JP2012130184A - モータ制御装置及び乗り物 - Google Patents

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Abstract

【課題】弱め磁束制御の実行時に発生しうるトルク誤差を低減する。
【解決手段】モータ制御装置3は、dmqm座標系をγδ座標系として推定し、モータ1への供給電流を磁束発生に関与するγ軸電流iγ及びトルク発生に関与するδ軸電流iδに分解してベクトル制御を行う。dmqm座標系を形成するqm軸は、最大トルク制御の実現時における出力電流ベクトルの向きと向きが一致する回転軸であり、dm軸はqm軸に直交する。弱め磁束制御の実行時において、磁束制御部17は負のγ軸電流指令値iγ を出力し、補正量算出部21はγ軸電流値iγに基づき補正量Δiδ を算出する。トルク指令値Trqに基づくδ軸電流指令値iδ に補正量Δiδ を加算することによって、負のγ軸電流を供給したことによって発生しうるトルク誤差を低減する。
【選択図】図3

Description

本発明は、モータを制御するモータ制御装置に関する。また、そのモータ制御装置を利用した電動車両等の乗り物に関する。
モータの制御方法として、dq座標系に対してずれた座標系であるdmqm座標系を推定する技術が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。この技術では、制御系においてγ軸及びδ軸を定義し、γ軸及びδ軸をd軸及びq軸と異なるdm軸及びqm軸に追従させるベクトル制御を実行する。また、負のd軸電流を流す弱め磁束制御が知られている。弱め磁束制御によって、モータの高速回転時においても、モータ端子電圧を所定の制限値以下に抑制することが可能となる。
モータの出力トルクを制御するシステムにおいてはモータの出力トルクがトルク指令値に一致するようにモータ制御を成すが、この種のシステムにおいて弱め磁束制御を実現すべく弱め磁束電流を流すと、モータの出力トルクがトルク指令値と一致しなくなる。
出力トルク及びトルク指令値間の誤差をゼロに近づけることが重要であることは言うまでもない。特に電動車両などにおいては、広い速度範囲で弱め磁束制御が行われる。従って、弱め磁束制御の実行時においてもトルク指令値どおりに出力トルクを発生できる技術の開発が要望される。
これを考慮し、出力トルクをトルク指令値に精度良く追従させるべく、トルク指令値及び弱め磁束電流値に基づき弱め磁束電流を流す方向を可変設定する方法が開示されている(例えば、下記特許文献2参照)。この方法では、弱め磁束角度最適値Qft及び弱め磁束目標点IdZを、トルク指令TrqRefとf軸電流指令補正値ΔIfRefに応じてメモリテーブル参照などの方式により導出し、導出結果を利用して、等トルク曲線(定トルク曲線)に沿った弱め磁束制御を実現しようとしている(特に特許文献2の段落21及び40参照)。
特開2007−259686号公報 特開2003−274699号公報
しかしながら、この従来方法では、dq座標系及びft座標系間の座標変換演算によって演算量が増大する上に、上記メモリテーブルには大きなメモリ領域が必要になる。演算量等の増大は様々な不利益をもたらすため、より簡素な演算又は構成にてトルク誤差を低減可能な技術が切望される。尚、この従来方法は、dq座標系への適用を前提にした方法であり、dq座標系と異なる制御座標系上でモータ制御を行うシステムへの適用は考慮されていない。
そこで本発明は、弱め磁束制御の実行時に発生しうるトルク誤差を簡素な演算又は構成にて良好に低減可能なモータ制御装置及びそれを利用した乗り物を提供することを目的とする。
本発明に係るモータ制御装置は、dq座標系と異なるγδ座標系を利用してモータの出力トルクを制御するモータ制御装置において、前記出力トルクに関与するδ軸電流の目標値であるδ軸電流指令値を生成するトルク制御部を備え、前記トルク制御部は、前記出力トルクとトルク指令値との間のトルク誤差が低減するように、弱め磁束用の電流に応じて前記δ軸電流指令値を補正することを特徴とする。
これにより、δ軸電流指令値を弱め磁束用の電流に応じて補正するという簡素な演算又は構成で、トルク誤差を低減することが可能となる。
具体的には例えば、前記トルク制御部は、前記トルク指令値から前記δ軸電流指令値を生成し、前記トルク指令値から生成した前記δ軸電流指令値を前記弱め磁束用の電流に応じて補正してもよい。
また具体的には例えば、当該モータ制御装置において、前記γδ座標系の座標軸は、γ軸及びδ軸から成り、γ軸電流及び前記δ軸電流は、夫々、前記モータへの供給電流のγ軸成分及びδ軸成分であり、前記トルク制御部は、前記弱め磁束用の電流としての前記γ軸電流の値に応じて、又は、前記γ軸電流の目標値であるγ軸電流指令値に応じて、前記δ軸電流指令値を補正してもよい。
また具体的には例えば、当該モータ制御装置において、前記δ軸がqm軸と一致するように前記モータの制御を成しても良い。前記qm軸は、最大トルク制御の実現時における前記モータの出力電流ベクトルの向きと向きが一致する回転軸であってもよい。
また例えば、前記トルク制御部は、前記δ軸電流指令値に対する補正量をインダクタンスパラメータを用いて導出してもよい。前記インダクタンスパラメータは、例えば、前記γ軸電流によって発生する磁束のδ軸成分についてのインダクタンス値を表す。
本発明に係る乗り物は、モータと、前記モータの出力トルクを制御する上記のモータ制御装置とを備え、前記出力トルクを利用して移動する。
本発明によれば、弱め磁束制御の実行時に発生しうるトルク誤差を簡素な演算又は構成にて良好に低減可能なモータ制御装置及びそれを利用した乗り物を提供することが可能である。
本発明の実施形態に係るモータ駆動システムの概略ブロック図である。 本発明の実施形態に係るモータの解析モデル図である。 本発明の実施形態に係り、モータ制御装置の内部ブロック図を含む、モータ駆動システムのブロック図である。 図3の位置・速度推定部の内部ブロック図である。 dm軸及びγ軸間の軸誤差に関与する鎖交磁束ベクトルを説明するための図である。 図4に示される軸誤差推定部の入出力値例を表現するための図である。 本発明の第1実施例に係るシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第2実施例に係るシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第3実施例に係る電動自動車の概略構成図である。
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。
図1は、本発明の実施形態に係るモータ駆動システムの概略ブロック図である。図1のモータ駆動システムは、モータ1と、PWM(Pulse Width Modulation)インバータ2と、モータ制御装置3と、を備える。
モータ1は、三相永久磁石同期モータであり、永久磁石を備えた回転子(不図示)と3相分の電機子巻線を備えた固定子(不図示)とを有している。以下の説明において、回転子、固定子及び電機子巻線とは、モータ1に設けられているそれらを指す。モータ1は、埋込磁石同期モータであっても良いし、表面磁石同期モータであっても良い。以下の説明では、モータ1が突極機であることを想定する。
PWMインバータ(以下、単にインバータという)2は、モータ制御装置3による制御の下で、モータ1に三相交流電圧を供給する。インバータ2によってモータ1に印加される三相交流電圧は、U相の電機子巻線への印加電圧を表すU相電圧v、V相の電機子巻線への印加電圧を表すV相電圧v、及び、W相の電機子巻線への印加電圧を表すW相電圧vから成る。U相電圧v、V相電圧v及びW相電圧vの合成電圧である、モータ1への、全体の印加電圧をモータ電圧(モータ端子電圧)と呼び、それを記号Vによって表す。
モータ電圧Vの印加によって、インバータ2からモータ1へ供給される電流のU相成分、V相成分及びW相成分、即ちU相、V相及びW相の電機子巻線に流れる電流を、夫々、U相電流i、V相電流i及びW相電流iと呼ぶ。U相電流i、V相電流i及びW相電流iの合成電流である、モータ1への、全体の供給電流をモータ電流(電機子電流)と呼び、それを記号Iによって表す。
モータ制御装置3は、モータ電流Iの検出値等に基づきつつ、所望のベクトル制御を実現するためのPWM信号をインバータ2に与えることができる。
図2(a)及び(b)は、モータ1の解析モデル図である。図2(a)には、固定された軸であるU相軸、V相軸及びW相軸(即ち、U相、V相、W相の電機子巻線固定軸)が示されている。1aは、モータ1の回転子に設けられた永久磁石を表す。永久磁石1aが作る磁束の回転速度と同じ速度で回転する回転座標系において、永久磁石1aが作る磁束の向きに沿った軸をd軸とし、d軸に対応する制御上の回転軸をγ軸とする。d軸の向きは、永久磁石1aが作る磁束の向きに合致する。また、図2(b)に示す如く、d軸から電気角で90度だけ位相が進んだ軸をq軸とし、γ軸から電気角で90度だけ位相が進んだ軸をδ軸とする。図2(a)及び(b)において、反時計回り方向は位相の進み方向に対応している。
更に、d軸と異なる軸であるdm軸及びq軸と異なる軸であるqm軸を定義する。ここにおけるdm軸及びqm軸は、特開2007−259686号公報(特許文献1)に記載されたものと同様である。即ち、qm軸は、最大トルク制御の実現時における出力電流ベクトルの向きと向きが一致する回転軸である。dm軸は、qm軸から電気角で90度遅れた軸である。出力電流ベクトルとは、モータ電流Iをベクトルにて表現したものを指す。
d軸とq軸を総称してdq軸と呼び、d軸及びq軸を座標軸として有する座標系をdq座標系と呼ぶ。γ軸とδ軸を総称してγδ軸と呼び、γ軸及びδ軸を座標軸として有する座標系をγδ座標系と呼ぶ。dm軸とqm軸を総称してdmqm軸と呼び、dm軸及びqm軸を座標軸として有する座標系をdmqm座標系と呼ぶ。dq座標系、γδ座標系及びdmqm座標系は、何れも回転子の回転に同期して回転する回転座標系である。
dq軸及びdq座標系は回転しており、その回転速度をωで表す。γδ軸及びγδ座標系も回転しており、その回転速度をωで表す。U相軸を基準として位相の進み方向にd軸を見たときの、d軸の角度(位相)をθにより表す。同様に、U相軸を基準として位相の進み方向にγ軸を見たときの、γ軸の角度(位相)をθにより表す。θ及びθにて表される角度は、電気角における角度であり、それらは一般的に回転子位置又は磁極位置とも呼ばれる。ω及びωにて表される回転速度は、電気角における角速度である。d軸の位相θとγ軸の位相θとの差Δθは、Δθ=θ−θにて表される。
また、U相軸を基準とするdm軸の角度(位相)とU相軸を基準とするd軸の角度(位相)との差をθにて表し、U相軸を基準とするγ軸の角度(位相)とU相軸を基準とするdm軸の角度(位相)との差をΔθにて表す。従って、θはdm軸及びd軸間の位相差を表し、Δθはγ軸及びdm軸間の位相差を表すこととなる。但し、θはdm軸から位相の遅れ方向にd軸を見たときの角度であり、Δθはγ軸から位相の遅れ方向にdm軸を見たときの角度であるものとする。dm軸の位相がd軸の位相よりも進んでいる場合にθは負となり、dm軸の位相がd軸の位相よりも遅れている場合にθは正となる。同様に、γ軸の位相がdm軸の位相よりも進んでいる場合にΔθは負となり、γ軸の位相がdm軸の位相よりも遅れている場合にΔθは正となる。上述したように、dm軸はd軸と異なるのであるから、θは0°ではない。
以下、θ又はθを、回転子位置と呼ぶこととし、ω又はωを回転速度と呼ぶこととする。制御上の回転軸であるγ軸及びδ軸を制御軸とも呼ぶ。回転子位置及び回転速度を推定によって導出する場合においては、γ軸及びδ軸を制御上の推定軸と呼ぶことができると共に、θ及びωをそれぞれ推定回転子位置及び推定回転速度と呼ぶことができる。γδ座標系は、モータ1の制御のためにモータ制御装置3が自ら定める座標系であるから、γδ座標系を制御座標系と呼ぶこともできる。
モータ制御装置3以外の多くのモータ制御装置ではΔθがゼロになるようにベクトル制御が成されるが、モータ制御装置3では、インバータ2を介して、d軸とは異なる軸にγ軸が一致するようにベクトル制御を成すことができる。この場合、dq座標系からずれた座標系がγδ座標系として推定されることとなる。
モータ駆動システムの制御に関与する記号を、以下のように定義する。
モータ電圧Vのd軸成分、q軸成分、dm軸成分、qm軸成分、γ軸成分及びδ軸成分を、夫々、d軸電圧、q軸電圧、dm軸電圧、qm軸電圧、γ軸電圧及びδ軸電圧と呼ぶと共に、記号v、v、vdm、vqm、vγ及びvδにて表す。
モータ電流Iのd軸成分、q軸成分、dm軸成分、qm軸成分、γ軸成分及びδ軸成分を、夫々、d軸電流、q軸電流、dm軸電流、qm軸電流、γ軸電流及びδ軸電流と呼ぶと共に、記号i、i、idm、iqm、iγ及びiδにて表す。
Φは、永久磁石1aによる電機子鎖交磁束を表す。
及びLは、夫々d軸インダクタンス(電機子巻線のインダクタンスのd軸成分)及びq軸インダクタンス(電機子巻線のインダクタンスのq軸成分)を表す。
は、電機子巻線の一相当たりの抵抗値を表す。
Φ、L、L及びRは、モータ1の特性に応じて予め定めておくことのできるパラメータである。
γ軸電圧vγ及びδ軸電圧vδが追従すべき、γ軸電圧vγ及びδ軸電圧vδの目標値を、それぞれγ軸電圧指令値vγ 及びδ軸電圧指令値vδ により表す。
γ軸電流iγ及びδ軸電流iδが追従すべき、γ軸電流iγ及びδ軸電流iδの目標値を、それぞれγ軸電流指令値iγ 及びδ軸電流指令値iδ により表す。
U相電圧v、V相電圧v及びW相電圧vが追従すべき、U相電圧v、V相電圧v及びW相電圧vの目標値を、それぞれU相電圧指令値v 、V相電圧指令値v 及びW相電圧指令値v により表す。
モータ1の出力トルクを記号Trqによって表す。出力トルクTrqが追従すべき、出力トルクTrqの目標値をトルク指令値Trqにより表す。
尚、iγは、γ軸電流の値を表す記号としても用いられうる。iγ以外の物理量又は指令値を表す記号についても同様である。また、本明細書では、記述の簡略化上、記号(iγなど)を表記することによって、該記号に対応する物理量等の名称を省略又は略記することもある。即ち例えば、本明細書において、γ軸電流は、「iγ」、「電流iγ」又は「γ軸電流iγ」と表記され、γ軸電流の値は、「iγ」、「電流値iγ」又は「γ軸電流値iγ」と表記される。
[dmqm座標系における方程式]
今、dmqm座標系に注目し、dmqm座標系における方程式(トルク式を含む)について説明する。モータ制御装置3は、必要に応じ、以下に示される任意の式を用いて任意の物理量又は指令値を導出することが可能であり、この際、以下の式に示されるidmとしてiγ又はiγ を用いることができ、以下の式に示されるiqmとしてiδ又はiδ を用いることができ、以下の式に示されるvdm、vqm、ωとして、夫々、vγ 、vδ 、ωを用いることができる。
式(A1)は、dq座標系に対してθだけ回転した座標系、即ちdmqm座標系における電圧方程式である。Lの定義式は式(A2)である。また、任意の式において“p”は微分演算子を表している。
Figure 2012130184
今、下記式(A3)及び(A4)に示される仮想インダクタンスLdm及びLqmを定義し、式(A3)及び(A4)を用いて式(A1)を変形すると、式(A5)が得られる。式(A5)中のΦamは、式(A6)によって定義される。また、θは、式(A7)のように表される。dm軸電流idm及びインダクタンスによるdm軸方向の電圧降下は、仮想インダクタンスLdmによって引き起こされていると考えることができる。
Figure 2012130184
一方、dq座標系におけるトルク式(A8)に、i、i、idm及びiqmの関係式(A9)及び(A10)を代入して整理すると、dmqm座標系におけるトルク式として式(A11)が得られる。Pは、モータ1の極対数である。
Figure 2012130184
上記式(11)の右辺第3項に式(A7)を代入すると当該第3項はゼロになり、結果、dmqm座標系におけるトルク式(A12)が得られる。idm=0であるとき、最大トルク制御が実現される。式(A12)を変形することで式(A13)が得られる。
Figure 2012130184
dmqm座標系を推定している場合において、idm=0であるならば、トルク指令値Trqに単に比例するqm軸電流指令値(iqmの目標値)を作成して電流制御を行えばよく、これによって出力トルクTrqを精度良くトルク指令値Trqに一致させることができる。しかしながら、式(A12)から分かるように、dm軸電流を流すと出力トルクTrqは変化する。従って、トルク指令値Trqに単純比例したqm軸電流指令値を作成する制御方法では、dm軸電流を流したときに、出力トルクTrqとトルク指令値Trqとの間に誤差(以下、トルク誤差という)が生じる。
以下、トルク誤差の低減に関与する複数の実施例を説明する。
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。トルク誤差を低減するためには、上記式(A13)の右辺第1項に相当するqm軸電流指令値を、同式の右辺第2項に相当する補正量にて補正すればよい。この補正を実現する構成を説明する。図3は、第1実施例に係るモータ制御装置3の内部ブロック図を含む、モータ駆動システムのブロック図である。
モータ制御装置3は、符号12〜18及び20〜22によって参照される各部位を備える。電流センサ11もモータ制御装置3に含まれていると考えても良い。また、直流電源4もモータ駆動システムに含まれていると考えても良い。直流電源4は、インバータ2からモータ1に供給される三相交流電圧の元になる直流電圧をインバータ2に供給する。
モータ制御装置3内の各部位は、モータ制御装置3内で生成された各値を自由に利用可能となっている。モータ駆動システムを形成する各部位は、所定の更新周期にて自身が算出(又は検出)して出力する指令値(vγ 、vδ 等)や物理量(i、i、iγ、iδ、θ、ω等)を順次更新し、最新の値を用いて必要な演算を行う。また、モータ駆動システムを形成する各部位は、必要に応じ、モータ1の特性に応じたパラメータ(Φ、L、L、Ldm、Lqm、Rを含む)を用いて指令値又は物理量を算出する。
第1実施例を含む本実施形態では、弱め磁束制御が成されるときの技術に特に注目して説明を行う。周知の如く、弱め磁束制御とは、高速回転時などにおいてモータ1の端子電圧を所定値以下に抑える制御である。図3の磁束制御部17に与えられる制限電圧値Vomは、この所定値に対応する、モータ電圧Vの振幅の上限値である。即ち、弱め磁束制御では、モータ電圧Vの振幅が制限電圧値Vom以下に抑えられる。制限電圧値Vomは、直流電源4からインバータ2に供給される直流電圧の値に応じて定められる。
モータ1に負のd軸電流を供給することで弱め磁束制御が成される。負のγ軸電流は、負のd軸電流成分を含む、負のd軸電流に対応する電流である。故に、負のγ軸電流を、弱め磁束用の電流と呼ぶことができる。弱め磁束制御が成されるとき、電流値iγは負であり、その目標値である指令値iγ も負である。一方、q軸電流に対応するδ軸電流の増減によって出力トルクTrqが増減するため、δ軸電流は出力トルクTrqに関与する電流であると言える。
インバータ2及びモータ1間に設けられたU相及びV相電流が流れる2つの配線上に、U相電流値i及びV相電流値iを直接検出するための2つの相電流センサ11が設けられる。2つの相電流センサ11の検出結果によって示される電流値i及びiが座標変換部12に送られる。尚、直流電源4とインバータ2との間に流れる電流を検出する電流センサ(不図示)の検出結果に基づき、電流値i及びiを求めるようにしても良い。
座標変換部12は、位置・速度推定部20(以下、推定部20と略記することがある)からの回転子位置θに基づいてU相電流値i及びV相電流値iをγδ軸上の電流値に座標変換することにより、γ軸電流値iγ及びδ軸電流値iδを算出する。
推定部20は、座標変換部12からのγ軸電流値iγ及びδ軸電流値iδ並びに電流制御部15からのγ軸電圧指令値vγ 及びδ軸電圧指令値vδ の内の全部又は一部に基づいて、回転子位置θ及び回転速度ωを導出する。この際、δ軸がqm軸と一致するように(換言すれば、γδ座標系がdmqm座標系と一致するように)回転子位置θ及び回転速度ωを導出する。つまり、図3のモータ制御装置3では、dmqm座標系がγδ座標系として推定されることになる。
図4に、推定部20の内部ブロック図を示す。推定部20は、軸誤差推定部51、PI制御器52及び積分器53を備える。軸誤差推定部51は、iγ、iδ、vγ 及びvδ の全部又は一部を用いて軸誤差Δθを推定することができる。下記式(B1)は、軸誤差Δθの推定式の一例である。永久磁石1aによる電機子鎖交磁束Φとモータ電流Iによる発生磁束との合成磁束を、ベクトルにて表現したものを鎖交磁束ベクトルΦeV(不図示)と呼ぶ。式(B2)にて表されるΦeamは、鎖交磁束ベクトルΦeVから、電流idm及びiqmと仮想インダクタンスLdm及びLqmによる発生磁束分を差し引いた鎖交磁束ベクトルであり、鎖交磁束ベクトルΦeamの向きはdm軸の向きと一致する(図5参照)。図5に示す如く、鎖交磁束ベクトルΦeamのγ軸成分及びδ軸成分が夫々Φeamγ及びΦeamδである。
Figure 2012130184
軸誤差推定部51は、式(B1)を利用して軸誤差Δθを推定することができる。式(B1)を利用して軸誤差Δθを推定する場合、図6に示す如く、軸誤差推定部51は、式(B1)におけるvγとしてvγ を用いることができ、式(B1)におけるωとしてωを用いることができる。また、必要な場合は、式(B1)におけるvδとしてvδ を用いることができる。PI制御器(比例積分制御器)52は、比例積分制御を用いて、軸誤差推定部51にて推定された軸誤差Δθがゼロに収束するように回転速度ωを求める。積分器53は、PI制御器52からの回転速度ωを積分することによって回転子位置θを求める。
再び図3を参照する。トルク/電流変換部16(以下、変換部16と略記することがある)は、トルク指令値Trqに基づいてδ軸電流指令値iδ を算出する。トルク指令値Trqは、図示されないトルク指令値生成部にて生成される。磁束制御部17は、電圧指令値vγ 及びvδ 、回転速度ω並びに制限電圧値Vomに基づいてγ軸電流指令値iγ を算出する。弱め磁束制御が不要なとき、磁束制御部17はゼロをiγ に設定することができ、ゼロをiγ に設定することによって最大トルク制御が実現される。弱め磁束制御が必要な場合、磁束制御部17は負の値をiγ に設定する。
補正量算出部21は、変換部16にて算出された指令値iδ に対する補正量Δiδ を、γ軸電流値iγに基づいて算出する。加算器22は、指令値iδ に補正量Δiδ を加えることによって、変換部16からのδ軸電流指令値を補正する。補正後のδ軸電流指令値を、記号iδC にて表す。
減算器13は、γ軸電流における指令値及び検出電流値間の誤差、即ち電流誤差(iγ −iγ)を求める。減算器14は、δ軸電流における指令値及び検出電流値間の誤差、即ち電流誤差(iδC −iδ)を求める。電流制御部15は、比例積分制御などを用いて電流誤差(iγ −iγ)及び(iδC −iδ)が共にゼロに収束するように電圧指令値vγ 及びvδ を算出して出力する。iδ はiδの目標値であると上述したが、本実施例ではiδ が補正されているため、指令値iδC がiδの真の目標値として機能する。
座標変換部18は、回転子位置θに基づいてγδ軸上の電圧指令値vγ 及びvδ を指令値v 、v 及びv から成る三相電圧指令値に変換し、得られた三相電圧指令値をインバータ2に出力する。インバータ2は、与えられた三相電圧指令値に基づき、電圧値v、v及びvが夫々指令値v 、v 及びv と一致するように、直流電源4からの直流電圧を三相交流電圧に変換し、得られた三相交流電圧をモータ1に供給する。これにより、トルク指令値Trqに応じた出力トルクTrqがモータ1に発生する。
変換部16から得られる補正前のδ軸電流指令値iδ 、補正量算出部21から得られる補正量Δiδ 、及び、加算器22から得られる補正後のδ軸電流指令値iδC は、式(B3)〜(B5)にて表される。
Figure 2012130184
式(B3)に示す如く、電流指令値iδ はトルク指令値Trqの関数f(Trq)である。具体的には例えば、変換部16は、下記式(B6)に従って指令値iδ を算出することができる。式(B6)の右辺は、上記式(A13)の第1項に相当する。
式(B4)に示す如く、補正量Δiδ はγ軸電流値iγの関数g(iγ)である。具体的には例えば、補正量算出部21は、下記式(B7)に従って補正量Δiδ を算出することができる。式(B7)の右辺は、上記式(A13)の第2項に相当する。
従って、dmqm座標系をγδ座標系として推定するとき、式(B5)〜(B7)は、式(A13)と等価であると言える。尚、変換部16及び補正量算出部21は、式(B6)及び(B7)におけるΦamの値を上記式(A6)及び(A7)を用いて算出することができ、この算出においてiδをiqmとして利用することができる。
Figure 2012130184
変換部16は、式(A6)、(A7)及び(B6)を用いた演算処理によって指令値iδ を求めても良い。或いは、式(A6)、(A7)及び(B6)に示される関係をテーブル化することで又は該関係を近似した関係をテーブル化することでルックアップテーブル(テーブルデータ)を準備しておくようにしてもよい。この場合、変換部16は、当該ルックアップテーブルを用いて指令値iδ を求めることができる。
補正量算出部21は、式(A6)、(A7)及び(B7)を用いた演算処理によって補正量Δiδ を求めても良い。或いは、式(A6)、(A7)及び(B7)に示される関係をテーブル化することで又は該関係を近似した関係をテーブル化することでルックアップテーブル(テーブルデータ)を準備しておくようにしてもよい。この場合、補正量算出部21は、当該ルックアップテーブルを用いて補正量Δiδ を求めることができる。
補正量Δiδ を求めるためのルックアップテーブルへの入力値には、少なくともiγが含まれる。出力トルクTrqがγ軸電流値iγに全く或いは殆ど依存しなくなるような、γ軸電流値iγと補正量Δiδ との関係を予め実験又は数値解析を用いて求めておき、求めた関係を表すテーブルデータを用いて補正量Δiδ を求めるようにしても良い。
式(A6)及び(A7)から分かるように、式(B7)の右辺はδ軸電流値(qm軸電流値)にも依存する。従って、補正量算出部21は、電流値iγ及びiδに基づいて補正量Δiδ を求めるようにしても良い。この場合も例えば、出力トルクTrqがγ軸電流値iγに全く或いは殆ど依存しなくなるような、電流値iγ及びiδと補正量Δiδ との関係を予め実験又は数値解析を用いて求めておき、求めた関係を表すテーブルデータを用いて補正量Δiδ を求めるようにしても良い。
また、定常状態においてiγとiγ は完全に又は実質的に一致するのであるから、補正量算出部21は、iγの代わりにiγ を用いて補正量Δiδ を求めても良い(iγ をiγとして用いて補正量Δiδ を求めても良い)。この場合、磁束制御部17からの指令値iγ が補正量算出部21に入力される。
図7に、出力トルクTrqのシミュレーション結果を示す。図7のシミュレーションでは、強制的にδ軸電流iδを一定(10アンペア)に維持した状態でγ軸電流iγを変化させることで、出力トルクTrqのiγ依存性を求めた。図7のグラフにおいて、横軸はiγに対応し(単位はアンペア)、縦軸はTrqに対応する(単位はN・m)。波線401は、当該シミュレーションによって得られた出力トルクTrqのiγ依存性を表している。但し、波線401を得るためのシミュレーションでは、モータ制御装置3内における各種の物理量又は指令値を算出する際、LdmとしてLdm[REAL]を用いた。Ldm[REAL]は、上記式(A3)に従うインダクタンスLdmの真値である。
波線401に示されるように、弱め磁束制御を実現するべく負のγ軸電流をモータ1に供給した場合において、仮にδ軸電流を変化させなかったならば、負のγ軸電流の影響によりモータ1の出力トルクTrqは低下してゆく。これは、上記式(A12)からも容易に理解される。負のγ軸電流の供給による出力トルクTrqの低下は、トルク誤差の増大に相当する。図3の構成では、γ軸電流の供給によって生じうる出力トルクTrqの低下分を補正量Δiδ としてδ軸電流指令値iδ に足しこむことにより、出力トルクTrqの低下を回避している(即ち、トルク誤差を低減している)。図7の実線400は、δ軸電流iδを補正後のδ軸電流指令値iδC と一致させた場合における出力トルクTrqのiγ依存性を表しており、実線400ではiγによらず出力トルクTrqが略一定になっている。尚、実線400を求めるときのトルク指令値Trqは一定である。
図3の構成によれば、弱め磁束用の電流である負のγ軸電流の供給時において、γ軸電流に応じた補正量だけトルクに関与するδ軸電流が増加せしめられる。このため、負のγ軸電流(弱め磁束用の電流)をモータ1に流したことによって発生しうるトルク誤差を低減(理想的にはゼロにまで低減)することができる。この際、特許文献2の方法のようなft座標系への変換が不要であるため演算量が少なくて済み、特許文献2と比べて少ないメモリ領域で定トルク曲線に沿った弱め磁束制御が可能となる。
また、第1実施例の構成に関し、以下のようなことが言える。モータ制御装置3には、トルク指令値Trqから生成したδ軸電流指令値iδ を弱め磁束用の電流に応じて補正するトルク制御部が備えられていると言える。トルク制御部は、補正量算出部21及び加算器22を構成要素をとして含み、更に変換部16もトルク制御部の構成要素に含まれうる。トルク制御部は、弱め磁束用の電流の電流値である電流値iγに基づいて又は弱め磁束用の電流の目標値である指令値iγ に基づいて補正量Δiδ を導出し、補正量Δiδ を指令値iδ に加算することで補正を実現する。上述の説明から明らかなように、この補正によって、トルク誤差が低減(理想的にはゼロにまで低減)される。
尚、ここにおける低減とは、補正量Δiδ による補正を行わない構成(即ち、iγ<0であったとしても、強制的にiδC =iδ とする構成)との比較における低減である。また、弱め磁束用の電流に応じた任意の動作(制御、演算、補正、推定など)は、弱め磁束用の電流の情報に応じた動作(制御、演算、補正、推定など)であるとも言える。本実施形態において、弱め磁束用の電流の情報は、電流値iγ又は指令値iγ である。
また、補正量算出部21は、Ldmを用いてδ軸電流指令値に対する補正量Δiδ を導出することができる(上記式(B7)参照)。Ldm及びLqmは、モータ1の特性を表すインダクタンスパラメータである。dq座標系を推定するシステムにおいては(即ち、γ軸をd軸に一致させるようにベクトル制御を行うシステムにおいては)、γ軸電流及びインダクタンスによって発生する磁束の方向はγ軸方向である(即ち、該磁束にはγ軸成分のみが含まれる)。しかしながら、dq座標系と異なる回転座標系を推定するシステムにおいてはγ軸電流及びインダクタンスによって発生する磁束にδ軸成分が含まれるようになる。これは、図2(a)のθがゼロでないとき(但し、cosθsinθ≠0)、上記式(A3)におけるLdmがゼロではなくなることからも理解される。
dm・iγは、γ軸電流によって発生する磁束のδ軸成分ΦδAを表している。従って、Ldmはγ軸電流に作用してδ軸成分ΦδAを発生させるインダクタンス成分であり、Ldmはδ軸成分ΦδAについてのインダクタンスパラメータである(換言すれば、Ldmはδ軸成分ΦδAについてのインダクタンス値を表す)と言える。
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。第2実施例及び後述の他の実施例は、第1実施例を基礎とする実施例である。従って、第2実施例及び後述の他の実施例において特に述べない事項に関しては、第1実施例の記載が第2実施例及び後述の他の実施例にも適用される。
上述の第1実施例では、モータ制御装置3内における各種の物理量又は指令値を算出する際、LdmとしてLdm[REAL]を用いることが前提とされている。但し、パラメータLdmにLdm[REAL]以外の値を代入した上で、モータ制御装置3内における各種の物理量又は指令値を算出するようにしても良い。例えば、上記式(A3)に関わらずパラメータLdmにゼロを代入した上で、モータ制御装置3内における各種の物理量又は指令値を算出するようにしても良い。
図8に、第2実施例に係る出力トルクTrqのシミュレーション結果を示す。図8のシミュレーションでは、図7のシミュレーションと同様に、強制的にδ軸電流iδを一定(10アンペア)に維持した状態でγ軸電流iγを変化させることで、出力トルクTrqのiγ依存性を求めた。図8のグラフにおいて、横軸はiγに対応し(単位はアンペア)、縦軸はTrqに対応する(単位はN・m)。波線402は、当該シミュレーションによって得られた出力トルクTrqのiγ依存性を表している。但し、波線402を得るためのシミュレーションでは、モータ制御装置3内における各種の物理量又は指令値を算出する際、Ldmとして0を用いた。
波線402に示されるように、Ldm=0の条件下で弱め磁束制御を実現するべく負のγ軸電流をモータ1に供給した場合、仮にδ軸電流を変化させなかったならば、負のγ軸電流の影響によりモータ1の出力トルクTrqは増加してゆく。負のγ軸電流の供給による出力トルクTrqの増加は、トルク誤差の増大に相当する。従って、パラメータLdmを0に設定する場合には、γ軸電流の供給によって生じうる出力トルクTrqの増加分が打ち消されるようにδ軸電流指令値iδ を補正すればよい。
即ち、Ldm=0の条件下で弱め磁束制御を行う場合には、補正用算出部21において電流値iγ又は指令値iγ に基づき負の値を有する補正量Δiδ を導出し、負の補正量Δiδ を変換部16からの指令値iδ に加えることでiδC を求めればよい。負の値を有する補正量Δiδ は、γ軸電流の供給によって生じうる出力トルクTrqの増加分が打ち消されるように、算出される。
第2実施例の如く、LdmとしてLdm[REAL]以外の値を用いた場合でも第1実施例と同様の効果が得られる。また、第2実施例のモータ制御装置3においても上述のトルク制御部が備えられていると言え、第2実施例に係るトルク制御部の動作及び機能は、第1実施例のそれらと同様である。但し、第1実施例では、弱め磁束用の電流(負のiγ又はiγ )に応じてδ軸電流指令値を増大補正することでトルク誤差の低減を実現しているのに対し、第2実施例では、弱め磁束用の電流(負のiγ又はiγ )に応じてδ軸電流指令値を減少補正することでトルク誤差の低減を実現している。
尚、LdmにLdm[REAL]以外の値を代入した状態で軸誤差Δθを推定すると、軸誤差推定部51による軸誤差Δθの推定値に推定誤差が含まれるようになり、結果、dmqm座標系とは異なる回転座標系がγδ座標系として推定されるようになる。dmqm座標系とは異なる回転座標系がγδ座標系として推定される場合においても、弱め磁束用の電流(負のiγ又はiγ )に応じてδ軸電流指令値を増大補正又は減少補正することでトルク誤差を低減することができる。
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。上述のモータ制御装置3及びモータ駆動システムを、モータ1を用いるあらゆる電気機器に搭載することができる。該電気機器には、例えば、乗り物、空気調和機(屋内用又は車載用の空気調和機など)、洗濯機、及び、圧縮機(冷蔵庫用圧縮機など)が含まれ、それらはモータ1の回転によって駆動する。
モータ駆動システムを搭載した乗り物は、モータ1の出力トルクを利用して移動する移動体であり、例えば、モータ1の出力トルクを利用して走行する電動車両(電動自動車、電動バイク、電動自転車など)、モータ1の出力トルクを利用して航行する電動ボートである。特に電動車両などにおいては、広い速度範囲で弱め磁束制御が行われる。従って、弱め磁束制御の実行時においてもトルク指令値どおりに出力トルクを発生可能な、本実施形態に係るモータ駆動システムは有益である。
例として、上述のモータ駆動システムであるモータ駆動システム100を搭載した電動自動車101の概略構成図を、図9に示す。モータ駆動システム100内の直流電源4を、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池(不図示)にて形成しておくことができる。モータ駆動システム100において直流電源4からの電力にてモータ1が駆動される(モータ1から出力トルクが得られる)。モータ駆動システム100におけるモータ1の出力トルクにより電動自動車101の車輪が回転せしめられ、これによって電動自動車101は走行する。また、回生時には、電動自動車101の車輪及びモータ1を通じて得られた回生エネルギーにて、直流電源4(図3参照)内の二次電池が充電されてもよい。また、電動自動車101は、モータ1の出力トルクとモータ1の出力トルク以外の動力源(化石燃料を用いた動力源)とを併用して走行するものであっても良い。
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈3を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
各実施形態において、算出、推定、検出等によって導出されるべき全ての値(iγ、iγ 、Δθ等)の導出方法は任意である。即ち例えば、それらを、モータ制御装置3内での演算によって導出するようにしてもよいし、予め設定しておいたテーブルデータから導出するようにしてもよい。
[注釈2]
モータ制御装置3の機能の一部または全部は、例えば汎用マイクロコンピュータ等に組み込まれたソフトウェア(プログラム)を用いて実現される。ソフトウェアを用いてモータ制御装置3を実現する場合、モータ制御装置3の各部の構成を示すブロック図は機能ブロック図を表すこととなる。勿論、ソフトウェア(プログラム)ではなく、ハードウェアのみによって、或いは、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって、モータ制御装置3を形成することも可能である。
[注釈3]
本明細書及び図面において下記の点に留意すべきである。上記の数と表記した墨付きかっこ内の式(式(B1)等)の記述又は図面において、所謂下付き文字として表現されているギリシャ文字(γ、δを含む)は、それらの墨付きかっこ外において、下付き文字でない標準文字として表記されることがある。このギリシャ文字における下付き文字と標準文字との相違は、電子出願用ソフトウェアが実行したフォント変換によって生じたものであり、本明細書を読むに当たり、その相違は適宜無視されるべきである。
Figure 2012130184
1 モータ
2 インバータ
3 モータ制御装置
16 トルク/電流変換部
20 位置・速度推定部
21 補正量算出部
100 モータ駆動システム
101 電動車両

Claims (6)

  1. dq座標系と異なるγδ座標系を利用してモータの出力トルクを制御するモータ制御装置において、
    前記出力トルクに関与するδ軸電流の目標値であるδ軸電流指令値を生成するトルク制御部を備え、
    前記トルク制御部は、前記出力トルクとトルク指令値との間のトルク誤差が低減するように、弱め磁束用の電流に応じて前記δ軸電流指令値を補正する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記トルク制御部は、前記トルク指令値から前記δ軸電流指令値を生成し、前記トルク指令値から生成した前記δ軸電流指令値を前記弱め磁束用の電流に応じて補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記γδ座標系の座標軸は、γ軸及びδ軸から成り、
    γ軸電流及び前記δ軸電流は、夫々、前記モータへの供給電流のγ軸成分及びδ軸成分であり、
    前記トルク制御部は、前記弱め磁束用の電流としての前記γ軸電流の値に応じて、又は、前記γ軸電流の目標値であるγ軸電流指令値に応じて、前記δ軸電流指令値を補正する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記δ軸がqm軸と一致するように前記モータの制御が成され、
    前記qm軸は、最大トルク制御の実現時における前記モータの出力電流ベクトルの向きと向きが一致する回転軸である
    ことを特徴とする請求項3に記載のモータ制御装置。
  5. 前記トルク制御部は、前記δ軸電流指令値に対する補正量をインダクタンスパラメータを用いて導出し、
    前記インダクタンスパラメータは、前記γ軸電流によって発生する磁束のδ軸成分についてのインダクタンス値を表す
    ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のモータ制御装置。
  6. モータと、前記モータの出力トルクを制御するモータ制御装置とを備え、前記出力トルクを利用して移動する乗り物であって、
    前記モータ制御装置として、請求項1〜請求項5の何れかに記載のモータ制御装置を用いた
    ことを特徴とする乗り物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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