JP7081441B2 - 含フッ素環状ジオールを原料としたエステル類およびアリルエーテル類の製造法 - Google Patents

含フッ素環状ジオールを原料としたエステル類およびアリルエーテル類の製造法 Download PDF

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Description

本発明は、新規な不飽和エーテル化合物及びその製造方法に関する。
従来、含フッ素アリルエーテル化合物として、幾つかの化合物が報告されている(特許文献1~5、非特許文献1)。また、式:CH=CFCFO-A(Aは、炭素数1~100の有機基である。)で示される含フッ素アリルエーテル化合物について、ポリマーに展開できることが報告されている(特許文献6)。
特開平3-264545号公報 特開平3-284642号公報 特開2004-115454号公報 特開2005-225816号公報 特開2005-350484号公報 国際公開第2000/53647号
近年、上述したような既知の含フッ素アリルエーテル化合物とは構造の異なる、新規な化合物が必要とされてきた。そこで、本発明は、かかる新規な化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討を行った。そして、3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-1,2-ジオールを出発原料として、新規な含フッ素不飽和エーテル化合物を合成することに成功し、本発明を完成させるに至った。
かくして本発明によれば、構造式(1)で示される、含フッ素不飽和エーテル化合物が提供される。
Figure 0007081441000001
〔ここで、R及びRは、水素原子、基:-(CF-CH=CH(ここで、mは、1~3の整数である。)又は基:-(CH-CH=CH(ここで、nは、1~3の整数である。)であり、同じであっても、異なっていてもよく、ただし、RとRは同時に水素原子ではないものとする。〕
さらに、本発明によれば、構造式(1’)で示される、含フッ素不飽和エーテル化合物が提供される。
Figure 0007081441000002
(ここで、R及びRは、前記と同じ意味を表す。)
さらに、本発明によれば、構造式(2)~(5)のいずれかで示される、含フッ素不飽和エーテル化合物が提供される。
Figure 0007081441000003
(ここで、mは、1~3の整数であり、構造式(2)における2つのmは、同じであっても、異なっていてもよく、nは、1~3の整数であり、構造式(3)における2つのnは、同じであっても、異なっていてもよい。)
さらに、本発明によれば、構造式(2’)~(5’)のいずれかで示される、含フッ素不飽和エーテル化合物が提供される。
Figure 0007081441000004
(ここで、mは、1~3の整数であり、構造式(2’)における2つのmは、同じであっても、異なっていてもよく、nは、1~3の整数であり、構造式(3’)における2つのnは、同じであっても、異なっていてもよい。)
さらに、本発明によれば、構造式(2’-1)又は(3’-1)で示される、含フッ素不飽和エーテル化合物が提供される。
Figure 0007081441000005
また、本発明によれば、上記含フッ素不飽和エーテル化合物の製造方法が提供される。
すなわち、本発明によれば、上記構造式(1)で示される含フッ素不飽和エーテル化合物の製造方法であって、3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-1,2-ジオールを、構造式(6):
Figure 0007081441000006
(ここで、Xは、塩素、臭素及びヨウ素から選択されるハロゲン原子であり、mは、1~3の整数である。)で示される化合物及び構造式(7):
Figure 0007081441000007
(ここで、Xは、塩素、臭素及びヨウ素から選択されるハロゲン原子であり、nは、1~3の整数である。)で示される化合物から選択される少なくとも1種と、有機アミン及びアルカリ金属炭酸塩から選択される少なくとも1種の存在下に反応させる工程を含む、製造方法が提供される。
ここで、3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-1,2-ジオールは、以下の構造式(8)で示される。
Figure 0007081441000008
さらに、本発明によれば、上記構造式(1’)で示される含フッ素不飽和エーテル化合物の製造方法であって、3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-cis-1,2-ジオールを、構造式(6):
Figure 0007081441000009
(ここで、Xは、塩素、臭素及びヨウ素から選択されるハロゲン原子であり、mは、1~3の整数である。)で示される化合物及び構造式(7):
Figure 0007081441000010
(ここで、Xは、塩素、臭素及びヨウ素から選択されるハロゲン原子であり、nは、1~3の整数である。)で示される化合物から選択される少なくとも1種と、有機アミン及びアルカリ金属炭酸塩から選択される少なくとも1種の存在下に反応させる工程を含む、製造方法が提供される。
ここで、3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-cis-1,2-ジオールは、以下の構造式(8’)で示される。
Figure 0007081441000011
本発明によれば、既知の化合物とは構造の異なる、新規な化合物を提供することができる。
(含フッ素不飽和エーテル化合物)
本発明に従う含フッ素不飽和エーテル化合物は、下記構造式(1)で示される。
Figure 0007081441000012
〔ここで、R及びRは、水素原子、基:-(CF-CH=CH(ここで、mは、1~3の整数である。)又は基:-(CH-CH=CH(ここで、nは、1~3の整数である。)であり、同じであっても、異なっていてもよく、ただし、RとRは同時に水素原子ではないものとする。RとRは、好ましくは同じである。〕
上記のような構造を有する、本発明による新規化合物は、含フッ素ポリマー用のモノマー、フッ素化合物の合成原料などとしての応用が期待される。
上記構造式(1)で示される化合物は、3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-1,2-ジオールを出発原料に用い、有機アミン及びアルカリ金属炭酸塩から選択される少なくとも1種の存在下で、下記構造式(6)及び(7)で示される化合物から選択される少なくとも1種と反応させることにより製造することができる。
Figure 0007081441000013
(ここで、Xは、塩素、臭素及びヨウ素から選択されるハロゲン原子であり、mは、1~3の整数である。)
Figure 0007081441000014
(ここで、Xは、塩素、臭素及びヨウ素から選択されるハロゲン原子であり、nは、1~3の整数である。)
上記反応において、構造式(6)及び(7)の化合物は、目的物である構造式(1)の化合物におけるR、Rに応じて、選択することができる。構造式(6)の化合物との反応は、有機アミンの存在下で行うことが好ましく、構造式(7)の化合物との反応は、アルカリ金属炭酸塩の存在下で行うことが好ましい。また、上記反応は、反応溶媒を使用して行うことが好ましい。
3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-1,2-ジオールは、例えば、Journal of Fluorine Chemistry,Vol.210,78-82(2018)に記載されているように、3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンテンをアセトン-水系下で、過マンガン酸カリウムにより酸化させることにより合成することができる(cis体)。また、本発明者らは、特願2017-237198号において、3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-1,2-ジオールの合成を記載している(cis体)。
上記反応において、原料として3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-cis-1,2-ジオールを用いることにより、下記構造式(1’)の含フッ素不飽和エーテル化合物を製造することができる。
Figure 0007081441000015
(ここで、R及びRは、前記と同じ意味を表す。RとRは、好ましくは同じである。)
(構造式(2)で示される含フッ素不飽和エーテル化合物)
本発明による新規化合物は、下記構造式(2)で示される含フッ素不飽和エーテル化合物を含む。
Figure 0007081441000016
(ここで、mは、1~3の整数であり、構造式(2)における2つのmは同じであっても、異なっていてもよく、好ましくは同じである。)
これらの中でも、mが1である、構造式(2)のジアリルエーテル化合物が好ましい。
これらの化合物は、3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-1,2-ジオールを、有機アミン存在下で、下記構造式(6)で示される化合物と反応させることにより製造することができる。
Figure 0007081441000017
(ここで、Xは、塩素、臭素及びヨウ素から選択されるハロゲン原子であり、mは、1~3の整数である。)
構造式(6)の化合物は、目的物である構造式(2)の化合物におけるmに応じて、選択することができる。例えば、mが1の場合、構造式(6)の化合物として、3-クロロ-3,3-ジフルオロプロペン、3-ブロモ-3,3-ジフルオロプロペン、3-ヨード-3,3-ジフルオロプロペンを挙げることができ、これらの中でも、反応性と経済性の点から、3-ブロモ-3,3-ジフルオロプロペンが好ましい。
mが2の場合、構造式(6)の化合物として、4-クロロ-3,3,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン、4-ブロモ-3,3,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン、4-ヨード-3,3,4,4-テトラフルオロ-1-ブテンを挙げることができ、これらの中でも、反応性の点から、4-ヨード-3,3,4,4-テトラフルオロ-1-ブテンが好ましい。
mが3の場合、構造式(6)の化合物として、5-クロロ-3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロ-1-ペンテン、5-ブロモ-3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロ-1-ペンテン、5-ヨード-3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロ-1-ペンテンを挙げることができ、これらの中でも、反応性の点から、5-ヨード-3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロ-1-ペンテンが好ましい。
構造式(6)の化合物の使用量は、原料である3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-1,2-ジオール1モルに対し、2モル以上が好ましく、2.5モル以上がより好ましく、また、5モル以下が好ましく、4モル以下がより好ましい。使用量が上記下限値以上であれば、反応が十分に進行し、目的物について良好な収率が得られ、また、使用量が上記上限値以下であれば、経済的に不利となることもない。
有機アミンとしては、特に限定はなく、一般的な3級アミンを使用することができる。具体的には、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのトリアルキルアミン、ピリジン、ルチジンなどの環状アミンを挙げることができる。これらの中でも、取扱いが容易な、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのトリアルキルアミンが好ましい。
有機アミンの使用量は、原料であるジオール1モルに対して、2モル以上が好ましく、2.5モル以上がより好ましく、また、5モル以下が好ましく、4.5モル以下がより好ましい。使用量が上記下限値以上であれば、目的物について良好な収率が得られ、また、使用量が上記上限値以下であれば、好ましくない副反応の併発を十分に回避できる。
反応は反応溶媒を使用して行うことができる。反応溶媒としては、原料であるジオールを溶解することができ、これと反応することのない溶媒であれば特に限定されない。具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒を挙げることができる。これらの中でも、取扱い易さ及び経済性の観点から、塩化メチレン、クロロホルムなどの塩素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒が好ましい。
反応溶媒の使用量としては、原料であるジオール1gに対して、30ml以上が好ましく、40ml以上がより好ましく、また、150ml以下が好ましく、100ml以下がより好ましい。使用量が上記下限値以上であれば、反応が急激に進行して危険を伴う虞れを十分に回避することができ、また、使用量が上記上限値以下であれば、十分な生産性を確保することができる。
反応温度は、20℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、また、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。反応温度が上記下限値以上であれば、原料であるジオールの転化率が悪く、原料が消費されるまでに多大な時間を要するといった事態を十分に回避することができる。また、反応温度が上記上限値以下であれば、目的物中のエチレン性不飽和基同士が反応して、2量体や3量体などの好ましくない化合物を生成する虞れを十分に回避することができる。
反応時間は、用いる装置の大きさや、撹拌機の能力、反応実施の規模にもよるが、5時間以上が好ましく、10時間以上がより好ましく、また、50時間以下が好ましく、30時間以下がより好ましい。反応時間が上記下限値以上であれば、原料であるジオールの転化率が悪く、目的物の収率低下を招くといった事態を十分に回避することができる。また、反応時間が上記上限値以下であれば、目的物中のエチレン性不飽和基同士が反応し、2量体や3量体などの好ましくない化合物を生成する虞れを十分に回避することができる。
反応実施の形態としては、反応実施の規模にもよるが、原料であるジオール、構造式(6)の化合物、有機アミン及び反応溶媒を反応容器に仕込み、撹拌するなどの方法を採ることができる。原料であるジオールは、反応溶媒に溶解させて、反応容器に仕込んでもよい。
反応後の後処理としては、塩酸などの酸を添加することにより反応を停止させ、有機溶媒で抽出、有機層を分離、硫酸ナトリウムなどの乾燥剤を用いて乾燥後、有機溶媒を留去することで、目的物を得ることができる。
上記反応において、原料であるジオールとして3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-cis-1,2-ジオールを用いることにより、下記構造式(2’)で示される含フッ素不飽和エーテル化合物を製造することができる。
Figure 0007081441000018
(ここで、mは、1~3の整数であり、構造式(2’)における2つのmは同じであっても、異なっていてもよく、好ましくは同じである。)
これらの中でも、mが1であるジアリルエーテル化合物が好ましく、この化合物は、以下の構造式(2’-1)で示される。
Figure 0007081441000019
なお、上記反応において、例えば、使用する構造式(6)の化合物の量を適宜、変更するか、あるいは原料であるジオール中の2つの水酸基の一方を保護基で保護した状態で反応を進め、その後、脱保護することにより、上記構造式(4)又は構造式(4’)の含フッ素不飽和エーテル化合物を製造することができる。
(構造式(3)で示される含フッ素不飽和エーテル化合物)
本発明による新規化合物は、下記構造式(3)で示される含フッ素不飽和エーテル化合物を含む。
Figure 0007081441000020
(ここで、nは、1~3の整数であり、構造式(3)における2つのnは同じであっても、異なっていてもよく、好ましくは同じである。)
これらの中でも、nが1である、構造式(3)のジアリルエーテル化合物が好ましい。
上記化合物は、3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-1,2-ジオールを、アルカリ金属炭酸塩存在下で、下記構造式(7)で示される化合物と反応させることにより製造することができる。
Figure 0007081441000021
(ここで、Xは、塩素、臭素及びヨウ素から選択されるハロゲン原子であり、nは、1~3の整数である。)
構造式(7)の化合物は、構造式(3)におけるnに応じて、選択することができる。例えば、nが1の場合、構造式(7)の化合物として、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリルを挙げることができ、これらの中でも、反応性及び経済性の観点から、臭化アリルが好ましい。
nが2の場合、構造式(7)の化合物として、4-クロロ-1-ブテン、4-ブロモ-1-ブテン、4-ヨード-1-ブテンを挙げることができ、これらの中でも、反応性の点から、4-ヨード-1-ブテンが好ましい。
nが3の場合、構造式(7)の化合物として、5-クロロ-1-ペンテン、5-ブロモ-1-ペンテン、5-ヨード-1-ペンテンを挙げることができ、これらの中でも、反応性の点から、5-ヨード-1-ペンテンが好ましい。
構造式(7)の化合物の使用量は、原料である3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-1,2-ジオール1モルに対して、2モル以上が好ましく、2.5モル以上がより好ましく、また、5モル以下が好ましく、4モル以下がより好ましい。使用量が上記下限値以上であれば、反応が十分に進行し、目的物について良好な収率が得られ、また、使用量が上記上限値以下であれば、経済的に不利となることもない。
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムを挙げることができ、これらの中でも、反応性の観点から、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。
アルカリ金属炭酸塩の使用量は、原料であるジオール1モルに対して、2モル以上が好ましく、2.5モル以上がより好ましく、また、5モル以下が好ましく、4.5モル以下がより好ましい。使用量が上記下限値以上であれば、目的物について良好な収率が得られ、また、使用量が上記上限値以下であれば、好ましくない副反応の併発を十分に回避できる。
反応は反応溶媒を使用して行うことができる。使用する反応溶媒としては、原料であるジオールを溶解することができ、これと反応することのない溶媒であれば特に限定されない。具体的には、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒を挙げることができる。これらの中でも、取扱い易さ及び経済性の観点で、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタンなどが好ましい。
反応溶媒の使用量としては、原料であるジオール1gに対して、10ml以上が好ましく、15ml以上がより好ましく、また、50ml以下が好ましく、30ml以下がより好ましい。使用量が上記下限値以上であれば、アルカリ金属炭酸塩が十分均一に分散し、反応の進行を十分なものにすることができる。また、使用量が上記上限値以下であれば、反応完結に多大な時間を要し、生産性の低下を招く虞れを十分に回避することができる。
反応温度は、0℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、また、100℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。反応温度が上記下限値以上であれば、原料であるジオールの転化率が悪く、原料が消費されるまでに多大な時間を要するといった事態を十分に回避することができる。また、反応温度が上記上限値以下であれば、急激に反応が起こり、アルカリ金属炭酸塩から炭酸ガスが生成するなどの不具合を十分に回避することができる。
反応時間は、用いる装置の大きさや、撹拌機の能力、反応実施の規模にもよるが、1日以上が好ましく、3日以上がより好ましく、また、7日以下が好ましく、6日以下がより好ましい。反応時間が上記下限以上であれば、原料であるジオールの転化率が悪く、目的物の収率低下を招くといった事態を十分に回避することができる。また、反応時間が上記上限以下であれば、経済的に不利となることもない。
反応実施の形態としては、反応実施の規模にもよるが、原料であるジオール、構造式(7)の化合物、アルカリ金属炭酸塩及び反応溶媒を反応容器に仕込み、撹拌するなどの方法を採ることができる。あるいは、原料であるジオールは、反応溶媒に溶解させて、反応容器に仕込んでもよい。
反応後の後処理としては、塩酸などの酸を添加することにより反応を停止させ、有機溶媒で抽出、有機層を分離、硫酸ナトリウムなどの乾燥剤を用いて乾燥後、有機溶媒を留去することで、目的物を得ることができる。
上記反応において、原料であるジオールとして3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-cis-1,2-ジオールを用いることにより、下記構造式(3’)で示される含フッ素不飽和エーテル化合物を製造することができる。
Figure 0007081441000022
(ここで、nは、1~3の整数であり、構造式(3’)における2つのnは同じであっても、異なっていてもよく、好ましくは同じである。)
これらの中でも、nが1であるジアリルエーテル化合物が好ましく、この化合物は、以下の構造式(3’-1)で示される。
Figure 0007081441000023
なお、上記反応において、例えば、使用する構造式(7)の化合物の量を適宜、変更するか、あるいは原料であるジオール中の2つの水酸基の一方を保護基で保護した状態で反応を進め、その後、脱保護することにより、上記構造式(5)又は構造式(5’)の含フッ素不飽和エーテル化合物を製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によってその範囲を限定されるものではない。
なお、各実施例で得られた物質についての測定及び分析は、以下の方法に従って行った。
<NMR測定>
ブルカー・バイオスピン社製の核磁気共鳴装置「Bruker AvanceIII 400型」を用いて測定を行った。
<赤外吸収分光分析>
KBr錠剤法に従い、島津製作所製「IRAffinity-1型」を用いて分析を行った。
[製造例]3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-cis-1,2-ジオールの合成
撹拌機を付したガラス製丸底反応器に、出発原料である3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンテン1.76g(10mmol)、並びに反応溶媒としてアセトン5ml及び水200mlを入れ、さらに過マンガン酸カリウム1.59g(10mmol)を添加し、25℃で1時間撹拌し、反応を行った。撹拌停止後、反応混合物をセライトに加え、二酸化マンガン等の固形物を濾別し、濾液をジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル溶液に硫酸(1mol/L)を添加して洗浄を行った後に、得られた濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、無色結晶の物質を取得した。
得られた物質について、NMR測定を実施した、結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=4.28(s,2H),4.59(s,2H)
13C NMR(100MHz,CDCl)δ=69.98-69.31(m)
19F NMR(376MHz,CDCl)δ=-117.59(d,2F),-127.98(d,1F),-129.58(d,2F),-130.35(d,1F)
また、得られた物質について赤外吸収分光分析を行ったところ、波数3400cm-1に水酸基のO-H伸縮振動に由来する吸収ピークが観察された。
以上の測定及び分析の結果から、得られた無色結晶物質が、目的物であるヘキサフルオロシクロペンタン-cis-1,2-ジオールであることが同定され、収量は1.05g(収率50%)であった。
[実施例1]構造式(2’-1)で示されるジアリルエーテルの合成
撹拌子を付した容量30mlのガラス製フラスコに、製造例で合成した3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-cis-1,2-ジオール0.21g(1.0mmol)、トリエチルアミン0.56ml(4.0mmol)、3-ブロモ-3,3-ジフルオロプロペン0.30ml(2.9mmol)、及びテトラヒドロフラン10mlを仕込み、系内をアルゴン雰囲気下においた。反応器を65℃に加温し、24時間加熱還流した。反応器を室温(20℃)まで冷却後、1N塩酸を加えて反応を停止させた。反応混合物をジエチルエーテルで抽出し、有機層を分離後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ロータリーエバポレーターを使用して、ジエチルエーテルを留去した。残渣を減圧蒸留(0.1kPa、120℃)したところ、無色の液体として、構造式(2’-1)で示されるジアリルエーテル0.26g(収率71%)を得た。
得られた物質について、NMR測定を実施した、結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=4.90-4.93(m,2H),5.36(d,J=11.0Hz,2H),5.87-5.96(m,4H)
19F NMR(376MHz,CDCl)δ=-70.29(d,J=146Hz,2F)、δ=-71.28(d,J=146Hz,2F),-117.33(d,J=255Hz,2F),-127.58(d,J=255Hz,2F),-129.54(d,J=255Hz,2F)
[実施例2]構造式(3’-1)で示されるジアリルエーテルの合成
撹拌子を付した容量50mlのガラス製フラスコに、製造例で合成したヘキサフルオロシクロペンタン-cis-1,2-ジオール1.1g(5.2mmol)、炭酸カリウム2.8g(20.3mmol)、臭化アリル0.26ml(3.0mmol)、及びテトラヒドロフラン20mlを仕込み、系内をアルゴン雰囲気下においた。室温(20℃)で5日間撹拌させた後、1N塩酸を加えて反応を停止させた。反応混合物をジエチルエーテルで抽出し、有機層を分離後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ロータリーエバポレーターを使用して、ジエチルエーテルを留去した。残渣を減圧蒸留(0.1kPa、120℃)したところ、無色の液体として、構造式(3’-1)で示されるジアリルエーテル1.3g(収率88%)を得た。
得られた物質について、NMR測定を実施した、結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl)δ=4.04-4.10(m,2H)、4.10-4.34(m,4H),5.28-5.38(m,4H),5.84-5.94(m,2H)
19F NMR(376MHz,CDCl)δ=-113.66(d,J=252Hz,2F),-127.54(d,J=252Hz,1F),-129.19(d,J=252Hz,2F),-129.76(d,J=252Hz,1F)

Claims (7)

  1. 構造式(1)で示される、含フッ素不飽和エーテル化合物。
    Figure 0007081441000024

    〔ここで、R及びRは、水素原子、基:-(CF-CH=CH(ここで、mは、1~3の整数である。)又は基:-(CH-CH=CH(ここで、nは、1~3の整数である。)であり、同じであっても、異なっていてもよく、ただし、RとRは同時に水素原子ではないものとする。〕
  2. 構造式(1’)で示される、請求項1記載の含フッ素不飽和エーテル化合物。
    Figure 0007081441000025
    (ここで、R及びRは、請求項1と同じ意味を表す。)
  3. 構造式(2)~(5)のいずれかで示される、請求項1記載の含フッ素不飽和エーテル化合物。
    Figure 0007081441000026

    (ここで、mは、1~3の整数であり、構造式(2)における2つのmは、同じであっても、異なっていてもよく、nは、1~3の整数であり、構造式(3)における2つのnは同じあっても、異なっていてもよい。)
  4. 構造式(2’)~(5’)のいずれかで示される、請求項2記載の含フッ素不飽和エーテル化合物。
    Figure 0007081441000027
    (ここで、mは、1~3の整数であり、式(2’)における2つのmは、同じであっても、異なっていてもよく、nは、1~3の整数であり、式(3’)における2つのnは、同じであっても、異なっていてもよい。)
  5. 構造式(2’-1)又は(3’-1)で示される、請求項4記載の含フッ素不飽和エーテル化合物。
    Figure 0007081441000028
  6. 請求項1に記載の構造式(1)で示される含フッ素不飽和エーテル化合物の製造方法であって、3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-1,2-ジオールを、構造式(6):
    Figure 0007081441000029
    (ここで、Xは、塩素、臭素及びヨウ素から選択されるハロゲン原子であり、mは、1~3の整数である。)で示される化合物及び構造式(7):
    Figure 0007081441000030
    (ここで、Xは、塩素、臭素及びヨウ素から選択されるハロゲン原子であり、nは、1~3の整数である。)で示される化合物から選択される少なくとも1種と、有機アミン及びアルカリ金属炭酸塩から選択される少なくとも1種の存在下に反応させる工程を含む、製造方法。
  7. 請求項2に記載の構造式(1’)で示される含フッ素不飽和エーテル化合物の製造方法であって、3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタン-cis-1,2-ジオールを、構造式(6):
    Figure 0007081441000031
    (ここで、Xは、塩素、臭素及びヨウ素から選択されるハロゲン原子であり、mは、1~3の整数である。)で示される化合物及び構造式(7):
    Figure 0007081441000032
    (ここで、Xは、塩素、臭素及びヨウ素から選択されるハロゲン原子であり、nは、1~3の整数である。)で示される化合物から選択される少なくとも1種と、有機アミン及びアルカリ金属炭酸塩から選択される少なくとも1種の存在下に反応させる工程を含む、製造方法。
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