JP7458576B2 - 酸化タンタル粒子、及び酸化タンタル粒子の製造方法 - Google Patents

酸化タンタル粒子、及び酸化タンタル粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化タンタル粒子、及び酸化タンタル粒子の製造方法に関する。
酸化タンタルは、優れた誘電特性、可視光域での高屈折率(2.16)などを有し、高温や薬品等に対しても非常に高い安定性を示すことから、コンデンサ、誘電体、圧電体など電子セラミック材料、光学材料、触媒材料、エレクトロニクス材料などとして幅広く使用されている。
例えば、特許文献1には、タンタルアルコキシドのアルコール溶液に水のアルコール溶液を添加し、タンタルアルコキシドの加水分解により、1.0~1.5μmの粒径の五酸化タンタル微粒子(特許請求の範囲、実施例等)が得られることが開示されている。
特許文献2には、五塩化タンタルをアルコールに溶解し、そのまま溶媒を蒸発させるか、若しくは加熱還流した後、溶媒を蒸発させ、その後600℃~800℃で加熱することにより、平均分散粒子径80nmの五酸化タンタル微粒子(請求項1、実施例7等)が得られることが開示されている。
特許文献3には、タンタル原料および界面活性剤を含有する溶液と、水とアルコールの混合溶媒とを混合し、前記混合溶媒中で前記タンタル原料を反応させて酸化タンタル中に前記界面活性剤が導入された酸化タンタル/界面活性剤複合微粒子を形成させ、前記酸化タンタル/界面活性剤複合微粒子に水熱処理を施して多孔体前駆体微粒子を形成させ、前記多孔体前駆体微粒子中の前記界面活性剤を除去して、アモルファス粒子である、酸化タンタルメソ多孔体微粒子を得ることが開示されている。
特開昭62-91422号公報 特開2004-311315号公報 特開2011-136897号公報
しかしながら、従来の酸化タンタル微粒子の製造方法では、いずれも、粒子形状を安定して制御できる酸化タンタル粒子の合成は困難であった。
そこで、本発明は、粒子形状を安定して制御できる酸化タンタル粒子、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含するものである。
[1] モリブデンを含む酸化タンタル粒子。
[2] 前記酸化タンタル粒子が多面体形状の粒子を含む、前記[1]に記載の酸化タンタル粒子。
[3] 前記酸化タンタル粒子をXRF分析することによって求められる前記酸化タンタル粒子100質量%に対するMoO含有率(M)が0.1~10.0質量%である、前記[1]又は[2]に記載の酸化タンタル粒子。
[4] 前記酸化タンタル粒子をXRF分析することによって求められる前記酸化タンタル粒子100質量%に対するTa含有率(T)が85.0~99.9質量%である、前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の酸化タンタル粒子。
[5] 前記酸化タンタル粒子の2θ=22.8°における結晶子径が160nm以上である、前記[1]~[4]のいずれか一項に記載の酸化タンタル粒子。
[6] 前記酸化タンタル粒子の2θ=36.6°における結晶子径が100nm以上である、前記[1]~[5]のいずれか一項に記載の酸化タンタル粒子。
[7] 前記酸化タンタル粒子をXPS表面分析することによって求められる前記酸化タンタル粒子の表層100質量%に対するTa含有率(T)が70.0~99.5質量%であり、前記酸化タンタル粒子をXPS表面分析することによって求められる前記酸化タンタル粒子の表層100質量%に対するMoO含有率(M)が0.5~30.0質量%である、前記[1]~[6]のいずれか一項に記載の酸化タンタル粒子。
[8] 前記モリブデンが、前記酸化タンタル粒子の表層に偏在している、前記[1]~[7]のいずれか一項に記載の酸化タンタル粒子。
[9] BET法により求められる比表面積が、10m/g以下である、前記[1]~[8]のいずれか一項に記載の酸化タンタル粒子。
[10] モリブデン化合物の存在下で、タンタル化合物を焼成することを含む、酸化タンタル粒子の製造方法。
[11] 前記モリブデン化合物が、酸化モリブデンである、前記[10]に記載の酸化タンタル粒子の製造方法。
[12] 前記タンタル化合物を焼成する最高焼成温度が800~1600℃である、前記[10]又は[11]に記載の酸化タンタル粒子の製造方法。
[13] モリブデン化合物中のモリブデン原子とタンタル化合物中のタンタル原子のモル比が、Mo/Ta=0.2以上である、前記[10]~[12]のいずれか一項に記載の酸化タンタル粒子の製造方法。
本発明により、粒子形状を安定して制御できる酸化タンタル粒子、及びその製造方法を提供することができる。
実施例1の酸化タンタル粒子のSEM写真である。 実施例2の酸化タンタル粒子のSEM写真である。 実施例3の酸化タンタル粒子のSEM写真である。 比較例1の酸化タンタル粒子のSEM写真である。 比較例2の酸化タンタル粒子のSEM写真である。 実施例及び比較例の酸化タンタル粒子のX線回折(XRD)パターンである。
<酸化タンタル粒子>
本実施形態の酸化タンタル粒子は、モリブデンを含む酸化タンタル粒子である。
本実施形態の酸化タンタル粒子は、モリブデンを含んでおり、後述する製造方法において、モリブデンの配合量や存在状態を制御することにより、多面体形状に粒子形状を安定して制御でき、使用する用途に応じた酸化タンタル粒子の物性や性能、例えば色相や透明性などの光学特性等を任意に調整することができる。
本明細書において、酸化タンタル粒子の粒子形状を制御することとは、製造された酸化タンタル粒子の粒子形状が無定形では無いことを意味する。本明細書において、粒子形状の制御された酸化タンタル粒子とは、粒子形状が無定形では無い酸化タンタル粒子を意味する。
実施形態の製造方法により製造された一実施形態の酸化タンタル粒子は、後述の実施例に示されるように、立方体形状、角柱状、その他の多面体形状特有の自形を有することができる。
前記酸化タンタル粒子は多面体形状の粒子を含むことが好ましい。本実施形態の酸化タンタル粒子は、モリブデンを含んでおり、後述する製造方法において、モリブデンの配合量や存在状態を制御することにより、多面体形状に粒子形状を安定して制御できる。
本明細書において、「多面体形状」とは、6面体以上、好ましくは8面体以上、より好ましくは10~30面体であることを意味する。多面体形状には、立方体形状、角柱状を含むものとする。
本実施形態の酸化タンタル粒子は、前記酸化タンタル粒子をXRF分析することによって求められる前記酸化タンタル粒子100質量%に対するMoO含有率(M)が0.1~10.0質量%であることが好ましい。
MoO含有率(M)は、0.3~8.0質量%であることがより好ましく、0.5~6.0質量%であることがさらに好ましい。
MoO含有率(M)とは、MoOの検量線をあらかじめ求めておき、酸化タンタル粒子をXRF(蛍光X線)分析して、MoOの含有量を、酸化タンタル粒子100質量%に対するMoO含有率として求めた値を云う。
本実施形態の酸化タンタル粒子は、前記酸化タンタル粒子をXRF分析することによって求められる前記酸化タンタル粒子100質量%に対するTa含有率(T)が85.0~99.9質量%であることが好ましい。
Ta含有率(T)は、87.0~99.7質量%であることがより好ましく、89.0~99.5質量%であることがさらに好ましい。
Ta含有率(T)とは、Taの検量線をあらかじめ求めておき、酸化タンタル粒子をXRF(蛍光X線)分析して、Taの含有量を、酸化タンタル粒子100質量%に対するTa含有率として求めた値を云う。
本実施形態の酸化タンタル粒子の2θ=22.8°における結晶子径は、好ましくは160nm以上である。本実施形態の多面体形状の酸化タンタル粒子は、2θ=22.8°における結晶子径が160nm以上と大きいので、結晶性を高く保持でき、平均粒径を制御し易く、粒度分布を狭く制御し易い。
本明細書において、酸化タンタル粒子の2θ=22.8°における結晶子径とは、X線回折法(XRD法)を用いて測定された2θ=22.8°±0.2°に出現するピークの半値幅からシェラー式を用いて算出された結晶子径の値を採用するものとする。
本実施形態の酸化タンタル粒子の2θ=22.8°における結晶子径は、より好ましくは180nm以上であり、さらに好ましくは200nm以上であり、特に好ましくは210nm以上である。本実施形態の酸化タンタル粒子の2θ=22.8°における結晶子径は800nm以下であってもよく、600nm以下であってもよく、500nm以下であってもよく、400nm以下であってもよい。本実施形態の酸化タンタル粒子の2θ=22.8°における結晶子径は160nm以上800nm以下であってもよく、好ましくは180nm以上600nm以下であり、より好ましくは200nm以上500nm以下であり、さらに好ましくは210nm以上400nm以下である。
本実施形態の酸化タンタル粒子は、2θ=36.6°における結晶子径が100nm以上であることが好ましく、120nm以上であることがより好ましく、140nm以上であることがさらに好ましい。本実施形態の酸化タンタル粒子は、2θ=36.6°における結晶子径が600nm以下であってもよく、550nm以下であってもよく、500nm以下であってもよい。本実施形態の酸化タンタル粒子は、2θ=36.6°における結晶子径が100nm以上600nm以下であることが好ましく、120nm以上550nm以下であることがより好ましく、140nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、酸化タンタル粒子の2θ=36.6°における結晶子径とは、X線回折法(XRD法)を用いて測定された2θ=36.6°±0.2°に出現するピークの半値幅からシェラー式を用いて算出された結晶子径の値を採用するものとする。
本実施形態の多面体形状の酸化タンタル粒子は、2θ=22.8°における結晶子径が160nm以上であり、かつ、2θ=36.6°における結晶子径が100nm以上と大きいので、結晶性を高く保持でき、平均粒径を制御し易く、粒度分布を狭く制御し易い。
本実施形態の酸化タンタル粒子は、前記酸化タンタル粒子をXPS表面分析することによって求められる前記酸化タンタル粒子の表層100質量%に対するTa含有率(T)が70.0~99.5質量%であり、前記酸化タンタル粒子をXPS表面分析することによって求められる前記酸化タンタル粒子の表層100質量%に対するMoO含有率(M)が0.5~30.0質量%であることが好ましい。
Ta含有率(T)とは、酸化タンタル粒子をX線光電子分光法(XPS:XrayPhotoelectron Spectroscopy)により、XPS表面分析することによって、各元素について存在比(atom%)を取得し、タンタル含有量を酸化物換算することにより、酸化タンタル粒子の表層100質量%に対するTaの含有率として求めた値を云う。
MoO含有率(M)とは、酸化タンタル粒子をX線光電子分光法(XPS:XrayPhotoelectron Spectroscopy)により、XPS表面分析することによって、各元素について存在比(atom%)を取得し、モリブデン含有量を酸化物換算することにより、酸化タンタル粒子の表層100質量%に対するMoOの含有率として求めた値を云う。
ここで、「表層」とは実施形態に係る酸化タンタル粒子の表面から10nm以内のことをいう。この距離は、実施例において計測に用いたXPSの検出深さに対応する。
ここで「表層に偏在」するとは、前記表層における単位体積あたりのモリブデン又はモリブデン化合物の質量が、前記表層以外における単位体積あたりのモリブデン又はモリブデン化合物の質量よりも多い状態をいう。
本実施形態の酸化タンタル粒子は、モリブデンが、前記酸化タンタル粒子の表層に偏在していることが好ましい。前記酸化タンタル粒子をXPS表面分析することによって求められる前記酸化タンタル粒子の表層100質量%に対するMoO含有率(M)が、前記酸化タンタル粒子をXRF分析することによって求められる前記酸化タンタル粒子100質量%に対するMoO含有率(M)よりも、多いことで、モリブデンが、酸化タンタル粒子の表層に偏在していることを確認することができる。
酸化タンタル粒子をXRF分析することによって求められる前記MoO含有率(M)に対する、酸化タンタル粒子をXPS表面分析することによって求められる前記MoO含有率(M)の表面偏在比(M/M)は、1よりも大きいことが好ましく、1.01~8.0であることがより好ましく、1.03~6.0であることがさらに好ましく、1.05~4.0であることが特に好ましい。
本実施形態の酸化タンタル粒子の、BET法により求められる比表面積は、10m/g以下であってもよく、5m/g以下であってもよく、1m/g以下であってもよく、0.6m/g以下であってもよい。
本実施形態の酸化タンタル粒子の、BET法により求められる比表面積は、0.01~10m/gであってもよく、0.03~5m/gであってもよく、0.06~1m/gであってもよく、0.1~0.6m/gの範囲であってもよい。
本実施形態の酸化タンタル粒子の一次粒子の平均粒径は、2~1000μmであってもよく、3~500μmであってもよく、4~400μmであってもよく、5~200μmであってもよい。
酸化タンタル粒子の一次粒子の平均粒径とは、酸化タンタル粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影し、二次元画像上の凝集体を構成する最小単位の粒子(すなわち、一次粒子)について、その長径(観察される最も長い部分のフェレ径)と短径(その最も長い部分のフェレ径に対して、垂直な向きの短いフェレ径)を計測し、その平均値を一次粒子径としたとき、少なくとも50個の一次粒子の一次粒子径の平均値を云う。
実施形態の酸化タンタル粒子は、酸化タンタル粒子の集合体として提供可能であり、上記のMoO含有率、Ta含有率、及び比表面積の値は、前記集合体を試料として求められた値を採用することができる。
実施形態の酸化タンタル粒子は、例えば、後述の<酸化タンタル粒子の製造方法>により製造することができる。
なお、なお、本発明の酸化タンタル粒子は、下記実施形態の酸化タンタル粒子の製造方法で製造されたものに限定されるものではない。
実施形態の酸化タンタル粒子は、酸化タンタルとモリブデンの両者の特性を兼ね備えることのできる、非常に有用なものである。
<酸化タンタル粒子の製造方法>
本実施形態の製造方法は、前記酸化タンタル粒子の製造方法であって、モリブデン化合物の存在下で、タンタル化合物を焼成することを含む。モリブデン化合物の存在下でタンタル化合物を焼成することで、モリブデン化合物を二酸化モリブデン(MoO)に変化させることができ、タンタル化合物を酸化タンタル(Ta)に変化させることができる。
本実施形態の酸化タンタル粒子の製造方法によれば、モリブデンを含む、上記の本発明の一実施形態にかかる酸化タンタル粒子を製造可能である。
本実施形態の酸化タンタル粒子の製造方法は、モリブデン化合物の存在下で、前記タンタル化合物を焼成することにより、粒子形状を安定して制御でき、酸化タンタル粒子の結晶子径を大きくすることができ、酸化タンタル粒子を多面体形状にすることができ、酸化タンタル粒子を凝集性が低く、分散性に優れるものとすることができる。
酸化タンタル粒子の好ましい製造方法は、タンタル化合物と、モリブデン化合物と、を混合して混合物とする工程(混合工程)と、前記混合物を焼成する工程(焼成工程)を含む。
[混合工程]
混合工程は、タンタル化合物と、モリブデン化合物と、を混合して混合物とする工程である。以下、混合物の内容について説明する。
(タンタル化合物)
前記タンタル化合物としては、焼成して酸化タンタル(Ta)となり得る化合物であれば限定されない。前記タンタル化合物として、酸化タンタル(α-Ta、β-Ta、γ-Ta、δ-Ta、TaO、TaO等)であってもよく、水酸化タンタル(Ta(OH))であってもよく、ハロゲン化タンタル(TaCl、TaBr等)であってもよく、これらに限られない。酸化タンタルが好ましい。
(モリブデン化合物)
前記モリブデン化合物としては、酸化モリブデン、硫化モリブデン、モリブデン酸等が挙げられる。
前記酸化モリブデンとしては、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン等が挙げられ、三酸化モリブデンが好ましい。
本実施形態の酸化タンタル粒子の製造方法において、モリブデン化合物はフラックス剤として用いられる。本明細書中では、以下、フラックス剤としてモリブデン化合物を用いたこの製造方法を単に「フラックス法」ということがある。なお、かかる焼成により、モリブデン化合物がタンタル化合物と高温で反応し、モリブデン酸タンタルを形成した後、このモリブデン酸タンタルが、さらに、より高温で酸化タンタルと酸化モリブデンに分解する際に、モリブデン化合物が酸化タンタル粒子内に取り込まれるものと考えられる。酸化モリブデンは昇華して、系外に取り除かれるとともに、この過程で、モリブデン化合物とタンタル化合物が反応することにより、モリブデン化合物が酸化タンタル粒子の表層に形成されるものと考えられる。酸化タンタル粒子に含まれるモリブデン化合物の生成機構について、より詳しくは、酸化タンタル粒子の表層に、モリブデンとTa原子の反応によるMo-O-Taの形成が起こり、高温焼成することでMoが脱離するとともに、酸化タンタル粒子の表層に、酸化モリブデン、又はMo-O-Ta結合を有する化合物等が形成するものと考えられる。
酸化タンタル粒子に取り込まれない酸化モリブデンは、昇華させることにより回収して、再利用することもできる。こうすることで、酸化タンタル粒子の表面に付着する酸化モリブデン量を低減でき、酸化タンタル粒子本来の性質を最大限に付与することができる。
なお、本発明においては、後記する製造方法において昇華しうる性質を有するものをフラックス剤と称するものとする。
本実施形態の酸化タンタル粒子の製造方法において、モリブデン化合物中のモリブデン原子とタンタル化合物中のタンタル原子のモル比が、Mo/Ta=0.2以上であることが好ましく、0.4以上であることがより好ましく、0.6以上であることがさらに好ましく、0.8以上であることが特に好ましい。
上記のモリブデン化合物中のモリブデン原子とタンタル化合物中のタンタル原子のモル比の上限値は、適宜定めればよいが、使用するモリブデン化合物の削減と製造効率向上の観点から、例えば、Mo/Ta=14以下であってもよく、12以下であってもよく、10以下であってもよく、9以下であってもよい。
上記のモリブデン化合物中のモリブデン原子とタンタル化合物中のタンタル原子のモル比の数値範囲の一例としては、例えば、Mo/Ta=0.2~14が好ましく、0.4~12がより好ましく、0.6~10がさらに好ましく、0.8~9が特に好ましい。
なお、タンタルに対するモリブデンの使用量を増やすほど、一次粒子の平均粒径が大きな酸化タンタル粒子が得られる傾向にある。
本実施形態の酸化タンタル粒子の製造方法において、タンタル化合物、及びモリブデン化合物の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、前記混合物100質量%に対して、35質量%以上のタンタル化合物と、65質量%以下のモリブデン化合物と、を混合して混合物とし、前記混合物を焼成することができる。より好ましくは、前記混合物100質量%に対して、40質量%以上99質量%以下のタンタル化合物と、1質量%以上60質量%以下のモリブデン化合物と、を混合して混合物とし、前記混合物を焼成することができる。さらに好ましくは、前記混合物100質量%に対して、45質量%以上98質量%以下のタンタル化合物と、2質量%以上55質量%以下のモリブデン化合物とを混合して混合物とし、前記混合物を焼成することができる。
上記の範囲で各種化合物を使用することで、得られる酸化タンタル粒子が含むモリブデン化合物の量がより適当なものとなり、多面体形状が良好に形成され、2θ=22.8°における結晶子径が160nm以上である酸化タンタル粒子を製造することができる。
[焼成工程]
焼成工程は、前記混合物を焼成する工程である。実施形態に係る酸化タンタル粒子は、前記混合物を焼成することで得られる。上記した通り、この製造方法はフラックス法と呼ばれる。
フラックス法は、溶液法に分類される。フラックス法とは、より詳細には、結晶-フラックス2成分系状態図が共晶型を示すことを利用した結晶成長の方法である。フラックス法のメカニズムとしては、以下の通りであると推測される。すなわち、溶質及びフラックスの混合物を加熱していくと、溶質及びフラックスは液相となる。この際、フラックスは融剤であるため、換言すれば、溶質-フラックス2成分系状態図が共晶型を示すため、溶質は、その融点よりも低い温度で溶融し、液相を構成することとなる。この状態で、フラックスを蒸発させると、フラックスの濃度は低下し、換言すれば、フラックスによる前記溶質の融点低下効果が低減し、フラックスの蒸発が駆動力となって溶質の結晶成長が起こる(フラックス蒸発法)。なお、溶質及びフラックスは液相を冷却することによっても溶質の結晶成長を起こすことができる(徐冷法)。
フラックス法は、融点よりもはるかに低い温度で結晶成長をさせることができる、結晶構造を精密に制御できる、自形をもつ多面体結晶体を形成できる等のメリットを有する。
フラックスとしてモリブデン化合物を用いたフラックス法による酸化タンタル粒子の製造では、そのメカニズムは必ずしも明らかではないが、例えば、以下のようなメカニズムによるものと推測される。すなわち、モリブデン化合物の存在下でタンタル化合物を焼成すると、まず、モリブデン酸タンタルが形成される。この際、当該モリブデン酸タンタルは、上述の説明からも理解されるように、酸化タンタルの融点よりも低温で酸化タンタル結晶を成長させる。そして、例えば、フラックスを蒸発させることで、モリブデン酸タンタルが分解し、結晶成長することで酸化タンタル粒子を得ることができる。すなわち、モリブデン化合物がフラックスとして機能し、モリブデン酸タンタルという中間体を経由して酸化タンタル粒子が製造されるのである。
上記フラックス法により、モリブデンを含む多面体形状の酸化タンタル粒子を製造することができる。
焼成の方法は、特に限定はなく、公知慣用の方法で行うことができる。焼成温度が650℃を超えると、タンタル化合物と、モリブデン化合物が反応して、モリブデン酸タンタルを形成する。さらに、焼成温度が800℃以上になると、モリブデン酸タンタルが分解し、酸化タンタル粒子を形成する。また、酸化タンタル粒子では、モリブデン酸タンタルが分解することで、酸化タンタルと酸化モリブデンになる際に、モリブデン化合物が酸化タンタル粒子内に取り込まれるものと考えられる。
また、焼成する時に、タンタル化合物とモリブデン化合物の状態は特に限定されず、モリブデン化合物がタンタル化合物に作用できる同一の空間に存在すれば良い。具体的には、モリブデン化合物とタンタル化合物との粉体を混ぜ合わせる簡便な混合、粉砕機等を用いた機械的な混合、乳鉢等を用いた混合であっても良く、乾式状態、湿式状態での混合であっても良い。
焼成温度の条件に特に限定は無く、目的とする酸化タンタル粒子の平均粒径、酸化タンタル粒子におけるモリブデン化合物の形成、分散性等により、適宜、決定される。焼成温度については、最高焼成温度がモリブデン酸タンタルの分解温度に近い800℃以上が好ましく、900℃以上がより好ましい。
一般的に、焼成後に得られる酸化タンタルの形状を制御しようとすると、酸化タンタルの融点に近い1500℃以上の高温焼成を行う必要があるが、焼成炉へ負担や燃料コストの点から、産業上利用する為には大きな課題がある。
本発明の製造方法は、1500℃を超えるような高温であっても実施可能であるが、1300℃以下という酸化タンタルの融点よりかなり低い温度であっても、前駆体の形状にかかわりなく2θ=22.8°における結晶子径及び2θ=36.6°における結晶子径が大きく、多面体形状の酸化タンタル粒子を形成することができる。
本発明の一実施形態によれば、最高焼成温度が800~1600℃の条件であっても、2θ=22.8°における結晶子径及び2θ=36.6°における結晶子径が大きく、多面体形状の酸化タンタル粒子の形成を低コストで効率的に行うことができ、最高焼成温度が850~1500℃での焼成がより好ましく、最高焼成温度が900~1400℃の範囲の焼成が最も好ましい。
昇温速度は、製造効率の観点、及び、仕込み容器(坩堝や匣鉢)が急速な熱膨張によってダメージを受ける懸念を避ける観点から、1~30℃/minが好ましく、2~20℃/minがより好ましく、3~10℃/minがさらに好ましい。
焼成の時間については、所定の最高焼成温度への昇温時間を15分~10時間の範囲で行い、且つ、所定の最高焼成温度に到達した後、保持時間を1~30時間の範囲で行うことが好ましい。酸化タンタル粒子の形成を効率的に行うには、2~15時間程度の時間の最高焼成温度の保持時間であることがより好ましい。
最高焼成温度が800~1600℃かつ2~15時間の最高焼成温度の保持時間の条件を選択することで、モリブデンを含む多面体形状の酸化タンタル粒子が凝集し難く、容易に得られる。
焼成の雰囲気としては、本発明の効果が得られるのであれば特に限定されないが、例えば、空気や酸素といった含酸素雰囲気や、窒素やアルゴン、又は二酸化炭素といった不活性雰囲気が好ましく、コストの面を考慮した場合は空気雰囲気がより好ましい。
焼成するための装置としても必ずしも限定されず、いわゆる焼成炉を用いることができる。焼成炉は昇華した酸化モリブデンと反応しない材質で構成されていることが好ましく、さらに酸化モリブデンを効率的に利用するように、密閉性の高い焼成炉を用いることが好ましい。
こうすることにより、酸化タンタル粒子の表面に付着するモリブデン化合物量を低減でき、酸化タンタル粒子本来の性質を最大限に付与することができる。
[モリブデン除去工程]
本実施形態の酸化タンタル粒子の製造方法は、焼成工程後、必要に応じてモリブデンの少なくとも一部を除去するモリブデン除去工程をさらに含んでいてもよい。
上述のように、焼成時においてモリブデンは昇華を伴うことから、焼成時間、焼成温度等を制御することで、酸化タンタル粒子表層に存在する酸化モリブデン含有量を制御することができ、また酸化タンタル粒子表層以外(内層)に存在する酸化モリブデン含有量やその存在状態を制御することができる。
モリブデンは、酸化タンタル粒子の表面に付着しうる。上記昇華以外の手段として、当該モリブデンは水、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、酸性水溶液で洗浄することにより除去することができる。なお、モリブデンは酸化タンタル粒子から除去されていなくとも良いが、少なくとも表面のモリブデンは除去した方が、各種バインダーに基づく被分散媒体に分散させて用いる様な際には、酸化タンタル本来の性質を充分に発揮でき、表面に存在したモリブデンによる不都合が生じないので好ましい。
この際、使用する水、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、酸性水溶液の濃度、使用量、及び洗浄部位、洗浄時間等を適宜変更することで、酸化モリブデン含有量を制御することができる。
[粉砕工程]
焼成工程を経て得られる焼成物は酸化タンタル粒子が凝集して、本発明に好適な粒子径の範囲を満たさない場合がある。そのため、酸化タンタル粒子は、必要に応じて、本発明に好適な粒子径の範囲を満たすように粉砕してもよい。
焼成物の粉砕の方法は特に限定されず、ボールミル、ジョークラッシャー、ジェットミル、ディスクミル、スペクトロミル、グラインダー、ミキサーミル等の従来公知の粉砕方法を適用できる。
[分級工程]
酸化タンタル粒子は、平均粒径を調整し、粉体の流動性を向上するため、又はマトリックスを形成するためのバインダーに配合したときの粘度上昇を抑制するために、好ましくは分級処理される。「分級処理」とは、粒子の大きさによって粒子をグループ分けする操作をいう。
分級は湿式、乾式のいずれでも良いが、生産性の観点からは、乾式の分級が好ましい。
乾式の分級には、篩による分級のほか、遠心力と流体抗力の差によって分級する風力分級などがあるが、分級精度の観点からは、風力分級が好ましく、コアンダ効果を利用した気流分級機、旋回気流式分級機、強制渦遠心式分級機、半自由渦遠心式分級機などの分級機を用いて行うことができる。
上記した粉砕工程や分級工程は、必要な段階において行うことができる。これら粉砕や分級の有無やそれらの条件選定により、例えば、得られる酸化タンタル粒子の平均粒径を調整することができる。
本発明の酸化タンタル粒子、或いは本発明の製造方法で得る酸化タンタル粒子は、凝集が少ないもの或いは凝集していないものが、本来の性質を発揮しやすく、それ自体の取扱性により優れており、また被分散媒体に分散させて用いる場合において、より分散性に優れる観点から、好ましい。酸化タンタル粒子の製造方法においては、上記した粉砕工程や分級工程は行わずに、凝集が少ないもの或いは凝集していないものが得られれば、左記工程を行う必要もなく、目的の優れた性質を有する酸化タンタル粒子を、生産性高く製造することができるので好ましい。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[比較例1]
酸化タンタル(Aladdin社製(中国)、Ta)を、比較例1の酸化タンタル粒子とした。比較例1の酸化タンタル粒子のSEM写真を図4に示す。粒子形状は無定形であった。
[比較例2]
(酸化タンタル粒子の製造)
酸化タンタル(Aladdin社製(中国)、Ta)10.0gを容器に取り、酸化アルミニウム製の匣鉢に入れて以下の条件で熱処理を行った。
(熱処理)
モトヤマ社製加熱炉SC-2045D-SPを使用し、室温から1100℃までは約5℃/minで昇温し、1100℃で24時間保持した後、降温させた。
得られた比較例2の酸化タンタル粒子のSEM写真を図5に示す。比較例1の酸化タンタル粒子に比べて、比較例2の酸化タンタル粒子は、粒子成長して粒子径が大きくなったことが確認できる。また、分散性が悪く凝集している。粒子形状は無定形のままであった。
[実施例1]
(酸化タンタル粒子の製造)
酸化タンタル(関東化学株式会社製試薬、Ta)10.0g、及び、三酸化モリブデン(太陽鉱工株式会社製、MoO)0.5gを乳鉢で混合し、混合物を得た。得られた混合物を坩堝に入れ、セラミック電気炉にて1100℃で24時間焼成を行なった。降温後、坩堝をセラミック電気炉から取り出し、10.2gの薄いピンク色の粉末を得た。
続いて、得られた前記粉末の9.5gを0.5%アンモニア水の100mLに分散し、分散溶液を室温(25~30℃)で3時間攪拌後、ろ過によりアンモニア水を除き、水洗浄と乾燥を行うことで、粒子表面に残存するモリブデンを除去し、酸化タンタル粒子の薄いピンク色の粉末9.4gを得た。
得られた実施例1の酸化タンタル粒子のSEM写真を図1に示す。立方体に近い多面体形状の酸化タンタル粒子が観察された。実施例1の酸化タンタル粒子は目立った凝集が見られず、比較例1、2の酸化タンタル粒子に比べて分散性が良い。
[実施例2]
(酸化タンタル粒子の製造)
実施例1において、原料の試薬量を、酸化タンタル(関東化学株式会社製試薬、Ta)10.0g、及び、三酸化モリブデン(太陽鉱工株式会社製、MoO)2.0gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、酸化タンタル粒子の薄いピンク色の粉末を得た。
得られた実施例2の酸化タンタル粒子のSEM写真を図2に示す。多面体形状の酸化タンタル粒子が観察された。実施例2の酸化タンタル粒子は目立った凝集が見られず、比較例1、2の酸化タンタル粒子に比べて分散性が良い。
[実施例3]
(酸化タンタル粒子の製造)
実施例1において、原料の試薬量を、酸化タンタル(関東化学株式会社製試薬、Ta)10.0g、及び、三酸化モリブデン(太陽鉱工株式会社製、MoO)10.0gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、酸化タンタル粒子の薄いピンク色の粉末を得た。
得られた実施例3の酸化タンタル粒子のSEM写真を図3に示す。角柱状に近い多面体形状の酸化タンタル粒子が観察された。実施例3の酸化タンタル粒子は目立った凝集が見られず、比較例1、2の酸化タンタル粒子に比べて分散性が良い。
[酸化タンタル粒子の一次粒子の平均粒径の測定]
酸化タンタル粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した。二次元画像上の凝集体を構成する最小単位の粒子(すなわち、一次粒子)について、その長径(観察される最も長い部分のフェレ径)及び短径(その最も長い部分のフェレ径に対して、垂直な向きの短いフェレ径)を計測し、その平均値を一次粒子径とした。長径及び短径を計測することが可能な50個の一次粒子を対象にして、同様の操作を行い、それらの一次粒子の一次粒子径の平均値から、一次粒子の平均粒径を算出した。結果を表1に示す。
[結晶子径の測定]
検出器として高強度・高分解能結晶アナライザ(CALSA)を備えるX線回折装置(株式会社リガク製、SmartLab)を用いて、下記の測定条件で粉末X線回折(2θ/θ法)による測定を行った。株式会社リガク製、解析ソフトウエア(PDXL)のCALSA関数を用いて解析し、2θ=22.8°における結晶子径については、2θ=22.8°に出現するピークの半値幅からシェラー式を用いて算出し、2θ=36.6°における結晶子径については、2θ=36.6°に出現するピークの半値幅からシェラー式を用いて算出した。ただし、実施例3では、2θ=22.8°及び2θ=36.6°に半値幅を特定できるピークを検出しなかった。結果を表1に示す。
(粉末X線回折法の測定条件)
管電圧:45kV
管電流:200mA
スキャンスピード:0.05°/min
スキャン範囲:10~70°
ステップ:0.002°
βs:20rpm
装置標準幅:米国立標準技術研究所が作製している標準シリコン粉末(NIST、640d)を用いて算出した0.026°を使用した。
[結晶構造解析:XRD(X線回折)法]
実施例1~3及び比較例1~2の酸化タンタル粒子の試料を0.5mm深さの測定試料用ホルダーに充填し、それを広角X線回折(XRD)装置(株式会社リガク製 UltimaIV)にセットし、Cu/Kα線、40kV/40mA、スキャンスピード2°/min、走査範囲10~70°の条件でXRD(X線回折)測定を行った。あらかじめ求めておいた、MoO及びTaの検量線を用いて、MoO及びTaの含有量を、酸化タンタル粒子100質量%に対するMoO含有率及びTa含有率として求めた。実施例1~3及び比較例1~2の酸化タンタル粒子のXRD測定の結果を図6に示す。
実施例1~2及び比較例1~2の酸化タンタル粒子では、2θ=22.8°及び2θ=36.6°に酸化タンタルに由来する結晶ピークが観測された。実施例3の酸化タンタル粒子では、2θ=17.5°及び2θ=25.3°付近に酸化タンタルに由来する結晶ピークが観測された。
[酸化タンタル粒子の比表面積測定]
酸化タンタル粒子の比表面積を、比表面積計(マイクロトラックベル製、BELSORP-mini)にて測定し、BET法による窒素ガスの吸着量から測定された試料1g当たりの表面積を、比表面積(m/g)として算出した。結果を表1に示す。
[酸化タンタル粒子の純度測定:XRF(蛍光X線)分析]
蛍光X線分析装置PrimusIV(株式会社リガク製)を用い、酸化タンタル粒子の試料約70mgをろ紙にとり、PPフィルムをかぶせて、次の条件でXRF(蛍光X線)分析を行った。
測定条件
EZスキャンモード
測定元素:F~U
測定時間:標準
測定径:10mm
残分(バランス成分):なし
XRF分析により得られた酸化タンタル粒子100質量%に対するTa含有率(T)、及び、酸化タンタル粒子100質量%に対するMoO含有率(M)の結果を表1に示す。
[XPS表面分析]
酸化タンタル粒子の表面元素分析は、アルバック・ファイ社製QUANTERA SXMを用い、X線源に単色化Al-Kαを使用し、以下の条件で、X線光電子分光法(XPS:XrayPhotoelectron Spectroscopy)の測定を行い、各元素の表層含有量をatom%で取得した。
・X線源:単色化Al Kα、ビーム径100μmφ、出力25W
・測定:エリア測定(1000μm四方)、n=3
・帯電補正:C1s=284.8eV
そして、XRF結果と比較し易くするため、酸化タンタル粒子の表層のタンタル含有量及び表層のモリブデン含有量を酸化物換算することにより、酸化タンタル粒子の表層100質量%に対するTa含有率(T)(質量%)及び酸化タンタル粒子の表層100質量%に対するMoO含有率(M)(質量%)を求めた。結果を表1に示す。
酸化タンタル粒子をXRF分析することによって求められる前記MoO含有率(M)に対する、酸化タンタル粒子をXPS表面分析することによって求められる前記MoO含有率(M)の表面偏在比(M/M)を計算した。結果を表1に示す。
実施例1~3の酸化タンタル粒子は、従来の酸化タンタル粒子とは形状の異なる、モリブデンを含む形状制御された多面体形状の酸化タンタル粒子であって、従来の酸化タンタル粒子よりも、凝集性が低く、比較的結晶子径が大きい。
実施例1~3の酸化タンタル粒子では、酸化タンタル粒子をXPS表面分析することによって求められる前記酸化タンタル粒子の表層100質量%に対するMoO含有率(M)が、酸化タンタル粒子をXRF分析することによって求められる前記酸化タンタル粒子100質量%に対するMoO含有率(M)よりも多いことで、モリブデンが、酸化タンタル粒子の表層に偏在していることが確認できた。
実施例1~3の酸化タンタル粒子は表面にモリブデンを含み、触媒活性など、モリブデンによる種々の作用が発揮されると期待できる。
各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
本発明の酸化タンタル粒子は、コンデンサ、誘電体、圧電体など電子セラミック材料、光学材料、触媒材料、エレクトロニクス材料や機能性フィラーとしての使用が期待できる。
Figure 0007458576000001

Claims (12)

  1. 一次粒子の平均粒径が2~1000μmである、モリブデンを含む酸化タンタル粒子であって、
    前記酸化タンタル粒子をXRF分析することによって求められる前記酸化タンタル粒子100質量%に対するMoO 含有率(M )が0.1~10.0質量%である、酸化タンタル粒子
  2. 前記酸化タンタル粒子が多面体形状の粒子を含む、請求項1に記載の酸化タンタル粒子。
  3. 前記酸化タンタル粒子をXRF分析することによって求められる前記酸化タンタル粒子100質量%に対するTa含有率(T)が85.0~99.9質量%である、請求項1に記載の酸化タンタル粒子。
  4. 前記酸化タンタル粒子の2θ=22.8°における結晶子径が160nm以上である、請求項1に記載の酸化タンタル粒子。
  5. 前記酸化タンタル粒子の2θ=36.6°における結晶子径が100nm以上である、請求項1に記載の酸化タンタル粒子。
  6. 前記酸化タンタル粒子をXPS表面分析することによって求められる前記酸化タンタル粒子の表層100質量%に対するTa含有率(T)が70.0~99.5質量%であり、前記酸化タンタル粒子をXPS表面分析することによって求められる前記酸化タンタル粒子の表層100質量%に対するMoO含有率(M)が0.5~30.0質量%である、請求項1に記載の酸化タンタル粒子。
  7. 前記モリブデンが、前記酸化タンタル粒子の表層に偏在している、請求項1に記載の酸化タンタル粒子。
  8. BET法により求められる比表面積が、10m/g以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の酸化タンタル粒子。
  9. モリブデン化合物の存在下で、タンタル化合物を焼成することを含む、一次粒子の平均粒径が2~1000μmである、酸化タンタル粒子の製造方法。
  10. 前記モリブデン化合物が、酸化モリブデンである、請求項に記載の酸化タンタル粒子の製造方法。
  11. 前記タンタル化合物を焼成する最高焼成温度が800~1600℃である、請求項に記載の酸化タンタル粒子の製造方法。
  12. モリブデン化合物中のモリブデン原子とタンタル化合物中のタンタル原子のモル比が、Mo/Ta=0.2以上である、請求項11のいずれか一項に記載の酸化タンタル粒子の製造方法。
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