JP7095157B2 - 位相シフトマスクブランクおよびこれを用いた位相シフトマスクの製造方法、並びに表示装置の製造方法 - Google Patents

位相シフトマスクブランクおよびこれを用いた位相シフトマスクの製造方法、並びに表示装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、位相シフトマスクブランクおよびこれを用いた位相シフトマスクの製造方法、並びに表示装置の製造方法に関する。
近年、FPD(Flat Panel Display)等の表示装置の高解像度化、高精細化に伴い、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性を有し、微細なパターンが形成されている表示装置用の位相シフトマスクが求められている。
また、FPD等の表示装置の低価格化の影響を受け、位相シフトマスクの製造コストの削減が必要となっている。位相シフト膜上に遮光性膜が形成されている従来の位相シフトマスクブランクの場合、レジスト膜パターンをマスクにして遮光性膜をエッチングして遮光性膜パターンを形成し、その後、遮光性膜パターンをマスクにして位相シフト膜をエッチングして位相シフト膜パターンを形成し、その後、レジスト膜パターンを剥離し、さらに、遮光性膜パターンを剥離して位相シフト膜パターンを有する位相シフトマスクを製造する。一方、位相シフト膜上に遮光性膜が形成されていない位相シフトマスクブランクの場合、位相シフト膜上の遮光性膜パターンの形成工程および剥離工程が不要となり、製造コストを削減することができる。
このような近年の状況に対応して、位相シフト膜上に遮光性膜が形成されていない位相シフトマスクブランクを用いて製造される、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性を有し、微細なパターンが形成されている表示装置用の位相シフトマスクが要求されている。
例えば、特許文献1では、透明基板上に、2層以上の薄膜が積層された構成の位相シフト膜を備えた表示装置用の位相シフトマスクブランクが提案されている。この位相シフト膜を構成する各薄膜は、互いに異なる組成を持つが、共に同じエッチング液によってエッチング可能な物質からなり、組成が相異なることで異なるエッチング速度を持つ。特許文献1では、位相シフト膜のパターニング時に位相シフト膜パターンのエッジ部分の断面傾斜が険しく形成されるように、位相シフト膜を構成する各薄膜のエッチング速度が調整されている。
なお、特許文献1では、位相反転膜の上部または下部に、遮光性膜、半透過膜、エッチング阻止膜、およびハードマスク膜を始めとして転写用パターンに必要な膜のうち一つ以上の膜を含む機能性膜が配された表示装置用の位相シフトマスクブランクも提案されている。
特開2014-26281号公報
従来提案されている表示装置用の位相シフトマスクに用いられる位相シフト膜は、位相シフト膜パターンを形成するために用いるレジスト膜のパターニング時に使用するレーザー描画光の反射によるレジスト膜への影響を考慮して設計されていない。このため、レーザー描画光に対する位相シフト膜の膜面反射率が20%を超えてしまう。その結果、レジスト膜中に定在波が発生し、これに伴いレジスト膜パターンのCD均一性が悪化し、延いては、レジスト膜パターンをマスクにしてパターニングして形成される位相シフト膜パターンのCD均一性が、近年要求される値を満たすことができない場合がある。
加えて、従来提案されている表示装置用の位相シフトマスクに用いられる位相シフト膜は、露光機の光学系との反射や、位相シフトマスクに貼り付けられるペリクルや表示装置基板との反射の影響を考慮して設計されていない。このため、表示装置用の位相シフトマスクを用いて、位相シフトマスクに形成されているパターンを転写する際に、表示装置基板からの反射光に起因する転写パターンのぼやけ(フレア)が発生し、転写精度が悪化してしまったり、表示装置基板に転写される転写パターンのCDエラーが生じる危険性があるという課題がある。
このため、本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、レーザー描画光として用いられる350nm~436nmの波長域の光に対する膜面反射率および露光光として用いられる365nm~436nmの波長域の光に対する裏面反射率を低減させた位相シフト膜を備えることで、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性を有し、微細なパターンが形成されていて転写精度が良好となる表示装置用の位相シフトマスクの形成に用いる位相シフトマスクブランク、およびこれを用いた位相シフトマスクの製造方法を提供することを目的とする。さらに、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性を有し、微細なパターンが形成されていて転写精度が良好となる表示装置用の位相シフトマスクを使用することで、CDエラーが生じない、高解像度、高精細の表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した目的を達成するために鋭意検討し、位相シフト膜を少なくとも3層で構成し、位相シフト膜を構成する各層の組成や膜厚を工夫することにより、露光光に対する位相シフト膜の透過率と位相差とが位相シフト膜として必要な所定の光学特性を満たしつつ、350nm~436nmの波長域の光に対する位相シフト膜の膜面反射率および365nm~436nmの波長域の光に対する裏面反射率を低減させることができるという知見を得るに至った。
本発明は、この知見に基づいてなされたものであり、以下の構成を有する。
(構成1)
透明基板上に位相シフト膜を備える位相シフトマスクブランクであって、
前記位相シフト膜は、1種以上の金属と、酸素、窒素、炭素から選ばれる少なくとも1つを含有する金属系材料、または、1種以上の金属と、ケイ素と、酸素、窒素、炭素から選ばれる少なくとも1つを含有する金属シリサイド系材料の少なくともいずれかで構成され、
前記位相シフト膜は、露光光に対する透過率と位相差とを調整する機能を主に有する位相シフト層と、該位相シフト層の上側に配置され、前記位相シフト膜側より入射される光に対する反射率を低減させる機能を主に有する反射率低減層と、前記位相シフト層と前記反射率低減層との間に配置される中間層とを有し、
前記中間層は、前記反射率低減層の金属含有率よりも高い金属含有率を有する金属系材料であるか、または、前記反射率低減層の前記金属含有率若しくは前記反射率低減層の金属とケイ素の合計含有率よりも高い合計含有率を有する金属シリサイド系材料であって、
前記位相シフト層、前記中間層および前記反射率低減層の積層構造により、露光光に対する前記位相シフト膜の透過率と位相差とが所定の光学特性を有し、
前記位相シフト膜側より入射される光に対する前記位相シフト膜の膜面反射率が、350nm~436nmの波長域において15%以下であって、かつ前記透明基板側より入射される光に対する前記位相シフト膜の裏面反射率が、365nm~436nmの波長域において20%以下であることを特徴とする位相シフトマスクブランク。
(構成2)
前記位相シフト膜は、同一のエッチャントでエッチング可能な材料から構成されていることを特徴とする構成1記載の位相シフトマスクブランク。
(構成3)
前記金属は、クロムであることを特徴とする構成1または2に記載の位相シフトマスクブランク。
(構成4)
前記位相シフト層および前記反射率低減層は、クロムと酸素と窒素とを含有するクロム系材料で構成され、クロムが30~70原子%、酸素が20~60原子%、窒素が0.4~30原子%であり、前記位相シフト層に含まれる窒素の含有率は、前記反射率低減層に含まれる窒素の含有率と同じか、またはそれよりも多く、前記反射率低減層に含まれる酸素の含有率は、前記位相シフト層に含まれる酸素の含有率よりも多く、
前記中間層は、クロムと炭素とを含有しクロムの含有率が55~90原子%、炭素の含有率が10~45原子%であり、前記中間層に含まれるクロムの含有率は、前記位相シフト層、前記反射率低減層に含まれるクロム含有率よりも多い、ことを特徴とする構成3に記載の位相シフトマスクブランク。
(構成5)
前記位相シフト層は、一窒化クロムまたは窒化二クロムを含み
前記反射率低減層は、クロムと酸素が結合した酸化クロム(III)を含むことを特徴とする構成3または4に記載の位相シフトマスクブランク。
(構成6)
前記中間層は、さらに酸素を含有するクロム系材料で構成され、
前記位相シフト層、前記中間層、および前記反射率低減層は、クロムと酸素が結合した酸化クロム(III)を含むことを特徴とする構成3乃至5の何れか一項に記載の位相シフトマスクブランク。
(構成7)
前記位相シフト層は、酸素または窒素のうち少なくとも1つとを含有する金属シリサイド系材料で構成され、前記反射率低減層は、酸素または窒素のうち少なくとも一つを含有する金属系材料で構成されていることを特徴とする構成1または2に記載の位相シフトマスクブランク。
(構成8)
前記金属シリサイド系材料は、モリブデンシリサイド系材料、ジルコニウムシリサイド系材料、チタンシリサイド系材料、モリブデンジルコニウムシリサイド系材料であることを特徴とする構成7記載の位相シフトマスクブランク。
(構成9)
前記位相シフト層、前記中間層、前記反射率低減層のうち1または2つの層が、他の層とエッチング選択性を有する材料から構成されていることを特徴とする構成1記載の位相シフトマスクブランク。
(構成10)
前記位相シフト層および前記中間層は、クロム系材料からなる材料で構成され、前記反射率低減層は、前記位相シフト層、前記中間層とエッチング選択性を有する金属系材料から構成されていることを特徴とする構成9記載の位相シフトマスクブランク。
(構成11)
前記反射率低減層は、チタンと、酸素、窒素のうち何れか1つを含むチタン系材料で構成されることを特徴とする構成10記載の位相シフトマスクブランク。
(構成12)
前記透明基板と前記位相シフト膜との間に、遮光性膜パターンを備えることを特徴とする構成1乃至11の何れか一項に記載の位相シフトマスクブランク。
(構成13)
前記透明基板側より入射される光に対する前記遮光性膜パターンの裏面反射率が、365nm~436nmの波長域において20%以下であることを特徴とする構成12記載の位相シフトマスクブランク。
(構成14)
前記位相シフト膜上に遮光性膜を備え、前記遮光性膜の膜面反射率が、350nm~436nmの波長域において15%以下であることを特徴とする構成1乃至11の何れか一項に記載の位相シフトマスクブランク。
(構成15)
構成1乃至8、12、13の何れか一項に記載の位相シフトマスクブランクの前記位相シフト膜上に、レジスト膜を形成し、該レジスト膜に描画処理、および現像処理により、レジスト膜パターンを形成する工程と、
該レジスト膜パターンをマスクにして前記位相シフト膜をエッチングして、前記透明基板上に位相シフト膜パターンを形成する工程と、
を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
(構成16)
構成9乃至13の何れか一項に記載の位相シフトマスクブランクの前記位相シフト膜上に、レジスト膜を形成し、該レジスト膜にレーザー光を用いた描画処理、および現像処理により、レジスト膜パターンを形成する工程と、
該レジスト膜パターンをマスクにして前記反射率低減層をエッチングして、反射率低減層パターンを形成する工程と、
前記反射率低減層パターンをマスクにして前記中間層、および前記位相シフト層をエッチングして、前記透明基板上に位相シフト膜パターンを形成する工程と、
を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
(構成17)
構成14に記載の位相シフトマスクブランクの前記遮光性膜上に、レジスト膜を形成し、該レジスト膜に描画処理、および現像処理により、レジスト膜パターンを形成する工程と、
該レジスト膜パターンをマスクにして前記遮光性膜をエッチングして、前記位相シフト膜上に遮光性膜パターンを形成する工程と、
前記遮光性膜パターンをマスクにして前記位相シフト膜をエッチングして、前記透明基板上に位相シフト膜パターンを形成する工程と、
を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
(構成18)
構成15乃至17の何れか一項に記載の位相シフトマスクの製造方法により得られた位相シフトマスクを露光装置のマスクステージに載置する工程と、
前記位相シフトマスクに露光光を照射して、表示装置基板上に形成されたレジスト膜に前記位相シフト膜パターンを転写する工程と、
を有することを特徴とする表示装置の製造方法。
(構成19)
前記露光光は、313nm~436nmの波長域から選択される複数の波長の光を含む複合光であることを特徴とする構成18記載の表示装置の製造方法。
上述したように、本発明に係る位相シフトマスクブランクは、透明基板上に位相シフト膜を備える位相シフトマスクブランクであって、前記位相シフト膜は、1種以上の金属と、酸素、窒素、炭素から選ばれる少なくとも1つを含有する金属系材料、または、1種以上の金属と、ケイ素と、酸素、窒素、炭素から選ばれる少なくとも1つを含有する金属シリサイド系材料の少なくともいずれかで構成され、前記位相シフト膜は、露光光に対する透過率と位相差とを調整する機能を主に有する位相シフト層と、該位相シフト層の上側に配置され、前記位相シフト膜側より入射される光に対する反射率を低減させる機能を主に有する反射率低減層と、前記位相シフト層と前記反射率低減層との間に配置される中間層とを有し、前記中間層は、前記反射率低減層の金属含有率よりも高い金属含有率を有する金属系材料であるか、または、前記反射率低減層の前記金属含有率若しくは前記反射率低減層の金属とケイ素の合計含有率よりも高い合計含有率を有する金属シリサイド系材料であって、前記位相シフト層、前記中間層および前記反射率低減層の積層構造により、露光光に対する前記位相シフト膜の透過率と位相差とが所定の光学特性を有し、前記位相シフト膜側より入射される光に対する前記位相シフト膜の膜面反射率が、350nm~436nmの波長域において15%以下であって、かつ前記透明基板側より入射される光に対する前記位相シフト膜の裏面反射率が、365nm~436nmの波長域において20%以下である。このため、この位相シフトマスクブランクを用いて、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性を有し、微細なパターンが形成されていて転写精度が良好となる位相シフトマスクを製造することができる。また、この位相シフトマスクを用いて、CDエラーが生じない、高解像度、高精細の表示装置を製造することができる。
位相シフトマスクブランクの膜構成を示す模式図である。 位相シフトマスクブランクの他の膜構成を示す模式図である。 位相シフトマスクブランクの他の膜構成を示す模式図である。 実施例1、2、比較例1における位相シフトマスクブランクの位相シフト膜の膜面反射率スペクトルである。 実施例1、2、比較例1における位相シフトマスクブランクの位相シフト膜の裏面反射率スペクトルである。 実施例1における位相シフトマスクブランクの位相シフト膜に対する深さ方向の組成分析結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。なお、図中、同一または同等の部分には同一の符号を付してその説明を簡略化ないし省略する場合がある。
実施の形態1(実施の形態1-1、1-2、1-3).
実施の形態1では、位相シフトマスクブランクについて説明する。
図1は、実施の形態1-1における位相シフトマスクブランク10の膜構成を示す模式図である。位相シフトマスクブランク10は、露光光に対して透明な透明基板20と、透明基板20上に配置された位相シフト膜30とを備える。透明基板20は、表面反射ロスが無いとしたときに、露光光に対して85%以上の透過率、好ましくは90%以上の透過率を有するものである。
位相シフト膜30は、1種以上の金属と、酸素、窒素、炭素から選ばれる少なくとも1つを含有する金属系材料、または、1種以上の金属と、ケイ素と、酸素、窒素、炭素から選ばれる少なくとも1つを含有する金属シリサイド系材料で構成される。
金属系材料に含有される金属としては、クロム(Cr)、Zr(ジルコニウム)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)などの遷移金属、アルミニウム(Al)などの典型金属が挙げられる。
金属シリサイド系材料としては、例えば、金属シリサイドの窒化物、金属シリサイドの酸化物、金属シリサイドの酸化窒化物、金属シリサイドの炭化窒化物、金属シリサイドの酸化炭化物、および、金属シリサイドの酸化炭化窒化物が挙げられる。金属シリサイド系材料に含有される金属としては、上述した遷移金属および典型金属が挙げられる。
位相シフト膜30は、透明基板20側から、位相シフト層31と、中間層であるメタル層33と、反射率低減層32とを有している。
位相シフト膜30は、実施例において詳述するように、位相シフト層31と、反射率低減層32と、メタル層33の全てを金属系材料で構成してもよく(実施例1、2)、また、位相シフト層31と、反射率低減層32と、メタル層33のいずれか1層若しくは2層を金属系材料で構成して他の層を金属シリサイド系材料で構成してもよい(実施例3)。
位相シフト層31は、透明基板20の主表面上に配置される。位相シフト層31は、露光光に対する透過率と位相差とを主に調整する機能を有する。位相シフト層31は、位相シフト膜30において、反射率低減層32、メタル層33の膜厚と比べて一番膜厚の厚い層である。尚、後述する位相シフト層31、メタル層33、反射率低減層32を構成する各元素の含有率は、X線光電子分光法(XPS、ESCA)により測定された値とする。
位相シフト層31は、金属系材料または金属シリサイド系材料で構成される。
位相シフト膜30全体がクロム(Cr)系材料で構成される場合、位相シフト層31は、クロム(Cr)と酸素(O)と窒素(N)とを含有するクロム系材料で構成され、各元素の平均含有率は、クロムが30~70原子%、酸素が20~60原子%、窒素が0.4~30原子%であることが好ましい。また、位相シフト層31は、該位相シフト層31を構成する成分の結合状態(化学状態)として、クロムと窒素が結合したクロム窒化物を含み、特に一窒化クロム(CrN)または窒化二クロム(CrN)を含むことが好ましい。さらに、位相シフト層31は、炭素(C)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含むクロム系材料を有してもよい。例えば、位相シフト層31を形成する材料として、CrON、CrOCN、CrFCONが挙げられる。
また、位相シフト膜30を構成する金属シリサイド系材料の金属にモリブデン(Mo)やジルコニウム(Zr)やチタン(Ti)が含まれる場合、位相シフト層31は、モリブデン(Mo)と、ケイ素(Si)と、窒素(N)および/又は酸素(O)とを含有するモリブデンシリサイド系材料や、ジルコニウム(Zr)とケイ素(Si)と窒素(N)および/又は酸素(O)とを含有するジルコニウムシリサイド系材料や、チタン(Ti)とケイ素(Si)と窒素(N)および/又は酸素(O)とを含有するチタンシリサイド系材料で構成される。モリブデンシリサイド系材料の場合、各元素の平均含有率は、モリブデン(Mo)が5~20原子%、ケイ素(Si)が15~45原子%、窒素(N)が0~75原子%、酸素(O)が0~45原子%であることが好ましい。また、ジルコニウムシリサイド系材料の場合、各元素の平均含有率は、ジルコニウム(Zr)が5~35原子%、ケイ素(Si)が5~45原子%、窒素(N)が0~70原子%、酸素(O)が0~70原子%であることが好ましい。また、チタンシリサイド系材料の場合、各元素の平均含有率は、チタン(Ti)が5~30原子%、ケイ素(Si)が10~45原子%、窒素(N)が0~70原子%、酸素(O)が0~60原子%であることが好ましい。さらに、位相シフト層31は、炭素(C)を含むモリブデンシリサイド系材料や炭素(C)を含むジルコニウムシリサイド系材料を有してもよい。
位相シフト層31は、スパッタリング法により形成することができる。
反射率低減層32は、位相シフト層31の上側に配置される。反射率低減層32は、位相シフト膜30側(すなわち、反射率低減層32の透明基板20側とは反対側)より入射される光に対する反射率を低減させる機能を主に有する。反射率低減層32は、メタル層33と反射率低減層32の界面による反射と反射率低減層32表面による反射による干渉効果により位相シフト膜30の反射率を低減するために膜厚調整されている層である。
反射率低減層32は、金属系材料または金属シリサイド系材料で構成される。
位相シフト膜30全体がクロム(Cr)系材料で構成される場合、反射率低減層32は、クロム(Cr)と酸素(O)と窒素(N)とを含有するクロム系材料で構成され、各元素の平均含有率は、クロムが30~70原子%、酸素が20~60原子%、窒素が0.4~30原子%である。また、反射率低減層32は、該反射率低減層32を構成する成分の結合状態(化学状態)として、クロムと酸素が結合したクロム酸化物を含み、特に酸化クロム(III)(Cr)を主に含むことが好ましい。さらに、反射率低減層32は、炭素(C)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含むクロム系材料を有してもよい。例えば、反射率低減層32を形成する材料として、CrON、CrOCN、CrFONが挙げられる。この場合、位相シフト膜側(反射率低減層32の表面側)より入射される光に対する反射率の低減効果と、位相シフト膜30全体として、ウェットエッチングにより優れたパターン断面形状を形成する観点から、位相シフト層31に含まれる窒素(N)の平均含有率は、反射率低減層32に含まれる窒素(N)の平均含有率と同じか、又はそれよりも多く、反射率低減層32に含まれる酸素(O)の平均含有率は、位相シフト層31に含まれる酸素(O)の平均含有率よりも多い状態とする。また、反射率低減層32に含まれる酸素(O)の平均含有率は、位相シフト層31に含まれる酸素(O)の平均含有率よりも少なくとも1原子%以上、好ましくは、5原子%以上多くすることが、膜面反射率の低減効果の点で好ましい。
また、位相シフト膜30を構成する金属シリサイド系材料の金属にモリブデン(Mo)やジルコニウム(Zr)やチタン(Ti)が含まれる場合、反射率低減層32は、チタン(Ti)と窒素(N)と酸素(O)とを含有するチタン系材料や、チタン(Ti)と酸素(O)とを含有するチタン系材料で構成され、各元素の平均含有率は、チタン(Ti)が15~45原子%、窒素(N)が20~50原子%、酸素(O)が15~65原子%であることが好ましい。また、位相シフト膜30を構成する金属シリサイド系材料の場合、反射率低減層32は、モリブデン(Mo)とケイ素(Si)と窒素(N)と酸素(O)とを含有するモリブデンシリサイド系材料、モリブデン(Mo)とケイ素(Si)と酸素(O)とを含有するモリブデンシリサイド系材料、ジルコニウム(Zr)とケイ素(Si)と窒素(N)と酸素(O)とを含有するジルコニウムシリサイド系材料、ジルコニウム(Zr)とケイ素(Si)と酸素(O)とを含有するジルコニウムシリサイド系材料、チタン(Ti)とケイ素(Si)と窒素(N)と酸素(O)とを含有するチタンシリサイド系材料、チタン(Ti)とケイ素(Si)と酸素(O)とを含有するチタンシリサイド系材料で構成されるようにしてもよいが、表面に形成されるレジスト膜(図示せず)との密着性を確保するために、HMDS(hexamethyldisilazane)等の表面処理を行うことが好ましい。
反射率低減層32は、スパッタリング法により形成することができる。
メタル層33は、位相シフト層31と反射率低減層32との間に配置される。メタル層33は、露光光に対する透過率を調整する機能を有するとともに、反射率低減層32と組み合わさって、位相シフト膜30側より入射される光に対する反射率を低減させる機能を有する。さらに、位相シフト層と組み合わさって、透明基板20側より入射される光に対する反射率を低減させる機能を有する。
メタル層33は、反射率低減層32の金属の平均含有率よりも高い、金属の平均含有率を有する金属系材料であるか、または、反射率低減層32の金属とケイ素の合計の平均含有率よりも、高い合計の平均含有率を有する金属シリサイド系材料で構成される。
位相シフト膜30全体がクロム(Cr)系材料で構成される場合、または、位相シフト膜30を構成する金属シリサイド系材料の金属にモリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)が含まれる場合、メタル層33は、クロム(Cr)と炭素(C)とを含有し、各元素の平均含有率は、クロム(Cr)の含有率が55~90原子%、炭素(C)の含有率が10~45原子%であり、メタル層33に含まれるクロムの平均含有率は、位相シフト層31、反射率低減層32に含まれるクロムの平均含有率よりも多い。位相シフト膜30全体を同一のエッチャントでエッチングする場合、炭素(C)の平均含有率を10原子%以上とすることで、メタル層33の断面形状がテーパー形状となることを抑制することができる。また、メタル層33に含まれる炭素(C)の平均含有率を45原子%以下とすることで、メタル層33の断面形状がテーパー形状となることを抑制することができる。メタル層33に含まれる炭素(C)の平均含有率を上記適切な範囲とすることにより、適切なマスクプロセスでメタル層33にパターンを形成することができる。また、メタル層33は、窒素(N)、酸素(O)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含むクロム系材料をさらに有してもよい。例えば、メタル層33を形成する材料として、CrC、CrCN、CrCO、CrCF、CrCONが挙げられる。中でも、メタル層33は、クロム(Cr)と炭素(C)と酸素(O)とを含有したクロム系材料とすることが好ましい。そして、位相シフト層31、反射率低減層32、及びメタル層33を構成する成分の結合状態(化学状態)として、ウェットエッチングによる優れたパターン断面形状を得るという観点から、これら全ての層に酸化クロム(III)(Cr)を含むことがさらに好ましい。
また、位相シフト膜30を構成する金属系材料の金属にチタン(Ti)が含まれて金属シリサイド系材料の金属にモリブデン(Mo)や、ジルコニウム(Zr)や、チタン(Ti)が含まれる場合、メタル層33は、モリブデン(Mo)と、ケイ素(Si)と、炭素(C)及び/又は窒素(N)とを含有するモリブデンシリサイド系材料や、ジルコニウム(Zr)と、ケイ素(Si)と、炭素(C)及び/又は窒素(N)とを含有するジルコニウムシリサイド系材料や、チタン(Ti)とケイ素(Si)と、炭素(C)及び/又は窒素(N)とを含有するチタンシリサイド系材料で構成される。モリブデンシリサイド系材料の場合、各元素の平均含有率は、モリブデン(Mo)が5~20原子%、ケイ素(Si)が15~70原子%、炭素(C)が0~20原子%、窒素(N)が0~30原子%であることが好ましい。また、ジルコニウムシリサイド系材料の場合、各元素の平均含有率は、ジルコニウム(Zr)が5~35原子%、ケイ素(Si)が5~70原子%、炭素(C)が0~20原子%、窒素(N)が0~20原子%であることが好ましい。また、チタンシリサイド系材料の場合、各元素の平均含有率は、チタン(Ti)が5~35原子%、ケイ素(Si)が5~70原子%、炭素(C)が0~20原子%、窒素(N)が0~20原子%であることが好ましい。メタル層33に含まれるモリブデンシリサイドの平均含有率、ジルコニウムシリサイドの平均含有率、チタンシリサイドの平均含有率は、位相シフト層31、反射率低減層32に含まれるモリブデンシリサイドの平均含有率、ジルコニウムシリサイドの平均含有率、チタンシリサイドの平均含有率よりも多い。さらに、メタル層33は、炭素(C)、窒素(N)、および酸素(O)のうちの少なくとも一種を含むモリブデンシリサイド系材料やジルコニウムシリサイド系材料やチタンシリサイド系材料であってもよい。例えば、メタル層33を形成する材料として、MoSiC、MoSiN、MoSiCN、MoSiCO、MoSiCON、ZrSiC、ZrSiN、ZrSiCN、ZrSiCO、ZrSiCON、TiSiC、TiSiN、TiSiCN、TiSiCO、TiSiCONが挙げられる。
メタル層33を備えることにより、位相シフト膜30のシート抵抗が下がるため、位相シフトマスクブランクおよび位相シフトマスクのチャージアップを防止することができる。メタル層33を備えていない場合、位相シフトマスクブランクおよび位相シフトマスクをケースから出し入れするとき発生する電気が逃げずに位相シフトマスクブランクおよび位相シフトマスクに電気が貯まるため、異物を付着させやすい。また、位相シフトマスクに小さなパターンが形成されているとき、パターンからパターンに電気が飛び、静電気破壊が起こりやすい。
メタル層33は、スパッタリング法により形成することができる。
メタル層33は、350nm~436nmの波長域において、反射率低減層32の消衰係数よりも高い消衰係数を有することが好ましい。また、313nm~436nmの波長域において、反射率低減層32の消衰係数よりも高い消衰係数を有することが好ましい。
メタル層33の消衰係数と反射率低減層32の消衰係数との差は、好ましくは、1.5~3.5であり、より好ましくは、1.8~3.5である。消衰係数の差が、1.5~3.5であると、メタル層33と反射率低減層32との界面の上記波長域(350nm~436nmの波長域、または、313nm~436nmの波長域)における反射率を高めることができるので、より反射率低減効果が発揮されるので好ましい。
なお、メタル層33は、350nm~436nmの波長域において、位相シフト層31の消衰係数よりも高い消衰係数を有することが好ましい。また、313nm~436nmの波長域において、位相シフト層31の消衰係数よりも高い消衰係数を有することが好ましい。
消衰係数は、n&kアナライザーやエリプソメータなどを用いて測定することができる。
メタル層33および反射率低減層32がクロム系材料で構成される場合、メタル層33は、反射率低減層32のクロム(Cr)平均含有率(原子%)よりも高いクロム(Cr)平均含有率(原子%)を有する。
メタル層33のCr平均含有率と反射率低減層32のCr平均含有率との差は、好ましくは、10~80原子%であり、より好ましくは、15~80原子%である。Cr平均含有率の差が、10~80原子%であると、メタル層33と反射率低減層32との界面の上記波長域(350nm~436nmの波長域、または、313nm~436nmの波長域)における反射率を高めることができるので、より反射率低減効果が発揮されるので好ましい。なお、メタル層33のエッチング速度は、クロム(Cr)に窒素(N)、酸素(O)、炭素(C)、フッ素(F)を含有させてクロム系材料とすることにより調整することができる。例えば、クロム(Cr)に炭素(C)やフッ素(F)を含有させることにより、ウェットエッチング速度を遅くすることができ、クロム(Cr)に窒素(N)や酸素(O)を含有させることにより、ウェットエッチング速度を速くすることができる。メタル層33の上下に形成されている位相シフト層31、反射率低減層32とのウェットエッチング速度を考慮して、クロムに上述の元素を添加したクロム系材料とすることにより、エッチング後の位相シフト膜30の断面形状を良好にすることができる。
なお、メタル層33は、位相シフト層31のクロム(Cr)平均含有率よりも高いクロム(Cr)平均含有率を有している。
位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32の各々は、350nm~436nmの波長域において、2.0以上の屈折率を有することが好ましい。2.0以上の屈折率を有すると、所望の光学特性(透過率および位相差)を得るために必要な位相シフト膜30の膜厚を薄膜化することができる。したがって、該位相シフト膜30を備えた位相シフトマスクブランク10を用いて作製される位相シフトマスクは、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性を有する位相シフト膜パターンを備えることができる。
屈折率は、n&kアナライザーやエリプソメータなどを用いて測定することができる。
位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32の積層構造により、露光光に対する位相シフト膜30の透過率および位相差は所定の光学特性を有する。
位相シフト膜30は、位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32のいずれの層も同一のエッチャントでエッチング可能な材料から構成されていてもよく、位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32のうち1または2つの層が、他の層とエッチング選択性を有する材料から構成されていてもよい。
露光光に対する位相シフト膜30の透過率は、位相シフト膜30として必要な値を満たす。位相シフト膜30の透過率は、露光光に含まれる所定の波長の光(以下、代表波長という)に対して、好ましくは、1%~70%であり、より好ましくは、2%~60%であり、さらに好ましくは3%~50%である。すなわち、露光光が313nm以上436nm以下の波長範囲の光を含む複合光である場合、位相シフト膜30は、その波長範囲に含まれる代表波長の光に対して、上述した透過率を有する。例えば、露光光がj線(波長:313nm)、i線(波長:365nm)、h線(波長:405nm)およびg線(波長:436nm)を含む複合光である場合、位相シフト膜30は、j線、i線、h線およびg線のいずれかに対して、上述した透過率を有する。
露光光に対する位相シフト膜30の位相差は、位相シフト膜30として必要な値を満たす。位相シフト膜30の位相差は、露光光に含まれる代表波長の光に対して、好ましくは、160°~200°であり、より好ましくは、170°~190°である。この性質により、露光光に含まれる代表波長の光の位相を160°~200°変えることができる。このため、位相シフト膜30を透過した代表波長の光と透明基板20のみを透過した代表波長の光との間に160~200°の位相差が生じる。すなわち、露光光が313nm以上436nm以下の波長範囲の光を含む複合光である場合、位相シフト膜30は、その波長範囲に含まれる代表波長の光に対して、上述した位相差を有する。例えば、露光光がj線、i線、h線およびg線を含む複合光である場合、位相シフト膜30は、j線、i線、h線およびg線のいずれかに対して、上述した位相差を有する。
位相シフト膜30の透過率および位相差は、位相シフト膜30を構成する位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32の各々の組成および厚さを調整することにより制御することができる。このため、この実施の形態では、位相シフト膜30の透過率および位相差が上述した所定の光学特性を有するように、位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32の各々の組成および厚さが調整されている。なお、位相シフト膜30の透過率は、主に、位相シフト層31およびメタル層33の組成および厚さに影響される。位相シフト膜30の屈折率は、主に、位相シフト層31の組成および厚さに影響される。
透過率および位相差は、位相シフト量測定装置などを用いて測定することができる。
位相シフト膜30側より入射される光に対する位相シフト膜30の膜面反射率は、350nm~436nmの波長域において15%以下である。また、313nm~436nmの波長域において22.5%以下であることが好ましい。すなわち、位相シフト膜30側より入射される光に対する位相シフト膜30の膜面反射率は、350nm~436nmの波長域において15%以下であり、波長域を313nm~436nmに広げても、22%以下であることが好ましい。位相シフト膜30の膜面反射率が350nm~436nmの波長域において15%以下であると、レーザー描画光に対する膜面反射率が低減するため、優れたCD均一性を有する位相シフトマスクを形成することができる。また、位相シフト膜30の膜面反射率が313nm~436nmの波長域において22.5%以下であると、露光光に対する膜面反射率が低減するため、位相シフトマスクに形成されているパターンを転写する際に、表示装置基板からの反射光に起因する転写パターンのぼやけ(フレア)を防止することができる。位相シフト膜30の膜面反射率は、313nm~436nmにおいて、好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下が望ましい。
位相シフト膜30の膜面反射率の変動幅は、好ましくは、350nm~436nmの波長域において9%以下、さらに好ましくは、8.5%以下である。また、313nm~436nmの波長域において12.5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、12%以下である。すなわち、位相シフト膜30の膜面反射率の変動幅は、350nm~436nmの波長域において9%以下、さらには8.5%以下であることが好ましく、波長域を313nm~436nmに広げても、12.5%以下、さらには12%以下であることが好ましい。
透明基板20側より入射される光に対する位相シフト膜30の裏面反射率は、365nm~436nmの波長域において20%以下である。また、313nm~436nmの波長域においても20%以下であることが好ましい。位相シフト膜30の裏面反射率を上記範囲とすることで、位相シフト膜30の露光光に対する裏面反射率が低減するため、位相シフトマスクに形成されているパターンを転写する際に、露光機の光学系との反射光に起因する転写精度の悪化を抑制できる。位相シフト膜30の裏面反射率の要件に加えて、位相シフト膜30の膜面反射率が350nm~436nmの波長域において20%以下であると、露光機の光学系との反射や、位相シフトマスクに貼り付けられるペリクルや表示装置基板との反射の影響を低減できるため、転写精度が良好となり、また表示装置基板に転写される転写パターンのCDエラーを防止する位相シフトマスクを形成することができる。
位相シフト膜30の裏面反射率の変動幅は、好ましくは、365nm~436nmの波長域において18%以下、さらに好ましくは、16%以下である。また、313nm~436nmの波長域において18%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、16%以下である。すなわち、位相シフト膜30の膜面反射率の変動幅は、350nm~436nmの波長域において9%以下、さらには8.5%以下であることが好ましく、また、波長域を313nm~436nmにおいて、12.5%以下、さらには12%以下であることが好ましい。
位相シフト膜30の膜面反射率、裏面反射率およびそれらの変動幅は、位相シフト膜30を構成する位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32の各々の屈折率、消衰係数および厚さを調整することにより制御することができる。消衰係数および屈折率は、組成を調整することにより制御することができるため、この実施の形態では、位相シフト膜30の膜面反射率、裏面反射率およびそれらの変動幅が上述した所定の物性を有するように、位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32の各々の組成および厚さが調整されている。なお、位相シフト膜30の膜面反射率、裏面反射率およびそれらの変動幅は、主に、メタル層33および反射率低減層32の各々の組成および厚さに影響される。
膜面反射率および裏面反射率は、分光光度計などを用いて測定することができる。膜面反射率の変動幅は、350nm~436nmまたは313nm~436nmの波長域における最大の反射率と最小の反射率との差から求められる。
位相シフト層31は、組成の均一な単一の膜からなる場合であってもよいし、組成の異なる複数の膜からなる場合であってもよいし、厚さ方向に組成が連続的に変化する単一の膜からなる場合であってもよい。メタル層33および反射率低減層32についても同様である。
また、位相シフト層31とメタル層33の界面、メタル層33と反射率低減層32の界面に、各位相シフト層31、メタル層33、反射率低減層32を構成する各元素が連続的に組成傾斜した組成傾斜領域を有していても構わない。
図2は、実施の形態1-2における位相シフトマスクブランク10の他の膜構成を示す模式図である。図2に示すように、位相シフトマスクブランク10は、透明基板20と位相シフト膜30との間に遮光性膜パターン40を備えるものであってもよい。実施の形態1-2における位相シフト膜30は、実施の形態1-1と同じであり説明は省略する。
位相シフトマスクブランク10が遮光性膜パターン40を備える場合、遮光性膜パターン40は、透明基板20の主表面上に配置される。遮光性膜パターン40は、露光光の透過を遮る機能を有する。
遮光性膜パターン40を形成する材料は、露光光の透過を遮る機能を有する材料であれば、特に制限されない。必要に応じて、遮光性膜パターン40の透明基板20側に、透明基板20側より入射される光に対する遮光性膜パターン40の裏面反射率を低減するための裏面反射率低減層41を形成しても構わない。この場合、遮光性膜パターン40は、透明基板20側から裏面反射率低減層41と、露光光の透過を遮る機能を有する遮光層42とを備えた構成となる。例えば、遮光性膜パターンの材料としては、クロム系材料などの金属系材料や、金属シリサイド系材料が挙げられる。クロム系材料として、クロム(Cr)、または、クロム(Cr)と、炭素(C)および窒素(N)のうちの少なくとも一種とを含むクロム系材料が挙げられる。その他、クロム(Cr)と、酸素(O)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種とを含むクロム系材料、または、クロム(Cr)と、炭素(C)および窒素(N)のうちの少なくとも一種とを含み、さらに、酸素(O)およびフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含むクロム系材料が挙げられる。例えば、遮光性膜パターン40を形成する材料として、Cr、CrC、CrN、CrCN、CrO、CrON、CrCO、CrCONが挙げられる。
金属シリサイド系材料としては、金属シリサイド、金属シリサイドの窒化物、金属シリサイドの酸化物、金属シリサイドの酸化窒化物、金属シリサイドの炭化窒化物、金属シリサイドの酸化炭化物、および金属シリサイドの酸化炭化窒化物が挙げられる。金属シリサイド系材料に含有される金属としては、上述した遷移金属および典型金属が挙げられる。
なお、遮光性膜パターン40が、裏面反射率低減層41を備える場合、裏面反射率低減層41は、365nm~436nmの波長域において20%以下となる特性を有することが好ましい。さらに、裏面反射率低減層41は、313nm~436nmの波長域において20%以下となる特性を有することが好ましい。
遮光性膜パターン40は、スパッタリング法により成膜した遮光性膜を、エッチングによりパターニングすることにより形成することができる。
位相シフト膜30と遮光性膜パターン40とが積層する部分において、露光光に対する光学濃度は、好ましくは3以上であり、より好ましくは、3.5以上である。
光学濃度は、分光光度計もしくはODメーターなどを用いて測定することができる。
遮光性膜パターン40は、組成が均一な単一の膜からなる場合であってもよいし、組成が異なる複数の膜からなる場合であってもよいし、厚さ方向に組成が連続的に変化する単一の膜からなる場合であってもよい。
遮光性膜パターン40の材料は、位相シフト膜30(位相シフト層31、メタル層33、反射率低減層32)に対して、エッチング選択性を有する材料としてもよいし、エッチング選択性を有しない材料としてもよい。
次に、図3は、実施の形態1-3における位相シフトマスクブランク10の他の膜構成を示す模式図である。図3に示すように、位相シフトマスクブランク10は、透明基板20と位相シフト膜30と遮光性膜45を備えるものであってもよい。遮光性膜45は、組成が均一な単一の膜からなる場合であってもよいし、組成が異なる複数の膜からなる場合であってもよいし、厚さ方向に組成が連続的に変化する単一の膜からなる場合であってもよい。実施の形態1-3における位相シフト膜30は、実施の形態1-1と同じであり説明は省略する。また、遮光性膜45を形成する材料は、露光光の透過を遮る機能を有する材料であれば、特に制限されない。必要に応じて、遮光性膜45の表面側に入射される光に対する遮光性膜45の膜面反射率を低減するための表面反射率低減層47を形成しても構わない。この場合、遮光性膜45は、位相シフト膜30側から露光光の透過を遮る機能を有する遮光層46と、表面反射率低減層47とを備えた構成となる。例えば、遮光性膜45の材料としては、上述の遮光性膜パターン40と同様の材料を使用することができる。なお、遮光性膜45が、表面反射率低減層47を備える場合、表面反射率低減層47は、365nm~436nmの波長域において20%以下となる特性を有することが好ましい。また、さらに表面反射率低減層47は、313nm~436nmの波長域において22.5%以下となる特性を有することが好ましい。なお、遮光層46および表面反射率低減層47は、それぞれ単一の層であってもよいし、または少なくともいずれかが複数の積層構造であってもよい。
遮光性膜45は、スパッタリング法により形成することができる。
実施の形態1-3において、遮光性膜45の材料は、位相シフト膜30(位相シフト層31、メタル層33、反射率低減層32)に対してエッチング選択性を有する材料としてもよいし、エッチング選択性を有しない材料としてもよい。位相シフトマスクの製造プロセスを考慮すると、遮光性膜45の材料は、位相シフト膜30に対してエッチング選択性を有する材料とすることが好ましい。
なお、実施の形態1-2や実施の形態1-3の位相シフトマスクブランク10において、必要に応じて、位相シフト膜30と遮光性膜パターン40との間、位相シフト膜30と遮光性膜45との間、遮光性膜45上に、他の機能膜を形成することもできる。前記機能膜としては、エッチング阻止膜やエッチングマスク膜などが挙げられる。
なお、実施の形態1-1や実施の形態1-2の位相シフトマスクブランク10は、位相シフト膜30上にレジスト膜を備えるものであってもよいし、実施の形態1-3の位相シフトマスクブランク10は、遮光性膜45上にレジスト膜を備えるものであってもよい。
次に、上述の実施の形態1-1、1-2の位相シフトマスクブランク10の製造方法について説明する。位相シフトマスクブランク10は、以下の準備工程と位相シフト膜形成工程とを行うことによって製造される。
以下、各工程を詳細に説明する。
1.準備工程
準備工程では、先ず、透明基板20を準備する。透明基板20の材料は、使用する露光光に対して透光性を有する材料であれば、特に制限されない。例えば、合成石英ガラス、ソーダライムガラス、無アルカリガラスが挙げられる。
実施の形態1-2の遮光性膜パターン40を備える位相シフトマスクブランク10を製造する場合、その後、透明基板20上に、スパッタリング法により、例えば、クロム系材料からなる遮光性膜を形成する。その後、遮光性膜上にレジスト膜パターンを形成し、レジスト膜パターンをマスクにして遮光性膜をエッチングして、遮光性膜パターン40を形成する。その後、レジスト膜パターンを剥離する。なお、遮光性膜パターン40が、透明基板20側より入射される光に対する裏面反射率を低減する機能を有する場合、透明基板20上に、スパッタリング法により、例えば、クロムと酸素を含有する酸化クロムからなる裏面反射率低減層41と、裏面反射率低減層41上にクロムを含有するクロム系材料の遮光層42を形成して遮光性膜を形成する。その後、遮光性膜上にレジスト膜パターンを形成し、レジスト膜パターンをマスクにして遮光性膜をエッチングして、遮光性膜パターン40を形成する。その後、レジスト膜パターンを剥離して、透明基板20上に遮光性膜パターン40を得る。
2.位相シフト膜形成工程
位相シフト膜形成工程では、透明基板20上に、スパッタリング法により、金属系材料または金属シリサイド系材料からなる位相シフト膜30を形成する。ここで、透明基板20上に遮光性膜パターン40が形成されている場合、遮光性膜パターン40を覆うように、位相シフト膜30を形成する。
位相シフト膜30は、透明基板20の主表面上に位相シフト層31を成膜し、位相シフト層31上にメタル層33を成膜し、メタル層33上に反射率低減層32を成膜することにより形成される。以下においては、位相シフト膜30をクロム系材料で形成する場合について説明する。なお、位相シフト膜30を他の金属系材料または金属シリサイド系材料で形成する場合も、スパッタターゲットの材料とスパッタリング雰囲気を調整することで、同様にスパッタリング法で形成することができる。
位相シフト層31の成膜は、クロムまたはクロム系材料を含むスパッタターゲットを使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガスおよびキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスと、酸素ガス、窒素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、二酸化炭素ガス、炭化水素系ガス、フッ素系ガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。炭化水素系ガスとしては、例えば、メタンガス、ブタンガス、プロパンガス、スチレンガス等が挙げられる。スパッタターゲットとしては、クロム金属の他に、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム、酸化窒化炭化クロム等のクロム系材料を使用することができる。
同様に、メタル層33の成膜は、クロムまたはクロム系材料を含むスパッタターゲットを使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガスおよびキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスからなるスパッタガス雰囲気、または、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガスおよびキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスと、酸素ガス、窒素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、二酸化炭素ガス、炭化水素系ガス、フッ素系ガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。炭化水素系ガスとしては、例えば、メタンガス、ブタンガス、プロパンガス、スチレンガス等が挙げられる。スパッタターゲットとしては、クロム金属の他に、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム、酸化窒化炭化クロム等のクロム系材料を使用することができる。
同様に、反射率低減層32の成膜は、クロムまたはクロム系材料を含むスパッタターゲットを使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガスおよびキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスと、酸素ガス、窒素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、二酸化炭素ガス、炭化水素系ガス、フッ素系ガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。炭化水素系ガスとしては、例えば、メタンガス、ブタンガス、プロパンガス、スチレンガス等が挙げられる。スパッタターゲットとしては、クロム金属の他に、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム、酸化窒化炭化クロム等のクロム系材料を使用することができる。
位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32を成膜する際、位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32の各々の組成および厚さは、位相シフト膜30の透過率および位相差が上述した所定の光学特性を有し、かつ、位相シフト膜30の膜面反射率、裏面反射率およびそれらの変動幅が上述した所定の物性・光学特性を有するように調整される。位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32の各々の組成は、スパッタガスの組成および流量などにより制御することができる。位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32の各々の厚さは、スパッタパワー、スパッタリング時間などにより制御することができる。また、スパッタリング装置がインライン型スパッタリング装置の場合、基板の搬送速度によっても、位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32の各々の厚さを制御することができる。
位相シフト層31が、組成の均一な単一の膜からなる場合、または複数の膜からなる場合、上述した成膜プロセスを、スパッタガスの組成および流量を変えずに1回だけ、または複数回行う。
位相シフト層31が、組成の異なる複数の膜からなる場合、上述した成膜プロセスを、成膜プロセス毎にスパッタガスの組成および流量を変えて複数回行う、スパッタターゲットの材料や組成を変えて複数回行う、又はそれらの組み合わせを複数回行う。
例えば、位相シフト層31が、厚さ方向に組成が連続的に変化する単一の膜からなる場合、上述した成膜プロセスを、スパッタガスの組成および流量を変化させながら1回だけ行う。メタル層33の成膜および反射率低減層32の成膜についても同様である。成膜プロセスを複数回行う場合、スパッタターゲットに印加するスパッタパワーを小さくすることができる。メタル層33および反射率低減層32の少なくともいずれかの組成が位相シフト層31と異なる場合にも、異なる組成がC,N,Oなどの非金属の組成であれば、上述した成膜プロセスを、成膜プロセス毎にスパッタガスの組成および流量を変えて行うことで、成膜することができる。なお、異なる組成が金属(Cr,Si,Zr)である場合には、ターゲットの変更が必要となる。この場合には、予め複数の組成の異なるターゲットを設置しておいて、目的の組成によって放電させるターゲットの位置を変更する。
位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32は、インライン型スパッタリング装置を用いて、透明基板20を装置外に取り出すことによって大気に曝すことなく、連続して成膜することが好ましい。装置外に取り出さずに、連続して成膜することにより、意図しない各層の表面酸化や表面炭化を防止することができる。各層の意図しない表面酸化や表面炭化は、位相シフト膜30上に形成されたレジスト膜を描画する際に使用するレーザー光や表示装置基板上に形成されたレジスト膜に位相シフト膜パターンを転写する際に使用する露光光に対する反射率を変化させたり、また、酸化部分や炭化部分のエッチングレートを変化させる恐れがある。
なお、レジスト膜を備える位相シフトマスクブランク10を製造する場合、次に、位相シフト膜上にレジスト膜を形成する。
この実施の形態1-1の位相シフトマスクブランク10は、透明基板20上に設けられた金属系材料または金属シリサイド系材料からなる位相シフト膜30が、位相シフト層31と、反射率低減層32と、位相シフト層31と反射率低減層32との間に設けられた、反射率低減層32のクロム平均含有率よりも高い平均クロム含有率を有するメタル層33とを有しており、露光光に対する位相シフト膜30の透過率と位相差とが位相シフト膜30として必要な所定の光学特性を満たしつつ、位相シフト膜30の膜面反射率が、350nm~436nmの波長域において15%以下であり、位相シフト膜30の裏面反射率が、365nm~436nmの波長域において20%以下である。このため、この位相シフトマスクブランク10を用いて、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性を有し、微細なパターンが形成されていて転写精度が良好となる位相シフトマスクを製造することができる。
次に、実施の形態1-3における位相シフトマスクブランク10の製造方法について説明する。上述で説明した実施の形態1-3の位相シフトマスクブランク10の製造方法は、上述の「1.準備工程」、「2.位相シフト膜形成工程」は同じであるので説明は省略し、以下、遮光性膜形成工程について説明する。
3.遮光性膜形成工程
遮光性膜形成工程では、位相シフト膜30上に、スパッタリング法により、金属系または金属シリサイド系材料からなる遮光性膜45を形成する。
遮光性膜45は、位相シフト膜30上に遮光層46、必要に応じて遮光層46上に表面反射率低減層47を成膜することにより形成される。以下においては、位相シフト膜30が金属シリサイド系材料とし、遮光性膜45をクロム系材料で形成する場合について説明する。なお、位相シフト膜30が金属系材料(例えば、クロム系材料)である場合に、遮光性膜45を金属シリサイド系材料で形成する場合や、位相シフト膜30と遮光性膜45が金属系材料(例えば、クロム系材料)である場合に、位相シフト膜30と遮光性膜45との間にエッチング選択性を有する材料(例えば、金属シリサイド系材料)で形成する場合も、スパッタリングターゲットの材料とスパッタリング雰囲気を調整することで、同様にスパッタリング法で形成することができる。
遮光層46の成膜は、クロムまたはクロム系材料を含むスパッタターゲットを使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガスおよびキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスと、酸素ガス、窒素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、二酸化炭素ガス、炭化水素系ガス、フッ素系ガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。炭化水素系ガスとしては、例えば、メタンガス、ブタンガス、プロパンガス、スチレンガス等が挙げられる。スパッタターゲットとしては、クロム金属の他に、酸化クロム、窒化クロム、炭化クロム、酸化窒化クロム、酸化炭化クロム、窒化炭化クロム、酸化窒化炭化クロム等のクロム系材料を使用することができる。
同様に、表面反射率低減層47の成膜は、クロムまたはクロム系材料を含むスパッタターゲットを使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガスおよびキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスと、酸素ガス、窒素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、二酸化炭素ガス、炭化水素系ガス、フッ素系ガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。炭化水素系ガスとしては、例えば、メタンガス、ブタンガス、プロパンガス、スチレンガス等が挙げられる。スパッタターゲットとしては、クロム金属の他に、酸化クロム、窒化クロム、炭化クロム、酸化窒化クロム、酸化炭化クロム、窒化炭化クロム、酸化窒化炭化クロム等のクロム系材料を使用することができる。
遮光層46、表面反射率低減層47を成膜する際、遮光層46および表面反射率低減層47の各々の組成および厚さは、遮光性膜45の光学濃度、膜面反射率が、上述した所定の物性・光学特性(位相シフト膜30と遮光性膜45との組み合わせにおいて、光学濃度が3.0以上で、遮光性膜45の膜面反射率が、350nm~436nmの波長域において15%以下)を有するように調整される。遮光性膜45の遮光層46、表面反射率低減層47の各々の組成は、スパッタガスの組成および流量などにより制御することができる。遮光層46、表面反射率低減層47の各々の厚さは、スパッタパワー、スパッタリング時間などにより制御することができる。また、スパッタリング装置はインライン型スパッタリング装置の場合、基板の搬送速度によっても、遮光層46、表面反射率低減層47の各々の厚さを制御することができる。
実施の形態2(実施の形態2-1、2-2).
実施の形態2では、位相シフトマスクの製造方法について説明する。実施の形態2-1は、実施の形態1-1、1-2の位相シフトマスクブランクを使用した位相シフトマスクの製造方法である。実施の形態2-2は、実施の形態1-3の位相シフトマスクブランクを使用した位相シフトマスクの製造方法である。実施の形態2-1の位相シフトマスクの製造方法は、実施の形態1-1、1-2の位相シフトマスクブランクを使用し、以下のレジスト膜パターンを形成する工程(レジスト膜パターン形成工程)と位相シフト膜パターンを形成する工程(位相シフト膜パターン形成工程)とを有し、実施の形態2-2の位相シフトマスクの製造方法は、実施の形態1-3の位相シフトマスクブランクを使用し、以下のレジスト膜パターン形成工程と、遮光性膜パターンを形成する工程(遮光性膜パターン形成工程)と、位相シフト膜パターン形成工程とを有する。
以下、各工程を詳細に説明する。
実施の形態2-1の位相シフトマスクの製造方法
1.レジスト膜パターン形成工程
レジスト膜パターン形成工程では、先ず、実施の形態1-1、1-2の位相シフトマスクブランク10の位相シフト膜30上に、レジスト膜を形成する。ただし、位相シフトマスクブランク10が、位相シフト膜30上にレジスト膜を備えるものである場合、レジスト膜の形成は行わない。使用するレジスト膜材料は、特に制限されない。後述する350nm~436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光に対して感光するものであればよい。また、レジスト膜は、ポジ型、ネガ型のいずれであっても構わない。
その後、350nm~436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所定のパターンを描画する。レジスト膜に描画するパターンとして、ラインアンドスペースパターンやホールパターンが挙げられる。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、位相シフト膜30上にレジスト膜パターンを形成する。
2.位相シフト膜パターン形成工程
位相シフト膜パターン形成工程では、先ず、レジスト膜パターンをマスクにして位相シフト膜30をエッチングして、位相シフト膜パターンを形成する。位相シフト膜30をエッチングするエッチング媒質(エッチング溶液、エッチングガス)は、位相シフト膜30を構成する位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32の各々をエッチングできるものであれば、特に制限されない。例えば、位相シフト膜30を構成する位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32の各々が、クロム(Cr)を含むクロム系材料から構成される場合、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング溶液や、塩素ガスと酸素ガスの混合ガスからなるエッチングガスが挙げられる。また、位相シフト膜30を構成する位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32の各々が、金属シリサイド系材料から構成される場合、フッ化水素酸、珪フッ化水素酸、及びフッ化水素アンモニウムから選ばれた少なくとも一つのフッ素化合物と、過酸化水素、硝酸、及び硫酸から選ばれた少なくとも一つの酸化剤とを含むエッチング溶液や、過酸化水素とフッ化アンモニウムと、リン酸、硫酸、硝酸から選ばれた少なくとも一つの酸化剤とを含むエッチング溶液や、CFガス、CHFガス、SFガスなどのフッ素系ガスや、これらのガスにOガスを混合したエッチングガスが挙げられる。
その後、レジスト剥離液を用いて、または、アッシングによって、レジスト膜パターンを剥離する。
なお、位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32のうち1または2つの層が他の層とエッチング選択性を有する材料から構成されている場合、エッチング媒質を層に応じて変更することで、所望のエッチングを行うことができる。
この実施の形態2-1の位相シフトマスクの製造方法によれば、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性を有し、微細なパターンが形成されていて転写精度が良好となる位相シフトマスクを製造することができる。
実施の形態2-2の位相シフトマスクの製造方法
1.第1レジスト膜パターン形成工程
第1レジスト膜パターン形成工程では、先ず、実施の形態1-3の位相シフトマスクブランク10の遮光性膜45上に、レジスト膜を形成する。ただし、位相シフトマスクブランク10が、遮光性膜45上にレジスト膜を備えるものである場合、レジスト膜の形成は行わない。使用するレジスト膜材料は、特に制限されない。後述する350nm~436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光に対して感光するものであればよい。また、レジスト膜は、ポジ型、ネガ型のいずれであっても構わない。
その後、350nm~436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所定のパターンを描画する。レジスト膜に描画するパターンとして、ラインアンドスペースパターンやホールパターンが挙げられる。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、遮光性膜45上に第1レジスト膜パターンを形成する。
2.位相シフト膜パターン形成用のマスクパターン形成工程(第1遮光性膜パターン形成工程)
マスクパターン形成工程は、第1レジスト膜パターンをマスクにして遮光性膜45をエッチングして、位相シフト膜パターン形成用のマスクパターンを形成する。遮光性膜45をエッチングするエッチング媒質(エッチング溶液、エッチングガス)は、遮光性膜45を構成する遮光層46、表面反射率低減層47の各々をエッチングできるものであれば、特に制限されない。例えば、遮光性膜45を構成する遮光層46、表面反射率低減層47の各々が、クロム(Cr)を含むクロム系材料から構成される場合、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング溶液や、塩素ガスと酸素ガスの混合ガスからなるエッチングガスが挙げられる。また、遮光性膜45を構成する遮光層46、表面反射率低減層47の各々が、金属シリサイド系材料から構成される場合、フッ化水素酸、珪フッ化水素酸、及びフッ化水素アンモニウムから選ばれた少なくとも一つのフッ素化合物と、過酸化水素、硝酸、及び硫酸から選ばれた少なくとも一つの酸化剤とを含むエッチング溶液や、過酸化水素とフッ化アンモニウムと、リン酸、硫酸、硝酸から選ばれた少なくとも一つの酸化剤とを含むエッチング溶液や、CFガス、CHFガス、SFガスなどのフッ素系ガスや、これらのガスにOガスを混合したエッチングガスが挙げられる。
その後、レジスト剥離液を用いて、または、アッシングによって、レジスト膜パターンを剥離する。
3.位相シフト膜パターン形成工程
位相シフト膜パターン形成工程は、上述のマスクパターン(第1遮光性膜パターン)をマスクにして位相シフト膜30をエッチングして、位相シフト膜パターンを形成する。位相シフト膜30をエッチングするエッチング媒質(エッチング溶液、エッチングガス)は、位相シフト膜30を構成する位相シフト層31、メタル層33および反射率低減層32の各々をエッチングできるものであれば、特に制限されない。エッチング媒質については、実施の形態2-1と同じであるので、説明は省略する。
4.第2レジスト膜パターン形成工程
第2レジスト膜パターン形成工程は、位相シフト膜パターン上に所定の遮光性膜パターンを形成するためもので、第1遮光性膜パターン(上述のマスクパターン)上に第2レジスト膜パターンを形成する工程である。上述の工程で得られた位相シフト膜パターン、第1遮光性膜パターンを覆うようにレジスト膜を形成する。
その後、350nm~436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所定のパターンを描画する。レジスト膜に描画するパターンとして、ラインアンドスペースパターンやホールパターンが挙げられる。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、第1遮光性膜パターン上に第2レジスト膜パターンを形成する。
5.遮光性膜パターン形成工程
第2レジスト膜パターンをマスクにして第1遮光性膜パターンをエッチングして、位相シフト膜パターン上に遮光性膜パターンを形成する。第1遮光性膜パターンをエッチングするエッチング媒質(エッチング溶液、エッチングガス)は、上述で説明した遮光性膜45をエッチングするエッチング媒質と同じなので説明は省略する。
その後、レジスト剥離液を用いて、または、アッシングによって、第2レジスト膜パターンを剥離する。
この実施の形態2-2の位相シフトマスクの製造方法によれば、位相シフト膜パターン上に遮光性膜パターンが形成された位相シフトマスクであって、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性を有し、微細なパターンが形成されていて転写精度が良好となる位相シフトマスクを製造することができる。
実施の形態3.
実施の形態3では、表示装置の製造方法について説明する。表示装置は、以下のマスク載置工程とパターン転写工程とを行うことによって製造される。
以下、各工程を詳細に説明する。
1.載置工程
載置工程では、実施の形態2-1、2-2で製造された位相シフトマスクを露光装置のマスクステージに載置する。ここで、位相シフトマスクは、露光装置の投影光学系を介して表示装置基板上に形成されたレジスト膜に対向するように配置される。
2.パターン転写工程
パターン転写工程では、位相シフトマスクに露光光を照射して、表示装置基板上に形成されたレジスト膜に位相シフト膜パターンを転写する。露光光は、313nm~436nmの波長域から選択される複数の波長の光を含む複合光や、313nm~436nmの波長域からある波長域をフィルターなどでカットし選択された単色光である。例えば、露光光は、i線、h線およびg線を含む複合光や、j線、i線、h線およびg線を含む混合光や、i線の単色光である。露光光として複合光を用いると、露光光強度を高くしてスループットを上げることができるため、表示装置の製造コストを下げることができる。
さらに、位相シフト膜の裏面反射率が365~436nmの波長域において20%以下となる位相シフトマスクであるため、露光装置側への反射の影響を抑えることができ、表示装置基板上に形成されたレジスト膜に対して高精度のパターン転写を行うことができる。また、位相シフト膜の膜面反射率が313nm~436nmの波長域において22.5%以下となる位相シフトマスクにおいては、表示装置基板側からの反射光に起因する転写パターンのぼやけ(フレア)を防止することができ、さらに、表示装置基板上に形成されたレジスト膜に対して高精度のパターン転写を行うことができる。
上述の実施の形態1の位相シフトマスクブランク、及び実施の形態2の位相シフトマスクの製造方法により製造された位相シフトマスクは、等倍露光のプロジェクション露光用の位相シフトマスクブランク、及び位相シフトマスクで使用されるのが好ましい。特に、開口数(NA)が0.06~0.15の等倍露光のプロジェクション露光の露光環境で使用されるのがよい。
この実施の形態3の表示装置の製造方法によれば、CDエラーが生じない、高解像度、高精細の表示装置を製造することができる。
以下、実施例および比較例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。なお、以下の実施例は、本発明の一例であって、本発明を限定するものではない。
実施例1~5および比較例1の位相シフトマスクブランクは、透明基板と、透明基板上に配置された位相シフト膜とを備える。透明基板として、大きさが800mm×920mmであり、厚さが10mmである合成石英ガラス基板を用いた。
以下、実施例1~5および比較例1について詳細に説明する。
実施例1.
実施例1の位相シフトマスクブランクにおける位相シフト膜は、透明基板側から順に配置された、位相シフト層とメタル層と反射率低減層とから構成され、さらに、位相シフト層とメタル層の界面、メタル層と反射率低減層の界面に、組成傾斜領域が形成されている(図6参照)。
実施例1の位相シフトマスクブランクは、以下の方法により製造した。
先ず、透明基板である合成石英ガラス基板を準備した。透明基板の両主表面は鏡面研磨されている。実施例2~5および比較例1において準備した透明基板の両主表面も同様に鏡面研磨されている。
次に、透明基板をインライン型スパッタリング装置に搬入した。インライン型スパッタリング装置には、スパッタ室が設けられている。
次に、スパッタ室に配置されたクロムターゲットに2.7kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとNガスとCOガスとOガスとの混合ガスをスパッタ室内に導入しながら、200mm/分の速度で透明基板を搬送させた。ここで、混合ガスは、Arが35sccm、Nが35sccm、COが13sccm、Oが10sccmの流量となるようにスパッタ室内に導入した。透明基板がクロムターゲット付近を通過する際に、透明基板上にCrとCとOとNを含むクロム系材料(CrCON)からなる位相シフト層を成膜した。
次に、クロムターゲットに0.6kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとCHガスとの混合ガス(Arガス中に4%の濃度でCHガスが含まれている混合ガスをスパッタ室内に導入しながら、400mm/分の速度で透明基板を搬送させた。透明基板がクロムターゲット付近を通過する際に、位相シフト層上にCrとCを含むクロム系材料(CrC)からなるメタル層を成膜した。
次に、クロムターゲットに3.3kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとNガスとCOガスとOガスとの混合ガスをスパッタ室内に導入しながら、400mm/分の速度で透明基板を搬送させた。透明基板がクロムターゲット付近を通過する際に、メタル層上にCrとCとOとNを含むクロム系材料(CrCON)からなる反射率低減層を成膜した。ここで、混合ガスは、Arが35sccm、Nが35sccm、COが13sccm、Oが9sccmの流量となるようにスパッタ室内に導入した。
次に、位相シフト層とメタル層と反射率低減層とから構成される位相シフト膜が形成された透明基板をインライン型スパッタリング装置から取り出し、洗浄を行った。
なお、位相シフト層の成膜、メタル層の成膜、および反射率低減層の成膜は、透明基板をインライン型スパッタリング装置外に取り出すことによって大気に曝すことなく、インライン型スパッタリング装置内で連続して行った。
実施例1の位相シフト層、メタル層、反射率低減層より構成される位相シフト膜は、インライン型スパッタリング装置で成膜しているので、位相シフト層とメタル層との界面、メタル層と反射率低減層との界面に、各層を構成する元素が連続的に組成傾斜している組成傾斜領域が形成されている。
実施例1の位相シフト膜について、深さ方向の組成をX線光電子分光法(ESCA)により測定した結果を、図6に示す。
位相シフト層は、クロム(Cr)と酸素(O)と窒素(N)と炭素(C)とを含むクロム系材料で構成されており、各元素の平均含有率は、Cr:49.8原子%、O:40.0原子%、N:8.2原子%、C:2.0原子%あった。また、メタル層は、クロム(Cr)と炭素(C)と酸素(O)とを含むクロム系材料で構成されており、各元素の平均含有率は、Cr:69.9原子%、C:22.7原子%、O:7.4原子%であった。さらに、反射率低減層は、クロム(Cr)と酸素(O)と窒素(N)と炭素(C)とを含むクロム系材料で構成されており、各元素の平均含有率は、Cr:48.5原子%、O:47.4原子%、N:3.7原子%、C:0.4原子%あった。また、位相シフト層とメタル層との間、メタル層と反射率低減層との間には、連続的に各元素が減少又は増加した組成傾斜領域を有していた。
また、各層のCr、O、Nのスペクトルから、元素の結合状態(化学状態)を評価した。その結果、位相シフト層は、主として一窒化クロム(CrN)を含み、さらに酸化クロム(III)(Cr)が存在していることが確認できた。
また、メタル層を構成する元素の結合状態(化学状態)は、主としてクロム(Cr)を含み、さらに酸化クロム(III)(Cr)が存在していることが確認できた。
また、反射率低減層を構成する元素の結合状態(化学状態)は、主として酸化クロム(III)(Cr)を含み、一窒化クロム(CrN)と窒化二クロム(CrN)が存在していることが確認できた。
位相シフト膜は、上述した3層構造により、365nmの光に対する透過率は4.9%および位相差は187°を有していた。
なお、透過率および位相差は、レーザーテック社製のMPM-100(商品名)を用いて測定した。実施例2~5および比較例1においても同様に測定した。
図4中の曲線aは、実施例1の位相シフトマスクブランクの位相シフト膜の膜面反射率スペクトルを示す。図5中の曲線aは、実施例1の位相シフトマスクブランクの位相シフト膜の裏面反射率スペクトルを示す。
図4に見られるように、位相シフト膜は、膜面反射率が、313nmの波長において13.3%であり、350nmにおいて9.6%であり、365nmの波長において8.3%であり、405nmの波長において7.1%であり、413nm波長において7.3%であり、436nmの波長において8.1%であった。また、位相シフト膜は、膜面反射率の変動幅が、350nm~436nmの波長域において、2.5%であり、365nm~436nmの波長域において、1.2%であり、313nm~436nmの波長域において、6.2%であった。
図5に見られるように、位相シフト膜は、裏面反射率が、313nmの波長において9.7%であり、350nmにおいて8.8%であり、365nmの波長において9.0%であり、405nmの波長において12.3%であり、413nm波長において13.2%であり、436nmの波長において16.1%であった。また、位相シフト膜は、膜面反射率の変動幅が、350nm~436nmの波長域において、7.3%であり、365nm~436nmの波長域において、7.1%であり、313nm~436nmの波長域において、7.3%であった。
このように、位相シフト膜の膜面反射率が350nm~436nmの波長域において15%以下となっており、さらに、位相シフト膜の裏面反射率が、365nm~436nmの波長域において20%以下となっているので、この位相シフトマスクブランクを用いて、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性を有し、微細なパターンが形成されていて転写精度が良好となる位相シフトマスクを製造することができる。
なお、膜面反射率および裏面反射率は、島津製作所社製のSolidSpec-3700(商品名)を用いて測定した。実施例2~5および比較例1においても同様に測定した。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて、以下の方法により位相シフトマスクを製造した。
先ず、上述した位相シフトマスクブランクの位相シフト膜上に、ノボラック系のポジ型のフォトレジストからなるレジスト膜を形成した。
その後、レーザー描画機により、波長413nmのレーザー光を用いて、レジスト膜に所定のパターンを描画した。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、位相シフト膜上にレジスト膜パターンを形成した。
その後、レジスト膜パターンをマスクにして位相シフト膜をエッチングして、位相シフト膜パターンを形成した。位相シフト膜を構成する位相シフト層、メタル層および反射率低減層の各々は、クロム(Cr)を含むクロム系材料から形成される。このため、位相シフト層、メタル層および反射率低減層は、同じエッチング溶液によりエッチングすることができる。ここでは、位相シフト膜をエッチングするエッチング溶液として、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング溶液を用いた。
その後、レジスト剥離液を用いて、レジスト膜パターンを剥離した。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクの位相シフト膜パターン断面は、位相シフト膜パターンの膜厚方向の中央部に位置するメタル層において若干の食われが発生しているが、マスク特性に影響ない程度のものであった。
なお、位相シフトマスクの位相シフト膜パターン断面は、電子顕微鏡(日本電子株式会社製のJSM7401F(商品名))を用いて観察した。実施例2~3および比較例1においても同様に測定した。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクの位相シフト膜パターンのCDばらつき(CD均一性)は、70nmであり、良好であった。CDばらつき(CD均一性)は、目標とするラインアンドスペースパターン(ラインパターンの幅:2.0μm、スペースパターンの幅:2.0μm)からのずれ幅である。
なお、位相シフトマスクの位相シフト膜パターンのCDばらつきは、セイコーインスツルメンツナノテクノロジー社製SIR8000を用いて測定した。実施例2~5および比較例1においても同様に測定した。
上述した位相シフトマスクは、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性、良好な転写精度を有し、また、露光光に対する位相シフト膜パターンの膜面反射率および裏面反射率が低く、位相シフト膜パターンの裏面反射率も低いため、上述した位相シフトマスクを用いて、表示装置を製造したところ、CDエラーが生じない、高解像度、高精細の表示装置を製造することができた。なお、表示装置の製造工程における位相シフトマスクを使用したパターン転写工程は、開口数(NA)が0.1の等倍露光のプロジェクション露光であって、露光光はj線、i線、h線およびg線を含む複合光とした。
実施例2.
実施例2の位相シフトマスクブランクにおける位相シフト膜は、透明基板側から順に配置された、位相シフト層とメタル層と反射率低減層とから構成される。
実施例2の位相シフトマスクブランクにおける位相シフト層、メタル層、反射率低減層の各層は、以下の成膜条件により成膜した。
位相シフト層は、混合ガスとして、Arが35sccm、Nが35sccm、COが100sccm、Oが35sccmの流量となるようにスパッタ室内に導入した以外は、実施例1と同様にして透明基板上にCrとOとNを含むクロム系材料(CrON)からなる位相シフト層を成膜した。
次に、メタル層は、スパッタ室に配置されたクロムターゲットに0.5kWのスパッタパワーを印加した以外は実施例1と同様にして位相シフト層上にCrとCを含むクロム系材料(CrC)からなるメタル層を成膜した。
次に、反射率低減層は、混合ガスとして、Arが35sccm、Nが35sccm、COが100sccm、Oが35sccmの流量となるようにスパッタ室内に導入した以外は、実施例1と同様にしてメタル層上にCrとOとNを含むクロム系材料(CrON)からなる反射率低減層を成膜した。
実施例2の位相シフト膜について、深さ方向の組成をX線光電子分光法(ESCA)により測定した結果、位相シフト層は、主にクロム(Cr)と酸素(O)と窒素(N)とを含むクロム系材料で構成されており、各元素の平均含有率は、Cr:45.5原子%、O:53.8原子%、N:0.6原子%、C:0.1原子%あった。また、メタル層は、クロム(Cr)と炭素(C)と酸素(O)とを含むクロム系材料で構成されており、各元素の平均含有率は、Cr:74.7原子%、C:15.8原子%、O:8.8原子%、N:0.7原子%であった。さらに、反射率低減層は、主にクロム(Cr)と酸素(O)と窒素(N)とを含むクロム系材料で構成されており、各元素の平均含有率は、Cr:44.4原子%、O:55.0原子%、N:0.5原子%、C:0.1原子%あった。また、位相シフト層とメタル層との間、メタル層と反射率低減層との間には、連続的に各元素が減少又は増加した組成傾斜領域を有していた。
また、各層のCr、O、Nのスペクトルから、元素の結合状態(化学状態)を評価した。その結果、位相シフト層は、主として窒化二クロム(CrN)を含み、さらに酸化クロム(III)(Cr)と酸化クロム(VI)(CrO)が存在していることが確認できた。
また、メタル層を構成する元素の結合状態(化学状態)は、主としてクロム(Cr)を含み、さらに酸化クロム(III)(Cr)が存在していることが確認できた。
また、反射率低減層を構成する元素の結合状態(化学状態)は、主として酸化クロム(III)(Cr)を含んでいることが確認できた。
位相シフト膜は、上述した3層構造により、365nmの光に対する透過率4.9%および位相差187°を有していた。
図4中の曲線bは、実施例2の位相シフトマスクブランクの位相シフト膜の膜面反射率スペクトルを示す。図5中の曲線bは、実施例2の位相シフトマスクブランクの位相シフト膜の裏面反射率スペクトルを示す。
図4に見られるように、位相シフト膜は、膜面反射率が、313nmの波長において21%であり、350nmにおいて14.7%であり、365nmの波長において12.8%であり、405nmの波長において10.2%であり、413nm波長において9.8%であり、436nmの波長において9.0%であった。また、位相シフト膜は、膜面反射率の変動幅が、350nm~436nmの波長域において、5.7%であり、365nm~436nmの波長域において、3.8%であり、313nm~436nmの波長域において、12.0%であった。
図5に見られるように、位相シフト膜は、裏面反射率が、313nmの波長において7.5%であり、350nmにおいて8.3%であり、365nmの波長において9.8%であり、405nmの波長において14.9%であり、413nm波長において15.9%であり、436nmの波長において18.2%であった。また、位相シフト膜は、膜面反射率の変動幅が、350nm~436nmの波長域において、9.9%であり、365nm~436nmの波長域において、8.3%であり、313nm~436nmの波長域において、11.0%であった。
このように、位相シフト膜の膜面反射率が350nm~436nmの波長域において15%以下となっており、さらに、位相シフト膜の裏面反射率が、365nm~436nmの波長域において20%以下となっているので、この位相シフトマスクブランクを用いて、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性を有し、微細なパターンが形成されていて転写精度が良好となる位相シフトマスクを製造することができる。
なお、膜面反射率および裏面反射率は、島津製作所社製のSolidSpec-3700(商品名)を用いて測定した。
上述の実施例と同様に実施例2の位相シフトマスクブランクを用いて、位相シフトマスクを製造した。得られた位相シフトマスクの位相シフト膜パターンのCDばらつき(CD均一性)は、65nmであり、良好であった。CDばらつき(CD均一性)は、目標とするラインアンドスペースパターン(ラインパターンの幅:2.0μm、スペースパターンの幅:2.0μm)からのずれ幅である。
上述した位相シフトマスクは、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性、良好な転写精度を有し、また、露光光に対する位相シフト膜パターンの膜面反射率が低く、位相シフト膜パターンの裏面反射率も低いため、上述した位相シフトマスクを用いて、表示装置を製造したところ、CDエラーが生じない、高解像度、高精細の表示装置を製造することができた。なお、表示装置の製造工程における位相シフトマスクを使用したパターン転写工程は、開口数(NA)が0.1の等倍露光のプロジェクション露光であって、露光光はj線、i線、h線およびg線を含む複合光とした。
実施例3.
実施例3の位相シフトマスクブランクにおける位相シフト膜は、透明基板側から順に配置された、位相シフト層とメタル層と反射率低減層とから構成される。実施例3の位相シフトマスクブランクにおいて、位相シフト層およびメタル層(中間層)をモリブデンシリサイド系材料で構成し、反射率低減層を位相シフト層およびメタル層とエッチング選択性を有するチタン系材料で構成した。
実施例3の位相シフトマスクブランクにおける位相シフト層、メタル層および反射率低減層は、以下の成膜条件により成膜した。
位相シフト層は、モリブデンシリサイドターゲット(Mo:Si=1:4)に6.0kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとOガスとNガスをスパッタ室内に導入しながら、透明基板上にMoとSiとOとNを含むモリブデンシリサイド系材料(MoSiON)からなる位相シフト層(膜厚:100nm)を成膜した。ここで、Arガスが50sccm、Oガスが40sccm、Nガスが50sccmの流量となるようにスパッタ室内に導入した。
メタル層(中間層)は、(Mo:Si=1:4)に1.5kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとNガスをスパッタ室内に導入しながら、透明基板上にMoとSiとNを含むモリブデンシリサイド系材料(MoSiN)からなるメタル層(中間層)(膜厚:30nm)を成膜した。ここで、Arガスが60sccm、Nガスが40sccmの流量となるようにスパッタ室内に導入した。
反射率低減層は、チタンターゲットに2.0kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとOガスとNガスをスパッタ室内に導入しながら、メタル層上にTiとOとNを含むチタン系材料(TiON)からなる反射率低減層(膜厚:60nm)を成膜した。ここで、Arガスが100sccm、Oガスが60sccm、Nガスが60sccmの流量となるようにスパッタ室内に導入した。
実施例3の位相シフト膜について、深さ方向の組成をX線光電子分光法(ESCA)により測定した結果、位相シフト層は、Mo:10原子%、Si:40原子%、O:25原子%、N:25原子%、メタル層(中間層)は、Mo:15原子%、Si:60原子%、N:25原子%、反射率低減層は、Ti:50.5原子%、O:40.5原子%、N:9.0原子%であった。また、位相シフト層とメタル層との間、メタル層と反射率低減層との間には、連続的に各元素が減少又は増加した組成傾斜領域を有していた。
位相シフト膜は、上述した3層構造により、365nmの光に対する透過率6.60%および位相差183.3°を有していた。
位相シフト膜は、膜面反射率が、313nmの波長において7.60%であり、350nmにおいて0.79%であり、365nmの波長において0.05%であり、405nmの波長において4.34%であり、413nmの波長において5.53%であり、436nmの波長において8.74%であった。また、位相シフト膜は、膜面反射率の変動幅が、350nm~436nmの波長域において、8.69%であり、365nm~436nmの波長域において、8.69%であり、313nm~436nmの波長域において、8.69%であった。
位相シフト膜は、裏面反射率が、313nmの波長において12.52%であり、350nmにおいて15.87%であり、365nmの波長において17.36%であり、405nmの波長において19.17%であり、413nmの波長において19.07%であり、436nmの波長において18.10%であった。また、位相シフト膜は、膜面反射率の変動幅が、350nm~436nmの波長域において、3.30%であり、365nm~436nmの波長域において、1.81%であり、313nm~436nmの波長域において、6.65%であった。
このように、位相シフト膜の膜面反射率が350nm~436nmの波長域において15%以下となっており、さらに、位相シフト膜の裏面反射率が、365nm~436nmの波長域において20%以下となっているので、この位相シフトマスクブランクを用いて、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性を有し、微細なパターンが形成されていて転写精度が良好となる位相シフトマスクを製造することができる。
なお、膜面反射率および裏面反射率は、島津製作所社製のSolidSpec-3700(商品名)を用いて測定した。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて、実施例1と同様に方法により位相シフト膜上にレジスト膜パターンを形成した。そして、レジスト膜パターンをマスクにして、チタン系材料で構成される反射率低減層を、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素の混合溶液を純水で希釈したエッチング液でウェットエッチングして、反射率低減層にパターンを形成した。さらに、モリブデンシリサイド系材料で構成される位相シフト層およびメタル層を、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素の混合溶液を純水で希釈したエッチング液でウェットエッチングして、位相シフト層およびメタル層にパターンを形成した。なお、このウェットエッチングによって、反射率低減層上に残存していたレジスト膜パターンも除去された。このようにして、位相シフト層、メタル層、反射率低減層に位相シフト膜パターンを形成することで、位相シフトマスクを製造した。
得られた位相シフトマスクの位相シフト膜パターンのCDばらつき(CD均一性)は、58.0nmであり、良好であった。CDばらつき(CD均一性)は、目標とするラインアンドスペースパターン(ラインパターンの幅:2.0μm、スペースパターンの幅:2.0μm)からのずれ幅である。
上述した位相シフトマスクは、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性、良好な転写精度を有し、また、露光光に対する位相シフト膜パターンの膜面反射率が低いため、表示装置を製造したところ、上述した位相シフトマスクを用いて、CDエラーが生じない、高解像度、高精細の表示装置を製造することができた。なお、表示装置の製造工程における位相シフトマスクを使用したパターン転写工程は、開口数(NA)が0.1の等倍露光のプロジェクション露光であって、露光光はj線、i線、h線およびg線を含む複合光とした。
加えて、この位相シフトマスクは、位相シフト層およびメタル層(中間層)をモリブデンシリサイド系材料で構成するとともに反射率低減層をチタン系材料で構成しているため、レジスト膜との密着性を向上でき、微細なパターン形成に有利である。
比較例1.
比較例1の位相シフトマスクブランクにおける位相シフト膜は、位相シフト層(CrOCN、膜厚122nm)のみから構成される。比較例1の位相シフトマスクブランクは、位相シフト膜がメタル層と反射率低減層とを備えていない点で上述の実施例の位相シフトマスクブランクと異なる。
比較例1の位相シフトマスクブランクにおける位相シフト層は、以下の成膜条件により成膜した。
位相シフト層は、スパッタ室に配置されたクロムターゲットに3.5kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとNガスとCOガスとの混合ガスをスパッタ室内に導入しながら、200mm/分の速度で透明基板を搬送させた。透明基板がクロムターゲット付近を通過する際に、透明基板の主表面上にCrOCNからなる膜厚122nmの位相シフト層を成膜した。ここで、混合ガスは、Arが46sccm、Nが32sccm、COが18.5sccmの流量となるようにスパッタ室内に導入した。
比較例1の位相シフト膜については、深さ方向の組成をX線光電子分光法(ESCA)により測定した。位相シフト膜は深さ方向に均一で、Cr:44原子%、C:8原子%、O:30原子%、N:18原子%であった。
位相シフト膜は、上述した1層構造により、365nmの光に対する透過率4.5%および位相差181°を有していた。
図4中の曲線cは、比較例1の位相シフトマスクブランクの位相シフト膜の膜面反射率スペクトルを示す。図5中の曲線cは、比較例1の位相シフトマスクブランクの位相シフト膜の裏面反射率スペクトルを示す。
図4に見られるように、位相シフト膜は、膜面反射率が、313nmの波長において21.0%であり、350nmにおいて23.9%であり、365nmの波長において24.0%であり、405nmの波長において25.1%であり、413nm波長において25.3%であり、436nmの波長において26.0%であった。また、位相シフト膜は、膜面反射率の変動幅が、350nm~436nmの波長域において、2.1%であり、365nm~436nmの波長域において、2.0%であり、313nm~436nmの波長域において、12.0%であった。
図5に見られるように、位相シフト膜は、裏面反射率が、313nmの波長において7.5%であり、350nmにおいて17.1%であり、365nmの波長において17.9%であり、405nmの波長において19.9%であり、413nm波長において20.2%であり、436nmの波長において20.3%であった。また、位相シフト膜は、膜面反射率の変動幅が、350nm~436nmの波長域において、3.2%であり、365nm~436nmの波長域において、2.4%であり、313nm~436nmの波長域において、11.0%であった。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて、実施例1と同様に方法により位相シフトマスクを製造した。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクの位相シフト膜パターン断面は垂直であった。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクの位相シフト膜パターンのCDばらつきは、90nmであり、高解像度、高精細の表示装置の製造に用いられる位相シフトマスクに求められるレベルを達していなかった。
上述した位相シフトマスクは、優れたパターン断面形状を有しているが、位相シフト膜の膜面反射率が350nm~436nmの波長域において、15%を超えているため、CDばらつきが大きく(CD均一性が悪く)、また、露光光に対する位相シフト膜パターンの膜面反射率が高く、位相シフト膜パターンの裏面反射率も実施例と比べて高いため、上述した位相シフトマスクを用いて、CDエラーが生じない、高解像度、高精細の表示装置を製造することができなかった。なお、表示装置の製造工程における位相シフトマスクを使用したパターン転写工程は、開口数(NA)が0.1の等倍露光のプロジェクション露光であって、露光光はj線、i線、h線およびg線を含む複合光とした。
実施例4.
実施例4の位相シフトマスクブランクは、実施例3の位相シフト膜上に、遮光性膜が形成された位相シフトマスクブランクである。
上述の実施例3と同様に透明基板上に位相シフト膜を成膜した後、以下の成膜条件により遮光性膜を成膜した。遮光性膜は、位相シフト膜側から、遮光層と表面反射率低減層を備える構成としており、遮光層は下層遮光層と上層遮光層の積層構造とし、表面反射率低減層は第1表面反射率低減層と第2表面反射率低減層の積層構造とした。
下層遮光層は、スパッタ室に配置されたクロムターゲットに1.5kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとNガスの混合ガスをスパッタ室内に導入しながら、400mm/分の搬送速度で透明基板を搬送させ、CrとNを含むCrNからなる下層遮光層を成膜した。なお、混合ガスは、Arが65sccm、Nが15sccmの流量となるようにスパッタ室内に導入した。
次に、下層遮光層上に、スパッタ室内に配置されたクロムターゲットに8.5kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとCHガスの混合ガスであるAr/CH(4.9%)ガスをスパッタ室内に導入しながら、400mm/分の搬送速度で透明基板を搬送させ、CrとCを含むCrCからなる上層遮光層を成膜した。なお、混合ガスであるAr/CH(4.9%)は、31sccmの流量となるようにスパッタ室内に導入した。
次に、上層遮光層上に、スパッタ室内に配置されたクロムターゲットに1.5kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとCHガスの混合ガスであるAr/CH(5.5%)ガスとNガスとOガスの混合ガスをスパッタ室内に導入しながら、400mm/分の搬送速度で透明基板を搬送させ、CrとCとOとNを含むCrCONからなる第1表面反射率低減層を成膜した。なお、混合ガスは、Ar/CH(5.5%)は、31sccm、Nは8sccm、Oは3sccmの流量となるようにスパッタ室内に導入した。
最後に、第1表面反射率低減層上に、スパッタ室内に配置されたクロムターゲットに1.95kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとCHガスの混合ガスであるAr/CH(5.5%)ガスとNガスとOガスの混合ガスをスパッタ室内に導入しながら、400mm/分の搬送速度で透明基板を搬送させ、CrとCとOとNを含むCrCONからなる第2表面反射率低減層を成膜し、位相シフトマスクブランクを得た。なお、混合ガスは、Ar/CH(5.5%)は、31sccm、Nは8sccm、Oは3sccmの流量となるようにスパッタ室内に導入した。
透明基板上に位相シフト膜と遮光性膜が形成された位相シフトマスクブランクの遮光性膜の膜面反射率は、313nmの波長において17.2%、350nmの波長において12.1%、365nmにおいて11.0%、405nmの波長において8.2%、413nmの波長において7.5%、436nmの波長において8.4%であった。また、位相シフト膜と遮光性膜との積層膜における365nmの光学濃度は、4.0以上であった。また、この位相シフトマスクブランクにおける位相シフト膜の裏面反射率は、313nmの波長において12.5%、365nmの波長において、17.4%、405nmの波長において19.2%、436nmの波長において18.1%であった。
このように、位相シフト膜の膜面反射率が350nm~436nmの波長域において15%以下となっており、遮光性膜の膜面反射率が350nm~436nmの波長域において15%以下となっており、さらに、位相シフト膜の裏面反射率が、365nm~436nmの波長域において20%以下となっているので、この位相シフトマスクブランクを用いて、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性を有し、微細なパターンが形成されていて転写精度が良好となる位相シフトマスクを製造することができる。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて、以下の方法により位相シフトマスクを製造した。先ず、遮光性膜上に第1レジスト膜パターンを形成した。そして、第1レジスト膜パターンをマスクにして、遮光性膜を硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング液でウェットエッチングして、位相シフト膜上に遮光性膜パターンからなるマスクパターンを形成した。
次に、上記マスクパターンをマスクにして、位相シフト膜をフッ化水素アンモニウムと過酸化水素の混合溶液を純水で希釈したエッチング液でウェットエッチングして、位相シフト膜パターンを形成した。なお、このウェットエッチング液によって、マスクパターン上に残存していたレジスト膜パターンも除去された。
次に、上述の位相シフト膜パターンの中心部に遮光性膜パターンを形成するため、上述のマスクパターン及び位相シフト膜パターン上にレジスト膜を形成し、上述と同様にマスクパターン上に第2レジスト膜パターンを形成した。そして、第2レジスト膜パターンをマスクにして、遮光性膜を硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング液でウェットエッチングして、位相シフト膜上の中央部に遮光性膜パターンを形成し、最後にレジスト剥離液を用いて、レジスト膜パターンを剥離して位相シフトマスクを製造した。
この得られた位相シフトマスクの位相シフト膜パターンのCDばらつき(CD均一性)は、57.0nmであり、良好であった。CDばらつき(CD均一性)は、目標とするラインアンドスペースパターン(ラインパターンの幅:2.0μm、スペースパターンの幅:2.0μm)からのずれ幅である。
上述した位相シフトマスクは、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性、良好な転写精度を有し、また、露光光に対する位相シフト膜パターン及び遮光性膜パターンの膜面反射率が低く、位相シフト膜パターンの裏面反射率も低いため、上述した位相シフトマスクを用いて、表示装置を製造したところ、CDエラーが生じない、高解像度、高精細の表示装置を製造することができた。なお、表示装置の製造工程における位相シフトマスクを使用したパターン転写工程は、開口数(NA)が0.1の等倍露光のプロジェクション露光であって、露光光はj線、i線、h線およびg線を含む複合光とした。
実施例5.
実施例5の位相シフトマスクブランクは、透明基板上に、裏面反射率低減層と遮光層との積層膜からなる遮光性膜パターン上に位相シフト膜が形成された位相シフトマスクブランクである。
上述の遮光性膜パターンにおける裏面反射率低減層と遮光層は、以下の成膜条件により遮光性膜を成膜し、パターニングしたものである。
裏面反射率低減層は、スパッタ室に配置されたクロムターゲットに4.0kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとNガスとOガスの混合ガスをスパッタ室内に導入しながら、350mm/分の搬送速度で透明基板を搬送させ、CrとOとNを含むCrONからなる裏面反射率低減層を成膜した。なお、Arは100sccm、Nは45sccm、Oは25sccmの流量となるようにスパッタ室内に導入した。
次に、裏面反射率低減層上に、スパッタ室内に配置されたクロムターゲットに5.0kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとNガスの混合ガスをスパッタ室内に導入しながら、200mm/分の搬送速度で透明基板を搬送させ、CrとNを含むCrNからなる遮光層を成膜した。なお、Arは130sccm、Nは30sccmの流量となるようにスパッタ室内に導入した。
上述のように透明基板上に形成した裏面反射率低減層と遮光層の積層膜からなる遮光性膜の裏面反射率は、313nmの波長において10.4%、365nmの波長において6.2%、405nmの波長において4.7%、436nmの波長において4.8%であった。
そして、上述した遮光性膜をエッチングによりパターニングすることにより、透明基板上に遮光性膜パターンを形成した。
次に、遮光性膜パターン上に実施例1の位相シフト膜を形成して位相シフトマスクブランクを製造した。この位相シフトマスクブランクの位相シフト膜の膜面反射率は、実施例1と同様の光学特性を有しており、膜面反射率は、313nmの波長において13.3%であり、350nmにおいて9.6%であり、365nmの波長において8.3%であり、405nmの波長において7.1%であり、413nm波長において7.3%であり、436nmの波長において8.1%であった。また、位相シフト膜は、膜面反射率の変動幅が、350nm~436nmの波長域において、2.5%であり、365nm~436nmの波長域において、1.2%であり、313nm~436nmの波長域において、6.2%であった。また、遮光性膜パターンが形成されていない位相シフト膜の裏面反射率も実施例1と同様の光学特性を有しており、裏面反射率は、313nmの波長において9.7%であり、350nmにおいて8.8%であり、365nmの波長において9.0%であり、405nmの波長において12.3%であり、413nm波長において13.2%であり、436nmの波長において16.1%であった。また、位相シフト膜は、膜面反射率の変動幅が、350nm~436nmの波長域において、7.3%であり、365nm~436nmの波長域において、7.1%であり、313nm~436nmの波長域において、7.3%であった。
このように、位相シフト膜の膜面反射率が350nm~436nmの波長域において15%以下となっており、さらに、遮光性膜パターンの裏面反射率が350nm~436nmの波長域において15%以下、位相シフト膜の裏面反射率が365nm~436nmの波長域において20%以下となっているので、この位相シフトマスクブランクを用いて、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性を有し、微細なパターンが形成されていて転写精度が良好となる位相シフトマスクを製造することができる。
さらに、上述の実施例1と同様に、この位相シフトマスクブランクを用いて位相シフトマスクを製造した。その結果、位相シフト膜パターンのCDばらつき(CD均一性)は、70nmで良好であった。
上述した位相シフトマスクは、優れたパターン断面形状および優れたCD均一性、良好な転写精度を有し、また、露光光に対する位相シフト膜パターンの膜面反射率および裏面反射率が低く、位相シフト膜パターンの裏面反射率も低いため、上述した位相シフトマスクを用いて、表示装置を製造したところ、CDエラーが生じない、高解像度、高精細の表示装置を製造することができた。なお、表示装置の製造工程における位相シフトマスクを使用したパターン転写工程は、開口数(NA)が0.1の等倍露光のプロジェクション露光であって、露光光はj線、i線、h線およびg線を含む複合光とした。
以上のように、本発明を実施の形態および実施例に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されない。該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白である。
10 位相シフトマスクブランク、20 透明基板、30 位相シフト膜、
31 位相シフト層、32 反射率低減層、33 メタル層、
40 遮光性膜パターン、41 裏面反射率低減層、42 遮光層
45 遮光性膜、46 遮光層、47 表面反射率低減層。

Claims (13)

  1. 透明基板上に位相シフト膜を備える位相シフトマスクブランクであって、
    前記位相シフト膜は、1種以上の金属と、酸素、窒素、炭素から選ばれる少なくとも1つを含有する金属系材料、または、1種以上の金属と、ケイ素と、酸素、窒素、炭素から選ばれる少なくとも1つを含有する金属シリサイド系材料の少なくともいずれかで構成され、
    前記位相シフト膜は、露光光に対する透過率と位相差とを調整する機能を主に有する位相シフト層と、該位相シフト層の上側に配置され、前記位相シフト膜側より入射される光に対する反射率を低減させる機能を主に有する反射率低減層と、前記位相シフト層と前記反射率低減層との間に配置される中間層とを有し、
    前記中間層は、前記反射率低減層の金属含有率よりも高い金属含有率を有する金属系材料であるか、または、前記反射率低減層の前記金属含有率若しくは前記反射率低減層の金属とケイ素の合計含有率よりも高い合計含有率を有する金属シリサイド系材料であって、
    前記位相シフト層、前記中間層および前記反射率低減層の積層構造により、露光光に対する前記位相シフト膜の透過率と位相差とが所定の光学特性を有し、
    前記位相シフト膜側より入射される光に対する前記位相シフト膜の膜面反射率が、313nm~436nmの波長域において22.5%以下であって、かつ前記透明基板側より入射される光に対する前記位相シフト膜の裏面反射率が、313nm~436nmの波長域において20%以下であることを特徴とする位相シフトマスクブランク。
  2. 透明基板上に位相シフト膜を備える位相シフトマスクブランクであって、
    前記位相シフト膜は、1種以上の金属と、酸素、窒素、炭素から選ばれる少なくとも1つを含有する金属系材料、または、1種以上の金属と、ケイ素と、酸素、窒素、炭素から選ばれる少なくとも1つを含有する金属シリサイド系材料の少なくともいずれかで構成され、
    前記位相シフト膜は、露光光に対する透過率と位相差とを調整する機能を主に有する位相シフト層と、該位相シフト層の上側に配置され、前記位相シフト膜側より入射される光に対する反射率を低減させる機能を主に有する反射率低減層と、前記位相シフト層と前記反射率低減層との間に配置される中間層とを有し、
    前記中間層は、前記反射率低減層の金属含有率よりも高い金属含有率を有する金属系材料であるか、または、前記反射率低減層の前記金属含有率若しくは前記反射率低減層の金属とケイ素の合計含有率よりも高い合計含有率を有する金属シリサイド系材料であって、
    前記位相シフト層、前記中間層および前記反射率低減層の積層構造により、露光光に対する前記位相シフト膜の透過率と位相差とが所定の光学特性を有し、
    前記位相シフト膜側より入射される光に対する前記位相シフト膜の膜面反射率が、313nm~436nmの波長域において22.5%以下であって、かつ前記透明基板側より入射される光に対する前記位相シフト膜の裏面反射率が、365nm~436nmの波長域において20%以下であることを特徴とする位相シフトマスクブランク。
  3. 前記位相シフト膜の膜面反射率の変動幅が、313nm~436nmの波長域において12.5%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の位相シフトマスクブランク。
  4. 前記位相シフト膜の裏面反射率の変動幅が、313nm~436nmの波長域において18%以下であることを特徴とする請求項1乃至3記載の位相シフトマスクブランク。
  5. 前記位相シフト膜は、同一のエッチャントでエッチング可能な材料から構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の位相シフトマスクブランク。
  6. 前記位相シフト膜を構成する金属シリサイド系材料は、金属シリサイドの窒化物、金属シリサイドの酸化物、金属シリサイドの酸化窒化物、金属シリサイドの炭化窒化物、金属シリサイドの酸化炭化物、金属シリサイドの酸化炭化窒化物の何れかであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の位相シフトマスクブランク。
  7. 前記金属シリサイド系材料は、モリブデンシリサイド系材料、ジルコニウムシリサイド系材料、チタンシリサイド系材料、モリブデンジルコニウムシリサイド系材料であることを特徴とする請求項6記載の位相シフトマスクブランク。
  8. 前記位相シフト膜を構成する金属系材料に含有される金属は、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)の何れかであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の位相シフトマスクブランク。
  9. 前記位相シフト膜上に遮光性膜を備え、前記遮光性膜の膜面反射率が、350nm~436nmの波長域において15%以下であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の位相シフトマスクブランク。
  10. 請求項1乃至8の何れか一項に記載の位相シフトマスクブランクの前記位相シフト膜上に、レジスト膜を形成し、該レジスト膜に描画処理、および現像処理により、レジスト膜パターンを形成する工程と、
    該レジスト膜パターンをマスクにして前記位相シフト膜をエッチングして、前記透明基板上に位相シフト膜パターンを形成する工程と、
    を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
  11. 請求項9に記載の位相シフトマスクブランクの前記遮光性膜上に、レジスト膜を形成し、該レジスト膜に描画処理、および現像処理により、レジスト膜パターンを形成する工程と、
    該レジスト膜パターンをマスクにして前記遮光性膜をエッチングして、前記位相シフト膜上に遮光性膜パターンを形成する工程と、
    前記遮光性膜パターンをマスクにして前記位相シフト膜をエッチングして、前記透明基板上に位相シフト膜パターンを形成する工程と、
    を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
  12. 請求項10または11に記載の位相シフトマスクの製造方法により得られた位相シフトマスクを露光装置のマスクステージに載置する工程と、
    前記位相シフトマスクに露光光を照射して、表示装置基板上に形成されたレジスト膜に前記位相シフト膜パターンを転写する工程と、
    を有することを特徴とする表示装置の製造方法。
  13. 前記露光光は、313nm~436nmの波長域から選択される複数の波長の光を含む複合光であることを特徴とする請求項12記載の表示装置の製造方法。
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