JP2019061106A - 位相シフトマスクブランク及びそれを用いた位相シフトマスクの製造方法、並びに表示装置の製造方法 - Google Patents

位相シフトマスクブランク及びそれを用いた位相シフトマスクの製造方法、並びに表示装置の製造方法 Download PDF

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誠治 坪井
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Abstract

【課題】高精細な位相シフト膜パターンを精度よく転写することができる位相シフトマスクを製造することができる位相シフトマスクブランクを提供する。【解決手段】位相シフトマスクブランクの位相シフト膜は、1種以上の金属と、ケイ素と、酸素、窒素から選ばれる少なくとも1つを含有する金属シリサイド系材料から構成され、位相シフト膜は、主に露光光に対する透過率と位相差とを調整する機能を有する位相シフト層と、その下側に配置され、透明基板側より入射される光に対する反射率を低減させる機能を有する裏面反射率低減層とを有し、透明基板側より入射される光に対する位相シフト膜の裏面反射率が365nm〜436nmの波長域において15%以下となるように、位相シフト層に含まれる酸素の含有率よりも裏面反射率低減層に含まれる酸素の含有率が多くなっている。【選択図】図1

Description

本発明は、位相シフトマスクブランク及びそれを用いた位相シフトマスクの製造方法、並びに表示装置の製造方法に関する。
近年、LCD(Liquid Crystal Display)を代表とするFPD(Flat Panel Display)等の表示装置では、大画面化、広視野角化とともに、高精細化、高速表示化が急速に進んでいる。この高精細化、高速表示化のために必要な要素の1つが、微細で寸法精度の高い素子や配線等の電子回路パターンの作製である。この表示装置用電子回路のパターニングにはフォトリソグラフィが用いられることが多い。このため、微細で高精度なパターンが形成された表示装置製造用のフォトマスクが必要になっている。
例えば、特許文献1には、FPD用位相反転ブランクマスク(100)が開示されている。位相反転ブランクマスク(100)は、透明基板(102)と透明基板(102)上に位相反転膜(104)及びレジスト膜(108)が順次積層された構造を有する。位相反転膜(104)は、シリコン(Si)を必須で含む金属シリサイド(Si)化合物からなり、例えば、モリブデンシリサイド(MoSi)に酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のうち1種以上の軽元素物質をさらに含んで形成されるものである。
また、特許文献1には、位相反転膜(204)上に遮光性膜(210)を追加で形成する位相反転ブランクマスク(200)も開示されている。遮光性膜(210)は、遮光層(206)と反射防止層(208)が積層されている。遮光層(206)及び反射防止層(208)は、同一の物質を主成分としてなり、軽元素の含有量に応じて遮光機能及び反射防止機能を有するものである。
韓国公開特許第2016−0036956号公報
従来提案されている表示装置用の位相シフトマスクに用いられる位相シフト膜は、露光機の光学系との反射や、位相シフトマスクに貼り付けられるペリクルや表示装置基板との反射の影響を考慮して設計されていない。このため、表示装置用の位相シフトマスクを用いて、位相シフトマスクに形成されているパターンを転写する際に、表示装置基板からの反射光に起因する転写パターンのぼやけ(フレア)が発生し、転写精度が悪化してしまったり、表示装置基板に転写される転写パターンのCDエラーが生じる危険性があるという課題がある。
このため、本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、露光光として用いられる365nm〜436mの波長域の光に対する裏面反射率を低減させた位相シフト膜を備えることで、CDエラーを抑制でき、高解像度、高精細な位相シフト膜パターンを精度よく転写することができる位相シフト膜パターンを形成することができる位相シフトマスクブランク及びそれを用いた位相シフトマスクの製造方法、並びに表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した目的を達成するために鋭意検討し、1種以上の金属と、ケイ素と、酸素、窒素から選ばれる少なくとも1つを含有する金属シリサイド系材料で位相シフト膜を構成するとともに、位相シフト膜を少なくとも2層で構成し、位相シフト膜を構成する各層の組成や膜厚を工夫することにより、露光光に対する位相シフト膜の透過率と位相差とが位相シフト膜として必要な所定の光学特性を満たしつつ、365nm〜436nmの波長域の光に対する裏面反射率を低減させることができるという知見を得るに至った。
本発明は、この知見に基づいてなされたものであり、以下の構成を有する。
(構成1)
透明基板上に位相シフト膜と、該位相シフト膜上にエッチングマスク膜を備える位相シフトマスクブランクであって、
前記位相シフト膜は、1種以上の金属と、ケイ素と、酸素、窒素から選ばれる少なくとも1つを含有する金属シリサイド系材料から構成され、
前記位相シフト膜は、主に露光光に対する透過率と位相差とを調整する機能を有する位相シフト層と、該位相シフト層の下側に配置され、前記透明基板側より入射される光に対する反射率を低減させる機能を有する裏面反射率低減層とを有し、
前記裏面反射率低減層および前記位相シフト層の積層構造により、露光光に対する前記位相シフト膜の透過率と位相差とが所定の光学特性を有し、
前記透明基板側より入射される光に対する前記位相シフト膜の裏面反射率が365nm〜436nmの波長域において15%以下となるように、前記位相シフト層に含まれる酸素の含有率よりも前記裏面反射率低減層に含まれる酸素の含有率が多くなっていることを特徴とする位相シフトマスクブランク。
(構成2)
前記裏面反射率低減層における金属とシリコンの合計に対する金属の比率は、前記位相シフト層における金属とシリコンの合計に対する金属の比率よりも大きくなっていることを特徴とする構成1記載の位相シフトマスクブランク。
(構成3)
前記位相シフト膜は、同一のエッチャントでエッチング可能な材料から構成されていることを特徴とする構成1又は2記載の位相シフトマスクブランク。
(構成4)
前記金属シリサイド系材料は、モリブデンシリサイド系材料、ジルコニウムシリサイド系材料、モリブデンジルコニウムシリサイド系材料であることを特徴とする構成1から3のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
(構成5)
前記エッチングマスク膜側より入射される光に対する前記エッチングマスク膜の膜面反射率が、350nm〜436nmの波長域において15%以下であることを特徴とする構成1から4のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
(構成6)
構成1乃至5のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランクの前記エッチングマスク膜上に、レジスト膜パターンを形成する工程と、
該レジスト膜パターンをマスクにして前記エッチングマスク膜をエッチングして、前記位相シフト膜上にエッチングマスク膜パターンを形成する工程と、
前記エッチングマスク膜パターンをマスクにして前記位相シフト膜をエッチングして、前記透明基板上に位相シフト膜パターンを形成する工程と、を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
(構成7)
構成6記載の位相シフトマスクの製造方法により得られた位相シフトマスクを露光装置のマスクステージに載置する工程と、
前記位相シフトマスクに露光光を照射して、表示装置基板上に形成されたレジスト膜に前記位相シフト膜パターンを転写する工程と、
を有することを特徴とする表示装置の製造方法。
(構成8)
前記露光光は、365nm〜436nmの波長域から選択される複数の波長の光を含む複合光であることを特徴とする構成7記載の表示装置の製造方法。
上述したように、本発明に係る位相シフトマスクブランクは、位相シフトマスクブランクを用いて作製された位相シフトマスクに形成されている位相シフト膜パターンは、露光光に対して裏面(透明基板側)が低い反射率となっているので、露光機の光学系との反射の影響を抑えられ、CDエラーを抑制でき、高解像度、高精度のパターン転写が可能となる。また、この位相シフトマスクを用いて、高解像度、高精細の表示装置を製造することができる。
位相シフトマスクブランクの膜構成を示す模式図である。 位相シフトマスクの製造工程を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。なお、図中、同一又は同等の部分には同一の符号を付してその説明を簡略化ないし省略する場合がある。
実施の形態1.
実施の形態1では、位相シフトマスクブランクについて説明する。
図1は位相シフトマスクブランク10の膜構成を示す模式図である。
図1に示す位相シフトマスクブランク10は、透明基板20と、透明基板20上に形成された位相シフト膜30と、位相シフト膜30上に形成されたエッチングマスク膜40とを備える。
透明基板20は、露光光に対して透明である。透明基板20は、表面反射ロスが無いとしたときに、露光光に対して85%以上の透過率、好ましくは90%以上の透過率を有するものである。透明基板20は、ケイ素と酸素を含有する材料からなり、合成石英ガラス、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、低熱膨張ガラス(SiO−TiOガラス等)などのガラス材料で構成することができる。透明基板20が低熱膨張ガラスから構成される場合、透明基板20の熱変形に起因する位相シフト膜パターンの位置変化を抑制することができる。
位相シフト膜30は、1種以上の金属と、ケイ素と、酸素、窒素から選ばれる少なくとも1つを含有する金属シリサイド系材料で構成される。
金属シリサイド系材料としては、例えば、金属シリサイドの窒化物、金属シリサイドの酸化物、金属シリサイドの酸化窒化物、金属シリサイドの炭化窒化物、金属シリサイドの酸化炭化物、および、金属シリサイドの酸化炭化窒化物が挙げられる。また、金属シリサイド系材料は、モリブデンシリサイド系材料(MoSi系材料)、ジルコニウムシリサイド系材料(ZrSi系材料)、モリブデンジルコニウムシリサイド系材料(MoZrSi系材料)であると、ウェットエッチングによる優れたパターン断面形状が得られやすいという点で好ましい。
位相シフト膜30は、透明基板20側から入射する光に対する反射率(以下、裏面反射率と記載する場合がある)を調整する機能を有する下層31と、下層31の上側に配置され、露光光に対する透過率と位相差とを調整する機能を有する上層32とを有する。
位相シフト膜30の裏面反射率は、主に、下層31に影響され、位相シフト膜30の位相差及び透過率は、主に、上層32に影響される。すなわち、下層31は、透明基板側より入射される光に対する反射率を低減させる機能を有する裏面反射率低減層であり、上層32は、主に露光光に対する透過率と位相差とを調整する機能を有する位相シフト層である。
下層31及び上層32は、スパッタリング法により形成することができる。
露光光に対する位相シフト膜30の透過率は、位相シフト膜30として必要な値を満たす。位相シフト膜30の透過率は、露光光に含まれる所定の波長の光(以下、代表波長という)に対して、好ましくは、1%〜30%であり、より好ましくは、2%〜20%であり、さらに好ましくは3%〜10%である。すなわち、露光光が313nm以上436nm以下の波長範囲の光を含む複合光である場合、位相シフト膜30は、その波長範囲に含まれる代表波長の光に対して、上述した透過率を有する。例えば、露光光がi線、h線およびg線を含む複合光である場合、位相シフト膜30は、i線、h線およびg線のいずれかに対して、上述した透過率を有する。
透過率は、位相シフト量測定装置などを用いて測定することができる。
露光光に対する位相シフト膜30の位相差は、位相シフト膜30として必要な値を満たす。位相シフト膜30の位相差は、露光光に含まれる代表波長の光に対して、好ましくは、160°〜200°であり、より好ましくは、170°〜190°である。この性質により、露光光に含まれる代表波長の光の位相を160°〜200°変えることができる。このため、位相シフト膜30を透過した代表波長の光と透明基板20のみを透過した代表波長の光との間に160〜200°の位相差が生じる。すなわち、露光光が313nm以上436nm以下の波長範囲の光を含む複合光である場合、位相シフト膜30は、その波長範囲に含まれる代表波長の光に対して、上述した位相差を有する。例えば、露光光がi線、h線およびg線を含む複合光である場合、位相シフト膜30は、i線、h線およびg線のいずれかに対して、上述した位相差を有する。
位相差は、位相シフト量測定装置などを用いて測定することができる。
位相シフト膜30の裏面反射率は、365nm〜436nmの波長域において15%以下であり、10%以下であると好ましい。また、位相シフト膜30の裏面反射率は、露光光にj線が含まれる場合、313nmから436nmの波長域の光に対して20%以下であると好ましく、17%以下であるとより好ましい。さらに好ましくは15%以下であることが望ましい。また、位相シフト膜30の裏面反射率は、365nm〜436nmの波長域において0.2%以上であり、313nmから436nmの波長域の光に対して0.5%以上であると好ましい。
裏面反射率は、分光光度計などを用いて測定することができる。
位相シフト膜30が上記の裏面反射率となり、かつ、上記の位相差及び透過率となるように、位相シフト膜30は上層32および下層31の積層構造とし、上層32に含まれる酸素の含有率よりも下層31に含まれる酸素の含有率が多くなるように構成されている。上記下層31は酸素が含まれていることが必須であるが、上記上層32は酸素が含まれていない態様も含まれる。また、上層32に含まれる酸素の含有率よりも下層31に含まれる酸素の含有率が多くなるようにすることにより、上層32のエッチング速度よりも下層31のエッチング速度が速くなるので、パターン断面形状を良好にできる。上層32と下層31に窒素が含まれる場合、下層31に含まれる窒素の含有量よりも上層32に含まれる窒素の含有率を多くすることにより、さらにパターン断面制御性が向上し、パターン断面形状が良好にできるので好ましい。
上層32を構成する材料の主成分となる金属として、遷移金属が好ましい。上層32を構成する材料の主成分となる遷移金属として、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)及びパラジウム(Pd)などが挙げられる。これらのうち、上層32を構成する材料に含まれる主成分となる遷移金属は、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、及びタンタル(Ta)であることが好ましい。上層32を構成する材料に含まれる主成分となる遷移金属がチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)及びタンタル(Ta)であると、位相差及び透過率を位相シフト膜30として必要な値に調整しやすい。また、上層32を構成する材料に含まれる主成分となる遷移金属がチタン(Ti)及びジルコニウム(Zr)であると、位相シフト膜30をパターニングする際に使用するエッチング液における上層32のエッチング速度が速くなり、位相シフト膜30のエッチング時間を短縮することができる。上層32を構成する材料は主成分となる金属を2種類以上含有していてもよい。
下層31を構成する材料の主成分となる金属として、遷移金属が好ましい。下層31を構成する材料の主成分となる遷移金属として、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)及びパラジウム(Pd)などが挙げられる。これらのうち、上層32を構成する材料に含まれる主成分となる遷移金属がチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)及びタンタル(Ta)である場合、下層31を構成する材料に含まれる主成分となる遷移金属も、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)及びタンタル(Ta)であることが好ましい。下層31を構成する材料に含まれる主成分となる遷移金属がチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)及びタンタル(Ta)であると、位相シフト膜30をパターニングする際に、上層32及び下層31を同じエッチング液(エッチャント)を使用してエッチングしやすくなる。下層31を構成する材料は主成分となる金属を2種類以上含有していてもよい。
下層31における金属とシリコンの合計に対する金属の比率は、上層32における金属とシリコンの合計に対する金属の比率よりも大きくなるように構成すると、上層32よりも下層31のエッチングレートを速めることができ、パターン断面の垂直化に寄与できる点で好ましい。
上層32及び下層31は、位相シフト膜30をパターニングする際に同じエッチング液を使用してエッチング可能な材料から構成されることが好ましい。また、上層32及び下層31を同じエッチング液を使用してエッチングする際、上層32のエッチング速度に対する下層31のエッチング速度の比は、1.1以上5以下ある。エッチング速度の比が1.1以上5以下であると、ウェットエッチング後の位相シフト膜パターンの断面形状は良好であり、CDバラツキは小さい。上層32のエッチング速度に対する下層31のエッチング速度の比は、好ましくは1.5以上3以下である。
上層32及び下層31をエッチングするエッチング液における位相シフト膜30のエッチング速度は、0.05nm/秒以上であると好ましく、0.075nm以上であるとより好ましい。また、上層32及び下層31をエッチングするエッチング液における位相シフト膜30のエッチング速度は、1.0nm/秒以下であると好ましく、0.8nm以下であるとより好ましい。
位相シフト膜30をパターニングする際に上層32及び下層31をエッチングするエッチング液として、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素とを含むエッチング液、フッ化アンモニウムとリン酸と過酸化水素とを含むエッチング液などが挙げられる。
上層32を構成する材料として、例えば、MoSiN、MoSiON、MoSiCO、MoSiCON、ZrSiN、ZrSiON、ZrSiCON、TiSiN、TiSiON、TiSiCON、MoZrSiN、MoZrSiON、MoZrSiCONなどが挙げられる。
下層31を構成する材料として、例えば、MoSiO、MoSiON、MoSiCO、MoSiCON、ZrSiO、ZrSiON、ZrSiCO、ZrSiCON、TiSiO、TiSiON、TiSiCO、TiSiCON、MoZrSiO、MoZrSiON、MoZrSiCO、MoZrSiCONなどが挙げられる。
上層32及び下層31の好適な組合せとして、例えば、上層32がMoSiNで下層31がMoSiONの組合せ(実施例1、2)、上層32がMoSiNで下層31がZrSiONの組合せ(実施例3)が挙げられる。
下層31及び上層32は、それぞれ組成の均一な単一の膜からなる場合であってもよいし、組成の異なる複数の膜からなる場合であってもよいし、厚さ方向に組成が連続的に変化する単一の膜からなる場合であってもよい。
エッチングマスク膜40は、位相シフト膜30の上側に配置され、位相シフト膜30をエッチングするエッチング液に対してエッチング耐性を有する材料からなる。また、エッチングマスク膜40は、露光光の透過を遮る機能を有してもよいし、さらに、位相シフト膜30側より入射される光に対する位相シフト膜30の膜面反射率が350nm〜436nmの波長域において15%以下となるように膜面反射率を低減する機能を有してもよいエッチングマスク膜40は、例えばクロム系材料から構成される。クロム系材料として、より具体的には、クロム(Cr)、又は、クロム(Cr)と、酸素(O)及び窒素(N)のうちの少なくとも一種とを含む材料が挙げられる。又は、クロム(Cr)と、酸素(O)及び窒素(N)のうちの少なくとも一種とを含み、さらに、炭素(C)及びフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含む材料が挙げられる。例えば、エッチングマスク膜40を構成する材料として、Cr、CrO、CrN、CrCO、CrCN、CrCON、CrCONFが挙げられる。
エッチングマスク膜40は、スパッタリング法により形成することができる。
エッチングマスク膜40が露光光の透過を遮る機能を有する場合、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40とが積層する部分において、露光光に対する光学濃度は、好ましくは3以上であり、より好ましくは、3.5以上、さらに好ましくは4以上である。
光学濃度は、分光光度計もしくはODメーターなどを用いて測定することができる。
エッチングマスク膜40は、組成が均一な単一の膜からなる場合であってもいし、組成が異なる複数の膜からなる場合であってもよいし、厚さ方向に組成が連続的に変化する単一の膜からなる場合であってもよい。
なお、図1に示す位相シフトマスクブランク10は、位相シフト膜30上にエッチングマスク膜40を備えているが、位相シフト膜30上にエッチングマスク膜40を備え、エッチングマスク膜40上にレジスト膜を備える位相シフトマスクブランクについても、本発明を適用することができる。
また、位相シフトマスクブランク10には、上層31上に、位相シフト膜30側より入射される光に対する反射率を低減させる機能を有する膜面反射率低減層が形成されていてもよい。この膜面反射率低減層は、位相シフト膜30側より入射される光に対する位相シフト膜30の膜面反射率が、365nm〜436nmの波長域において15%以下となるように膜厚調整されている層であると好ましい。
膜面反射率低減層は、スパッタリング法により形成することができる。
次に、この実施の形態の位相シフトマスクブランク10の製造方法について説明する。図1に示す位相シフトマスクブランク10は、以下の位相シフト膜形成工程とエッチングマスク膜形成工程とを行うことによって製造される。
以下、各工程を詳細に説明する。
1.位相シフト膜形成工程
先ず、透明基板20を準備する。透明基板20は、露光光に対して透明であれば、合成石英ガラス、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、低熱膨張ガラス(SiO−TiOガラス等)などのいずれのガラス材料で構成されるものであってもよい。
次に、透明基板20上に、スパッタリング法により、位相シフト膜30を形成する。位相シフト膜30は、透明基板20の主表面上に下層31を成膜し、下層31上に上層32を成膜することにより形成される。
下層31の成膜は、下層31を構成する材料の主成分となる金属を含むスパッタターゲット又はその金属とケイ素を含むスパッタターゲット、又は金属とケイ素と酸素及び/又は窒素を含むスパッタターゲットを使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスからなるスパッタガス雰囲気、又は、上記不活性ガスと、酸素ガス、二酸化炭素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。
同様に、上層32の成膜は、上層32を構成する材料の主成分となる金属とケイ素を含むスパッタターゲットを使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスと、酸素ガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。
下層31及び上層32を成膜する際、下層31及び上層32の各々の組成及び厚さは、位相シフト膜30が上記の裏面反射率となり、かつ、上記の位相差及び透過率となるように調整される。下層31及び上層32の各々の組成は、スパッタガスの組成及び流量などにより制御することができる。下層31及び上層32の各々の厚さは、スパッタパワー、スパッタリング時間などにより制御することができる。また、スパッタリング装置がインライン型スパッタリング装置の場合、基板の搬送速度によっても、下層31及び上層32の各々の厚さを制御することができる。
下層31が、それぞれ組成の均一な単一の膜からなる場合、上述した成膜プロセスを、スパッタガスの組成及び流量を変えずに1回だけ行う。下層31が、組成の異なる複数の膜からなる場合、上述した成膜プロセスを、成膜プロセス毎にスパッタガスの組成及び流量を変えて複数回行う。下層31が、厚さ方向に組成が連続的に変化する単一の膜からなる場合、上述した成膜プロセスを、スパッタガスの組成及び流量を変化させながら1回だけ行う。上層32の成膜についても同様である。成膜プロセスを複数回行う場合、スパッタターゲットに印加するスパッタパワーを小さくすることができる。
2.エッチングマスク膜形成工程
位相シフト膜30を形成した後、スパッタリング法により、位相シフト膜30上にエッチングマスク膜40を形成する。
このようにして、位相シフトマスクブランク10が得られる。
エッチングマスク膜40の成膜は、クロム又はクロム化合物(酸化クロム、窒化クロム、炭化クロム、酸化窒化クロム、酸化窒化炭化クロム等)を含むスパッタターゲットを使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスからなるスパッタガス雰囲気、又は、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスと、酸素ガス、窒素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、二酸化炭素ガス、炭化水素系ガス、フッ素系ガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。炭化水素系ガスとしては、例えば、メタンガス、ブタンガス、プロパンガス、スチレンガス等が挙げられる。
エッチングマスク膜40が、組成の均一な単一の膜からなる場合、上述した成膜プロセスを、スパッタガスの組成及び流量を変えずに1回だけ行う。エッチングマスク膜40が、組成の異なる複数の膜からなる場合、上述した成膜プロセスを、成膜プロセス毎にスパッタガスの組成及び流量を変えて複数回行う。エッチングマスク膜40が、厚さ方向に組成が連続的に変化する単一の膜からなる場合、上述した成膜プロセスを、スパッタガスの組成及び流量を変化させながら1回だけ行う。
下層31、上層32及びエッチングマスク膜40は、インライン型スパッタリング装置を用いて、透明基板20を装置外に取り出すことによって大気に曝すことなく、連続して成膜することが好ましい。装置外に取り出さずに、連続して成膜することにより、意図しない各層の表面酸化や表面炭化を防止することができる。各層の意図しない表面酸化や表面炭化は、エッチングマスク膜40上に形成されたレジスト膜を描画する際に使用するレーザー光や表示装置基板上に形成されたレジスト膜に位相シフト膜パターンを転写する際に使用する露光光に対する反射率を変化させたり、また、酸化部分や炭化部分のエッチングレートを変化させる恐れがある。
なお、図1に示す位相シフトマスクブランク10は、位相シフト膜30上にエッチングマスク膜40を備えているため、位相シフトマスクブランク10を製造する際に、エッチングマスク膜形成工程を行う。また、位相シフト膜30上にエッチングマスク膜40を備え、エッチングマスク膜40上にレジスト膜を備える位相シフトマスクブランクを製造する際は、エッチングマスク膜形成工程後に、エッチングマスク膜40上にレジスト膜を形成する。また、位相シフト膜形成工程において、位相シフト膜30の上層32上に膜面反射率低減層を形成するようにしてもよい。
この実施の形態1の位相シフトマスクブランク10は、透明基板20側より入射される光に対する位相シフト膜30の裏面反射率が365nm〜436nmの波長域において15%以下であるため、露光機の光学系との反射の影響を抑えることができ、CDエラーを抑制でき、高解像度、高精度のパターン転写が可能となる。また、位相シフトマスクブランク10の下層31における金属とシリコンの合計に対する金属の比率を、上層32における金属とシリコンの合計に対する金属の比率よりも大きくすることで、効果的に上層32よりも下層31のエッチングレートを速めることができ、パターン断面の垂直化に寄与できる。また、位相シフトマスクブランク10は、位相シフト膜30上にエッチングマスク膜40が形成されており、エッチングマスク膜40側より入射される光に対するエッチングマスク膜40の膜面反射率が350nm〜436nmの波長域において15%以下とすることが好ましい。エッチングマスク膜40の膜面反射率が350nm〜436nmの波長域において15%以下であることにより、エッチングマスク膜40上にレジスト膜が形成されたレジスト膜付き位相シフトマスクブランク10を用いて、レーザー描画により所定のパターンを描画・現像して、位相シフトマスクを作製する際、レーザー描画光に対する膜面反射率が低減するため、優れたCD均一性を有する位相シフト膜パターンが形成された位相シフトマスクを得ることができる。また、位相シフトマスクにおいて、位相シフト膜パターン上にエッチングマスク膜パターンが残存する場合には、位相シフトマスクに貼り付けられるペリクルや表示装置基板との反射の影響を抑えられる。また、この実施の形態1の位相シフトマスクブランク10は、上層32及び下層31が位相シフト膜30をパターニングする際に同じエッチング液を使用してエッチング可能な材料から構成される。また、下層31に含まれる酸素の含有率よりも上層32に含まれる酸素の含有率が多くなっていることにより、上記位相シフト膜30の裏面反射率を上記反射率に制御することができるとともに、上層32よりも下層31のエッチング速度が速くなるので、断面形状が良好であり、CDバラツキが小さい位相シフト膜パターンを、ウェットエッチングにより形成することができる。従って、高精細な位相シフト膜パターンを精度よく転写することができる位相シフトマスクを製造することができる位相シフトマスクブランクが得られる。
実施の形態2.
実施の形態2では、位相シフトマスクの製造方法について説明する。
図2は位相シフトマスクの製造方法を示す模式図である。
図2に示す位相シフトマスクの製造方法は、図1に示す位相シフトマスクブランク10を用いた位相シフトマスクブランクの製造方法であり、以下の第1のレジスト膜パターン形成工程と、第1のエッチングマスク膜パターン形成工程と、位相シフト膜パターン形成工程と、第2のレジスト膜パターン形成工程と、第2のエッチングマスク膜パターン形成工程とを含む。
以下、各工程を詳細に説明する。
1.第1のレジスト膜パターン形成工程
第1のレジスト膜パターン形成工程では、先ず、実施の形態1の位相シフトマスクブランク10のエッチングマスク膜40上に、レジスト膜を形成する。使用するレジスト膜材料は、特に制限されない。後述する350nm〜436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光に対して感光するものであればよい。また、レジスト膜は、ポジ型、ネガ型のいずれであっても構わない。
その後、350nm〜436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所定のパターンを描画する。レジスト膜に描画するパターンは、位相シフト膜に形成するパターンである。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、エッチングマスク膜40上に第1のレジスト膜パターン50を形成する。
2.第1のエッチングマスク膜パターン形成工程
第1のエッチングマスク膜パターン形成工程では、先ず、第1のレジスト膜パターン50をマスクにしてエッチングマスク膜40をエッチングして、第1のエッチングマスク膜パターン50aを形成する。エッチングマスク膜40は、クロム(Cr)を含むクロム系材料から形成される。エッチングマスク膜40をエッチングするエッチング液は、エッチングマスク膜40を選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。具体的には、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング液が挙げられる。
その後、レジスト剥離液を用いて、又は、アッシングによって、第1のレジスト膜パターン50を剥離する。場合によっては、第1のレジスト膜パターン50を剥離せずに、次の位相シフト膜パターン形成工程を行ってもよい。
3.位相シフト膜パターン形成工程
第1の位相シフト膜パターン形成工程では、第1のエッチングマスク膜パターン40aをマスクにして位相シフト膜30をエッチングして、上層パターン32aと下層パターン31aとから構成される位相シフト膜パターン30aを形成する。位相シフト膜30に含まれる上層32及び下層31は、同じエッチング液を使用してエッチング可能な材料から構成されている。このため、上層32及び下層31は、同じエッチング液によりエッチングすることができる。位相シフト膜30をエッチングするエッチング液は、位相シフト膜30を選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。例えば、フッ化アンモニウムとリン酸と過酸化水素とを含むエッチング液、フッ化水素アンモニウムと塩酸化水素とを含むエッチング液が挙げられる。
4.第2のレジスト膜パターン形成工程
第2のレジスト膜パターン形成工程では、先ず、第1のエッチングマスク膜パターン40aを覆うレジスト膜を形成する。使用するレジスト膜材料は、特に制限されない。後述する350nm〜436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光に対して感光するものであればよい。また、レジスト膜は、ポジ型、ネガ型のいずれであっても構わない。
その後、350nm〜436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所定のパターンを描画する。レジスト膜に描画するパターンは、位相シフト膜にパターンが形成されている領域の外周領域を遮光する遮光帯パターン、及び位相シフト膜パターンの中央部を遮光する遮光帯パターンである。なお、レジスト膜に描画するパターンは、露光光に対する位相シフト膜の透過率によっては、位相シフト膜パターンの中央部を遮光する遮光帯パターンがないパターンの場合もある。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、第1のエッチングマスク膜パターン40a上に第2のレジスト膜パターン60を形成する。
5.第2のエッチングマスク膜パターン形成工程
第2のエッチングマスク膜パターン形成工程では、第2のレジスト膜パターン60をマスクにして第1のエッチングマスク膜パターン40aをエッチングして、第2のエッチングマスク膜パターン40bを形成する。第1のエッチングマスク膜パターン40aは、クロム(Cr)を含むクロム系材料から形成される。第1のエッチングマスク膜パターン40aをエッチングするエッチングエッチング液は、第1のエッチングマスク膜パターン40aを選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。例えば、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング液が挙げられる。
その後、レジスト剥離液を用いて、又は、アッシングによって、第2のレジスト膜パターン60を剥離する。
このようにして、位相シフトマスク100が得られる。
なお、上記説明ではエッチングマスク膜40が、露光光の透過を遮る機能を有する場合について説明したが、エッチングマスク膜40が単に、位相シフト膜30をエッチングする際のハードマスクの機能のみを有する場合においては、上記説明において、第2のレジスト膜パターン形成工程と、第2のエッチングマスク膜パターン形成工程は行われず、位相シフト膜パターン形成工程の後、第1のエッチングマスク膜パターンを剥離して、位相シフトマスク100を作製する。
この実施の形態2の位相シフトマスクの製造方法によれば、実施の形態1の位相シフトマスクブランクを用いるため、断面形状が良好であり、CDバラツキが小さい位相シフト膜パターンを形成することができる。従って、高精細な位相シフト膜パターンを精度よく転写することができる位相シフトマスクを製造することができる。
実施の形態3.
実施の形態3では、表示装置の製造方法について説明する。表示装置は、以下のマスク載置工程とパターン転写工程とを行うことによって製造される。
以下、各工程を詳細に説明する。
1.載置工程
載置工程では、実施の形態2で製造された位相シフトマスクを露光装置のマスクステージに載置する。ここで、位相シフトマスクは、露光装置の投影光学系を介して表示装置基板上に形成されたレジスト膜に対向するように配置される。
2.パターン転写工程
パターン転写工程では、位相シフトマスクに露光光を照射して、表示装置基板上に形成されたレジスト膜に位相シフト膜パターンを転写する。露光光は、365nm〜436nmの波長域から選択される複数の波長の光を含む複合光や、365nm〜436nmの波長域からある波長域をフィルターなどでカットし選択された単色光である。例えば、露光光は、i線、h線およびg線を含む複合光や、i線の単色光である。露光光として複合光を用いると、露光光強度を高くしてスループットを上げることができるため、表示装置の製造コストを下げることができる。
さらに、位相シフト膜の裏面反射率が365〜436nmの波長域において15%以下となる位相シフトマスクであるため、露光装置側への反射の影響を抑えることができ、表示装置基板上に形成されたレジスト膜に対してCDエラーを抑制でき、高解像度、高精度のパターン転写を行うことができる。
この実施の形態3の表示装置の製造方法によれば、CDエラーを抑制でき、高解像度、高精細の表示装置を製造することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。なお、以下の実施例は、本発明の一例であって、本発明を限定するものではない。
実施例1〜3の位相シフトマスクブランクは、透明基板と、透明基板上に形成されて上層及び下層で構成される位相シフト膜と、位相シフト膜上に形成されたエッチングマスク膜と、エッチングマスク膜上に形成されたレジスト膜を備える。比較例1の位相シフトマスクブランクは、透明基板と、透明基板上に形成されて単層で構成される位相シフト膜と、位相シフト膜上に形成されたエッチングマスク膜と、エッチングマスク膜上に形成されたレジスト膜とを備える。透明基板として、大きさが1220mm×1400mmであり、厚さが13mmである合成石英ガラス基板を用いた。
以下、実施例1〜3及び比較例1について詳細に説明する。
実施例1.
実施例1の位相シフトマスクブランクは、透明基板上に、位相シフト膜、エッチングマスク膜(反射防止膜付き遮光膜)が形成され、位相シフト膜は、透明基板側から順に配置された、下層(MoSiON、膜厚50nm)と上層(MoSiN、膜厚80nm)とから構成される。また、エッチングマスク膜は、位相シフト膜側から順に配置された、酸化窒化クロム層(CrON、膜厚25nm)と窒化クロム層(CrN、膜厚138nm)と、酸化窒化クロム層(CrON、膜厚35nm)とから構成される。
透明基板上に位相シフト膜を形成した状態で、位相シフト膜の透過率と位相差を測定した。位相シフト膜は、上記の2層構造により、365nmの光に対する透過率が4.9%、位相差が179.6°であった。
なお、透過率及び位相差は、レーザーテック社製のMPM−100(商品名)を用いて測定した。実施例2、3及び比較例1においても同様に測定した。
透明基板上に、位相シフト膜、エッチングマスク膜が形成された位相シフトマスクブランクについて、裏面反射率、表面反射率を測定した。位相シフト膜は、裏面反射率が、波長313nmにおいて10.1%であり、波長365nmにおいて11.5%であり、波長405nmにおいて12.0%であり、波長436nmにおいて12.4%であった。このため、露光機の光学系との反射の影響を抑制することができる。
エッチングマスク膜は、膜面反射率が、波長365nmにおいて7.7%、波長405nmにおいて1.8%、波長413nmにおいて1.1%、波長436nmにおいて0.3nmであった。このため、マスク作製時のレーザー描画光に対する膜面反射率が低減するため、優れたCD均一性を得ることができる。
なお、裏面反射率、及び膜面反射率は、島津製作所社製のSolidSpec−3700(商品名)を用いて測定した。実施例2、3及び比較例1においても同様に測定した。
位相シフト膜のエッチング速度については、透明基板上に位相シフト膜の下層のみを形成した試料、透明基板上に位相シフト膜の上層のみを形成した試料、透明基板上に下層と上層の位相シフト膜を形成した試料を準備し、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素とを含むエッチング液を使用し、各試料に形成されている下層、上層、下層及び上層をそれぞれエッチングして剥離するまでの時間を測定して、エッチング速度を評価した。
その結果、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素とを含むエッチング液を使用した場合、上層のエッチング速度に対する下層のエッチング速度の比は、1.5であった。このため、ウェットエッチング後の位相シフト膜パターンの断面形状は良好であり、CDバラツキは小さい。
また、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素とを含むエッチング液における位相シフト膜のエッチング速度は、0.077nm/秒であった。
実施例1の位相シフトマスクブランクは、以下の方法により製造した。
先ず、透明基板である合成石英ガラス基板を準備した。透明基板の両主表面は鏡面研磨されている。実施例2、3及び比較例1において準備した透明基板の両主表面も同様に鏡面研磨されている。
その後、透明基板をインライン型スパッタリング装置に搬入した。インライン型スパッタリング装置には、スパッタ室が設けられている。スパッタ室には、MoSiターゲット、Crターゲットが配置されている。
その後、スパッタ室に配置されたMoSiターゲット(Mo:Si=80:20)に5.0kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとNOガスとの混合ガスを、Arガスが100sccm、NOガスが100sccmの流量となるように、スパッタ室内に導入しながら、400mm/分の速度で透明基板を搬送させた。透明基板がMoSiターゲット付近を通過する際に、透明基板の主表面上にMoSiONからなる膜厚50nmの下層を成膜した。
その後、スパッタ室に配置されたMoSiターゲット(Mo:Si=20:80)に4.0kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとNガスとの混合ガスを、Arガスが100sccm、Nガスが120sccmの流量となるように、スパッタ室内に導入しながら、400mm/分の速度で透明基板を搬送させた。透明基板がMoSiターゲット付近を通過する際に、下層上にMoSiNからなる膜厚80nmの上層を成膜した。
次に、スパッタ室に配置されたCrターゲットに4.0kWのスパッタパワーを印加し、Arガスが60〜150sccm、酸素ガスが5〜45sccmと窒素ガスが30〜60sccmの範囲からそれぞれ選択して、スパッタ室内に導入しながら、350mm/分の速度で透明基板を搬送させた。透明基板がCrターゲットを通過する際に、位相シフト膜上に膜厚25nmのCrON層を成膜した。
次に、スパッタ室に配置されたCrターゲットに5.0kWのスパッタパワーを印加し、Arガスが60〜200sccm、窒素ガスが1〜60sccmの範囲からそれぞれ選択して、スパッタ室内に導入しながら、200mm/分の速度で透明基板を搬送させた。透明基板がCrターゲットを通過する際に、CrON膜上に膜厚138nmのCrN層を成膜した。
最後に、スパッタ室内に配置されたCrターゲットに4.0kWのスパッタパワーを印加し、Arガスが60〜150sccm、酸素ガスが8〜45sccmと窒素ガスが30〜60sccmの範囲からそれぞれ選択して、スパッタ室内に導入しながら、350mm/分の速度で透明基板を搬送させた。透明基板がCrターゲットを通過する際に、位相シフト膜上に膜厚35nmのCrON層を成膜した。
なお、下層の成膜、上層の成膜は、透明基板をインライン型スパッタリング装置外に取り出すことによって大気に曝すことなく、インライン型スパッタリング装置内で連続して行った。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて、以下の方法により位相シフトマスクを製造した。
先ず、上述した位相シフトマスクブランクのエッチングマスク膜ノボラック系のポジ型のフォトレジストからなるレジスト膜を形成した。
その後、レーザー描画機により、波長413nmのレーザー光を用いて、レジスト膜に所定のパターンを描画した。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、エッチングマスク膜上にレジスト膜パターンを形成した。
その後、レジスト膜パターンをマスクにして、エッチングマスク膜をエッチングして、エッチングマスク膜パターンを形成し、レジスト膜パターンを剥離した。さらに、エッチングマスク膜パターンをマスクにして、位相シフト膜をエッチングして、位相シフト膜パターンを形成した。
その後、再度、レジスト膜を形成した後、上記位相シフト膜パターン上にエッチングマスク膜パターンが残存するように、レジスト膜パターンを形成し、さらにレジスト膜パターンをマスクにして、エッチングマスク膜を所定のパターンを描画し、現像して位相シフト膜パターン上にエッチングマスク膜パターンが形成された位相シフトマスクを得た。なお、位相シフト膜をエッチングするエッチング液として、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素とを含むエッチング液、エッチングマスク膜をエッチングするエッチング液として、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング液を用いた。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクの位相シフト膜パターンの断面は、位相シフト膜パターンの膜厚方向の上層と下層の境界において若干の食われが発生しているが、マスク特性に影響ない程度のものであった。
なお、位相シフトマスクの位相シフト膜パターン断面は、電子顕微鏡(日本電子株式会社製のJSM7401F(商品名))を用いて観察した。実施例2、3及び比較例1においても同様に測定した。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクの位相シフト膜パターンのCDばらつきは、90nmであり、良好であった。CDばらつきは、目標とするラインアンドスペースパターン(ラインパターンの幅:2.0μm、スペースパターンの幅:2.0μm)からのずれ幅である。
なお、位相シフトマスクの位相シフト膜パターンのCDばらつきは、セイコーインスツルメンツナノテクノロジー社製SIR8000を用いて測定した。実施例2〜3及び比較例1においても同様に測定した。
上述した位相シフトマスクは、位相シフト膜パターンが優れたパターン断面形状及び優れたCD均一性を有する。このため、上述した位相シフトマスクを用いて、高精細な位相シフト膜パターンを精度よく転写することができる。
実施例2.
実施例2の位相シフトマスクブランクは、透明基板上に、位相シフト膜、エッチングマスク膜(反射防止膜付き遮光膜)が形成され、位相シフト膜は、透明基板側から順に配置された、下層(MoSiON、膜厚48nm)と上層(MoSiN、膜厚75nm)とから構成される。また、エッチングマスク膜は、実施例1と同様とした。尚、実施例2では、後述するが、下層を成膜する際に使用するMoSiターゲットのモリブデンとシリコン(Si)の合計に対するモリブデンの比率を、上層を成膜する際に使用するMoSiターゲットのモリブデンとシリコン(Si)の合計に対するモリブデンの比率を多くすることにより、下層のモリブデンとシリコンの合計に対するモリブデンの比率は、上層のモリブデンとシリコンの合計に対するモリブデンの比率よりも大きくなっている。これにより、下層のエッチングレートを速くしている。
透明基板上に位相シフト膜を形成した状態で、位相シフト膜の透過率と位相差を測定した。位相シフト膜は、上記の2層構造により、365nmの光に対する透過率が4.5%、位相差が176.0°であった。
位相シフト膜は、裏面反射率が、波長313nmにおいて9.5%であり、波長365nmにおいて10.0%であり、波長405nmにおいて12.3%であり、波長436nmにおいて13.5%であった。このため、露光機の光学系との反射の影響を抑制することができる。
エッチングマスク膜は、実施例1と同じ膜面反射率となり、マスク作製時のレーザー描画光に対する膜面反射率が低減するため、優れたCD均一性を得ることができる。
フッ化水素アンモニウムと過酸化水素とを含むエッチング液を使用した場合、上層のエッチング速度に対する下層のエッチング速度の比は、1.6であった。このため、ウェットエッチング後の位相シフト膜パターンの断面形状は良好であり、CDバラツキは小さい。
また、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素とを含むエッチング液における位相シフト膜のエッチング速度は、0.078nm/秒であった。
実施例2の位相シフトマスクブランクは、位相シフト膜の成膜工程を除いて、実施例1と同様の方法により製造した。実施例2の位相シフト膜の成膜工程は以下の通りである。
先ず、透明基板をインライン型スパッタリング装置に搬入した。インライン型スパッタリング装置には、スパッタ室が設けられている。スパッタ室には、MoSiターゲット(MoとSiの含有比率が1:2であるターゲット)とMoSiターゲット(MoとSiの含有比率が1:4であるターゲット)が配置されている。
その後、スパッタ室に配置されたMoSiターゲット(Mo:Si=1:2)に6.0kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとNOガスとの混合ガスを、Arガスが95sccm、NOガスが120sccmの流量となるように、スパッタ室内に導入しながら、300mm/分の速度で透明基板を搬送させた。透明基板がMoSiターゲット付近を通過する際に、透明基板の主表面上にMoSiONからなる膜厚48nmの下層を成膜した。
その後、スパッタ室に配置されたMoSiターゲット(Mo:Si=1:4)に5.2kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとNガスとの混合ガスを、Arガスが110sccm、Nガスが130sccmの流量となるように、スパッタ室内に導入しながら、300mm/分の速度で透明基板を搬送させた。透明基板がMoSiターゲット付近を通過する際に、下層上にMoSiNからなる膜厚75nmの上層を成膜した。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて、実施例1と同様の方法により位相シフトマスクを製造した。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクの位相シフト膜パターン断面は、位相シフト膜パターンの膜厚方向の上層と下層の境界において若干の食われが発生しているが、マスク特性に影響ない程度のものであった。また、パターン断面は、実施例1のものに比してより垂直となっていた。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクの位相シフト膜パターンのCDばらつきは、85nmであり、良好であった。
上述した位相シフトマスクは、位相シフト膜パターンが優れたパターン断面形状及び優れたCD均一性を有するため、実施例1の位相シフトマスクと同様の効果を奏する。
実施例3.
実施例3の位相シフトマスクブランクは、透明基板上に、位相シフト膜、エッチングマスク膜(反射防止膜付き遮光膜)が形成され、位相シフト膜は、透明基板側から順に配置された、下層(ZrSiON、膜厚40nm)と上層(MoSiN、膜厚75nm)とから構成される。実施例3では、下層の金属をZrとすることで、下層のエッチングレートを速くしている。
透明基板上に位相シフト膜を形成した状態で、位相シフト膜の透過率と位相差を測定した。位相シフト膜は、上記の2層構造により、365nmの光に対する透過率が7.2%、位相差が181.1°であった。
位相シフト膜は、裏面反射率が、波長313nmにおいて11.0%であり、波長365nmにおいて9.5%であり、波長405nmにおいて9.0%であり、波長436nmにおいて11.0%であった。このため、露光機の光学系との反射の影響を抑制することができる。
エッチングマスク膜は、実施例1と同じ膜面反射率となり、マスク作製時のレーザー描画光に対する膜面反射率が低減するため、優れたCD均一性を得ることができる。
フッ化水素アンモニウムと過酸化水素とを含むエッチング液を使用した場合、上層のエッチング速度に対する下層のエッチング速度の比は、2.0であった。このため、ウェットエッチング後の位相シフト膜パターンの断面形状は良好であり、CDバラツキは小さい。
また、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素とを含むエッチング液における位相シフト膜のエッチング速度は、0.0807nm/秒であった。
実施例3の位相シフトマスクブランクは、位相シフト膜の成膜工程を除いて、実施例1と同様の方法により製造した。実施例3の位相シフト膜の成膜工程は以下の通りである。
先ず、透明基板をインライン型スパッタリング装置に搬入した。インライン型スパッタリング装置には、スパッタ室が設けられている。スパッタ室には、ZrSiターゲットとMoSiターゲットが配置されている。
その後、スパッタ室に配置されたZrSiターゲット(Zr:Si=1:2)に7.0kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとNOガスとの混合ガスを、Arガスが100sccm、NOガスが115sccmの流量となるように、スパッタ室内に導入しながら、330mm/分の速度で透明基板を搬送させた。透明基板がZrSiターゲット付近を通過する際に、透明基板の主表面上にZrSiONからなる膜厚40nmの下層を成膜した。
その後、スパッタ室に配置されたMoSiターゲット(Mo:Si=20:80)に6.0kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとNガスとの混合ガスを、Arガスが85sccm、Nガスが120sccmの流量となるように、スパッタ室内に導入しながら、250mm/分の速度で透明基板を搬送させた。透明基板がMoSiターゲット付近を通過する際に、下層上にMoSiNからなる膜厚75nmの上層を成膜した。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて、実施例1と同様の方法により位相シフトマスクを製造した。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクの位相シフト膜パターン断面は、位相シフト膜パターンの膜厚方向の上層と下層の境界において若干の食われが発生しているが、マスク特性に影響ない程度のものであった。また、パターン断面は、実施例1のものに比してより垂直となっていた。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクの位相シフト膜パターンのCDばらつきは、82nmであり、良好であった。
上述した位相シフトマスクは、位相シフト膜パターンが優れたパターン断面形状及び優れたCD均一性を有するため、実施例1の位相シフトマスクと同様の効果を奏する。
比較例1.
比較例1の位相シフトマスクブランクは、透明基板上に位相シフト膜のみが形成さrた位相シフトマスクブランクである。位相シフト膜は、透明基板上に配置されたCrOCNの単層膜(膜厚122nm)とから構成される。
位相シフト膜は、365nmの光に対する透過率が4.5%、位相差が181°であった。
位相シフト膜は、裏面反射率が、波長313nmにおいて7.5%であり、波長365nmにおいて17.9%であり、波長405nmにおいて19.9%であり、波長436nmにおいて20.3%であった。また、位相シフト膜の膜面反射率は、波長365nmにおいて24.0%、波長405nmにおいて25.1%、波長413nmにおいて25.3%、波長436nmにおいて26.0%であった。
硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング液における位相シフト膜のエッチング速度は、1.017nm/秒であった。
比較例1の位相シフト膜の成膜工程は以下の通りである。
先ず、透明基板をインライン型スパッタリング装置に搬入した。インライン型スパッタリング装置には、スパッタ室が設けられている。スパッタ室には、Crターゲットが配置されている。
その後、スパッタ室に配置されたCrターゲットに3.5kWのスパッタパワーを印加し、ArガスとNガスとCOガスの混合ガスを、Arガスが46sccm、Nガスが32sccm、COガスが18.5sccmの流量となるように、スパッタ室内に導入しながら、200mm/分の速度で透明基板を搬送させた。透明基板がCrターゲット付近を通過する際に、透明基板の主表面上にCrOCNからなる膜厚122nmの単層の位相シフト膜を成膜した。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて、以下の方法により位相シフトマスクを製造した。
先ず、上述した位相シフト膜上にノボラック系のポジ型のフォトレジストからなるレジスト膜を形成した。
その後、レーザー描画機により、波長413nmのレーザー光を用いて、レジスト膜に所定のパターンを描画した。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、エッチングマスク膜上にレジスト膜パターンを形成した。
その後、レジスト膜パターンをマスクにして、位相シフト膜をエッチングして、位相シフト膜パターンを形成した。
最後にレジスト膜を剥離して位相シフトマスクを得た。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクの位相シフト膜パターン断面は、テーパー状であり、高精細の位相シフト膜パターンを高精度に転写できるレベルに達していなかった。
上述した位相シフトマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクの位相シフト膜パターンのCDばらつきは、110nmであり、高精細の位相シフト膜パターンを高精度に転写できるレベルに達していなかった。
上述した位相シフトマスクは、位相シフト膜パターンの位置変化が大きく、また、位相シフト膜パターンがパターン断面形状及びCD均一性も不十分である。このため、上述した位相シフトマスクを用いて、高精細な位相シフト膜パターンを精度よく転写することは困難である。
以上のように、本発明を実施の形態及び実施例に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されない。該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白である。
10 位相シフトマスクブランク、20 透明基板、30 位相シフト膜、30a 位相シフト膜パターン、31 下層、31a 下層パターン、32 上層、32a 上層パターン、40 エッチングマスク膜、40a 第1のエッチングマスク膜パターン、40b 第2のエッチングマスク膜パターン、50 第1のレジスト膜パターン、60 第2のレジスト膜パターン、100 位相シフトマスク。

Claims (8)

  1. 透明基板上に位相シフト膜と、該位相シフト膜上にエッチングマスク膜を備える位相シフトマスクブランクであって、
    前記位相シフト膜は、1種以上の金属と、ケイ素と、酸素、窒素から選ばれる少なくとも1つを含有する金属シリサイド系材料から構成され、
    前記位相シフト膜は、主に露光光に対する透過率と位相差とを調整する機能を有する位相シフト層と、該位相シフト層の下側に配置され、前記透明基板側より入射される光に対する反射率を低減させる機能を有する裏面反射率低減層とを有し、
    前記裏面反射率低減層および前記位相シフト層の積層構造により、露光光に対する前記位相シフト膜の透過率と位相差とが所定の光学特性を有し、
    前記透明基板側より入射される光に対する前記位相シフト膜の裏面反射率が365nm〜436nmの波長域において15%以下となるように、前記位相シフト層に含まれる酸素の含有率よりも前記裏面反射率低減層に含まれる酸素の含有率が多くなっていることを特徴とする位相シフトマスクブランク。
  2. 前記裏面反射率低減層における金属とシリコンの合計に対する金属の比率は、前記位相シフト層における金属とシリコンの合計に対する金属の比率よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1記載の位相シフトマスクブランク。
  3. 前記位相シフト膜は、同一のエッチャントでエッチング可能な材料から構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の位相シフトマスクブランク。
  4. 前記金属シリサイド系材料は、モリブデンシリサイド系材料、ジルコニウムシリサイド系材料、モリブデンジルコニウムシリサイド系材料であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
  5. 前記エッチングマスク膜側より入射される光に対する前記エッチングマスク膜の膜面反射率が、350nm〜436nmの波長域において15%以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランクの前記エッチングマスク膜上に、レジスト膜パターンを形成する工程と、
    該レジスト膜パターンをマスクにして前記エッチングマスク膜をエッチングして、前記位相シフト膜上にエッチングマスク膜パターンを形成する工程と、
    前記エッチングマスク膜パターンをマスクにして前記位相シフト膜をエッチングして、前記透明基板上に位相シフト膜パターンを形成する工程と、を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
  7. 請求項6記載の位相シフトマスクの製造方法により得られた位相シフトマスクを露光装置のマスクステージに載置する工程と、
    前記位相シフトマスクに露光光を照射して、表示装置基板上に形成されたレジスト膜に前記位相シフト膜パターンを転写する工程と、
    を有することを特徴とする表示装置の製造方法。
  8. 前記露光光は、365nm〜436nmの波長域から選択される複数の波長の光を含む複合光であることを特徴とする請求項7記載の表示装置の製造方法。
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