2(モル比)=3.2、水分含有量61.6%:日本化学工業社製)をイオン交換水30gに溶解させ、ケイ酸ナトリウム水溶液を調製した。また、アルミン酸ナトリウム1.2g、(0.015mol;和光純薬社製)をイオン交換水26gに溶解させ、アルミン酸ナトリウム水溶液を調製した。
油相成分の調製;
親油性非イオン界面活性剤1.5g(レオドールSP-O10V(HLB=4.3;花王社製)をn-ヘキサン47g(和光純薬社製)に溶かし、親油性非イオン界面活性剤のn-ヘキサン溶液を調製した。
エマルションの調製;
上記した油相成分に、水相成分であるケイ酸ナトリウム水溶液とアルミン酸ナトリウム水溶液を混合し、ホモディスパーを用いて周速5.4m/秒にて1分間撹拌し、エマルションを得た。なお、水相成分におけるSiO2濃度は、1.9mol/Lであった。
また上述した方法により、得られた粒子状シリカの粒子内部に存在する不透明な粒子の個数を計算し、不透明な粒子が観察された割合を算出し、屈折率を測定した。得られた粒子状シリカの屈折率1.5の屈折液中での光学顕微鏡写真を図2bに、結果を表1にそれぞれ示す。また、得られた粒子状シリカの顔料試験方法によるpH値を表2に示す。
実施例1におけるアルミン酸ナトリウム水溶液の量を表1に記載の量に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により、粒子状シリカを含む粉末を得た。得られた粒子状シリカの粉末X線回折パターン測定結果を図1に、顕微鏡写真(SEM写真)を図3aに示す。
また上述した方法により、得られた粒子状シリカの粒子内部に存在する不透明な粒子の個数を計算し、不透明な粒子が観察された割合を算出し、屈折率を測定した。得られた粒子状シリカの屈折率1.5の屈折液中での光学顕微鏡写真を図3bに、結果を表1にそれぞれ示す。また、得られた粒子状シリカの顔料試験方法によるpH値を表2に示す。
実施例1におけるアルミン酸ナトリウム水溶液の量、および炭酸水素アンモニウム水溶液の量を表1に記載の量に変更したこと、ホモディスパーの周速を4.2m/秒に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により、粒子状シリカを含む粉末を得た。得られた粒子状シリカの顕微鏡写真(SEM写真)を図4~6に示す。
また上述した方法により、得られた粒子状シリカの粒子内部に存在する不透明な粒子の個数を計算し、不透明な粒子が観察された割合を算出し、屈折率を測定した。結果を表1にそれぞれ示す。
アルミン酸ナトリウム水溶液を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の操作により、粒子状シリカを含む粉末を得た。得られた粒子状シリカの粉末X線回折パターン測定結果を図1に、顕微鏡写真(SEM写真)を図7aに示す。
また上述した方法により、得られた粒子状シリカの粒子内部に存在する不透明な粒子の個数を計算し、不透明な粒子が観察された割合を算出し、屈折率を測定した。得られた粒子状シリカの屈折率1.5の屈折液中での光学顕微鏡写真を図7bに、結果を表1にそれぞれ示す。また、得られた粒子状シリカの顔料試験方法によるpH値を表2に示す。
アルミン酸ナトリウム水溶液の量、および炭酸水素アンモニウム水溶液の量を表1に記載の量に変更したこと、ホモディスパーの周速を4.2m/秒に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により、粒子状シリカを含む粉末を得た。比較例3で得られた粒子状シリカの粉末X線回折パターン測定結果を図1に示す。また、比較例2~3、5で得られた粒子状シリカの顕微鏡写真(SEM写真)を図8a、図9a、図11にそれぞれ示す。
また上述した方法により、得られた粒子状シリカの粒子内部に存在する不透明な粒子の個数を計算し、不透明な粒子が観察された割合を算出し、屈折率を測定した。比較例2、3で得られた粒子状シリカの屈折率1.5の屈折液中での光学顕微鏡写真を図8b、図9bに、結果を表1にそれぞれ示す。
アルミン酸ナトリウム水溶液の量、および炭酸水素アンモニウム水溶液の量を表1に記載の量に変更したこと、ホモディスパーの周速を4.2m/秒に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により、粒子状シリカを含む粉末を得た。得られた粒子状シリカの顕微鏡写真(SEM写真)を図10に示す。
また上述した方法により、得られた粒子状シリカの粒子内部に存在する不透明な粒子の個数を計算し、不透明な粒子が観察された割合を算出し、屈折率を測定した。結果を表1に示す。
エチレン-酢酸ビニル系共重合体(三井・デュポンポリケミカル社製、エバフレックス(R)EV360、「EVA樹脂」とも称す)49.5gに実施例1の粒子状シリカを0.5g添加し、樹脂混練機(東洋精機製、ラボプラストミル)に投入し、温度90℃、ローター回転数60rpmの条件下で20分間混練することで、樹脂組成物1を得た。この樹脂組成物1を、プレス機(東洋精機製、Mini Test Press MP-WNH)を用い、温度:130℃、加圧条件:0.6MPa×5分、2MPa×3分、5MPa×2分(この順に)にてプレスした後、室温まで冷却することで、1mm厚のシート1を得た。得られたシートの全光線透過率及びヘイズを測定した。結果を表2に示す。
粒子状シリカの種類を表2に示す通りに変更したこと以外は、試験例1と同様にして、シート2、3をそれぞれ作製した。得られたシートの全光線透過率及びヘイズを測定した。結果を表2に示す。
(1)粒子状シリカの合成
実施例2と同様の方法により、粒子状シリカを含む粉末を得た。
(2)含浸液の調製
酸化ユーロピウム(信越化学工業製)を60%硝酸(和光純薬工業製)で溶解し、イオン交換水を加えて1mol/Lの硝酸ユーロピウム水溶液を調製した。
(3)蛍光シリカの合成
上記(1)で合成した粒子状シリカを含む粉末に、1mol/Lの硝酸ユーロピウム水溶液を、シリカ0.1molに対して0.75mol(0.75mL)の割合で添加し、テフロン(登録商標)容器中でスターラーにて撹拌混合した。混合後の湿ったスラリーを蒸発皿へ移し、130℃で一晩乾燥し、水分を除去した。乾燥後の粉末を乳鉢で解砕し、アルミナ製坩堝に充填して、大気雰囲気中で200℃/時で450℃まで昇温し、そのまま1時間保持後、200℃/時で室温まで降温した。
こうして得られた焼成物を乳鉢で解砕し、アルミナ製坩堝に充填して、還元雰囲気(1%水素含有窒素)中で200℃/時で900℃まで昇温し、そのまま2時間保持後、200℃/時で室温まで降温した。
こうして得られた焼成物を、乳鉢粉砕してユーロピウムを含有する蛍光シリカ粉末を得た。得られた蛍光シリカの顕微鏡写真(SEM写真)を図12aに示す。
また上述した方法により、得られた蛍光シリカの粒子内部に存在する不透明な粒子の個数を計算し、不透明な粒子が観察された割合を算出し、屈折率を測定した。得られた蛍光シリカの屈折率1.5の屈折液中での光学顕微鏡写真を図12bに、結果を表3にそれぞれ示す。
(4)樹脂成形体(シート)の作製及び評価
エチレン-酢酸ビニル系共重合体(三井・デュポンポリケミカル社製、エバフレックス(R)EV360、「EVA樹脂」とも称す)49.5gに試験例4の蛍光シリカを0.5g添加し、樹脂混練機(東洋精機製、ラボプラストミル)に投入し、温度90℃、ローター回転数60rpmの条件下で20分間混練することで、樹脂組成物4を得た。この樹脂組成物4を、プレス機(東洋精機製、Mini Test Press MP-WNH)を用い、温度:130℃、加圧条件:0.6MPa×5分、2MPa×3分、5MPa×2分(この順に)にてプレスした後、室温まで冷却することで、1mm厚のシート4を得た。得られたシートの全光線透過率及びヘイズを測定した。結果を表3に示す。
(1)粒子状シリカの合成
実施例2と同様の方法により、粒子状シリカを含む粉末を得た。
(2)含浸液の調製
酸化ユーロピウム(信越化学工業製)を60%硝酸(和光純薬工業製)で溶解し、イオン交換水を加えて1mol/Lの硝酸ユーロピウム水溶液を調製した。また、硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業製)をイオン交換水に溶解させて1mol/Lの硝酸塩水溶液を調製した。
(3)蛍光シリカの合成
シリカ粉末に、1mol/Lの硝酸アルミニウム水溶液及び1mol/Lの硝酸ユーロピウム水溶液を、それぞれシリカ0.1molに対して7.5mol(7.5mL)、0.75mol(0.75mL)の割合で添加し、テフロン(登録商標)容器中でスターラーにて撹拌混合した。混合後の湿ったスラリーを蒸発皿へ移し、130℃で一晩乾燥し、水分を除去した。乾燥後の粉末を乳鉢で解砕し、アルミナ製坩堝に充填して、大気雰囲気中で200℃/時で450℃まで昇温し、そのまま1時間保持後、200℃/時で室温まで降温した。
こうして得られた焼成物を乳鉢で解砕し、アルミナ製坩堝に充填して、還元雰囲気(1%水素含有窒素)中で200℃/時で900℃まで昇温し、そのまま2時間保持後、200℃/時で室温まで降温した。
こうして得られた焼成物を、乳鉢粉砕してアルミニウムとユーロピウムを含有する蛍光シリカ粉末を得た。得られた蛍光シリカの顕微鏡写真(SEM写真)を図13aに示す。
また上述した方法により、得られた蛍光シリカの粒子内部に存在する不透明な粒子の個数を計算し、不透明な粒子が観察された割合を算出し、屈折率を測定した。得られた蛍光シリカの屈折率1.5の屈折液中での光学顕微鏡写真を図13bに、結果を表3にそれぞれ示す。
また、(4)樹脂成形体(シート)の作製及び評価の工程において、蛍光シリカを試験例5にて得られた蛍光シリカに変更したこと以外は、試験例4と同様にして、シート5を得た。得られたシートの全光線透過率及びヘイズを測定した。結果を表3に示す。
また、試験例4、5で得られた蛍光シリカ粒子の発光スペクトル測定結果を図15aに、試験例4、5で得られたシート4、5の発光スペクトル測定結果を図15bにそれぞれ示す。
試験例5において、実施例2と同様の方法により合成した粒子状シリカを含む粉末を使用する代わりに市販の高純度シリカ粒子(Carplex BS312PH(DSLジャパン社製))を使用したこと、(3)蛍光体の合成の工程において、硝酸アルミニウムの添加量をシリカ0.1molに対して5molの割合に変更したこと、及び、還元雰囲気(1%水素含有窒素)中での焼成を1100℃まで昇温して行ったこと以外は試験例4と同様にして蛍光シリカ粉末を得た。得られた蛍光シリカの顕微鏡写真(SEM写真)を図14aに示す。
また上述した方法により、得られた蛍光シリカの粒子内部に存在する不透明な粒子の個数を計算し、不透明な粒子が観察された割合を算出し、屈折率を測定した。得られた蛍光シリカの屈折率1.5の屈折液中での光学顕微鏡写真を図14bに、結果を表3にそれぞれ示す。
また、(4)樹脂成形体(シート)の作製及び評価の工程において、蛍光シリカを試験例6にて得られた蛍光シリカに変更したこと以外は、試験例4と同様にして、シート6を得た。得られたシートの全光線透過率及びヘイズを測定した。結果を表3に示す。
(1)粒子状シリカの合成
比較例1と同様の方法により、粒子状シリカを含む粉末を得た。
(2)含浸液の調製
硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業製)をイオン交換水に溶解させて1mol/Lの硝酸塩水溶液を調製した。
(3)アルミニウム化合物含浸工程
シリカ粉末に、1mol/Lの硝酸アルミニウム水溶液を、シリカ0.1molに対して7.5mol(7.5mL)の割合で添加し、テフロン(登録商標)容器中でスターラーにて撹拌混合した。混合後の湿ったスラリーを蒸発皿へ移し、130℃で一晩乾燥し、水分を除去した。乾燥後の粉末を乳鉢で解砕し、アルミナ製坩堝に充填して、大気雰囲気中で200℃/時で900℃まで昇温し、そのまま1時間保持後、200℃/時で室温まで降温した。
こうして得られた焼成物を、乳鉢粉砕してアルミニウム化合物を含有する粒子状シリカ粉末を得た。
また上述した方法により、得られた粒子状シリカの粒子内部に存在する不透明な粒子の個数を計算し、不透明な粒子が観察された割合を算出し、屈折率を測定した。結果を表3に示す。
また、(4)樹脂成形体(シート)の作製及び評価の工程において、蛍光シリカを試験例7にて得られた粒子状シリカに変更したこと以外は、試験例4と同様にして、シート7を得た。得られたシートの全光線透過率及びヘイズを測定した。結果を表3に示す。
実施例1~5で得た粉体は、すべて本発明の粒子状シリカに該当し、比較例1で得た粉体に比べて高い屈折率を示した。このことは、比較例1で得た粉体を屈折率1.5の屈折液に分散して観察した光学顕微鏡写真において、粒子の輪郭が比較的はっきりしていることからも分かる。そのため、試験例1、2で作製したEVAの樹脂シート1、2は、試験例3の樹脂シートに比べて高い透明性を示した。また、実施例1~2の粒子状シリカの顔料試験方法によるpH値は、比較例1の粒子状シリカに比べて低く、中性~弱塩基性であることから、肌への刺激が抑えられたものであるため、化粧料用途の顔料としても好適に使用することができる。一方、比較例2~5で得た粉体は、アルミニウム化合物の含有量、及びD50のうち1以上が本発明で規定した範囲外となり、かつ粒子内部に不透明な粒子が観察される粒子状シリカの割合、及び平均円形度はすべて範囲外となる点で、いずれも本発明の粒子状シリカとは相違する。比較例2~5で得た粉体は、屈折率1.5の屈折液に分散して観察した光学顕微鏡写真において、不透明な粒子が数多く存在することから、EVAの樹脂シートにおいても透明性が著しく低くなることは明らかである。
Claims (7)
- 粒子状の形状を有し、アモルファスである粒子状シリカであって、
該粒子状シリカは、アルミニウム化合物を含み、
該アルミニウム化合物の含有量が、該粒子状シリカに含まれるシリカ100mol%に対してAl換算で0.5~9mol%であり、
光学顕微鏡で該粒子状シリカの屈折率から±0.01の屈折率を有する屈折率標準液に分散して観察したときに、粒子内部に不透明な粒子が観察される粒子状シリカの割合が、粒子状シリカ100個当たり、10個以下であることを特徴とする粒子状シリカ。 - 平均粒径が2~30μmであることを特徴とする請求項1に記載の粒子状シリカ。
- 平均円形度が70以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粒子状シリカ。
- 請求項1~3のいずれかに記載の粒子状シリカとユーロピウム化合物を含む複合酸化物であることを特徴とする蛍光シリカ。
- 請求項1~3のいずれかに記載の粒子状シリカと樹脂を含むことを特徴とする樹脂組成物。
- 請求項4に記載の蛍光シリカと樹脂を含むことを特徴とする樹脂組成物。
- 粒子状の形状を有し、アモルファスである粒子状シリカを製造する製造方法であって、
該製造方法は、ケイ酸アルカリ水溶液、アルミニウム化合物又はその水溶液、界面活性剤及び有機溶媒を含む原料を混合してエマルションを得る工程と、
該エマルションを得る工程で得られたエマルションと無機塩及び有機塩から選択される少なくとも1種の塩とを混合する工程とを含み、
該エマルションを得る工程におけるアルミニウム化合物又はその水溶液の量は、アルミニウム化合物又はその水溶液に含まれるアルミニウム化合物の量が、該エマルションを得る工程におけるケイ酸アルカリ水溶液に含まれるケイ酸アルカリ金属塩のシリカ換算で100mol%に対してAl換算で0.5~15mol%となる量であり、かつ
有機溶媒の量は、該エマルションを得る工程における水に対する重量比(有機溶媒/水)で、0.35~0.9となる量である
ことを特徴とする粒子状シリカの製造方法。
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