JP2013251315A - ナノインプリント用レジスト組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
一般に、ナノインプリント技術で基板上の樹脂膜に転写される微細構造は、凸部と凹部とからなる微細パターンで構成される。そして、このナノインプリント技術によれば、基板上に形成した樹脂膜をレジスト膜として使用することで金型に対応する微細構造を基板上に形成することができる。つまり、樹脂膜の凸部の樹脂膜をマスクとし、残膜部分(凹部の樹脂膜)及びこの残膜で被覆される基板部分をエッチングすることによって、金型に対応する微細構造を基板上に形成することができる。
このようなナノインプリント技術で基板上に微細構造を形成する際の課題としては、前記の残膜の形成が挙げられる。この残膜は、樹脂が塗布された基板表面に金型を押圧する際に、金型の微細構造の有無に関わらずに基板全面に形成される。そして、この残膜は、基板にエッチングを施す前に取り除く必要があるために可能な限り薄い方がよい。
また、高粘度のフッ素系化合物と低粘度の含フッ素化合物を含むナノインプリント用レジスト組成物を用いて、大きさが15〜200nmの微細構造の転写不良を抑制する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
本発明のナノインプリント用レジスト組成物は、ナノインプリント技術で基板上にナノレベルの微細構造を形成する際に使用される。
本実施形態においては、まずナノインプリント用レジスト組成物を使用した微細構造形成方法について説明した後に、ナノインプリント用レジスト組成物について説明する。
図1(a)から(e)は、本発明のナノインプリント用レジスト組成物(以下、単に「レジスト組成物」と称することがある)を使用した微細構造形成方法の工程説明図である。
この微細構造形成方法は、主に、樹脂膜形成工程と、金型押付工程と、硬化工程と、剥離工程と、エッチング工程と、を有している。
図1(a)に示すように、樹脂膜形成工程では、基板6上に、本実施形態に係るレジスト組成物が塗布されて樹脂膜8が形成される。
なお、図示しないが、基板6上には、樹脂膜8の接着促進層が予め形成されていてもよい。この接着促進層としては、例えば、(メタ)アクリレート基、ビニル基、エポキシ基、及びオキセタニル基のうちの少なくとも一つを有するアルコシキシランが挙げられる。
本実施形態でのレジスト組成物の塗布方法は、例えば、樹脂膜8の厚さが100nm以下となるように、レジスト組成物を膜状に塗布することができる方法であれば特に制限はないが、スピンコート法が最も望ましい。
その結果、図1(c)に示すように、金型5の微細構造4(図1(a)参照)に対応するように、基板上の樹脂膜8に微細構造4が転写される。
次に、樹脂膜8(図1(a)参照)を形成する本実施形態に係るレジスト組成物について説明する。
本実施形態に係るレジスト組成物は、高分子量樹脂成分からなる主剤と、架橋剤と、光重合開始剤と、を含む光硬化性樹脂組成物であって、これらに更に後記する式(1)で示される添加剤を含むことを主な特徴とする。
このレジスト組成物の重合型は、ラジカル重合型、カチオン重合型、及びアニオン重合型のいずれであってもよい。以下に、主剤、架橋剤、光重合開始剤、及び添加剤の順番で説明する。
主剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、エトキシ化ビスフェノールA型アクレート樹脂、芳香族ウレタンアクリレート樹脂、脂肪族ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート、不飽和ポリエステル、アクリル変性脂環式エポキシド樹脂、ビスフェノールA系エポキシド樹脂、水添ビスフェノールA系エポキシド樹脂、ビスフェノールF系エポキシド樹脂、ノボラック型エポキシド樹脂、脂肪族環式エポキシド樹脂、ナフタレン型エポキシド樹脂、ビフェニル型エポキシド樹脂、2官能アルコールエーテル型エポキシド樹脂等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリレート基、ビニル基、エポキシ基、及びオキセタニル基のうちの少なくとも一つを有するものが望ましい。
架橋剤は、前記した高分子量成分と架橋反応可能な官能基を有するものであれば特に制限はないが、単量体であることが更に望ましい。中でも、末端に(メタ)アクリレート基、ビニル基、エポキシ基及びオキセタニル基のうちの少なくとも一つ有する単量体が望ましい。特に、分子量が300未満の単量体はさらに望ましい。
光重合開始剤は、レジスト組成物の重合型に応じて、具体的には、ラジカル重合型、カチオン重合型及びアニオン重合型に応じて、紫外線が照射された際にラジカル、酸、又は塩基を発生するものであれば特に制限はなく公知のものを使用することができる。
添加剤は、次式(1)で示されるエーテルである。
前記の重合基としては、例えば、(メタ)アクリル基、ビニル基、エポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
以上のようなレジスト組成物には、重合促進剤、増感剤、界面活性剤等を配合することができ、必要に応じて重合禁止剤を添加することもできる。
本実施形態に係るレジスト組成物では、ナノインプリント技術を利用して狭小な大きさの微細構造(例えば、大きさが15nmよりも小さいもの)を基板に転写する場合においても、粘度が上昇し難く良好な流動性を維持することができる。
これにより、本実施形態に係るレジスト組成物によれば、基板6上に樹脂膜8からなるレジスト膜10を形成する際に、残膜9を極めて薄くすることができる。
<レジスト組成物の調製>
本実施例では、主剤としてのウレタンアクリレート樹脂(ダイセル・サイテック社製、商品名:EB8405)1gと、架橋剤としてのネオペンチルグリコールジアクリレート(新中村化学工業社製、商品名:A−NPG)2gと、光重合開始剤(Darocur1173:BASF社製)0.09gと、下記式で示される添加剤(下記表1中、化合物Aと記す)0.01gとを、ミックスロータを使用して10時間撹拌し、レジスト組成物を調製した。
次に、調製したレジスト組成物のバルク粘度を、Brookfield型(B型)粘度計を用いて測定した。その結果を表1に示す。
次に、調製したレジスト組成物の、狭小領域での粘度を測定した。この粘度の測定には、共振ずり測定装置(アルバック理工社製、RSM−1)を使用した。この測定では、ナノサイズで距離が制御された2枚の平滑な雲母シート間に挟まれたレジスト組成物の共振周波数と応答強度から粘度が測定された。
図2に示すように、特定の角周波数において、応答量にピークが見られた。ピークにおける角周波数と応答量は、レジスト組成物の粘度に大きく依存する値である。そして、図2の測定データをReview of Scientific Instruments 79, 113705 (2008)に記載の方法に従って解析することにより、狭小領域(雲母シート間距離:5nm)に存在するレジスト組成物の粘度を求めた。その結果を表1に示す。
図3に示すように、レジスト組成物の粘度は、雲母シート間距離が所定の閾値より小さくなると急激に増加し始め、その後は雲母シート間距離の減少とともに増加した。
本実施例でのこの閾値は8nmであった。この閾値を「粘度が増加し始めた距離」として表1に示す。
本実施例では、添加剤の量を0.05g(レジスト組成物全体に対して1.6質量%)に変更した以外は、実施例1と同様にレジスト組成物を調製し、このレジスト組成物のバルク粘度、並びに「狭小領域での粘度」及び「粘度が増加し始めた距離(閾値)」を測定した。その結果を表1に示す。
本実施例では、下記式で示される添加剤(下記表1中、化合物Bと記す)0.01g(レジスト組成物全体に対して0.3質量%)を使用してレジスト組成物を調製した。
本実施例では、下記式で示される添加剤(下記表1中、化合物Cと記す)0.01g(レジスト組成物全体に対して0.3質量%)を使用してレジスト組成物を調製した。
本実施例では、下記式で示される添加剤(下記表1中、化合物Dと記す)0.01g(レジスト組成物全体に対して0.3質量%)を使用してレジスト組成物を調製した。
本実施例では、主剤として、エポキシアクリレート樹脂(ダイセル・サイテック社製、商品名:EB3700)1gを使用した以外は、実施例1と同様にレジスト組成物を調製し、このレジスト組成物のバルク粘度、並びに「狭小領域での粘度」及び「粘度が増加し始めた距離(閾値)」を測定した。その結果を表1に示す。
本実施例では、主剤として、ポリエステルアクリレート樹脂(ダイセル・サイテック社製、商品名:EB851)1gを使用した以外は、実施例1と同様にレジスト組成物を調製し、このレジスト組成物のバルク粘度、並びに「狭小領域での粘度」及び「粘度が増加し始めた距離(閾値)」を測定した。その結果を表1に示す。
本実施例では、主剤として、ポリエーテルアクリレート樹脂(ダイセル・サイテック社製、商品名:EB80)1gを使用した以外は、実施例1と同様にレジスト組成物を調製し、このレジスト組成物のバルク粘度、並びに「狭小領域での粘度」及び「粘度が増加し始めた距離(閾値)」を測定した。その結果を表1に示す。
本比較例では、下記式で示される添加剤(下記表1中、化合物Eと記す)0.01g(レジスト組成物全体に対して0.3質量%)を使用してレジスト組成物を調製した。
本比較例では、添加剤の量を0.05g(レジスト組成物全体に対して1.6質量%)に変更した以外は、比較例1と同様にレジスト組成物を調製し、このレジスト組成物のバルク粘度を測定した。その結果を表1に示す。また、このレジスト組成物の「狭小領域での粘度」を測定しようとしたところ、高粘度のために測定は不可能であった。なお、「粘度が増加し始めた距離(閾値)」は、16nmであった。
実施例1から8、並びに比較例1及び2で調製したレジスト組成物のバルク粘度は、70〜110mPasであり、レジスト組成物の組成に依存せずほぼ一定であった。
その一方で、実施例1から8で調製したレジスト組成物の粘度は、雲母シート間距離を7〜9nmまで減少させるまで増加しなかったが、比較例1及び2で調製したレジスト組成物の粘度は、雲母シート間距離が15〜20nmまで減少させると増加し始めた。
以上の実施例及び比較例に示すように、前記式(1)で示される添加剤を含む本発明のレジスト組成物によれば、狭小領域において残膜9の形成や微細構造の均一性の悪化の原因となる粘度上昇を抑制することができることが判明した。
狭小領域でレジスト組成物の見かけの粘度が増加する理由としては、シート(基材)とレジスト組成物との間に働く相互作用がレジスト組成物の流動を束縛することが考えられる。また、フッ素系添加剤の添加により狭小領域の見かけの粘度の増加が低減できる理由としては、フッ素系添加剤がシート(基材)と樹脂との界面に偏在し、シートと樹脂との相互作用を低減することが考えられる。式(1)で示される構造を有する添加剤が、比較例の添加剤に比べて粘度上昇を抑制する効果が大きい理由としては、式(1)で示される構造を有する添加剤の方が、比較例の添加剤に比べてシートと樹脂との相互作用を低減する効果が高いことが考えられる。
5 金型
6 基板
8 樹脂膜
9 残膜
10 レジスト膜
UV 紫外線
Claims (3)
- 請求項1に記載のナノインプリント用レジスト組成物において、
前記添加剤の含有率は、当該ナノインプリント用レジスト組成物全体に対して、0.3質量%〜2.0質量%であることを特徴とするナノインプリント用レジスト組成物。 - 請求項1に記載のナノインプリント用レジスト組成物において、
前記添加剤は、1,6−ジエン型エーテルであることを特徴とするナノインプリント用レジスト組成物。
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