JP7067500B2 - 内装部品の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内装部品の製造方法及びその製造装置に関し、詳しくは、アンダーカット部を有する基材と基材に対応した形状に賦形した表皮材とを圧着させて形成する内装部品の製造方法及びその製造装置に関する。
例えば、自動車の内装部品(例えば、インストルメントパネル等)は、硬質の合成樹脂からなる基材の表面に柔らかい発泡層を有する表皮材を接着して形成されている。そして、その表皮材にステッチ模様等を形成することによって、内装部品の加飾性を高めている。このような内装部品の製造方法が、例えば、特許文献1に開示されている。
すなわち、特許文献1に開示された内装部品の製造方法によれば、図11(A)に示すように、所定の意匠形状に成形された表皮材101に、ミシン等の縫製手段によって糸によるステッチ模様102を形成する。そして、成形時に薄肉化した薄肉部位101a付近に充填材103を貼り付けた表皮材101と、表皮材101とは別に成形された基材104とを、図示しないプレス型に、それぞれセットする。表皮材101と基材104の一方又は両方には、接着剤等の接着手段を付与しておく。その後、図11(B)、(C)に示すように、プレス型を閉じることによって基材104と表皮材101とを圧着して、基材104と表皮材101とを接着手段によって貼り合わせることで、内装部品105を形成することができる。
特開2018-39212号公報
しかしながら、上記内装部品の製造方法では、図11(A)の仮想線で示すように、表皮材101と基材104に型開閉方向(矢印Kの方向)に対して負角となるアンダーカット部101b、104aを備えている場合、プレス型を閉じることによって基材104と表皮材101とを圧着させる際、表皮材101のアンダーカット部101bが基材104と干渉する恐れがあった。そのため、表皮材101のアンダーカット部101bを把持して基材104と干渉しない方向(矢印Qの方向)へ強制的に開いた状態で基材104を通過させた後、表皮材101のアンダーカット部101bを開放し、型閉じ方向と異なる方向に移動するスライドコア等(図示しない)を用いて、基材104のアンダーカット部104aに表皮材101のアンダーカット部101bを圧着させる方法が検討されている。
ところが、表皮材101は、柔らか物であるので、表皮材101のアンダーカット部101bを強制的に開いた状態から開放しても、元の正規位置に戻らないことがあり、その場合、基材104のアンダーカット部104aに対して表皮材101のアンダーカット部101bの接着位置がズレてしまうという問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、基材のアンダーカット部に圧着する表皮材のアンダーカット部の位置ズレを低減できる内装部品の製造方法及びその製造装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る内装部品の製造方法及びその製造装置は、次のような構成を有している。
(1)圧着治具を備え、前記圧着治具の治具開閉方向に対して負角となるアンダーカット部を一端部に備え所定の形状に賦形された基材と、当該基材に対応したアンダーカット部を一端部に備え所定の形状に賦形された表皮材とを、前記基材又は前記表皮材の少なくとも一方に接着剤を付与した状態で前記圧着治具の一方の治具と他方の治具にそれぞれセットした後、前記圧着治具を真空吸引しながら治具閉じ状態にして前記基材と前記表皮材とを圧着させて形成する内装部品の製造方法であって、
前記表皮材のアンダーカット部には、前記基材から離間する方向に把持フランジ部が延設され、
前記表皮材をセットする前記圧着治具の他方の治具には、前記圧着治具の治具開閉方向と異なる方向に進退し前記表皮材のアンダーカット部を前記基材のアンダーカット部に圧着させるスライドコアと、前記把持フランジ部を把持して前記スライドコアと略同じ方向に進退する把持機構とを備え、
前記把持機構は、前記圧着治具の治具開き状態で前記スライドコアが後退位置にあるとき、前記把持フランジ部を把持して前記表皮材のアンダーカット部を前記基材と干渉しない退避位置へ退避させ、且つ前記圧着治具の治具閉じ状態で前記スライドコアが前進位置に移動する以前に、前記把持フランジ部を把持して前記表皮材のアンダーカット部を前記基材のアンダーカット部に接着させる正規位置へ帰還させることを特徴とする。
本発明においては、表皮材のアンダーカット部には、基材から離間する方向に把持フランジ部が延設され、また、表皮材をセットする圧着治具の他方の治具には、圧着治具の治具開閉方向と異なる方向に進退し表皮材のアンダーカット部を基材のアンダーカット部に圧着させるスライドコアと、把持フランジ部を把持してスライドコアと略同じ方向に進退する把持機構とを備え、把持機構は、圧着治具の治具開き状態でスライドコアが後退位置にあるとき、把持フランジ部を把持して表皮材のアンダーカット部を基材と干渉しない退避位置へ退避させるので、圧着治具を閉じることによって基材と表皮材とを圧着させる際、表皮材のアンダーカット部が基材と干渉することを回避できる。また、把持機構は、圧着治具の治具閉じ状態でスライドコアが前進位置に移動する以前に、把持フランジ部を把持して表皮材のアンダーカット部を基材のアンダーカット部に圧着させる正規位置へ帰還させるので、スライドコアが前進することによって、正規位置に帰還した表皮材のアンダーカット部を基材のアンダーカット部に圧着させることができ、基材のアンダーカット部と表皮材のアンダーカット部との位置ズレを低減できる。
よって、本発明によれば、基材のアンダーカット部に圧着する表皮材のアンダーカット部の位置ズレを低減できる内装部品の製造方法を提供することができる。
(2)(1)に記載された内装部品の製造方法において、
前記把持フランジ部には、前記表皮材の表面側に突出して側壁がテーパー状に形成された位置決め用凸部を備え、
前記把持機構には、前記把持フランジ部を把持するときに前記位置決め用凸部と係合可能で、前記把持フランジ部を開放するときに前記位置決め用凸部と離間可能に側壁がテーパー状に形成された位置決め用凹部を有する把持部を備えたことを特徴とする。
本発明においては、把持フランジ部には、表皮材の表面側に突出して側壁がテーパー状に形成された位置決め用凸部を備え、把持機構には、把持フランジ部を把持するときに位置決め用凸部と係合可能で、把持フランジ部を開放するときに位置決め用凸部と離間可能に側壁がテーパー状に形成された位置決め用凹部を有する把持部を備えたので、把持機構が把持フランジ部を把持して表皮材のアンダーカット部を基材と干渉しない退避位置へ退避させるとき、位置決め用凸部と位置決め用凹部とが簡単に係合して表皮材のアンダーカット部をより正確に退避位置へ退避させることができる。また、把持機構が把持フランジ部を把持して表皮材のアンダーカット部を正規位置に帰還させた後で把持フランジ部を開放するとき、位置決め用凸部と位置決め用凹部とが簡単に離間でき、正規位置に帰還した表皮材のアンダーカット部を開放させるときにおける表皮材のアンダーカット部の変形や位置ズレ等を回避できる。そのため、基材のアンダーカット部に圧着する表皮材のアンダーカット部の位置ズレをより一層低減できる。
(3)(2)に記載された内装部品の製造方法において、
前記位置決め用凹部には、真空ポンプと接続された吸引孔が形成され、前記吸引孔を介して真空吸引したときに前記位置決め用凸部と前記位置決め用凹部とが係合することを特徴とする。
本発明においては、位置決め用凹部には、真空ポンプと接続された吸引孔が形成され、吸引孔を介して真空吸引したときに位置決め用凸部と位置決め用凹部とが係合するので、真空吸引のON、OFF作動に基づいて位置決め用凸部と位置決め用凹部との係合又は離間を簡単に切り替えることができる。そのため、把持機構における把持部を小型化、簡素化でき、より簡単な駆動装置で把持部を進退させ、表皮材のアンダーカット部を退避位置と正規位置とに移動させることができる。また、把持部を小型化できるので、表皮材のアンダーカット部から延設された把持フランジ部を縮小させることができ、表皮材の使用量を低減できる。その結果、表皮材の使用量低減に伴うコスト低減を図りつつ、基材のアンダーカット部に圧着する表皮材のアンダーカット部の位置ズレをより一層低減できる。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載された内装部品の製造方法において、
前記把持機構が前記把持フランジ部を把持して前記表皮材のアンダーカット部を退避位置へ退避させるときに屈曲する前記表皮材の屈曲部は、前記圧着治具の治具開閉方向に対して負角とならない一般部から前記表皮材のアンダーカット部へ湾曲し始める湾曲開始部に形成し、前記湾曲開始部の板厚を前記アンダーカット部の板厚より薄く形成したことを特徴とする。
本発明においては、把持機構が把持フランジ部を把持して表皮材のアンダーカット部を退避位置へ退避させるときに屈曲する表皮材の屈曲部は、圧着治具の治具開閉方向に対して負角とならない一般部から表皮材のアンダーカット部へ湾曲し始める湾曲開始部に形成したので、屈曲部をアンダーカット部へ湾曲する湾曲頂点部に形成するより、表皮材の屈曲部における折れ曲がり角度を相対的に小さくさせ、局部的な折れを回避させることができる。また、表皮材の屈曲部となる湾曲開始部の板厚をアンダーカット部の板厚より薄く形成したので、屈曲部における表皮材表面側での縮み量と表皮材裏面側での伸び量との和(周長変化量)を低減できる。この表皮材の屈曲部における折れ曲がり角度の縮小効果と、屈曲部における表皮材表裏の周長変化量低減効果とが相乗的に作用して、表皮材の屈曲部に残る折れシワを大幅に低減できる。その結果、表皮材のアンダーカット部を退避位置へ退避させるときに屈曲する表皮材の屈曲部の折れシワを大幅に低減しつつ、基材のアンダーカット部に圧着する表皮材のアンダーカット部の位置ズレを低減させることができる。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載された内装部品の製造方法において、
前記基材をセットする前記圧着治具の一方の治具には、前記表皮材のアンダーカット部と隣接して形成された側壁フランジ部を圧着させる前記基材の接着面を遮蔽可能に形成された邪魔板を備え、
前記把持機構が前記把持フランジ部を把持して前記表皮材のアンダーカット部を正規位置に帰還させるまで、前記邪魔板が前記基材の接着面を遮蔽することを特徴とする。
本発明においては、基材をセットする圧着治具の一方の治具には、表皮材のアンダーカット部と隣接して形成された側壁フランジ部を圧着させる基材の接着面を遮蔽可能に形成された邪魔板を備え、把持機構が把持フランジ部を把持して表皮材のアンダーカット部を正規位置に帰還させるまで、邪魔板が基材の接着面を遮蔽するので、退避位置へ退避させた表皮材のアンダーカット部を正規位置へ帰還させる途中で、表皮材の側壁フランジ部が基材の接着面に貼り付き、側壁フランジ部に折れジワ等が生じるのを、邪魔板によって回避させることができる。その結果、表皮材のアンダーカット部と隣接する側壁フランジ部が基材の接着面と貼り付くことによる側壁フランジ部の折れジワ等を回避しつつ、基材のアンダーカット部に圧着する表皮材のアンダーカット部の位置ズレを低減させることができる。
(6)圧着治具を備え、前記圧着治具の治具開閉方向に対して負角となるアンダーカット部を一端部に備え所定の形状に賦形された基材と、当該基材に対応したアンダーカット部を一端部に備え所定の形状に賦形された表皮材とを、前記基材又は前記表皮材の少なくとも一方に接着剤を付与した状態で前記圧着治具の一方の治具と他方の治具にそれぞれセットした後、前記圧着治具を真空吸引しながら型閉じ状態にして前記基材と前記表皮材とを圧着させる内装部品の製造装置であって、
前記表皮材のアンダーカット部には、前記基材から離間する方向に把持フランジ部が延設され、
前記表皮材をセットする前記圧着治具の他方の治具には、前記圧着治具の治具開閉方向と異なる方向に進退し前記表皮材のアンダーカット部を前記基材のアンダーカット部に圧着させるスライドコアと、前記把持フランジ部を把持して前記スライドコアと略同じ方向に進退し、前記圧着治具の治具開き状態で前記スライドコアが後退位置にあるとき、前記把持フランジ部を把持して前記表皮材のアンダーカット部を前記基材と干渉しない退避位置へ退避させ、且つ前記圧着治具の治具閉じ状態で前記スライドコアが前進位置に移動する以前に、前記把持フランジ部を把持して前記表皮材のアンダーカット部を前記基材のアンダーカット部に圧着させる正規位置へ帰還させる把持機構と、を備えたことを特徴とする。
本発明においては、表皮材のアンダーカット部には、基材から離間する方向に把持フランジ部が延設され、また、表皮材をセットする圧着治具の他方の治具には、圧着治具の治具開閉方向と異なる方向に進退し表皮材のアンダーカット部を基材のアンダーカット部に圧着させるスライドコアと、把持フランジ部を把持してスライドコアと略同じ方向に進退し、圧着治具の治具開き状態でスライドコアが後退位置にあるとき、把持フランジ部を把持して表皮材のアンダーカット部を基材と干渉しない退避位置へ退避させ、且つ圧着治具の治具閉じ状態でスライドコアが前進位置に移動する以前に、把持フランジ部を把持して表皮材のアンダーカット部を基材のアンダーカット部に圧着させる正規位置へ帰還させる把持機構と、を備えたので、圧着治具を閉じることによって基材と表皮材とを圧着させる際、表皮材のアンダーカット部が基材と干渉することを回避でき、また、スライドコアが前進することによって、正規位置に帰還した表皮材のアンダーカット部を基材のアンダーカット部に圧着させることができ、基材のアンダーカット部と表皮材のアンダーカット部との位置ズレを低減できる。
よって、本発明によれば、基材のアンダーカット部に圧着する表皮材のアンダーカット部の位置ズレを低減できる内装部品の製造装置を提供することができる。
本発明によれば、基材のアンダーカット部に圧着する表皮材のアンダーカット部の位置ズレを低減できる内装部品の製造方法及びその製造装置を提供することができる。
本実施形態に係る内装部品の製造方法に用いる圧着治具の概略断面図である。 図1に示す圧着治具における把持機構の把持部断面図である。 図1に示す圧着治具の要部概略断面図であり、(A)は治具開き状態で基材を上治具(一方の治具)にセットし、表皮材を下治具(他方の治具)にセットした断面図を示し、(B)は表皮材のアンダーカット部を退避位置へ退避させた後、上治具を下降させて治具閉じ状態とした断面図を示し、(C)は表皮材のアンダーカット部を正規位置へ帰還させた後、スライドコアを前進させて基材のアンダーカット部に圧着させた断面図を示す。 図1に示す圧着治具を用いた内装部品の製造方法のフローチャート図である。 図1に示す圧着治具において、表皮材の第2のアンダーカット部を退避位置へ退避させるときの動作説明図である。 図5に示す表皮材の屈曲部における周長変化説明図である。 図5に示す表皮材の第2のアンダーカット部を退避位置へ退避させる比較例の断面図である。 図7に示す比較例における表皮材の屈曲部における周長変化説明図である。 図1に示す内装部品の表皮材において、アンダーカット部と隣接して形成された側壁フランジ部を含む表皮材の部分斜視図である。 図9に示す表皮材の側壁フランジ部を基材に圧着させる圧着治具の概略断面図であり、(A)は表皮材のアンダーカット部を退避位置へ退避させた後、基材を下降し、邪魔板を前進させた断面図を示し、(B)は邪魔板が基材の接着面を遮蔽した状態で、表皮材のアンダーカット部を正規位置へ帰還させた断面図を示し、(C)は邪魔板を後退させた断面図を示し、(D)は側壁フランジ用スライドコアが前進して表皮材の側壁フランジ部を基材の接着面に圧着させた断面図を示す。 特許文献1に記載された内装部品の製造方法を示す概略断面図であって、(A)は上下型に基材と表皮材とをセットした断面図を示し、(B)は型閉じ途中の断面図を示し、(C)は型閉じ状態の断面図を示す。
次に、本発明に係る実施形態である内装部品の製造方法及びその製造装置について、図面を参照して詳細に説明する。具体的には、本内装部品の製造方法に用いる製造装置の構造を説明した上で、その動作方法を含めて本内装部品の製造方法について詳細に説明する。また、表皮材のアンダーカット部を退避させるときの折れジワ低減方法、及び表皮材のアンダーカット部と隣接して形成された側壁フランジ部の接着不良低減方法について説明する。
<本内装部品の製造方法に用いる製造装置の構造>
まず、本内装部品の製造方法に用いる製造装置の構造を、図1~図3を用いて説明する。図1に、本実施形態に係る内装部品の製造方法に用いる圧着治具の概略断面図を示す。図2に、図1に示す圧着治具における把持機構の把持部を示す。図3に、図1に示す圧着治具の要部概略断面図を示す。図3(A)に、治具開き状態で基材を上治具(一方の治具)にセットし、表皮材を下治具(他方の治具)にセットした断面図を示し、図3(B)に、表皮材のアンダーカット部を退避位置へ退避させた後、上治具を下降させて治具閉じ状態とした断面図を示し、図3(C)に、表皮材のアンダーカット部を正規位置へ帰還させた後、スライドコアを前進させて基材のアンダーカット部に圧着させた断面図を示す。
図1~図3に示すように、本内装部品の製造装置50は、圧着治具10を備え、圧着治具10の治具開閉方向(矢印Kの方向)に対して負角となるアンダーカット部21を一端部に備え所定の形状に賦形された基材2と、当該基材2に対応したアンダーカット部31を一端部に備え所定の形状に賦形された表皮材3とを、基材2又は表皮材3の少なくとも一方に接着剤SZを付与した状態で圧着治具10の一方の治具(上治具)11と他方の治具(下治具)12にそれぞれセットした後、圧着治具10を真空吸引しながら治具閉じ状態にして基材2と表皮材3とを圧着させて形成する内装部品の製造装置である。基材2は、一方の治具(上治具)11にセットされ、表皮材3は、他方の治具(下治具)12にセットされる。
ここで、表皮材3のアンダーカット部31には、基材2から離間する方向に把持フランジ部32が延設されている。また、把持フランジ部32には、表皮材3の表面側に突出して側壁321Sがテーパー状に形成された位置決め用凸部321を備えている。位置決め用凸部321は、例えば、円錐台形又は角錐台形状に形成されている。位置決め用凸部321は、底面に対する傾斜角が5度程度の側壁321Sを有し、把持フランジ部32の外縁側に少なくとも1つ以上形成されている。
なお、内装部品Wは、例えば、自動車のインストルメントパネルやドアトリム等が該当するが、特にこれらに限定されるものではない。基材2は、例えば、ポリプロピレン(PP)等のような合成樹脂製で、所定の形状に賦形されている。なお、基材2には、表皮材3を真空吸引する微細な真空吸引孔(図示しない)を複数個分散して形成しても良い。表皮材3は、表面側の延性に優れた表皮3Hと基材側の発泡層3Pとで構成され、所定の形状に賦形されている。表皮3Hは、例えば、0.5~0.8mm程度の厚さを有するオレフィン系エラストマ(TPO)樹脂製である。発泡層3Pは、例えば、3~4mm程度の厚さを有するポリプロピレンフォーム(PPF)樹脂製である。また、表皮材3には、予め糸によるステッチ模様(図示しない)が縫製されていても良い。
また、表皮材3をセットする圧着治具10の他方の治具(下治具)12には、圧着治具10の治具開閉方向(矢印Kの方向)と異なる方向(矢印Lの方向)に進退し表皮材3のアンダーカット部31を基材2のアンダーカット部21に圧着させるスライドコア4と、把持フランジ部32を把持してスライドコア4と略同じ方向に進退し、圧着治具10の治具開き状態でスライドコア4が後退位置にあるとき、把持フランジ部32を把持して表皮材3のアンダーカット部31を基材2と干渉しない退避位置へ退避させ、且つ圧着治具10の治具閉じ状態でスライドコア4が前進位置に移動する以前に、把持フランジ部32を把持して表皮材3のアンダーカット部31を基材2のアンダーカット部21に圧着させる正規位置へ帰還させる把持機構5と、を備えている。
また、他方の治具(下治具)12には、スライドコア4が摺動する摺動板121が固定された支持台122が形成されている。支持台に122には、スライドコア4を進退させる駆動シリンダ41が装着されている。また、把持機構5には、把持フランジ部32を把持する把持部51と、把持部51をスライドコア4と略同じ方向へ進退させる駆動シリンダ52とを備えている。把持機構5の駆動シリンダ52は、スライドコア4の駆動シリンダ41の上方で支持台122に装着されている。また、スライドコア4には、表皮材3の当接面に真空吸引用の吸引孔(図示しない)が形成されている。また、スライドコア4には、外部の真空ポンプ6に接続され当該吸引孔と連通する開閉バルブ63が装着されている。なお、スライドコア4の表皮材3の当接面には、表皮材3の表面にシボ模様を形成するシボ形状(図示しない)が形成されている。
また、他方の治具(下治具)12には、表皮材3の当接面に真空吸引用の吸引孔(図示しない)が形成されている。また、他方の治具(下治具)12には、外部の真空ポンプ6に接続され当該吸引孔と連通する開閉バルブ62が装着されている。なお、他方の治具(下治具)12の表皮材3の当接面には、表皮材3の表面にシボ模様を形成するシボ形状(図示しない)が形成されている。なお、基材2に表皮材3を真空吸引する真空吸引孔が形成されている場合には、一方の治具(上治具)11にも、基材2の当接面に真空吸引用の吸引孔(図示しない)が形成され、また、外部の真空ポンプ6に接続され当該吸引孔と連通する開閉バルブ61が装着されている。
また、把持機構5には、把持フランジ部32を把持するときに位置決め用凸部321と係合可能で、把持フランジ部32を開放するときに位置決め用凸部321と離間可能に側壁511Sがテーパー状に形成された位置決め用凹部511を有する把持部51を備えている。把持部51には、位置決め用凹部511の底面に真空吸引用の吸引孔511Hが形成されている。また、スライドコア4には、外部の真空ポンプ6に接続され当該吸引孔511Hと連通する開閉バルブ64が装着されている。把持部51には、把持フランジ部32を把持するときに位置決め用凸部321の近傍を把持するクランプ装置8を装着すると良い。クランプ装置8の把持レバー部81は、基材2との干渉を回避できるように、把持フランジ部32の外縁側を把持することが好ましい。
<本内装部品の製造方法>
次に、本製造装置の動作方法を含めて本内装部品の製造方法について、図3、図4を用いて詳細に説明する。図3に、図1に示す圧着治具の要部概略断面図を示す。図3(A)に、治具開き状態で基材を上治具(一方の治具)にセットし、表皮材を下治具(他方の治具)にセットした断面図を示し、図3(B)に、表皮材のアンダーカット部を退避位置へ退避させた後、上治具を下降させて治具閉じ状態とした断面図を示し、図3(C)に、表皮材のアンダーカット部を正規位置へ帰還させた後、スライドコアを前進させて基材のアンダーカット部に圧着させた断面図を示す。図4に、図1に示す真空圧着治具を用いた内装部品の製造方法のフローチャート図を示す。
本内装部品の製造方法は、図3、図4に示すように、圧着治具10を備え、圧着治具10の治具開閉方向(矢印Kの方向)に対して負角となるアンダーカット部21を一端部に備え所定の形状に賦形された基材2と、当該基材2に対応したアンダーカット部31を一端部に備え所定の形状に賦形された表皮材3とを、基材2又は表皮材3の少なくとも一方に接着剤SZを付与した状態で圧着治具10の一方の治具(上治具)11と他方の治具(下治具)12にそれぞれセットした後、圧着治具10を真空吸引しながら治具閉じ状態にして基材2と表皮材3とを圧着させて形成する内装部品Wの製造方法である。
ここで、前述したように、表皮材3のアンダーカット部31には、基材2から離間する方向に把持フランジ部32が延設されている。また、表皮材3をセットする圧着治具10の他方の治具(下治具)12には、圧着治具10の治具閉じ方向(矢印Kの方向)と異なる方向(矢印Lの方向)に進退し表皮材3のアンダーカット部31を基材2のアンダーカット部21に圧着させるスライドコア4と、把持フランジ部32を把持してスライドコア4と略同じ方向に進退する把持機構5とを備えている。
また、把持機構5は、圧着治具10の治具開き状態でスライドコア4が後退位置にあるとき、把持フランジ部32を把持して表皮材3のアンダーカット部31を基材2と干渉しない退避位置へ退避させ、且つ圧着治具10の治具閉じ状態でスライドコア4が前進位置に移動する以前に、把持フランジ部32を把持して表皮材3のアンダーカット部31を基材2のアンダーカット部21に圧着させる正規位置へ帰還させる。
具体的には、内装部品Wの製造方法は、以下のステップに従って行う。まず、図3(A)、図4に示すように、治具開き状態の圧着治具10に基材2と表皮材3とをセットする(ステップS1)。このとき、例えば、基材2を上治具11にセットし、表皮材3を下治具12にセットする。基材2の接着面には、接着剤SZが塗布されている。また、圧着治具10のスライドコア4は、後退位置に待機し、把持機構5の把持部51は、前進位置に待機している。
次に、下治具12、把持部51、及びスライドコア4の真空吸引をONし、クランプ装置8を閉じる(ステップS2)。このとき、表皮材3の把持フランジ部32に形成された位置決め用凸部321が、把持部51に形成された位置決め用凹部511に係合された状態で、把持フランジ部32が把持機構5に把持される。下治具12、把持部51、及びスライドコア4の真空吸引は、各開閉バルブ62、63を開いて真空ポンプ6と連通させることによって開始する。
なお、表皮材3を下治具12にセットしたときには、表皮材3の把持フランジ部32と把持部51との間に微小な隙間があっても良い。この場合、把持部51の真空吸引をONしたとき、又はクランプ装置8を閉じたとき、把持フランジ部32が弾性変形して、位置決め用凸部321が位置決め用凹部511に係合される。
次に、図3(B)、図4に示すように、把持フランジ部32を把持した状態で把持部51を矢印L1の方向へ移動させて、表皮材3のアンダーカット部31を基材2と干渉しない退避位置へ退避させた後、基材2をセットした上治具11を下降して基材2を表皮材3に圧着させる(ステップS3)。他方の治具(下治具)12は、表皮材3の当接面にシボ形状(図示しない)が形成され、真空吸引されているので、基材2を表皮材3に圧着させたとき、表皮材3の表面にシボ模様が転写される。なお、表皮材3のアンダーカット部31を退避位置へ退避させたときには、スライドコア4は、後退位置に待機しているので、表皮材3のアンダーカット部31がスライドコア4と干渉することはない。
次に、図3(C)、図4に示すように、把持フランジ部32を把持した状態で把持部51を矢印L2の方向へ移動させて、表皮材3のアンダーカット部31を基材2のアンダーカット部21に圧着させる正規位置へ帰還させた後、下治具12、及び把持部51の真空吸引をOFFし、クランプ装置8を開く(ステップS4)。このように、表皮材3のアンダーカット部31を正規位置へ帰還させた後に、把持部51に把持した把持フランジ部32を開放するので、基材2のアンダーカット部21に対する表皮材3のアンダーカット部31の位置ズレを大幅に低減できる。なお、上治具11の真空吸引が可能な場合は、下治具12の真空吸引をOFFした後に、上治具11の真空吸引をONさせる。
次に、スライドコア4を前進位置へ移動させて、基材2のアンダーカット部21に表皮材3のアンダーカット部31を圧着させる(ステップS5)。スライドコア4は、表皮材3の当接面にシボ形状(図示しない)が形成され、真空吸引されているので、表皮材3のアンダーカット部31にもシボ模様が転写される。次に、スライドコア4を真空吸引OFFして後退位置へ移動させた後、上治具11を上昇させ、治具開き状態とさせてから、内装部品Wを取り出す(ステップS6)。なお、上治具11の真空吸引を行っている場合には、真空吸引をOFFしてから上治具11を上昇させる。以上のステップに従って、本内装部品Wを製造することができる。
<表皮材のアンダーカット部を退避させるときの折れシワ低減方法>
次に、表皮材のアンダーカット部を退避させるときの折れシワ低減方法について、図5~図8を用いて説明する。図5に、図1に示す真空圧着治具において、表皮材の第2のアンダーカット部を退避位置へ退避させるときの動作説明図を示す。図6に、図5に示す表皮材の屈曲部における周長変化説明図を示す。図7に、図5に示す表皮材の第2のアンダーカット部を退避位置へ退避させる比較例の断面図を示す。図8に、図7に示す比較例における表皮材の屈曲部における周長変化説明図を示す。
図5、図6に示すように、把持機構5が把持フランジ部32を把持して矢印L1の方向へ移動させ、表皮材3の第2のアンダーカット部31Bを正規位置Mから退避位置Nへ退避させるときに屈曲する表皮材3の屈曲部33Bは、圧着治具10の治具開閉方向(K)に対して負角とならない一般部34から表皮材3のアンダーカット部31Bへ湾曲し始める湾曲開始部W1に形成するのが好ましい。これによって、図7、図8に示すように、屈曲部33Cをアンダーカット部31Cへ湾曲する湾曲頂点部W2に形成するより、表皮材3の屈曲部33Bにおける折れ曲がり角度α(α1<α2)を相対的に小さくさせることができる。また、湾曲頂点部W2は、湾曲開始部W1より曲率が小さく、屈曲させたとき局部的で深い折れジワが発生するが、湾曲開始部W1は、曲率が大きく、屈曲させたときに緩やかな折れとなり、折れジワが残りにくい。なお、表皮材3の屈曲部33Bの位置は、下治具12におけるスライドコア4Bとの境界部123の位置によって設定される。また、把持機構5が把持フランジ部32を把持して矢印L2の方向へ移動させ、正規位置Mに帰還された表皮材3のアンダーカット部31Bは、治具開閉方向(K)と異なる方向(L3)へ前進するスライドコア4Bによって、基材2のアンダーカット部21に圧着される。
また、図5、図6に示すように、表皮材3の屈曲部33Bとなる湾曲開始部W1の板厚t1を、アンダーカット部31Bの板厚t2より薄く形成すること(t1<t2)が好ましい。これによって、アンダーカット部31Bを正規位置Mから退避位置Nへ退避させるときの、屈曲部33Bにおける表皮材表面側での縮み量と表皮材裏面側での伸び量との和(周長変化量)d1を、図7、図8に示すように、屈曲部33Cをアンダーカット部31Cへ湾曲する湾曲頂点部W2に形成するときの表皮材表面側での縮み量と表皮材裏面側での伸び量との和(周長変化量)d2より、大幅に低減できる。この表皮材3の屈曲部33Bにおける折れ曲がり角度の縮小効果と、屈曲部33Bにおける表皮材表裏の周長変化量低減効果とが相乗的に作用して、表皮材3の屈曲部33Bに残る折れジワを大幅に低減できる。
<表皮材のアンダーカット部と隣接した側壁フランジ部の接着不良低減方法>
次に、表皮材のアンダーカット部と隣接して形成された側壁フランジ部の接着不良低減方法について、図9、図10を用いて説明する。図9に、図1に示す内装部品の表皮材において、アンダーカット部と隣接して形成された側壁フランジ部を含む表皮材の部分斜視図を示す。図10に、図9に示す表皮材の側壁フランジ部を基材に圧着させる圧着治具の概略断面図を示す。図10(A)に、表皮材のアンダーカット部を退避位置へ退避させた後、基材を下降し、邪魔板を前進させた断面図を示し、図10(B)に、邪魔板が基材の接着面を遮蔽した状態で、表皮材のアンダーカット部を正規位置へ帰還させた断面図を示し、図10(C)に、邪魔板を後退させた断面図を示し、図10(D)に、側壁フランジ用スライドコアが前進して表皮材の側壁フランジ部を基材の接着面に圧着させた断面図を示す。
例えば、図9、図10に示すように、表皮材3のアンダーカット部31と隣接して略90度程度で交差する側壁フランジ部35が形成されている場合、当該アンダーカット部31を退避位置へ退避させた後、正規位置へ帰還させる途中で、側壁フランジ部35が基材2の接着面22に接触して、側壁フランジ部に折れシワが生じたり、基材2の接着面22に対する側壁フランジ部35の接着位置がバラついたりする接着不良が生じる恐れがあった。
そこで、鋭意検討した結果、基材2をセットする圧着治具10の一方の治具(上治具)11には、表皮材3のアンダーカット部31と隣接して形成された側壁フランジ部35と圧着させる基材2の接着面22を遮蔽可能に形成された邪魔板71を備え、把持機構5(図1を参照)が把持フランジ部32を把持して表皮材3のアンダーカット部31を正規位置に帰還させるまで、邪魔板71が基材2の接着面22を遮蔽することによって、側壁フランジ部35の接着不良を低減することができた。以下、その具体的方法を説明する。
図10(A)に示すように、基材2の接着面22を遮蔽する邪魔板71と当該邪魔板71を進退させる駆動シリンダ72とを備えた遮蔽装置7を上治具11の側壁部111に装着する。そして、図1、図3に示す把持機構5が、位置決め用凸部321が形成された把持フランジ部32を把持して、矢印P1の方向へ引っ張って、表皮材3のアンダーカット部31を退避位置に退避させた後に、駆動シリンダ72を伸長させて邪魔板71を矢印P2の方向へ前進させ、邪魔板71によって基材2の接着面22を遮蔽する。そして、上治具11を下降させて、治具閉じ状態とする。
次に、図10(B)に示すように、把持フランジ部32を矢印P3の方向へ移動させ、表皮材3のアンダーカット部31を正規位置に帰還させる。このとき、基材2の接着面22を遮蔽する邪魔板71は、側壁フランジ部35を僅かに押し広げながら、側壁フランジ部35と基材2の接着面22との間に挿入される。そのため、側壁フランジ部35と基材2の接着面22との接触を回避できる。
次に、図10(C)に示すように、駆動シリンダ72を短縮させて、側壁フランジ部35と基材2の接着面22との間に挿入した邪魔板71を、上治具側へ後退させた後、図10(D)に示すように、側壁フランジ用スライドコア4Cを前進させて、側壁フランジ部53を基材2の接着面22に圧着させる。上記方法によれば、表皮材3のアンダーカット部31を退避位置へ退避させた後、正規位置へ帰還させる途中で、側壁フランジ部35が基材2の接着面22に接触するのを回避できるので、側壁フランジ部35に折れシワ等が生じる接着不良を低減できる。
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る内装部品の製造方法によれば、表皮材3のアンダーカット部31には、基材2から離間する方向に把持フランジ部32が延設され、また、表皮材3をセットする圧着治具10の他方の治具(下治具)12には、圧着治具10の治具開閉方向(矢印Kの方向)と異なる方向(矢印Lの方向)に進退し表皮材3のアンダーカット部31を基材2のアンダーカット部21に圧着させるスライドコア4と、把持フランジ部32を把持してスライドコア4と略同じ方向に進退する把持機構5とを備え、把持機構5は、圧着治具10の治具開き状態でスライドコア4が後退位置にあるとき、把持フランジ部32を把持して表皮材3のアンダーカット部31を基材2と干渉しない退避位置へ退避させるので、圧着治具10を閉じることによって基材2と表皮材3とを圧着させる際、表皮材3のアンダーカット部31が基材2と干渉することを回避できる。
また、把持機構5は、圧着治具10の治具閉じ状態でスライドコア4が前進位置に移動する以前に、把持フランジ部32を把持して表皮材3のアンダーカット部31を基材2のアンダーカット部21に圧着させる正規位置へ帰還させるので、スライドコア4が前進することによって、正規位置に帰還した表皮材3のアンダーカット部31を基材2のアンダーカット部21に圧着させることができ、基材2のアンダーカット部21と表皮材3のアンダーカット部31との位置ズレを低減できる。
よって、本実施形態によれば、基材2のアンダーカット部21に圧着する表皮材3のアンダーカット部31の位置ズレを低減できる内装部品の製造方法を提供することができる。
また、本実施形態によれば、把持フランジ部32には、表皮材3の表面側に突出して側壁321Sがテーパー状に形成された位置決め用凸部321を備え、把持機構5には、把持フランジ部32を把持するときに位置決め用凸部321と係合可能で、把持フランジ部32を開放するときに位置決め用凸部321と離間可能に側壁511Sがテーパー状に形成された位置決め用凹部511を有する把持部51を備えたので、把持機構5が把持フランジ部32を把持して表皮材3のアンダーカット部31を基材2と干渉しない退避位置へ退避させるとき、位置決め用凸部321と位置決め用凹部511とが簡単に係合して表皮材3のアンダーカット部31をより正確に退避位置へ退避させることができる。
また、把持機構5が把持フランジ部32を把持して表皮材3のアンダーカット部31を正規位置に帰還させた後で把持フランジ部32を開放するとき、位置決め用凸部321と位置決め用凹部511とが簡単に離間でき、正規位置に帰還した表皮材3のアンダーカット部31を開放させるときにおける表皮材3のアンダーカット部31の変形や位置ズレ等を回避できる。そのため、基材2のアンダーカット部21に圧着する表皮材3のアンダーカット部31の位置ズレをより一層低減できる。
また、本実施形態によれば、位置決め用凹部511には、真空ポンプ6と接続された吸引孔511Hが形成され、吸引孔511Hを介して真空吸引したときに位置決め用凸部321と位置決め用凹部511とが係合するので、真空吸引のON、OFF作動に基づいて位置決め用凸部321と位置決め用凹部511との係合又は離間を簡単に切り替えることができる。そのため、把持機構5における把持部51を小型化、簡素化でき、より簡単な駆動装置で把持部51を進退させ、表皮材3のアンダーカット部31を退避位置と正規位置とに移動させることができる。
また、把持部51を小型化できるので、表皮材3のアンダーカット部31から延設された把持フランジ部32を縮小させることができ、表皮材3の使用量を低減できる。その結果、表皮材3の使用量低減に伴うコスト低減を図りつつ、基材2のアンダーカット部21に圧着する表皮材3のアンダーカット部31の位置ズレをより一層低減できる。
また、本実施形態によれば、把持機構5が把持フランジ部32を把持して表皮材3のアンダーカット部31Bを退避位置へ退避させるときに屈曲する表皮材3の屈曲部33Bは、圧着治具10の治具開閉方向(矢印Kの方向)に対して負角とならない一般部34から表皮材3のアンダーカット部31Bへ湾曲し始める湾曲開始部W1に形成したので、屈曲部33Bをアンダーカット部31Bへ湾曲する湾曲頂点部W2に形成するより、表皮材3の屈曲部33Bにおける折れ曲がり角度α1を相対的に小さくさせ、局部的な折れジワを回避させることができる。
また、表皮材3の屈曲部33Bとなる湾曲開始部W1の板厚t1をアンダーカット部31Bの板厚t2より薄く形成したので、屈曲部33Bにおける表皮材表面側での縮み量と表皮材裏面側での伸び量との和(周長変化量)d1を低減できる。この表皮材3の屈曲部33Bにおける折れ曲がり角度α1の縮小効果と、屈曲部33Bにおける表皮材表裏の周長変化量d1の低減効果とが相乗的に作用して、表皮材3の屈曲部33Bに残る折れジワを大幅に低減できる。その結果、表皮材3のアンダーカット部31Bを退避位置へ退避させるときに屈曲する表皮材3の屈曲部33Bの折れジワを大幅に低減しつつ、基材2のアンダーカット部21に圧着する表皮材3のアンダーカット部31Bの位置ズレを低減させることができる。
また、本実施形態によれば、基材2をセットする圧着治具10の一方の治具(上治具)11には、表皮材3のアンダーカット部31と隣接して形成された側壁フランジ部35を圧着させる基材2の接着面22を遮蔽可能に形成された邪魔板71を備え、把持機構5が把持フランジ部32を把持して表皮材3のアンダーカット部31を正規位置に帰還させるまで、邪魔板71が基材2の接着面22を遮蔽するので、退避位置へ退避させた表皮材3のアンダーカット部31を正規位置へ帰還させる途中で、表皮材3の側壁フランジ部35が基材2の接着面22に貼り付き、側壁フランジ部35に折れシワ等が生じるのを、邪魔板71によって回避させることができる。その結果、表皮材3のアンダーカット部31と隣接する側壁フランジ部35が基材2の接着面22と貼り付くことによる側壁フランジ部35の折れシワ等を回避しつつ、基材2のアンダーカット部21に圧着する表皮材3のアンダーカット部31の位置ズレを低減させることができる。
他の実施形態である本内装部品の製造装置50によれば、表皮材3のアンダーカット部31には、基材2から離間する方向に把持フランジ部32が延設され、また、表皮材3をセットする圧着治具10の他方の治具(下治具)12には、圧着治具10の治具開閉方向(矢印Kの方向)と異なる方向(矢印Lの方向)に進退し表皮材3のアンダーカット部31を基材2のアンダーカット部21に圧着させるスライドコア4と、把持フランジ部32を把持してスライドコア4と略同じ方向に進退し、圧着治具10の治具開き状態でスライドコア4が後退位置にあるとき、把持フランジ部32を把持して表皮材3のアンダーカット部31を基材2と干渉しない退避位置へ退避させ、且つ圧着治具10の治具閉じ状態でスライドコア4が前進位置に移動する以前に、把持フランジ部32を把持して表皮材3のアンダーカット部31を基材2のアンダーカット部21に圧着させる正規位置へ帰還させる把持機構5と、を備えた。そのため、圧着治具10を閉じることによって基材2と表皮材3とを圧着させる際、表皮材3のアンダーカット部31が基材2と干渉することを回避できる。また、スライドコア4が前進することによって、正規位置に帰還した表皮材3のアンダーカット部31を基材2のアンダーカット部21に圧着させることができ、基材2のアンダーカット部21と表皮材3のアンダーカット部31との位置ズレを低減できる。
よって、本他の実施形態によれば、基材2のアンダーカット部21に圧着する表皮材3のアンダーカット部31の位置ズレを低減できる内装部品の製造装置50を提供することができる。
本発明は、アンダーカット部を有する基材と基材に対応した形状に賦形した表皮材とを圧着させて形成する内装部品の製造方法及びその製造装置として利用できる。
2 基材
3 表皮材
4 スライドコア
5 把持機構
6 真空ポンプ
10 圧着治具
11 一方の治具(上治具)
12 他方の治具(下治具)
21 アンダーカット部
22 接着面
31、31B アンダーカット部
32 把持フランジ部
33B 屈曲部
34 一般部
35 側壁フランジ部
51 把持部
71 邪魔板
321 位置決め用凸部
321S 側壁
511 位置決め用凹部
511H 吸引孔
511S 側壁
K 治具開閉方向
SZ 接着剤
t1、t2 板厚
W1 湾曲開始部

Claims (6)

  1. 圧着治具を備え、前記圧着治具の治具開閉方向に対して負角となるアンダーカット部を一端部に備え所定の形状に賦形された基材と、当該基材に対応したアンダーカット部を一端部に備え所定の形状に賦形された表皮材とを、前記基材又は前記表皮材の少なくとも一方に接着剤を付与した状態で前記圧着治具の一方の治具と他方の治具にそれぞれセットした後、前記圧着治具を真空吸引しながら治具閉じ状態にして前記基材と前記表皮材とを圧着させて形成する内装部品の製造方法であって、
    前記表皮材のアンダーカット部には、前記基材から離間する方向に把持フランジ部が延設され、
    前記表皮材をセットする前記圧着治具の他方の治具には、前記圧着治具の治具開閉方向と異なる方向に進退し前記表皮材のアンダーカット部を前記基材のアンダーカット部に圧着させるスライドコアと、前記把持フランジ部を把持して前記スライドコアと同じ方向に進退する把持機構とを備え、
    前記把持機構は、前記圧着治具の治具開き状態で前記スライドコアが後退位置にあるとき、前記把持フランジ部を把持して前記表皮材のアンダーカット部を前記基材と干渉しない退避位置へ退避させ、且つ前記圧着治具の治具閉じ状態で前記スライドコアが前進位置に移動する以前に、前記把持フランジ部を把持して前記表皮材のアンダーカット部を前記基材のアンダーカット部に接着させる正規位置へ帰還させることを特徴とする内装部品の製造方法。
  2. 請求項1に記載された内装部品の製造方法において、
    前記把持フランジ部には、前記表皮材の表面側に突出して側壁がテーパー状に形成された位置決め用凸部を備え、
    前記把持機構には、前記把持フランジ部を把持するときに前記位置決め用凸部と係合可能で、前記把持フランジ部を開放するときに前記位置決め用凸部と離間可能に側壁がテーパー状に形成された位置決め用凹部を有する把持部を備えたことを特徴とする内装部品の製造方法。
  3. 請求項2に記載された内装部品の製造方法において、
    前記位置決め用凹部には、真空ポンプと接続された吸引孔が形成され、前記吸引孔を介して真空吸引したときに前記位置決め用凸部と前記位置決め用凹部とが係合することを特徴とする内装部品の製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された内装部品の製造方法において、
    前記把持機構が前記把持フランジ部を把持して前記表皮材のアンダーカット部を退避位置へ退避させるときに屈曲する前記表皮材の屈曲部は、前記圧着治具の治具開閉方向に対して負角とならない一般部から前記表皮材のアンダーカット部へ湾曲し始める湾曲開始部に形成し、前記湾曲開始部の板厚を前記アンダーカット部の板厚より薄く形成したことを特徴とする内装部品の製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載された内装部品の製造方法において、
    前記基材をセットする前記圧着治具の一方の治具には、前記表皮材のアンダーカット部と隣接して形成された側壁フランジ部を圧着させる前記基材の接着面を遮蔽可能に形成された邪魔板を備え、
    前記把持機構が前記把持フランジ部を把持して前記表皮材のアンダーカット部を正規位置に帰還させるまで、前記邪魔板が前記基材の接着面を遮蔽することを特徴とする内装部品の製造方法。
  6. 圧着治具を備え、前記圧着治具の治具開閉方向に対して負角となるアンダーカット部を
    一端部に備え所定の形状に賦形された基材と、当該基材に対応したアンダーカット部を一端部に備え所定の形状に賦形された表皮材とを、前記基材又は前記表皮材の少なくとも一方に接着剤を付与した状態で前記圧着治具の一方の治具と他方の治具にそれぞれセットした後、前記圧着治具を真空吸引しながら型閉じ状態にして前記基材と前記表皮材とを圧着させる内装部品の製造装置であって、
    前記表皮材のアンダーカット部には、前記基材から離間する方向に把持フランジ部が延設され、
    前記表皮材をセットする前記圧着治具の他方の治具には、前記圧着治具の治具開閉方向と異なる方向に進退し前記表皮材のアンダーカット部を前記基材のアンダーカット部に圧着させるスライドコアと、前記把持フランジ部を把持して前記スライドコアと同じ方向に進退し、前記圧着治具の治具開き状態で前記スライドコアが後退位置にあるとき、前記把持フランジ部を把持して前記表皮材のアンダーカット部を前記基材と干渉しない退避位置へ退避させ、且つ前記圧着治具の治具閉じ状態で前記スライドコアが前進位置に移動する以前に、前記把持フランジ部を把持して前記表皮材のアンダーカット部を前記基材のアンダーカット部に圧着させる正規位置へ帰還させる把持機構と、を備えたことを特徴とする内装部品の製造装置。
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