JP7100390B2 - 活性物質-ヘキサペプチド複合体、及びこれを含む化粧料組成物 - Google Patents

活性物質-ヘキサペプチド複合体、及びこれを含む化粧料組成物 Download PDF

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Description

本発明は、活性物質-ヘキサペプチド複合体、及びこれを含む化粧料組成物に関するものである。
皮膚の老化現像は、内因性老化と外因性老化とに分けられる。内因性老化とは、時間が経つにつれて、膠原繊維、弾性繊維などの細胞外基質タンパク質の合成量が減ることにより、弾力性が減少され、角質層の構造が変化して、皮膚細胞内の水分量が減少する自然老化を意味する。外因性老化とは、紫外線、大気汚染、タバコの煙、ストレスなどのような外部からの刺激が原因とされる老化であり、光老化が代表的な外因性老化に該当する。光老化とは、皮膚が過剰な紫外線に露出されると、活性酸素種が発生し、これにより、AP-1(activatorprotetin-1)及びNF-kB(nuclearfactor-kB)の活性化による炎症反応が誘導され、皮膚を構成する脂質、タンパク質、核酸、酵素などが損傷されて、老化が起こることを意味する。
また、紫外線暴露による、皮膚内での活性酸素種の生成は、抗酸化防御機構を損傷させ、皮膚のタンパク質と他のポリマーにおいて、酸化ストレスと光損傷を引き起こす。これらの紫外線暴露による皮膚の老化は、皮膚に様々な形で影響を与え、深いしわ、小じわ、皮膚粗鬆症、乾燥肌のような現象を引き起し、皮膚の老化を加速させる(Hong Jae Kee、Korean Journal of Aesthetic and Cosmetology、Vol 7 No.2:51-62、2009)。
最近、オゾン層の破壊に伴う紫外線の照射量の増加、生活空間の乾燥化、個人のアレルギー体質、ストレス、有害化学素材の増加による皮膚損傷がより多く発生しており、このような皮膚損傷の予防と改善に対する需要が増加している。皮膚損傷の予防と改善に対する需要の増加により、機能性化粧品の研究において、既存のような美白やシワの予防のみに留まらず、皮膚損傷の予防と改善、並びにそのための抗酸化活性に係る新素材の開発は、新たに脚光を浴びる分野であり、その重要性がさらに増大している。
特に、環境汚染により、敏感肌を持つ消費者が増加しており、化学素材による刺激を最小限にするために、いくつかの機能性を持つ天然物を利用した化粧品に対する需要が、継続的に増加している。また、最近、皮膚炎やアトピー性疾患を治療するためのステロイド系素材が活発に研究されている。
このような理由から、皮膚内での副作用を抑えながら効能が現れることができる、天然物由来の機能性素材及びステロイド系素材の開発への関心が高まっており、これを利用した様々な機能性化粧品の開発、及び有効性成分の開発に関して、多くの研究結果が報告されている。
これに伴い、本発明者らは、活性物質を利用した化粧料組成物を開発するための研究を行った結果、自然界に存在する有機酸と、機能性ペプチドであるヘキサペプチドとを結合して、有機酸-ヘキサペプチド複合体を開発した。また、本発明者らは、皮膚炎やアトピーの患者において効能があるステロイドと、機能性ペプチドであるヘキサペプチドとを結合させ、改変したヘキサペプチド複合体を開発した。上記有機酸-ヘキサペプチド複合体、且つその改変したヘキサペプチド複合体が、抗酸化と皮膚再生の効果を見せることを確認することで、本発明を完成した。
本発明に係る第一形態は、EEMQRR(配列番号1)のアミノ酸配列を有するヘキサペプチドと活性物質とが結合された、活性物質-ヘキサペプチド複合体を提供する。
また、他の形態は、上記活性物質-ヘキサペプチド複合体を有効成分として含む化粧料組成物が提供する。
さらに、他の形態は、上記活性物質-ヘキサペプチド複合体を有効成分として含む皮膚傷の治療用薬学組成物を提供する。
さらに、他の形態は、皮膚状態を改善するべく、本発明に係る活性物質-ヘキサペプチド複合体の用途を提供する。
さらに、他の形態は、皮膚状態を改善する化粧料組成物を製造するべく、本発明に係る活性物質-ヘキサペプチド複合体の用途を提供する。
さらに、他の形態は、皮膚傷を治療するべく、本発明に係る活性物質-ヘキサペプチド複合体の用途を提供する。
さらに、他の形態は、皮膚傷を治療する薬剤を製造するべく、本発明に係る活性物質-ヘキサペプチド複合体の用途を提供する。
さらに、他の形態は、本発明に係る活性物質-ヘキサペプチド複合体により、個体の皮膚を処理するステップを含む、皮膚状態の改善方法を提供する。
さらに、他の形態は、本発明に係る活性物質-ヘキサペプチド複合体により、個体の皮膚を処理するステップを含む、皮膚傷の治療方法を提供する。
本発明に係る活性物質-ヘキサペプチド複合体は、有機酸またはステロイドと、ヘキサペプチドとを結合することにより、従来の有機酸、ステロイド、又はヘキサペプチドよりも、優れた抗酸化と皮膚再生の効果を見せる。したがって、本発明に係る活性物質-ヘキサペプチド複合体、並びにこれを含んでなる化粧料組成物は、抗酸化と皮膚老化防止に有効に使用することができる。
図1は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、ギ酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図2は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、グルクロン酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図3は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、乳酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図4は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、メバル酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図5は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、プロピオン酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図6は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、ピルビン酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図7は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、キナ酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図8は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、シキミ酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図9は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、アビエチン酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図10は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、アシアト酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図11は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、コール酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図12は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、ウルソデオキシコール酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図13は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、ウルソール酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図14は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、アゼライン酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図15は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、ジピコリン酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図16は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、フマル酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図17は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、イタコン酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図18は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、リンゴ酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図19は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、しゅう酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図20は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、コハク酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図21は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、酒石酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図22は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、α‐ケトグルタル酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図23は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、クエン酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図24は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、リポ酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図25は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、ゲラン酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図26は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、ソルビン酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図27は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、ビオチン-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図28は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、トレチノイン酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図29は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、カフェ酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図30は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、シナミック酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図31は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、フェルラ酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図32は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、ロスマリン酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図33は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、ニコチン酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図34は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、シリング酸-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図35は、ヘキサペプチドのC末端に有機酸を結合する合成プロセスを示した図である。 図36は、ヘキサペプチドのN末端に有機酸を結合する合成プロセスを示した図である。 図37は、ヘキサペプチドの側鎖に有機酸を結合する合成プロセスを示した図である。 図38aは、ロスマリン酸-EEMQRR-NH、カフェ酸-EEMQRR-NH、フェルラ酸-EEMQRR-NH、酒石酸-EEMQRR-NH、リンゴ酸-EEMQRR-NH、アゼライン酸-EEMQRR-NH、アビエチン酸-EEMQRR-NH、ピルビン酸-EEMQRR-NH、及びコハク酸-EEMQRR-NH複合体における皮膚再生の効果について、傷の回復の実験で確認したグラフである。 図38bは、アシアト酸-EEMQRR-NH、ビオチン-EEMQRR-NH、コール酸-EEMQRR-NH、シナミック酸-EEMQRR-NH、クエン酸-EEMQRR-NH、ジピコリン酸-EEMQRR-NH、ギ酸-EEMQRR-NH、フマル酸-EEMQRR-NH、ゲラン酸-EEMQRR-NH、グルクロン酸-EEMQRR-NH、イタコン酸-EEMQRR-NH、リポ酸-EEMQRR-NH、乳酸-EEMQRR-NH、メバル酸-EEMQRR-NH、ニコチン酸-EEMQRR-NH、しゅう酸-EEMQRR-NH、プロピオン酸-EEMQRR-NH、キナ酸-EEMQRR-NH、シキミ酸-EEMQRR-NH、ソルビン酸-EEMQRR-NH、シリング酸-EEMQRR-NH、トレチノイン酸-EEMQRR-NH、ウルソデオキシコール酸-EEMQRR-NH、ウルソール酸-EEMQRR-NH、及びα‐ケトグルタル酸-EEMQRR-NH複合体における皮膚再生の効果について、傷の回復の実験で確認したグラフである。 図38cは、本発明に係るヘキサペプチドであるEEMQRR-NH、Acetyl-EEMQRR-NH(Acetyl hexapeptide-8)、ロスマリン酸、フェルラ酸、ロスマリン酸-EEMQRR-NH、及びフェルラ酸-EEMQRR-NH複合体における皮膚再生の効果について、傷の回復の実験で確認したグラフである。 図39は、ゲラン酸-EEMQRR-NH、COOH-EEMQRR-ゲラン酸、及びCOOH-EE(ゲラン酸)MQRR-NH複合体における皮膚再生の効果について、傷の回復の実験で確認したグラフである。 図40は、ゲラン酸-EEMQRR-NH、COOH-EEMQRR-ゲラン酸、及びCOOH-EE(ゲラン酸)MQRR-NH複合体の細胞毒性を知るために行った、WST-1分析の結果を示したグラフである。 図41は、グルタル酸無水物をリンカーとする、ベタメタゾン-EEMQRR-NH複合体の合成工程を示した図である。 図42は、マロン酸をリンカーとする、ベタメタゾン-EEMQRR-NH複合体の合成工程を示した図である。 図43は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、ベタメタゾン-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図44は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、デキサメタゾン-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図45は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、ヒドロコルチゾン-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図46は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、プレドニゾン-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図47は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、メチルプレドニゾン-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図48は、高性能液体クロマトグラフィーによって精製された、エストリオール-EEMQRR-NH複合体に関する分析結果を示した図である。 図49は、ベタメタゾン-EEMQRR-NH、デキサメタゾン-EEMQRR-NH、ヒドロコルチゾン-EEMQRR-NH、プレドニゾン-EEMQRR-NH、メチルプレドニゾン-EEMQRR-NH、及びエストリオール-EEMQRR-NH複合体における皮膚再生の効果について、傷の回復の実験で確認したグラフである。 図50は、ベタメタゾンバレラート-EEMQRR-NH、ベタメタゾンジプロピオナート-EEMQRR-NH、ジフルコルトロンバレラート-Glutaroyl-EEMQRR-NH、ヒドロコルチソン17-ブチラート-EEMQRR-NH、モメタゾンフロアート-EEMQRR-NH、及びメチルプレドニゾロンアセポナート-EEMQRR-NH複合体における皮膚再生の効果について、傷の回復の実験で確認したグラフである。 図51は、ベタメタゾンバレラート-Glutaric-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Succinic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Maleic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Malonic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Adipic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Fumaric-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Isophthalic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Terephthalic-EEMQRR-NH、及びベタメタゾンバレラート-2,6-Naphthalenedicarboxylic-EEMQRR-NH複合体における皮膚再生の効果について、傷の回復の実験で確認したグラフである。 図52は、ベタメタゾンバレラート-EEMQRR-NH、ベタメタゾンジプロピオナート-EEMQRR-NH、ジフルコルトロンバレラート-Glutaroyl-EEMQRR-NH、ヒドロコルチソン17-ブチラート-EEMQRR-NH、モメタゾンフロアート-EEMQRR-NH、及びメチルプレドニゾロンアセポナート-EEMQRR-NH複合体の細胞毒性を知るために行った、WST-1分析の結果を示したグラフである。 図53は、ベタメタゾンバレラート-Glutaric-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Succinic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Maleic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Malonic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Adipic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Fumaric-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Isophthalic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Terephthalic-EEMQRR-NH、及びベタメタゾンバレラート-2,6-Naphthalenedicarboxylic-EEMQRR-NH複合体の細胞毒性を知るために行った、WST-1分析の結果を示したグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る第一形態は、EEMQRR(配列番号1)のアミノ酸配列を有するヘキサペプチドと活性物質とが結合された、活性物質-ヘキサペプチド複合体が提供する。
上記活性物質は、有機酸であることができる。具体的には、上記有機酸は、1価酸、2価酸、3価酸、脂肪酸、ケイ皮酸、及び芳香族酸からなる群より選択される何れか一つであることができる。上記有機酸は、少なくとも一つのカルボキシ基を有することができる。
上記1価酸は、ギ酸(Formic acid)、グルクロン酸(Glucuronic acid)、乳酸(Lactic acid)、メバル酸(Mevalonic acid)、プロピオン酸(Propionic acid)、ピルビン酸(Pyruvic acid)、キナ酸(Quinic acid)、シキミ酸(Shikimic acid)、アビエチン酸(Abietic acid)、アシアト酸(Asiatic acid)、コール酸(Cholic acid)、ウルソデオキシコール酸(Ursodeoxycholic acid)、及びウルソール酸(Ursolic acid)からなる群より選択される何れか一つであり得る。
本発明で用いられる用語の「ギ酸」とは、蟻酸またはメタン酸とも呼ばれ、アリのほか、イラクサなどの植物に含まれている有機酸を意味する。上記ギ酸の構造は、下記化学式1の通りである。
Figure 0007100390000001
(化学式1)
本発明で用いられる用語の「グルクロン酸」とは、わら、木材などの構造多糖類の構成成分として存在しており、動物界には高等動物のムコ多糖類の主要構成要素として、ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸などに含有されている有機酸を意味する。上記グルクロン酸の構造は、下記化学式2の通りである。
Figure 0007100390000002
(化学式2)
本発明で用いられる用語の「乳酸」とは、Lactic酸とも呼ばれ、乳酸菌によって糖から生成される有機酸を意味する。上記乳酸は、自然界に広く分布しており、ほとんどの植物にラス状態として存在するほか、植物の果実の発酵時に生成される。上記乳酸の構造は、下記化学式3の通りである。
Figure 0007100390000003
(化学式3)
本発明で用いられる用語の「メバル酸」とは、火落酸(hiochic acid)とも呼ばれ、清酒やビールに含まれている有機酸を意味する。上記メバロン酸は、清酒に繁殖して腐敗させる真性ヒオチ菌であるラクトバチルスヘテロヒオチ(Lactobacillus heterohiochii)の生育に必要である。上記メバル酸の構造は、下記化学式4の通りである。
Figure 0007100390000004
(化学式4)
本発明で用いられる用語の「プロピオン酸」とは、アルコール又はプロピオン酸における発酵の産物として、乳糜(chyle)と汗の中に含まれている有機酸を意味する。上記プロピオン酸の構造は、下記化学式5の通りである。
Figure 0007100390000005
(化学式5)
本発明で用いられる用語の「ピルビン酸」とは、細菌や酵母の発酵において、エムデン‐マイヤーホフ経路(解糖経路)(Embden-Meyerhof Pathway)、又はエントナー・ドゥドロフ経路(Entner-Doudor off Pathway)によって生成される有機酸を意味する。上記ピルビン酸の構造は、下記化学式6の通りである。
Figure 0007100390000006
(化学式6)
本発明で用いられる用語の「キナ酸」とは、キナの樹皮、コーヒーの種子、りんご、桃などの果実などに含まれている、高等植物特有のリング構造をもつ有機酸を意味する。上記キナ酸の構造は、下記化学式7の通りである。
Figure 0007100390000007
(化学式7)
本発明で用いられる用語の「シキミ酸」とは、キナ酸の不飽和誘導体であり、シキミの実に含まれているテトラヒドロトリヒドロキシ安息香酸のような、有機酸の一種を意味する。上記シキミ酸の構造は、下記化学式8の通りである。
Figure 0007100390000008
(化学式8)
本発明で用いられる用語の「アビエチン酸」とは、松脂の主成分であるジテルペンのような、有機酸の一種を意味する。上記アビエチン酸の構造は、下記化学式9の通りである。
Figure 0007100390000009
(化学式9)
本発明で用いられる用語の「アシアト酸」とは、センテラアジアチカに含有されているダンマロール酸のような、有機酸の一種を意味する。上記のアシアト酸の構造は、下記化学式10の通りである。
Figure 0007100390000010
(化学式10)
本発明で用いられる用語の「コール酸」とは、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類など、胆汁を分泌する動物の胆汁中に存在する有機酸を意味する。上記コール酸の構造は、下記化学式11の通りである。
Figure 0007100390000011
(化学式11)
本発明で用いられる用語の「ウルソデオキシコール酸」とは、熊胆の主成分として知られている胆汁酸を意味する。上記ウルソデオキシコール酸の構造は、下記化学式12の通りである。
Figure 0007100390000012
(化学式12)
本発明で用いられる用語の「ウルソール酸」とは、りんご、サクランボなどの果物や葉において、ワックス状態の皮膜物質であり、α-アミリン系トリテルペンのような、有機酸の一種を意味する。上記ウルソール酸の構造は、下記化学式13の通りである。
Figure 0007100390000013
(化学式13)
上記2価酸は、アゼライン酸(Azelaic acid)、ジピコリン酸(Dipicolinic acid)、フマル酸(Fumaric acid)、イタコン酸(Itaconic acid)、リンゴ酸(Malic acid)、しゅう酸(Oxalic acid)、コハク酸(Succinic acid)、酒石酸(Tartaric acid)、及びα‐ケトグルタル酸(α-Ketoglutaric acid)からなる群より選択される何れか一つであり得る。
本発明で用いられる用語の「アゼライン酸」とは、小麦、ライ麦、及び大麦などの穀物に含まれている、飽和ジカルボン酸のような、有機酸の一種を意味する。アゼライン酸は、抗菌剤として、毛包と毛穴の中の細菌を減少させ、抗酸化及び抗炎症の効果があると知られている。また、アゼライン酸は、皮膚細胞または毛包がニキビに異常増殖したり変形したりする場合、それを正常に回復させ、嚢胞性ニキビ、ニキビに起因する色素沈着と赤みを緩和してくれる。アゼライン酸の構造は、下記化学式14の通りである。
Figure 0007100390000014
(化学式14)
本発明で用いられる用語の「ジピコリン酸」とは、枯草菌を含む多くのバシラス属細菌の胞子内に含まれているピリジン-ジカルボン酸のような、有機酸の一種を意味する。また、上記ジピコリン酸は、食品中でアスコルビン酸の抗酸化剤として作用する。上記ジピコリン酸の構造は、下記化学式15の通りである。
Figure 0007100390000015
(化学式15)
本発明で用いられる用語の「フマル酸」とは、アイスランド苔や菌類などに含まれている不飽和ジカルボン酸のような、有機酸の一種を意味する。上記フマル酸の構造は、下記化学式16の通りである。
Figure 0007100390000016
(化学式16)
本発明で用いられる用語の「イタコン酸」とは、メチレンコハク酸とも呼ばれ、梅干カビが糖類を用いて生成するジカルボン酸のような、有機酸の一種を意味する。また、梅干カビ以外に、紫紋羽病菌もイタコン酸を少量培地中に蓄積する。上記イタコン酸の構造は、下記化学式17の通りである。
Figure 0007100390000017
(化学式17)
本発明で用いられる用語の「リンゴ酸」とは、林檎酸またはオキシコハク酸とも呼ばれ、リンゴやブドウなどの果実に多く含まれているヒドロキシコハク酸に該当する有機酸を意味する。上記リンゴ酸の構造は、下記化学式18の通りである。
Figure 0007100390000018
(化学式18)
本発明で用いられる用語の「しゅう酸」とは、カリウム塩またはカルシウム塩の形で植物界に広く分布されている有機酸を意味する。上記しゅう酸は、2つのカルボキシ基が結合した最も簡単なジカルボン酸である。上記しゅう酸の構造は、下記化学式19の通りである。
Figure 0007100390000019
(化学式19)
本発明で用いられる用語の「コハク酸」とは、スクシン酸とも呼ばれ、カボチャ(amber)、テレビン油、二枚具、地衣類、菌類などの有機酸を意味する。上記コハク酸は、2価カルボン酸である。上記コハク酸の構造は、下記化学式20の通りである。
Figure 0007100390000020
(化学式20)
本発明で用いられる用語の「酒石酸」と、タルタル酸とも呼ばれ、ブドウやワインに存在するジオキシコハク酸のような、有機酸の一種を意味する。酒石酸は、錫に炭酸カルシウムを入れて生成された沈殿物に硫酸を処理して得ることができる。上記酒石酸の構造は、下記化学式21の通りである。
Figure 0007100390000021
(化学式21)
本発明で用いられる用語の「α‐ケトグルタル酸」とは、シュードモナス属の微生物の発酵によって、グルコースからケトグルコン酸を経て合成される有機酸を意味する。上記α‐ケトグルタル酸の構造は、下記化学式22の通りである。
Figure 0007100390000022
(化学式22)
上記3価酸は、クエン酸(Citric acid)であり得る。
本発明で用いられる用語の「クエン酸」とは、枸櫞酸とも呼ばれ、主にレモンやライムのような柑橘類の果物に存在する有機酸を意味する。上記クエン酸は、ヒドロキシ基を有する多塩基カルボン酸の一つであり、多くの植物の種や果汁の中にガラス状態の酸として含有されている。上記クエン酸の構造は、下記化学式23の通りである。
Figure 0007100390000023
(化学式23)
上記脂肪酸は、リポ酸(Lipoic acid)、ゲラン酸(Geranic acid)、ソルビン酸(Sorbic acid)、ビオチン(Biotin)、及びトレチノイン酸(Tretinoin)からなる群から選択される何れか一つであり得る。
本発明で用いられる用語の「リポ酸」とは、チオクト酸とも呼ばれ、脂肪酸とジスルフィド結合を有する有機酸を意味する。上記リポ酸の構造は、下記化学式24の通りである。
Figure 0007100390000024
(化学式24)
本発明で用いられる用語の「ゲラン酸」とは、バラ、ハーブなどに含まれる香り成分である有機酸を意味する。上記ゲラン酸の構造は、下記化学式25の通りである。
Figure 0007100390000025
(化学式25)
本発明で用いられる用語の「ソルビン酸」とは、2,4-ヘキサジエン酸とも呼ばれ、ナナカマド(Sorbus commixta Hedlund)の未熟果実に含有されている有機酸を意味する。上記ソルビン酸は、微生物の生育を抑制し、加工食品の保存料として使用される。上記ソルビン酸の構造は、下記化学式26の通りである。
Figure 0007100390000026
(化学式26)
本発明で用いられる用語の「ビオチン」とは、ビタミンB群の一つであり、硫黄を含有し、バレル酸基を持つテトラヒドロチオフェン環とウレイド環とが接合されている有機酸を意味する。上記ビオチンの構造は、下記化学式27の通りである。
Figure 0007100390000027
(化学式27)
本発明で用いられる用語の「トレチノイン酸」と、ビタミンAの誘導体であるトレチノイン酸の全トランス(all-trans)型異性体を意味する。上記トレチノイン酸の構造は、下記化学式28の通りである。
Figure 0007100390000028
(化学式28)
上記ケイ皮酸は、カフェ酸(Caffeic acid)、シナミック酸(Cinnamic acid)、フェルラ酸(Ferulic acid)、及びロスマリン酸(Rosmarinic acid)からなる群より選択される何れか一つであり得る。
本発明で用いられる用語の「カフェ酸」とは、コーヒー豆、ジャガイモ、穀物、野菜などの様々な農作物に存在するフェノール酸化合物の一種であり、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-プロペン酸(3-(3,4-dihydroxyphenyl)-2-propenoic acid)で表示される有機酸を意味する。上記カフェ酸の構造は、下記化学式29の通りである。
Figure 0007100390000029
(化学式29)
本発明で用いられる用語の「シナミック酸」とは、シナモン油や、エゴノキのようなバルサミモミに含まれている不飽和カルボン酸のような、有機酸の一種を意味する。上記シナミック酸の構造は、下記化学式30の通りである。
Figure 0007100390000030
(化学式30)
本発明で用いられる用語の「フェルラ酸」とは、植物の細胞壁を形成するリグニンの前駆体物質を意味する。上記フェルラ酸の構造は、下記化学式31の通りである。
Figure 0007100390000031
(化学式31)
本発明で用いられる用語の「ロスマリン酸」とは、主にペパーミント、スペアミント、ローズマリーのようなハーブ植物に含有されている有機酸を意味する。上記ロスマリン酸の構造は、下記化学式32の通りである。
Figure 0007100390000032
(化学式32)
上記芳香族酸は、ニコチン酸(Nicotinic acid)、及びシリング酸(Syringic acid)からなる群より選択される何れか一つであり得る。
本発明で用いられる用語の「ニコチン酸」とは、ビタミンB3又はナイアシン(niacin)とも呼ばれ、動物の肝臓、酵母、豆類、穀物など、生体内に広く存在しているピリジン-3カルボン酸のような、有機酸の一種を意味する。上記ニコチン酸の構造は、下記化学式33の通りである。
Figure 0007100390000033
(化学式33)
本発明で用いられる用語の「シリング酸」とは、アカシア(Robinia pseudacacia L)、カスカラサグラダ(Cascara sagrada)などの植物に含まれている、トリヒドロキシ安息香酸のような、有機酸の一種を意味する。上記シリング酸の構造は、下記化学式34の通りである。
Figure 0007100390000034
(化学式34)
本発明の活性物質-ヘキサペプチド複合体において、活性物質が有機酸である場合、有機酸と結合したヘキサペプチドを、「有機酸-ヘキサペプチド複合体」と名付けた。
具体的には、本発明は、EEMQRR(配列番号1)のアミノ酸配列を有するヘキサペプチドに有機酸が結合された、有機酸-ヘキサペプチド複合体を提供する。
上記有機酸は、ヘキサペプチドのN末端、C末端、または側鎖に結合することができる。具体的には、上記有機酸のカルボキシ基は、ヘキサペプチドのN末端とペプチド結合をすることができる。
上記有機酸は、リンカーを介して、ヘキサペプチドのC末端と結合することができる。この際、有機酸は、置換または非置換のC1-C6などのリンカーを介して、ヘキサペプチドのC末端に結合することができる。本発明に係る第一形態では、上記リンカーとしてエチレングリコールを使用した。また、上記有機酸において、ヘキサペプチドのC末端が、カルボキシ基がアミド基に置換されたヘキサペプチドと、ペプチド結合することができる。
上記有機酸は、ヘキサペプチドの側鎖に結合することができる。具体的には、上記有機酸は、ヘキサペプチドの側鎖において、カルボキシ基またはアミド基の位置に結合することができる。この際、有機酸がカルボキシ基の位置に結合する場合、エチレングリコールなどのリンカーを介して結合することができ、有機酸がアミド基の位置に結合する場合には、ペプチド結合することができる。
上記有機酸-ヘキサペプチド複合体に係る第一形態は、下記化学式35で表すことができる。
Figure 0007100390000035
(化学式35)
(上記式において、Xは有機酸であり、R’及びR”がそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキル基である。)
また、上記有機酸が、リンカーを介して、ヘキサペプチドのN末端と結合した複合体に係る第一形態は、下記化学式35-1で表すことができる。
Figure 0007100390000036
(化学式35-1)
(上記式において、Xは有機酸であり、Lはリンカーであり、R’及びR”がそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルである。)
本発明で用いられる用語の「ヘキサペプチド」とは、Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Argのアミノ酸配列を有するヘキサペプチドを意味する。また、上記ヘキサペプチドは、ヘキサペプチドのC末端において、カルボキシ基がアミド基に置換されたものであり得る。上記ヘキサペプチドは、配列番号1で表示されるアミノ酸配列であり得る。
上記アミド基は、第1級アミド基、第2級アミド基、及び第3級アミド基からなる群より選択される何れか一つのアミド基である。好ましくは、上記アミド基は、第1級アミド基である。上記ヘキサペプチド構造に係る第一形態は、下記化学式36の通りである。
Figure 0007100390000037
(化学式36)
上記有機酸-ヘキサペプチド複合体に係る化学式は、表1に示した。
Figure 0007100390000038

Figure 0007100390000039
Figure 0007100390000040
Figure 0007100390000041
Figure 0007100390000042
Figure 0007100390000043
Figure 0007100390000044
Figure 0007100390000045
Figure 0007100390000046
Figure 0007100390000047
本発明者らは、天然物質を利用した化粧料組成物を開発するために、自然界に存在する有機酸とヘキサペプチドとを結合し、有機酸-ヘキサペプチド複合体を製造した(図1~図34)。
また、本発明者らは、上記有機酸-ヘキサペプチド複合体が、ビタミンCに相当の優れた抗酸化活性を示すことを確認した(表7)。さらに、本発明者らは、上記有機酸-ヘキサペプチド複合体が、皮膚の再生や傷の回復に優れた効果を見せることを確認した(図38a~図38c)。したがって、本発明に係る有機酸-ヘキサペプチド複合体を、有効成分として含む、皮膚再生と創傷治療用の組成物として、有効に使用することができる。
また、上記活性物質は、ステロイドであり得る。具体的には、上記ステロイドは、ベタメタゾン(betamethasone)、デキサメタゾン(dexamethasone)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、プレドニゾン(prednisone)、メチルプレドニゾン(methyl prednisone)、エストリオール(estriol)、ベタメタゾンバレラート(Betamethasone valerate)、ベタメタゾンジプロピオナート(Betamethasone dipropionate)、モメタゾンフロアート(Mometasone furoate)、ヒドロコルチソン17-ブチラート(Hydrocortisone 17-butyrate)、ジフルコルトロンバレラート(Diflucortolone valerate)、及びメチルプレドニゾロンアセポナート(Methylprednisolone aceponate)からなる群より選択される何れか一つであり得る。
本発明で用いられる用語の「ベタメタゾン」とは、糖質コルチコイド作用を示す副腎皮質ホルモン剤を意味する。上記ベタメタゾンは、優れた抗炎症効果を見せる。上記ベタメタゾンの構造は、下記化学式37の通りである。
Figure 0007100390000048
(化学式37)
本発明で用いられる用語の「デキサメタゾン」とは、プレドニゾロンの誘導体として、糖質コルチコイド作用を示す副腎皮質ホルモン剤を意味する。上記デキサメタゾンの構造は、下記化学式38の通りである。
Figure 0007100390000049
(化学式38)
本発明で用いられる用語の「ヒドロコルチゾン」とは、コルチゾンとも呼ばれ、糖質コルチコイド作用を示す副腎皮質ホルモン剤を意味する。上記ヒドロコルチゾンの構造は、下記化学式39の通りである。
Figure 0007100390000050
(化学式39)
本発明で用いられる用語の「プレドニゾン」とは、コルチゾン誘導体であり、糖質コルチコイド作用を示す副腎皮質ホルモン剤を意味する。上記プレドニゾンの構造は、下記化学式40の通りである。
Figure 0007100390000051
(化学式40)
本発明で用いられる用語の「メチルプレドニゾン」とは、プレドニゾンの6番目の炭素の位置に結合された水素原子を、α-メチル基に置換した、副腎皮質ホルモン剤を意味する。上記メチルプレドニゾンの構造は、下記化学式41の通りである。
Figure 0007100390000052
(化学式41)
本発明で用いられる用語の「エストリオール」とは、卵胞ホルモンに属するエストロゲンのような、ホルモン剤の一種を意味する。上記エストリオールの構造は、下記化学式42の通りである。
Figure 0007100390000053
(化学式42)
上記ベタメタゾンバレラートの構造は、下記化学式43の通りである。
Figure 0007100390000054
(化学式43)
上記ベタメタゾンジプロピオナートの構造は、下記化学式44の通りである。
Figure 0007100390000055
(化学式44)
上記ジフルコルトロンバレラートの構造は、下記化学式45の通りである。
Figure 0007100390000056
(化学式45)
上記ヒドロコルチソン17-ブチラートの構造は、下記化学式46の通りである。
Figure 0007100390000057
(化学式46)
上記モメタゾンフロアートの構造は、下記化学式47の通りである。
Figure 0007100390000058
(化学式47)
上記メチルプレドニゾロンアセポナートの構造は、下記化学式48の通りである。
Figure 0007100390000059
(化学式48)
本発明の活性物質-ヘキサペプチド複合体において、活性物質がステロイドである場合、ステロイドと結合したヘキサペプチドを、「改変したヘキサペプチド複合体」と名付けた。
具体的には、本発明は、EEMQRR(配列番号1)のアミノ酸配列を有するヘキサペプチドと、ステロイドとが結合された、改変したヘキサペプチド複合体を提供する。
上記ステロイドは、ヘキサペプチドのN末端、C末端、又は側鎖に結合することができる。具体的には、上記ステロイドは、リンカーを介して、ヘキサペプチドのN末端、C末端、又は側鎖に結合することができる。
上記ステロイドは、ヘキサペプチドのN末端、C末端、または側鎖に位置するカルボキシ基やアミド基に、リンカーを介して結合することができる。上記側鎖に位置するカルボキシ基は、グルタミン酸の側鎖に位置するものであり得る。また、上記側鎖に位置するアミド基は、グルタミンの側鎖に位置するものであり得る。
上記改変したヘキサペプチド複合体に係る第一形態は、下記化学式49で表すことができる。
Figure 0007100390000060
(化学式49)
(上記式において、Yはステロイドであり、R’及びR”がそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキル基である。)
上記ステロイドは、リンカーを介して、ヘキサペプチドのN末端と結合した複合体に係る第一形態においては、下記化学式49-1で表すことができる。
Figure 0007100390000061
(化学式49-1)
(Yはステロイドであり、L’はリンカーである。具体的には、上記リンカーは下記化学式50で表すことができる。)
Figure 0007100390000062
(化学式50)
(この際、上記ZはC1~C10アルキレン基、C2~C12アルケニレン基またはC6~C14アリーレン基である。)
当分野で用いられる慣例に基づいて、本願に係る構造式では、
Figure 0007100390000063
は、核または骨格構造において、残基または置換基の付着点での結合を表すために使用される。
本発明で用いられる用語の「アルキレン」とは、母体(parent)アルカンの同一または異なる2つの炭素原子から、2つの水素原子が除去されて誘導される2つの1価ラジカル中心を有する、分岐鎖または直鎖、或いは、環状の飽和炭化水素ラジカルを意味する。例えば、アルキレン基は、1~20個の炭素原子、1~10個の炭素原子、または1~6個の炭素原子を有することができる。典型的なアルキレンラジカルは、メチレン(-CH-)、1,1-エチル(-CH(CH)-)、1,2-エチル(-CHCH-)、1,1-プロピル(-CH(CHCH)-)、1,2-プロピル(-CHCH(CH)-)、1,3-プロピル(-CHCHCH-)、1,4-ブチル(-CHCHCHCH-)などを含むが、これらに限定されない。
本発明で用いられる用語の「アルケニレン」とは、母体アルケンの同一または異なる2つの炭素原子から、2つの水素原子が除去されて誘導される2つの1価ラジカル中心を有する、分岐鎖または直鎖、或いは、環状の不飽和炭化水素ラジカルを意味する。例えば、アルケニレン基は、1~20個の炭素原子、1~10個の炭素原子、または1~6個の炭素原子を有することができる。典型的なアルケニレン基は、1,2-エチレン(-CH=CH-)を含むが、これに限定されない。
当業者であれば、「アルキル」、「アリール」、「ヘテロシクリル(複素環)」などの残基が、一つ以上の置換基によって置換される場合、これらは選択的に、「アルキレン」、「アリーレン」、「ヘテロシクリレン」などの残基として呼ばれること(即ち、母体である「アルキル」、「アリール」、「ヘテロシクリル」残基の一つ以上の水素原子が、言及した置換基で置換されることを意味する。)を認識するだろう。「アルキル」、「アリール」、「ヘテロシクリル」などのような残基が、本願において、「置換された」と呼ばれたり、図面上置換されたもの(または任意に置換されたもの。例えば、置換基の数が0ないし正の整数の場合)として図示される場合、「アルキル」、「アリール」、「ヘテロシクリル」などの用語は、「アルキレン」、「アリーレン」、「ヘテロシクリレン」などと相互互換的であると理解すべきである。
本発明で用いられる用語の「アリール」とは、母体芳香族環システムの6つの炭素原子から、一つの水素原子が除去されて誘導される芳香族炭化水素ラジカルを意味する。例えば、アリール基は、6~20個の炭素原子、6~14個の炭素原子、又は6~12個の炭素原子を有することができる。典型的なアリール基は、ベンゼン(例えば、フェニル)、置換されたベンゼン、置換または非置換のナフタレン、置換または非置換のアントラセン、置換または非置換のビフェニル等から誘導されるラジカルを含むが、これらに限定されない。
具体的には、上記Xは、
Figure 0007100390000064
からなる群より選択される何れか一つであり得る。
具体的に、上記リンカーは、グルタル酸(Glutaric acid)、コハク酸(Succinic acid)、マレイン酸(Maleic acid)、マロン酸(Malonic acid)、アジピン酸(Adipic acid)、フマル酸(Fumaric acid)、イソフタル酸(Isophthalic acid)、テレフタル酸(Terephthalic acid)、及び2,6‐ナフタレンジカルボン酸(2,6-Naphthalenedicarboxylic acid)からなる群より選択される何れか一つであり得る。
本発明で用いられる用語の「ヘキサペプチド」とは、Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Argのアミノ酸配列を有するヘキサペプチドを意味する。また、上記ヘキサペプチドは、ヘキサペプチドのC末端にカルボキシ基がアミド基で置換されたものであることができる。上記ヘキサペプチドは、配列番号1で表示されるアミノ酸配列であり得る。
上記アミド基は、第1級アミド基、第2級アミド基、及び第3級アミド基からなる群より選択される何れか一つのアミド基であり得る。好ましくは、上記アミド基は、第1級アミド基であり得る。上記ヘキサペプチド構造に係る第一形態は、有機酸-ヘキサペプチド複合体について上述したことと同じである。
上記6種のステロイドが結合されたヘキサペプチド複合体の化学式を、表2に表した。
Figure 0007100390000065

Figure 0007100390000066
また、上記8種のリンカーを介してベタメタゾンが結合されたヘキサペプチド複合体の構造を、表3に示した。
Figure 0007100390000067

Figure 0007100390000068
Figure 0007100390000069
また、上記9種のリンカーを介してベタメタゾンバレラートが結合されたヘキサペプチド複合体を、表4に示した。
Figure 0007100390000070
本発明者らは、ヘキサペプチドを利用した化粧料組成物を開発するために、皮膚炎やアトピー皮膚疾患に効能のあるステロイドと、化粧品向けの生理活性機能のヘキサペプチドとを結合し、改変したヘキサペプチド複合体を製造した(図43~図48)。
また、本発明者らは、上記ステロイドを用いた複合体に、抗酸化活性が現れることを確認した(表11)。さらに、本発明者らは、上記の改変したヘキサペプチド複合体が、皮膚の再生や傷の回復に優れた効果を見せることを確認した(図50及び51)。したがって、本発明に係る改変したヘキサペプチド複合体は、それを有効成分として含む皮膚再生用と創傷治療用の組成物として、有効に使用することができる。
本発明に係る他の形態は、活性物質-ヘキサペプチド複合体を有効成分として含んでなる、化粧料組成物を提供する。上記活性物質-ヘキサペプチド複合体は、有機酸-ヘキサペプチド複合体または改変したヘキサペプチド複合体であることができる。
上記化粧料組成物は、皮膚老化防止、皮膚の再生効果を見せることができる。
また、上記化粧料組成物は、化粧水、クリーム、ローション、セラム、エッセンス、及び紫外線遮断剤からなる群より選択される何れか一つの製剤であり得る。
上記化粧料組成物に含まれる成分は、有効成分として、有機酸-ペプチド複合体または改変したヘキサペプチド複合体のほか、一般的に、化粧品組成物に利用される成分を含み、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解剤、ビタミン、顔料、及び香料のような、通常の補助剤または担体を含むことができる。
また、上記化粧料組成物は、当業界で、一般的に製造される任意の剤型でも製造することができる。例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、パウダーファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、及びスプレーなどに剤形化することができるが、これに限定されない。より詳細には、化粧水(収束化粧水、柔軟化粧水など)、クリーム、ローション、セラム、エッセンス、栄養ゲル、又はマッサージクリームの剤形として製造され得る。
上記化粧料組成物の剤形が、ペースト、クリームまたはゲルインの場合には、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、または酸化亜鉛などを使用することができる。
上記化粧料組成物の剤形が、溶液または乳濁液である場合には、担体成分として、溶媒、溶解剤、または乳濁化剤を用いることができる。具体的には、担体成分は、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、またはソルビタンの脂肪酸エステルであり得る。
上記化粧料組成物の剤形が、懸濁液である場合には、担体成分として、水、エタノール、またはプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天またはトラカントなどを利用することができる。
上記化粧料組成物の剤形が、界面活性剤を含有するクレンジングである場合には、担体成分として、脂肪族アルコール硫酸、脂肪族アルコールエーテル硫酸、スルホコハク酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテル硫酸、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどを利用することができる。
本発明に係る他の形態は、活性物質-ヘキサペプチド複合体を有効成分として含む、皮膚傷の治療用薬学組成物を提供する。上記活性物質-ヘキサペプチド複合体は、有機酸-ヘキサペプチド複合体、又は改変したヘキサペプチド複合体であり得る。
上記薬学組成物は、薬剤学的に許容される担体を含むことができる。具体的には、薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常的に利用されるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むことができるが、これに限定されない。
上記薬学組成物は、上記成分の以外に、潤滑剤、湿潤剤、甘味料、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含むことができる。
上記薬学組成物は、当該発明の属する技術分野において、通常の知識を有する者が容易に実施できる方法に従って、薬剤学的に許容される担体、及び/又は賦形剤を用いて製剤化することにより、単位容量形態に製造したり、又は、多容量容器内に入れて製造することができる。この際、剤形は、オイルまたは水性媒質中の溶液、懸濁液、シロップ剤、または乳化液の形態であるか、エキス製剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤またはカプセル剤の形態であることもでき、分散剤または安定化剤をさらに含むことができる。
上記薬学組成物は、軟膏基剤(Ointment base)に希釈して、局所塗布剤用軟膏を製造して、一日に1~5回、病変部位に塗布することができ、ゲル製剤に希釈した局所塗布剤用パック剤を製造して、一日に1~5回、病変部位に適用することができる。
本発明に係る他の形態は、皮膚状態を改善するべく、本発明に係る活性物質-ヘキサペプチド複合体の用途を提供する。
本発明に係る他の形態は、皮膚状態を改善する化粧料組成物を製造するべく、本発明に係る活性物質-ヘキサペプチド複合体の用途を提供する。
本発明に係る他の形態は、皮膚傷を治療するべく、本発明に係る活性物質-ヘキサペプチド複合体の用途を提供する。
本発明に係る他の形態は、皮膚傷を治療する薬剤を製造するべく、本発明に係る活性物質-ヘキサペプチド複合体の用途を提供する。
本発明に係る他の形態は、本発明に係る活性物質-ヘキサペプチド複合体を、個体の皮膚に処理するステップを含む、皮膚状態の改善方法を提供する。上記皮膚状態を改善するとは、皮膚の老化を防止したり、皮膚の再生を促進させたりすることを意味する。
本発明に係る他の形態は、本発明に係る活性物質-ヘキサペプチド複合体を、個体の皮膚に処理するステップを含む、皮膚傷の治療方法を提供する。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明の一例を示すものであり、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
実施例1.有機酸-ヘキサペプチド複合体の製造
Fmoc-Glu(tbu)-OH、Fmoc-Met-OH、Fmoc-Gln(Trt)-OH、及びFmoc-Arg(Pbf)-OHの原料は、GLS(GL Biochem、Shanghai)から購入した。また、有機酸は、TCI(TCI chemicals、India)とSigma(Sigma Aldrich、US)から購入した(表5)。また、DMF(dimethylformamide)、DIEA(N、N-diisopropylethylamine)、DCM(Dichloromethane)、及びピペリジン(piperidine)は、Daejung Chemical&Metals(Korea)から購入して使用した。
Figure 0007100390000071
実施例1.1.有機酸-ヘキサペプチド複合体の合成
有機酸-ヘキサペプチド複合体の合成工程は、下記(1)~(6)の工程プロセスで示した。また、合成工程の条件は、下記表6に示した。
Figure 0007100390000072
(1)樹脂膨張(swelling)
ろ過膜が装着された固相(solid-phase)合成反応器に、合成末端にカルボキシ基(-COOH)を有するペプチドの合成は、クロロトリチルクロリド樹脂(2-Chlorotritylchloride resin、Bead Tech)を用いた。また、合成末端にペプチド結合(-CONH)に終わるペプチド合成は、リンクアミド樹脂(Rink amide resin、GLS)を用いた。DCM及びDMFを使用して、30分間樹脂を膨張させた。
(2)アミノ酸ローディング(loading)
クロロトリチルクロライド樹脂を用いた合成は、最初のアミノ酸を樹脂にロードさせるプロセスが含まれた。膨張させた樹脂を減圧下で、ろ過膜にて溶媒を除去した。上記樹脂に2当量のFmoc-Arg(Pbf)-OHをDMFに完全に溶かした後、クロロトリチルクロライド樹脂に添加し、密度を調整したDIEAを、クロロトリチルクロライド樹脂の4当量に対応する量で添加した。次に、反応器を用いて、5時間以上、25℃~32℃の温度で反応を行った。
(3)樹脂Fmoc脱保護
上記クロロトリチルクロライド樹脂またはリンクアミド樹脂を用いた合成プロセスは、Fmocの脱保護反応させるプロセスが含まれた。樹脂Fmoc脱保護のプロセスは、減圧下で、ろ過膜にて溶媒を除去した後、20%(v/v)ピペリジンを添加したDMFを使用して、5分間洗浄した。次に、また20%(v/v)ピペリジンを添加したDMFを使用して、10分間洗浄した。減圧下で濾過して反応液を除去し、DCMまたはDMFを使用して、2分ずつ6回以上洗浄した。
(4)アミノ酸の合成と有機酸の結合
上記リンクアミド樹脂に、3~5当量のFmoc-Arg(Pbf)-OH(GLS)を、DMFに完全に溶かした後、溶媒を除去したリンクアミド樹脂に入れた。カップリング試薬(coupling reagent)で、2M HOBt/DIC(Hydroxybenzotriazole/diisopropylcarbodiimide)を、アミノ酸当量とリンクアミド樹脂の量に合わせて入れた。次に、反応器を用いて、5時間以上、25℃~32℃の温度で合成を行った。反応完了後、溶媒をベントしてから、きれいなDMFで2分ずつ6回かけて洗浄した。
洗浄後、上記アミノ酸の結合方法と同じ方法で、Fmoc-Arg(pbf)-OH、Fmoc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-Met-OH、Fmoc-Glu(tBu)-OH、及びFmoc-Glu(tBu)-OHのアミノ酸を順番にカップリングした。次に、ヘキサペプチドが合成された状態の樹脂に、フェルラ酸を4当量、2M HOBt/DICを、アミノ酸当量と樹脂量に合わせて入れた。次に、反応器を用いて、5時間以上、25℃~32℃の温度で反応させた。
(5)分離(Cleavage)
上記反応の完了後、減圧下で、ろ過膜にて溶媒を除去した後、きれいなDMFで2分ずつ2回、DCMで2分ずつ2回かけて洗浄した。次に、殆どの溶媒をベントして除去した。乾燥されたフェルラ酸-EEMQRR-NH複合体の樹脂を、70%(v/v)TFA/29%(v/v)DCM/1%(v/v)H2O 溶液を用いて、4時間分離を行った。
(6)再結晶(Crystallize)
分離が完了した溶媒を、エチルエーテル(Ethyl ether)を用いて、粗(Crude)製品を再結晶化させて抽出した。
また、ギ酸-EEMQRR-NH、グルクロン酸-EEMQRR-NH、乳酸-EEMQRR-NH、メバル酸-EEMQRR-NH、プロピオン酸-EEMQRR-NH、ピルビン酸-EEMQRR-NH、キナ酸-EEMQRR-NH、シキミ酸-EEMQRR-NH、アビエチン酸-EEMQRR-NH、アシアト酸-EEMQRR-NH、コール酸-EEMQRR-NH、ウルソデオキシコール酸-EEMQRR-NH、ウルソール酸-EEMQRR-NH、アゼライン酸-EEMQRR-NH、ジピコリン酸-EEMQRR-NH、フマル酸-EEMQRR-NH、イタコン酸-EEMQRR-NH、リンゴ酸-EEMQRR-NH、しゅう酸-EEMQRR-NH、コハク酸-EEMQRR-NH、酒石酸-EEMQRR-NH、α‐ケトグルタル酸-EEMQRR-NH、クエン酸-EEMQRR-NH、リポ酸-EEMQRR-NH、ゲラン酸-EEMQRR-NH、ソルビン酸-EEMQRR-NH、ビオチン-EEMQRR-NH、トレチノイン酸-EEMQRR-NH、カフェ酸-EEMQRR-NH、シナミック酸-EEMQRR-NH、ロスマリン酸-EEMQRR-NH、ニコチン酸-EEMQRR-NH、及びシリング酸-EEMQRR-NH複合体においても、上記フェルラ酸-EEMQRR-NH複合体の合成工程と同じ方法で合成した。
実施例1.2.有機酸-ヘキサペプチド複合体の精製
実施例1.1.で合成したフェルラ酸-EEMQRR-NH複合体の粗製品を、10%(v/v)アセトニトリルを添加した蒸留水の溶液に溶かした。次に、下記のようなグラデーション(gradient)の条件下で、HPLCで精製した後、凍結乾燥してフェルラ酸-EEMQRR-NH複合体を得た(図1~図34)。上記グラデーションは下記表7に示した。
A.機器:Shimadzu 8A(5cm*25cm)/8A(prep(dia5cm))
B.溶媒の組成:バッファA=0.05%TFA/アセトニトリル、バッファB=0.05%TFA/H
C.流れ速度(Flow rate):14ml/分
D.カラム:Silicagel C18 reverse phase
E.吸光度:230nm
E.グラデーション
Figure 0007100390000073
また、ギ酸-EEMQRR-NH、グルクロン酸-EEMQRR-NH、乳酸-EEMQRR-NH、メバル酸-EEMQRR-NH、プロピオン酸-EEMQRR-NH、ピルビン酸-EEMQRR-NH、キナ酸-EEMQRR-NH、シキミ酸-EEMQRR-NH、アビエチン酸-EEMQRR-NH、アシアト酸-EEMQRR-NH、コール酸-EEMQRR-NH、ウルソデオキシコール酸-EEMQRR-NH、ウルソール酸-EEMQRR-NH、アゼライン酸-EEMQRR-NH、ジピコリン酸-EEMQRR-NH、フマル酸-EEMQRR-NH、イタコン酸-EEMQRR-NH、リンゴ酸-EEMQRR-NH、しゅう酸-EEMQRR-NH、コハク酸-EEMQRR-NH、酒石酸-EEMQRR-NH、α‐ケトグルタル酸-EEMQRR-NH、クエン酸-EEMQRR-NH、リポ酸-EEMQRR-NH、ゲラン酸-EEMQRR-NH、ソルビン酸-EEMQRR-NH、ビオチン-EEMQRR-NH、トレチノイン酸-EEMQRR-NH、カフェ酸-EEMQRR-NH、シナミック酸-EEMQRR-NH、ロスマリン酸-EEMQRR-NH、ニコチン酸-EEMQRR-NH、及びシリング酸-EEMQRR-NH複合体においても、上記フェルラ酸-EEMQRR-NHの精製工程と同じ方法を用いて精製した。
実験例1.ヘキサペプチドのN末端、C末端または側鎖の位置での有機酸結合の確認
ヘキサペプチドのN末端、C末端または側鎖の位置において、有機酸が結合できるかどうかを確認するために、ゲラン酸-EEMQRR-NH、COOH-EEMQRR-ゲラン酸、及びCOOH-EE(ゲラン酸)MQRR-NHの複合体を合成した。
上記ゲラン酸-EEMQRR-NH、COOH-EEMQRR-ゲラン酸、及びCOOH-EE(ゲラン酸)MQRR-NH複合体の合成方法は、図35~図37に示した。ゲラン酸-EEMQRR-NH複合体は、実施例1と同じ方法で合成した(図35)。
上記COOH-EEMQRR-ゲラン酸複合体は、下記プロセスを通して合成した。まず、トリチル樹脂(trityl resin)を反応器に入れ、DCM/DMFを用いて2回洗浄した後、DCMを用いて、30分間、反応器で樹脂を膨潤させた。次に、樹脂にアルギニン(Arg、R)アミノ酸2eq及びDIEA leqを入れ、4時間ロードした。ロード後、DMFを用いて、5回洗浄した。上記アルギニンをロードした方法と同じ方法で、アルギニン、グルタミン(Gln、Q)、メチオニン(Met、M)、グルタミン酸(Glu、E)、グルタミン酸の順で、残り5つのアミノ酸をロードした。このプロセスを繰り返して、COOH-EEMQRRを合成した後、樹脂を5%TFA/DCMを用いて、COOH-EEMQRRを抽出した。次に、HOBt、DICを用いて、ゲラン酸をCOOH-EEMQRRのN末端に結合させた(図36)。
反応が完了したCOOH-EEMQRR-ゲラン酸を、DMFで3~4回、DCMで3~4回洗浄し、ポンプを利用して乾燥した。乾燥プロセスが完了した後、70%TFAを用いて、実施例1.1の(5)分離プロセスと同様に、4時間分離プロセスを行った。
実施例1.1の(6)再結晶プロセスと同様に、反応器から、分離プロセスが終わった溶液(cleavage solution)を取り、チューブに移して空気乾燥し、エチルエーテルを利用して、溶液内に溶けているCOOH-EEMQRR-ゲラン酸を固体状態で回収した。回収したCOOH-EEMQRR-ゲラン酸を、HPLC分析後、精製を行った。
上記COOH-EE(ゲラン酸)MQRR-NHは、上記実験例1と同様の方法で、EEMQRR-NHをペプチド合成した後、グルタミンの保護基(Protecting group)を除去した後、EDC、HoAtを添加してエチレングリコールリンカーを結合し、DMFで3回洗浄した後、HOBt、DICを用いてゲラン酸を結合させた(図37)。次に、実施例1.1の(5)分離及び(6)再結晶のプロセスと同様に、分離及び再結晶のプロセスを行った。回収したCOOH-EE(ゲラン酸)MQRR-NHを、HPLC分析後、精製を行った。
実験例2.有機酸-ヘキサペプチド複合体の抗酸化効果の確認
安定したフリーラジカルであるDPPH(1,1-Diphenyl-2-picryhydrazyl、Sigma D9132-1G)を利用して、ラジカルが減少する程度を分光光度計(spectrophotometer)で測定し、間接的に試料の抗酸化活性を測定した。具体的には、エタノール0.4mlに、0.1mMのDPPH溶液0.5ml、及び上記実施例1で合成した様々な濃度の有機酸-ヘキサペプチド複合体(試料)を、それぞれ0.1mlずつ添加し、10秒間、強くヴォルテックスした後、冷暗所で30分間反応させた。
次に、分光光度計ELISAを用いて、517nmの波長で吸光度を測定した。陽性対照群としては、ビタミンC(Ascorbic acid)を使用した。
(数式1)
DPPHフリーラジカルの捕捉活性(%)={1-試料の吸光度/Blankの吸光度)×100}
DPPHは、エタノール内で固有の紫色を表しており、抗酸化物質によって還元されると、固有の紫色を失い、黄色に変わることになる。DPPHは、517nmの波長で、分光分析によって、ラジカルの測定が可能である。
その結果、ヘキサペプチド複合体を濃度別に処理した際、DPPHのフリーラジカルの捕捉活性が、濃度に応じた抗酸化活性の増加を確認した。また、抗酸化作用の優れたビタミンCと比較すると、ロスマリン酸-EEMQRR-NH、且つカフェ酸-EEMQRR-NHで、ビタミンCと同様のDPPHフリーラジカルの捕捉活性を示した(表8)。
Figure 0007100390000074
上記表8におけるSC50は、フリーラジカルを50%消去するときの試料濃度を示す。その他の有機酸-ヘキサペプチド複合体でも、DPPHフリーラジカルの捕捉活性を示しており、上記34種の有機酸-ヘキサペプチド複合体は、抗酸化化粧料組成物として使用できることを確認した。
実験例3.有機酸-ヘキサペプチド複合体における皮膚再生効果の確認
傷の回復実験(Wound healing assay)で、有機酸-ヘキサペプチド複合体による細胞増殖と移動促進の有無に基づいて、皮膚再生の効果を評価した。ヒト表皮角化細胞株(HaCaT(human keratinocyte、AddexBio、US、Catalog No:T0020001))を使用しており、細胞培養のためのDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)、Antibiotic-Antimycoticは、GIBCOから購入し、FBS(fatal bovine serum)は、Capricornから購入して使用した。
HaCaT細胞は、DMEMに10%FBS、1%Antibiotic-Antimycoticと一緒に、100mm/60.1cmのペトリ皿で、37℃、5%CO,100%湿潤の条件下で、培養器で培養した。HaCaT細胞の細胞飽和度が90%程度になるとき、100mm/60.1cmのペトリ皿で、1.5×10cells/12-ウェル-プレートに分注し、48時間、37℃、5%CO,100%湿潤の条件下で、培養器で培養した。
次に、FBSを添加していないDMEMに交換した後、各ウェルに200μlピペット‐チップを利用してスクラッチングをした。実験群として実施例1で製造した有機酸-ヘキサペプチド複合体を使用しており、100ng/mlの濃度で処理した。陽性対照群としてhEGF(Sigma-Aldrich、USA)を使用しており、0.5ng/mlの濃度で処理した。陰性対照群として1×PBSを使用した。
実験群または対照群を処理した後、直ぐに細胞の写真を顕微鏡で撮り、37℃、5%COの条件下で培養した。更に20時間培養した後、顕微鏡で細胞の写真を撮って、ImageJプログラムを利用し、細胞の再生の程度を計算した。SPSS統計分析プログラムで統計分析を行い、シグマプロットプログラムでグラフに表した。統計学的有意性は、P値(value)が0.05 以下である場合、有意であると評価した。
(数式2)
傷の回復面積(Wound healing area)(%)={(AB)/A}×100
A=実験群または対照群の処理直後、0時間帯、傷の面積
B=実験群または対照群の処理後、20時間帯、傷の面積
その結果、有機酸-ヘキサペプチド複合体の34種の全てにおいて、陰性対照群(PBS)に比べて、回復面積が増加した。その中でも、フェルラ酸-EEMQRR-NHが、陰性対照群に比べ、それぞれの回復面積(healing area)が約2倍以上増加した。そして効能の良いフェルラ酸-EEMQRR-NHと、ロスマリン酸-EEMQRR-NHと、それぞれのAcetyl-EEMQRR-NH(Acetyl hexapeptide-8)、EEMQRR-NH(ヘキサペプチド)、及び有機酸とにおいて、傷の回復面積を比較すると、有機酸-ヘキサペプチド複合体の方が、それぞれ(有機酸、ヘキサペプチド)で処理した方よりも、回復面積(healing area)が増加した(図38a~図38c)。
また、実験例1で製造したゲラン酸-EEMQRR-NH、COOH-EEMQRR-ゲラン酸、及びCOOH-EE(ゲラン酸)MQRR-NH複合体による、細胞増殖且つ移動促進の有無に基づいて、皮膚再生の効果を評価した。実験方法は、上記と同様に行った。
その結果、ゲラン酸-EEMQRR-NH、COOH-EEMQRR-ゲラン酸、及びCOOH-EE(ゲラン酸)MQRR-NH複合体の全てにおいて、陰性対照群に比べて、それぞれの回復面積(healing area)が約2倍以上増加した。これにより、有機酸-ヘキサペプチド複合体が細胞の増殖と移動を促進し、回復面積を増加させることに効果的であり、したがって、皮膚の再生にも効能を有するため、化粧料組成物として使用できることを確認した(図39)。
実験例4.有機酸-ヘキサペプチド複合体における細胞毒性の確認
ゲラン酸-EEMQRR-NH、COOH-EEMQRR-ゲラン酸、及びCOOH-EE(ゲラン酸)MQRR-NH複合体の細胞毒性を確認するために、WST-1分析を行った。
具体的には、十分に成長した細胞を、2×10cells/wellの濃度で、96-ウェル-プレートに移し培養した。細胞がプレートの底にすべて取り付けられるように、24時間培養しており、いくつかのウェルは、細胞なしで培地のみを詰めた。サンプルは、DMEMを用いて、最終体積が100μl になるように製造した。WST-1試薬は、各ウェル当り10μlを分注し、分注後、4時間、37℃の温度で培養した。その後、ELISA readerを利用して、450nmの波長で吸光度を測定した。
その結果、図40に示したように、ゲラン酸-EEMQRR-NH、COOH-EEMQRR-ゲラン酸、及びCOOH-EE(ゲラン酸)MQRR-NH複合体の全てにおいて、細胞毒性が現れないことを確認した。
実施例2.改変したヘキサペプチド複合体の製造
Fmoc-Glu(tbu)-OH、Fmoc-Met-OH、Fmoc-Gln(Trt)-OH、及びFmoc-Arg(Pbf)-OHの原料は、GLS(GL Biochem、Shanghai)から購入した。また、ベタメタゾン、ベタメタゾンバレラート(Betamethasone valerate)、ベタメタゾンジプロピオナート(Betamethasone dipropionate)、モメタゾンフロアート(Mometasone furoate)、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチソン17-ブチラート(Hydrocortisone 17-butyrate)、プレドニゾン、メチルプレドニゾン、及びエストリオールは、Sigma(Sigma Aldrich、US)から購入した。また、グルタル酸無水物(glutaric anhydride)は、TCI(TCI chemicals)から購入した。また、ジフルコルトロンバレラート(Diflucortolone valerate)、及びメチルプレドニゾロンアセポナート(Methylprednisolone aceponate)は、Henan Tianfu Chemicalから購入した。また、DMF(dimethylformamide)、DIEA(N、N-diisopropylethylamine)、DCM(Dichloromethane)、及びピペリジン(piperidine)は、Daejung Chemical&Metals(Korea)から購入して使用した。
実施例2.1.改変したヘキサペプチド複合体の合成
改変したヘキサペプチド複合体の合成工程は、下記(1)~(8)の工程で示した。また、合成工程の条件は、下記表9に示した。
Figure 0007100390000075
(1)樹脂膨張(swelling)
ろ過膜が装着された固相(solid-phase)合成反応器において、合成末端にカルボキシ基(-COOH)を有するペプチドの合成は、クロロトリチルクロリド樹脂(2-Chlorotritylchloride resin、Bead Tech)を用いた。また、合成末端にペプチド結合(-CONH2)に終わるペプチド合成は、リンクアミド樹脂(Rink amide resin、GLS)を用いた。DCMとDMFを使用して、30分間、樹脂を膨張させた。
(2)アミノ酸ローディング(loading)
クロロトリチルクロライド樹脂を用いた合成は、最初のアミノ酸を樹脂にロードさせるプロセスを含んでいる。膨張させた樹脂を、減圧下で、ろ過膜にて溶媒を除去した。上記樹脂に、2当量のFmoc-Arg(Pbf)-OHを、DMFに完全に溶かした後、クロロトリチルクロライド樹脂に添加し、密度を調整したDIEAを、クロロトリチルクロライド樹脂の4当量に対応する量で添加した。次に、反応器を用いて、5時間以上、25℃~32℃の温度で反応を行った。
(3)樹脂Fmoc脱保護
上記クロロトリチルクロライド樹脂またはリンクアミド樹脂を用いた合成プロセスは、Fmocの脱保護の反応をさせるプロセスが含まれた。樹脂Fmoc脱保護プロセスは、減圧下で、ろ過膜にて溶媒を除去した後、20%(v/v)ピペリジンを添加したDMFを使用して、5分間洗浄した。次に、また20%(v/v)ピペリジンを添加したDMFを使用して、10分間洗浄した。減圧下で、ろ過して反応液を除去し、DCMまたはDMFを使用して、2分ずつ6回以上洗浄した。
(4)アミノ酸の合成
上記リンクアミド樹脂に、3~5当量のFmoc-Arg(Pbf)-OH(GLS)を、DMFに完全に溶かした後、溶媒を除去したリンクアミド樹脂に入れた。カップリング試薬(coupling reagent)で、2M HOBt/DIC(Hydroxybenzotriazole/diisopropylcarbodiimide)を、アミノ酸当量とリンクアミド樹脂の量に合わせて入れた。次に、反応器を用いて、5時間以上、25℃~32℃の温度で合成を行った。反応が完了したら、溶媒をベントした後、きれいなDMFで2分ずつ6回かけて洗浄した。
洗浄後、上記のアミノ酸の結合方法と同様の方法で、Fmoc-Arg(pbf)-OH、Fmoc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-Met-OH、Fmoc-Glu(tBu)-OH、及びFmoc-Glu(tBu)-OHのアミノ酸を順番にカップリングした。
(5)リンカー結合
(5-1)DIEAを用いたリンカー結合
上記ヘキサペプチドが合成された状態の樹脂に、Fmoc脱保護を行い、洗浄された樹脂に、リンカーとして、グルタル酸無水物(glutaric anhydride)を3当量、2Mの濃度のDIEAを、グルタル酸無水物当量とリンクアミド樹脂量に合わせて入れた。次に、反応器を用いて、5時間以上、25℃~32℃の温度で合成を行った。反応が完了したら、溶媒をベントした後、きれいなDMFで2分ずつ6回かけて洗浄した。
上記グルタル酸無水物の代わりに、コハク酸(Succinic acid)またはマレイン酸無水物(Maleic anhydride)を利用して、コハク酸リンカーまたはマレイン酸リンカーを結合させた。
(5-2)HOBT/DICを用いたリンカー結合
また、上記ヘキサペプチドが合成された状態の樹脂に、Fmoc脱保護を行い、洗浄された樹脂に、リンカーとして、マロン酸(Malonic acid)を3当量、2Mの濃度のHOBT/DICを、マロン酸当量とリンクアミド樹脂量に合わせて入れた。次に、反応器を用いて、5時間以上、25℃~32℃の温度で合成を行った。反応が完了したら、溶媒をベントした後、きれいなDMFで2分ずつ6回かけて洗浄した。
上記マロン酸の代わりに、アジピン酸(Adipic acid)、フマル酸(Fumaric acid)、イソフタル酸(Isophthalic acid)、テレフタル酸(Terephthalic acid)、又は2,6‐ナフタレンジカルボン酸(2,6-Naphthalenedicarboxylic acid)を利用して、アジピン酸リンカー、フマル酸リンカー、イソフタル酸リンカー、テレフタル酸リンカー、又は2,6‐ナフタレンジカルボン酸リンカーを結合させた。
(6)ステロイド結合
次に、リンカー結合された状態のヘキサペプチド樹脂に、ベタメタゾンを3当量、2Mの濃度のDMAP/DICを、アミノ酸当量と樹脂量に合わせて入れた。次に、反応器を用いて、5時間以上、25℃~32℃の温度で反応させた。
(7)分離(Cleavage)
反応が完了したら、減圧下で、ろ過膜にて溶媒を除去した後、きれいなDMFで2分ずつ2回、DCMで2分ずつ2回かけて洗浄した。次に、殆どの溶媒をベントして除去した。乾燥された改変したヘキサペプチド複合体樹脂を、70%(v/v)TFA/29%(v/v)DCM/1%(v/v)HO溶液を用いて、4時間分離を行った(図41及び図42)。
(8)再結晶(Crystallize)
分離が完了された溶媒を、エチルエーテル(Ethyl ether)を用いて、粗(Crude)製品を再結晶化させて、ベタメタゾン-EEMQRR-NHを抽出した。
上記ベタメタゾン-EEMQRR-NHの合成方法と同様の方法で、デキサメタゾン-EEMQRR-NH、ヒドロコルチゾン-EEMQRR-NH、プレドニゾン-EEMQRR-NH、メチルプレドニゾン-EEMQRR-NH、エストリオール-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-EEMQRR-NH、ベタメタゾンジプロピオナート-EEMQRR-NH、ジフルコルトロンバレラート-Glutaroyl-EEMQRR-NH、ヒドロコルチソン17-ブチラート-EEMQRR-NH、モメタゾンフロアート-EEMQRR-NH、メチルプレドニゾロンアセポナート-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Glutaric-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Succinic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Maleic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Malonic-EEMQRR-NH 、ベタメタゾンバレラート-Adipic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Fumaric-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Isophthalic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Terephthalic-EEMQRR-NH、及びベタメタゾンバレラート-2,6-Naphthalenedicarboxylic-EEMQRR-NHを合成した。
実施例2.2.改変したヘキサペプチド複合体の精製
実施例2.1.で合成したベタメタゾン-EEMQRR-NH複合体の粗製品を10%(v/v)アセトニトリルを添加した蒸留水の溶液に溶かした。次に、下記グラデーション(gradient)の条件下で、HPLCで精製した後、凍結乾燥してベタメタゾン-EEMQRR-NH複合体を得た(図43~図48)。上記グラデーションは、下記表10に示した。
A.機器:Shimadzu 8A(5cm*25cm)/8A(prep(dia 5cm))
B.溶媒の組成:バッファA=0.05%TFA/アセトニトリル、バッファB=0.05%TFA/H
C.流れ速度(Flow rate):14ml/分
D.カラム:Silicagel C18 reverse phase
E.吸光度:230nm
E.グラデーション
Figure 0007100390000076
また、デキサメタゾン-EEMQRR-NH、ヒドロコルチゾン-EEMQRR-NH、プレドニゾン-EEMQRR-NH、メチルプレドニゾン-EEMQRR-NH、及びエストリオール-EEMQRR-NH複合体、ベタメタゾンバレラート-EEMQRR-NH、ベタメタゾンジプロピオナート-EEMQRR-NH、ジフルコルトロンバレラート-Glutaroyl-EEMQRR-NH、ヒドロコルチソン17-ブチラート-EEMQRR-NH、モメタゾンフロアート-EEMQRR-NH、メチルプレドニゾロンアセポナート-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Glutaric-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Succinic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Maleic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Malonic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Adipic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Fumaric-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Isophthalic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Terephthalic-EEMQRR-NH、及びベタメタゾンバレラート-2,6-Naphthalenedicarb oxylic-EEMQRR-NH複合体においても、上記ベタメタゾン-EEMQRR-NH複合体の精製工程と同様の方法で精製した。
実験例4.改変したヘキサペプチド複合体の抗酸化効果の確認
安定フリーラジカルであるDPPH(1,1-Diphenyl-2-picryhydrazyl、Sigma D9132-1G)を利用して、ラジカルが減少する程度を分光光度計(spectrophotometer)で測定し、間接的に試料の抗酸化活性を測定した。具体的には、エタノール0.4mlに、0.1mMのDPPH溶液0.5ml且つ上記実施例2.で合成した、様々な濃度の改変したヘキサペプチド複合体(試料)を、それぞれ0.1mlずつ添加し、10秒間、強くヴォルテックスした後、冷暗所で30分間反応させた。
次に、分光光度計ELISAを用いて、517nmの波長で吸光度を測定した。陽性対照群としては、ビタミンC(Ascorbic acid)を使用した。
(数式1)
DPPHフリーラジカルの捕捉活性(%)={1-試料の吸光度/Blankの吸光度)×100}
DPPHは、エタノール内で固有の紫色を示しており、抗酸化物質によって還元されると、固有の紫色を失い、黄色に変わることになる。DPPHは、517nmの波長で、分光分析にてラジカルを測定することができる。
その結果、改変したヘキサペプチド複合体を濃度別に処理した際に、DPPHのフリーラジカルの捕捉活性が、濃度に応じて抗酸化活性が増加することを確認した(表11)。
Figure 0007100390000077
上記表11は、改変したヘキサペプチド複合体のDPPHフリーラジカルの捕捉活性を示した表である。SC50は、フリーラジカルを50%消去する際の試料濃度に意味する。その他、改変したヘキサペプチド複合体でも、DPPHフリーラジカルの捕捉活性を示しており、上記の6種の改変したヘキサペプチド複合体は、抗酸化の化粧料組成物として使用できることを確認した。
実験例5.改変したヘキサペプチド複合体の皮膚再生効果の確認
傷の回復実験(Wound healing assay)にて、改変したヘキサペプチド複合体による細胞増殖と移動の促進有無に基づいて、皮膚再生の効果を評価した。ヒト表皮角化細胞株(HaCaT(human keratinocyte、AddexBio、US、Catalog No:T0020001))を使用しており、細胞培養のためのDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)、及びAntibiotic-Antimycoticは、GIBCOから購入し、FBS(fatal bovine serum)は、Capricorn から購入して使用した。
HaCaT細胞は、DMEMに、10%FBS、1%Antibiotic-Antimycoticと一緒に、100mm/60.1cmのペトリ皿で、37℃、5%CO,100%湿潤の条件下で、培養器で培養した。HaCaT細胞の細胞飽和度が90%程度になるとき、100mm/60.1cmのペトリ皿で、1.5×10cells/12ウェル-プレートに分注して、48時間、37℃、5%CO,100%湿潤の条件下で、培養器で培養した。
次に、FBSを添加していないDMEMに交換した後、各ウェルに200μlのピペット‐チップを利用してスクラッチングをした。実験群として、実施例2で合成して改変したヘキサペプチド複合体を使用し、100ng/mlの濃度で処理した。陽性対照群として、hEGF(Sigma-Aldrich、USA)を使用し、0.5ng/mlの濃度で処理した。陰性対照群として1×PBSを使用した。
実験群または対照群を処理した後、直ぐに細胞の写真を顕微鏡で撮り、37℃、5%COの条件下で培養した。更に20時間培養した後、顕微鏡で細胞の写真を撮って、ImageJ プログラムを利用して、細胞の再生の程度を計算した。SPSS統計分析プログラムで統計分析を行い、シグマプロットプログラムでグラフに表した。統計学的有意性は、P値(value)が0.05 以下である場合、有意であると評価した。
(数式2)
傷の回復面積(Wound healing area)(%)={(AB)/A}×100
A=実験群または対照群の処理直後、0時間帯、傷の面積
B=実験群または対照群の処理後、20時間帯、傷の面積
その結果、改変したヘキサペプチド複合体の6種の全てにおいて、陰性対照群(PBS)に比べて、回復面積が増加した(図49)。
また、実施例2.で合成したベタメタゾンバレラート-EEMQRR-NH、ベタメタゾンジプロピオナート-EEMQRR-NH、ジフルコルトロンバレラート-Glutaroyl-EEMQRR-NH、ヒドロコルチソン17-ブチラート-EEMQRR-NH、モメタゾンフロアート-EEMQRR-NH、及びメチルプレドニゾロンアセポナート-EEMQRR-NH複合体による細胞増殖と移動の促進有無に基づいて、皮膚再生の効果を評価した。実験方法は、上述した方法と同様に行った。
その結果、ベタメタゾンバレラート-EEMQRR-NH、ベタメタゾンジプロピオナート-EEMQRR-NH、ジフルコルトロンバレラート-Glutaroyl-EEMQRR-NH、ヒドロコルチソン17-ブチラート-EEMQRR-NH、モメタゾンフロアート-EEMQRR-NH、及びメチルプレドニゾロンアセポナート-EEMQRR-NH複合体の全てにおいて、陰性対照群に比べて、それぞれの回復面積(healing area)が約2倍以上増加した(図50)。
さらに、実施例2.で製造した9種のリンカーを用いて、ステロイドを結合させたベタメタゾンバレラート-Glutaric-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Succinic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Maleic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Malonic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Adipic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Fumaric-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Isophthalic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Terephthalic-EEMQRR-NH、及びベタメタゾンバレラート-2,6-Naphthalenedicarboxylic-EEMQRR-NH複合体による、細胞増殖と移動の促進有無に基づいて、皮膚再生の効果を評価した。実験方法は、上述した方法と同様に行った。
その結果、ベタメタゾンバレラート-Glutaric-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Succinic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Maleic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Malonic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Adipic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Fumaric-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Isophthalic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Terephthalic-EEMQRR-NH、及びベタメタゾンバレラート-2,6-Naphthalenedicarboxylic-EEMQRR-NH複合体の全てにおいて、陰性対照群に比べて、それぞれの回復面積(healing area)が約2倍以上増加した。これにより、改変したヘキサペプチド複合体が、細胞の増殖と移動を促進して、回復面積を増加させることに効果的であり、したがって、皮膚の再生にも効果を有しており、化粧料組成物として使用できることを確認した(図51)。
実験例6.改変したヘキサペプチド複合体の細胞毒性の確認
ベタメタゾンバレラート-EEMQRR-NH、ベタメタゾンジプロピオナート-EEMQRR-NH、ジフルコルトロンバレラート-Glutaroyl-EEMQRR-NH、ヒドロコルチソン17-ブチラート-EEMQRR-NH、モメタゾンフロアート-EEMQRR-NH、メチルプレドニゾロンアセポナート-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Glutaric-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Succinic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Maleic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Malonic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Adipic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Fumaric-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Isophthalic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Terephthalic-EEMQRR-NH、及びベタメタゾンバレラート-2,6-Naphthalenedicarboxylic-EEMQRR-NH複合体の細胞毒性を確認するために、WST-1分析を行った。
具体的には、十分に成長した細胞を、2×10cells/wellの濃度で、96ウェル-プレートに移し培養した。細胞をプレートの底にすべて取り付けられるように、24時間培養しており、いくつかのウェルは、細胞なしで培地のみを詰めた。サンプルは、DMEMを用いて、最終的体積が100μl になるように製造した。WST-1試薬は、各ウェル当り10μlを分注し、分注後、4時間、37℃の温度で培養した。その後、ELISA readerを利用して、450nmの波長で吸光度を測定した。
その結果、図52及び図53に示したように、ベタメタゾンバレラート-EEMQRR-NH、ベタメタゾンジプロピオナート-EEMQRR-NH、ジフルコルトロンバレラート-Glutaroyl-EEMQRR-NH、ヒドロコルチソン17-ブチラート-EEMQRR-NH、モメタゾンフロアート-EEMQRR-NH、メチルプレドニゾロンアセポナート-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Glutaric-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Succinic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Maleic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Malonic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Adipic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Fumaric-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Isophthalic-EEMQRR-NH、ベタメタゾンバレラート-Terephthalic-EEMQRR-NH、及びベタメタゾンバレラート-2,6-Naphthalenedicarboxylic-EEMQRR-NH複合体の全てにおいて、細胞毒性が現れないことを確認した。

Claims (14)

  1. EEMQRR(配列番号1)のアミノ酸配列を有するヘキサペプチドと、活性物質とが結合された、活性物質-ヘキサペプチド複合体であって、
    上記活性物質は、有機酸又はステロイドであり、
    上記有機酸は、ギ酸(Formic acid)、グルクロン酸(Glucuronic acid)、乳酸(Lactic acid)、メバロン酸(Mevalonic acid)、プロピオン酸(Propionic acid)、ピルビン酸(Pyruvic acid)、キナ酸(Quinic acid)、シキミ酸(Shikimic acid)、アビエチン酸(Abietic acid)、アシアト酸(Asiatic acid)、コール酸(Cholic acid)、ウルソデオキシコール酸(Ursodeoxycholic acid)、ウルソール酸(Ursolic acid)、アゼライン酸(Azelaic acid)、ジピコリン酸(Dipicolinic acid)、フマル酸(Fumaric acid)、イタコン酸(Itaconic acid)、リンゴ酸(Malic acid)、しゅう酸(Oxalic acid)、コハク酸(Succinic acid)、酒石酸(Tartaric acid)、α‐ケトグルタル酸(α-Ketoglutaric acid)、クエン酸(Citric acid)、リポ酸(Lipoic acid)、ゲラン酸(Geranic acid)、ソルビン酸(Sorbic acid)、ビオチン(Biotin)、トレチノイン酸(Tretinoin)、カフェ酸(Caffeic acid)、フェルラ酸(Ferulic acid)、ロスマリン酸(Rosmarinic acid)、及びシリング酸(Syringic acid)からなる群より選択される何れか一つであり、
    上記ステロイドは、ベタメタゾン(betamethasone)、デキサメタゾン(dexamethasone)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、プレドニゾン(prednisone)、メチルプレドニゾン(methyl prednisone)、エストリオール(estriol)、ベタメタゾンバレラート(Betamethasone valerate)、ベタメタゾンジプロピオナート(Betamethasone dipropionate)、モメタゾンフロアート(Mometasone furoate)、ヒドロコルチソン17-ブチラート(Hydrocortisone 17-butyrate)、ジフルコルトロンバレラート(Diflucortolone valerate)、及びメチルプレドニゾロンアセポナート(Methylprednisolone aceponate)からなる群より選択される何れかである、活性物質-ヘキサペプチド複合体。
  2. 上記ステロイドが、リンカーを介して結合することを特徴とする、請求項1に記載の活性物質-ヘキサペプチド複合体。
  3. 上記リンカーは、下記化学式で表されるものである、請求項2に記載の活性物質-ヘキサペプチド複合体。
    Figure 0007100390000078
    (上記Zは、C1~C10アルキレン基、C2~C12アルケニレン基、又はC6~C14アリーレン基である。)
  4. 上記Zは、
    Figure 0007100390000079
    からなる群より選択される何れか一つである、請求項3に記載の活性物質-ヘキサペプチド複合体。
  5. 上記リンカーは、グルタル酸(Glutaric acid)、コハク酸(Succinic acid)、マレイン酸(Maleic acid)、マロン酸(Malonic acid)、アジピン酸(Adipic acid)、フマル酸(Fumaric acid)、イソフタル酸(Isophthalic acid )、テレフタル酸(Terephthalic acid)、及び2,6‐ナフタレンジカルボン酸(2,6-Naphthalenedicarboxylic acid)からなる群より選択される何れか一つである、請求項2に記載の活性物質-ヘキサペプチド複合体。
  6. 上記活性物質が、ヘキサペプチドのN末端とペプチド結合をすることを特徴とする、請求項1に記載の活性物質-ヘキサペプチド複合体。
  7. 上記ヘキサペプチドのC末端において、カルボキシ基がアミド基で置換されたことを特徴とする、請求項1に記載の活性物質-ヘキサペプチド複合体。
  8. 上記アミド基は、第1級アミド基、第2級アミド基、及び第3級アミドからなる群より選択される何れか一つのアミド基である、請求項7に記載の活性物質-ヘキサペプチド複合体。
  9. 上記アミド基は、第1級アミドであることを特徴とする、請求項7に記載の活性物質-ヘキサペプチド複合体。
  10. 請求項1ないし請求項9の何れか一項に記載の活性物質-ヘキサペプチド複合体を、有効成分として含む、化粧料組成物。
  11. 上記化粧料組成物は、化粧水、クリーム、ローション、セラム、及びエッセンスからなる群より選択される何れか一つの製剤であることを特徴とする、請求項10に記載の化粧料組成物。
  12. 請求項1ないし請求項9の何れか一項に記載の活性物質-ヘキサペプチド複合体を、有効成分として含む、皮膚傷の治療用薬学組成物。
  13. 皮膚の老化防止又は皮膚の再生促進用化粧料組成物を製造するための、請求項1ないし請求項9の何れか一項に記載の活性物質-ヘキサペプチド複合体の使用。
  14. 皮膚傷の治療用薬学組成物を製造するための、請求項1ないし請求項9の何れか一項に記載の活性物質-ヘキサペプチド複合体の使用。
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