JP7042972B2 - 回転機の制御装置 - Google Patents
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Description
本願は、回転機の制御装置に関するものである。
交流回転機を位置センサレスで運転する場合、適応オブザーバを用いて回転機モデルと実機の誤差がなくなるように速度を推定する方式がよく用いられる(例えば、非特許文献1)。
回転機モデルを含む制御では、制御装置内で回転機の電流、電圧を用いて間接的に推定回転速度を計算するため、回転機モデルの回転機定数に誤差を含むと実回転速度に対する推定回転速度の推定遅れが発生し、制御系全体の応答性が上がらないことが問題となる。
この問題を解決するため、回転機モデルの回転機定数をオンラインで推定する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
金原、「回転座標上の適応オブザーバを用いたPM電動機の位置センサレス制御」(電学論D、123巻5号、2003年)p.601-603
特許文献1開示方法では、回転機定数を積分制御で推定演算を行っているため、特にインダクタンスのように電流に応じて急峻に変化するパラメータは推定が追い付かず、回転機モデルの誤差の影響で適応オブザーバ(状態観測部)の系全体の応答性が悪化する問題がある。
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、推定演算遅れによる状態観測部の応答性の悪化を抑制することができる回転機の制御装置を提供することを目的とする。
本願に開示される回転機の制御装置は、回転機に流れる回転機電流を検出する電流検出部と、目標電流指令に回転機電流が追従するように電圧指令を生成する電流制御部と、電圧指令に応じて回転機に電圧を印加する電圧印加部と、回転機電流、電圧指令、および標準回転機定数に応じて回転機に流れる電流の推定値である推定電流と回転機の回転子速度の推定値である推定回転速度と回転機の回転子位置の推定値である推定回転子位置とを演算する状態観測部とを備え、状態観測部は、電圧指令と、回転機電流および推定電流の少なくとも一方とに基づいて、標準回転機定数と回転機の現在の運転状態における回転機定数との回転機定数誤差を演算するとともに、回転機電流と推定電流と回転機定数誤差とに基づいて推定回転速度を演算するものである。
本願に開示される回転機の制御装置によれば、状態観測部は、推定演算遅れによる状態観測部の応答性の悪化を抑制することができる回転機の制御装置が得られる。
実施の形態1.
実施の形態1は、回転機電流を検出する電流検出部と、目標電流指令に回転機電流が追従するように電圧指令を生成する電流制御部と、電圧指令に応じて回転機に電圧を印加する電圧印加部と、回転機電流、電圧指令、および標準回転機定数に応じて回転機の推定電流と推定回転速度と推定回転子位置とを演算する状態観測部とを備える回転機の制御装置に関するものである。状態観測部は、電圧指令と、回転機電流または推定電流とに基づいて、標準回転機定数と現在の運転状態における回転機定数との回転機定数誤差を演算するとともに、回転機電流と推定電流と回転機定数誤差とに基づいて推定回転速度を演算し、実施の形態1では、回転機定数誤差が回転機抵抗である場合を対象とする。
実施の形態1は、回転機電流を検出する電流検出部と、目標電流指令に回転機電流が追従するように電圧指令を生成する電流制御部と、電圧指令に応じて回転機に電圧を印加する電圧印加部と、回転機電流、電圧指令、および標準回転機定数に応じて回転機の推定電流と推定回転速度と推定回転子位置とを演算する状態観測部とを備える回転機の制御装置に関するものである。状態観測部は、電圧指令と、回転機電流または推定電流とに基づいて、標準回転機定数と現在の運転状態における回転機定数との回転機定数誤差を演算するとともに、回転機電流と推定電流と回転機定数誤差とに基づいて推定回転速度を演算し、実施の形態1では、回転機定数誤差が回転機抵抗である場合を対象とする。
以下、実施の形態1に係る回転機の制御装置の構成および動作について、回転機の制御装置の構成を示すブロック図である図1、電流制御部のブロック図である図2、状態観測御部のブロック図である図3、回転機定数誤差演算部のブロック図である図4、および回転機の制御装置のハードウェア構成図および回転機システムの構成図である図5に基づいて説明する。
まず、実施の形態1の回転機の制御装置1の構成を図1に基づいて説明する。
回転機2を駆動する回転機の制御装置1は、電流検出部12、電圧印加部13、電流制御部14、状態観測部15、および座標変換器16を備える。
なお、回転機の制御装置1を、適宜、制御装置1と記載する。
回転機2を駆動する回転機の制御装置1は、電流検出部12、電圧印加部13、電流制御部14、状態観測部15、および座標変換器16を備える。
なお、回転機の制御装置1を、適宜、制御装置1と記載する。
回転機2は、誘導機あるいは同期機等の回転機であり、実施の形態1では永久磁石を用いた同期機を想定している。
回転機2には、回転機2の電流である回転機電流を検出する電流検出部12と、回転機2に電圧を印加する電圧印加部13とが接続されている。
電流検出部12は、回転機2の三相電流iu、iv、iwを検出する。座標変換器16は、この三相電流iu、iv、iwを回転機2の回転子に同期して回転する直交座標として公知であるdq軸上の電流に座標変換し、これを検出電流ids、iqsとして出力する。座標変換器16における座標変換に必要な推定回転子位置θ^は、状態観測部15から出力される。
なお、推定回転子位置θ^とは、回転機2の推定回転子位置である。適宜、推定回転子位置と記載する。
また、dq軸上の回転機2の検出電流ids、iqsを、適宜回転機電流ids、iqsと記載し、特に明記する必要がない場合は、回転機電流と略記する。
なお、推定回転子位置θ^とは、回転機2の推定回転子位置である。適宜、推定回転子位置と記載する。
また、dq軸上の回転機2の検出電流ids、iqsを、適宜回転機電流ids、iqsと記載し、特に明記する必要がない場合は、回転機電流と略記する。
なお、三相電流を検出するには、電流を三相すべて検出するほか、2相分を検出して三相電流の和がゼロであることを利用して三相電流を求めてもよい。また、インバータ母線電流およびスイッチング素子に流れる電流とスイッチング素子の状態から三相電流を演算してもよい。
電圧印加部13は、インバータ回路等の電力変換器で構成され、電流制御部14から出力される電圧指令Vd*、Vq*に基づいて、回転機2に駆動電圧を印加する。
電流制御部14は、上位のコントローラから出力される目標電流指令id*、iq*に回転機2の回転機電流が追随するようにPI(Proportional Integral)制御を行い、電圧印加部13に電圧指令Vd*、Vq*を出力する。
状態観測部15は、回転機電流ids、iqsおよび電圧指令Vd*、Vq*から、回転機2の推定電流ids^、iqs^と、回転機2の推定回転速度ωr^と、回転機2の推定回転子位置θ^とを演算する。また、状態観測部15は、座標変換に必要な推定回転子位置θ^を座標変換器16に出力する。
なお、状態観測部15の動作の詳細は後で説明する。
なお、状態観測部15の動作の詳細は後で説明する。
次に、電流制御部14の内部構成および動作を図2に基づいて説明する。
電流制御部14は、電流制御器41、42、および加減算器43、44を備える。
電流制御部14は、電流制御器41、42、および加減算器43、44を備える。
加減算器43は、目標電流指令id*から回転機電流idsを減算して、d軸電流偏差を演算する。電流制御器41は、d軸電流偏差が0になるようにPI制御によって電圧指令Vd*を演算する。
加減算器44は、目標電流指令iq*から回転機電流iqsを減算して、q軸電流偏差を演算する。電流制御器42は、q軸電流偏差が0になるようにPI制御によって電圧指令Vq*を演算する。
なお、目標電流指令id*、iq*は回転機2の駆動状態に応じて、適宜変更される。
加減算器44は、目標電流指令iq*から回転機電流iqsを減算して、q軸電流偏差を演算する。電流制御器42は、q軸電流偏差が0になるようにPI制御によって電圧指令Vq*を演算する。
なお、目標電流指令id*、iq*は回転機2の駆動状態に応じて、適宜変更される。
これにより、電流制御部14は、回転機2の回転機電流ids、iqsが目標電流指令id*、iq*に追従するように、電流制御器41、42において電圧指令Vd*、Vq*を生成し、制御装置1は回転機2を回転制御することができる。
次に、状態観測部15の内部構成および動作を図3に基づいて説明する。
状態観測部15は、推定電流演算部51、推定回転速度演算部52、積分器53、および回転機定数誤差演算部54とを備える。
状態観測部15は、推定電流演算部51、推定回転速度演算部52、積分器53、および回転機定数誤差演算部54とを備える。
推定電流演算部51は、回転機電流ids、iqsと電圧指令Vd*、Vq*とあらかじめ記憶する回転機2の回転機定数とに基づいて回転機2の内部状態を推定演算する。
推定回転速度演算部52は、回転機2の回転速度を推定演算し、回転機2の推定回転速度ωr^を出力する。
積分器53は、推定回転速度演算部52から出力された推定回転速度ωr^を積分して、推定回転子位置θ^を出力する。
回転機定数誤差演算部54は、あらかじめ記憶する回転機定数と回転駆動中における回転機2の回転機定数との誤差を演算し、出力する。
推定回転速度演算部52は、回転機2の回転速度を推定演算し、回転機2の推定回転速度ωr^を出力する。
積分器53は、推定回転速度演算部52から出力された推定回転速度ωr^を積分して、推定回転子位置θ^を出力する。
回転機定数誤差演算部54は、あらかじめ記憶する回転機定数と回転駆動中における回転機2の回転機定数との誤差を演算し、出力する。
推定電流演算部51は、(1)、(2)式を用いて回転機内部の磁束と電流とを推定演算する。
ただし、Φds^、Φqs^はdq軸上の回転機2の電機子推定磁束、Φdr^、Φqr^はdq軸上の回転子推定磁束である。ids^、iqs^はdq軸上の電機子推定電流である。R0、L0はあらかじめ記憶する回転機抵抗と回転機インダクタンスである。ωr^は回転機2の推定回転速度、ωは一次角周波数、sは微分演算子である。
A、B、C、Hはそれぞれ以下の行列で表される。
A、B、C、Hはそれぞれ以下の行列で表される。
(1)式はいわゆる適応オブザーバと呼ばれ、Hゲインの設定は非特許文献1に限らず、公知のものを利用すればよい。
ここで、R0、L0は回転機2を回転駆動する前段階の停止状態において測定されるものであり、測定方法は公知の方法を用いて測定すればよい。以降、R0、L0を標準回転機定数と称する。
推定回転速度演算部52は、推定電流演算部51が演算して出力する推定電流ids^、iqs^と、回転機電流ids、iqsと、回転機定数誤差演算部54が演算して出力する回転機定数誤差とを用いて回転機2の推定回転速度ωr^を演算(推定)する。
ここで実施の形態1の方法を明確にするため、非特許文献1の方法を例として推定回転速度演算の原理を説明する。
非特許文献1では(3)式のように推定電流ids^、iqs^と回転機電流ids、iqsとの差分をPI制御して推定回転速度ωr^を演算する。なお、ここでkapは比例ゲインであり、kaiは積分ゲインである。
回転機2の推定回転速度ωr^を回転機の実速度ωrと一致させることは、Δωr=ωr^-ωrを0に近づけることに等しい。
非特許文献1によれば、Δωrについて、(4)式が成り立つことが示されている。
非特許文献1によれば、Δωrについて、(4)式が成り立つことが示されている。
ただし、ei、I、I4、J、およびΦr^は以下の行列で表される。
すなわち、推定電流と回転機電流の差分であるeiは、ある伝達特性でΔωrに伝達しており、eiが0に近づけば、Δωrは最終的に0に近づくため、(3)式を用いて推定回転速度の演算が可能である。
ここで、比較例の方法は回転機2の定数とあらかじめ記憶する回転機定数が一致していることが前提である。したがって、回転機2の運転状態によって変化する回転機定数については、回転機2の真の回転機定数と標準回転機定数との間に誤差が発生し、速度推定演算の前提である(4)式に差異が生じる。
ここで、回転機定数は、回転機2の抵抗およびインダクタンスを含んでいる。
例えば、回転機2の温度上昇などにより抵抗の値に誤差が現れる場合、(4)式は(5)式に変化する。
なお、適宜、回転機2の抵抗を回転機抵抗と、回転機2のインダクタンスを回転機インダクタンスと記載する。
例えば、回転機2の温度上昇などにより抵抗の値に誤差が現れる場合、(4)式は(5)式に変化する。
なお、適宜、回転機2の抵抗を回転機抵抗と、回転機2のインダクタンスを回転機インダクタンスと記載する。
ただし、Rを駆動中の回転機2の抵抗として、回転機定数誤差ΔR=R0-Rとする。
また、回転機電流の発生でインダクタンスが磁気飽和する場合、インダクタンスに誤差が現れるため、(4)式は(6)式に変化する。
ただし、Lを駆動中の回転機2のインダクタンスとして、回転機定数誤差ΔL=L0-Lとする。
このため、回転機定数誤差がある状態でも従来の速度推定演算で、精度良く駆動するためには、(5)式および(6)式における右辺第二項を消去して(4)式に近づければよい。
このため、回転機定数誤差がある状態でも従来の速度推定演算で、精度良く駆動するためには、(5)式および(6)式における右辺第二項を消去して(4)式に近づければよい。
そのため、推定回転速度演算部52は、回転機定数誤差を含む(5)、(6)式の右辺第二項を回転機定数誤差の情報である回転機定数誤差情報Gerrと置き、(7)式を用いて推定回転速度ωr^を演算する。
すなわち、状態観測部15の推定回転速度演算部52は、回転機2の電流を座標変換した回転機電流ids、iqsと推定電流ids^、iqs^との差分から回転機定数誤差情報Gerrを減算した値に基づいて推定回転速度ωr^を演算する。
回転機定数誤差演算部54は、回転機定数誤差を含む回転機定数誤差情報Gerrを演算する。
次に、回転機定数誤差演算部54の内部構成および動作を図4に基づいて説明する。
回転機定数誤差演算部54は、回転機定数誤差演算器541、乗算器542、およびフィルタ543を備える。
次に、回転機定数誤差演算部54の内部構成および動作を図4に基づいて説明する。
回転機定数誤差演算部54は、回転機定数誤差演算器541、乗算器542、およびフィルタ543を備える。
実施の形態1では、駆動中の回転機2の温度変化により回転機抵抗が変化し、回転機定数誤差ΔRが発生した場合の回転機定数誤差情報Gerrの演算方法について説明する。
回転機定数誤差演算器541は、例えば以下の方法を用いて回転機定数誤差ΔRを算出する。
回転機の電圧方程式より、d軸の電圧Vdと電流ids、iqsは(8)式の関係がある。
回転機の電圧方程式より、d軸の電圧Vdと電流ids、iqsは(8)式の関係がある。
したがって、標準回転機定数の抵抗R0の時、任意の回転速度ω1におけるd軸電圧Vd0は、電流制御部14の動作により、回転機電流idsはid*に収束して一定になり、定常的には(9)式となる。
一方、駆動中に回転機抵抗がRとなるとき、任意の回転速度ω1で駆動すると、電流制御部14の動作により、回転機電流idsは目標電流指令id*に収束して一定になり、定常的にはd軸電圧指令Vd*は(10)式となる。
(9)式、(10)式より、回転機定数誤差ΔRは(11)式で表すことができる。
なお、d軸電圧Vd0は回転機2を回転駆動する前段階の停止状態において測定されるR0、L0の測定と同様に行う。
また、任意の回転速度におけるd軸電圧Vd0の値をあらかじめ測定しておくことで、標準回転機定数R0に対する任意の回転速度におけるd軸電圧Vd0を記憶することができ、駆動中の回転機電流idsと電圧指令Vd*を用いて回転機定数誤差ΔRを演算できる。
また、任意の回転速度におけるd軸電圧Vd0の値をあらかじめ測定しておくことで、標準回転機定数R0に対する任意の回転速度におけるd軸電圧Vd0を記憶することができ、駆動中の回転機電流idsと電圧指令Vd*を用いて回転機定数誤差ΔRを演算できる。
なお、回転機2の回転機抵抗の演算方法は実施の形態1の記載に限らず、公知のものを用いて演算してもよい。
実施の形態1では(5)式の右辺第二項が回転機定数誤差情報Gerrである。
乗算器542は、回転機定数誤差演算器541の出力と回転機電流の積を演算し、フィルタ543を経由して回転機定数誤差情報Gerrを出力する。
乗算器542は、回転機定数誤差演算器541の出力と回転機電流の積を演算し、フィルタ543を経由して回転機定数誤差情報Gerrを出力する。
(7)式において、q軸の誤差のみを利用するので、実際には(5)式の右辺第2項のみを用いて回転機定数誤差情報Gerrは(12)式で演算される。
ただし、Giqは(5)式の第2項の係数である。
したがって、乗算器542は、回転機定数誤差演算器541の出力ΔRと回転機2のq軸電流iqsとの積を計算する。なお、回転機電流ids、iqsと推定電流ids^、iqs^は、ほぼ一致しているから回転機電流の代わりに推定電流を用いてもよい。
フィルタ543は、乗算器542の出力に任意の伝達特性を有するフィルタを付与する。
実施の形態1では、Giqをフィルタとして用いる。
Giqは、(5)式の第2項の係数を解くことで算出でき、Hゲインに応じてゲインが変化するフィルタとすればよい。
また、Giqは分母にsを有するフィルタであるから、例えば予め定められた時定数を有する1次遅れフィルタで近似した伝達特性を持たせてもよい。
実施の形態1では、Giqをフィルタとして用いる。
Giqは、(5)式の第2項の係数を解くことで算出でき、Hゲインに応じてゲインが変化するフィルタとすればよい。
また、Giqは分母にsを有するフィルタであるから、例えば予め定められた時定数を有する1次遅れフィルタで近似した伝達特性を持たせてもよい。
実施の形態1における回転機の制御装置1によれば、回転機電流と推定電流と回転機定数誤差とを用いて推定回転速度を演算することにより、運転中の回転機定数変動による推定回転速度の推定演算の応答を高くし、不安定化させない。このため、回転機2を駆動する際に設定する制御応答から応答遅れが発生することなく、回転機2を駆動することができ、信頼性の高い回転機の駆動制御を実現できる。
また、予め定められた伝達特性を有するフィルタを付与した回転機定数誤差情報Gerrを用いることで、回転機定数誤差が速度推定に及ぼす影響を伝達特性を含めて補正することができ、速度推定の演算精度および応答を高くすることができる。
また、式(7)に示したように、予め定められた伝達特性を有するフィルタを付与した回転機定数誤差情報Gerrを、回転機2の回転機電流iqsと推定電流iqs^との差分からさらに減算している。こうすることで、定数誤差が速度推定に及ぼす影響を、伝達特性を含めて補正することができ、速度推定の演算精度および応答を高くすることができる。
また、抵抗誤差に起因する速度推定精度の悪化を抑制することができ、推定精度および推定応答を高くすることができる。
次に、実施の形態1による回転機の制御装置1のハードウェア構成を図5に基づいて説明する。図5は、回転機の制御装置1を適用した回転機システムの構成を合わせて表している。
図5に示すように、回転機システムは、回転機2、回転機の制御装置1、および制御装置1に指令を与える上位コントローラ3を備えて、回転機2を駆動する。
回転機の制御装置1は、ハードウェア構成として、プロセッサ21、記憶装置22、電流検出部12、および電圧印加部13を備える。
回転機の制御装置1は、ハードウェア構成として、プロセッサ21、記憶装置22、電流検出部12、および電圧印加部13を備える。
図1で示した電流制御部14、状態観測部15は、記憶装置22に記憶されたプログラムを実行するプロセッサ21により実現される。
記憶装置22は、図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを備える。不揮発性の補助記憶装置として、フラッシュメモリ等の代わりにハードディスク等を使用してもよい。
プロセッサ21に、記憶装置22の補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプログラムが入力され、プロセッサ21は、記憶装置22から入力されたプログラムを実行する。また、プロセッサ21は、演算結果等のデータを記憶装置22の揮発性記憶装置に出力するか、あるいは揮発性記憶装置を介して補助記憶装置に出力してデータを保存する。
なお、電流制御部14、状態観測部15は、システムLSI等の処理回路により実現してもよい。また、座標変換器16、および電圧印加部13への電圧指令Vd*、Vq*を三相電圧指令に変換する機能は、プロセッサ21、またはシステムLSI等の処理回路により実現してもよい。
さらに、複数のプロセッサ21および複数の記憶装置22が連携して上記機能を実行してもよいし、複数の処理回路が連携して上記機能を実行してもよい。また、それらを組み合わせて上記機能を実行してもよい。
実施の形態1では回転機2として同期機を例として説明したが、誘導機などの回転機であっても、同様の構成で状態観測部を用いて推定回転速度を演算することが可能である。
上記説明のように、実施の形態1の回転機の制御装置は、回転機電流を検出する電流検出部と、目標電流指令に回転機電流が追従するように電圧指令を生成する電流制御部と、電圧指令に応じて回転機に電圧を印加する電圧印加部と、回転機電流、電圧指令、および標準回転機定数に応じて回転機の推定電流と推定回転速度と推定回転子位置とを演算する状態観測部とを備えるものである。そして、状態観測部は、電圧指令と、回転機電流または推定電流とに基づいて、標準回転機定数と現在の運転状態における回転機定数との回転機定数誤差を演算するとともに、回転機電流と推定電流と回転機定数誤差とに基づいて推定回転速度を演算し、回転機定数誤差が回転機抵抗である場合を対象とするものである。
このため、実施の形態1の回転機の制御装置は、回転機定数誤差が回転機抵抗である場合において、状態観測部の応答性の悪化を抑制し、系全体の応答性を高くすることができる。
このため、実施の形態1の回転機の制御装置は、回転機定数誤差が回転機抵抗である場合において、状態観測部の応答性の悪化を抑制し、系全体の応答性を高くすることができる。
実施の形態2.
実施の形態2の回転機の制御装置は、駆動中の回転機に電流が流れ、回転機のインダクタンスが変化し、回転機定数誤差ΔLが発生した場合、すなわち回転機定数誤差が回転機インダクタンスである場合を対象とするものである。
実施の形態2の回転機の制御装置は、駆動中の回転機に電流が流れ、回転機のインダクタンスが変化し、回転機定数誤差ΔLが発生した場合、すなわち回転機定数誤差が回転機インダクタンスである場合を対象とするものである。
以下、実施の形態2に係る回転機の制御装置の動作について、回転機の制御装置の構成を示すブロック図である図6に基づいて、実施の形態1との差異を中心に説明する。
実施の形態2の回転機の制御装置のブロック図である図6において、実施の形態1と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。
実施の形態2の回転機の制御装置のブロック図である図6において、実施の形態1と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。
まず、実施の形態2の回転機の制御装置100の構成を図6に基づいて説明する。また、適宜実施の形態1の図4を参照して説明する。
回転機2を駆動する回転機の制御装置100は、電流検出部12、電圧印加部13、電流制御部14、状態観測部15、座標変換器16、さらに高周波電圧生成部17および加算器18を備える。
なお、回転機の制御装置100を、適宜、制御装置100と記載する。
回転機2を駆動する回転機の制御装置100は、電流検出部12、電圧印加部13、電流制御部14、状態観測部15、座標変換器16、さらに高周波電圧生成部17および加算器18を備える。
なお、回転機の制御装置100を、適宜、制御装置100と記載する。
実施の形態2では、回転機定数誤差演算部54の動作を変更し、高周波電圧生成部17および加算器18を追加している。高周波電圧生成部17および加算器18以外の構成は実施の形態1と同様である。
以降、回転機定数誤差演算部54、高周波電圧生成部17および加算器18の動作を中心に説明する。
以降、回転機定数誤差演算部54、高周波電圧生成部17および加算器18の動作を中心に説明する。
実施の形態2において、回転機定数誤差演算器541は、例えば以下の方法にて回転機定数誤差ΔLを算出する。
回転機2のインダクタンス値の誤差を測定するため回転機2の駆動周波数より十分高い周波数を有する高周波電圧指令Vdh*を回転機2のトルクに直接寄与しないd軸に印加する。
高周波電圧生成部17は、(13)式によって与えられる高周波電圧指令Vdh*を生成する。加算器18は電流制御部14によって生成される電圧指令Vd*、Vq*の内のVd*に高周波電圧指令Vdh*を加算する。したがって、加算器18の出力は電圧指令Vd*+Vdh*、Vq*となる。
高周波電圧生成部17は、(13)式によって与えられる高周波電圧指令Vdh*を生成する。加算器18は電流制御部14によって生成される電圧指令Vd*、Vq*の内のVd*に高周波電圧指令Vdh*を加算する。したがって、加算器18の出力は電圧指令Vd*+Vdh*、Vq*となる。
ただし、Vhは電圧振幅、ωhは高周波電圧周波数、tは時間を示す。
(8)式より、回転機インダクタンスが標準回転機定数L0であり、高周波電圧指令Vdh*を与えたときの回転機電流idsの周波数ωhの周波数成分をidsh0とすると(14)式となる。なお、回転機インダクタンスがLのとき、高周波電圧指令Vdh*を与えた場合の回転機電流idsの周波数ωhの周波数電流成分をidshとする。
なお、周波数ωhの周波数電流成分であるidsh0およびidshは、バンドパスフィルタなどの特定の周波数を抽出するフィルタを回転機電流idsに付与することで算出できる。
ここで、高周波成分のため、(14)式の右辺第一項<<右辺第二項であるから、(14)式は(15)式で近似できる。
ここで、高周波成分のため、(14)式の右辺第一項<<右辺第二項であるから、(14)式は(15)式で近似できる。
一方、駆動中に回転機インダクタンスがLとなるとき、高周波電圧指令Vdh*を与えると(15)式と同様にして、(16)式が得られる。
ここで、駆動中の回転機2のインダクタンスがL≠L0となる場合、周波数ωhの周波数電流成分はidsh≠idsh0である。
(15)、(16)式より明らかにL/L0=idsh0/idshが成り立ち、回転機定数誤差ΔLは(17)式で表すことができる。
(15)、(16)式より明らかにL/L0=idsh0/idshが成り立ち、回転機定数誤差ΔLは(17)式で表すことができる。
以上のように、回転機電流の高周波成分を用いて、回転機定数誤差ΔLを算出できる。
なお、回転機2のインダクタンスの演算方法は実施の形態2の記載に限らず、インダクタンス誤差を演算する公知のものを用いてもよい。
図4において、乗算器542は、回転機定数誤差演算器541の出力と回転機電流の積を演算し、フィルタ543を経由して回転機定数誤差情報Gerrを出力する。
実施の形態2では(6)式の右辺第二項が回転機定数誤差情報Gerrであり、回転機定数誤差情報Gerrは(18)式で演算される。
実施の形態2では(6)式の右辺第二項が回転機定数誤差情報Gerrであり、回転機定数誤差情報Gerrは(18)式で演算される。
ただし、Giq1は(6)式の第2項の係数である。
したがって、乗算器542は、回転機定数誤差演算器541の出力ΔLと回転機のq軸電流iqsとの積を計算する。なお、回転機電流ids、iqsと推定電流ids^、iqs^は、ほぼ一致しているから推定電流を代わりに用いてもよい。
フィルタ543は、実施の形態1と同様の構成で実現すればよい。
ここで、特許文献1の回転機定数推定に係る方法では、このΔLを積分して駆動中の回転機のL値を推定して、誘起電圧推定に用いる回転機定数を更新する構成としている。この構成では、積分により推定演算に遅れが生じるため、回転機定数の急峻な変化に適応できない課題がある。実施の形態2では、電流、電圧値を用いて算出した回転機定数誤差ΔLをそのまま推定回転速度の演算に用いるため、回転機定数の急峻な変化がある場合でも、推定回転速度の演算精度および応答を高くすることができる。
実施の形態2の回転機の制御装置は、駆動中の回転機に電流が流れ、回転機のインダクタンスが変化し、回転機定数誤差ΔLが発生した場合、すなわち回転機定数誤差が回転機インダクタンスである場合を対象とするものである。
したがって、実施の形態2の回転機の制御装置は、回転機定数誤差が回転機インダクタンスである場合において、状態観測部の応答性の悪化を抑制し、系全体の応答性を高くすることができる。
したがって、実施の形態2の回転機の制御装置は、回転機定数誤差が回転機インダクタンスである場合において、状態観測部の応答性の悪化を抑制し、系全体の応答性を高くすることができる。
実施の形態3.
実施の形態3の回転機の制御装置は、駆動中の回転機の温度変化により回転機抵抗が変化して回転機定数誤差ΔRが発生し、かつ駆動中の回転機に電流が流れ、回転機インダクタンスが変化して回転機定数誤差ΔLが発生した場合、すなわち回転機定数誤差が回転機抵抗と回転機インダクタンスの両方である場合を対象とするものである。
実施の形態3の回転機の制御装置は、駆動中の回転機の温度変化により回転機抵抗が変化して回転機定数誤差ΔRが発生し、かつ駆動中の回転機に電流が流れ、回転機インダクタンスが変化して回転機定数誤差ΔLが発生した場合、すなわち回転機定数誤差が回転機抵抗と回転機インダクタンスの両方である場合を対象とするものである。
以下、実施の形態3に係る回転機の制御装置の構成は、実施の形態2に係る回転機の制御装置の構成と同じである。
実施の形態3に係る回転機の制御装置の動作について、回転機の制御装置の構成を示すブロック図である図6に基づいて、また図4を参照して、実施の形態1および2との差異を中心に説明する。
実施の形態3に係る回転機の制御装置の動作について、回転機の制御装置の構成を示すブロック図である図6に基づいて、また図4を参照して、実施の形態1および2との差異を中心に説明する。
実施の形態3は、実施の形態2と同様に回転機定数誤差演算部54の動作を変更し、その他の構成は実施の形態2と同様である。
まず、回転機定数誤差のΔRとΔLの双方が発生する場合の回転機定数誤差情報Gerrについて説明する。(5)式と(6)式をまとめると、eiは(19)式で表すことができる。
回転機定数誤差情報Gerrは(20)式で表される。
次に回転機定数誤差演算器541の動作について説明する。
回転機定数誤差ΔLの演算方法は実施の形態2と同様に高周波電流成分idshに基づいて演算すればよい。
回転機定数誤差ΔRは、実施の形態1と同様に回転機電流idsに基づいて演算することができる。しかし、回転機電流idsは高周波成分を含んでいるため、回転機電流idsから高周波電流成分であるidshを減算した基本波成分idsfを生成し、この基本波成分idsfを(11)式の分母に適用すればよい。
回転機定数誤差ΔLの演算方法は実施の形態2と同様に高周波電流成分idshに基づいて演算すればよい。
回転機定数誤差ΔRは、実施の形態1と同様に回転機電流idsに基づいて演算することができる。しかし、回転機電流idsは高周波成分を含んでいるため、回転機電流idsから高周波電流成分であるidshを減算した基本波成分idsfを生成し、この基本波成分idsfを(11)式の分母に適用すればよい。
乗算器542は、(20)式に基づいてGiq×ΔR×iqsとGiq1×ΔL×iqsとを加算演算し、回転機定数誤差情報Gerrを、フィルタ543を経由して出力する。
(20)式は、実施の形態1の(12)式と実施の形態2の(18)式の加算値であるから、実施の形態1、2と同様の構成でGiq×ΔR×iqsとGiq1×ΔL×iqsとを演算すればよい。
(20)式は、実施の形態1の(12)式と実施の形態2の(18)式の加算値であるから、実施の形態1、2と同様の構成でGiq×ΔR×iqsとGiq1×ΔL×iqsとを演算すればよい。
実施の形態3における回転機の制御装置によれば、回転機2の駆動中に回転機定数R、Lの双方が標準回転機定数から変化する場合であっても、回転機2を駆動する際に設定する制御応答から応答遅れが発生することなく回転機2を駆動でき、信頼性の高い回転機の駆動制御を実現できる。
実施の形態3の回転機の制御装置は、駆動中の回転機の温度変化により回転機抵抗が変化して回転機定数誤差ΔRが発生し、かつ駆動中の回転機に電流が流れ、回転機インダクタンスが変化して回転機定数誤差ΔLが発生した場合、すなわち回転機定数誤差が回転機抵抗と回転機インダクタンスの両方である場合を対象とするものである。
したがって、本実施の形態3の回転機の制御装置は、回転機定数誤差が回転機抵抗および回転機インダクタンスの両方である場合において、状態観測部の応答性の悪化を抑制し、系全体の応答性を高くすることができる。
したがって、本実施の形態3の回転機の制御装置は、回転機定数誤差が回転機抵抗および回転機インダクタンスの両方である場合において、状態観測部の応答性の悪化を抑制し、系全体の応答性を高くすることができる。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
したがって、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
したがって、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1,100 回転機の制御装置、2 回転機、3 上位コントローラ、12 電流検出部、13 電圧印加部、14 電流制御部、15 状態観測部、16 座標変換器、17 高周波電圧生成部、18 加算器、21 プロセッサ、22 記憶装置、41,42 電流制御器、43,44 加減算器、51 推定電流演算部、52 推定回転速度演算部、53 積分器、54 回転機定数誤差演算部、541 回転機定数誤差演算器、542 乗算器、543 フィルタ。
Claims (7)
- 回転機に流れる回転機電流を検出する電流検出部と、
目標電流指令に前記回転機電流が追従するように電圧指令を生成する電流制御部と、
前記電圧指令に応じて前記回転機に電圧を印加する電圧印加部と、
前記回転機電流、前記電圧指令、および標準回転機定数に応じて前記回転機に流れる電流の推定値である推定電流と前記回転機の回転子速度の推定値である推定回転速度と前記回転機の回転子位置の推定値である推定回転子位置とを演算する状態観測部とを備え、
前記状態観測部は、前記電圧指令と、前記回転機電流および前記推定電流の少なくとも一方とに基づいて、前記標準回転機定数と前記回転機の現在の運転状態における回転機定数との回転機定数誤差を演算するとともに、前記回転機電流と前記推定電流と前記回転機定数誤差とに基づいて前記推定回転速度を演算する回転機の制御装置。 - 前記状態観測部は、前記回転機定数誤差と前記回転機電流および前記推定電流のいずれか一方との乗算値と、前記回転機電流と、前記推定電流とに基づいて前記推定回転速度を演算する請求項1に記載の回転機の制御装置。
- 前記状態観測部は、前記乗算値に予め定められた伝達特性を有するフィルタを付与した回転機定数誤差情報を生成し、前記回転機電流と前記推定電流と前記回転機定数誤差情報とに基づいて前記推定回転速度を演算する請求項2に記載の回転機の制御装置。
- 前記状態観測部は、前記回転機電流と前記推定電流との差分から前記回転機定数誤差情報を減算した値に基づいて前記推定回転速度を演算する請求項3記載の回転機の制御装置。
- 前記回転機定数誤差は、回転機抵抗の誤差である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
- 前記回転機定数誤差は、回転機インダクタンスの誤差である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
- 前記回転機定数誤差は、回転機抵抗および回転機インダクタンスの両方の誤差である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
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WO (1) | WO2020195793A1 (ja) |
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JP2009089552A (ja) | 2007-10-02 | 2009-04-23 | Nsk Ltd | モータ駆動制御装置及びモータ駆動制御装置を使用した電動パワーステアリング装置 |
JP2014236611A (ja) | 2013-06-04 | 2014-12-15 | 三菱電機株式会社 | 交流回転機の制御装置 |
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