JP2009213287A - 回転電機制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転電機の制御において、電圧振幅を新しい考え方で決定し、広い電圧範囲で回転電機の駆動制御を可能とすることである。
【解決手段】回転電機駆動システム10は、回転電機12と、蓄電装置22と電圧変換器24とインバータ26を有する電源回路20と、指令値生成部30と、回転電機制御装置40とを備えて構成される。回転電機制御装置40は、三相−dq変換器42と、微分器44と、トルク推定値取得部46と、トルク推定値とトルク指令値とから電圧位相ψを算出する電圧位相算出部48と、無効電力を含んでいる皮相電力を算出する電力算出部50と、電流算出部52と、皮相電力と電流とから電圧振幅Vを算出する電圧振幅算出部54と、電圧位相ψと電圧振幅Vとに基づいて制御信号を生成する制御信号生成部56とを含んで構成される。
【選択図】図5
【解決手段】回転電機駆動システム10は、回転電機12と、蓄電装置22と電圧変換器24とインバータ26を有する電源回路20と、指令値生成部30と、回転電機制御装置40とを備えて構成される。回転電機制御装置40は、三相−dq変換器42と、微分器44と、トルク推定値取得部46と、トルク推定値とトルク指令値とから電圧位相ψを算出する電圧位相算出部48と、無効電力を含んでいる皮相電力を算出する電力算出部50と、電流算出部52と、皮相電力と電流とから電圧振幅Vを算出する電圧振幅算出部54と、電圧位相ψと電圧振幅Vとに基づいて制御信号を生成する制御信号生成部56とを含んで構成される。
【選択図】図5
Description
本発明は、回転電機制御装置に係り、特に永久磁石型回転電機において電圧位相によってトルクを制御する回転電機制御装置に関する。
永久磁石型の同期交流回転電機の駆動制御としては、PWM(Pulse Width Modulation)制御、過変調制御、矩形波制御が知られている。例えば、矩形波制御の場合、トルクと電圧位相の関係式に基いて、電圧位相を制御して回転電機の所望のトルクを出力させる。
例えば、特許文献1には、同期交流電動機の駆動制御装置として、同期交流電動機の必要電圧が基準三角波のピーク値以下のときにPWM制御、ピーク値を超えると過変調制御、ピーク値の1,27倍(4/π)を超えると矩形波制御とする構成が述べられている。
また、特許文献2には、交流電動機の駆動制御装置として、矩形波制御においてトルクセンサ等で実際のトルク値を検出しこれをフィードバックして電圧位相を設定することが述べられている。そしてこの際に、設定される電圧位相を制御が破綻しない所定の位相範囲とすることが開示されている。
上記のように、永久磁石型同期回転電機の矩形波制御は、電圧振幅はインバータに供給される直流電圧により決まる上限に到達した後に使うことを前提にするなど、回転電機の駆動制御における電圧振幅は外部要因である直流電圧等によって決まってきている。このことは、例えば、要求される電圧が低い場合、すなわち回転電機が低回転数の場合等において、従来の制御のアルゴリズムでは過電流となること生じ、そのままでは利用できないことがある。
本発明の目的は、電圧振幅を新しい考え方で決定し、その電圧振幅と電圧位相とに基いて回転電機を制御する回転電機制御装置を提供することである。
本発明は、回転電機の電力から実トルクを推定し、推定されたトルクとトルク指令との差であるトルク偏差をPI制御等のフィードバックによって補償するときの電圧位相について解析をした結果、以下の知見を得たことに基づく。
すなわち、回転電機の有効電力、無効電力を回転電機に対する入力電圧の電圧位相と電圧振幅で整理すると、ある一定の電圧位相範囲であれば、トルクを表す有効電力は電圧位相に対し単調性を有する。一方で、無効電力、および有効電力と無効電力の和である皮相電力は、電圧振幅に対し単調性を有する。このことから、電圧位相はトルク、あるいは有効電力を用いて決定し、電圧振幅は無効電力あるいは無効電力を含んでいる皮相電力を用いて決定することができる。
本発明は、この知見に基づき、回転電機のトルク偏差をフィードバックで補償するときの電圧位相を、トルク−電圧位相の単調関係式に基いて決定し、電圧振幅を、無効電力あるいは皮相電力と電圧振幅の単調関係式に基いて決定しようとするものである。
この知見を実現するための手段として、本発明に係る回転電機制御装置は、永久磁石型回転電機の実際の出力特性から出力トルクの推定値を取得する手段と、出力トルクの推定値とトルク指令値との差であるトルク偏差に応じて回転電機の駆動制御信号における電圧位相を決定する電圧位相算出部と、回転電機に供給される電力をトルク生成に寄与する有効電力成分とそれ以外の無効電力成分とに分け、無効電力成分に基いて回転電機の駆動制御信号における電圧振幅を決定する電圧振幅算出部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る回転電機制御装置において、電圧振幅算出部は、無効電力−電流関係式を用いて、電流指令値から無効電力指令値を算出し、これを回転電機の実測電流値で除すことで、電圧振幅を算出することが好ましい。
また、本発明に係る回転電機制御装置において、電圧振幅算出部は、有効電力−電流関係式を用いて、電流指令値から有効電力指令値を算出し、無効電力−電流関係式を用いて、電流指令値から無効電力指令値を算出し、算出された有効電力指令値と無効電力指令値との合計値を回転電機の実測電流値で除すことで、電圧振幅を算出することが好ましい。
また、本発明に係る回転電機制御装置において、電圧位相算出部は、トルク偏差をPI制御によってゼロとすることができる位相を電圧位相として算出することが好ましい。
また、本発明に係る回転電機制御装置において、回転電機の駆動制御信号がPWM制御信号または過変調制御信号または矩形波制御信号であることが好ましい。
上記構成によれば、回転電機制御装置は、出力トルクの推定値とトルク指令値との差であるトルク偏差に応じて回転電機の駆動制御信号における電圧位相を決定し、回転電機に供給される電力をトルク生成に寄与する有効電力成分とそれ以外の無効電力成分とに分け、無効電力成分に基いて回転電機の駆動制御信号における電圧振幅を決定する。このように、従来技術では外部要因によって決められていた電圧振幅を、上記構成では、回転電機の無効電力に基づいて決定できる。
また、回転電機制御装置において、無効電力−電流関係式を用いて、電流指令値から無効電力指令値を算出し、これを回転電機の実測電流値で除すことで、電圧振幅を算出する。このように、特別な関係式ではなく、単に、電力と電流の関係式に基づいて電圧振幅を算出できる。
また、回転電機制御装置において、有効電力−電流関係式を用いて、電流指令値から有効電力指令値を算出し、無効電力−電流関係式を用いて、電流指令値から無効電力指令値を算出し、算出された有効電力指令値と無効電力指令値との合計値を回転電機の実測電流値で除すことで、電圧振幅を算出する。ここでも、特別な関係式ではなく、単に、電力と電流の関係式に基づいて電圧振幅を算出できる。
また、回転電機制御装置において、電圧位相算出部は、トルク偏差をPI制御によってゼロとすることができる位相を電圧位相として算出する。この方法は、トルクを電圧位相の単調性関数として関係づけて、トルクから電圧位相を求めるものであるので、従来からの方法をそのまま用いることができる。
また、回転電機制御装置において、回転電機の駆動制御信号がPWM制御信号または過変調制御信号または矩形波制御信号である。したがって、従来から用いられている駆動制御信号について、電圧振幅を決定できる。なお、矩形波制御においては、電圧振幅と電圧位相で回転電機の駆動制御信号が構成されるので、電圧振幅と電圧位相を算出することで、そのまま回転電機の駆動制御信号を生成することができる。
以下に図面を用いて、本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下では、回転電機の矩形波制御の場合を取り上げて説明するが、矩形波制御にとどまらず、回転電機の電力から実トルクを推定し、推定されたトルクとトルク指令との差であるトルク偏差を補償するときの電圧位相と電圧振幅によって回転電機の駆動制御を行うものであれば、広く本発明が適用できる。すなわち、PWM制御、過変調制御においても、その電圧振幅の決定について、本発明が適用可能である。
また、以下では、回転電機の電源回路として、蓄電装置、電圧変換器、インバータを含む構成を説明するが、電圧振幅と電圧位相とによって回転電機の駆動制御が実現できる電源回路であれば、これ以外の構成であってもよい。例えば、蓄電装置以外に燃料電池を含んでもよく、また、具体的に、例えば、システムメインリレー、低電圧バッテリ、低電圧作動のDC/DCコンバータ、平滑コンデンサ等を含むものとできる。
最初に本発明の原理となる電圧振幅と電力の関係について述べ、次にその原理を実現するための回転電機制御装置の構成等を説明する。図1は、回転電機の矩形波制御におけるトルクと電圧位相の関係を示す摸式図である。このように、回転電機の駆動信号の電圧位相を変化させると、出力トルクが変化するので、トルク指令と実際のトルクとの偏差を求め、この偏差に対して駆動信号の電圧位相を変化させて補償して回転電機の駆動制御を行うことができる。
回転電機の実際のトルクの推定値をTeとし、抵抗成分をRとし、回転角速度をω、d軸電流とq軸電流をそれぞれid,iqとすると、トルク方程式は(1)式で示される。
これを変形すると(2)式となる。
そして、トルク指令値をTrとし、トルク偏差(Tr−Te)をフィードバック制御で補償するときの電圧位相をψとする。例えば、PI制御で補償する場合、比例制御のゲインをKp、積分制御のゲインをKiとすると、電圧位相ψは(3)式で示される。
ここで、式(1)は、回転電機の有効電力を示しており、矩形波電圧制御は、回転電機の有効電力(Effecyive Power)を利用した制御ということができる。
ここで、回転電機の皮相電力(Apparent Power)をSdq(VA)とし、有効電力をPdq(W)とし、無効電力(Reactive Power)をQdq(var)としてこれらの関係を全てWの単位系で整理すると(4)式となる。
ここで、具体的な数字をいれてこれらの電力について計算し、回転電機への入力電圧の電圧振幅Vと電圧位相ψで整理すると、図2、図3のようになる。図2の各図において縦軸は電力で、横軸は電圧位相ψ、パラメータは電圧振幅Vである。図3の各図においては、縦軸が電力であるが、横軸が電圧振幅V、パラメータが電圧位相ψである。そして、図2、図3のそれぞれにおいて、(a)は有効電力、(b)は無効電力、(c)は皮相電力を示している。
図2、図3から次のことが分かる。高電圧から低電圧まで、換言すれば高回転域から低回転域までに渡って、ある一定の電圧位相範囲であれば、有効電力は電圧位相と単調性を有する。一方、無効電力や、無効電力を含んでいる皮相電力は、電圧振幅と単調性を有している。
このことから、電圧位相は、単調性を利用して、有効電力、すなわちトルクから決定することができる。また、電圧振幅は、単調性を利用して、無効電力または無効電力を含んでいる皮相電力から決定することができる。
具体的には、電圧位相は、図1に示されているように、従来から知られているトルク−電圧位相関係に基づいて決定することができる。そして、電圧振幅は次のようにして、無効電力に基いて決定することができる。
また、図4に示すように、回転電機制御装置によって生成され回転電機に供給される出力電圧Vの向きをδ軸方向、それと直交する向きをγ軸方向とする出力電圧に固定された回転座標系γδ座標系を導入する。このとき、δ軸方向の電流iδは有効電流で、γ軸方向の電流iγは無効電流となる。この座標系を利用すると、有効電力Pδγと無効電力Qδγは、式(9),(10)で表される。
この式(11)は、無効電力と電流の関係式である。この式(11)において、左辺の電流を電流指令値として左辺の無効電力を求め、右辺の電流を実測電流値とすれば、右辺の電圧が求める電圧振幅となる。このように、無効電力−電流関係式を用いて、電流指令値から無効電力指令値を算出し、これを回転電機の実測電流値で除すことで、フィードフォワード的に電圧振幅を算出することができる。
そこで、有効電力と電流の関係式である式(7)、無効電力と電流の関係式である式(8)を用いて皮相電力−電流関係式を求める。そして、これらの式における電流を電流指令値として皮相電力指令値を算出し、その結果を式(13)の左辺の値とする。そして、式(13)の右辺の電流Iを実測電流値とすれば、右辺の電圧Vが求める電圧振幅となる。このように、皮相電力−電流関係式を用いて、電流指令値から皮相電力指令値を算出し、これを回転電機の実測電流値で除すことで、フィードフォワード的に電圧振幅を算出することができる。
以上のように、電圧の位相と振幅とが決定される。これをもってインバータを介して回転電機の端子に与える電圧とすることになるが、その制御信号の波形を正弦波とするか、過変調波とするか、矩形波とするかは、対象とする回転電機の用途に応じて選択すればよい。
実際にシミュレーションを実行してみると、無効電力を用いて電圧振幅を出す方法は、制御周期に感度が高く、例えば、100μs以下の制御周期では問題がないが、これ以上のサンプリング周期ではやや発散気味となる。これに対し、皮相電力を用いて電圧振幅を出す方法では、100μs以上のサンプリング周期でも安定であった。
次に、上記原理を具体化した回転電機制御装置の構成について説明する。図5は、上記原理を具体化した回転電機制御装置40を含む回転電機駆動システム10の構成を示す図である。なお、ここでは、無効電力を含んでいる皮相電力を利用して電圧振幅を算出する回転電機制御装置40を説明するが、上記のように無効電力を利用して電圧振幅を算出する構成とすることもできる。
回転電機駆動システム10は、車両等に搭載される回転電機12を駆動制御するシステムであって、回転電機12と、蓄電装置22と電圧変換器24とインバータ26を有する電源回路20と、指令値生成部30と、指令値生成部30から伝送される指令値に対応して、各要素の作動を制御する回転電機制御装置40とを備えて構成される。
回転電機12は、ここでは車両に搭載されるモータ・ジェネレータ(M/G)であって、電力が供給されるときはモータとして機能し、制動時には発電機として機能する三相同期型回転電機である。かかる回転電機12としては、ロータに永久磁石、ステータに三相コイルを備える永久磁石型の回転電機を用いることができる。
回転電機12のロータとステータとの間の回転位置θは、レゾルバ等の検出器によって検出され、回転電機制御装置40に伝送される。また、回転電機12に入力される三相電流は、電流センサ等によって検出されて、やはり回転電機制御装置40に伝送される。三相コイルのそれぞれが中性点で接続されている構成等のときには、三相電流のそれぞれの値について、そのうちの2つの成分が分かれば、残りの1つの成分を計算で求めることができる。図5の例では、v相電流とw相電流とが検出されて回転電機制御装置40に伝送される様子が示されている。これらは、回転電機12の実際の出力特性である出力トルク等を推定するためのデータとして用いられる。
電源回路20における蓄電装置22は、充放電可能な高電圧2次電池であって、電圧変換器24を介してインバータ26に接続される。かかる蓄電装置22としては、例えば、約200Vから約400Vの端子電圧を有するリチウムイオン組電池あるいはニッケル水素組電池、またはキャパシタ等を用いることができる。蓄電装置22は一般的にバッテリと呼ばれることがある。
電圧変換器24は、蓄電装置22とインバータ26との間に配置され、蓄電装置22の直流電圧をインバータ26における直流電圧に変換する機能を有する。例えば、蓄電装置22側の電圧を昇圧してインバータ26を介し回転電機12に駆動電力として供給する機能と、回転電機12が発電機として機能するときは、回転電機12の回生電力がインバータ26によって変換された直流電力を降圧して蓄電装置22に充電電力として供給する機能を有する。特にここでは、回転電機制御装置40において、電圧振幅が決定されると、蓄電装置22の直流電圧をその電圧振幅に対応する直流電圧に変換して、インバータ26に供給する機能を有する。かかる電圧変換器24としては、リアクトルを含む双方向型コンバータを用いることができる。
インバータ26は、回転電機制御装置40の制御の下で、高電圧直流電力を交流三相駆動電力に変換し、回転電機12に供給する機能と、逆に回転電機12からの交流三相回生電力を高電圧直流充電電力に変換する機能とを有する回路である。特にここでは、電圧変換器24によって供給される直流電力を、所定の電圧振幅と電圧位相を有する回転電機制御信号となるように、交流電力に変換して回転電機12に供給する機能を有する。かかるインバータ26は、スイッチング素子とダイオード等を含む回路で構成することができる。
指令値生成部30は、回転電機12を所定の状態で駆動するために、図示されていないアクセル、ブレーキ等の操作子の要求入力に基いて、トルク指令値Trと、これに対応するd軸電流指令値idrとq軸電流指令値iqrを生成する機能を有する。生成された各指令値は、回転電機制御装置40に伝送される。
回転電機制御装置40は、指令値生成部30から伝送されたトルク指令値Tr、d軸電流指令値idr、q軸電流指令値iqrと、回転電機12から伝送された回転位置θ、v相電流値、w相電流値とに基いて、電源回路20に対する制御信号を生成する機能を有する。特にここでは、電圧位相と、電圧振幅とを決定し、これに基いた制御信号を生成する機能を有する。かかる回転電機制御装置40としては、適当な電気制御ユニット(Electric Control Unit:ECU)で構成できる。具体的には、適当なコンピュータ等で構成することができる。
回転電機制御装置40は、三相−dq変換器42と、微分器44と、トルク推定値取得部46と、トルク推定値とトルク指令値とから電圧位相ψを算出する電圧位相算出部48と、無効電力を含んでいる皮相電力を算出する電力算出部50と、電流算出部52と、皮相電力と電流とから電圧振幅Vを算出する電圧振幅算出部54と、電圧位相ψと電圧振幅Vとに基づいて制御信号を生成する制御信号生成部56とを含んで構成される。これらの機能はソフトウェアによって実現でき、具体的には回転電機制御プログラムを実行することで実現できる。なお、かかる機能の一部をハードウェアで実現するものとしてもよい。
回転電機制御装置40における三相−dq変換器42は、回転電機12において実測された三相電流の値と回転位置の値から、回転電機12における実際のd軸電流idとq軸電流iqを算出する機能を有する。かかる三相−dq変換器42としては、従来から三相回転電機の制御装置に用いられている同等の変換回路、あるいはコンピュータ上で実行される同等の変換演算処理手順を用いることができる。
トルク推定値取得部46は、算出された回転電機12のd軸電流idとq軸電流iqに基いて回転電機12の実際の出力トルクを推定する機能を有する。具体的には、上述の式(2)を実行し、トルク推定値Teを出力する機能を有する。なお、他のトルク推定値の取得方法として、回転電機12にトルクセンサを設けて、その検出値を取得するものとしてもよい。
電圧位相算出部48は、トルク指令値Trとトルク推定値Teとの差であるトルク偏差から、トルク−電圧位相関係式を用いて、トルク偏差をゼロに補償するための電圧位相ψを算出する機能を有する。具体的には、式(3)の実行として、図1、図3、図4で説明した単調性関数を用いて、電圧位相ψを出力する機能を有する。
微分器44は回転電機12の実際の回転位置θを微分して角速度ωを出力する機能を有し、電力算出部50は、d軸電流指令値idr、q軸電流指令値iqr、角速度ωに基いて皮相電力を算出する機能を有する。具体的には、式(7),(8)を用いて式(13)の左辺の計算を実行して、皮相電力Sdqを出力する機能を有する。
電流算出部52は、三相−dq変換器42によって算出された回転電機12のd軸電流idとq軸電流iqを用いて、回転電機12の実際の電流Iを算出する機能を有する。
電圧振幅算出部54は、電力算出部50によって算出された皮相電力Sdqと、電流算出部52によって算出された電流Iとに基いて、電圧振幅Vを算出する機能を有する。具体的には、式(13)において、左辺を電力算出部50によって算出された皮相電力Sdqとし、右辺の電流Iを電流算出部52によって算出された電流Iとして、右辺のVを算出してこれを電圧振幅Vとして出力する機能を有する。
制御信号生成部56は、電圧位相算出部48で算出された電圧位相ψと、電圧振幅算出部54から算出された電圧振幅Vとを用い、回転電機12が、この電圧振幅Vと電圧位相ψとによって駆動されるように、インバータ26に対する制御信号を生成する機能を有する。
制御信号としては以下の場合が例としてあげることができる。1つ目は、電圧変換器24に対する制御信号として、インバータ26に供給する直流電圧VDC(図5参照)を制御し、運転全域を矩形波制御とすることができる。2つ目は、電圧変換器24に対する制御信号として、インバータ26に供給する直流電圧VDCを制御し、運転全域を三角波等のキャリア信号と比較するPWM制御とすることができる。3つ目は、VDCと電圧振幅指令であるVとを考慮し、Vが予め定めた所定の電圧以下のときはキャリア信号との比較を行うPWM制御、Vが所定の電圧を超えると矩形波制御、その間の電圧において矩形波信号の一部にキャリア信号との比較を入れた過変調制御の3つの組合せを行う制御とすることができる。
このようにして、回転電機制御装置40は、トルク指令値Tr、d軸電流指令値idr、q軸電流指令値iqrと、回転電機12の回転位置θ、v相電流値、w相電流値とに基いて、電圧位相ψと電圧振幅Vとを決定して、電源回路20に対する制御信号を生成する。これによって、広い電圧範囲、すなわち低回転域から高回転域に渡って、トルク指令に対して実際の出力トルクを追従させて回転電機12を駆動制御することができる。
図6、図7は、皮相電力に基いて電圧振幅を決定し、トルクに基いて電圧位相を決定する上記の方法に従って、トルク目標値を変化させたときの応答をシミュレーションした結果を説明する図である。図6は、トルク、q軸電流、d軸電流のそれぞれについて、目標値を実線で、シミュレーションによる応答の結果を破線で示した図である。シミュレーション結果は、ある範囲でばらつき変動があるので、その上限と下限を破線で示してある。したがって、シミュレーション結果は、2つの破線で挟まれた範囲である。図7は、シミュレーションにおいて算出された電圧振幅Vと電圧位相ψの様子を示す図である。これらの図において、横軸は時間である。
図6、図7に示されるように、トルク目標値が変化することに応じて電圧振幅Vと電圧位相ψとがオンライン的に算出され、これに基いて算出されるトルク、q軸電流、d軸電流のそれぞれが、目標値に良好に追従している。したがって、広い電圧範囲、すなわち低回転域から高回転域に渡って、トルク指令に対して実際の出力トルクを追従させて回転電機12を駆動制御することができることが分かった。
10 回転電機駆動システム、12 回転電機、20 電源回路、22 蓄電装置、24 電圧変換器、26 インバータ、30 指令値生成部、40 回転電機制御装置、42 三相−dq変換器、44 微分器、46 トルク推定値取得部、48 電圧位相算出部、50 電力算出部、52 電流算出部、54 電圧振幅算出部、56 制御信号生成部。
Claims (5)
- 永久磁石型回転電機の実際の出力特性から出力トルクの推定値を取得する手段と、
出力トルクの推定値とトルク指令値との差であるトルク偏差に応じて回転電機の駆動制御信号における電圧位相を決定する電圧位相算出部と、
回転電機に供給される電力をトルク生成に寄与する有効電力成分とそれ以外の無効電力成分とに分け、無効電力成分に基いて回転電機の駆動制御信号における電圧振幅を決定する電圧振幅算出部と、
を備えることを特徴とする回転電機制御装置。 - 請求項1に記載の回転電機制御装置において、
電圧振幅算出部は、
無効電力−電流関係式を用いて、電流指令値から無効電力指令値を算出し、これを回転電機の実測電流値で除すことで、電圧振幅を算出することを特徴とする回転電機制御装置。 - 請求項1に記載の回転電機制御装置において、
電圧振幅算出部は、
有効電力−電流関係式を用いて、電流指令値から有効電力指令値を算出し、無効電力−電流関係式を用いて、電流指令値から無効電力指令値を算出し、算出された有効電力指令値と無効電力指令値との合計値を回転電機の実測電流値で除すことで、電圧振幅を算出することを特徴とする回転電機制御装置。 - 請求項1から3のいずれか1に記載の回転電機制御装置において、
電圧位相算出部は、
トルク偏差をPI制御によってゼロとすることができる位相を電圧位相として算出することを特徴とする回転電機制御装置。 - 請求項1から4のいずれか1に記載の回転電機制御装置において、
回転電機の駆動制御信号がPWM制御信号または過変調制御信号または矩形波制御信号であることを特徴とする回転電機制御装置。
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JP2011244678A (ja) * | 2009-11-17 | 2011-12-01 | Jtekt Corp | モータ制御装置および車両用操舵装置 |
CN103532448A (zh) * | 2013-10-23 | 2014-01-22 | 东南大学 | 一种电动汽车驱动系统的控制方法 |
JP2015033300A (ja) * | 2013-08-06 | 2015-02-16 | 日産自動車株式会社 | インバータ制御交流モータの異常診断装置 |
CN106058912A (zh) * | 2015-04-14 | 2016-10-26 | Ls产电株式会社 | 用于控制并网逆变器的装置 |
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2008
- 2008-03-05 JP JP2008054816A patent/JP2009213287A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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