JP2018019542A - リラクタンスモータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】リラクタンスモータにおいて逆起電圧の影響を受けにくくしてコイルに狙い通りの電圧を印加する。【解決手段】リラクタンスモータ制御装置(10)は、電流センサ(33)によって検出された相電流を回転座標電流に変換する回転座標変換部(16)と、トルク指令値から回転座標電流指令値を決定するトルク/電流変換部(11)と、回転座標電流指令値に回転座標電流をフィードバックして回転座標電圧指令値を生成する電流フィードバック制御部(12)と、回転位相、回転速度および回転座標電流から回転座標逆起電圧を算出して回転座標電圧指令値に加算する逆起電圧制御部(17)と、回転座標逆起電圧が加算された回転座標電圧指令値を固定座標電圧指令値に変換する固定座標変換部(13)と、固定座標電圧指令値に基づいてPWM制御信号を生成するPWM制御部(14)と、PWM制御信号に従ってリラクタンスモータ(1)に電力を供給するインバータ(15)とを備える。【選択図】図8
Description
本発明は、永久磁石を使用しないリラクタンスモータの制御装置に関する。
リラクタンスモータは、ロータに永久磁石やコイルがなく構造が簡単であることから、小型・軽量、安価、堅牢で耐久性が高い、高速回転が可能、高温環境下での使用が可能といったさまざまな特徴を有する。このような特徴を有するリラクタンスモータは電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)などの主電動機として採用されつつある。
一方、リラクタンスモータは、ロータに永久磁石を使用したIPM(Interior Permanent Magnet)モータなどと比較すると出力密度が低いという欠点を有する。このため、リラクタンスモータでは、発生する磁束を限界まで引き上げ、また、逆起電圧によってコイルに電流が流せなくなるまで電圧を印加するといった制御を行うことで出力密度を向上させている。
一般にリラクタンスモータ制御では最もトルクが出るとされる矩形波が相電流波形として用いられる。典型的なリラクタンスモータ制御装置は、与えられたトルク指令値に対して目標電流を決定し、通電相を順次切り替えて各相に矩形波を通電するというものである。具体的には、各相の検出電流をフィードバックして電流指令値と検出電流との誤差に基づくPI制御を行っている(例えば、特許文献1を参照)。
リラクタンスモータは高速回転が可能であるが、回転数が上がるにつれコイルに発生する逆起電圧が大きくなる。この結果、コイルに指令電圧が印加できなくなり、トルクが低下するという問題がある。したがって、リラクタンスモータにおいて狙い通りのトルク出力を可能にするには回転により発生する逆起電圧の影響を排除する必要がある。しかし、上述した電流フィードバック制御では逆起電圧の影響を排除することが難しい。
上記問題に鑑み、本発明は、リラクタンスモータにおいて逆起電圧の影響を受けにくくしてコイルに狙い通りの電圧を印加することができるリラクタンスモータ制御装置を提供することを目的とする。
本発明の一局面に従ったリラクタンスモータ制御装置は、リラクタンスモータの各相に流れる相電流を検出する電流センサと、電流センサによって検出された相電流をd軸電流、q軸電流および0軸電流からなる回転座標電流に変換する回転座標変換部と、与えられたトルク指令値からd軸電流指令値、q軸電流指令値および0軸電流指令値からなる回転座標電流指令値を決定するトルク/電流変換部と、回転座標電流指令値に回転座標電流をフィードバックしてd軸電圧指令値、q軸電圧指令値および0軸電圧指令値からなる回転座標電圧指令値を生成する電流フィードバック制御部と、リラクタンスモータの回転位相および回転速度ならびに回転座標電流からd軸逆起電圧、q軸逆起電圧および0軸逆起電圧からなる回転座標逆起電圧を算出し、回転座標逆起電圧を回転座標電圧指令値に加算する逆起電圧制御部と、回転座標逆起電圧が加算された回転座標電圧指令値をリラクタンスモータの各相電圧指令値からなる固定座標電圧指令値に変換する固定座標変換部と、固定座標電圧指令値に基づいてPWM制御信号を生成するPWM制御部と、PWM制御信号に従ってリラクタンスモータに電力を供給するインバータとを備える。
この構成によると、トルク指令値から回転座標電流指令値を決定し、また、リラクタンスモータの相電流を回転座標電流に変換して回転座標電流指令値にフィードバックすることで、リラクタンスモータを等価直流モータとして制御することができる。さらに、リラクタンスモータの回転位相および回転速度ならびに回転座標電流から回転座標逆起電圧を算出して回転座標電圧指令値に加算することで回転座標電圧指令値がリラクタンスモータにおいて発生する逆起電圧分だけ嵩上げされ、リラクタンスモータにおいて発生する逆起電圧が実質的にキャンセルされる。これにより、リラクタンスモータにおいて逆起電圧の影響を受けにくくしてコイルに狙い通りの電圧を印加することができる。
具体的には、逆起電圧制御部は、リラクタンスモータの電圧方程式を座標変換して得られる等価直流モータの電圧方程式に含まれる逆起電圧の項に基づいて回転座標逆起電圧を算出することができる。これにより、理論に基づく逆起電圧の計算が可能になる。
逆起電圧制御部はリラクタンスモータのインダクタンスの2次以上の高次成分まで参照して回転座標逆起電圧を算出してもよい。これにより、回転座標逆起電圧をより正確に算出することができる。
上記リラクタンスモータ制御装置は、回転座標電流からリラクタンスモータのインダクタンス近似値を算出するインダクタンス近似部を備えていてもよく、逆起電圧制御部は、リラクタンスモータが磁気飽和領域で動作する場合にインダクタンス近似部からインダクタンス近似値を取得して回転座標逆起電圧を算出してもよい。これにより、磁気飽和領域におけるインダクタンス変動の影響を受けにくい正確な回転座標逆起電圧の算出が可能になる。
トルク/電流変換部は、リラクタンスモータが非電圧飽和領域で動作する場合にはd軸電流指令値をゼロにし、リラクタンスモータが電圧飽和領域で動作する場合にはd軸電流指令値を負値にしてもよい。これにより、非電圧飽和領域ではd軸電流指令値をゼロにすることで最も効率よくリラクタンスモータを回転させることができ、電圧飽和領域ではd軸電流指令値を負値にすることで弱め界磁制御を行ってリラクタンスモータの回転数をさらに伸ばすことができる。
本発明によると、リラクタンスモータにおいて逆起電圧の影響を受けにくくしてコイルに狙い通りの電圧を印加することができる。
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者らは、当業者が本発明を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。また、図面に描かれた各部材の寸法、厚み、細部の詳細形状などは実際のものとは異なることがある。
1.本発明の基礎となった知見
まず、リラクタンスモータ制御に関して、本発明の基礎となった知見について説明する。なお、ここではリラクタンスモータの相数が3であると想定している。
まず、リラクタンスモータ制御に関して、本発明の基礎となった知見について説明する。なお、ここではリラクタンスモータの相数が3であると想定している。
(1)トルクとリップルの個別制御
典型的なリラクタンスモータ制御は、与えられたトルク指令値に対して目標電流値を決定し、電気角120度ごとにU相→V相→W相→U相→・・・の順に通電相を切り替えて各相コイルに目標電流を通電するというものである。発明者らはトルクを維持しつつリップルを低減することができる理想の相電流波形がないかを検討したところ、図1に示したようにリラクタンスモータの各動作点(任意の回転数および任意のトルク)において好ましい相電流波形が異なっており、理想の相電流波形は一つに絞り込めないことがわかった。
典型的なリラクタンスモータ制御は、与えられたトルク指令値に対して目標電流値を決定し、電気角120度ごとにU相→V相→W相→U相→・・・の順に通電相を切り替えて各相コイルに目標電流を通電するというものである。発明者らはトルクを維持しつつリップルを低減することができる理想の相電流波形がないかを検討したところ、図1に示したようにリラクタンスモータの各動作点(任意の回転数および任意のトルク)において好ましい相電流波形が異なっており、理想の相電流波形は一つに絞り込めないことがわかった。
この原因の一つに電流値に応じてインダクタンスが変化することが考えられる。図2は電気角とインダクタンスとの関係を表すグラフである。リラクタンスモータでは電気角に応じてインダクタンスが略三角波状に変化することが知られている。図2上側に示したように磁気飽和がない場合にはインダクタンス波形は一つに決まる。しかし磁気飽和があると、図2下側に示したように相電流の大小に応じてインダクタンス波形が大きく変化する。より詳細には、相電流が大きくなるにつれ電気角に対するインダクタンスの変化が小さくなる。
そこで発明者らは、相電流波形に含まれる各種周波数成分のうちトルクに利く成分とリップルに利く成分とを個別に制御することでトルクを維持しつつリップルを低減できるのではないかと考えた。
一般にリラクタンスモータ制御では最もトルクが出るとされる矩形波が相電流波形として用いられる。数式の明示は省略するが、矩形波をフーリエ級数展開すると矩形波は基本周波数成分と奇数次(3次、5次、7次、…)高調波成分との重ね合わせで表され、各周波数成分の振幅は次数の逆数になる。すなわち、矩形波において基本波(基本周波数成分)が最も支配的である。そこで基本波が矩形波と比べてどの程度トルクに寄与するか検証したところ、非磁気飽和領域ではトルク発生区間の相電流平均値については基本波で矩形波の90.5%を達成でき、平均トルクについては基本波で矩形波の83.2%を達成できることがわかった。また、磁気飽和領域ではトルク発生区間の相電流平均値については基本波で矩形波の90.4%を達成でき、平均トルクについては基本波で矩形波の93.3%を達成できることがわかった。このことから相電流波形に含まれる基本波を制御することでトルクを制御できると言える。
一方、図3は電源電流またはトルクの周波数と振幅との関係を表すグラフである。このように電源電流またはトルクに3n次高調波が発生する原因として、矩形波の相電流波形に含まれる高調波成分、図2に示したインダクタンス波形に含まれる高調波成分、および通電相の切り替わりによって発生する3n次高調波成分が考えられる。このことから、相電流波形に含まれる3次高調波を制御することでリップルを制御できると言える。
(2)逆起電圧
リラクタンスモータではロータの回転によってコイルに逆起電圧が発生し、コイルに指令通りの電圧が印加できなくなるという問題がある。そこで、指令電圧を逆起電圧分だけ嵩上げすることで、逆起電圧が発生してもコイルに指令電圧を印加することができる、すなわち、逆起電圧が実質的にキャンセルできると考えられる。そこで発明者らは、三相交流制御されるリラクタンスモータの電圧方程式を等価直流モータの電圧方程式に変換することでリラクタンスモータにおける逆起電圧を解明した。
リラクタンスモータではロータの回転によってコイルに逆起電圧が発生し、コイルに指令通りの電圧が印加できなくなるという問題がある。そこで、指令電圧を逆起電圧分だけ嵩上げすることで、逆起電圧が発生してもコイルに指令電圧を印加することができる、すなわち、逆起電圧が実質的にキャンセルできると考えられる。そこで発明者らは、三相交流制御されるリラクタンスモータの電圧方程式を等価直流モータの電圧方程式に変換することでリラクタンスモータにおける逆起電圧を解明した。
まず、三相交流モータとしてのリラクタンスモータの電圧方程式は次式1のように表される。
ただし、Vは相電圧、Rは巻線抵抗、iは相電流、φは磁束である。
途中の計算式は省略するが、式1は最終的に次式2のような等価直流モータの電圧方程式に変換される。
ただし、[vdqo]および[idqo]は等価直流モータのd軸、q軸、0軸の各電圧および各電流を表す行列、[dq0Cuvw]および[dq0Cuvw]−1は固定座標から回転座標への変換行列およびその逆行列、θは回転位相、ωは回転速度である。また、[Luvw]はU相、V相、W相の各インダクタンス(Lu,Lv,Lw)を表す行列であり、次式3のように表される。
ただし、Ldcはインダクタンス直流成分、Lnはインダクタンスn次成分である。
式2は、リラクタンスモータを等価直流モータとして見たときのd軸、q軸、0軸の各電圧が巻線抵抗に起因する電圧(右辺第1項)、インダクタンスに起因する電圧(右辺第2項)、およびロータの回転によってコイルに発生する逆起電圧(右辺第3項)の和として表されることを示している。したがって、リラクタンスモータ制御において指令電圧を式2の右辺第3項で表される逆起電圧分だけ嵩上げすることで、コイルに発生する逆起電圧を実質的にキャンセルしてコイルに指令電圧を印加することができる。この逆起電圧を[Edqo]とし、インダクタンスの3次成分まで考慮すると、[Edqo]は次式4のように表される。
(3)磁束を発生させる成分
リラクタンスモータは永久磁石を有しないため、意図的に磁束を発生させる必要がある。そこでリラクタンスモータではd軸電流idで磁束を発生させ、q軸電流iqでトルクを発生させる。
リラクタンスモータは永久磁石を有しないため、意図的に磁束を発生させる必要がある。そこでリラクタンスモータではd軸電流idで磁束を発生させ、q軸電流iqでトルクを発生させる。
ここで式2に着目すると、右辺第2項はインダクタンスに起因する電圧、すなわちコイルの端子間電圧である。このコイルの端子間電圧を[Vcoil]とし、インダクタンスの3次成分まで考慮すると、[Vcoil]は次式5のように表される。
コイルの端子間電圧[Vcoil]を積分するとリラクタンスモータにおいて発生する磁束φが次式6のように表される。
なお、交流成分の積分は直流成分の積分と一致することから式5において交流成分は除外している。
式5から、磁束φのd軸成分にはd軸電流id以外に0軸電流i0も利くことがわかる。すなわち、リラクタンスモータにおいてd軸電流idをゼロにしても0軸電流i0によって磁束を発生させることができる。
ここでid=0のときとid≠0のときの電流振幅について考える。図4はid=0のときとid≠0のときの電流ベクトルおよび対応する正弦波波形を示す。図4右側はid=0のときの電流ベクトルおよび対応する正弦波波形、図4左側はid≠0のときの電流ベクトルおよび対応する正弦波波形を示す。id=0のときとid≠0のときの正弦波波形を比較すると、前者の方が振幅が小さい、すなわち必要な電流が少ないことがわかる。また、i0=√2×√(iq 2+id 2)のとき、正弦波波形の最小値がゼロになる。
以上のことから、最も効率よくリラクタンスモータを回転させることができる制御条件はid=0かつi0=√2×iqであることがわかる。なお、後述するように、弱め界磁制御を行う場合にはidはゼロではなく負値に制御する必要がある。
(4)トルクと回転座標の目標電流との関係
フレミングの法則に従うと、力は電流ベクトルと磁束ベクトルの外積で与えられる。リラクタンスモータにおいてロータはステータに発生した力の反作用で回転し、また極数の数だけ力が発生することから、リラクタンスモータに発生する力Fは次式7で表される。
フレミングの法則に従うと、力は電流ベクトルと磁束ベクトルの外積で与えられる。リラクタンスモータにおいてロータはステータに発生した力の反作用で回転し、また極数の数だけ力が発生することから、リラクタンスモータに発生する力Fは次式7で表される。
ただし、pは極数、ベクトル(→)idはd軸電流ベクトル、ベクトル(→)iqはq軸電流ベクトル、ベクトル(→)φdはd軸磁束ベクトル、ベクトル(→)φqはq軸磁束ベクトルである。
途中の計算式は省略するが、式6で与えられるφdおよびφqを式7に代入すると、リラクタンスモータに発生するトルクTは次式8で表される。
ただし、L1はインダクタンス1次成分、L2はインダクタンス2次成分である。
上述したようにリラクタンスモータにおいて最も効率のよい制御条件はid=0かつi0=√2×iqである。この条件と式8(以下、トルク計算式ともいう)から回転座標の目標電流を決定することができる。
(5)インダクタンス近似精度の向上
図5はリラクタンスモータのN−T特性グラフに推定トルクと実トルクとの誤差率を重ねた図である。推定トルクとはトルク計算式により推定したトルクである。図中の一点鎖線はリラクタンスモータのN−T特性を表す。図5および導出したトルク計算式から次の5点が確認できる。1)磁気飽和が大きくなるにつれ推定トルクと実トルクとの誤差率が大きくなる。2)電圧飽和領域においてもトルク計算式によるトルク推定は有効である。3)トルク計算式によるトルク推定は回転数の影響を受けない。4)力行トルクおよび回生トルクともにトルク計算式により推定できる。5)トルク計算式においてトルクの増加に影響を与えるのはインダクタンス1次成分L1であり、トルクの減少に影響を与えるインダクタンス2次成分L2である(弱め界磁制御ではId<0となるため)。
図5はリラクタンスモータのN−T特性グラフに推定トルクと実トルクとの誤差率を重ねた図である。推定トルクとはトルク計算式により推定したトルクである。図中の一点鎖線はリラクタンスモータのN−T特性を表す。図5および導出したトルク計算式から次の5点が確認できる。1)磁気飽和が大きくなるにつれ推定トルクと実トルクとの誤差率が大きくなる。2)電圧飽和領域においてもトルク計算式によるトルク推定は有効である。3)トルク計算式によるトルク推定は回転数の影響を受けない。4)力行トルクおよび回生トルクともにトルク計算式により推定できる。5)トルク計算式においてトルクの増加に影響を与えるのはインダクタンス1次成分L1であり、トルクの減少に影響を与えるインダクタンス2次成分L2である(弱め界磁制御ではId<0となるため)。
上記2点目および3点目の理由は、トルク計算式が逆起電圧の影響を受けないからである。トルク計算式の元となった式2ではコイル電圧(右辺第2項)と逆起電圧(右辺第3項)とが分離しており互いに干渉しない。また、回転数は逆起電圧に影響するところ、上述のようにコイル電圧が逆起電圧と分離されているため、トルク計算式によるトルク推定は回転数の影響を受けない。
上記5点目から、インダクタンスL1を大きくし、インダクタンスL2を小さくするようにモータを設計することでトルク密度を高めることができることがわかる。
一方、上記1点目の原因として、磁気飽和が進むにつれトルク計算式におけるインダクタンスL1,L2の近似がずれていくことだと考えられる。図2に示したように磁気飽和があると相電流の大小に応じてインダクタンスが大きく異なる。したがって、相電流の大きさに応じてインダクタンスの近似値を変更する仕組みを導入する必要がある。
2.実施形態
次に、上記知見を元に発明したリラクタンスモータ制御装置の実施形態について説明する。
次に、上記知見を元に発明したリラクタンスモータ制御装置の実施形態について説明する。
(1)リラクタンスモータの構造
まず、制御対象であるリラクタンスモータの構造について図6および図7を参照しながら説明する。図6は一実施形態に係るリラクタンスモータの縦断面図であり、図7は一実施形態に係るリラクタンスモータの主要部を示す平面図である。本実施形態に係るリラクタンスモータ1は、互いに同軸に配置されたステータ21およびロータ25からなるモータ本体2を備えたスイッチトリラクタンスモータ(SRM)である。
まず、制御対象であるリラクタンスモータの構造について図6および図7を参照しながら説明する。図6は一実施形態に係るリラクタンスモータの縦断面図であり、図7は一実施形態に係るリラクタンスモータの主要部を示す平面図である。本実施形態に係るリラクタンスモータ1は、互いに同軸に配置されたステータ21およびロータ25からなるモータ本体2を備えたスイッチトリラクタンスモータ(SRM)である。
ステータ21は、円筒状のヨーク22の内側に径方向の内方に突出する複数(図例では8個)のステータ突極23,23,・・・を備えている。複数のステータ突極23,23,・・・は、等角度間隔に配置されているとともに、各ステータ突極23,23,・・・には、コイル24,24,・・・が設けられている。なお、コイル24,24,・・・は、回転軸Xを挟んで径方向に相対するコイル24,24同士が直列に接続されて組(同じ相)とされている。
ロータ25は、円板状のコア28の外側に径方向の外方に突出する複数(図例では6個)のロータ突極26,26,・・・を備えている。複数のロータ突極26,26,・・・は、等角度間隔に配置されている。ロータ25は、出力軸であるシャフト27に外嵌されていて、シャフト27と一体的に回転軸X回りに回転する。
ステータ21およびロータ25は、モータハウジング29に収容されており、ステータ21はモータハウジング29内で固定されている一方、ロータ25は、シャフト27がベアリング27aを介してモータハウジング29に支持されることによって、ステータ21の中心軸と同軸である回転軸X回りに回転可能にされている。なお、ステータ21およびロータ25はともに、磁性材料によって形成される。
モータハウジング29内に、ステータ突極23,23,・・・の各コイル24,24,・・・の端部をモータハウジング29の外部に引き出すための端子板31が設けられている。また、モータハウジング29内に、シャフト27の回転位相を検出するための回転位相センサ32が設けられている。
(2)リラクタンスモータ制御装置
次にリラクタンスモータ制御装置について説明する。図8は一実施形態に係るリラクタンスモータ制御装置のブロック図である。本実施形態に係るリラクタンスモータ制御装置10は、トルク/電流変換部11と、電流フィードバック(F/B)制御部12と、固定座標変換部13と、PWM制御部14と、インバータ15と、回転座標変換部16と、逆起電圧制御部17と、インダクタンス近似部18と、高調波制御部19と、回転位相センサ32と、電流センサ33と、微分器34とを備えている。
次にリラクタンスモータ制御装置について説明する。図8は一実施形態に係るリラクタンスモータ制御装置のブロック図である。本実施形態に係るリラクタンスモータ制御装置10は、トルク/電流変換部11と、電流フィードバック(F/B)制御部12と、固定座標変換部13と、PWM制御部14と、インバータ15と、回転座標変換部16と、逆起電圧制御部17と、インダクタンス近似部18と、高調波制御部19と、回転位相センサ32と、電流センサ33と、微分器34とを備えている。
回転位相センサ32は、リラクタンスモータ制御装置10によって制御されるリラクタンスモータ1の出力軸であるシャフト27の回転位相θを検出する。回転位相センサ32として、レゾルバ、磁気センサ、ホール素子を用いた磁気エンコーダ、ロータリエンコーダなどが使用可能である。
微分器34は、回転位相θを微分して回転速度ωを算出する。
トルク/電流変換部11は、与えられたトルク指令値Trefからd軸電流指令値id*、q軸電流指令値iq*および0軸電流指令値i0*からなる回転座標電流指令値を決定する。上述したようにリラクタンスモータにおいて最も効率のよい制御条件はid=0かつi0=√2×iqである。また、トルクと各電流指令値との関係は式8で表される。よってトルク/電流変換部11は当該制御条件および式8に従ってd軸電流指令値id*、q軸電流指令値iq*および0軸電流指令値i0*をそれぞれ決定することができる。
式8におけるリラクタンスモータ1の極数p、インダクタンス1次成分L1およびインダクタンス2次成分L2といったモータパラメータは固定値にしてもよいし、図略のレジスタから取得できるようにして制御対象のリラクタンスモータ1のモータパラメータに応じて切り替えるようにしてもよい。また、上述したように磁気飽和領域では相電流の大小に応じてインダクタンスが大きく異なるため、トルク/電流変換部11は、リラクタンスモータ1が磁気飽和領域で動作する場合にインダクタンス近似部18からインダクタンス1次成分L1およびインダクタンス2次成分L2の近似値を取得するようにしてもよい。
上記のようにトルク/電流変換部11は式8に従って演算により各電流指令値を決定してもよいし、あらかじめ解析した結果からトルク指令値Trefと各電流指令値とをひもづけたマップを参照して各電流指令値を決定するようにしてもよい。
また、トルク/電流変換部11は、リラクタンスモータ1の動作点が電圧飽和領域にある場合においてリラクタンスモータ1の回転数を伸ばすために弱め界磁制御を行うこともできる。具体的には、トルク/電流変換部11は回転速度ωに応じてd軸電流指令値id*を適当な負値に決定する。トルク/電流変換部11は弱め界磁制御を行う場合において所定の計算式に従って演算によりd軸電流指令値id*を決定してもよいし、あらかじめ解析した結果から回転速度とd軸電流指令値とをひもづけたマップを参照してd軸電流指令値id*を決定するようにしてもよい。
電流フィードバック制御部12は、トルク/電流変換部11からd軸電流指令値id*、q軸電流指令値iq*および0軸電流指令値i0*を受け、また、回転座標変換部16からd軸電流id、q軸電流iqおよび0軸電流i0を受け、d軸電圧指令値vd*、q軸電圧指令値vq*および0軸電圧指令値v0*からなる回転座標電圧指令値を生成する。より詳細には、電流フィードバック制御部12はd−q−0の各軸電流ごとに電流指令値と実際の電流値との誤差に基づくPI制御を行う。
固定座標変換部13は、d軸電圧指令値vd*、q軸電圧指令値vq*および0軸電圧指令値v0*をリラクタンスモータ1のU相電圧指令値vu*、V相電圧指令値vv*およびW相電圧指令値vw*からなる固定座標電圧指令値に変換する。具体的には、固定座標変換部13は、回転位相センサ32から回転位相θを受けて、次式9の変換行列[dq0Cuvw]−1を用いて電圧指令値の回転座標から固定座標への変換を行う。
PWM制御部14は、固定座標変換部13によって変換されたU相電圧指令値vu*、V相電圧指令値vv*およびW相電圧指令値vw*に基づいてリラクタンスモータ1の各相への通電を制御するためのPWM制御信号を生成する。
インバータ15は、PWM制御部14によって生成されたPWM制御信号に従って、直流電源100から供給される電力をリラクタンスモータ1に供給する。図9はインバータ15の構成例を示す回路図である。直流電源100の正極にスイッチ素子Q1,Q2,Q3(より詳細にはコレクタ端子)が接続され、負極にスイッチ素子Q4,Q5,Q6(より詳細にはエミッタ端子)が接続されている。スイッチ素子Q1〜Q6は例えばNPNバイポーラトランジスタであり、PWM制御部14から出力されるPWM制御信号をベース端子に受けてそれぞれオン/オフ制御される。
直流電源100の正負極間には平滑コンデンサ101が接続されている。スイッチ素子Q1とスイッチ素子Q4の間にリラクタンスモータ1のU相コイル1uが接続され、スイッチ素子Q2とスイッチ素子Q5の間にリラクタンスモータ1のV相コイル1vが接続され、スイッチ素子Q3とスイッチ素子Q6の間にリラクタンスモータ1のW相コイル1wが接続されている。さらにスイッチ素子Q4とU相コイル1uとの接続点と直流電源100の正極との間にフライホイールダイオードD1が接続され、スイッチ素子Q1とU相コイル1uとの接続点と直流電源100の負極との間にフライホイールダイオードD4が接続されている。またスイッチ素子Q5とV相コイル1vとの接続点と直流電源100の正極との間にフライホイールダイオードD2が接続され、スイッチ素子Q2とV相コイル1vとの接続点と直流電源100の負極との間にフライホイールダイオードD5が接続されている。またスイッチ素子Q6とW相コイル1wとの接続点と直流電源100の正極との間にフライホイールダイオードD3が接続され、スイッチ素子Q3とW相コイル1wとの接続点と直流電源100の負極との間にフライホイールダイオードD6が接続されている。上記構成により、リラクタンスモータ1の各相コイル1u,1v,1wには図中の矢印で示したように一方向にしか相電流iu,iv,iwが流れないようになっている。
図8へ戻り、電流センサ33はリラクタンスモータ1の各相に流れる相電流iu,iv,iwを検出する。
回転座標変換部16は、電流センサ33によって検出されたU相電流iu、V相電流ivおよびW相電流iwをd軸電流id、q軸電流iqおよび0軸電流i0からなる回転座標電流に変換する。具体的には、回転座標変換部16は、回転位相センサ32から回転位相θを受けて、次式10の変換行列[dq0Cuvw]を用いて検出電流の固定座標から回転座標への変換を行う。
逆起電圧制御部17は、回転位相センサ33から回転位相θを受け、微分器34から回転速度ωを受け、回転座標変換部16からd軸電流id、q軸電流iqおよび0軸電流i0を受け、これら入力からd軸逆起電圧Ed、q軸逆起電圧Eqおよび0軸逆起電圧E0からなる回転座標逆起電圧を算出し、電流フィードバック部12から出力される回転座標電圧指令値に回転座標逆起電圧を加算する。すなわち、d軸電圧指令値vd*にd軸逆起電圧Edが加算され、q軸電圧指令値vq*にq軸逆起電圧Eqが加算され、0軸電圧指令値v0*に0軸逆起電圧E0が加算される。具体的には、逆起電圧制御部17は式4に従って回転座標逆起電圧を算出する。式4におけるインダクタンス直流成分Ldc、インダクタンス1次成分L1、インダクタンス2次成分L2およびインダクタンス3次成分L3はインダクタンス近似部18から与えられる。
式4により表される逆起電圧[Edq0]はリラクタンスモータ1において発生している逆起電圧の推定値に相当する。したがって、電流フィードバック部12から出力される回転座標電圧指令値に逆起電圧[Edq0]を加算することで、回転座標電圧指令値がリラクタンスモータ1において発生する逆起電圧分だけ嵩上げされる。これにより、リラクタンスモータ1において発生する逆起電圧が実質的にキャンセルされ、リラクタンスモータ1において逆起電圧の影響を受けにくくしてコイルに狙い通りの電圧を印加することができる。
インダクタンス近似部18は、回転座標変換部16からd軸電流id、q軸電流iqおよび0軸電流i0を受け、リラクタンスモータ1のインダクタンス近似値を算出する。図10は一例に係るインダクタンス近似部18の構成図である。インダクタンス近似部18は、d軸電流id、q軸電流iqおよび0軸電流i0からリラクタンスモータ1の相電流実効値Iurmsを算出する相電流実効値算出部181と、相電流実効値Iurmsに対応するインダクタンス直流成分Ldc、インダクタンス1次成分L1、インダクタンス2次成分L2およびインダクタンス3次成分L3をそれぞれ出力するインダクタンスマップ182,183,184,185とを備えている。
図11は相電流実効値の計算を説明するための電流ベクトルおよび対応する正弦波波形を示す図である。いまd軸電流idおよびq軸電流iqが合成されて生成される正弦波波形の振幅をIAC、0軸電流i0によるオフセット量をIDC、正弦波波形のピーク値をIuとする。このとき、正弦波波形の実効値Iurmsは次式11で表される。
相電流実効値算出部181は式11に従ってリラクタンスモータ1の相電流実効値Iurmsを算出することができる。
各インダクタンスマップ182〜185は、あらかじめ解析した結果から相電流実効値Iurmsと各インダクタンス値とをひもづけたマップである。各インダクタンスマップ182〜185は、相電流実効値算出部181から相電流実効値Iurmsが与えられることで対応するインダクタンス値を出力する。
図12は一例に係るインダクタンス近似部18の構成図である。上述したリラクタンスモータにおいて最も効率のよい制御条件であるid=0かつi0=√2×iqを考慮すると、数11は簡略化されてIurms=1/√2×i0となる。したがって、相電流実効値算出部181を、入力信号を1/√2倍する演算器181aで実現して、演算器181aに0軸電流i0を入力するようにしてもよい。これにより、相電流の実効値の演算がより簡単になる。
上記のようにインダクタンス近似部18においてリラクタンスモータ1の相電流実効値Iurmsに基づいてインダクタンスの各次成分を近似することで、常に変動しているインダクタンス値を平均的に捉えることができ、インダクタンスの近似精度が向上する。
図8へ戻り、高調波制御部19は、リラクタンスモータ1の電源電流またはトルクに含まれる3次高調波成分と同周期の高調波信号を発生させて、リラクタンスモータ制御装置10における所定箇所に当該高調波信号の位相を調整した調整位相高調波信号を加算する。調整位相高調波信号の位相は回転位相センサ32から与えられる回転位相θとあらかじめ解析した結果に基づいて決定することができる。調整位相高調波信号の振幅はあらかじめ解析した結果に基づいて決定することができる。
リラクタンスモータ制御装置10において調整位相高調波信号はさまざまな箇所に加算することができる。例えば、高調波制御部19は、トルク/電流変換部11から出力される0軸電流指令値i0*に調整位相高調波信号19aを加算することができる。あるいは、高調波制御部19は、電流フィードバック部12から出力される0軸電圧指令値v0*に調整位相高調波信号19bを加算することができる。あるいは、高調波制御部19は、回転座標変換部16から出力される0軸電流i0に調整位相高調波信号19cを加算することができる。あるいは、高調波制御部19は、固定座標変換部13から出力されるU相電圧指令値vu*、V相電圧指令値vv*およびW相電圧指令値vw*に調整位相高調波信号19dを加算することができる。
図13は0軸電流指令値i0*への調整位相高調波信号の加算を模式的に表す図である。トルク/電流変換部11によって生成される0軸電流指令値i0*は一定値であるが、調整位相高調波信号を加算して0軸電流指令値i0*に意図的にリップルを生じさせる。この結果、リラクタンスモータ1の相電流に歪みが生じるが、その歪みが3次高調波と打ち消し合ってリラクタンスモータ1に発生するリップルを低減することができる。
(3)効果
次に本実施形態の効果について説明する。
次に本実施形態の効果について説明する。
図14は従来構成および実施形態による電源電流、モータトルクおよびコイル電流を比較する図である。図14左側は従来構成のリラクタンスモータ制御装置における電源電流、モータトルクおよびコイル電流を示す。図14右側は本実施形態に係るリラクタンスモータ制御装置10における電源電流(直流電源100の電流)、モータトルクおよびコイル電流を示す。電源電流を比較すると、従来構成ではおよそ200[A]のリップルが発生しているのに対して、実施形態ではリップルが60[A]程度に抑制されている。また、モータトルクを比較すると、従来構成および実施形態ともに18.4[N・m]の平均トルクを達成している。このように、本実施形態に係るリラクタンスモータ制御装置10によるとトルクを維持しつつリップルを低減することができる。
図15はリラクタンスモータのN−T特性グラフにインダクタンス近似値を参照して推定したトルクと実トルクとの誤差率を重ねた図である。図中の一点鎖線はリラクタンスモータのN−T特性を表す。図5と比較すると磁気飽和領域における誤差率が著しく改善されている。このように、インダクタンス近似部18において計算されるインダクタンス近似値を参照することで高精度なトルク制御を達成することができる。
(4)変形例
上記の実施形態ではリラクタンスモータ制御装置10は三相リラクタンスモータ(リラクタンスモータ1)を制御するとしたが、本発明に係るリラクタンスモータ制御装置の制御対象は三相リラクタンスモータに限定されない。すなわち、制御対象のリラクタンスモータの相数は2または4以上であってもよい。制御対象のリラクタンスモータの相数をnとすると、固定座標変換部13はd軸電圧指令値vd*、q軸電圧指令値vq*および0軸電圧指令値v0*をn相分の電圧指令値に変換し、PWM制御部14は当該n相分の電圧指令値に基づいてn相分の各PWM制御信号を生成し、インバータ15は当該n相分のPWM制御信号に従ってリラクタンスモータの各相に電力を供給し、電流センサ33はリラクタンスモータのn相分の相電流を検出し、回転座標変換部16はn相分の相電流をd軸電流id、q軸電流iqおよび0軸電流i0に変換し、高調波制御部19はリラクタンスモータの電源電流またはトルクに含まれるn次高調波成分を打ち消すように位相を調整した調整位相高調波信号を発生させるように変更すればよい。
上記の実施形態ではリラクタンスモータ制御装置10は三相リラクタンスモータ(リラクタンスモータ1)を制御するとしたが、本発明に係るリラクタンスモータ制御装置の制御対象は三相リラクタンスモータに限定されない。すなわち、制御対象のリラクタンスモータの相数は2または4以上であってもよい。制御対象のリラクタンスモータの相数をnとすると、固定座標変換部13はd軸電圧指令値vd*、q軸電圧指令値vq*および0軸電圧指令値v0*をn相分の電圧指令値に変換し、PWM制御部14は当該n相分の電圧指令値に基づいてn相分の各PWM制御信号を生成し、インバータ15は当該n相分のPWM制御信号に従ってリラクタンスモータの各相に電力を供給し、電流センサ33はリラクタンスモータのn相分の相電流を検出し、回転座標変換部16はn相分の相電流をd軸電流id、q軸電流iqおよび0軸電流i0に変換し、高調波制御部19はリラクタンスモータの電源電流またはトルクに含まれるn次高調波成分を打ち消すように位相を調整した調整位相高調波信号を発生させるように変更すればよい。
以上のように、本発明における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施の形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
1 リラクタンスモータ
11 トルク/電流変換部
12 電流フィードバック部
13 固定座標変換部
14 PWM制御部
15 インバータ
16 回転座標変換部
17 逆起電圧制御部
18 インダクタンス近似部
181 相電流実効値算出部
182〜185 インダクタンスマップ
19 高調波制御部
19a〜19d 調整位相高調波信号
33 電流センサ
Tref トルク指令値
id* d軸電流指令値
iq* q軸電流指令値
i0* 0軸電流指令値
id d軸電流
iq q軸電流
i0 0軸電流
vd* d軸電圧指令値
vq* q軸電圧指令値
v0* 0軸電圧指令値
vu* U相電圧指令値(各相電圧指令値)
vv* V相電圧指令値(各相電圧指令値)
vw* W相電圧指令値(各相電圧指令値)
iu U相電流(各相電流)
iv V相電流(各相電流)
iw W相電流(各相電流)
Ed d軸逆起電圧
Eq q軸逆起電圧
E0 0軸逆起電圧
θ 回転位相
ω 回転速度
11 トルク/電流変換部
12 電流フィードバック部
13 固定座標変換部
14 PWM制御部
15 インバータ
16 回転座標変換部
17 逆起電圧制御部
18 インダクタンス近似部
181 相電流実効値算出部
182〜185 インダクタンスマップ
19 高調波制御部
19a〜19d 調整位相高調波信号
33 電流センサ
Tref トルク指令値
id* d軸電流指令値
iq* q軸電流指令値
i0* 0軸電流指令値
id d軸電流
iq q軸電流
i0 0軸電流
vd* d軸電圧指令値
vq* q軸電圧指令値
v0* 0軸電圧指令値
vu* U相電圧指令値(各相電圧指令値)
vv* V相電圧指令値(各相電圧指令値)
vw* W相電圧指令値(各相電圧指令値)
iu U相電流(各相電流)
iv V相電流(各相電流)
iw W相電流(各相電流)
Ed d軸逆起電圧
Eq q軸逆起電圧
E0 0軸逆起電圧
θ 回転位相
ω 回転速度
Claims (5)
- リラクタンスモータの各相に流れる相電流を検出する電流センサと、
前記電流センサによって検出された相電流をd軸電流、q軸電流および0軸電流からなる回転座標電流に変換する回転座標変換部と、
与えられたトルク指令値からd軸電流指令値、q軸電流指令値および0軸電流指令値からなる回転座標電流指令値を決定するトルク/電流変換部と、
前記回転座標電流指令値に前記回転座標電流をフィードバックしてd軸電圧指令値、q軸電圧指令値および0軸電圧指令値からなる回転座標電圧指令値を生成する電流フィードバック制御部と、
リラクタンスモータの回転位相および回転速度ならびに前記回転座標電流からd軸逆起電圧、q軸逆起電圧および0軸逆起電圧からなる回転座標逆起電圧を算出し、前記回転座標逆起電圧を前記回転座標電圧指令値に加算する逆起電圧制御部と、
前記回転座標逆起電圧が加算された前記回転座標電圧指令値をリラクタンスモータの各相電圧指令値からなる固定座標電圧指令値に変換する固定座標変換部と、
前記固定座標電圧指令値に基づいてPWM制御信号を生成するPWM制御部と、
前記PWM制御信号に従ってリラクタンスモータに電力を供給するインバータとを備えたリラクタンスモータ制御装置。 - 前記逆起電圧制御部が、リラクタンスモータの電圧方程式を座標変換して得られる等価直流モータの電圧方程式に含まれる逆起電圧の項に基づいて前記回転座標逆起電圧を算出するものである、請求項1に記載のリラクタンスモータ制御装置。
- 前記逆起電圧制御部がリラクタンスモータのインダクタンスの2次以上の高次成分まで参照して前記回転座標逆起電圧を算出するものである、請求項1に記載のリラクタンスモータ制御装置。
- 前記回転座標電流からリラクタンスモータのインダクタンス近似値を算出するインダクタンス近似部を備え、
前記逆起電圧制御部が、リラクタンスモータが磁気飽和領域で動作する場合に前記インダクタンス近似部から前記インダクタンス近似値を取得して前記回転座標逆起電圧を算出するものである、請求項3に記載のリラクタンスモータ制御装置。 - 前記トルク/電流変換部が、リラクタンスモータが非電圧飽和領域で動作する場合にはd軸電流指令値をゼロにし、リラクタンスモータが電圧飽和領域で動作する場合にはd軸電流指令値を負値にするものである、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のリラクタンスモータ制御装置。
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