JP7059896B2 - 車両用シート - Google Patents

Description

本発明は、車両用シートに関し、特にシートクッションに関する。

車両用シートのフレームに対してシートクッションおよびシートバックの移動が許容された車両用シートが知られている。例えば、下記特許文献１には、シートフレーム（３）に対してシートクッション（座部７）とシートバック（８）の移動が許容された車両用シート装置（１）が開示されている。また、この車両用シート装置（１）においては、中立位置から移動したシートクッション(７)を中立位置に戻す復元力を発生する機構（座部用復元力発生機構４０）が示されている。この機構は、弾性部材の弾性力を利用して復元力を発生している。なお、上記の（ ）内の部材名および符号は、下記特許文献１で用いられている部材名および符号であり、本願の実施形態の説明で用いられる部材名および符号とは関連しない。

特開２０１４－１３３４７９号公報

シートクッションの移動特性、例えば移動範囲や復元力の大きさ等を変更したいという要望がある。

本発明は、シートクッションが移動可能な車両用シートにおいて、シートクッションの移動特性を変更可能にする。

本発明に係る車両用シートは、メインフレームと、メインフレームに対して左右方向に回動可能に支持されるシートクッションと、一端がメインフレームに、他端がシートクッションに支持され、シートクッションを中立位置へと付勢する板ばねと、メインフレームまたはシートクッションに設けられ、板ばねを挟持し、挟持位置を板ばねの長手方向に沿って変更可能な挟持機構とを備える。

板ばねを挟持する位置を変更することで、板ばねの有効長が変化し、板ばねのばね定数や、シートクッションの移動範囲が変化する。

また、板ばねの一端がシートクッションに固定され、板ばねの他端がメインフレームに固定された支持機構であって、板ばねの長手方向に沿った当該板ばねのメインフレームに対する相対移動を許容する支持機構に支持されるようにすることができる。

さらに、挟持機構は、板ばねの長手方向に沿って移動可能であり、かつ前記板ばねの表裏にそれぞれ接する２個の挟持ローラを含むものとすることができる。

板ばねの有効長を変化させることにより、シートクッションの移動範囲、またシートクッションに作用する復元力など、シートクッションの移動特性が変更可能となる。

車両用シートの前側を示す斜視図である。 車両用シートの後側を示す斜視図である。 シートクッションを中立位置に戻す機構の詳細を示す斜視図である。 シートクッションを中立位置に戻す機構の詳細を示す側面図である。 シートクッションを中立位置に戻す機構の詳細を示す前方下方から見た図である。

以下、本発明の実施形態の車両用シート１０を図面に従って説明する。以下の説明において、特段の断りがないかぎり、前後左右上下等の方向および向きを表す語句は、車両用シート１０に着座した乗員（以下、着座者と記す。）に関する方向および向きを表す。各図において、矢印ＦＲの向きが前方、矢印ＵＰの向きが上方、矢印ＬＨの向きが左方である。

図１および図２は、車両用シート１０の概略構成を模式的に示す斜視図である。図１は、前方左方から見下ろした状態で車両用シート１０を示す図であり、図２は、後方左方から見上げた状態で車両用シート１０を示す図である。図１，２において、一部の部品が省略されている。車両用シート１０は、乗用車などの自動車に適用されるシートである。車両用シート１０は、車体に直接搭載されるメインフレーム１２と、メインフレーム１２に移動可能に支持されるシートクッション１４とシートバック１６を有する。図１および図２において、シートクッション１４は、クッションパッドを省略した状態で示されている。シートクッション１４は着座者の臀部および大腿を下方から支持し、シートバック１６は着座者の上体を後方から支える。

メインフレーム１２は、シートクッション１４を支持するシートクッション支持フレーム１８と、シートバック１６を支持するシートバック支持フレーム２０を有する。シートクッション支持フレーム１８は、下部の四隅にシート脚２６を有する。シート脚２６は、車両のフロア２８上に配置されて車両の前後方向に延びる一対のシートトラック３０に結合している。シートトラック３０は、フロア２８に固定されたロアレール３２と、ロアレール３２に対してスライド可能なアッパーレール３４を含み、シート脚２６はアッパーレール３４に結合される。これにより、車両用シート１０は、フロア２８上に車両の前後方向にスライド可能に搭載される。シートバック支持フレーム２０は、前方視したとき倒立したＵ字形状を有し、下端部が、シートクッション支持フレーム１８の後端部に結合している。シートバック支持フレーム２０は、左右方向に沿って延びる軸線周りに回動可能にシートクッション支持フレーム１８に結合している。シートクッション支持フレーム１８に対してシートバック支持フレーム２０を回動させることで、シートバック１６の傾きを調節することができる。

シートバック１６は、シートバック支持フレーム２０に吊り下げ支持されるシートバックフレーム３６と、シートバックフレーム３６に取り付けられるシートバックパッド３８を含む。シートバックフレーム３６は、車両用シート１０の左右両側を略上下方向に沿って延びる１対の縦部材４０と、左右の縦部材４０をつなぐ略左右方向に沿って配置された２本の横部材４２Ｕ，４２Ｌを含む。２本の横部材のうち上側に位置する横部材を上側横部材４２Ｕと記し、下側に位置する横部材を下側横部材４２Ｌと記す。上側横部材４２Ｕは、縦部材４０の上下方向の中央よりやや上の位置で２本の縦部材４０に接続し、下側横部材４２Ｌは２本の縦部材４０の下端で、これらに接続している。上側横部材４２Ｕの左右の端部には、後方に向けて突出するばね受けブラケット４４が固定されている。ばね受けブラケット４４の後端には、板ばねである上側戻しばね４６Ｕの後端がそれぞれ固定され、さらに上側戻しばね４６Ｕの前端は、シートバック支持フレーム２０に固定されている。下側横部材４２Ｌの中央部には、板ばねである下側戻しばね４６Ｌの後端が固定され、さらに下側戻しばね４６Ｌの前端は、シートバック支持フレーム２０に固定されている。板ばねである上側および下側戻しばね４６Ｕ，４６Ｌは、板厚方向が略左右方向となるように配置されている。これらの戻しばね４６Ｕ，４６Ｌがたわむことにより、シートバック支持フレーム２０に対するシートバックフレーム３６の左右の移動が許容される。また、上側および下側戻しばね４６Ｕ，４６Ｌの弾性力により、シートバックフレーム３６は、車両用シート１０の幅の中央の中立位置に戻される。

シートバックフレーム３６は、複数の吊り下げワイヤ４８Ａ，４８Ｂ，４８Ｃを介してシートバック支持フレーム２０に吊り下げ支持されている。左右２本ずつの吊り下げワイヤ４８Ａ，４８Ｂにより、シートバック支持フレーム２０から中継ディスク５０が支持され、左右それぞれ１本の吊り下げワイヤ４８Ｃにより中継ディスク５０からシートバックフレーム３６が吊り下げられている。また、中継ディスク５０は、シートバックパッド３８の背面に固定されている。吊り下げワイヤ４８Ａは、無端状であり、シートバック支持フレーム２０上の２点と中継ディスク５０を巡るように架け渡されている。また、吊り下げワイヤ４８Ｂは、両端が、シートバック支持フレーム２０に設けられた肩部ブラケット５２上の２点に結合され、中間部が中継ディスク５０に掛けられている。肩部ブラケット５２は、シートバック支持フレーム２０から前方および後方に延びており、前端部および後端部に吊り下げワイヤ４８Ｂの両端が結合されている。それぞれ対をなす左右の吊り下げワイヤ４８Ａおよび吊り下げワイヤ４８Ｂにより中継ディスク５０の左右方向の位置が規定される。さらに、対の吊り下げワイヤ４８Ａにより中継ディスク５０の上下方向の位置が規定され、対の吊り下げワイヤ４８Ｂにより前後方向の位置が規定される。対の吊り下げワイヤ４８Ｃは、一端がシートバックフレーム３６の上側横部材４２Ｕに、他端が下側横部材４２Ｌに結合され、中間部が中継ディスク５０に掛けられている。これらのワイヤ４８Ａ，４８Ｂ，４８Ｃで吊り下げ支持されたシートバック１６は、中継ディスク５０を中心にして前後に延びる軸線周りに振り子のように回動可能である。

シートバックフレーム３６の左右の縦部材４０の間には、複数本の架け渡しワイヤ５４が左右方向に架け渡されている。架け渡しワイヤ５４がシートバックパッド３８を後方から支え、着座者からの荷重を受けている。

シートクッション支持フレーム１８は、シートクッション１４の左右に配置されて前後方向に延びる１対の側方部材５６と、左右の側方部材５６を連結する２本の連結バー５８Ｆ，５８Ｒを含む。側方部材５６は、概略板形状の部材であり、板厚の方向が左右方向となるよう配置されている。２本の連結バー５８Ｆ，５８Ｒのうち、前側に位置する前側連結バー５８Ｆは、側方部材５６の前端部でこれらを連結している。また、後側に位置する後側連結バー５８Ｒは、側方部材５６の後端部でこれらを連結している。さらに、シートクッション支持フレーム１８は、前部に左右の側方部材５６を橋渡すように配置された前方部材６０を含む。前方部材６０は、概略板形状またはトレイ形状の部材であり、板厚の方向が上下方向となるように配置されている。前方部材６０は、左右の側方部材５６の前端上部に結合しており、側方部材５６の前端から前方に向けて庇のように張り出している。

シートクッション１４は、シートクッション支持フレーム１８に移動可能に支持されたるクッションパン６２と、クッションパン６２上に取り付けられるクッションパッド（不図示）を含む。クッションパン６２は、上側に着座者の臀部および大腿を収容する窪みを有し、前方および左右側方をシートクッション支持フレーム１８に囲まれるように、シートクッション支持フレーム１８の内側に配置されている。クッションパン６２は、前側と後側に位置する支持機構により、シートクッション支持フレーム１８に支持されている。後側に位置する後側支持機構６４は、クッションパン６２に、ブラケット６６を介して固定されたガイドレール６８と、後側連結バー５８Ｒに固定されたスライダ７０を含む。ガイドレール６８は円弧形状をしており、この円弧形状に沿ってスライダ７０は、ガイドレール６８に対してスライド可能である。前側支持機構は図示されていないが、後側支持機構６４と同様に円弧形状のガイドレールとスライダを含む。前側および後側支持機構のガイドレールとスライダが相対移動可能であり、これにより、クッションパン６２、すなわちシートクッション１４は、左右方向の回動が許容されている。シートクッション１４は、図１に示す前方が下がった軸線Ａを中心に回動可能であり、軸線Ａ周りの回動を実現するように前側および後側支持機構のガイドレールが配置されている。

車両用シート１０には、シートクッション１４を中立位置、つまりシートクッション１４が左右方向において傾いていない水平状態となる位置に戻す戻し機構７２が設けられている。戻し機構７２は、車両用シート１０の前部に配置されている。戻し機構７２は、板ばねであるクッション戻しばね７４と、クッション戻しばね７４の有効長を変更する挟持機構７６を含む。クッション戻しばね７４は、板厚方向が左右方向に一致するよう配置されている。また、クッション戻しばね７４は、一端が、シートクッション支持フレーム１８、特に前方部材６０の下面に支持され、他端が、クッションパン６２から延びるばね固定ブラケット７８に固定されている。

図３～５は、戻し機構７２の詳細を示す図である。図３は、シートクッション支持フレーム１８とクッションパン６２と戻し機構７２を示す斜視図である。図４は戻し機構７２の側面図、図５は戻し機構７２を前方下方から斜めに見上げた状態を示す図である。ばね固定ブラケット７８は、クッションパン６２の底部に固定されており、クッションパン６２と一体となって軸線Ａ周りに回動する。ばね固定ブラケット７８の前端には、クッション戻しばね７４の下端が固定されている。一方、クッション戻しばね７４の上端部は、シートクッション支持フレーム１８の前方部材６０の下面に配置された支持機構８０に支持されている。支持機構８０は、前方部材６０の下面に回動可能に固定され、クッション戻しばね７４の表裏に配置された１対の支持ローラ８２を含む。支持ローラ８２は、その中心軸線がクッション戻しばね７４の長手方向に直交する方向に延びるように配置されており、クッション戻しばね７４の長手方向の動きを許容している。支持機構８０の構成は、前記の１対のローラを用いる構成に限らず、クッション戻しばね７４の表裏にブロックを配置し、クッション戻しばね７４がブロックの間を摺動して移動可能となる構成を採用することもできる。クッション戻しばね７４および表裏に配置されたブロックの材料を摩擦係数の小さい材料とすることができる。また、両者の接触面を潤滑してもよい。

挟持機構７６は、クッション戻しばね７４の表裏に配置された１対の挟持ローラ８４と、挟持ローラ８４を回転可能に支持するローラ支持ブロック８６を含む。ローラ支持ブロック８６は、シートクッション支持フレーム１８の前方部材６０に、左右方向に延びる軸線Ｂ周りに回動可能に搭載されている。また、ローラ支持ブロック８６は、左右方向に関して、前方部材６０に対して移動しない。ローラ支持ブロック８６が回動に伴い、ローラ支持ブロック８６の先端に備えられた挟持ローラ８４が旋回し、概略上下方向に移動する。図４および５において、挟持ローラ８４とローラ支持ブロック８６の移動範囲の上端の位置が実線で示され、下端の位置が一点鎖線で示されている。挟持ローラ８４の位置は、モータによりローラ支持ブロック８６を駆動して変更することができ、またリンク機構などの伝達機構を介して手動で変えることもできる。

挟持ローラ８４が移動範囲の上端位置にあるとき、シートクッション１４が回動すると、クッション戻しばね７４の下端が図５の矢印Ｃのように回動する。この回動に伴いクッション戻しばね７４がたわみ、クッション戻しばね７４の弾性力により、シートクッション１４には、これを中立位置に戻す方向に力（復元力）が作用する。このとき、クッション戻しばね７４の板ばねとして作用する部分は、主に挟持ローラ８４で挟持されている位置と、ばね固定ブラケット７８に固定された下端の間であり、この間の距離（有効長）は、比較的長い。このため、シートクッション１４の回動範囲（回動幅）は大きく、またクッション戻しばね７４のばね定数は低い。挟持ローラ８４を下方に移動させると、クッション戻しばね７４の有効長が短くなり、シートクッション１４の回動範囲は小さく、ばね定数は高くなる。挟持ローラ８４が下端まで移動すると、シートクッション１４の動きは規制され、シートクッション１４は固定される。

シートクッション１４の回動範囲およびばね定数を変更することができるので、例えば着座者の好みに応じて、これらの特性を変更することができる。

クッション戻しばね７４は、シートクッション支持フレーム１８側の端部を固定し、シートクッション１４側の端部をクッション戻しばね７４の長手方向に沿う動きを許容するように支持することもできる。また、挟持機構７６は、シートクッション１４側に配置し、シートクッション１４と共に回動するようにもできる。この場合、挟持ローラ８４が移動範囲の上端にあるとき、シートクッション１４が固定される。また、挟持ローラ８４は、クッション戻しばね７４の長手方向に沿って直線状に移動するようにしてもよい。さらに、挟持ローラ８４に替えて、自身が回転しない部材でクッション戻しばね７４を挟持するようにしてもよい。この場合、クッション戻しばね７４とこれを挟持する部材との間の摩擦が問題となるのであれば、摩擦を低減するために、例えば摩擦係数が小さい材料を選択するか、接触部分を潤滑するようにしてよい。

１０ 車両用シート、１２ メインフレーム、１４ シートクッション、１６ シートバック、１８ シートクッション支持フレーム、２０ シートバック支持フレーム、２６ シート脚、２８ フロア、５６ 側方部材、５８Ｆ 前側連結バー、５８Ｒ 後側連結バー、６０ 前方部材、６２ クッションパン、６４ 後側支持機構、６６ ブラケット
６８ ガイドレール、７０ スライダ、７２ 戻し機構、７４ クッション戻しばね（板ばね）、７６ 挟持機構、７８ ばね固定ブラケット、８０ 支持機構、８２ 支持ローラ、８４ 挟持ローラ、８６ ローラ支持ブロック。

Claims (2)

1. メインフレームと、
   前記メインフレームに対して左右方向に回動可能に支持されるシートクッションと、
   一端が前記メインフレームに、他端が前記シートクッションに支持され、前記シートクッションを中立位置へと付勢する板ばねと、
   前記メインフレームまたは前記シートクッションに設けられ、前記板ばねを挟持し、挟持位置を前記板ばねの長手方向に沿って変更可能な挟持機構と、
   を備え、
   前記板ばねの一端が前記シートクッションに固定され、前記板ばねの他端が前記メインフレームに固定された支持機構に支持され、前記支持機構は、前記板ばねの長手方向に沿った当該板ばねの前記メインフレームに対する相対移動を許容する、
   車両用シート。
2. 請求項１に記載の車両用シートであって、前記挟持機構は、前記板ばねの長手方向に沿って移動可能であり、かつ前記板ばねの表裏にそれぞれ接する２個の挟持ローラを含む、車両用シート。

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