JP4110770B2 - ボード製品の成形方法及びそれに用いる成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の内装品であるドアトリムなどのボード製品であって、とくにポケット用などの開口部をもつボード製品の成形方法及びそれに用いる成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ドアトリムなどのボード製品におけるボード基材として、天然繊維と樹脂繊維とを混合した繊維マットを加熱・圧縮して所定の形状に成形したものが用いられている。この場合のボード製品の成形手順としては、まずボード基材を熱プレス機などによって成形し、この成形時あるいは成形後にポケット用の開口部を形成しておく。つぎにボード基材の表面に接着剤を塗布し、接着剤に含まれている溶剤を取り除くために乾燥した後、ボード基材を真空成形型にセットする。そして接着剤が塗布されているボード基材の表面に表皮材を載せるとともに、このボード基材の裏面側から吸引することで、表皮材がボード基材の表面形状に倣って接着される。
【0003】
このようにして表皮材が接着されたボード基材を真空成形型から取り出すとともに、ポケット用の開口部において表皮材を部分的に切り取り、かつその周囲に切り込みを入れて巻き込み用の表皮片を形成する。この表皮片を、それによって開口部の縁を被うようにボード基材の裏面側に巻き込んで仕上げる。なお表皮片も接着剤を用いてボード基材に接着する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の成形手段ではボード基材の成形と表皮材の接着とを個別に行っているので、このボード基材に対する接着剤の塗布およびその乾燥工程を経た後に表皮材を接着するといった手順をとらなければならない。結果としてドアトリムなどのボード製品の成形工程が多くなり、設備費ならびに作業工数が増えてコストアップにつながる。
【0005】
これを解消するための対策としては、ボード基材の成形と該ボード基材に対する表皮材の接着とを同時に行えばよいのであるが、その場合にはボード基材の開口部となる箇所にも表皮材が接着されてしまう。したがってこの成形時あるいは成形後にボード基材の開口部となる部分を切り取ると、表皮材も一緒に切り取られて巻き込み用の表皮片を確保することができない。なお、これは繊維マットを加熱・圧縮してボード基材を成形する場合の課題であって、例えば樹脂材の射出成形などによって開口部を有するボード基材を成形する場合には、その成形と同時に表皮材の接着を行い、かつこの表皮材に巻き込み用の表皮片を確保することができる。
【0006】
本発明は前記課題を解決しようとするもので、その目的は、繊維マットの加熱・圧縮によるボード基材の成形と、このボード基材に対する表皮材の接着とを同時に行え、しかもボード基材の開口部に巻き込むための表皮片を確保できるようにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するためのもので、請求項1に記載の発明は、繊維マットを加熱・圧縮することで所定形状のボード基材を成形するとともに、このボード基材に表皮材を接着するボード製品の成形方法であって、表皮材において、ボード基材に開口部を形成することが予定されている箇所と対応する部分を刃物ブロックで切断するとともに、巻き込み用の表皮片を形成する。そして、この表皮片をボード基材に対する表皮材の接合面とは反対側に引き込んでおき、この状態においてボード基材の成形と同時にその表側に表皮材を接着し、その後に刃物ブロックによってボード基材に開口部を形成するとともに、この開口部の縁を被うように表皮片をボード基材の裏面に巻き込む。
【0008】
これにより、例えば天然繊維と熱可塑性の樹脂繊維とを混合した繊維マットを用いてボード基材を成形する場合であっても、このボード基材の成形と、該ボード基材に対する表皮材の接着とを同時に行える。しかもこの表皮材には開口部の縁を被うための表皮片が確保される。このためボード基材の成形後に表皮材を接着剤で接着するのと比べ、ボード基材に対する接着剤の塗布およびその乾燥工程を経た後に表皮材を接着するといった手順が不要となる。結果として繊維マットを用いたボード基材によるボード製品の成形における設備費ならびに作業工数が大幅に削減される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載されたボード製品の成形方法であって、表皮材を上下型の一方にセットするとともに、その型に内蔵された刃物ブロックを進退動作させることにより、表皮材を切断するとともに表皮材に切り込みを入れて巻き込み用の表皮片を形成し、かつ、該表皮片を型の内部側に引き込む。これと並行して上下型の他方に繊維マットが予備成形されたものをセットした後、この上下型の型締めによってボード基材の成形と同時にその表側に表皮材を接着する。
このように、上下型の一方に内蔵された刃物ブロックを進退動作させるといった操作だけで、表皮材を切断するとともに表皮材に切り込みを入れて巻き込み用の表皮片を形成し、かつこの表皮片を型の内部側に引き込むといった一連の処理が完了するので、作業性が向上する。
また、普及タイプのプレス金型を利用した上下型によってボード基材の成形と同時にその表側に表皮材を接着するといった処理を行うことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載されたボード製品の成形方法であって、ボード基材の成形および表皮材の接着を終えた後、刃物ブロックを進出させることにより、ボード基材に開口部を形成するための加工を行う。
このように刃物ブロックの進退動作により、表皮材に表皮片を形成してそれを型の内部側に引き込み、さらにはボード基材に開口部のための加工を行うこともできるので、これらの処理を個別に行うのと比べて作業効率がよい。
なお「開口部を形成するための加工」とは、ボード基材の開口部となる部分を完全に切り取る加工と、ボード基材に切り目を入れるだけの加工とを含む。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載されたボード製品の成形方法に用いる成形装置であって、型締めおよび型開き可能な上下型の一方がボード基材のセット可能で、かつ、上下型の他方が前記表皮材のセット可能になっている。この表皮材がセットされる側の型に刃物ブロックが進退動作可能に内蔵されている。この刃物ブロックは、その進出動作によって表皮材を切断するとともに表皮材に切り込みを入れて巻き込み用の表皮片を形成することが可能な表皮カット刃を備えているとともに、その後退動作によって表皮片を型の内部側に引き込むことが可能に構成されている。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載されたボード製品の成形装置であって、刃物ブロックは、その進出動作によってボード基材に開口部を形成するための加工が可能な基材カット刃を備えている。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載されたボード製品の成形装置であって、刃物ブロックが型に内蔵されたシリンダの駆動制御によって進退動作する構成になっている。
【0014】
請求項7に記載の発明は、繊維マットを加熱・圧縮することで所定形状のボード基材を成形するとともに、このボード基材に表皮材を接着するボード製品の成形方法であって、上下型の一方に表皮材をセットした状態で、その型に刃物ブロックを装着することにより、表皮材を切断するとともに表皮片を形成し、かつ、その表皮片を型の成形面と刃物ブロックとの間に挟み込んだ状態に保持する。これと並行して上下型の他方に繊維マットが予備成形されたものをセットした後、上下型の型締めによってボード基材の成形と同時にその表側に表皮材を接着する。また、この型締めによって刃物ブロックがボード基材を切断して開口部を形成し、この後に開口部の縁を被うように表皮片をボード基材の裏面に巻き込む。
このように、表皮材をセットした上下型の一方に対し、例えばロボットによって刃物ブロックを装着することにより、この装着工程を利用して表皮材を切断するとともに表皮材に表皮片を形成でき、しかも上下型の型締め状態での刃物ブロックによってボード基材に開口部を形成することができるので、作業性がよい。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載されたボード製品の成形方法に用いる成形装置であって、型締めおよび型開きが可能な上下型の一方が表皮材のセット可能で、かつ、上下型の他方がボード基材のセット可能になっている。そして、表皮材がセットされる側の型が刃物ブロックを装着可能である。この刃物ブロックは、型に対する装着によって表皮材を切断するとともに表皮材に切り込みを入れて巻き込み用の表皮片を形成することが可能な表皮カット刃と、表皮片を型の成形面との間に挟み込んだ状態に保持する押し付け面と、上下型の型締めによってボード基材を切断して開口部を形成することが可能な基材カット刃とを備えている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。まず図1〜10により実施の形態1を説明する。
図1はボード製品としてのドアトリム10を表した外観斜視図、図2は図1のII−II線矢視方向の断面図である。これらの図面で示すようにドアトリム10はボード基材14の表面が表皮材16で被われているとともに、表面から裏面に貫通するポケット用開口12を備えている。なお本実施の形態におけるボード基材14は、繊維マットをプレス機で加熱・圧縮することによって所定の形状に成形されたものである。
【0019】
図3はドアトリム成形装置としてのプレス金型20を型開き状態で表した断面図である。このプレス金型20は上型22(可動型)と下型24(固定型)とからなり、上型22はその内部にバキュームチャンバ26を備えている。このバキュームチャンバ26にはバキュームポンプ(図示外)などから負圧を作用させることが可能であり、またバキュームチャンバ26と上型22の成形面22aとは複数個の小孔28によって連通している。
【0020】
上型22の内部にはシリンダ30が内蔵されており、そのシリンダロッド31の端部には可動刃32(刃物ブロック)が固定されている。この可動刃32はシリンダロッド31が押し出されることで、上型22の成形面22aに突出する。ただしシリンダロッド31が引き込まれている状態での可動刃32は、成形面22aから引っ込んだ位置にある。
図4は刃物ブロックとしての可動刃32を拡大して表した斜視図である。この図面で明らかなように可動刃32は、ドアトリム10におけるポケット用開口12の輪郭に対応した外形状の本体35と、この本体35の端面に設けられた表皮カット刃33および基材カット刃34とによって構成されている。
【0021】
表皮カット刃33は、ポケット用開口12に対応する部分の表皮材16を切るためのもので、この表皮材16を部分的に切り取るループ形状の刃33aと、その外側における複数箇所に切り込みを入れるフィン形状の刃33bとからなっている。一方、基材カット刃34は、ポケット用開口12になる部分のボード基材14を切るためのもので、表皮カット刃33の外側において本体35の外周に沿ったループ形状に設定されている。また本体35においてシリンダロッド31と連結されている側には、後述する表皮片18を上型22の内部側に引き込むための段付き状の引き込み部35aが形成されている。
【0022】
図3で示すように下型24にもシリンダ36が内蔵されており、そのシリンダロッド37の端部には支持体38が固定されている。この支持体38は可動刃32の本体35とほぼ同じ外形状をしているとともに、その端面が下型24の成形面24aとほぼ同一面となるようにシリンダ36により位置決めできるようになっている。そしてこの支持体38についても、シリンダ36のシリンダロッド37が押し出されることで下型24の成形面24aから突出し、逆にシリンダロッド37が引き込まれることによって成形面24aから入り込む。なおシリンダ36と上型22のシリンダ30との軸線は互いに平行に設定されており、型締め時には相互の軸線が一直線となる。
【0023】
つづいてボード製品(ドアトリム10)の成形について説明する。
まず図3で示す型開き状態において上型22に表皮材16をセットし、かつバキュームチャンバ26に負圧を作用させる。これにより各小孔28を通じて表皮材16が上型22の成形面22aに吸い付けられ、この表皮材16が図5で示すように成形面22aに倣った形状に保持(真空引き)される。
【0024】
バキュームチャンバ26に負圧を作用させたまま、図6で示すようにシリンダ30のシリンダロッド31を押し出して可動刃32を成形面22aよりも突出する位置に進出させる。この結果、可動刃32の表皮カット刃33によって表皮材16が既に説明したように部分的に切り取られ、かつ切り取られた部分の周囲に複数の切り込みが入れられて表皮片18がつくられる。この後、図7(A)に示すようにシリンダロッド31を引き込んで可動刃32を後退させるとともに、下型24に対して高温に加熱された繊維マットによる予備成形品14Aをセットする。
なお予備成形品14Aは、ケナフや綿といった天然繊維とポリプロピレンなどの熱可塑性の樹脂繊維とを混合してマット状にした繊維マットをある程度の形状に圧縮成形したものである。
【0025】
前記のように可動刃32が後退することにより、図7(B)で示すように表皮片18が可動刃32における引き込み部35aに引っかけられて上型22の内部側へ一時的に引き込まれる。この状態において基材カット刃34は、各表皮片18よりも突出した位置にある。
つづいてバキュームチャンバ26に負圧を作用させたまま、上型22を下降させて図8で示す型締め状態とする。これによって上型22および下型24における成形面22a,24aの間で予備成形品14Aが圧縮されてボード基材14が成形され、同時にこのボード基材14に表皮材16が接着される。この接着は、高温に加熱された予備成形品14Aに含まれている樹脂の接着力によるものである。
【0026】
ここでバキュームチャンバ26に対する吸引を止め、かつ型締め状態のままで図9に示すように上型22側のシリンダ30のシリンダロッド31を再び押し出し、それと同時に下型24側のシリンダ36のシリンダロッド37を引き込む。これによって可動刃32が進出するとともに支持体38が後退し、可動刃32の基材カット刃34によってボード基材14が切り取られ、ポケット用開口12のための開口部15(図10参照)が形成される。
【0027】
つぎに型を開いてボード製品であるドアトリム10を取り出すとともに、支持体38を下型24の成形面24aから突出する位置まで進出させ、開口部15を形成するために切り取られたボード基材14の端材14R(図9)を押し出す。図10(A)に型から取り出したままのドアトリム10が示されている。そこで図10(B)で示すように、ボード基材14にあけられている開口部15の縁を被うように表皮片18をボード基材14の裏面側に巻き込んで接着する。このときのボード基材14に対する表皮片18の接着には、ボード基材14の裏面を再度温めて樹脂を溶融させるか、あるいは接着剤を使用する。
【0028】
このようにボード基材14の成形と同時にボード基材14に対する表皮材16の接着を行うことができる。それにもかかわらず表皮片18については、それを一時的にボード基材14に対する表皮材16の接合面とは反対側に引き込んでおくことで、ボード基材14に接着されることなく巻き込み可能な状態に確保される。したがって予備成形品14Aによってボード基材14を成形する場合において、従来のようにボード基材に対する接着剤の塗布およびその乾燥工程を経た後に表皮材を接着するといった手順をとるのと異なり、ドアトリム10の成形工程が少なく、設備費ならびに作業工数を低減できる。
【0029】
なおボード基材14に開口部15を形成するための他の手段として、図9で示す加工工程において支持体38をほとんど後退させず、可動刃32の基材カット刃34によってボード基材14に厚み方向の切り込みを入れるだけにとどめる。そしてドアトリム10を型から取り出した後、切り込みで囲まれた部分をハンマーなどで打ち抜いて開口部15を形成する。これにより、ボード基材14の端材14Rを前記のように支持体38で押し出して下型24から取り除くといった手間を省くことができる。またこの加工手段を専ら採用するのであれば、下型24からシリンダ36および支持体38を廃止してもよい。
【0030】
つぎに図11〜14により実施の形態2を説明する。
図11は実施の形態2における表皮材の真空引き工程を表した断面図、図12は実施の形態2の刃物ブロックであるポンチのみを表した斜視図である。実施の形態2のプレス金型40(後で説明する図14参照)においても、上型42のバキュームチャンバ(図示外)に負圧を作用させることで、その成形面42aに表皮材16を吸い付けた状態に保持(真空引き)できる(図11)。
【0031】
図11で示すように上型42はその成形面42aにおいて開放された組込み空間46を備え、この組込み空間46にはポンチ支持体50が図面の上下方向に関して移動できるように組み付けられている。また組込み空間46の内部には、ポンチ支持体50の奥においてバネ56が組み込まれており、このバネ56によってポンチ支持体50は成形面42aの側へ押されている。ただし、ポンチ支持体50はそのフランジ52が組込み空間46の段差部分に受け止められ、それによってバネ56の弾性力による押し出し位置が規制されている。なおポンチ支持体50には、そのほぼ中央部において成形面42aの側に開放したガイド凹部54がある。
【0032】
上型42には、組込み空間46の両サイドにおいてバキュームシリンダ48がそれぞれ設けられている。両バキュームシリンダ48の内部には、ロック部材58がそれぞれ図面の左右方向に関して移動可能に組み込まれている。また両ロック部材58はそれぞれのシリンダ48から組込み空間46にまで貫通し、個々の先端部が組込み空間46に突出可能となっている。両ロック部材58は、シリンダ48の内部に組み込まれたバネ59によって組込み空間46に押し出される方向の弾性力を受けている。しかも両シリンダ48の内部に対しては負圧を作用させることが可能で、図11では負圧によりロック部材58がバネ59の弾性力に逆らって引き込まれた状態が示されている。
【0033】
図12からも明らかなようにポンチ60は、その本体61の上端部にガイド突部62を備え、本体61の下端部にフランジ64を備えた構造になっている。本体61は上型42の組込み空間46に挿入可能であり、ガイド突部62はポンチ支持体50のガイド凹部54に挿入可能である。なおフランジ64は組込み空間46よりも大きな寸法に設定されている。また本体61の両サイドには、ポンチ60が組込み空間46に挿入されたときにロック部材58の先端部が入り込むロック溝66が形成されている。
【0034】
図11で示すようにポンチ60は、ロボットアーム80のポンチ取付け部82にセット可能である。このセット状態では、ポンチ60の下面に形成されている二つの凹部68が、ポンチ取付け部82の上面に設けられている突部84にはまり合って互いに位置決めされる。ロボットアーム80は、ポンチ60を上型42のポンチ支持体50に向けて接近させた後、ポンチ60を残して上型42から離れるように自動制御される。
【0035】
ポンチ60は複数種のカット刃を備えている。まず本体61の上端周縁は、ポケット用開口12に対応する部分の表皮材16を切断する表皮カット刃70になっている。またガイド突部62の先端は、表皮材16を切り裂くための刃63になっている。またフランジ64の上面には、表皮材16に切り込みを入れるための複数枚の切り込み刃72がポンチ60の周方向に沿って所定の間隔で設けられている。さらにフランジ64はポケット用開口12の輪郭に対応した外形状になっており、その下端周縁はボード基材14を切断する基材カット刃76になっている。なおフランジ64の上面には、各切り込み刃72よりも低く設定された押し付け面74がポンチ60の周方向に連続して形成されている。
【0036】
つづいてボード製品の成形について説明する。
図11で示すように表皮材16を上型42の成形面42aに吸い付けた真空引きの状態に保持するとともに、ポンチ60をロボットアーム80のポンチ取付け部82にセットする。ここでロボットの自動制御によるロボットアーム80の作動により、まずポンチ60のガイド突部62が刃63で表皮材16を切り裂きながらポンチ支持体50のガイド凹部54に入る。さらにロボットアーム80が作動し、ポンチ60がポンチ支持体50をバネ56に逆らって押し上げながら組込み空間46の中に挿入される。この挿入に伴い、表皮材16が表皮カット刃70によって組込み空間46の開放部の形状に切断され、かつ切断された開口部の周縁には各切り込み刃72により複数の切り込みが入れられて表皮片18がつくられる。
【0037】
この状態が図13に示されている。この図面で明らかなように、表皮カット刃70で切断された表皮材16の端材16Rは、本体61の上端面とポンチ支持体50の下端面との間に挟み込まれている。この時点では両バキュームシリンダ48に対する負圧は解除されており、個々のロック部材58がバネ59によって本体61のロック溝66にそれぞれ入り込んでいる。したがってポンチ60は上型42に装着された状態に保持される。
【0038】
また図13の状態において、ポンチ60の各切り込み刃72は、上型42に対してその成形面42aから切り込まれた形状の逃がし溝47にそれぞれ入っている。そしてポンチ60の押し付け面74が表皮片18の先端部を挟み込んだ状態で成形面42aに受け止められている。これにより、つぎに説明するボード基材14の切断時にポンチ60に加わる荷重をダイレクトに上型42で受け止めることができる。なお成形面42aと押し付け面74とで挟まれた表皮片18の先端部は押しつぶされて変形するが、成形面42aとポンチ60のフランジ64との間に位置している部分の表皮片18が押しつぶされることはない。この部分の表皮片18の寸法S(図13)をボード基材14の肉厚以上に設定している。
【0039】
つぎにポンチ60を上型42に装着したままで、ロボットアーム80を上型42から離れた位置に作動させる。この状態において表皮片18は成形面42aとポンチ60のフランジ64との間に挟み込まれたままであり、当然のことながら基材カット刃76は表皮片18よりも突出した位置にある。
そこで、ボード基材14の素材である繊維マットを実施の形態1と同様に加熱して図14で示す下型44の成形面44aにセットし、かつ上型42を下降させて型締め状態とする。これによって繊維マットが圧縮されてボード基材14が成形され、同時にボード基材14の表面に表皮材16が接着される。
【0040】
下型44にはポンチ60のフランジ64が入る大きさで、かつ成形面44aで開放した空間78があり、型締めによって空間78にフランジ64が入り込むのと同時に基材カット刃76でボード基材14が切断される(図14)。これによってボード基材14には、ドアトリム10におけるポケット用開口12のための開口部が形成される。このボード基材14の切断時において、ポンチ60に作用する荷重は先に説明したように上型42でダイレクトに受けられるので、例えばロック部材58に余分な負荷がかかることがない。なお基材カット刃76で切断されたボード基材14の端材14Rは空間78の底で受けられている。
【0041】
つぎに型を開いてボード製品であるドアトリム10を取り出すとともに、ロボットアーム80を作動させてポンチ60をポンチ取付け部82に対し、最初のセット状態に支持する。これと並行して上型42の両バキュームシリンダ48に再び負圧を作用させ、個々のロック部材58をバネ59に逆らって後退させることで、それぞれの先端部をポンチ60のロック溝66から抜き取る。そこでロボットアーム80を作動させ、ポンチ60を例えば図11で示すように上型42の組込み空間46から取り外す。なおボード基材14の端材14Rを下型44の空間78から回収し、表皮材16の端材16Rはポンチ60に付いて運ばれるので、そこから回収する。
【0042】
この後、ボード基材14にあけられた開口部の縁を被うように表皮材16の各表皮片18をこのボード基材14の裏面側に巻き込んで接着するのは、実施の形態1の場合と同様である。ただ、実施の形態2では既に説明したように表皮片18の先端部が、上型42の成形面42aとポンチ60の押し付け面74とで挟み付けられて変形する。しかしながら表皮片18は、ボード基材14の開口縁を被うのに必要な寸法S(図13)の範囲では変形やキズが生じないので、ドアトリム10におけるポケット用開口12の仕上がりを損なうことはない。
【0043】
以上のように実施の形態2では、上型42に表皮材16をセットした状態で、この上型42にポンチ60(刃物ブロック)を装着することにより、表皮カット刃70および各切り込み刃72によって表皮片18を形成することができる。また、この装着状態において表皮片18よりも突出した位置に基材カット刃76があるので、表皮片18を確保したまま基材カット刃76でボード基材14を切断できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ボード製品としてのドアトリムを表した外観斜視図
【図2】図1のII−II線矢視方向の断面図
【図3】ドアトリム成形用のプレス金型を型開き状態で表した断面図
【図4】可動刃を拡大して表した斜視図
【図5】プレス金型において上型に対する表皮材の真空引き工程を表した断面図
【図6】プレス金型において表皮材のカット工程を表した断面図
【図7】プレス金型において表皮片の引き込みおよび下型に対する予備成形品のセット工程を表した断面図
【図8】ボード基材の成形および表皮材の接着工程を表した断面図
【図9】ボード基材のカット工程を表した断面図
【図10】プレス金型から取り出したドアトリムの断面図
【図11】実施の形態2における表皮材の真空引き工程を表した断面図
【図12】実施の形態2の刃物ブロックであるポンチのみを表した斜視図
【図13】実施の形態2における表皮材のカット工程を表した断面図
【図14】実施の形態2におけるボード基材のカット工程を表した断面図
【符号の説明】
10 ドアトリム(ボード成形品)
14 ボード基材
15 開口部
16 表皮材
18 表皮片
22,42 上型
24,44 下型
32 可動刃(刃物ブロック)
33,70 表皮カット刃
60 ポンチ(刃物ブロック)
Claims (8)
- 繊維マットを加熱・圧縮することで所定形状のボード基材を成形するとともに、このボード基材に表皮材を接着するボード製品の成形方法であって、表皮材において、ボード基材に開口部を形成することが予定されている箇所と対応する部分を刃物ブロックで切断するとともに巻き込み用の表皮片を形成し、かつ、この表皮片をボード基材に対する表皮材の接合面とは反対側に引き込んでおき、この状態においてボード基材の成形と同時にその表側に表皮材を接着し、その後に刃物ブロックによってボード基材に開口部を形成するとともに、この開口部の縁を被うように表皮片をボード基材の裏面に巻き込むことを特徴としたボード製品の成形方法。
- 請求項1に記載されたボード製品の成形方法であって、表皮材を上下型の一方にセットするとともに、その型に内蔵された刃物ブロックを進退動作させることにより、表皮材を切断するとともに表皮材に切り込みを入れて巻き込み用の表皮片を形成し、かつ、該表皮片を型の内部側に引き込み、これと並行して上下型の他方に繊維マットが予備成形されたものをセットした後、この上下型の型締めによってボード基材の成形と同時にその表側に表皮材を接着することを特徴としたボード製品の成形方法。
- 請求項2に記載されたボード製品の成形方法であって、ボード基材の成形および表皮材の接着を終えた後、刃物ブロックを進出させることにより、ボード基材に開口部を形成するための加工を行うことを特徴としたボード製品の成形方法。
- 請求項2に記載されたボード製品の成形方法に用いる成形装置であって、型締めおよび型開き可能な上下型の一方がボード基材のセット可能で、かつ、上下型の他方が前記表皮材のセット可能になっており、この表皮材がセットされる側の型に刃物ブロックが進退動作可能に内蔵され、この刃物ブロックは、その進出動作によって表皮材を切断するとともに表皮材に切り込みを入れて巻き込み用の表皮片を形成することが可能な表皮カット刃を備えているとともに、その後退動作によって表皮片を型の内部側に引き込むことが可能に構成されているボード製品の成形装置。
- 請求項4に記載されたボード製品の成形装置であって、刃物ブロックは、その進出動作によってボード基材に開口部を形成するための加工が可能な基材カット刃を備えているボード製品の成形装置。
- 請求項4又は5に記載されたボード製品の成形装置であって、刃物ブロックが型に内蔵されたシリンダの駆動制御によって進退動作する構成になっているボード製品の成形装置。
- 繊維マットを加熱・圧縮することで所定形状のボード基材を成形するとともに、このボード基材に表皮材を接着するボード製品の成形方法であって、上下型の一方に表皮材をセットした状態で、その型に刃物ブロックを装着することにより、表皮材を切断するとともに表皮片を形成し、かつ、その表皮片を型の成形面と刃物ブロックとの間に挟み込んだ状態に保持し、これと並行して上下型の他方に繊維マットが予備成形されたものをセットした後、上下型の型締めによってボード基材の成形と同時にその表側に表皮材を接着し、またこの型締めによって刃物ブロックがボード基材を切断して開口部を形成し、この後に開口部の縁を被うように表皮片をボード基材の裏面に巻き込むことを特徴としたボード製品の成形方法。
- 請求項7に記載されたボード製品の成形方法に用いる成形装置であって、型締めおよび型開きが可能な上下型の一方が表皮材のセット可能で、かつ、上下型の他方がボード基材のセット可能になっており、表皮材がセットされる側の型が刃物ブロックを装着可能であり、この刃物ブロックは、型に対する装着によって表皮材を切断するとともに表皮材に切り込みを入れて巻き込み用の表皮片を形成することが可能な表皮カット刃と、表皮片を型の成形面との間に挟み込んだ状態に保持する押し付け面と、上下型の型締めによってボード基材を切断して開口部を形成することが可能な基材カット刃とを備えているボード製品の成形装置。
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