JP2024521400A - セリア粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

セリア粒子は、モリブデンを含む。前記セリア粒子において、前記モリブデンが、前記セリア粒子の表層に偏在していてもよい。前記セリア粒子の、[100]面の結晶子径が250nm以上であってもよい。前記セリア粒子の、[101]面の結晶子径が300nm以上であってもよい。前記セリア粒子の、レーザー回折・散乱法により算出されるメディアン径D50が5.00μm以上1000.00μm以下であってもよい。前記セリア粒子の製造方法は、モリブデン化合物の存在下で、セリウム化合物を焼成することを含む。前記モリブデン化合物が、三酸化モリブデン、モリブデン酸リチウム、モリブデン酸カリウム及びモリブデン酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物であってもよい。前記セリア粒子の製造方法において、焼成温度が800℃以上1600℃以下であってもよい。

Description

本発明は、セリア粒子及びその製造方法に関する。
酸化セリウム(すなわち、セリア)は、セリア中のセリウムが雰囲気の酸素分圧によりその価数が変化すること、ガラスやシリコン等の研磨に最適な硬度を有すること、また、2価若しくは3価の金属酸化物を固溶させると、酸素拡散係数が非常に大きくなること等が知られている。これらの性質から、セリアは、触媒担体や研磨剤をはじめ、燃料電池や酸素ポンプ、酸素センサー等に使用される固体電解質等への応用が期待されており、その用途に適したセリア粉末の粒径コントロールが必要になっている。
例えば、特許文献1には、セリウム酸性塩が0.01~1モル/リットル溶解した水分含有量が8重量%以下の有機溶媒と、有機塩基剤が0.1モル/リットル以上溶解した水分含有量が8重量%以下の有機溶媒とを混合し、水酸化セリウム又は水和したセリアの少なくともいずれか一方の一次粒子が個々に分離した沈殿を生成させ、この沈殿を液相と分離し、乾燥後に仮焼し、凝集のない若しくはほとんどない平均粒径が100nm以下のナノセリア粉末を製造することを特徴とするナノセリア粉末の製造方法が開示されている。
日本国特開2002-201023号公報
しかし、従来のセリア粒子とその製造方法についての知見は限られており、未だ検討の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、粒子径及び粒度分布が制御されたセリア粒子及びその製造方法を提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) モリブデンを含む、セリア粒子。
(2) 前記モリブデンが、前記セリア粒子の表層に偏在している、前記(1)に記載のセリア粒子。
(3) 前記セリア粒子の、[100]面の結晶子径が250nm以上である、前記(1)又は(2)に記載のセリア粒子。
(4) 前記セリア粒子の、[101]面の結晶子径が300nm以上である、前記(1)~(3)のいずれか一つに記載のセリア粒子。
(5) 前記セリア粒子の、レーザー回折・散乱法により算出されるメディアン径D50が5.00μm以上1000.00μm以下である、前記(1)~(4)のいずれか一つに記載のセリア粒子。
(6) 前記セリア粒子をXRF分析することによって求められる前記セリア粒子100質量%に対するCeO含有率Cが60.00質量%以上99.30質量%以下であり、
前記セリア粒子をXRF分析することによって求められる前記セリア粒子100質量%に対するMoO含有率Mが0.05質量%以上40.00質量%以下である、前記(1)~(5)のいずれか一つに記載のセリア粒子。
(7) 前記セリア粒子をXPS表面分析することによって求められる前記セリア粒子の表層100質量%に対するCeO含有率Cが10.00質量%以上90.00質量%以下であり、
前記セリア粒子をXPS表面分析することによって求められる前記セリア粒子の表層100質量%に対するMoO含有率Mが2.00質量%以上70.00質量%以下である、前記(1)~(6)のいずれか一つに記載のセリア粒子。
(8) 前記セリア粒子をXRF分析することによって求められる前記セリア粒子100質量%に対するMoO含有率Mに対する、前記セリア粒子をXPS表面分析することによって求められる前記セリア粒子の表層100質量%に対するMoO含有率Mの表層偏在比M/Mが0.05以上1400.00以下である、前記(1)~(7)のいずれか一つに記載のセリア粒子。
(9) 前記(1)~(8)のいずれか一つに記載のセリア粒子の製造方法であって、
モリブデン化合物の存在下で、セリウム化合物を焼成することを含む、セリア粒子の製造方法。
(10) 前記モリブデン化合物が、三酸化モリブデン、モリブデン酸リチウム、モリブデン酸カリウム及びモリブデン酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である、前記(9)に記載のセリア粒子の製造方法。
(11) 焼成温度が800℃以上1600℃以下である、前記(9)又は(10)に記載のセリア粒子の製造方法。
上記態様のセリア粒子及びその製造方法によれば、粒子径及び粒度分布が制御されたセリア粒子を得ることができる。
図1は、実施例1のセリア粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。スケールバーは5.00μmである。 図2は、実施例2のセリア粒子のSEM像である。スケールバーは5.00μmである。 図3は、比較例1のセリア粒子のSEM像である。スケールバーは5.00μmである。 図4は、実施例及び比較例のセリア粒子のX線回折法(XRD法)による測定結果を示すグラフである。
以下、本発明のセリア粒子、及びセリア粒子の製造方法の実施形態を説明する。
≪セリア粒子≫
実施形態のセリア粒子は、モリブデンを含むものである。実施形態のセリア粒子は、モリブデンを含んでおり、モリブデンに由来する触媒活性等の優れた特性を有する。
実施形態のセリア粒子において、前記モリブデンは、前記セリア粒子の表層に偏在していることが好ましい。
ここで、本明細書において「表層」とは、実施形態のセリア粒子の表面から10nm以内のことをいう。この距離は、実施例において計測に用いたXPSの検出深さに対応する。
ここで「表層に偏在」するとは、前記表層における単位体積あたりのモリブデン又はモリブデン化合物の質量が、前記表層以外における単位体積あたりのモリブデン又はモリブデン化合物の質量よりも多い状態をいう。
実施形態のセリア粒子において、モリブデンが前記セリア粒子の表層に偏在していることは、後述する実施例において示すように、前記セリア粒子をXPS表面分析することによって求められる前記セリア粒子の表層100質量%に対するMoO含有率(M)が、前記セリア粒子をXRF(蛍光X線)分析することによって求められる前記セリア粒子100質量%に対するMoO含有率(M)よりも多いことで確認することができる。
実施形態のセリア粒子において、モリブデンが前記セリア粒子の表層に偏在していることの指標として、実施形態のセリア粒子は、前記MoO含有率(M)に対する、前記MoO含有率(M)の表層偏在比(M/M)が0.05以上1400.00以下であることが好ましく、1.00以上700.00以下であることがより好ましく、20.00以上500.00以下であることがさらに好ましく、25.00以上400.00以下であることが特に好ましい。
モリブデン又はモリブデン化合物を表層に偏在させることで、表層だけでなく表層以外(内層)にも均一にモリブデン又はモリブデン化合物を存在させる場合に比べて、触媒活性等の優れた特性を効率的に付与することができる。
実施形態の製造方法により製造された一実施形態のセリア粒子は、後述の実施例に示されるように、粒状(球状)又は多面体形状の特有の自形を有することができる。
なお、本明細書において、「多面体形状」とは、6面体以上、好ましくは8面体以上30面体以下であることを意味する。また、実施形態のセリア粒子は、下記のフラックス法により形成した多面体形状を有することから、単結晶構造を形成する。
実施形態のセリア粒子は、後述する製造方法において、モリブデン化合物の使用量や種類を制御することにより、得られるセリア粒子の粒子サイズやモリブデン含有量を制御できる。
実施形態のセリア粒子は、[100]面の結晶子径が250nm以上であることが好ましく、255nm以上であることがより好ましく、260nm以上であることがさらに好ましく、265nm以上であることが特に好ましい。実施形態のセリア粒子は、[100]面の結晶子径が1000nm以下であってもよく、500nm以下であってもよく、300nm以下であってもよい。
本明細書において、セリア粒子の[100]面の結晶子径とは、X線回折法(XRD法)を用いて測定された[100]面に帰属されるピーク(すなわち、2θ=28.5°付近に出現するピーク)の半値幅からシェラー式を用いて算出された結晶子径の値を採用するものとする。
実施形態のセリア粒子は、[101]面の結晶子径が300nm以上であることが好ましく、310nm以上であることがより好ましく、330nm以上であることがさらに好ましく、410nm以上であることが特に好ましい。実施形態のセリア粒子は、[101]面の結晶子径が1000nm以下であってもよく、700nm以下であってもよく、500nm以下であってもよい。
本明細書において、セリア粒子の[101]面の結晶子径とは、X線回折法(XRD法)を用いて測定された[101]面に帰属されるピーク(すなわち、2θ=47.5°付近に出現するピーク)の半値幅からシェラー式を用いて算出された結晶子径の値を採用するものとする。
実施形態のセリア粒子の一例として、[100]面の結晶子径が250nm以上であり、[101]面の結晶子径が300nm以上であるセリア粒子が例示できる。当該セリア粒子は、結晶性がより高いものとなり得る。
実施形態のセリア粒子の、レーザー回折・散乱法により算出されるメディアン径D50は、5.00μm以上1000.00μm以下であることが好ましく、6.00μm以上100.00μm以下であることがより好ましく、8.00μm以上50.00μm以下であることがさらに好ましく、12.00μm以上30.00μm以下であることが特に好ましい。
セリア粒子の、レーザー回折・散乱法により算出されるメディアン径D50は、レーザー回折式粒度分布計を用いて乾式で測定された粒子径分布において、体積積算%の割合が50%となる粒子径として求めることができる。
実施形態のセリア粒子の、レーザー回折・散乱法により算出される粒径D10は、1.60μm以上100.00μm以下であることが好ましく、1.80μm以上50.00μm以下であることがより好ましく、2.00μm以上10.00μm以下であることがさらに好ましい。
セリア粒子の、レーザー回折・散乱法により算出される粒径D10は、レーザー回折式粒度分布計を用いて乾式で測定された粒子径分布において、小粒子側からの体積積算%の割合が10%となる粒子径として求めることができる。
実施形態のセリア粒子の、レーザー回折・散乱法により算出される粒径D90は、9.00μm以上1500.00μm以下であることが好ましく、10.00μm以上300.00μm以下であることがより好ましく、15.00μm以上50.00μm以下であることがさらに好ましい。
セリア粒子の、レーザー回折・散乱法により算出される粒径D90は、レーザー回折式粒度分布計を用いて乾式で測定された粒子径分布において、小粒子側からの体積積算%の割合が90%となる粒子径として求めることができる。
実施形態のセリア粒子は、セリア(酸化セリウム)を含むものである。実施形態のセリア粒子が含んでもよい酸化セリウムとしては、CeOが挙げられる。
セリア粒子に含まれるセリア含有量は、XRF分析により測定できる。実施形態のセリア粒子は、前記セリア粒子をXRF分析することによって求められる前記セリア粒子100質量%に対するCeO含有率Cが60.00質量%以上99.30質量%以下であることが好ましく、90.00質量%以上99.10質量%以下であることがより好ましく、93.00質量%以上99.00質量%以下であることがさらに好ましい。
実施形態のセリア粒子は、モリブデンを含むものである。実施形態のセリア粒子は、前記セリア粒子をXRF分析することによって求められる前記セリア粒子100質量%に対するMoO含有率Mが0.05質量%以上40.00質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上20.00質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上10.00質量%以下であることがさらに好ましく、0.05質量%以上2.50質量%以下であることが特に好ましい。
実施形態のセリア粒子における、上記で例示したCeO含有率C及びMoO含有率Mの各上限値及び下限値の値は、自由に組み合わせることができる。また、CeO含有率C及びMoO含有率Mの数値同士も、自由に組み合わせることができる。
実施形態のセリア粒子の一例として、CeO含有率Cが60.00質量%以上99.30質量%以下であり、MoO含有率Mが0.05質量%以上40.00質量%以下であるセリア粒子を例示できる。
CeO含有率C及びMoO含有率Mは、例えば、株式会社リガク製蛍光X線分析装置(PrimusIV)を用いて、XRF分析することにより、測定することができる。
セリア粒子の表層に含まれるセリア含有量は、XPS(X線光電子分光)表面分析により測定できる。実施形態のセリア粒子は、前記セリア粒子をXPS表面分析することによって求められる前記セリア粒子の表層100質量%に対するCeO含有率Cが10.00質量%以上90.00質量%以下であることが好ましく、10.00質量%以上80.00質量%以下であることがより好ましく、10.00質量%以上70.00質量%以下であることがさらに好ましい。
実施形態のセリア粒子は、前記セリア粒子をXPS表面分析することによって求められる前記セリア粒子の表層100質量%に対するMoO含有率Mが2.00質量%以上70.00質量%以下であることが好ましく、10.00質量%以上65.00質量%以下であることがより好ましく、20.00質量%以上60.00質量%以下であることがさらに好ましい。
実施形態のセリア粒子における、上記で例示したCeO含有率C及びMoO含有率Mの各上限値及び下限値の値は、自由に組み合わせることができる。また、CeO含有率C及びMoO含有率Mの数値同士も、自由に組み合わせることができる。
実施形態のセリア粒子の一例として、CeO含有率Cが10.00質量%以上90.00質量%以下であり、MoO含有率Mが2.00質量%以上70.00質量%以下であるセリア粒子を例示できる。
上記のCeO含有率Cは、セリア粒子をX線光電子分光法(XPS:XrayPhotoelectron Spectroscopy)により、XPS表面分析することによって、各元素について存在比(atom%)を取得し、セリウム含有量を酸化物換算することにより、セリア粒子の表層100質量%に対するCeOの含有率として求めた値をいう。
上記のMoO含有率Mは、セリア粒子をX線光電子分光法(XPS:XrayPhotoelectron Spectroscopy)により、XPS表面分析することによって、各元素について存在比(atom%)を取得し、モリブデン含有量を酸化物換算することにより、セリア粒子の表層100質量%に対するMoOの含有率として求めた値をいう。
実施形態のセリア粒子は、モリブデンの他に、さらに、リチウム、カリウム、又はナトリウムを含んでいてもよい。
<セリア粒子の製造方法>
実施形態のセリア粒子の製造方法(以下、単に「実施形態の製造方法」という)は、モリブデン化合物の存在下で、セリウム化合物を焼成する工程を含む。より具体的には、実施形態の製造方法は、前記セリア粒子の製造方法であって、セリウム化合物と、モリブデン化合物と、を混合して混合物とし、前記混合物を焼成することを含むものであってよい。
実施形態のセリア粒子の製造方法によれば、上記で説明した実施形態のセリア粒子を製造可能である。
セリア粒子の好ましい製造方法は、セリウム化合物と、モリブデン化合物と、を混合して混合物とする工程(混合工程)と、前記混合物を焼成する工程(焼成工程)を含む。
[混合工程]
混合工程は、セリウム化合物と、モリブデン化合物と、を混合して混合物とする工程である。以下、混合物の内容について説明する。
(セリウム化合物)
セリウム化合物としては、焼成して酸化セリウムとなり得る化合物であれば限定されない。前記セリウム化合物として、酸化セリウム、水酸化セリウム、シュウ酸セリウム等が挙げられ、酸化セリウムが好ましい。前記酸化セリウムとしては、Ce(酸化セリウム(III))であってもよく、CeO(酸化セリウム(IV))であってもよく、CeとCeOから構成される酸化セリウムであってもよい。
焼成後のセリア粒子の形状は、原料のセリウム化合物の形状が殆ど反映されていないため、セリウム化合物としては、例えば、球状、無定形、アスペクトのある構造体(ワイヤ、ファイバー、リボン、チューブ等)、シート等のいずれであっても好適に用いることができる。
(モリブデン化合物)
前記モリブデン化合物としては、酸化モリブデン、モリブデン酸塩化合物等が挙げられる。
前記酸化モリブデンとしては、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン等が挙げられ、三酸化モリブデンが好ましい。
前記モリブデン酸塩化合物は、MoO 2-、Mo 2-、Mo10 2-、Mo13 2-、Mo16 2-、Mo19 2-、Mo24 6-、Mo26 4-等のモリブデンオキソアニオンの塩化合物であれば限定されない。モリブデンオキソアニオンのアルカリ金属塩であってもよく、アルカリ土類金属塩であってもよく、アンモニウム塩であってもよい。
前記モリブデン酸塩化合物としては、モリブデンオキソアニオンのアルカリ金属塩が好ましく、モリブデン酸リチウム、モリブデン酸カリウム又はモリブデン酸ナトリウムであることがより好ましく、モリブデン酸カリウム又はモリブデン酸ナトリウムであることがさらに好ましい。
実施形態の製造方法において、前記モリブデン酸塩化合物は、水和物であってもよい。
モリブデン化合物は、三酸化モリブデン、モリブデン酸リチウム、モリブデン酸カリウム、及びモリブデン酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物であること好ましく、三酸化モリブデン、モリブデン酸カリウム及びモリブデン酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物であることがより好ましい。
実施形態の製造方法は、モリブデン化合物及びカリウム化合物の存在下、セリウム化合物を焼成する工程を含んでもよい。
実施形態の製造方法は、焼成工程に先立ち、セリウム化合物、モリブデン化合物、及びカリウム化合物を混合して混合物とする工程(混合工程)を含むことができ、前記混合物を焼成する工程(焼成工程)を含むことができる。
或いは、実施形態の製造方法は、焼成工程に先立ち、セリウム化合物、及びモリブデンとカリウムとを含有する化合物を混合して混合物とする工程(混合工程)を含むことができ、前記混合物を焼成する工程(焼成工程)を含むことができる。
フラックス剤として好適な、モリブデンとカリウムとを含有する化合物は、例えば、より安価かつ入手が容易な、モリブデン化合物及びカリウム化合物を原料として焼成の過程で生じさせることができる。ここでは、モリブデン化合物及びカリウム化合物をフラックス剤として用いる場合、モリブデンとカリウムとを含有する化合物をフラックス剤として用いる場合、の両者を合わせて、モリブデン化合物及びカリウム化合物をフラックス剤として用いる場合、即ち、モリブデン化合物及びカリウム化合物の存在下とみなす。
実施形態の製造方法は、モリブデン化合物及びナトリウム化合物の存在下、セリウム化合物を焼成する工程を含んでもよい。
実施形態の製造方法は、焼成工程に先立ち、セリウム化合物、モリブデン化合物、及びナトリウム化合物を混合して混合物とする工程(混合工程)を含むことができ、前記混合物を焼成する工程(焼成工程)を含むことができる。
或いは、実施形態の製造方法は、焼成工程に先立ち、セリウム化合物、及びモリブデンとナトリウムとを含有する化合物を混合して混合物とする工程(混合工程)を有含むことができ、前記混合物を焼成する工程(焼成工程)を含むことができる。
フラックス剤として好適な、モリブデンとナトリウムとを含有する化合物は、例えば、より安価かつ入手が容易な、モリブデン化合物及びナトリウム化合物を原料として焼成の過程で生じさせることができる。ここでは、モリブデン化合物及びナトリウム化合物をフラックス剤として用いる場合、モリブデンとナトリウムとを含有する化合物をフラックス剤として用いる場合、の両者を合わせて、モリブデン化合物及びナトリウム化合物をフラックス剤として用いる場合、即ち、モリブデン化合物及びナトリウム化合物の存在下とみなす。
モリブデン化合物及びカリウム化合物の存在下、又はモリブデン化合物及びナトリウム化合物の存在下、セリウム化合物を焼成することで、モリブデンの含有量の多いセリア粒子を容易に得ることができ、且つ製造されるセリア粒子の粒子径の調整が容易である。その理由は明らかではないが、以下の理由が考えられる。例えば、KMoO及びNaMoOは安定な化合物であって焼成工程にて揮発し難いため、揮発過程での急激な反応を伴いにくく、セリア粒子の成長を制御しやすい。また、溶融したKMoO及びNaMoOが溶媒のような機能を発揮し、例えば反応時間を長くすることで、粒子径の値を大きくできると考えられる。
実施形態の製造方法において、モリブデン化合物はフラックス剤として用いられる。本明細書中では、以下、フラックス剤としてモリブデン化合物を用いたこの製造方法を単に「フラックス法」ということがある。なお、かかる焼成により、モリブデン化合物がセリウム化合物と高温で反応し、モリブデン酸セリウムを形成した後、このモリブデン酸セリウムが、さらに、より高温でセリウムと酸化モリブデンに分解する際に、モリブデン化合物がセリア粒子内に取り込まれるものと考えられる。酸化モリブデンは昇華して、系外に取り除かれるとともに、この過程で、モリブデン化合物とセリウム化合物が反応することにより、モリブデン化合物がセリア粒子の表層に形成されるものと考えられる。セリア粒子に含まれるモリブデン化合物の生成機構について、より詳しくは、セリア粒子の表層に、モリブデンとCe原子の反応によるMo-O-Ceの形成が起こり、高温焼成することでMoが脱離するとともに、セリア粒子の表層に、酸化モリブデン、又はMo-O-Ce結合を有する化合物等が形成するものと考えられる。
セリア粒子に取り込まれない酸化モリブデンは、昇華させることにより回収して、再利用することもできる。こうすることで、セリア粒子の表面に付着する酸化モリブデン量を低減でき、セリア粒子本来の性質を最大限に付与することができる。
一方、モリブデンオキソアニオンのアルカリ金属塩は、焼成温度域でも気化することなく、焼成後に洗浄で、容易に回収できるため、モリブデン化合物が焼成炉外へ放出される量も低減され、生産コストとしても大幅に低減することができる。
上記フラックス法において、例えばモリブデン化合物とカリウム化合物とを併用すると、まず、モリブデン化合物とカリウム化合物が反応してモリブデン酸カリウムが形成されると考えられる。同時に、モリブデン化合物がセリウム化合物と反応してモリブデン酸セリウムを形成すると考えられる。そして、例えば、液相のモリブデン酸カリウムの存在下でモリブデン酸セリウムが分解し、結晶成長させることで、上述のフラックスの蒸発(MoOの昇華)を抑制しつつ、粒子サイズが大きく、モリブデン含有量の高いセリア粒子を容易に得ることができる。
(金属化合物)
金属化合物は所望により焼成時に使用されうる。実施形態の製造方法は、焼成工程に先立ち、セリウム化合物、モリブデン化合物、カリウム化合物、及び金属化合物を混合して混合物とする工程(混合工程)を含むことができ、前記混合物を焼成する工程(焼成工程)を含むことができる。
金属化合物としては、特に制限されないが、第II族の金属化合物、第III族の金属化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
前記第II族の金属化合物としては、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、ストロンチウム化合物、バリウム化合物等が挙げられる。
前記第III族の金属化合物としては、スカンジウム化合物、イットリウム化合物、ランタン化合物等が挙げられる。
なお上述の金属化合物は、金属元素の酸化物、水酸化物、炭酸化物、塩化物を意味する。例えば、イットリウム化合物であれば、酸化イットリウム(Y)、水酸化イットリウム、炭酸化イットリウムが挙げられる。これらのうち、金属化合物は金属元素の酸化物であることが好ましい。なお、これらの金属化合物は異性体を含む。
これらのうち、第3周期元素の金属化合物、第4周期元素の金属化合物、第5周期元素の金属化合物、第6周期元素の金属化合物であることが好ましく、第4周期元素の金属化合物、第5周期元素の金属化合物であることがより好ましく、第5周期元素の金属化合物であることがさらに好ましい。具体的には、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、イットリウム化合物、ランタン化合物、を用いることが好ましく、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、イットリウム化合物を用いることがより好ましく、イットリウム化合物を用いることが特に好ましい。
金属化合物は、混合工程で使用されるセリウム化合物の総量(総質量又は総モル量)に対して、例えば、0質量%以上1.2質量%以下(例えば、0モル%以上1モル%以下)の割合で使用することが好ましい。
実施形態の製造方法において、セリウム化合物、及びモリブデン化合物の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、前記混合物100質量%に対して、35質量%以上のセリウム化合物と、65質量%以下のモリブデン化合物と、を混合して混合物とし、前記混合物を焼成することができる。より好ましくは、前記混合物100質量%に対して、40質量%以上90質量%以下のセリウム化合物と、0.5質量%以上60質量%以下のモリブデン化合物と、を混合して混合物とし、前記混合物を焼成することができる。さらに好ましくは、前記混合物100質量%に対して、42質量%以上50質量%以下のセリウム化合物と、38質量%以上50質量%以下のモリブデン化合物とを混合して混合物とし、前記混合物を焼成することができる。
実施形態の製造方法において、モリブデン化合物中のモリブデン原子とセリウム化合物中のセリウム原子のモル比(モリブデン/セリウム)の値は、0.01以上であることが好ましく、0.10以上であることがより好ましく、0.30以上であることがさらに好ましく、0.50以上であることが特に好ましい。
上記のモリブデン化合物中のモリブデン原子とセリウム化合物中のセリウム原子のモル比の上限値は、適宜定めればよいが、使用するモリブデン化合物の削減と製造効率向上の観点から、例えば、上記モル比(モリブデン/セリウム)の値は、5.00以下であってもよく、4.00以下であってもよく、3.00以下であってもよく、1.50以下であってもよい。
上記モル比(モリブデン/セリウム)の数値範囲の一例としては、例えば、モリブデン/セリウムの値が0.01以上5.00以下であってもよく、0.10以上4.00以下であってもよく、0.30以上3.00以下であってもよく、0.50以上1.50以下であってもよい。
なお、セリウムに対するモリブデンの使用量を増やすほど、上記粒度分布で示される粒子サイズの大きなセリア粒子が得られる傾向にある。
上記の範囲で各種化合物を使用することで、得られるセリア粒子が含むモリブデン化合物の量がより適当なものとなるとともに、粒子サイズの制御されたセリア粒子が容易に得られる。
[焼成工程]
焼成工程は、前記混合物を焼成する工程である。実施形態に係る前記セリア粒子は、前記混合物を焼成することで得られる。上記した通り、この製造方法はフラックス法と呼ばれる。
フラックス法は、溶液法に分類される。フラックス法とは、より詳細には、結晶-フラックス2成分系状態図が共晶型を示すことを利用した結晶成長の方法である。フラックス法のメカニズムとしては、以下の通りであると推測される。すなわち、溶質及びフラックスの混合物を加熱していくと、溶質及びフラックスは液相となる。この際、フラックスは融剤であるため、換言すれば、溶質-フラックス2成分系状態図が共晶型を示すため、溶質は、その融点よりも低い温度で溶融し、液相を構成することとなる。この状態で、フラックスを蒸発させると、フラックスの濃度は低下し、換言すれば、フラックスによる前記溶質の融点低下効果が低減し、フラックスの蒸発が駆動力となって溶質の結晶成長が起こる(フラックス蒸発法)。なお、溶質及びフラックスは液相を冷却することによっても溶質の結晶成長を起こすことができる(徐冷法)。
フラックス法は、融点よりもはるかに低い温度で結晶成長をさせることができる、結晶構造を精密に制御できる、自形をもつ多面体結晶体を形成できる等のメリットを有する。
フラックスとしてモリブデン化合物を用いたフラックス法によるセリア粒子の製造では、そのメカニズムは必ずしも明らかではないが、例えば、以下のようなメカニズムによるものと推測される。すなわち、モリブデン化合物の存在下でセリウム化合物を焼成すると、まず、モリブデン酸セリウムが形成される。この際、当該モリブデン酸セリウムは、上述の説明からも理解されるように、セリアの融点よりも低温でセリア結晶を成長させる。そして、例えば、フラックスを蒸発させることで、モリブデン酸セリウムが分解し、結晶成長することでセリア粒子を得ることができる。すなわち、モリブデン化合物がフラックスとして機能し、モリブデン酸セリウムという中間体を経由してセリア粒子が製造されるのである。
上記フラックス法により、モリブデンを含み、前記モリブデンがセリア粒子の表層に偏在しているセリア粒子を製造することができる。
焼成の方法は、特に限定はなく、公知慣用の方法で行うことができる。焼成温度が800℃を超えると、セリウム化合物と、モリブデン化合物が反応して、モリブデン酸セリウムを形成すると考えられる。さらに、焼成温度が950℃以上になると、モリブデン酸セリウムが分解し、セリア粒子を形成すると考えられる。また、セリア粒子では、モリブデン酸セリウムが分解することで、セリアと酸化モリブデンになる際に、モリブデン化合物がセリア粒子内に取り込まれるものと考えられる。
また、焼成する時の、セリウム化合物とモリブデン化合物の状態は特に限定されず、モリブデン化合物がセリウム化合物に作用できる同一の空間に存在すれば良い。具体的には、モリブデン化合物の粉体とセリウム化合物の粉体とを混ぜ合わせる簡便な混合、粉砕機等を用いた機械的な混合、乳鉢等を用いた混合であっても良く、乾式状態、湿式状態での混合であってもよい。
焼成温度の条件に特に限定は無く、目的とするセリア粒子の粒子サイズ、セリア粒子におけるモリブデン化合物の形成、セリア粒子の形状等を考慮して、適宜、決定される。焼成温度は、モリブデン酸セリウムの分解温度に近い900℃以上であってもよく、950℃以上であってもよく、1000℃以上であってもよい。
焼成温度が高いほど、粒子形状が制御され、且つ粒子サイズの大きな、セリア粒子が得られやすい傾向にある。このようなセリア粒子を効率よく製造するとの観点からは、上記焼成温度は、950℃以上が好ましく、1000℃以上がより好ましく、1100℃以上がさらに好ましく、1200℃以上が特に好ましい。
一般的に、焼成後に得られるセリア粒子の形状を制御しようとすると、セリアの融点に近い2400℃超の高温焼成を行う必要があるが、焼成炉へ負担や燃料コストの点から、産業上利用する為には大きな課題がある。
本発明の一実施形態によれば、例えば、セリウム化合物を焼成する最高焼成温度が1600℃以下の条件であっても、セリア粒子の形成を低コストで効率的に行うことができる。
また、実施形態の製造方法によれば、焼成温度が1600℃以下というセリアの融点よりもはるかに低い温度であっても、前駆体の形状にかかわりなく、自形をもつセリア粒子を形成することができる。また、かかる観点からは、上記焼成温度は、1500℃以下が好ましく、1400℃以下がより好ましく、1300℃以下がさらに好ましい。
焼成工程における、セリウム化合物を焼成する焼成温度の数値範囲は、一例として、900℃以上1600℃以下であってもよく、900℃以上1500℃以下であってもよく、950℃以上1400℃以下であってもよく、1000℃以上1300℃以下であってもよく、1100℃以上1300℃以下であってもよい。
昇温速度は、製造効率の観点から、20℃/時間以上600℃/時間以下であってもよく、40℃/時間以上500℃/時間以下であってもよく、80℃/時間以上400℃/時間以下であってもよい。
焼成の時間については、所定の焼成温度への昇温時間を15分間以上10時間以下の範囲で行い、且つ焼成温度における保持時間を5分間以上30時間以下の範囲で行うことが好ましい。セリア粒子の形成を効率的に行うには、2時間以上24時間以下の焼成温度保持時間であることがより好ましい。
一例として、焼成温度が900℃以上1600℃以下、且つ2時間以上24時間以下の焼成温度保持時間の条件を選択することで、モリブデンを含む実施形態のセリア粒子が容易に得られる。
焼成の雰囲気としては、実施形態の製造方法における効果が得られるのであれば特に限定されないが、例えば、空気や酸素といった含酸素雰囲気や、窒素やアルゴン、又は二酸化炭素といった不活性雰囲気が好ましく、コストの面を考慮した場合は空気雰囲気がより好ましい。
焼成するための装置としても必ずしも限定されず、いわゆる焼成炉を用いることができる。焼成炉は昇華した酸化モリブデンと反応しない材質で構成されていることが好ましく、さらに酸化モリブデンを効率的に利用するように、密閉性の高い焼成炉を用いることが好ましい。
[モリブデン除去工程]
実施形態の製造方法は、焼成工程後、必要に応じてモリブデンの少なくとも一部を除去するモリブデン除去工程をさらに含んでいてもよい。
上述のように、焼成時においてモリブデンは昇華を伴うことから、焼成時間、焼成温度等を制御することで、セリア粒子表層に存在するモリブデン含有量を制御することができ、またセリア粒子の表層以外(内層)に存在するモリブデン含有量やその存在状態を制御することができる。
モリブデンは、セリア粒子の表面に付着しうる。上記昇華以外の手段として、当該モリブデンは水、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等で洗浄することにより除去することができる。
この際、使用する水、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液の濃度、使用量、及び洗浄部位、洗浄時間等を適宜変更することで、セリア粒子におけるモリブデン含有量を制御することができる。
[粉砕工程]
焼成工程を経て得られる焼成物は、セリア粒子が凝集して、検討される用途における好適な粒子径の範囲を満たさない場合がある。そのため、セリア粒子は、必要に応じて、好適な粒子径の範囲を満たすように粉砕してもよい。
焼成物の粉砕の方法は特に限定されず、ボールミル、ジョークラッシャー、ジェットミル、ディスクミル、スペクトロミル、グラインダー、ミキサーミル等の従来公知の粉砕方法を適用できる。
[分級工程]
焼成工程により得られたセリア粒子を含む焼成物は、粒子サイズの範囲の調整のために、適宜、分級処理されてもよい。「分級処理」とは、粒子の大きさによって粒子をグループ分けする操作をいう。
分級は湿式、乾式のいずれでも良いが、生産性の観点からは、乾式の分級が好ましい。乾式の分級には、篩による分級のほか、遠心力と流体抗力の差によって分級する風力分級等があるが、分級精度の観点からは、風力分級が好ましく、コアンダ効果を利用した気流分級機、旋回気流式分級機、強制渦遠心式分級機、半自由渦遠心式分級機等の分級機を用いて行うことができる。
上記した粉砕工程や分級工程は、必要な段階において行うことができる。これら粉砕や分級の有無やそれらの条件選定により、例えば、得られるセリア粒子の平均粒径を調整することができる。
実施形態のセリア粒子、或いは実施形態の製造方法で得られるセリア粒子は、凝集が少ないもの或いは凝集していないものが、本来の性質を発揮しやすく、それ自体の取扱性により優れており、また被分散媒体に分散させて用いる場合において、より分散性に優れる観点から、好ましい。
なお、上記の実施形態の製造方法によれば、凝集が少ない又は凝集のないセリア粒子を容易に製造可能であるので、上記の粉砕工程や分級工程は行わなくとも、目的の優れた性質を有するセリア粒子を、生産性高く製造することができるという優れた利点を有する。
実施形態のセリア粒子、或いは実施形態の製造方法で得られるセリア粒子は、上述したような特性を有することから、例えば、研磨剤、三元触媒、固体電解質等に好ましく用いられる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<セリア粒子の製造>
[比較例1]
酸化セリウム(Aladdin製)3.0gを坩堝に入れ、セラミック電気炉にて1100℃で24時間焼成を行なった。降温後、坩堝を取り出し、3.0gの灰色粉末を得た。
[比較例2]
酸化セリウム(Aladdin製)をそのまま比較例2のサンプルとして使用した。
[実施例1]
酸化セリウム(Aladdin製)3.0gと、三酸化モリブデン(Chengdu Hongbo Industrial製)2.71gと、炭酸カリウム1.3gと、酸化イットリウム0.015gとを乳鉢で混合し、混合物を得た。得られた混合物を坩堝に入れ、セラミック電気炉にて1300℃で24時間焼成を行なった。降温後、坩堝を取り出し、5.2gの淡黄色粉末を得た。続いて、得られた前記淡黄色粉末4.1gをイオン交換水30gに懸濁させ2時間攪拌後、濾過及び洗浄することで2.9gの淡黄色粉末を得た。
[実施例2]
酸化セリウム(Aladdin製)3.0gと、モリブデン酸ナトリウム二水和物(Chengdu Hongbo Industrial製)3.0gとを乳鉢で混合し、混合物を得た。得られた混合物を坩堝に入れ、セラミック電気炉にて1300℃で24時間焼成を行なった。降温後、坩堝を取り出し、4.6gの薄ピンク粉末を得た。続いて、得られた前記薄ピンク粉末4.6gをイオン交換水30gに懸濁させ2時間攪拌後、濾過及び洗浄することで2.8gの薄ピンク色の粉末を得た。
<評価>
実施例1~2及び比較例1~2で得られた粉末を試料粉末として、下記の評価を行った。
[結晶子径の測定]
検出器として高強度・高分解能結晶アナライザ(CALSA)を備えるX線回折装置(株式会社リガク製、SmartLab)を用いて、下記の測定条件で粉末X線回折(2θ/θ法)による測定を行った。株式会社リガク製、解析ソフトウエア(PDXL)のCALSA関数を用いて解析し、[111]面の結晶子径については、2θ=28.5°付近に出現するピークの半値幅からシェラー式を用いて算出し、[200]面の結晶子径については、2θ=47.5°付近に出現するピークの半値幅からシェラー式を用いて算出した。結果を表1に示す。
(粉末X線回折法の測定条件)
管電圧:45kV
管電流:200mA
スキャンスピード:0.05°/min
スキャン範囲:10°から70°まで
ステップ:0.002°
βs:20rpm
装置標準幅:米国立標準技術研究所が作製している標準シリコン粉末(NIST、640d)を用いて算出した0.026°を使用した。
[結晶構造解析:XRD(X線回折)法]
試料粉末を0.5mm深さの測定試料用ホルダーに充填し、それを広角X線回折(XRD)装置(株式会社リガク製 UltimaIV)にセットし、Cu/Kα線、40kV/40mA、スキャンスピード2°/min、走査範囲10°から70°までの条件で測定を行った。
[粒度分布測定]
レーザー回折式乾式粒度分布計(株式会社日本レーザー製 HELOS(H3355)&RODOS)を用いて、分散圧3bar、引圧90mbarの条件で、乾式で試料粉末の粒子径分布を測定した。体積積算%の分布曲線が小粒子側から10%の横軸と交差する点の粒子径をD10として、50%の横軸と交差する点の粒子径をD50として、小粒子側から90%の横軸と交差する点の粒子径をD90として、それぞれ求めた。
[XRF(蛍光X線)分析]
蛍光X線分析装置PrimusIV(株式会社リガク製)を用い、試料粉末約70mgをろ紙にとり、PPフィルムをかぶせて、次の条件でXRF(蛍光X線)分析を行った。
(測定条件)
EZスキャンモード
測定元素:F~U
測定時間:標準
測定径:10mm
残分(バランス成分):なし
XRF分析によりセリア粒子100質量%に対するCeO含有率(C)、及び、セリア粒子100質量%に対するMoO含有率(M)の結果を取得した。
[XPS表面分析]
試料粉末に対する表面元素分析は、アルバック・ファイ社製QUANTERA SXMを用い、X線源に単色化Al-Kαを使用し、X線光電子分光法(XPS:XrayPhotoelectron Spectroscopy)の測定を行った。1000μm四方のエリア測定で、n=3測定の平均値を各元素についてatom%で取得した。
XPS分析により得られたセリア粒子の表層のセリウム含有量及び表層のモリブデン含有量を酸化物換算することにより、セリア粒子の表層100質量%に対するCeO含有率(C)(質量%)及びセリア粒子の表層100質量%に対するMoO含有率(M)(質量%)を求めた。
<結果>
上記の評価により得られた各値を表1に示す。なお、「N.D.」はnot detectedの略であり、不検出であることを表す。
Figure 2024521400000001
走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影して得られた、上記の実施例及び比較例の粉末のSEMの画像を図1~図3に示す。実施例及び比較例の各例で粒状又は多面体形状の粒子が確認された。
XRD分析の結果を図4に示す。セリア(CeO)に由来する各ピークが、各実施例及び比較例の試料において認められた。
上記のSEM観察及びXRD解析の結果から、実施例及び比較例で得られた粉末は、セリアを含むセリア粒子であることが確認された。
実施例1~2の対比によれば、フラックス剤としてモリブデン酸ナトリウム二水和物を用いたほうが、結晶の成長面がより大きくなり、成長速度がより早いことから、粒子サイズ(D10、50、及びD90の各値)及び結晶子径([111]面及び[220]面)がより大きな粒子が得られる傾向にあった。このことから、モリブデン化合物の存在下でセリウム化合物を焼成することにより、製造されるセリア粒子の粒子サイズを容易に制御可能であることが示された。
また、表1に示すように、MoO含有率(M)及びMoO含有率(M)の結果より、実施例1~2のセリア粒子は表面にモリブデンを含み、触媒活性等、モリブデンによる種々の作用が発揮されると期待できる。
また、表1に示すように、MoO含有率(M)に対する、MoO含有率(M)の表層偏在比(M/M)の結果より、実施例1~2のセリア粒子では、XPS表面分析により求められるセリア粒子の表層の酸化モリブデン含有量が、XRF分析により求められる酸化モリブデン含有量よりも多い。このことから、モリブデンがセリア粒子の表層に偏在していることが確認され、モリブデンによる種々の作用が、効果的に発揮されると期待できる。
各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項の範囲によってのみ限定される。
本実施形態のセリア粒子及びその製造方法によれば、粒子径及び粒度分布が制御されたセリア粒子を得ることができる。

Claims (11)

  1. モリブデンを含む、セリア粒子。
  2. 前記モリブデンが、前記セリア粒子の表層に偏在している、請求項1に記載のセリア粒子。
  3. 前記セリア粒子の、[100]面の結晶子径が250nm以上である、請求項1又は2に記載のセリア粒子。
  4. 前記セリア粒子の、[101]面の結晶子径が300nm以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のセリア粒子。
  5. 前記セリア粒子の、レーザー回折・散乱法により算出されるメディアン径D50が5.00μm以上1000.00μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のセリア粒子。
  6. 前記セリア粒子をXRF分析することによって求められる前記セリア粒子100質量%に対するCeO含有率Cが60.00質量%以上99.30質量%以下であり、
    前記セリア粒子をXRF分析することによって求められる前記セリア粒子100質量%に対するMoO含有率Mが0.05質量%以上40.00質量%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のセリア粒子。
  7. 前記セリア粒子をXPS表面分析することによって求められる前記セリア粒子の表層100質量%に対するCeO含有率Cが10.00質量%以上90.00質量%以下であり、
    前記セリア粒子をXPS表面分析することによって求められる前記セリア粒子の表層100質量%に対するMoO含有率Mが2.00質量%以上70.00質量%以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載のセリア粒子。
  8. 前記セリア粒子をXRF分析することによって求められる前記セリア粒子100質量%に対するMoO含有率Mに対する、前記セリア粒子をXPS表面分析することによって求められる前記セリア粒子の表層100質量%に対するMoO含有率Mの表層偏在比M/Mが0.05以上1400.00以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載のセリア粒子。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載のセリア粒子の製造方法であって、
    モリブデン化合物の存在下で、セリウム化合物を焼成することを含む、セリア粒子の製造方法。
  10. 前記モリブデン化合物が、三酸化モリブデン、モリブデン酸リチウム、モリブデン酸カリウム及びモリブデン酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である、請求項9に記載のセリア粒子の製造方法。
  11. 焼成温度が800℃以上1600℃以下である、請求項9又は10に記載のセリア粒子の製造方法。
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