(第1の実施の形態)
(機械構成)
図1は、第1の実施の形態の画像形成装置の要部の断面図である。一例ではあるが、第
1の実施の形態の画像形成装置1は、プリンタ機能、ファクシミリ機能、コピー機能、スキャナ機能のうち、複数の機能を備えたMFP(Multifunction Peripheral)となっている。
画像形成装置1は、図1に示すように、スキャナユニット3及び給紙ユニット4を有している。画像形成装置1は、スキャナユニット3により、光源を照射しながら原稿を走査して、原稿からの反射光をCCDセンサで受光して画像を読み取る。読み取った画像の画像データは、画像処理ユニットでガンマ補正処理、色変換処理、画像分離処理、階調補正処理等の画像処理がされた後、画像書き込みユニットへ送信される。
画像書き込みユニットは、書き込みを行う画像データに応じてレーザーダイオード(LD)を変調駆動し、一様に帯電され回転する各色用の感光体ユニット31~34に対して、レーザービームにより潜像の書き込みを行う。顕像ユニットは、潜像の書き込まれた書く感光体ユニット31~34にトナーを付着させ、画像データに対応する潜像を顕像化する。感光体ドラム上に顕像化された画像は、中間転写ユニットの中間転写ベルト36上に再転写される。具体的には、フルカラーコピーの場合、中間転写ベルト36上には、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーが順次重ねられて再転写が行われる。
このようなフルカラーのトナー画像が中間転写ベルト36上に作像されると、給紙ローラ40及び紙搬送ローラ39により、給紙ユニット4から転写紙41が給紙される。給紙された転写紙41は、レジストローラ38の位置で一端停止する。レジストローラ38は、中間転写ベルト36上のカラーのトナー画像が二次転写ローラ37の位置まで搬送されたタイミングで、転写紙41を二次転写ローラ37の位置まで搬送する。そして、紙転写部の二次転写ローラ37及び斥力ローラ43により、中間転写ベルト36から転写紙41に、4色同時にトナー画像が転写される。
トナー画像が転写された転写紙41は、搬送部を介して定着ユニット35に搬送される。定着ユニット35は、定着ローラ及び加圧ローラにより、転写紙41上にトナー画像を熱定着処理する。トナー画像が熱定着処理された転写紙41は、排紙ローラ45により排紙トレイ44上に排紙される。
次に、給紙ローラ40、紙搬送ローラ39、レジストローラ38、二次転写ローラ37等の各ローラは、モータを駆動源として回転駆動される。このような各ローラが回転駆動されることで転写紙41が搬送経路を搬送されるが、搬送経路上で転写紙41の紙詰まりが生ずる場合がある。このような紙詰まりとなった転写紙41を除去可能とするために、第1の実施の形態の画像形成装置は、例えばレジストローラ38から排紙ローラ45までが一体となった搬送ユニット46を、本体から引き出し可能となっている。
搬送ユニット46は、レジストローラ38、二次転写ローラ37、定着ローラ、排紙ローラ45の駆動源となるレジストモータ、二次転写モータ、定着モータ、排紙モータを制御するモータ制御装置を備えている。搬送ユニット46のモータ制御装置には、各モータを目標の回転速度で回転させるように、画像形成装置1の本体から回転指示信号及び電源供給が行われている。
また、搬送ユニット46は、いわゆるドロワ機構(引き出し機構)を介して、画像形成装置1の本体と電気的に接続されている。画像形成装置1の本体に対して搬送ユニット46が装着されている場合、画像形成装置1の本体からの回転指示信号の供給及び電源供給は、ドロワ機構を介して行われる。また、画像形成装置1の本体から搬送ユニット46が引き出された場合(動作電力の停止時の一例)、ドロワ機構により、画像形成装置1の本体と搬送ユニット46とが電気的に分離され、搬送ユニット46のモータ制御装置に対する回転制御信号の供給及び電源供給は停止される。
レジストローラ38、二次転写ローラ37、定着ローラ、排紙ローラ45で紙詰まりが発生した場合、レジストローラ38、二次転写ローラ37、定着ローラ、排紙ローラ45を回転させるノブを、手動で回転操作して詰まっている転写紙41を移動させて除去する。または、詰まっている転写紙41を、手で引き抜いて除去する。しかし、手動でローラを回転操作し、又は、詰まっている転写紙41を手で引き抜くことで、ローラが回転する。そして、このローラの回転に追従してレジストローラ38、二次転写ローラ37、定着ローラ、排紙ローラ45を回転駆動するレジストモータ、二次転写モータ、定着モータ、排紙モータが回転し、発電機の原理で起電力が発生する。
第1の実施の形態の画像形成装置1は、ドロワ機構により、画像形成装置1の本体と搬送ユニット46とが電気的に分離されている場合において、紙詰まりの復旧作業等により、ローラを介してモータが回転することで発生する起電力を用いて、モータにブレーキを掛けることで、大きな起電力が発生することで部品が破損する不都合等を防止するようになっている。詳しくは、後述する。
(ハードウェア構成)
図2は、画像形成装置1の概略的なハードウェア構成を示すブロック図である。この図2に示すように、画像形成装置1は、コントローラ60、スキャナエンジン55、プリンタエンジン56、電力供給ユニット(PSU:Power Supply Unit)57、搬送ユニット46、及び、操作部70を有する。
コントローラ60は、モータ制御装置58、CPU50、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)51、タイマ54、HDD53及びメモリ52を有する。CPU50~タイマ54、及び。モータ制御装置58は、それぞれバスラインを介して通信可能なように相互に接続されている。
操作部70は、液晶表示部(LCD:Liquid Crystal Display)とタッチセンサとが一体的に形成された、いわゆるタッチパネルとなっている。操作者は、操作部70に表示された操作ボタン(ソフトウェアキー)を接触操作することで、所望の動作を指定する。また、操作部70に隣接してテンキー、スタートボタン、リセットボタン、アプリ切り替えボタン等のハードウェアキーも設けられている。
スキャナエンジン55は、図1に示すスキャナユニット3を介して、原稿を光学的に読み取り制御する。プリンタエンジン56は、上述の画像書き込みユニットを介して転写紙41に画像を印刷する。CPU50は、画像形成装置1を統括的に制御する。ASIC51は、いわゆる大規模集積回路(LSI:Large-Scale Integration)となっており、スキャナエンジン55及びプリンタエンジン56で処理する画像に必要な各種の画像処理等を行う。搬送ユニット46は、モータ制御装置58を有している。
モータ制御装置58は、ステッピングモータを回転制御する場合、ステッピングモータコントローラ(STMC)として機能し、DCモータを回転制御する場合、DCモータコントローラ(DCMC)として機能する。モータ制御装置58には、回転速度指示、目標位置までの回転指示、回転方向の指示、及び、電流値切換え指示等の各指示信号が、ASIC51から供給される。モータ制御装置58は、ASIC51から供給される各指示信号に基づいて、図1を用いて説明したレジストモータ、二次転写モータ、定着モータ及び排紙モータの回転制御を行う。
メモリ52は、CPU50が実行する各種アプリケーション、及び、アプリケーションを実行する際に用いられる種々のデータを記憶する。HDD53は、画像データ、各種のプログラム、フォントデータ、及び、各種のファイル等を記憶する。なお、HDD53の代わり又はHDD53と共に、SSD(Solid State Drive)を設けてもよい。
電力供給ユニット(PSU)57は、コントローラ60、操作部70、スキャナエンジン55及びプリンタエンジン56に対して電力を供給する。
(モータ制御装置の構成)
次に、図3に、搬送ユニット46のモータ制御装置58のブロック図を示す。この図3に示すように、モータ制御装置58は、制御論理固定部82、制御部83、駆動部84、第2の電力供給部87及びレギュレータ(REG)88を有している。第2の電力供給部87及びREG88は、動作電力生成部の一例である。
制御論理固定部82には、例えばステッピングモータ(STM)又は直流ブラシレスモータ(DCブラシレスモータ)等の直流モータ85(以下、単にモータ85という)を回転制御するための「回転制御信号」が、図2に示すASIC51から供給されている。一例ではあるが、制御論理固定部82には、「回転制御信号」として、回転速度信号、イネーブル信号、ブレーキ信号及び回転方向信号が供給されている。
回転速度信号は、モータ85の回転速度を指示するための、例えばパルス幅変調信号(PWM信号)となっている。イネーブル信号は、画像形成装置1の本体に搬送ユニット46が装着されている間に出力される信号である。画像形成装置1の本体から搬送ユニット46が引き出されると、搬送ユニット46のモータ制御装置58に対するイネーブル信号の供給が停止する。モータ制御装置58は、イネーブル信号の供給が停止すると、安全面を考慮し、モータ85の回転駆動を禁止(停止)する。ブレーキ信号は、モータ85の回転停止を指示する信号である。回転方向信号は、モータ85の回転方向(CC(正転)/CCW(反転))を指示するための信号である。
制御論理固定部82は、画像形成装置1の本体に搬送ユニット46が装着されている状態(電気的(及び物理的)に接続されている状態)では、ASIC51からイネーブル信号が供給されているため、「イネーブル状態(有効)」となり、ASIC51からの各信号を制御部83に供給する。これに対して、画像形成装置1の本体から搬送ユニット46が引き出された状態では、ASIC51からのイネーブル信号の供給が停止するため、制御論理固定部82は「ディセーブル状態(無効)」となり、制御部83に対する各種信号の供給を停止する。これにより、画像形成装置1の本体から搬送ユニット46が引き出された状態では、モータ85の回転駆動を禁止して、画像形成装置1の安全性を担保することができる。
制御部83は、制御論理固定部82から供給された各信号に基づいて、モータ85を回転駆動するための駆動制御信号を駆動部84に供給する。駆動部84は、制御部83から供給される回転速度信号、イネーブル信号、ブレーキ信号、及び、回転方向信号に基づいて、モータ85を回転駆動する。これにより、モータ85を、ASIC51で指示された回転速度、回転方向、及び、回転位置に回転制御できる。
ここで、ローラに転写紙41が詰まった場合、画像形成装置1の本体から搬送ユニット46を引き出して、ローラに詰まっている転写紙41を取り除く、復旧作業を行う。この復旧作業の際、ローラに詰まっている転写紙41を手で引き抜くことで、ローラを介してモータ85が回転駆動され、モータ85で起電力が発生する。後述するが、制御論理固定部82は、この起電力で「イネーブル状態(有効)」となり、制御部83及び駆動部84を介してモータ85にブレーキ信号を供給する。これにより、復旧作業時に発生した起電力で、モータ85にブレーキを掛けて起電力の発生を抑制することができ、復旧作業で発生した起電力で各部の部品が破損する不都合を防止することができる。
具体的に説明すると、図3に示す実線は、搬送ユニット46が画像形成装置1の本体に装着された状態での電力供給ルートを示している。搬送ユニット46が画像形成装置1の本体に装着された状態では、図3の実線で示す電力供給ルートで、電力供給ユニット57からの第1の電力の供給が行われる。また、REG88は、第1の電力に基づいて、制御部83の制御ロジック用の所定電圧(例えば5V)の電力を生成し、これを図3に一点鎖線で示すように、制御部83に供給する。これにより、制御論理固定部82~駆動部84が動作してモータ85が回転駆動される。
これに対して、図3の点線は、搬送ユニット46を画像形成装置1の本体から引き出し、ローラに詰まっている転写紙41を取り除く際に、モータ85で発生した起電力の流れを示している。搬送ユニット46が画像形成装置1の本体から引き出された場合、制御論理固定部82がディセーブル(無効)状態となるため、モータ85の回転駆動が禁止される。
しかし、モータ85で発生した所定電圧以上の起電力をREG88が検知すると、第2の電力供給部87から制御論理固定部82及び制御部83に、発生した起電力が供給されて動作状態となる。また、制御論理固定部82は、発生した起電力によりディセーブル(無効)状態となる。制御論理固定部82は、発生した起電力によりディセーブル(無効)状態となるとブレーキ信号を生成して制御部83に供給する。制御部83及び駆動部84は、ブレーキ信号に基づいて、モータ85にブレーキを掛ける。
これにより、搬送ユニット46を画像形成装置1の本体から引き出した状態で紙詰まりに対する復旧作業を行った際に、モータ(レジストモータ、二次転写モータ、定着モータ、排紙モータ)の回転により発生した起電力を用い、モータ85に対してブレーキを掛け、起電力の発生量を抑制することができる。
(主要部の回路構成)
次に、図4に、第1の実施の形態の画像形成装置1の主要部となるコントローラ60及びモータ制御装置58の概略的な回路図を示す。この図4に示す例は、モータ85として3相直流ブラシレスモータが設けられている例である。この図4に示すように、画像形成装置1の本体に設けられているコントローラ60は、回転速度信号ライン91、イネーブル信号ライン92、ブレーキ信号ライン93、回転方向信号ライン94、第1の電力供給ライン95、及び、接地ライン89を介して、搬送ユニット46のモータ制御装置58に接続されている。
回転速度信号ライン91~回転方向信号ライン94は、コントローラ60のASIC51と、モータ制御装置58の制御部(プリドライバ)83を接続している。制御論理固定部82は、モータ制御装置58内において、制御部83の前段に設けられている。具体的には、制御論理固定部82は、回転速度信号ライン91と接地との間にプルダウン抵抗R1を、イネーブル信号ライン92と接地との間にプルダウン抵抗R2を、ブレーキ信号ライン93と接地との間にプルダウン抵抗R3を、回転方向信号ライン94と接地との間にプルダウン抵抗R4を、それぞれを有する。
また、制御論理固定部82は、モータ85の起電力に基づいて第2の電力供給部87で形成された第2の電力が供給される電力入力端子99とイネーブル信号ライン92との間にプルアップ抵抗R6を、第2の電力が供給される電力入力端子100とブレーキ信号ライン93との間にプルアップ抵抗R7を、それぞれ有する。
駆動部84は、3相直流ブラシレスモータのU相に対応するFET(電界効果トランジスタ)等のトランジスタQ1、Q4、V相に対応するトランジスタQ2、Q5、及び、W相に対応するトランジスタQ3、Q6を有している。なお、各トランジスタQ1~Q6は、それぞれボディダイオードを有している。
U相に対応するトランジスタQ1のドレインは、U相に対応するトランジスタQ4のソースに接続されている。V相に対応するトランジスタQ2のドレインは、V相に対応するトランジスタQ5のソースに接続されている。W相に対応するトランジスタQ3のドレインは、W相に対応するトランジスタQ6のソースに接続されている。
各相のトランジスタQ1~Q3のソースは、電力供給ユニット57からの第1の電力が供給される電力入力端子90に、それぞれ共通接続されている。また、また、各相のトランジスタQ4~Q6のドレインは、それぞれ接地されている。また、各相のトランジスタQ1~Q6のゲートは、制御部(プリドライバ)83にそれぞれ接続されている。
モータ85のU相用の駆動電力は、U相のトランジスタQ1のドレイン及びトランジスタQ4のソースの接続間から取り出される。また、モータ85のV相用の駆動電力は、V相のトランジスタQ2のドレイン及びトランジスタQ5のソースの接続間から取り出される。さらに、モータ85のW相用の駆動電力は、W相のトランジスタQ3のドレイン及びトランジスタQ6のソースの接続間から取り出される。
制御部83には、直流駆動電源として、電力入力端子93を介して上述の第1の電力が供給されている。また、制御部83には、モータ制御装置58のREG88で形成され、電力出力端子94を介して出力される制御ロジック用の電力が、電力入力端子95を介して供給されている。
制御部83は、ASIC51から制御論理固定部82を介して供給される回転速度信号、イネーブル信号、ブレーキ信号、及び、回転方向信号に基づいて、駆動部84の各相のトランジスタQ1~Q6をオンオフ制御し、モータ85を回転駆動する。エンコーダ64は、駆動部84により回転駆動されるモータ85の回転速度及び回転方向を示す検出信号を、コントローラ60のASIC51に供給する。ASIC51は、エンコーダ64からの検出出力に基づいて、モータ85を、所望の回転速度及び回転方向に回転制御するための回転速度信号、イネーブル信号、ブレーキ信号、及び、回転方向信号を、制御論理固定部82を介して制御部83に供給する。これにより、モータ85を所望の回転速度及び回転方向に回転制御できる。
次に、第1の実施の形態の画像形成装置1は、画像形成装置1の本体から搬送ユニット46が引き出された状態において、ローラに詰まっている搬送紙41(シート状媒体の一例)が引き抜かれることでモータ85が手動で回転駆動され起電力が発生した場合、この発生した起電力を用いて、ブレーキ信号を形成するための第2の電力、及び、制御部83の制御ロジック用の電源を形成する。具体的には、モータ85で発生した起電力は、駆動部84の電力入力端子91を介して逆流し、電力入力端子93を介して制御部83に供給されると共に、モータ制御装置58の電力入力端子96を介してREG88に供給される。
すなわち、REG88の入力端子88aは、コントローラ60側の電力入力端子92、及び、モータ制御装置58側の電力入力端子96に接続されている。REG88の入力端子88aには、画像形成装置1の本体に搬送ユニット46が装着されている間は、コントローラ60側の電力入力端子92から第1の電力が供給される。また、画像形成装置1の本体から搬送ユニット46が引き出されている間は、第1の電力の供給が停止されるため、REG88の入力端子88aには、モータ85で起電力が発生した際に、モータ制御装置58の電力入力端子96を介して起電力が供給される。
REG88は、電圧検知部を備えており、例えば24V等の、5V以上の電力が供給されている間、例えば5V等の所定電圧の第2の電力を出力する。換言すれば、REG88は、5V以上となる、例えば24Vの電圧を電圧変換処理することで、例えば5Vの電圧の信号を生成して出力する。
REG88の出力端子88bは、第2の電力供給部87を形成するTFT等のトランジスタQ9のソースに接続されている。トランジスタQ9のゲートは、コントローラ60側の接地ライン89を介して接地されている。また、REG88の出力端子88bとトランジスタQ9のソースとの間には、制御部83の制御ロジック用の電力を出力するための電力出力端子94が接続されている。制御ロジック用の電力は、REG88により生成され、電力出力端子94及び電力入力端子95を介して制御部83に供給される。
また、REG88の出力端子88bとトランジスタQ9のソースとの間には、プルアップ抵抗R9の一端が、電力出力端子94に対して直列に接続されている。また、プルアップ抵抗R9の他端は、コントローラ60側の接地ライン89とトランジスタQ9のゲートを接続するラインに接続されている。また、トランジスタQ9のドレインは、第2の電力供給部87で形成された第2の電力を出力する電力出力端子97に接続されている。
画像形成装置1の本体に搬送ユニット46が装着されている間は、REG88において、第1の電力に基づいて形成された制御ロジック用の電力が、電力出力端子94及び電力入力端子95を介して制御部83に供給される。この際、トランジスタQ9のゲートに供給される電力は、プルアップ抵抗R9を介してコントローラ60側で接地される。このため、トランジスタQ9はオフ状態となる。この場合、制御部95は、第1の電力供給部88から供給される第1の電力、及び、REG88により生成され、電力出力端子94及び電力入力端子95を介して供給される制御ロジック用の電力により動作する。
これに対して、画像形成装置1の本体から搬送ユニット46が引き出されている場合、コントローラ側の電力入力端子95及び接地ライン89が、モータ制御装置58から電気的に切り離され、モータ制御装置58には、電力供給ユニット57からの第1の電力が供給されない状態となる。この状態において、紙詰まりの復旧作業により、ローラが回転駆動され、モータ85に起電力発生すると、この起電力が、電力入力端子90を介して逆流し、制御部83の電力入力端子93に供給されると共に、モータ制御装置58の電力入力端子96を介してREG88に供給される。
REG88は、モータ85の起電力が例えば5V以上の電圧であった場合、例えば5Vの電力を生成する。この5Vの電力は、電力出力端子94及び電力入力端子95を介して、制御ロジック用の電力として制御部83に供給される。また、5Vの電力は、トランジスタQ9のソースに供給される。さらに、コントローラ60の接地ライン89が電気的に切り離されているため、REG88で生成された5Vの電力は、プルアップ抵抗9を介して、トランジスタQ9のゲートに供給され、トランジスタQ9がオン動作する。
トランジスタQ9がオン動作すると、REG88で生成された5Vの電力が第2の電力として、出力制御端子97、制御論理固定部82の各電力入力端子99,100及び各プルアップ抵抗R6,R7を介して制御部83に供給され、制御部83がイネーブル状態となる。制御部83は、モータ85の起電力に応じたパルス幅の回転速度信号及び回転方向信号を参照し、ブレーキ信号に基づいて、モータ85の回転にブレーキを掛けるように、トランジスタQ1~Q6をオンオフ制御する。
これにより、紙詰まりの復旧作業時に、ローラと共にモータ85が回転駆動されることで発生した起電力を用いてモータ85にブレーキを掛けることができる。従って、モータ85で大きな起電力が発生する前に、起電力が徐々に小さくなるようにブレーキを掛けて起電力の発生を抑制することができ、モータ85で発生した起電力の逆流により各部の部品が破損する不都合を防止できる。
(ブレーキを掛けることによる起電力の抑制動作)
次に、図5のフローチャート及び図6のタイムチャートを用いて、第1の実施の形態の画像形成装置1における、上述した起電力の抑制動作を説明する。なお、以下一例として、モータ85は、3相の直流ブラシレスモータであるとする。また、紙詰まりした搬送紙41を手で引き抜いて取り除く際に、紙詰まりしていたローラを介して、例えばレジストモータ、二次転写モータ、定着モータ又は排紙モータ等のモータ85が回転駆動され、起電力が発生する場合を例として説明する。
図5のフローチャートは、紙詰まり時の復旧作業により、モータ85で起電力が発生してから、モータ85にブレーキを掛けるまでの各部の動作を示すフローチャートである。また、図6は、各部の信号波形又は状態を示すタイムチャートである。この図6のうち、図6(a)は、第1の電力の信号波形、図6(b)は、制御部83に供給される制御ロジック用の電力の波形、図6(c)は、第2の電力供給部87で形成される第2の電力の波形を示している。
また、図6(d)は、モータ85に供給されるモータ駆動電流の波形、図6(e)は、制御部83に供給される回転速度信号(PWM信号)の信号波形、図6(f)は、制御部83に供給されるイネーブル信号の信号波形、図6(g)は、制御部83に供給されるブレーキ信号の信号波形を示している。また、図6(h)は、第2の電力供給部87のトランジスタQ9のゲート電圧の波形、図6(i)は、各タイミングにおける制御論理固定部82の状態、図6(j)は、各タイミングにおけるASIC51からモータ85に対する回転指示の内容、図6(k)は、各タイミングにおける画像形成装置1の状態を示している。
(印刷指示から紙詰まりが生ずるまでの動作)
まず、第1の実施の形態の画像形成装置1で印刷を行い紙詰まりが生ずるまでの動作を説明する。なお、後述する紙詰まりが生じ、画像形成装置1の本体から搬送ユニット46が引き出されるまでの間は、画像形成装置1の本体に対して搬送ユニット46が装着されていることとして説明を進める。
画像形成装置1にメイン電源が投入され、図6(k)に示すように画像形成装置1が「起動状態」となると、図3に示した第1の電力供給部88(例えば24V電源)及びREG88(例えば5V電源)等が起動すると共に(図6(a)、図6(b)参照)、図2に示すCPU50及びASIC51により、起動チェック、所定のソフトウェアのダウンロード、レジスタ値の設定等が行われる。
このような起動時における情報処理が終了すると、画像形成装置1は、図6(k)に示すように印刷等の動作の「待機状態」に移行する。この段階の「待機状態」は、ユーザからの印刷指示待ちの状態であり、制御論理固定部82の各電力入力端子99,100には、図6(c)に示すように、後述するモータ85の起電力に基づいて形成される第2の電力は供給されていない。
このため、制御論理固定部82は、図6(i)に示すようにディセーブル(Disable)状態となる。制御論理固定部82がディセーブル状態では、各プルダウン抵抗R1~R4が有効となり、ASIC51から制御部83に対して、PWM信号、イネーブル信号、ブレーキ信号等の供給待ちの状態となる。このため、図6(d)に示すように、モータ85に対してモータ駆動電流も供給されない。
次に、ユーザにより、印刷の開始指示操作が行われると、ASIC51から図6(d)に示すハイレベルの回転速度信号(アサート)、図6(f)に示すハイレベルのイネーブル信号(アサート)、及び、回転方向信号(アサート)が、制御論理固定部82を介して制御部83に供給される。なお、この段階では、ブレーキ信号は、制御部83に供給されない(ネゲート)。また、この段階では、制御論理固定部82は、無効(機能せず)の状態となる。
制御部83は、回転速度信号及び回転方向信号に基づいて、モータ85が、ASIC51から指示された回転速度及び回転方向に回転するように、駆動部84の各トランジスタQ1~Q6をオンオフ制御する。これにより、印刷動作が行われている間、図6(d)に示すように、モータ85に対してモータ駆動電流が供給され、モータ85が、ASIC51から指示された回転速度及び回転方向に回転駆動される。
次に、印刷が終了すると、画像形成装置1は、図6(k)に示すように「待機状態」に移行し、図6(j)及び図6(g)に示すようにASIC51から制御部83にハイレベルのイネーブル信号(アサート)及びハイレベルのブレーキ信号(アサート)が供給される。制御部83は、ブレーキ信号が供給されると、駆動部84の各トランジスタQ1~Q6を一つ又は複数ずつ(或いは、全て一度に)オン制御する。これにより、電力入力端子90から供給される第1の電力が徐々に又は一度に接地され、モータ85の回転が停止する(ブレーキが掛かる)。
(紙詰まり復旧作業により発生した起電力の抑制動作)
ここで、印刷した搬送紙41がローラに絡まり、紙詰まりが発生したとする。この場合、ユーザは、画像形成装置1のユニットカバーを開き(図6(k)の「ドア開」)、画像形成装置1の本体から搬送ユニット46を引き出す。画像形成装置1のユニットカバーにはインターロック機構が設けられており、ユニットカバーが開状態となると、リレー回路等がオフとなり、例えば24V電源である第1の電力、及び、例えば5V電源である制御部83の制御ロジック用の電力の供給が停止される。また、コントローラ60とモータ制御装置58との間の接地ライン89が電気的に切断された状態となり、それまで接地されていたREG88の出力が、プルアップ抵抗R9を介して、第2の電力供給部87のトランジスタQ9のゲートに供給される状態となる。
なお、画像形成装置1の本体から搬送ユニット46を引き出した状態では、ASIC51から制御部83に対して供給される信号は存在しないため、制御論理固定部82が有効となり論理固定はディセーブル状態となる。また、モータ85には、駆動電力は供給されない。
次に、ユーザは、ローラに絡まっている搬送紙41を手動で引き抜いて除去する(図6(k)の「引出抜去」を参照)。ローラに絡まっている搬送紙41を手動で引き抜くと、ローラが回転することで、ローラに直結されているモータ85も回転し、モータ85においてローラの回転速度に対応する、例えば50V等の起電力が発生する。この起電力は、駆動部84の第1~第3のトランジスタQ1~Q3のボディダイオードを介して電力入力端子90を逆流し、制御部83の電力入力端子93、及び、REG88の入力端子88aに接続された電力入力端子96に供給される。
図6(a)の紙引抜き後に発生する三角波形は、電力入力端子96を介してREG88に供給される上述の起電力の波形である。図6(a)の点線のレベルは、REG88が例えば5V等の所定電圧の電力を生成するか否かを判別するための閾値を示している。REG88は、電力入力端子96を介して供給された起電力の電圧が、この閾値以上の電圧であるか否かを判別する。図5のフローチャートのステップS1は、このREG88による判別動作を示している。REG88により、閾値以上の電圧の起電力が供給されたと判別されると(ステップS1:Yes)、ステップS2に処理が進む。なお、閾値未満の電圧の起電力が供給されている間は(ステップS1:No)、REG88は、以下に説明する5Vの電力を生成することなく、供給される起電力の電圧を監視する。
CPU50(又はASIC51)は、第2の電力供給部87のトランジスタQ9のゲート電圧を監視している。画像形成装置1の本体に搬送ユニット46が装着されている場合、トランジスタQ9のゲートに供給される電力は、コントローラ60側で接地されるため、ゲート電圧値は「0V」となる。このため、CPU50は、トランジスタQ9のゲート電圧が「0V」の場合、画像形成装置1の本体に搬送ユニット46が装着されていると判別する(ステップS2:No)。
これに対して、画像形成装置1の本体から搬送ユニット46が引き出された場合、コントローラとモータ制御装置58との間の接地ライン89が電気的に切り離されるため、図6(h)に示すように、トランジスタQ9のゲートに、所定以上の電圧が現れる。トランジスタQ9のゲートに、所定以上の電圧が現れたことを検出すると、CPU50は、画像形成装置1の本体から搬送ユニット46が引き出された(接地検知=分離)と判別する(ステップS2:Yes)。
次に、CPU50により、画像形成装置1の本体から搬送ユニット46が引き出されたと判別されると、REG88は、ステップS3において、電力入力端子96を介して供給された起電力に基づいて、例えば図6(b)に示す5Vの電力を生成する。この5Vの電力は、モータ85で発生した起電力が、図6(a)に点線で示す閾値以上の電圧となっている間に生成されるハイレベルの信号(図6(b)参照)である。この5Vの電力は、電力出力端子94及び電力入力端子95を介して、制御ロジック用の電力として制御部83に供給されると共に、プルアップ抵抗R9を介してトランジスタQ9のゲートに供給される。これにより、トランジスタQ9がオン動作し、REG88で生成された5Vの電力が、図6(c)に示す第2の電力として、電力出力端子97及び制御論理固定部82の各電力入力端子99,100を介して制御部83に供給される。
換言すると、画像形成装置1の本体から搬送ユニット46が引き出され、ASIC51からの回転速度信号等の回転制御信号が供給されない状態となると、制御論理固定部82は、図6(f)及び図6(g)に示すように、イネーブル信号及びブレーキ信号が、それぞれハイレベルとなる論理固定の状態となる(制御論理固定部82が有効となる)。すなわち、制御論理固定部82は、図6(i)に示すように、「ブレーキ」の状態に遷移する。
制御部83は、ブレーキ信号が供給されている間、ステップS4において、駆動部84のトランジスタQ1~Q6を一つ又は複数個ずつ(或いは、全て一度に)オフ制御する。これにより、モータ85で発生した起電力が接地され、モータ85に供給される駆動電流は、図6(d)に示すように徐々に減少させて、起電力の発生を抑制することができる。このため、モータ85の起電力を用いて、モータ85にブレーキを掛けてモータ85を停止させることができ、モータ85で発生した起電力でトランジスタQ1~Q6等の部品が破損する不都合を防止できる。
モータ85で発生した起電力が接地されると、REG88に供給される起電力が所定電圧未満となるため、REG88における第2の電力の生成が停止し、制御論理固定部82がディセーブル状態に遷移する。引き出されていた搬送ユニット46が、画像形成装置1の本体に装着し直され、ユニットカバーが閉じられると、コントローラ60と搬送ユニット46との電気的な接続が回復し、図6(i)に示すように、画像形成装置1の状態が待機状態に移行し、印刷の指示待ちの状態となる。
(第1の実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、第1の実施の形態の画像形成装置1は、ローラに詰まった搬送紙41を手動で引き抜く際にモータ85が回転駆動されることで発生する起電力を用いてブレーキ信号を形成する。そして、このブレーキ信号に基づいて、モータ85にブレーキを掛ける。
これにより、画像形成装置1の本体から搬送ユニット46が引き出されることで、画像形成装置1の直流駆動電源となる第1の電力の供給(給電)が停止された状態でも、モータ85の起電力に基づいて正常動作して、モータ85にブレーキを掛けることができる。このため、搬送ユニット46が引き出されることで給電を停止して安全性を維持しつつ、モータ85で発生した起電力に基づいて動作して、モータ85にブレーキを掛けて、起電力の発生を抑制することができる。そして、モータ85で発生した起電力により、トランジスタQ1~Q6等の部品が破損する不都合を防止できる。
また、図6(f)に示したように、イネーブル信号生成部の一例であるASIC51が、ハイレベルのイネーブル信号を形成する期間は、モータ85を回転制御又はブレーキ制御する期間となっている。このため、モータ85の駆動制御に必要な期間のみ、イネーブル信号をハイレベルとすることができるため、画像形成装置1の省電力化を図ることができる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態の画像形成装置の説明をする。上述の第1の実施の形態の画像形成装置1は、モータ85に発生した起電力を用いてモータ85にブレーキを掛ける例であった。これに対して、第3の実施の形態の画像形成装置は、起電力発生時におけるモータ85の回転方向に対して反対方向に回転駆動して、モータ85の回転位置を「保持」することで、起電力の発生を抑制する例である。なお、上述の第1の実施の形態と、以下に説明する第2の実施の形態とでは、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
(第2の実施の形態の要部の構成)
図7は、第2の実施の形態の画像形成装置における本体側に設けられたコントローラ60と、搬送ユニット46側に設けられたモータ制御装置58との接続関係を示す回路図である。この図7において、上述の第1の実施の形態の説明で用いた図4と異なる点は、ブレーキ信号が送信されるブレーキ信号ライン93に対して設けられていたプルアップ抵抗(図4のプルアップ抵抗R7を参照)が無く、代りに、回転速度信号ライン91にプルアップ抵抗R11が、イネーブル信号ライン92にプルアップ抵抗R12が、そして、回転方向信号ライン94にプルアップ抵抗R13が、それぞれ設けられている点である。
各プルアップ抵抗R11~R13には、上述のように紙詰まりの復旧作業時において、モータ85に起電力が発生することで、第2の電力供給部87で生成された第2の電力が、電力出力端子97から各電力入力端子151~153を介してそれぞれ供給される。
(第2の実施の形態の起電力の抑制動作)
図8は、第2の実施の形態の画像形成装置における、各部の信号波形又は状態を示すタイムチャートである。この図8のうち、図8(a)は、上述の第1の電力の信号波形、図8(b)は、制御部83に供給される制御ロジック用の電力の波形、図8(c)は、第2の電力供給部87で形成される第2の電力の波形を示している。
また、図8(d)は、モータ85に供給されるモータ駆動電流の波形、図8(e)は、制御部83に供給される回転速度信号(PWM信号)の信号波形、図8(f)は、制御部83に供給されるイネーブル信号の信号波形、図8(g)は、制御部83に供給される回転方向信号の信号波形を示している。また、図8(h)は、第2の電力供給部87のトランジスタQ9のゲート電圧の波形、図8(i)は、各タイミングにおける制御論理固定部82の状態、図8(j)は、各タイミングにおけるASIC51からモータ85に対する回転方向指示の内容、図8(k)は、各タイミングにおける画像形成装置の状態を示している。
まず、画像形成装置の本体に搬送ユニット46が装着されており、ユーザにより印刷が指示された場合、画像形成装置は、図8(k)に示すように印刷実行状態(印刷)に移行する。この印刷実行状態となると、CPU50は、ASIC51に対して印刷の状態に応じてモータ85の回転方向を指示する。図8(k)の例は、モータ85の正転及び逆転が、順にCPU50からASIC51に指示された例である。モータ85を正転させる場合、図8(g)に示すようにASIC51からローレベルの回転方向信号が制御部83に供給され、モータ85を逆転させる場合、図8(g)に示すようにASIC51からハイレベルの回転方向信号が制御部83に供給される。
制御部83は、図8(f)に示すイネーブル信号がハイレベルの際に、回転方向信号を取得してモータ85の回転方向を認識し、図8(e)に示す回転速度信号で示される回転速度で回転するように、図8(d)に示すモータ駆動電流を、駆動部84を介してモータ85に供給する。
ここで、このような印刷を行うことで、ローラに対して搬送紙41が紙詰まりを起こしたとする。この場合、ユーザは、図8(k)に示すようにユニットカバーを開き(ドア開)、画像形成装置の本体から搬送ユニット46を引き出して、詰まっている搬送紙41を手動で引き抜いて除去する(引出抜去)。この搬送紙41を引き抜くことで、ロータを介してモータ85が回転し起電力が発生する。この起電力は、電力出力端子90を介して逆流し、電力入力端子96を介してREG88に供給される。REG88は、図8(a)の点線で示す閾値以上の起電力が供給されている間、図8(b)に示すように、例えば5Vの制御ロジック用の電力を生成する。
画像形成装置の本体から搬送ユニット46が引き出されている状態では、上述のように接地ライン89が電気的に切断されるため、図8(h)に示すように、REG88で生成されたハイレベルの電力が第2の電力供給部87のトランジスタQ9に供給される。これにより、トランジスタQ9がオン動作し、第2の電力供給部87において、図8(c)に示すように、第2の電力が生成される。この第2の電力は、電力出力端子97を介して各電力入力端子151~153に供給される。
これにより、REG88に対して閾値以上の起電力が供給されている間、図8(e)に示すハイレベルの回転速度信号が。プルアップ抵抗R11を介して制御部83に供給される。また、REG88に対して閾値以上の起電力が供給されている間、図8(f)に示すハイレベルのイネーブル信号が、プルアップ抵抗R12を介して制御部83に供給され、図8(g)に示す、モータ85の逆回転を指示するハイレベルの回転方向信号が。プルアップ抵抗R13を介して制御部83に供給される。
制御部83は、図8(f)に示すハイレベルのイネーブル信号に基づいて、図8(g)に示す回転方向信号、及び、図8(e)に示す回転速度信号を取得する。そして、取得した回転速度信号で指示された回転速度で、モータ85を逆回転させるモータ駆動電流(図8(d)参照)を、駆動部84の各トランジスタQ1~Q6を介してモータ85に供給して、モータ85を逆回転制御する。これにより、図8(i)に示すようにモータで発生した起電力を用いて、モータ85を逆回転制御し、起電力の発生を抑制することができる。
(第2の実施の形態の効果)
このように、第2の実施の形態の画像形成装置は、発生した起電力に基づいて、モータ85を逆回転制御することで、モータ85における起電力の発生を抑制する。これにより、上述の第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態の画像形成装置の説明をする。上述の各実施の形態の画像形成装置は、モータ85として設けられた3相直流ブラシレスモータに、起電力に基づいてブレーキを掛け、又は、起電力発生時の回転方向に対して反対方向にモータ85を回転制御して、起電力の発生を抑制する例であった。これに対して、第3の実施の形態の画像形成装置は、2相ユニポーラステッピングモータ(STM)で発生した起電力に基づいて、STMの回転位置を「保持」することで、起電力の発生を抑制する例である。なお、上述の各実施の形態と、以下に説明する第3の実施の形態とでは、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
(第3の実施の形態の要部の構成)
図9に、第3の実施の形態の画像形成装置における搬送ユニット46のモータ制御装置58のブロック図を示す。この図9に示すように、モータ制御装置58は、制御論理固定部172、設定電流切換え部173、制御部174、駆動部175、及び、REG176を有している。
制御論理固定部172は、画像形成装置の本体から搬送ユニット46が引き出された際に、動作状態が有効となり、例えば2相ユニポーラステッピングモータ(STM)であるモータ177で発生した起電力に基づいてイネーブル信号を生成し、STMドライバである制御部174に供給する。
設定電流切換え部173は、モータ177に供給する電圧値を、例えば高レベル(第1のレベル)、中レベル(第2のレベル)及び低レベル(第3のレベル)の3段階に切り替え制御する。具体的には、画像形成装置の本体に搬送ユニット46が装着されている状態において、モータ177を回転制御する際には、高レベルの電圧をモータ177に印加する。また、画像形成装置の本体に搬送ユニット46が装着されている状態において、モータ177のステップを進めることなく(回転させることなく)、励磁のみを行う「保持状態」にモータ177を制御する際には、中レベルの電圧をモータ177に印加する。さらに、画像形成装置の本体から搬送ユニット46が引き出された状態において、モータ177を上述の「保持状態」に制御する際には、低レベルの電圧をモータ177に印加する。詳しくは、後述する。
制御部174は、設定電流切換え部173で設定された電圧をモータ177に印加するように、駆動部175のトランジスタをオンオフ制御する。駆動部175は、制御部174の制御に応じて各トランジスタをオンオフ動作させることでモータ177を駆動し、モータ177を回転状態又は保持状態とする。
REG176は、接続検知部251及び第2の電力供給部252を有している。接続検知部251は、画像形成装置の本体に対して搬送ユニット46が装着(電気的に接続)されているか否かを検知する。第2の電力供給部252は、接続検知部251により、画像形成装置の本体から搬送ユニット46が引き出された状態であることが検知され、モータ177で起電力が発生した際に、この起電力に基づいて、モータ177を上述の保持状態とするための第2の電力を生成し、各部に供給する。なお、接続検知部251により、画像形成装置の本体に搬送ユニット46が装着された状態であることが検知されている間は、REG176で生成された第2の電力は、画像形成装置の本体のコントローラ60側で接地される。
図10は、画像形成装置の本体側のコントローラ60と、搬送ユニット46側のモータ制御装置58との電気的な接続関係を説明するための回路図である。この図10に示すようにコントローラ60のASIC171と、モータ制御装置58の制御部174は、所定周波数のクロック信号(CLK信号)が供給されるクロック信号ライン178、イネーブル信号が供給されるイネーブル信号ライン179及び電流設定信号が供給される電流設定信号ライン180を介して接続されている。
モータ制御装置58側において、クロック信号ライン178には、接地との間に制御論理固定部172のプルダウン抵抗R24が設けられている。また、モータ制御装置58側において、イネーブル信号ライン179には、接地との間に制御論理固定部172のプルダウン抵抗R25が設けられている。また、モータ制御装置58側において、イネーブル信号ライン179には、画像形成装置の本体から搬送ユニット46が引き出されている際に、モータ177で発生した起電力に基づいて生成された第2の電力が供給される電力供給端子194との間に、制御論理固定部172のプルアップ抵抗R21が設けられている。
電流設定信号ライン180には、モータ177に対して供給する電圧を上述のように高中低の3段階に切り換え制御する設定電流切換え部173が設けられている。設定電流切換え部173には、画像形成装置の本体に搬送ユニット46が装着されている場合に、第1の電力に基づいてREG176で形成される電力が供給される電力入力端子195が設けられている。また、設定電流切換え部173には、画像形成装置の本体から搬送ユニット46が引き出された場合に、モータ177で発生した起電力に基づいてREG176で形成される第2の電力が供給される電力入力端子196が設けられている。
設定電流切換え部173は、電力入力端子195を介して、第1の電力に基づいて生成された電力が供給されると(=画像形成装置の本体に搬送ユニット46が装着されている場合)、高レベルの電圧に切り換えることでモータ177を回転状態に制御し、中レベルに切り換えることでモータ177を保持状態に制御する。また、設定電流切換え部173は、電力入力端子196を介して、モータ177の起電力に基づいて生成された第2の電力が供給されると(=画像形成装置の本体から搬送ユニット46が引き出されている場合)、低レベルの電圧に切り換えることでモータ177を保持状態に制御する。
駆動部175は、第1の電力が供給される電力入力端子182を有している。また、駆動部175は、電力入力端子182と接地との間に、トランジスタQ11~Q14を有している。電力入力端子182は、モータ177に接続されている。また、各トランジスタQ11~Q14のソースは、センタータップを備えたA相及びB相の2相ユニポーラステッピングモータであるモータ177のA相、Aバー相、B相及びBバー相にそれぞれ接続されている。各トランジスタQ11~Q14のドレインは共通接地されている。また、各トランジスタQ11~Q14のゲートは、制御部174に接続されている。
制御部174は、上述の第1の電力が供給される電力入力端子183と、REG176で生成される制御ロジック用の電力が供給される電力入力端子191を有している。制御部174は、各電力入力端子183、191を介して供給される電力に基づいて動作し、制御論理固定部172及び設定電流切換え部173を介して供給される各信号に基づいて駆動部175の各トランジスタQ11~Q14をオンオフ駆動する。これにより、モータ177が回転駆動される。
REG176は、第1の電力又はモータ177で発生した起電力が供給される電力入力端子176aと、接続検知部251からの接続検知信号(CE信号)が供給される入力端子176cを有している。また、REG176は、第2の電力を出力する電力出力端子176bを有している。
REG176の電力入力端子176aは、画像形成装置の本体のコントローラ60側に設けられ、電力供給ユニット57で形成される第1の電力が供給される電力入力端子181に接続されている。また、REG176の電力入力端子176aは、画像形成装置の本体から搬送ユニット47が引き出された状態において、モータ177で発生した起電力が供給される電力入力端子192に接続されている。
電力入力端子181及び電力入力端子192は、直列接続された分圧抵抗R22,R23を介して接地されている。接続検知信号(CE信号)は、分圧抵抗R22,R23の接続点から取り出され、REG176の入力端子176cに供給されるようになっている。また、分圧抵抗R22,R23の接続点は、コントローラ60側で接地されている。このため、画像形成装置の本体に搬送ユニット46が装着されている間は、接続検知信号(CE信号)は、コントローラ60側で接地される。また、画像形成装置の本体から搬送ユニット46が引き出されることで、画像形成装置の本体と搬送ユニット46とが電気的に切り離されると、分圧抵抗R22,R23により生成された所定電圧の接続検知信号(CE信号)がREG176の入力端子176cに供給される。
REG176の電力出力端子176bは、REG176で生成された第2の電力を出力するための電力出力端子193に接続されている。また、REG176の電力出力端子176bは、逆流防止用のダイオードD1を介して、制御ロジック用の電力が供給される制御部174の電力入力端子に接続されている。制御部174の電力入力端子には、画像形成装置の本体に搬送ユニット46が装着されている場合、コントローラ側の電力入力端子200からモータ制御装置58側の電力出力端子201を介して供給される制御ロジック用の電力が供給されている。しかし、画像形成装置の本体から搬送ユニット46が引き出された場合、REG176で形成された第2の電力が、制御ロジック用の電力とし供給されるようになっている。
次に、REG176で生成された第2の電力が出力される電力出力端子193は、制御論理固定部172の電力入力端子194に接続されている。このため、画像形成装置の本体から搬送ユニット46が引き出されている場合、REG176で生成された第2の電力が、電力出力端子193及びプルアップ抵抗R21を介して制御部174に供給され、制御部174がイネーブル状態となる。
また、REG176の電力出力端子193は、設定電流切換え部173の電力入力端子196に接続されている。設定電流切換え部173は、画像形成装置の本体から搬送ユニット46が装着されている間、コントローラ側の電力出力端子200、モータ制御装置58側の電力入力端子201及び電力入力端子196を介して供給される駆動用の電力に基づいて動作する。設定電流切換え部173は、画像形成装置の本体から搬送ユニット46が装着されている間は、ASIC171からの電流設定信号に基づいて、モータ177に流す電流量を決定するための電圧を、「高」及び「中」の間で切り替えて制御部174に供給する。
これに対して、画像形成装置の本体から搬送ユニット46が引き出されている場合、設定電流切換え部173には、REG176で生成された第2の電力が、電力入力端子196を介して供給される。電力入力端子196を介して第2の電力が供給されると、設定電流切換え部173は、モータ177に流す電流量を決定するための電圧を、「低」に切り替えて制御部174に供給する。制御部174は、設定電流切換え部173から「低」の電圧が供給されると、モータ177を低電流で駆動し、ステップ位置を「保持」するように、駆動部175の各トランジスタQ11~Q14をオンオフ制御する。
紙詰まりの復旧作業を行う際に、モータ177の「保持」の力が強くなると、紙詰まりとなっている搬送紙41が引き抜きにくくなり、復旧作業に支障を来す。これに対して、モータ177に流す電流量が少な過ぎると、モータ177の「保持」の力を弱くして紙詰まりの復旧作業を行ないやすくすることが可能となるが、この場合、搬送紙41を引き抜く際におけるモータ177の回転を抑制困難となり、発生する起電力の抑制が困難となる。このようなことから、第3の実施の形態の画像形成装置では、上述の「低」の電圧により、紙詰まりとなった搬送紙41の除去の支障とならず、かつ、搬送紙41の除去に伴うモータ177の起電力の発生を抑制可能な電流をモータ177に流すようになっている。
換言すると、第3の実施の形態の画像形成装置は、画像形成装置の本体に対する搬送ユニット46の装着時には、この装着時用の「高」及び「中」に対応する電流でモータ177を回転駆動する。これに対して、画像形成装置の本体に対する搬送ユニット46の非装着時には、紙詰まりとなった搬送紙41を引き抜きやすくし、かつ、モータ177の起電力を抑制する「低」に対応する電流でモータ177を「保持」の状態に制御する。
(モータの回転位置を保持することによる起電力の抑制動作)
このような第3の実施の形態の画像形成装置は、紙詰まりの紙をローラから手でき抜くことでモータ177に発生する起電力を用いて、モータの回転位置を保持することで、起電力の発生を抑制している。図11のフローチャートは、紙詰まり時の復旧作業により、モータ177で起電力が発生してから、モータ177の回転位置を保持状態に制御するまでの動作を示すフローチャートである。また、図12は、各部の信号波形又は状態を示すタイムチャートである。この図12のうち、図12(a)は、第1の電力の信号波形、図12(b)は、制御部174に供給される制御ロジック用の電力の波形、図12(c)は、REG176で形成される第2の電力の波形を示している。
また、図12(d)は、モータ177に供給されるモータ駆動電流の波形、図12(e)は、所定の周波数のクロック信号の波形、図12(f)は、制御部174に供給されるイネーブル信号の信号波形、図12(g)は、高中低の3値となっている設定電流切換え部173の設定電圧波形を示している。また、図12(h)は、搬送ユニット46が画像形成装置の本体に接続されているか否かを示す接続検知信号(CE信号)の波形、図12(i)は、各タイミングにおける制御論理固定部172の状態、図12(j)は、各タイミングにおけるASIC171からモータ177に対する回転指示の内容、図12(k)は、各タイミングにおける画像形成装置の状態を示している。
(印刷指示から紙詰まりが生ずるまでの動作)
まず、第3の実施の形態の画像形成装置で印刷を行い紙詰まりが生ずるまでの動作を説明する。なお、後述する紙詰まりが生じ、画像形成装置の本体から搬送ユニット46が引き出されるまでの間は、画像形成装置の本体に対して搬送ユニット46が装着されていることとして説明を進める。
画像形成装置のメイン電源が投入され,図12(k)に示すように画像形成装置が「起動状態」となると、図3に示した第1の電力供給部88(例えば24V電源)及びREG176(例えば5V電源)等が起動すると共に(図12(a)、図12(b)参照)、図2に示すCPU50等により、起動チェック、所定のソフトウェアのダウンロード、レジスタ値の設定等が行われる。
このような起動時における情報処理が終了すると、画像形成装置は、図12(k)に示すように印刷等の動作の「待機状態」に移行する。この段階の「待機状態」は、ユーザからの印刷指示待ちの状態であり、制御論理固定部172の電力入力端子194には、図12(c)に示すように、後述するモータ177の起電力に基づいて形成される第2の電力は供給されていない。
このため、制御論理固定部172は、図12(i)に示すようにディセーブル(Disable)状態となる。制御論理固定部172がディセーブル状態では、ASIC171から制御部174に対して供給されるクロック信号及びイネーブル信号は、図12(e)及び図12(f)に示すように、それぞれローレベルとなる。従って、図12(d)に示すように、モータ177に対してモータ駆動電流も供給されない。
次に、ユーザにより、印刷の開始指示操作が行われると、ASIC171は、図12(j)に示すモータ177の「回転」を指示する指示信号を設定電流切換え部173に供給すると共に、図12(e)に示すクロック信号、及び、図12(f)に示すハイレベルのイネーブル信号を、制御論理固定部172を介して制御部174に供給する。設定電流切換え部173は、モータ177の「回転」を指示する指示信号が供給されると、図12(g)に示す「高」に対応する電圧を制御部174に供給する。これにより、制御部174は、モータ177に対して回転用の電流を供給するように駆動部175の各トランジスタQ11~Q14をオンオフ制御する。なお、この段階では、制御論理固定部82は、無効(機能せず)の状態となる。
次に、印刷が終了すると、ASIC171は、図12(j)に示すモータ177の「保持」を指示する指示信号を設定電流切換え部173に供給すると共に、制御部174に供給している図12(f)に示すイネーブル信号をハイレベルとした状態で、図12(e)に示すクロック信号の供給を停止する。設定電流切換え部173は、モータ177の「保持」を指示する指示信号が供給されると、図12(g)に示す「中」に対応する電圧を制御部174に供給する。これにより、制御部174は、モータ177の回転を停止させ、この停止位置を保持するように、駆動部175の各トランジスタQ11~Q14をオンオフ制御する。
すなわち、画像形成装置の本体に搬送ユニット46が装着されている状態では、制御部174は、設定電流切換え部173からの「高」の電圧及び「中」の電圧に基づいて、モータ177の「回転」及び「保持」を制御する。なお、印刷が終了すると、画像形成装置は、図12(k)に示すように「待機状態」に移行する。
(紙詰まり復旧作業により発生した起電力の抑制動作)
次に、印刷した搬送紙41がローラに絡まり、紙詰まりが発生したとする。この場合、ユーザは、画像形成装置1のユニットカバーを開き(図12(k)の「ドア開」)、画像形成装置の本体から搬送ユニット46を引き出す。画像形成装置のユニットカバーにはインターロック機構が設けられており、ユニットカバーが開状態となると、リレー回路等がオフとなり、例えば24V電源である第1の電力、及び、例えば5V電源である制御部174の制御ロジック用の電力の供給が停止される。
また、ASIC171から制御部174又は設定電流切換え部173に供給されるクロック信号、イネーブル信号及び電流設定信号は、供給されない状態となる。また、コントローラ側に接地されていた接続検知信号(CE信号)は、接地が解除された状態(接地されない状態)となる。
このような状態において、ユーザは、ローラに絡まっている搬送紙41を手で引き抜いて除去する(図12(k)の「引出抜去」)。ローラに絡まっている搬送紙41を手で引き抜くと、ローラが回転することで、ローラに直結されているモータ177も回転し、モータ177においてローラの回転速度に対応する、例えば50V等の起電力が発生する。この起電力は、駆動部175の電力入力端子182を介して逆流し、電力入力端子192を介してREG176に供給される。
図12(a)の紙引抜き後に発生する三角波形は、電力入力端子192を介してREG176に供給される上述の起電力の波形である。図12(a)の点線のレベルは、REG176が例えば5V等の所定電圧の電力を生成するか否かを判別するための閾値を示している。REG176は、電力入力端子192を介して供給された起電力の電圧が、この閾値以上の電圧であるか否かを判別する。図11のフローチャートのステップS11は、このREG176による判別動作を示している。REG176により、閾値以上の電圧の起電力が供給されたと判別されると(ステップS11:Yes)、ステップS12に処理が進む。なお、閾値未満の電圧の起電力が供給されている間は(ステップS11:No)、REG176は、以下に説明する第2の電力を生成することなく、供給される起電力の電圧を監視する。
ステップS12では、REG176が、接続検知信号の供給の有無を検出することで、画像形成装置の本体から搬送ユニット46が引き出されたか否か(分離か否か)を判別する。すなわち、画像形成装置の本体から搬送ユニット46が引き出されると、接続検知信号(CE信号)の検出ラインの接地が解除されるため、REG176の入力端子176cに印加される接続検知信号の電圧が、図12(h)に示すようにハイレベルとなる。
REG176は、ハイレベルの接続検知信号(CE信号)が供給されると、第2の電力供給部252が、図12(a)に示すように、電力入力端子192を介して供給される起電力の電圧と所定の閾値(図12(a)の点線のレベル)とを比較し、起電力のレベルが閾値以上のレベルであった場合に、ステップS13において、第2の電力の生成を開始する。これにより、図12(c)に示すように、起電力のレベルが閾値以上のレベルとなっている間にハイレベルとなる第2の電力が、REG176で生成される。この第2の電力は、制御ロジック用の電力として制御部174に供給される。また、第2の電力が、制御論理固定部172の電力入力端子194及びプルアップ抵抗R21を介して制御部174に供給されることで、起電力のレベルが閾値以上のレベルとなっている間、図12(f)に示すように制御部174に供給されるイネーブル信号がハイレベルとなる。
また、第2の電力は、電力入力端子196を介して設定電流切換え部173に供給される。設定電流切換え部173は、画像形成装置の本体に対する搬送ユニット46の装着時には、電力入力端子173を介して駆動用の電力が供給される。この場合、設定電流切換え部173は、上述の「高」及び「中」の電圧を制御部174に供給することで、モータ177の「回転」及び「保持」を制御する。
これに対して、画像形成装置の本体に対する搬送ユニット46の非装着時には、電力入力端子173を介して駆動用の電力は供給されず、代りに、REG176で生成された第2の電力が、電力入力端子196を介して設定電流切換え部173に供給される。設定電流切換え部173は、電力入力端子196を介して第2の電力が供給された場合、図11のステップS14において、図12(g)に示す「低」に対応する電圧を制御部174に供給する。
制御部174は、この「低」に対応する電圧が供給されると、ステップS15において、図12(d)に示すように、「低」の電圧に対応する電流をモータ177に供給して、モータ177の回転を禁止する「保持」の状態となるように、駆動部175の各トランジスタQ11~Q14をオンオフ制御する。
(第3の実施の形態の効果)
これにより、モータ177を「保持」の状態として起電力を抑制することができ、上述の各実施の形態と同じ効果を得ることができる他、以下の効果を得ることができる。
また、紙詰まりの復旧作業を行う際に、モータ177の「保持」の力が強くなると、紙詰まりとなっている搬送紙41が引き抜きにくくなり、復旧作業に支障を来す。これに対して、モータ177に流す電流量が少な過ぎると、モータ177の「保持」の力を弱くして紙詰まりの復旧作業を行ないやすくすることが可能となるが、その反面、搬送紙41が引き抜かれる際に、モータ177の回転を抑制して起電力の発生を抑制することが困難となる。
しかし、「低」の電圧により、紙詰まりとなった搬送紙41の除去の支障とならず、かつ、搬送紙41の除去に伴うモータ177の起電力の発生を抑制可能な電流をモータ177に流してモータ177を「保持」の状態とすることにより、紙詰まりとなった搬送紙41を除去し易く、かつ、モータ177の起電力の発生も抑制できる。
すなわち、起電力が発生する方向にモータ177を適度に回転可能とすることで、紙詰まりとなった搬送紙41を除去し易くし、かつ、モータの回転位置を適度に保持して、発生する起電力を低減及び抑制することができる。
最後に、上述の各実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。
例えば、上述の各実施の形態はMFPに対する適用例であったが、MFPの備える複数機能のうちそれぞれ単体で機能するプリンタ、ファクシミリ装置、スキャナ装置等に適用してもよい。また、MFPの代わりに、例えばプロジェクタ装置、テレビ会議システム又はデジタルカメラ装置等のモータを備えた電子機器であれば、どのような電子機器に適用してもよい。また、液体吐出装置、又は、例えば紙幣を搬送する装置等のようにシート状媒体を搬送する装置に適用してもよい。
また、上述の各実施の形態の説明では、ローラに詰まった搬送紙41を手で除去した際に、モータ85(又はモータ177)が回転して発生する起電力を抑制することとした。しかし、本発明は、起電力を発生するモータが設けられている機器であれば、どのような電子機器に対しても適用可能であり、いずれの場合も上述のように起電力を抑制して、上述の効果を得ることができる。
また、上述の各実施の形態は、情報処理技術分野における通常の知識を有した技術者であれば、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)の他、従来の回路モジュールを接続して構成した装置によって実施することも可能である。
このような各実施の形態及び各実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。