以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸(図示省略)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面であり、タイヤ赤道面CLは、空気入りタイヤ1のタイヤ幅方向における中心位置であるタイヤ幅方向中心線と、タイヤ幅方向における位置が一致する。タイヤ幅は、タイヤ幅方向において最も外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤ1のトレッド踏面3を示す平面図である。図1に示す空気入りタイヤ1は、タイヤ径方向の最も外側となる部分にトレッド部2が配設されており、トレッド部2の表面、即ち、当該空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)の走行時に路面と接触する部分は、トレッド踏面3として形成されている。トレッド踏面3には、タイヤ周方向に延びる周方向主溝30と、タイヤ幅方向に延びるラグ溝40とが、それぞれ複数形成されている。トレッド踏面3には、これらの複数の周方向主溝30とラグ溝40とにより、陸部であるブロック10が複数区画されている。
詳しくは、周方向主溝30は、4本がタイヤ幅方向に並んで形成されており、タイヤ赤道面CLを挟んでタイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側に配設される2本の内側周方向主溝31と、2本の内側周方向主溝31のそれぞれのタイヤ幅方向外側に1本ずつ配設される2本の外側周方向主溝32と、が設けられている。また、ラグ溝40は、2本の内側周方向主溝31同士の間に配設される内側ラグ溝41と、隣り合う内側周方向主溝31と外側周方向主溝32との間に配設される中間ラグ溝42と、外側周方向主溝32のタイヤ幅方向外側に配設されるショルダーラグ溝43と、が設けられている。
ここでいう周方向主溝30は、少なくとも一部がタイヤ周方向に延在する縦溝をいう。一般に周方向主溝30は、5mm以上の溝幅を有し、10mm以上の溝深さを有し、摩耗末期を示すトレッドウェアインジケータ(スリップサイン)を内部に有する。本実施形態では、周方向主溝30は、5mm以上の溝幅を有し、12mm以上の溝深さを有しており、タイヤ赤道面CLとトレッド踏面3とが交差するタイヤ赤道線(センターライン)と実質的に平行である。周方向主溝30は、タイヤ周方向に直線状に延在してもよいし、波形状又はジグザグ状に設けられてもよい。また、ラグ溝40は、溝幅が4mm以上12mm以下の範囲内になっており、溝深さが6mm以上22mm以下の範囲内になっている。
トレッド踏面3には、4本の周方向主溝30により、複数のブロック10がタイヤ周方向に並ぶブロック列が、複数形成されている。ブロック列のうち、2本の内側周方向主溝31の間に位置し、タイヤ幅方向における両側が2本の内側周方向主溝31により区画されるブロック列は、中央ブロック列21になっている。また、タイヤ幅方向に隣り合う内側周方向主溝31と外側周方向主溝32との間に位置し、タイヤ幅方向における内側が内側周方向主溝31により区画され、タイヤ幅方向における外側が外側周方向主溝32により区画されるブロック列は、中間ブロック列25になっている。また、外側周方向主溝32のタイヤ幅方向外側に位置し、タイヤ幅方向における内側が外側周方向主溝32により区画されるブロック列は、ショルダーブロック列26になっている。
さらに、トレッド踏面3には、周方向主溝30の溝幅やラグ溝40の溝幅より狭い溝幅でタイヤ周方向に延びる周方向細溝50が形成されている。具体的には、周方向細溝50は、2本の内側周方向主溝31の間に配設されるセンター細溝51と、外側周方向主溝32のタイヤ幅方向外側に配設されるショルダー細溝52とが設けられている。つまり、センター細溝51は、2本の内側周方向主溝31の間に位置する中央ブロック列21に形成され、ショルダー細溝52は、外側周方向主溝32のタイヤ幅方向外側に位置するショルダーブロック列26に形成されている。ここでいう周方向細溝50は、溝幅が1mm以上5mm以下の範囲内になっており、溝深さが6mm以上22mm以下の範囲内になっている。
これらのように形成される周方向細溝50のうち、センター細溝51は、2本の内側周方向主溝31の間の、タイヤ幅方向におけるほぼ中央付近に配設されており、本実施形態では、センター細溝51は、少なくとも一部がタイヤ赤道面CL上に位置している。また、ショルダー細溝52は、外側周方向主溝32と、トレッド踏面3のタイヤ幅方向外側端であるデザインエンドEとの間の、タイヤ幅方向におけるほぼ中央付近に配設されている。ここでいうデザインエンドEは、トレッド部2のタイヤ幅方向最外側端をいい、トレッド部2において溝が形成されるタイヤ幅方向最外側端になっている。
これらのように形成されるセンター細溝51とショルダー細溝52とは、共にタイヤ周方向に延びつつ、タイヤ幅方向に繰り返し屈曲している。つまり、センター細溝51とショルダー細溝52とは、タイヤ周方向に延びつつタイヤ幅方向に繰り返し屈曲するジグザグ状の形状で、タイヤ周方向に延びている。
また、中央ブロック列21とショルダーブロック列26は、周方向細溝50によって周方向細溝50のタイヤ幅方向両側に、さらにブロック列22、27が形成されている。つまり、中央ブロック列21は、センター細溝51を介してタイヤ幅方向に隣接する2つのブロック列22が形成されている。同様に、ショルダーブロック列26は、ショルダー細溝52を介してタイヤ幅方向に隣接する2つのブロック列27が形成されている。また、ショルダーブロック列26における、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向外側のブロック列27には、タイヤ幅方向に延びる細溝である幅方向細溝58が形成されている。
2本の内側周方向主溝31同士の間に配設される内側ラグ溝41は、センター細溝51のタイヤ幅方向における両側に配設されており、一端が内側周方向主溝31に開口し、他端がセンター細溝51に開口している。つまり、センター細溝51のタイヤ幅方向両側に配設される内側ラグ溝41は、共にタイヤ幅方向外側の端部が内側周方向主溝31に開口し、タイヤ幅方向内側の端部が、センター細溝51に開口している。その際に、内側ラグ溝41のタイヤ幅方向内側の端部は、ジグザグ状に形成されるセンター細溝51における屈曲している部分に開口している。
また、センター細溝51のタイヤ幅方向両側に配設される内側ラグ溝41は、タイヤ周方向における位置が、センター細溝51のタイヤ幅方向両側の内側ラグ溝41同士で互いに異なる位置に配設されており、センター細溝51のタイヤ幅方向両側に配設される内側ラグ溝41は、タイヤ周方向において交互に配設されている。また、内側ラグ溝41は、タイヤ幅方向に延びつつ、タイヤ幅方向に対してタイヤ周方向に傾斜しており、タイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜方向は、センター細溝51のタイヤ幅方向両側の内側ラグ溝41同士で同じ方向になっている。
また、隣り合う内側周方向主溝31と外側周方向主溝32との間に配設される中間ラグ溝42は、両端が内側周方向主溝31と外側周方向主溝32とに開口している。詳しくは、中間ラグ溝42は、タイヤ幅方向内側の端部が内側周方向主溝31に開口し、タイヤ幅方向外側の端部が外側周方向主溝32に開口している。また、中間ラグ溝42は、タイヤ幅方向に延びつつ、タイヤ幅方向に対してタイヤ周方向に傾斜しており、タイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜方向は、内側ラグ溝41の傾斜方向の反対方向になっている。つまり、タイヤ赤道面CLのタイヤ幅方向両側に配設される中間ラグ溝42は、タイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜方向が、互いに同じ方向になっている。
また、外側周方向主溝32のタイヤ幅方向外側に配設されるショルダーラグ溝43は、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向における両側に配設されている。ショルダーラグ溝43のうち、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向における内側に配設されるショルダーラグ溝43は、タイヤ幅方向内側の端部が外側周方向主溝32に開口し、タイヤ幅方向外側の端部がショルダー細溝52に開口している。また、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向における外側に配設されるショルダーラグ溝43は、タイヤ幅方向内側の端部がショルダー細溝52に開口し、タイヤ幅方向外側の端部がデザインエンドEで開口している。その際に、ショルダーラグ溝43におけるショルダー細溝52に開口している側の端部は、ジグザグ状に形成されるショルダー細溝52における屈曲している部分に開口している。また、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向両側に配設されるショルダーラグ溝43は、タイヤ周方向における位置が、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向両側のショルダーラグ溝43同士で互いに異なる位置に配設されている。
また、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向における外側に配設される幅方向細溝58は、タイヤ幅方向内側の端部が、ジグザグ状に形成されるショルダー細溝52における屈曲している部分に開口し、タイヤ幅方向外側の端部がデザインエンドEで開口している。ショルダー細溝52のタイヤ幅方向における外側では、タイヤ幅方向に延びるショルダーラグ溝43と幅方向細溝58とが、タイヤ周方向に交互に配設されている。
中央ブロック列21が有する2つのブロック列22は、内側周方向主溝31と内側ラグ溝41とセンター細溝51とにより区画されるブロック10である複数の中央ブロック11が、それぞれタイヤ周方向に並んでいる。また、センター細溝51のタイヤ幅方向両側に位置する内側ラグ溝41は、タイヤ周方向における位置が互いに異なっているため、これに伴い、センター細溝51を介して隣接する2つのブロック列22が有する中央ブロック11は、互いに他方のブロック列22が有する中央ブロック11に対して、タイヤ周方向にオフセットして配置されている。換言すると、中央ブロック11は、センター細溝51を介して隣接する2つのブロック列22がそれぞれ複数有する中央ブロック11が、ブロック列22同士の間で千鳥配置となって配設されている。このため、各中央ブロック11は、自己のブロック列22とは異なるブロック列22が有する2つの中央ブロック11に対して、タイヤ周方向における位置の一部が、タイヤ幅方向に重なっている。
また、隣り合う内側周方向主溝31と外側周方向主溝32との間に形成される中間ブロック列25には、複数の中間ブロック12が、タイヤ周方向に並んで配設されている。中間ブロック12は、内側周方向主溝31と外側周方向主溝32と中間ラグ溝42とによって区画されるブロック10になっている。
また、ショルダーブロック列26が有する2つのブロック列27のうち、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向内側に位置するブロック列27は、外側周方向主溝32とショルダーラグ溝43とショルダー細溝52とにより区画されるブロック10である複数のショルダーブロック13が、タイヤ周方向に並んでいる。また、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向外側に位置するブロック列27は、ショルダーラグ溝43と幅方向細溝58とショルダー細溝52とデザインエンドEとにより区画されるブロック10である複数のショルダーブロック13が、タイヤ周方向に並んでいる。また、ショルダー細溝52を介して隣接する2つのブロック列27が有するショルダーブロック13は、互いに他方のブロック列27が有するショルダーブロック13に対して、タイヤ周方向にオフセットして配置されている。換言すると、ショルダーブロック13は、ショルダー細溝52を介して隣接する2つのブロック列27がそれぞれ複数有するショルダーブロック13が、ブロック列27同士の間で千鳥配置となって配設されている。
これらのように形成される各ブロック10には、タイヤ幅方向に延びつつタイヤ周方向に繰り返し屈曲するサイプ60が、それぞれ3本以上形成されている。詳しくは、中央ブロック11と中間ブロック12とには、サイプ60の長さ方向における両端がブロック10のタイヤ幅方向における両側に開口するオープンサイプ61と、サイプ60の長さ方向における両端がブロック10内で終端するクローズドサイプ62とが形成されている。本実施形態では、中央ブロック11と中間ブロック12とには、1本のオープンサイプ61と、オープンサイプ61のタイヤ周方向における両側に1本ずつ配設される2本のクローズドサイプ62とが形成されている。
また、ショルダーブロック13には、複数のクローズドサイプ62が形成されており、本実施形態では、各ショルダーブロック13には、タイヤ幅方向に延びる3本のクローズドサイプ62が、タイヤ周方向に並んで配設されている。
なお、ここでいうサイプ60は、トレッド踏面3に細溝状に形成されるものであり、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みし、正規内圧の内圧条件で、無負荷時には細溝を構成する壁面同士が接触しないが、平板上で垂直方向に負荷させたときの平板上に形成される接地面の部分に細溝が位置する際、または細溝が形成される陸部の倒れ込み時には、当該細溝を構成する壁面同士、或いは壁面に設けられる部位の少なくとも一部が、陸部の変形によって互いに接触するものをいう。正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、或いは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、或いはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。本実施形態では、サイプ60は、幅が0.3mm以上1mm未満の範囲内になっており、深さが3mm以上22mm以下の範囲内になっている。
図2は、図1のA部詳細図である。中央ブロック11は、中央ブロック列21のブロック列22同士の間で千鳥配置となって配設されるため、中央ブロック列21の各ブロック列22が有する中央ブロック11は、他方のブロック列22が有する複数の中央ブロック11に対して、センター細溝51を介して対向している。また、他方のブロック列22が有する中央ブロック11に対してセンター細溝51を介して対向する中央ブロック11は、他方のブロック列22が有する中央ブロック11に対するタイヤ周方向の対向長さが、対向する異なる中央ブロック11に対して異なる長さで対向している。つまり、本実施形態では、各中央ブロック11は、センター細溝51を介して2つの中央ブロック11と対向しており、対向する一方の中央ブロック11との間で対向している部分のタイヤ周方向における長さと、対向する他方の中央ブロック11との間で対向している部分のタイヤ周方向における長さとが、互いに異なっている。
詳しくは、中央ブロック11におけるセンター細溝51によって区画される側のエッジ15は、センター細溝51がタイヤ幅方向に繰り返し屈曲しながらタイヤ周方向に延びることにより、中央ブロック11のエッジ15も屈曲している。この中央ブロック11のエッジ15は、中央ブロック11のタイヤ幅方向における中央から離れる方向に凸となる形状、即ち、センター細溝51が位置する側に凸となる形状で屈曲している。このように屈曲する中央ブロック11のエッジ15は、屈曲している部分を境とするタイヤ周方向における一方側の長さと他方側の長さとが異なっており、長い側はエッジ15の長尺部16となっており、短い側はエッジ15の短尺部17になっている。
また、センター細溝51を介して隣接する2つのブロック列22が有する中央ブロック11は、長尺部16と短尺部17の位置関係が反対になっている。例えば、所定のタイヤ回転方向で見た際に、一方のブロック列22が有する中央ブロック11では、長尺部16が先着側になり、短尺部17が後着側になる場合は、他方のブロック列22が有する中央ブロック11では、短尺部17が先着側になり、長尺部16が後着側になる。
センター細溝51を介して2つの中央ブロック11と対向する中央ブロック11は、対向する2つの中央ブロック11のうちの一方の中央ブロック11とは、双方の長尺部16同士が対向しており、対向する中央ブロック11の長尺部16同士のほぼ全範囲が対向している。また、対向する2つの中央ブロック11のうちの他方の中央ブロック11とは、双方の短尺部17の一部の範囲同士が対向している。これにより、中央ブロック11は、センター細溝51を介して対向する2つの中央ブロック11のうち、一方の中央ブロック11と他方の中央ブロック11とで、タイヤ周方向における長さが異なる長さで、2つの中央ブロック11に対して対向している。
中央ブロック列21において2つのブロック列22を区画するセンター細溝51には、センター細溝51を介して隣接する中央ブロック11同士の間に連結部55が形成されている。連結部55は、センター細溝51の溝底に形成される底上げによって形成されており、即ち、連結部55は、センター細溝51の一部の溝深さが浅くなるようにセンター細溝51に形成される底上げ部によって形成されている。センター細溝51に形成される連結部55は、1つの中央ブロック11と、当該中央ブロック11に対してセンター細溝51を介して対向する複数の中央ブロック11とのうち、タイヤ周方向の対向長さが相対的に長い中央ブロック11同士の間に形成されている。つまり、連結部55は、センター細溝51を介して対向する中央ブロック11同士のうち、短尺部17同士の間には形成されておらず、対向する中央ブロック11の長尺部16同士の間に形成されている。
図3は、図2のB部詳細図である。センター細溝51に形成される連結部55は、長尺部16同士が対向する中央ブロック11における、長尺部16の長さ方向のほぼ全範囲に亘って形成されている。このように形成される連結部55は、連結部55のタイヤ周方向における長さLCと、中央ブロック11のタイヤ周方向における長さLBとの比(LC/LB)が、0.3以上0.6以下の範囲内になっている。この場合における中央ブロック11のタイヤ周方向における長さLBは、中央ブロック11のタイヤ周方向における一方側の端部と他方側の端部とのタイヤ周方向における距離になっており、即ち、タイヤ周方向における中央ブロック11の最大長さになっている。
また、センター細溝51を介して隣接する中央ブロック11は、双方の中央ブロック11におけるセンター細溝51側のエッジ15における短尺部17同士の一部の範囲も、互いに対向して形成されている。センター細溝51を介して隣接し、短尺部17同士の一部の範囲が対向する中央ブロック11は、短尺部17同士が対向する部分のタイヤ周方向における長さLDと、中央ブロック11のタイヤ周方向における長さLBとの比(LD/LB)が、0.1以上0.3以下の範囲内になっている。
また、中央ブロック11のタイヤ周方向における両端を区画する内側ラグ溝41は、内側ラグ溝41のタイヤ周方向における幅WLと、中央ブロック11のタイヤ周方向における長さLBとの比(WL/LB)が、0.15以上0.3以下の範囲内になっている。この場合における内側ラグ溝41のタイヤ周方向における幅WLは、トレッド踏面3に対して内側ラグ溝41が開口している部分の、タイヤ周方向における幅になっている。
図4は、図3のC-C断面図である。連結部55が形成されるセンター細溝51は、センター細溝51の最大深さD1と、センター細溝51における連結部55が形成される位置での深さD2との比(D2/D1)が、0.6以上0.9以下の範囲内になっている。即ち、センター細溝51は、連結部55が形成されていない位置での最大深さD1と、連結部55が形成される位置でのトレッド踏面3から連結部55までの深さD2との関係が、0.6≦(D2/D1)≦0.9の範囲内になっている。
ブロック10に形成されるサイプ60のうち、中央ブロック11と中間ブロック12とに形成されるオープンサイプ61は、サイプ長さ方向とサイプ深さ方向との双方向に対してサイプ幅方向に振幅する三次元形状のサイプである、いわゆる三次元サイプになっている。つまり、三次元サイプであるオープンサイプ61は、サイプ長さ方向を法線方向とする断面視、及びサイプ深さ方向を法線方向とする断面視の双方にて、サイプ幅方向に振幅をもつ屈曲形状のサイプ壁面を有している。また、オープンサイプ61は、トレッド踏面3では、タイヤ幅方向に延びつつ5箇所以上で屈曲している。
このように形成されるオープンサイプ61のうち、中央ブロック11に形成されるオープンサイプ61は、タイヤ幅方向における両端が、中央ブロック11のタイヤ幅方向における両端に開口している。つまり、中央ブロック11に形成されるオープンサイプ61は、タイヤ幅方向における一端がセンター細溝51に開口し、他端が内側周方向主溝31に開口している。また、中間ブロック12に形成されるオープンサイプ61は、タイヤ幅方向における一端が内側周方向主溝31に開口し、他端が外側周方向主溝32に開口している。即ち、オープンサイプ61が形成される中央ブロック11と中間ブロック12とは、オープンサイプ61によってタイヤ周方向に2分割されている。
また、タイヤ幅方向における両端が、中央ブロック11内、中間ブロック12内、ショルダーブロック13内の各ブロック10内で終端するクローズドサイプ62は、タイヤ幅方向に延びる際、またはタイヤ深さ方向に向かう際に屈曲せずにストレート状に延びる二次元形状のサイプである、いわゆる二次元サイプになっている。つまり、二次元サイプであるクローズドサイプ62は、サイプ長さ方向を法線とする任意の断面視(サイプ幅方向、且つ、サイプ深さ方向を含む断面視)にてストレート形状のサイプ壁面を有している。本実施形態では、クローズドサイプ62は、タイヤ幅方向に延びつつ、タイヤ周方向に複数回繰り返し屈曲しており、トレッド踏面3に表れる形状と同じ形状で、トレッド踏面3への開口部分からサイプ底まで形成されている。クローズドサイプ62は、オープンサイプ61が形成される中央ブロック11と中間ブロック12とでは、オープンサイプ61のタイヤ周方向における両側に配設されている。
これらように形成されるサイプ60のうち、オープンサイプ61は、深さが周方向主溝30の深さの50%以上70%以下の範囲内になっている。また、クローズドサイプ62は、深さがオープンサイプ61の深さの60%以上95%以下の範囲内になっている。
図5は、図3のD-D断面図である。内側ラグ溝41は、溝壁44が屈曲部45を有して形成されると共に、屈曲部45よりも溝底49側の溝幅が、トレッド踏面3での内側ラグ溝41の溝幅WL1よりも狭くなっている。具体的には、内側ラグ溝41の溝壁44は、屈曲部45として、溝壁44におけるトレッド踏面3から連続する部分に形成される第1屈曲部46と、溝壁44における溝底49から連続する部分に形成される第2屈曲部47とを有している。溝壁44において、第1屈曲部46からトレッド踏面3側に向かって形成される部分は、溝深さ方向に近い角度で形成されており、第1屈曲部46から溝底49側に向かって形成される部分は、溝幅方向に近い角度で形成されており、第1屈曲部46は、溝壁44におけるこれらの角度が異なる部分の交差部になっている。また、溝壁44において、第2屈曲部47からトレッド踏面3側に向かって形成される部分は、溝幅方向に近い角度で形成されており、第2屈曲部47から溝底49側に向かって形成される部分は、溝深さ方向に近い角度で形成されており、第2屈曲部47は、溝壁44におけるこれらの角度が異なる部分の交差部になっている。
また、第1屈曲部46と第2屈曲部47とは、溝深さ方向における位置がほぼ同じ位置になっており、第1屈曲部46よりも第2屈曲部47の方が、溝幅方向内側に位置している。このため、溝壁44における第1屈曲部46と第2屈曲部47との間の部分は、トレッド踏面3に対して平行に近い角度で形成された段付き部48になっており、内側ラグ溝41の溝壁44は、トレッド踏面3に対してほぼ平行な段付き部48を有するひな壇形状で形成されている。
ひな壇形状で形成される内側ラグ溝41は、内側ラグ溝41の最大深さDL1と、トレッド踏面3から屈曲部45までの深さDL2との比(DL2/DL1)が、0.6以上0.9以下の範囲内になっている。なお、内側ラグ溝41は、屈曲部45として第1屈曲部46と第2屈曲部47とを有しており、第1屈曲部46と第2屈曲部47との間には、トレッド踏面3に対して平行な段付き部48が形成されているため、トレッド踏面3から屈曲部45までの深さDL2は、換言すると、トレッド踏面3から段付き部48までの深さDL2になっている。
また、屈曲部45よりも溝底49側の溝幅が、トレッド踏面3での溝幅WL1よりも狭くなっている内側ラグ溝41は、トレッド踏面3での溝幅WL1と、屈曲部45の位置での溝幅WL2との比(WL2/WL1)が、0.3以上0.5以下の範囲内になっている。この場合における屈曲部45の位置での溝幅WL2は、対向する溝壁44同士の間隔が屈曲部45によって狭くなっている部分での溝幅WL2になっており、即ち、第2屈曲部47の位置での溝幅WL2になっている。なお、内側ラグ溝41における屈曲部45の位置での溝幅WL2、或いは、屈曲部45よりも溝底49側の溝幅は、2mm以上5mm以下の範囲内であるのが好ましい。
中間ラグ溝42も、内側ラグ溝41と同様にひな壇形状で形成されており、溝壁44が屈曲部45を有して形成されると共に、屈曲部45よりも溝底49側の溝幅がトレッド踏面3での中間ラグ溝42の溝幅よりも狭くなっている。つまり、中間ラグ溝42も、屈曲部45として第1屈曲部46と第2屈曲部47とを有すると共に、第1屈曲部46と第2屈曲部47との間には、トレッド踏面3に対して平行な段付き部48が形成されており、第2屈曲部47の位置での溝幅WL2が、トレッド踏面3での溝幅WL1よりも狭くなっている。
図6は、図1のF-F断面図である。内側周方向主溝31も、溝壁34が屈曲部35を有して形成されると共に、屈曲部35よりも溝底39側の溝幅が、トレッド踏面3での内側周方向主溝31の溝幅よりも狭くなっており、内側周方向主溝31は、内側ラグ溝41と同様にひな壇形状で形成されている。つまり、内側周方向主溝31も、屈曲部35として第1屈曲部36と第2屈曲部37とを有すると共に、第1屈曲部36と第2屈曲部37との間には、トレッド踏面3に対して平行な段付き部38が形成されており、第2屈曲部37の位置での溝幅WM2が、トレッド踏面3での溝幅WM1よりも狭くなっている。具体的には、内側周方向主溝31は、トレッド踏面3での溝幅WM1と、屈曲部35の位置での溝幅WM2との比(WM2/WM1)が、0.3以上0.7以下の範囲内になっている。
ひな壇形状で形成される内側周方向主溝31は、内側周方向主溝31の最大深さDM1と、トレッド踏面3から屈曲部35までの深さDM2との比、即ち、内側周方向主溝31の最大深さDM1と、トレッド踏面3から段付き部48までの深さDM2との比(DM2/DM1)が、0.5以上0.9以下の範囲内になっている。
また、内側周方向主溝31は、トレッド踏面3から溝底39までの最大深さDM1が、内側ラグ溝41の最大深さDL1よりも深くなっており、内側ラグ溝41は、最大深さDL1が内側周方向主溝31の最大深さDM1の70%以上90%以下の範囲内になっている。
これらのように構成される空気入りタイヤ1を車両に装着して走行すると、トレッド踏面3のうち下方に位置するトレッド踏面3が路面に接触しながら当該空気入りタイヤ1は回転する。空気入りタイヤ1を装着した車両で乾燥した路面を走行する場合には、主にトレッド踏面3と路面との間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面に伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。また、濡れた路面を走行する際には、トレッド踏面3と路面との間の水が周方向主溝30やラグ溝40等に入り込み、これらの溝でトレッド踏面3と路面との間の水を排水しながら走行する。これにより、トレッド踏面3は路面に接地し易くなり、トレッド踏面3と路面との間の摩擦力により、車両は走行することが可能になる。
また、雪上路面を走行する際には、空気入りタイヤ1は路面上の雪をトレッド踏面3で押し固めると共に、路面上の雪が周方向主溝30やラグ溝40に入り込むことにより、これらの雪も溝内で押し固める状態になる。この状態で、空気入りタイヤ1に駆動力や制動力が作用したり、車両の旋回によってタイヤ幅方向への力が作用したりすることにより、溝内の雪に対して作用するせん断力である、いわゆる雪柱せん断力が空気入りタイヤ1と雪との間で発生する。雪上路面を走行する際には、この雪柱せん断力によって空気入りタイヤ1と路面との間で抵抗が発生することにより、駆動力や制動力を路面に伝達することができ、車両は雪上路面での走行が可能になる。
また、雪上路面や氷上路面を走行する際には、周方向主溝30やラグ溝40、サイプ60のエッジ効果も用いて走行する。つまり、雪上路面や氷上路面を走行する際には、周方向主溝30のエッジやラグ溝40のエッジ、サイプ60のエッジが雪面や氷面に引っ掛かることによる抵抗も用いて走行する。また、氷上路面を走行する際には、氷上路面の表面の水をサイプ60で吸水し、氷上路面とトレッド踏面3との間の水膜を除去することにより、氷上路面とトレッド踏面3は接触し易くなる。これにより、トレッド踏面3は、摩擦力やエッジ効果によって氷上路面との間の抵抗が大きくなり、空気入りタイヤ1を装着した車両の走行性能を確保することができる。
これらのように、雪上路面や氷上路面を走行する際には、周方向主溝30やラグ溝40等の溝や、サイプ60が重要になるが、雪上路面や氷上路面を走行する際の性能である氷雪上性能を重視して溝やサイプ60を増やした場合、ブロック10の剛性が低下し易くなる。ブロック10の剛性が低下すると、ブロック10は摩耗し易くなり、特に、剛性が低い部分での摩耗が大きくなり易くなるため、偏摩耗が発生し易くなる。
これに対し、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、中央ブロック11に複数のサイプ60を形成すると共に中央ブロック列21にセンター細溝51を形成することによって氷雪上性能を確保しつつ、センター細溝51によって区画されるブロック列22が有する中央ブロック11同士を、互いにタイヤ周方向にオフセットさせている。
これにより、空気入りタイヤ1の回転時において、接地している中央ブロック11のトレッド踏面3が路面から離れる際には、センター細溝51を介して当該中央ブロック11と隣接する中央ブロック11が接地し続けている状態で離れることになるため、中央ブロック11が路面から離れる際に、路面に対して滑りながら急激に離れることを抑制することができる。このため、空気入りタイヤ1の回転時に、中央ブロック11の、空気入りタイヤ1の回転方向における後着側である蹴り出し側が、路面に対して滑ることにより摩耗が発生し易くなることを抑制でき、ブロック10の蹴り出し側の大きな摩耗が原因となる偏摩耗である、いわゆるヒール&トウ摩耗が発生し易くなることを抑制することができる。
また、センター細溝51には、センター細溝51を介して隣接する中央ブロック11同士の間に連結部55が形成されているため、センター細溝51によって氷雪上性能を確保しつつ、中央ブロック11の剛性が低くなり過ぎることを、連結部55によって抑制することができる。これにより、中央ブロック11の剛性が低くなり過ぎることに起因して中央ブロック11が摩耗し易くなり、偏摩耗が発生し易くなることを抑制することができる。これらの結果、氷雪上性能と耐偏摩耗性とを両立することができる。
また、センター細溝51の連結部55は、1つの中央ブロック11と、当該中央ブロック11に対してセンター細溝51を介して対向する複数の中央ブロック11とのうち、タイヤ周方向の対向長さが相対的に長い中央ブロック11同士の間に形成されるため、センター細溝51を介して隣接する中央ブロック11同士の剛性を、より確実に確保することができる。この結果、より確実に耐偏摩耗性を確保することができる。
また、ブロック10に形成されるサイプ60は、二次元形状のクローズドサイプ62の他に、三次元形状のオープンサイプ61を有しているため、サイプ60によって氷雪上性能を確保しつつ、サイプ60を形成することによるブロック10の剛性の低下を抑制することができる。つまり、三次元形状のサイプ60は、二次元形状のサイプ60と比較して、対向するサイプ壁面の噛合力が強いため、三次元形状のサイプ60は、ブロック10の剛性の低下を抑えつつ、氷雪上性能を確保することができる。これにより、より確実にブロック10の偏摩耗を抑制することができる。
また、オープンサイプ61は、深さが周方向主溝30の深さの50%以上70%以下の範囲内であるため、ブロック10の剛性が低くなり過ぎることに起因する偏摩耗を抑制しつつ、オープンサイプ61によって氷雪上性能を確保することができる。つまり、オープンサイプ61の深さが、周方向主溝30の深さの50%未満である場合は、オープンサイプ61の深さが浅過ぎるため、オープンサイプ61の容積が小さくなり過ぎる虞があり、オープンサイプ61での吸水性能を確保するのが困難になる虞がある。この場合、氷上路面とトレッド踏面3との間の水膜を、オープンサイプ61によって除去し難くなる虞がある。また、オープンサイプ61の深さが、周方向主溝30の深さの70%を超える場合は、オープンサイプ61の深さが深過ぎるため、オープンサイプ61を三次元形状のサイプ60によって構成しても、サイプ60を形成することに起因するブロック10の剛性の低下を抑制するのが困難になる虞がある。
これに対し、オープンサイプ61の深さが、周方向主溝30の深さの50%以上70%以下の範囲内である場合は、ブロック10の剛性の低下を抑えつつ、オープンサイプ61での吸水性能を確保することができる。これにより、ブロック10の剛性が低くなることによって発生し易くなる偏摩耗を抑制しつつ、氷雪上性能を確保することができる。この結果、より確実に氷雪上性能と耐偏摩耗性とを両立することができる。
また、両端がブロック10内で終端するクローズドサイプ62は、オープンサイプ61のタイヤ周方向における両側に配設されるため、クローズドサイプ62とオープンサイプ61とによって氷雪上性能を確保しつつ、サイプ60を形成することによるブロック10の剛性の低下を、より確実に抑制することができる。また、クローズドサイプ62の深さは、オープンサイプ61の深さの60%以上95%以下の範囲内であるため、ブロック10の剛性が低くなり過ぎることに起因する偏摩耗を抑制しつつ、クローズドサイプ62によって氷雪上性能を確保することができる。
つまり、クローズドサイプ62の深さが、オープンサイプ61の深さの60%未満である場合は、クローズドサイプ62の深さが浅過ぎるため、クローズドサイプ62の容積が小さくなり過ぎる虞があり、クローズドサイプ62での吸水性能を確保するのが困難になる虞がある。この場合、氷上路面とトレッド踏面3との間の水膜を、クローズドサイプ62によって除去し難くなる虞がある。また、クローズドサイプ62の深さが、オープンサイプ61の深さの95%を超える場合は、クローズドサイプ62の深さが深過ぎるため、クローズドサイプ62の両端をブロック10内で終端させても、サイプ60を形成することに起因するブロック10の剛性の低下を抑制するのが困難になる虞がある。
これに対し、クローズドサイプ62の深さが、オープンサイプ61の深さの60%以上95%以下の範囲内である場合は、ブロック10の剛性の低下を抑えつつ、クローズドサイプ62での吸水性能を確保することができる。これにより、ブロック10の剛性が低くなることによって発生し易くなる偏摩耗を抑制しつつ、氷雪上性能を確保することができる。この結果、より確実に氷雪上性能と耐偏摩耗性とを両立することができる。
また、センター細溝51は、センター細溝51の最大深さD1と、センター細溝51における連結部55が形成される位置での深さD2との比(D2/D1)が、0.6以上0.9以下の範囲内であるため、より確実に氷雪上性能を確保しつつ、中央ブロック11の偏摩耗を抑制することができる。つまり、センター細溝51の最大深さD1と、連結部55が形成される位置でのセンター細溝51の深さD2との比(D2/D1)が、0.6未満である場合は、連結部55の高さが高過ぎるため、センター細溝51の容積が小さくなり過ぎる虞があり、センター細溝51に入り込ませることができる雪や水の量が低下する虞がある。この場合、センター細溝51での雪柱せん断力を確保するのが困難になったり、センター細溝51での排水性能を確保するのが困難になったりする虞がある。また、センター細溝51の最大深さD1と、連結部55が形成される位置でのセンター細溝51の深さD2との比(D2/D1)が、0.9を超える場合は、連結部55の高さが低過ぎるため、センター細溝51に連結部55を設けても、中央ブロック11の剛性を確保するのが困難になる虞がある。
これに対し、センター細溝51の最大深さD1と、連結部55が形成される位置でのセンター細溝51の深さD2との比(D2/D1)が、0.6以上0.9以下の範囲内である場合は、センター細溝51によって雪柱せん断力や排水性能を確保しつつ、センター細溝51を設けることによる中央ブロック11の剛性の低下を、連結部55によって抑制することができる。これにより、より確実に氷雪上性能を確保しつつ、中央ブロック11の剛性が低くなることによって発生し易くなる偏摩耗を、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に氷雪上性能と耐偏摩耗性とを両立することができる。
また、連結部55は、連結部55のタイヤ周方向における長さLCと、中央ブロック11のタイヤ周方向における長さLBとの比(LC/LB)が、0.3以上0.6以下の範囲内であるため、より確実に氷雪上性能を確保しつつ、中央ブロック11の偏摩耗を抑制することができる。つまり、連結部55の長さLCと、中央ブロック11の長さLBとの比(LC/LB)が、0.3未満である場合は、連結部55の長さLCが短過ぎるため、センター細溝51に連結部55を設けても、中央ブロック11の剛性を確保するのが困難になる虞がある。また、連結部55の長さLCと、中央ブロック11の長さLBとの比(LC/LB)が、0.6を超える場合は、連結部55の長さLCが長過ぎるため、センター細溝51における連結部55が設けられていない部分の長さが短くなり過ぎる虞があり、センター細溝51に入り込ませることができる雪や水の量が低下する虞がある。この場合、センター細溝51での雪柱せん断力を確保するのが困難になったり、センター細溝51での排水性能を確保するのが困難になったりする虞がある。
これに対し、連結部55の長さLCと、中央ブロック11の長さLBとの比(LC/LB)が、0.3以上0.6以下の範囲内である場合は、センター細溝51によって雪柱せん断力や排水性能を確保しつつ、センター細溝51を設けることによる中央ブロック11の剛性の低下を、連結部55によって抑制することができる。これにより、より確実に氷雪上性能を確保しつつ、中央ブロック11の剛性が低くなることによって発生し易くなる偏摩耗を、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に氷雪上性能と耐偏摩耗性とを両立することができる。
また、内側ラグ溝41は、内側ラグ溝41のタイヤ周方向における幅WLと、中央ブロック11のタイヤ周方向における長さLBとの比(WL/LB)が、0.15以上0.3以下の範囲内であるため、より確実に氷雪上性能を確保しつつ、中央ブロック11の偏摩耗を抑制することができる。つまり、内側ラグ溝41の幅WLと、中央ブロック11の長さLBとの比(WL/LB)が、0.15未満である場合は、内側ラグ溝41の幅WLが狭過ぎるため、内側ラグ溝41に入り込ませることができる雪や水の量が低下する虞がある。この場合、内側ラグ溝41での雪柱せん断力を確保するのが困難になったり、内側ラグ溝41での排水性能を確保するのが困難になったりする虞がある。また、内側ラグ溝41の幅WLと、中央ブロック11の長さLBとの比(WL/LB)が、0.3を超える場合は、内側ラグ溝41の幅WLが広過ぎるため、内側ラグ溝41によって区画される中央ブロック11の体積が小さくなり過ぎる虞があり、中央ブロック11の剛性を確保するのが困難になる虞がある。
これに対し、内側ラグ溝41の幅WLと、中央ブロック11の長さLBとの比(WL/LB)が、0.15以上0.3以下の範囲内である場合は、内側ラグ溝41での雪柱せん断力や排水性能を、より確実に確保しつつ、内側ラグ溝41によって区画する中央ブロック11の剛性が低くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、より確実に氷雪上性能を確保しつつ、中央ブロック11の剛性が低くなることによって発生し易くなる偏摩耗を、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に氷雪上性能と耐偏摩耗性とを両立することができる。
また、内側ラグ溝41は、深さDL1が内側周方向主溝31の深さDM1の70%以上90%以下の範囲内であるため、より確実に氷雪上性能を確保しつつ、中央ブロック11の偏摩耗を抑制することができる。つまり、内側ラグ溝41の深さDL1が、内側周方向主溝31の深さDM1の70%未満である場合は、内側ラグ溝41の深さDL1が浅過ぎるため、内側ラグ溝41に入り込ませることができる雪や水の量が低下する虞がある。この場合、内側ラグ溝41での雪柱せん断力を確保するのが困難になったり、内側ラグ溝41での排水性能を確保するのが困難になったりする虞がある。また、内側ラグ溝41の深さDL1が、内側周方向主溝31の深さDM1の90%を超える場合は、内側ラグ溝41の深さDL1が深過ぎるため、内側ラグ溝41によって区画される中央ブロック11の剛性が低下し易くなる虞がある。
これに対し、内側ラグ溝41の深さDL1が、内側周方向主溝31の深さDM1の70%以上90%以下の範囲内である場合は、内側ラグ溝41での雪柱せん断力や排水性能を、より確実に確保しつつ、内側ラグ溝41によって区画する中央ブロック11の剛性が低くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、より確実に氷雪上性能を確保しつつ、中央ブロック11の剛性が低くなることによって発生し易くなる偏摩耗を、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に氷雪上性能と耐偏摩耗性とを両立することができる。
また、内側ラグ溝41は、溝壁44が屈曲部45を有して形成されると共に、屈曲部45よりも溝底49側の溝幅が、トレッド踏面3での内側ラグ溝41の溝幅WL1よりも狭くなっているため、内側ラグ溝41での雪柱せん断力や排水性能を確保しつつ、内側ラグ溝41によって区画する中央ブロック11の剛性を確保することができる。つまり、内側ラグ溝41における、屈曲部45よりも溝底49側の溝幅を、トレッド踏面3での溝幅WL1よりも狭くすることにより、中央ブロック11におけるタイヤ径方向内側寄りの位置の剛性を確保することができ、中央ブロック11の剛性を、より確実に確保することができる。また、内側ラグ溝41における、屈曲部45よりもトレッド踏面3側の溝幅は狭くしないため、内側ラグ溝41の容積を確保することができ、雪柱せん断力や排水性能を確保することができる。これにより、より確実に氷雪上性能を確保しつつ、中央ブロック11の偏摩耗を抑制することができる。この結果、より確実に氷雪上性能と耐偏摩耗性とを両立することができる。
また、内側ラグ溝41は、内側ラグ溝41の最大深さDL1と、トレッド踏面3から屈曲部45までの深さDL2との比(DL2/DL1)が、0.6以上0.9以下の範囲内であるため、より確実に氷雪上性能を確保しつつ、中央ブロック11の偏摩耗を抑制することができる。つまり、内側ラグ溝41の最大深さDL1と、トレッド踏面3から屈曲部45までの深さDL2との比(DL2/DL1)が、0.6未満である場合は、トレッド踏面3から屈曲部45までの深さDL2が浅過ぎるため、内側ラグ溝41の容積が小さくなり過ぎる虞があり、内側ラグ溝41に入り込ませることができる雪や水の量が低下する虞がある。この場合、内側ラグ溝41での雪柱せん断力を確保するのが困難になったり、内側ラグ溝41での排水性能を確保するのが困難になったりする虞がある。また、内側ラグ溝41の最大深さDL1と、トレッド踏面3から屈曲部45までの深さDL2との比(DL2/DL1)が、0.9を超える場合は、トレッド踏面3から屈曲部45までの深さDL2が深過ぎるため、内側ラグ溝41に屈曲部45を形成して内側ラグ溝41の形状をひな壇形状にしても、内側ラグ溝41によって区画される中央ブロック11の剛性を、効果的に確保するのが困難になる虞がある。
これに対し、内側ラグ溝41の最大深さDL1と、トレッド踏面3から屈曲部45までの深さDL2との比(DL2/DL1)が、0.6以上0.9以下の範囲内である場合は、内側ラグ溝41での雪柱せん断力や排水性能を確保しつつ、内側ラグ溝41によって区画する中央ブロック11の剛性が低くなり過ぎることを、より確実に抑制することができる。これにより、より確実に氷雪上性能を確保しつつ、中央ブロック11の剛性が低くなることによって発生し易くなる偏摩耗を、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に氷雪上性能と耐偏摩耗性とを両立することができる。
また、内側ラグ溝41は、トレッド踏面3での溝幅WL1と、屈曲部45の位置での溝幅WL2との比(WL2/WL1)が、0.3以上0.5以下の範囲内であるため、内側ラグ溝41の溝底49でのクラックの発生を抑制しつつ、中央ブロック11の偏摩耗を抑制することができる。つまり、内側ラグ溝41のトレッド踏面3での溝幅WL1と、屈曲部45の位置での溝幅WL2との比(WL2/WL1)が、0.3未満である場合は、屈曲部45よりも溝底49側の溝幅が狭くなり過ぎる虞がある。この場合、内側ラグ溝41の近傍に荷重が作用した際に、溝底49に応力が集中し易くなり、溝底49にクラックが発生し易くなる虞がある。また、内側ラグ溝41のトレッド踏面3での溝幅WL1と、屈曲部45の位置での溝幅WL2との比(WL2/WL1)が、0.5を超える場合は、屈曲部45よりも溝底49側の溝幅が広くなり過ぎる虞があり、内側ラグ溝41の形状をひな壇形状にしても、内側ラグ溝41によって区画される中央ブロック11の剛性を、効果的に確保するのが困難になる虞がある。
これに対し、内側ラグ溝41のトレッド踏面3での溝幅WL1と、屈曲部45の位置での溝幅WL2との比(WL2/WL1)が、0.3以上0.5以下の範囲内である場合は、内側ラグ溝41の溝底49でのクラックの発生を抑制しつつ、中央ブロック11の剛性が低くなり過ぎることをより確実に抑制し、中央ブロック11の偏摩耗を、より確実に抑制することができる。この結果、内側ラグ溝41の損傷を抑制しつつ、より確実に耐偏摩耗性を確保することができる。
また、中間ラグ溝42は、内側ラグ溝41と同様に、溝壁44が屈曲部45を有して形成されると共に、屈曲部45よりも溝底49側の溝幅が、トレッド踏面3での中間ラグ溝42の溝幅WL1よりも狭くなっているため、中間ラグ溝42での雪柱せん断力や排水性能を確保しつつ、中間ラグ溝42によって区画する中間ブロック12の剛性を確保することができる。これにより、中間ブロック列25の付近においても、より確実に氷雪上性能を確保しつつ、中間ブロック12の偏摩耗を抑制することができる。この結果、より確実に氷雪上性能と耐偏摩耗性とを両立することができる。
また、内側周方向主溝31は、内側ラグ溝41と同様に、溝壁34が屈曲部35を有して形成されると共に、屈曲部35よりも溝底39側の溝幅が、トレッド踏面3での内側周方向主溝31の溝幅WM1よりも狭くなっているため、内側周方向主溝31での雪柱せん断力や排水性能を確保しつつ、内側周方向主溝31によって区画するブロック10の剛性を確保することができる。これにより、より確実に氷雪上性能を確保しつつ、ブロック10の偏摩耗を抑制することができ、この結果、より確実に氷雪上性能と耐偏摩耗性とを両立することができる。
[変形例]
なお、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、センター細溝51やショルダー細溝52は、タイヤ周方向に延びつつタイヤ幅方向に繰り返し屈曲するジグザグ状の形状で形成されているが、周方向細溝50はジグザグ状以外の形状で形成されていてもよい。図7は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、センター細溝51がストレート状に形成される場合の説明図である。周方向細溝50は、タイヤ幅方向に屈曲していなくてもよく、例えば、図7に示すように、センター細溝51が、タイヤ周方向にストレート状に延びて形成されていてもよい。この場合、センター細溝51を介して隣接するブロック列22が有する中央ブロック11は、互いに他方のブロック列22が有する中央ブロック11に対してタイヤ周方向にオフセットして配置されているのが好ましい。即ち、センター細溝51がストレート状に形成される場合でも、センター細溝51を介して隣接する2つのブロック列22がそれぞれ複数有する中央ブロック11は、ブロック列22同士の間で千鳥配置となって配設されるのが好ましい。
また、センター細溝51がストレート状に形成される場合でも、中央ブロック11が千鳥配置となって配設されることにより、センター細溝51を介して隣接するブロック列22が有する中央ブロック11同士は、タイヤ周方向における一部の範囲が、センター細溝51を介して隣接する中央ブロック11同士で対向することになる。センター細溝51に形成される連結部55は、千鳥配置されることによりタイヤ周方向にオフセットされた中央ブロック11同士が対向する範囲に形成されるのが好ましい。センター細溝51がストレート状に形成される場合でも、中央ブロック11同士が対向する範囲に連結部55が形成されることにより、中央ブロック11の剛性が低くなり過ぎることを抑制することができ、中央ブロック11の剛性が低くなり過ぎることに起因して偏摩耗が発生し易くなることを抑制することができる。
また、上述した実施形態では、中央ブロック11と中間ブロック12とには、1本のオープンサイプ61と、オープンサイプ61のタイヤ周方向における両側に1本ずつ配設される2本のクローズドサイプ62とが形成されているが、サイプ60はこれ以外の本数で配設されていてもよい。サイプ60は、例えば、図7に示すように、1つの中央ブロック11に2本のオープンサイプ61が形成され、その2本のオープンサイプ61のタイヤ周方向における両側に、クローズドサイプ62が1本ずつ配設されていてもよい。つまり、1つの中央ブロック11に、2本のオープンサイプ61と2本のクローズドサイプ62とが形成されていてもよい。1つのブロック10に形成されるオープンサイプ61とクローズドサイプ62とは、ブロック10の大きさや、ブロック10が配設される位置等に応じて、適宜設定されるのが好ましい。
また、上述した実施形態では、内側ラグ溝41や中間ラグ溝42は、1つの溝壁44に第1屈曲部46と第2屈曲部47との2つの屈曲部45を有し、溝壁44に段付き部48が形成されることにより、ひな壇形状で形成されているが、内側ラグ溝41や中間ラグ溝42は、ひな壇形状以外の形状で形成されていてもよい。
図8は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、内側ラグ溝41や中間ラグ溝42の屈曲部45が1箇所である場合の説明図である。内側ラグ溝41や中間ラグ溝42は、例えば、図8に示すように、各溝壁44に1つの屈曲部45が形成され、溝壁44における屈曲部45よりも溝底49側の部分は、屈曲部45から溝底49側に向かうに従って、対向する溝壁44同士の距離が小さくなる方向に傾斜していてもよい。つまり、内側ラグ溝41や中間ラグ溝42は、各溝壁44に1つずつ形成される屈曲部45の位置から、溝底49側に向かうに従って、溝幅が狭くなる形状で形成されていてもよい。溝壁44に形成される屈曲部45が1つである場合でも、屈曲部45よりも溝底49側の溝幅が、屈曲部45の位置から溝底49側に向かうに従って狭くなって形成されることにより、内側ラグ溝41や中間ラグ溝42での雪柱せん断力や排水性能を確保しつつ、内側ラグ溝41や中間ラグ溝42によって区画する中央ブロック11や中間ブロック12の剛性を確保することができ、氷雪上性能と耐偏摩耗性とを両立することができる。
また、これと同様に、周方向主溝30もひな壇形状以外の形状で形成されていてもよい。即ち、周方向主溝30も、各溝壁34に1つの屈曲部35が形成され、屈曲部35よりも溝底39側の溝幅が、屈曲部35の位置から溝底39側に向かうに従って狭くなって形成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、周方向細溝50は中央ブロック列21とショルダーブロック列26とに形成されているが、周方向細溝50は、これ以外の位置に形成されていてもよく、例えば、中間ブロック列25に形成されていてもよい。また、上述した実施形態では、周方向主溝30は4本が形成されているが、周方向主溝30は4本以外であってもよい。周方向主溝30は、少なくとも中央ブロック列21を区画することのできる本数であれば、本数は問わない。
[実施例]
図9A~図9Eは、空気入りタイヤの性能評価試験の結果を示す図表である。以下、上記の空気入りタイヤ1について、従来例の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1と、本発明に係る空気入りタイヤ1と比較する比較例の空気入りタイヤとについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、氷上路面や雪上路面での操縦安定性である氷雪上性能と、偏摩耗のし難さについての性能である耐偏摩耗性とについての試験を行った。
性能評価試験は、JATMAで規定されるタイヤの呼びが275/80R22.5サイズの空気入りタイヤ1をJATMAで規定される規定リムのリムホイールにリム組みし、空気圧をJATMAで規定される最大空気圧に調整し、2-D4の試験車両(トラック)に装着してテスト走行をすることにより行った。
各試験項目の評価方法は、氷雪上性能については、氷上路面と雪上路面とを有するテストコースを試験車両で走行した際における、テストドライバーによるフィーリング評価を行い、フィーリング評価を、後述する従来例を100として指数で表すことによって評価した。数値が大きいほど氷上路面や雪上路面での操縦安定性が高く、氷雪上性能が優れていることを示している。
また、耐偏摩耗性については、試験車両で20,000km走行後のヒール&トウ摩耗の摩耗量、具体的には、中央ブロック11の蹴り出し側と踏み込み側との摩耗量の差を測定し、測定した摩耗量の差を、後述する従来例を100とする指数で表示した。この数値が大きいほど、中央ブロック11の蹴り出し側と踏み込み側との摩耗量の差が小さく、即ち、ヒール&トウ摩耗が少なく、耐偏摩耗性に優れていることを示している。
性能評価試験は、従来の空気入りタイヤの一例である従来例の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1である実施例7~28と、本発明に係る空気入りタイヤ1と比較する空気入りタイヤである比較例1~3と、参考例1~6との32種類の空気入りタイヤについて行った。このうち、従来例の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる溝を介して隣接する中央ブロック11同士がタイヤ周方向にオフセットされない通常配置になっており、中央ブロック列21には周方向細溝50が形成されていない。
なお、図9A~図9Eにおいて、内側ラグ溝41の形状と、中間ラグ溝42の形状と、周方向主溝30の形状における「U溝形状」は、内側ラグ溝41や中間ラグ溝42、周方向主溝30が、屈曲部45、35を有さずに、溝幅が一定に形成される形状、またはトレッド踏面3側から溝底49、39側に向かうに従って、溝幅が徐々に狭くなる形状をいう。
また、比較例1は、連結部55が連結をするブロック10の配置方向が、タイヤ周方向になっており、即ち、比較例1では、連結部55は、タイヤ幅方向に延びるラグ溝40に形成されている。また、比較例2は、連結部55を有していない。また、比較例3は、中央ブロック列21に周方向細溝50が形成され、周方向細溝50には連結部55が形成されているものの、周方向細溝50を介して隣接する中央ブロック11同士がタイヤ周方向にオフセットされない通常配置になっている。
これに対し、本発明に係る空気入りタイヤ1の一例である実施例7~28は、全て中央ブロック列21に周方向細溝50が形成され、周方向細溝50に連結部55が形成されており、周方向細溝50を介して隣接する中央ブロック11同士がタイヤ周方向にオフセットされた千鳥配置になっている。さらに、実施例7~28と、参考例1~6に係る空気入りタイヤ1は、各ブロック10に形成されるサイプ60の個数や、オープンサイプ61の個数、オープンサイプ61の屈曲箇所、オープンサイプ61の形状、周方向主溝30の深さに対するオープンサイプ61の深さ、クローズドサイプ62の配置の仕方、オープンサイプ61の深さに対するクローズドサイプ62の深さ、周方向細溝50の最大深さD1と周方向細溝50における連結部55が形成される位置での深さD2との比(D2/D1)、連結部55のタイヤ周方向における長さLCと中央ブロック11のタイヤ周方向における長さLBとの比(LC/LB)、内側ラグ溝41のタイヤ周方向における幅WLと中央ブロック11のタイヤ周方向における長さLBとの比(WL/LB)、内側周方向主溝の深さ31に対する内側ラグ溝41の深さ、内側ラグ溝41の形状、内側ラグ溝41の最大深さDL1とトレッド踏面3から内側ラグ溝41の屈曲部45までの深さDL2との比(DL2/DL1)、トレッド踏面3の位置での内側ラグ溝41の溝幅WL1と、内側ラグ溝41の屈曲部45の位置での溝幅WL2との比(WL2/WL1)、中間ラグ溝42の形状、周方向主溝30の形状が、それぞれ異なっている。
これらの空気入りタイヤ1を用いて性能評価試験を行った結果、図9A~図9Eに示すように、実施例7~28に係る空気入りタイヤ1は、従来例や比較例1~3に対して、氷雪上性能と耐偏摩耗性とを、共に向上させることができることが分かった。つまり、実施例7~28に係る空気入りタイヤ1は、氷雪上性能と耐偏摩耗性とを両立することができる。