JP2009089552A - モータ駆動制御装置及びモータ駆動制御装置を使用した電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モータ電流検出手段19の異常を検出する異常検出手段38と、電動モータ8とモータ駆動制御手段24を含む抵抗−インダクタンスモデルを用いてモータ電流を推定する電流オブザーバ36と、異常検出手段38で前記モータ電流検出手段19の異常を検出していないときには当該モータ電流検出手段19のモータ電流検出値を前記モータ駆動制御手段24に供給し、前記モータ電流検出手段19の異常を検出したときには前記電流オブザーバ36で推定したモータ電流推定値を前記モータ駆動制御手段24に供給するモータ電流選択手段39とを備えている。
【選択図】図2
Description
そこで、本発明は上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、2相以上の電流センサに故障が発生した場合でもモータ電流の推定を正確に行うことができるモータ駆動制御装置及びこれを使用した電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
前記モータ電流検出手段の異常を検出する異常検出手段と、前記電動モータと前記モータ駆動制御手段を含む抵抗−インダクタンスモデルを用いてモータ電流を推定する電流オブザーバと、前記異常検出手段で前記モータ電流検出手段の異常を検出していないときには当該モータ電流検出手段のモータ電流検出値を前記モータ駆動制御手段に供給し、前記モータ電流検出手段の異常を検出したときには前記電流オブザーバで推定したモータ電流推定値を前記モータ駆動制御手段に供給するモータ電流選択手段とを備えたことを特徴としている。
さらに、請求項3に係るモータ駆動制御装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記電流オブザーバは、前記モータ電流検出手段で検出したモータ電流検出値及びその微分値の何れかが所定値より小さい領域で前記モータの抵抗−インダクタンスモデルのパラメータを同定するように構成されていることを特徴としている。
また、モータ電流検出手段が正常である状態で、モータ電流検出値を用いて電流オブザーバの同定を行うことにより、電流オブザーバで正確なモータ電流推定値を得ることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態を示す全体構成図であって、図中、1はステアリング機構であり、このステアリング機構1はステアリングホイール2が装着されたステアリングシャフト3と、このステアリングシャフト3のステアリングホイール2とは反対側に連結されたラックピニオン機構4と、このラックピニオン機構4にタイロッド等の連結機構5を介して連結された左右の転舵輪6とを備えている。
そして、電動モータ8は、車両に搭載されたバッテリ11から出力される大電流がヒューズ12を介して直接供給されると共に、小電流がイグニッションスイッチ71を介して供給される制御装置13によって駆動制御される。
モータ電流検出部19は、電動モータ8に供給される3相のモータ電流の全てを検出してもよいし、3相のモータ電流のうちの2相分例えばA相及びB相のモータ電流Ima及びImbを検出すると共に、検出したモータ電流Ima及びImbに基づいて残りのモータ電流Imcを演算するようにしてもよく、検出した各相電流検出値Ima、Imb及びImcを制御装置13に入力する。
また、伝達関数部34aは、その伝達関数が(L・s+R)/(T・s+1)に設定されている。ここに、Rはモータ巻線抵抗、sはラプラス演算子、Lはモータの巻線インダクタンス、Tは時定数である。
一方、電流制御部26から出力される逆起電圧補償値を含まない電圧指令値Varef、Vbref及びVcrefが電流オブザーバ36に入力されて、この電流オブザーバ36でモータ電流推定値Ima^、Imb^及びImc^を算出する。
すなわち、電動モータ8に入力する印加電圧から逆起電圧補償値を除いたモータ電圧指令値Vjref(j=a,b,c)をシステムの入力ujとしたとき、通電等による温度変化の影響を考慮したモータ実モデルは下記(1)式で表すことができる。
但し、
L(T)=L(T20)(1+KLt*(T−T20))
R(T)=R(T20)(1+KRt*(T−T20))
L(T)は温度変化後のモータインダクタンス、L(T20)は標準温度でのモータインダクタンス、KLtはインダクタンスの温度変化係数、R(T)は温度変化後のモータ抵抗、R(T20)は標準温度でのモータ抵抗、KRtは抵抗の温度変化係数、T20はパラメータの測定時の標準室温20℃、Tはモータ温度である。
このモータ実モデルに対し、電流推定オブザーバ36の抵抗−インダクタンスモデルを下記(2)式のように構成する。
u=L^(di^/dt)+R^*imj^ …………(2)
但し、L^はインダクタンス推定値、R^は抵抗推定値、imj^はモータ電流推定値である。
次に、実モータは製造バラツキ等により、定格値に対して誤差を持つ。推定値L^及びR^からの抵抗及びインダクタンスの誤差を夫々ΔL及びΔRと定義すると、これら誤差ΔL及びΔRは、下記(3)式及び(4る)式のように表される。
R=R^+ΔR …………(4)
上記誤差ΔL及びΔRが大きいと、モータ電流推定が誤推定を起こし、トルクリップルの増加を引き起こす可能性がある。また、電流推定値imj^をモータ電流検出値imjの異常判定に使用する場合は、誤検知を引き起す可能性がある。
uj=(L^+ΔL)(di/dt)+(R^+ΔR)imj …………(5)
なお、抵抗及びインダクタンスの推定誤差ΔR及びΔLは定格値に対して十分小さいものとする。
ここで、上記(5)式における抵抗及びインダクタンスの推定誤差ΔR及びΔLを小さい値に維持するは、これら推定誤差ΔR及びΔLを最適状態に補正する必要があり、これら推定誤差ΔR及びΔLを補正するために、推定誤差算出部37が設けられている。
すなわち、前記(5)式を展開すると下記(6)式が得られる。
uj=L^(di/dt)+ΔL(di/dt)+R^imj+ΔRimj……(6)
条件(1)
モータ電流検出値imjが十分大きく、その微分値di/dtか十分小さくなるときは右辺第2項は無視できるほど十分小さくなる(ΔL(di/dt)→0)。
ΔR={uj−L^(di/dt)−R^imj}/imj
ΔR={uj+L^(di/dt)}/imj−R^ …………(7)
実際に使う抵抗補正値は上記(7)式で求めた抵抗の推定誤差ΔRの積分値ΔRfb=ΔR(gR/s)を用いる。これは、モータ電流検出値imjの検出ノイズ等による修正誤差の影響をなくすためである。なお、sはラプラス演算子、誤差積分器ゲインgRはチューニングパラメータである。
条件(2)
モータ電流検出値imjが十分小さく、その微分値di/dtが十分大きいとき、前記(5)式の右辺第4項は無視できるほど十分小さくなる(ΔRimj→0)。
ΔL={uj−L^(di/dt)−R^imj}/(di/dt)
ΔL=(uj−R^imj)/(di/dt)−L^ …………(8)
実際に使うインダクタンス補正値は上記(8)式で求めた値の積分値ΔLfb=ΔL(gL/s)を用いる。これは、モータ電流検出値imjの検出ノイズ等による修正誤差の影響をなくすためである。なお、誤差積分器ゲインgLはチューニングパラメータである。
一方、モータ電流検出部19の異常を異常検出手段としての異常検出部38で検出する。この異常検出部38には、モータ電流検出部19で検出したモータ電流検出値imjと電流オブザーバ36で算出したモータ電流推定値imj^とが入力され、両者の偏差Δij(=imj−imj^)が予め設定された閾値Δis以上であるか否かを判定することにより、モータ電流検出値imjが異常であるか否かを判定し、モータ電流検出値imjが正常であるときに論理値“0”、異常であるときに論理値“1”の電流選択信号SLを電流選択手段としての電流選択部39に出力する。
今、図1及び図5に示すイグニッションスイッチ71をオン状態とすることにより、制御装置13にバッテリ11からの電源が投入されて、制御装置13での操舵補助制御処理が開始されると共に、図5に示すリレー72が通電状態となってインバータ回路28にバッテリ電圧Vbが供給されて電動モータ8を駆動可能な状態となる。
そして、電流指令値生成部21で生成したd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefが2相/3相変換部23に供給されて3相の相電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefを算出する。
このとき、車両が停車している状態でステアリングホイール2を操舵する所謂据え切り状態では、車速Vsが零であって、図4に示す電流指令値算出用記憶テーブルの特性線の勾配が大きいことにより、小さい操舵トルクTで大きな電流指令値Irefを算出するので、電動モータ8で大きな操舵補助力を発生して軽い操舵を行うことができる。
このとき、異常となったモータ電流検出部19のモータ電流検出値ima〜imcの数にかかわらず即ち1つ又は2つのモータ電流検出値に異常が発生した場合や全てのモータ電流検出値に異常が発生した場合でも、電流オブザーバ36で正確なモータ電流推定値ima^〜imc^を算出することができ、運転者に違和感を与えることなくモータ駆動制御を継続することができる。
この問題を解決するために、di/dtが0クロスする前後の適当な範囲を指定し、di/dtを積分すると、∫ΔLdi→0という結果を得ることができる。
∫ΔR=∫{(uj−L^di/dt)/imj−R^}dt …………(9)
を求め、この抵抗誤差ΔRの積分値∫ΔRを用いて、抵抗推定値R^を補正することにより、抵抗推定値R^の補正を正確に行うことができる。
同様に、インダクタンスの補正についても、適当にモータ電流検出値imjの0クロス前後の適当な範囲を指定し、前記(6)式の両側を積分することで、∫ΔRimt→0を得、前記(8)式の両側を積分することにより、下記(10)式で表されるようにインダクタンス推定値L^の補正値∫ΔLを算出することができる。
なお、上記実施形態においては、抵抗推定値R^及びインダクタンス推定値L^の補正をモータ電流検出値imjに基づいて行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、モータ電流推定値imj^との電流偏差Δiを使用して行うようにしてもよい。
ここで、記述を簡単にするために、以下、モータ電流検出値imjを単にiと表記し、モータ電流推定値imj^を単にi^と表記する。
先ず、モータ電流検出値iとモータ電流推定値i^との関係は、下記(11)式で表すことができる。
ここで、Δiはモータ電流推定値i^からモータ電流検出値iを減算した電流偏差である。
この(11)式を前述した(2)式に代入すると下記(12)式が得られる。
u=(L−ΔL)d(i+Δi)/dt+(R−ΔR)+(i+Δi) ……………(12)
この(12)式に前記(1)式を代入すると下記(13)式が得られる。
この(13)式でモータ電流推定値i^が十分小さいとき、ΔRi^→0とみなすことができ、推定誤差ΔLを下記(14)式で算出することができる。
ΔL=(LdΔi/dt+RΔi)/(di^/dt) …………(14)
また、前記(13)式でモータ電流推定値i^の微分値di^/dtが十分小さいとき、ΔLdi^/dt→0とみなすことができ、推定誤差ΔRを下記(15)式で算出することができる。
したがって、推定誤差算出部37で上記(14)式及び(15)式に従って推定誤差ΔL及びΔRを算出し、これらを電流オブザーバ36に供給することにより、インダクタンス推定値L^及び抵抗推定値R^を補正することができ、電流オブザーバ36で正確なモータ電流推定値imj^を算出することができる。
すなわち、基準温度を20℃とした場合、温度による各パラメータの変化は下記(16)式及び(17)式で表される。
R(T)=R(T20)(1+RRt*(T−T20)) …………(17)
ただし、L(T)は現温度したのインダクタンス、L(T20)は標準温度下のインダクタンス、R(T)は現温度下の抵抗、R(T20)は標準温度下の抵抗、RLtはインダクタンスの温度係数、RRtは抵抗の温度係数、Tは現温度情報、T20は基準温度(20℃)である。
L^(T20)=L^(T)/(1+RLt*(T−T20)) …………(18)
R^(T20)=R^(T)/(1+RRt*(T−T20)) …………(19)
なお、現温度情報Tは電動モータ8の温度を温度センサで検出することが望ましいが、例えば推定温度であってもよい。
さらにまた、上記実施形態においては、異常検出部38で、モータ電流検出値imjとモータ電流推定値imj^との電流偏差Δiの絶対値が所定閾値Δis以上となったときにモータ電流検出値imjが異常であると判断する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電流偏差Δiの微分値すなわち電流偏差Δiの変化量の絶対値が所定閾値以上となったときにモータ電流検出値imjが異常であると判断するようにしてもよく、さらには電流偏差Δiの絶対値が所定閾値Δis以上となるか又は電流偏差Δiの微分値が所定閾値以上となったときにモータ電流検出値imjが異常であると判断するようにしてもよい。
Claims (7)
- 電動モータを駆動する電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、前記電動モータを流れるモータ電流を検出するモータ電流検出手段と、前記電流指令値演算手段で演算した電流指令値と前記モータ電流検出手段で検出したモータ電流とに基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ駆動制御手段とを備えたモータ駆動制御装置であって、
前記モータ電流検出手段の異常を検出する異常検出手段と、前記電動モータと前記モータ駆動制御手段を含む抵抗−インダクタンスモデルを用いてモータ電流を推定する電流オブザーバと、前記異常検出手段で前記モータ電流検出手段の異常を検出していないときには当該モータ電流検出手段のモータ電流検出値を前記モータ駆動制御手段に供給し、前記モータ電流検出手段の異常を検出したときには前記電流オブザーバで推定したモータ電流推定値を前記モータ駆動制御手段に供給するモータ電流選択手段とを備えたことを特徴とするモータ駆動制御装置。 - 前記電流オブザーバは、前記モータの抵抗−インダクタンスモデルのパラメータを、温度変化を考慮して推定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動制御装置。
- 前記電流オブザーバは、前記モータ電流検出手段で検出したモータ電流検出値及びその微分値の何れかが所定値より小さい領域で前記モータの抵抗−インダクタンスモデルのパラメータを同定するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ駆動制御装置。
- 前記電流オブザーバは、前記異常検出手段で、前記モータ電流検出手段の異常を検出していないときに、当該モータ電流検出手段で検出したモータ電流検出値と、当該モータ電流検出値の微分値とを用いて前記抵抗−インダクタンスモデルを同定するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のモータ駆動制御装置。
- 前記異常検出手段は、前記モータ電流検出手段で検出したモータ電流検出値と前記電流オブザーバで推定したモータ電流推定値との偏差が所定閾値以上となったときに当該モータ電流検出手段が異常であると判断するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のモータ駆動制御装置。
- 前記異常検出手段は、前記モータ電流検出手段で検出したモータ電流検出値と前記電流オブザーバで推定したモータ電流推定値との偏差の微分値が所定閾値以上となったときに当該モータ電流検出手段が異常であると判断するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のモータ駆動制御装置。
- 操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータを前記請求項1乃至6の何れか1項に記載のモータ駆動制御装置で駆動制御するようにしたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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JP5135976B2 (ja) | 2013-02-06 |
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