JP2012130183A - モータ制御装置及び乗り物 - Google Patents
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Abstract
【課題】弱め磁束制御の実行時に発生しうるトルク誤差を低減する。
【解決手段】軸誤差推定部は、dq座標系と異なる制御座標系との位相差である軸誤差を推定する。qm軸は、最大トルク制御の実現時における出力電流ベクトルの向きと向きが一致する回転軸である。弱め磁束制御の実行時において、モータの出力電流ベクトルがトルク指令値に従った定トルク曲線311に沿うように、弱め磁束用の電流に応じて軸誤差の目標値θtを設定する。軸誤差を目標値θtに一致させるPLLを形成することで、モータの出力電流ベクトルV323の終点は定トルク曲線311上にのる(即ち、出力トルク及びトルク指令値間のトルク誤差がゼロになる)。
【選択図】図4
【解決手段】軸誤差推定部は、dq座標系と異なる制御座標系との位相差である軸誤差を推定する。qm軸は、最大トルク制御の実現時における出力電流ベクトルの向きと向きが一致する回転軸である。弱め磁束制御の実行時において、モータの出力電流ベクトルがトルク指令値に従った定トルク曲線311に沿うように、弱め磁束用の電流に応じて軸誤差の目標値θtを設定する。軸誤差を目標値θtに一致させるPLLを形成することで、モータの出力電流ベクトルV323の終点は定トルク曲線311上にのる(即ち、出力トルク及びトルク指令値間のトルク誤差がゼロになる)。
【選択図】図4
Description
本発明は、モータを制御するモータ制御装置に関する。また、そのモータ制御装置を利用した電動車両等の乗り物に関する。
モータの制御方法として、dq座標系に対してずれた座標系であるdmqm座標系を推定する技術が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。この技術では、制御系においてγ軸及びδ軸を定義し、γ軸及びδ軸をd軸及びq軸と異なるdm軸及びqm軸に追従させるベクトル制御を実行する。また、負のd軸電流を流す弱め磁束制御が知られている。弱め磁束制御によって、モータの高速回転時においても、モータ端子電圧を所定の制限値以下に抑制することが可能となる。
モータの出力トルクを制御するシステムにおいてはモータの出力トルクがトルク指令値に一致するようにモータ制御を成すが、この種のシステムにおいて弱め磁束制御を実現すべく弱め磁束電流を流すと、モータの出力トルクがトルク指令値と一致しなくなる。
出力トルク及びトルク指令値間の誤差をゼロに近づけることが重要であることは言うまでもない。特に電動車両などにおいては、広い速度範囲で弱め磁束制御が行われる。従って、弱め磁束制御の実行時においてもトルク指令値どおりに出力トルクを発生できる技術の開発が要望される。
これを考慮し、出力トルクをトルク指令値に精度良く追従させるべく、トルク指令値及び弱め磁束電流値に基づき弱め磁束電流を流す方向を可変設定する方法が開示されている(例えば、下記特許文献2参照)。この方法では、弱め磁束角度最適値Qft及び弱め磁束目標点IdZを、トルク指令TrqRefとf軸電流指令補正値ΔIfRefに応じてメモリテーブル参照などの方式により導出し、導出結果を利用して、等トルク曲線(定トルク曲線)に沿った弱め磁束制御を実現しようとしている(特に特許文献2の段落21及び40参照)。
しかしながら、この従来方法では、dq座標系及びft座標系間の座標変換演算によって演算量が増大する上に、上記メモリテーブルには大きなメモリ領域が必要になる。演算量等の増大は様々な不利益をもたらすため、より簡素な演算又は構成にてトルク誤差を低減可能な技術が切望される。尚、この従来方法は、dq座標系への適用を前提にした方法であり、dq座標系と異なる制御座標系上でモータ制御を行うシステムへの適用は考慮されていない。
そこで本発明は、弱め磁束制御の実行時に発生しうるトルク誤差を簡素な演算又は構成にて良好に低減可能なモータ制御装置及びそれを利用した乗り物を提供することを目的とする。
本発明に係るモータ制御装置は、dq座標系と異なる制御座標系を利用してモータの出力トルクを制御するモータ制御装置において、前記モータの回転子の回転に同期して回転し且つ前記dq座標系と異なる回転座標系と、前記制御座標系との位相差である軸誤差を、前記出力トルク及びトルク指令値間のトルク誤差が低減するように、弱め磁束用の電流に応じて制御することを特徴とする。
これにより、例えば、制御座標系を上記回転座標系に追従させるために導出した軸誤差を弱め磁束用の電流に応じて制御するだけで、トルク誤差を低減することが可能となる。これは、既存の制御系に簡素な演算又は構成を追加するだけで実現可能である。
具体的には例えば、当該モータ制御装置は、前記弱め磁束用の電流に応じて前記軸誤差の目標値を変化させることで、前記トルク誤差を低減させてもよい。
より具体的には例えば、前記弱め磁束用の電流を含む前記モータへの供給電流に基づいて前記軸誤差を推定する軸誤差推定部と、前記軸誤差の目標値を設定する軸誤差目標値設定部とを当該モータ制御装置に設け、前記軸誤差推定部による軸誤差の推定値が前記軸誤差の目標値と一致するように前記モータの制御を成せばよい。この際、例えば、前記軸誤差目標値設定部は、前記弱め磁束用の電流に応じて前記軸誤差の目標値を変化させることで、前記トルク誤差を低減させることができる。
或いは例えば、前記弱め磁束用の電流を含む前記モータへの供給電流と推定用パラメータとに基づいて前記軸誤差を推定する軸誤差推定部を当該モータ制御装置に設け、前記軸誤差推定部による軸誤差の推定値を用いて前記モータの制御を成してもよい。前記推定用パラメータは、例えば、前記モータの特性を表す物理量のパラメータである。当該モータ制御装置において、前記推定用パラメータの値を前記物理量の真値からずらすことにより、前記軸誤差の推定値を前記弱め磁束用の電流に応じて前記トルク誤差が低減する方向に導出してもよい。
より具体的には例えば、前記推定用パラメータは、γ軸電流によって発生する磁束のδ軸成分についてのインダクタンスパラメータであってもよい。例えば、前記γ軸及びδ軸は、前記制御座標系の座標軸であって、夫々、前記dq座標系の座標軸であるd軸及びq軸に対応し、前記γ軸電流は、前記モータへの供給電流のγ軸成分である。
本発明に係る乗り物は、モータと、前記モータの出力トルクを制御する上記のモータ制御装置とを備え、前記出力トルクを利用して移動する。
本発明によれば、弱め磁束制御の実行時に発生しうるトルク誤差を簡素な演算又は構成にて良好に低減可能なモータ制御装置及びそれを利用した乗り物を提供することが可能である。
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。
図1は、本発明の実施形態に係るモータ駆動システムの概略ブロック図である。図1のモータ駆動システムは、モータ1と、PWM(Pulse Width Modulation)インバータ2と、モータ制御装置3と、を備える。
モータ1は、三相永久磁石同期モータであり、永久磁石を備えた回転子(不図示)と3相分の電機子巻線を備えた固定子(不図示)とを有している。以下の説明において、回転子、固定子及び電機子巻線とは、モータ1に設けられているそれらを指す。モータ1は、埋込磁石同期モータであっても良いし、表面磁石同期モータであっても良い。以下の説明では、モータ1が突極機であることを想定する。
PWMインバータ(以下、単にインバータという)2は、モータ制御装置3による制御の下で、モータ1に三相交流電圧を供給する。インバータ2によってモータ1に印加される三相交流電圧は、U相の電機子巻線への印加電圧を表すU相電圧vu、V相の電機子巻線への印加電圧を表すV相電圧vv、及び、W相の電機子巻線への印加電圧を表すW相電圧vwから成る。U相電圧vu、V相電圧vv及びW相電圧vwの合成電圧である、モータ1への、全体の印加電圧をモータ電圧(モータ端子電圧)と呼び、それを記号Vaによって表す。
モータ電圧Vaの印加によって、インバータ2からモータ1へ供給される電流のU相成分、V相成分及びW相成分、即ちU相、V相及びW相の電機子巻線に流れる電流を、夫々、U相電流iu、V相電流iv及びW相電流iwと呼ぶ。U相電流iu、V相電流iv及びW相電流iwの合成電流である、モータ1への、全体の供給電流をモータ電流(電機子電流)と呼び、それを記号Iaによって表す。
モータ制御装置3は、モータ電流Iaの検出値等に基づきつつ、所望のベクトル制御を実現するためのPWM信号をインバータ2に与えることができる。
図2(a)及び(b)は、モータ1の解析モデル図である。図2(a)には、固定された軸であるU相軸、V相軸及びW相軸(即ち、U相、V相、W相の電機子巻線固定軸)が示されている。1aは、モータ1の回転子に設けられた永久磁石を表す。永久磁石1aが作る磁束の回転速度と同じ速度で回転する回転座標系において、永久磁石1aが作る磁束の向きに沿った軸をd軸とし、d軸に対応する制御上の回転軸をγ軸とする。d軸の向きは、永久磁石1aが作る磁束の向きに合致する。また、図2(b)に示す如く、d軸から電気角で90度だけ位相が進んだ軸をq軸とし、γ軸から電気角で90度だけ位相が進んだ軸をδ軸とする。図2(a)及び(b)において、反時計回り方向は位相の進み方向に対応している。
更に、d軸と異なる軸であるdm軸及びq軸と異なる軸であるqm軸を定義する。ここにおけるdm軸及びqm軸は、特開2007−259686号公報(特許文献1)に記載されたものと同様である。即ち、qm軸は、最大トルク制御の実現時における出力電流ベクトルの向きと向きが一致する回転軸である。dm軸は、qm軸から電気角で90度遅れた軸である。出力電流ベクトルとは、モータ電流Iaをベクトルにて表現したものを指す。
d軸とq軸を総称してdq軸と呼び、d軸及びq軸を座標軸として有する座標系をdq座標系と呼ぶ。γ軸とδ軸を総称してγδ軸と呼び、γ軸及びδ軸を座標軸として有する座標系をγδ座標系と呼ぶ。dm軸とqm軸を総称してdmqm軸と呼び、dm軸及びqm軸を座標軸として有する座標系をdmqm座標系と呼ぶ。dq座標系、γδ座標系及びdmqm座標系は、何れも回転子の回転に同期して回転する回転座標系である。
dq軸及びdq座標系は回転しており、その回転速度をωで表す。γδ軸及びγδ座標系も回転しており、その回転速度をωeで表す。U相軸を基準として位相の進み方向にd軸を見たときの、d軸の角度(位相)をθにより表す。同様に、U相軸を基準として位相の進み方向にγ軸を見たときの、γ軸の角度(位相)をθeにより表す。θ及びθeにて表される角度は、電気角における角度であり、それらは一般的に回転子位置又は磁極位置とも呼ばれる。ω及びωeにて表される回転速度は、電気角における角速度である。d軸の位相θとγ軸の位相θeとの差Δθは、Δθ=θ−θeにて表される。
また、U相軸を基準とするdm軸の角度(位相)とU相軸を基準とするd軸の角度(位相)との差をθmにて表し、U相軸を基準とするγ軸の角度(位相)とU相軸を基準とするdm軸の角度(位相)との差をΔθmにて表す。従って、θmはdm軸及びd軸間の位相差を表し、Δθmはγ軸及びdm軸間の位相差を表すこととなる。但し、θmはdm軸から位相の遅れ方向にd軸を見たときの角度であり、Δθmはγ軸から位相の遅れ方向にdm軸を見たときの角度であるものとする。dm軸の位相がd軸の位相よりも進んでいる場合にθmは負となり、dm軸の位相がd軸の位相よりも遅れている場合にθmは正となる。同様に、γ軸の位相がdm軸の位相よりも進んでいる場合にΔθmは負となり、γ軸の位相がdm軸の位相よりも遅れている場合にΔθmは正となる。上述したように、dm軸はd軸と異なるのであるから、θmは0°ではない。
以下、θ又はθeを、回転子位置と呼ぶこととし、ω又はωeを回転速度と呼ぶこととする。制御上の回転軸であるγ軸及びδ軸を制御軸とも呼ぶ。回転子位置及び回転速度を推定によって導出する場合においては、γ軸及びδ軸を制御上の推定軸と呼ぶことができると共に、θe及びωeをそれぞれ推定回転子位置及び推定回転速度と呼ぶことができる。γδ座標系は、モータ1の制御のためにモータ制御装置3が自ら定める座標系であるから、γδ座標系を制御座標系と呼ぶこともできる。
モータ制御装置3以外の多くのモータ制御装置ではΔθがゼロになるようにベクトル制御が成されるが、モータ制御装置3では、インバータ2を介して、d軸とは異なる軸にγ軸が一致するようにベクトル制御を成すことができる。この場合、dq座標系からずれた座標系がγδ座標系として推定されることとなる。
モータ駆動システムの制御に関与する記号を、以下のように定義する。
モータ電圧Vaのd軸成分、q軸成分、dm軸成分、qm軸成分、γ軸成分及びδ軸成分を、夫々、d軸電圧、q軸電圧、dm軸電圧、qm軸電圧、γ軸電圧及びδ軸電圧と呼ぶと共に、記号vd、vq、vdm、vqm、vγ及びvδにて表す。
モータ電流Iaのd軸成分、q軸成分、dm軸成分、qm軸成分、γ軸成分及びδ軸成分を、夫々、d軸電流、q軸電流、dm軸電流、qm軸電流、γ軸電流及びδ軸電流と呼ぶと共に、記号id、iq、idm、iqm、iγ及びiδにて表す。
Φaは、永久磁石1aによる電機子鎖交磁束を表す。
Ld及びLqは、夫々d軸インダクタンス(電機子巻線のインダクタンスのd軸成分)及びq軸インダクタンス(電機子巻線のインダクタンスのq軸成分)を表す。
Raは、電機子巻線の一相当たりの抵抗値を表す。
Φa、Ld、Lq及びRaは、モータ1の特性に応じて予め定めておくことのできるパラメータである。
モータ電圧Vaのd軸成分、q軸成分、dm軸成分、qm軸成分、γ軸成分及びδ軸成分を、夫々、d軸電圧、q軸電圧、dm軸電圧、qm軸電圧、γ軸電圧及びδ軸電圧と呼ぶと共に、記号vd、vq、vdm、vqm、vγ及びvδにて表す。
モータ電流Iaのd軸成分、q軸成分、dm軸成分、qm軸成分、γ軸成分及びδ軸成分を、夫々、d軸電流、q軸電流、dm軸電流、qm軸電流、γ軸電流及びδ軸電流と呼ぶと共に、記号id、iq、idm、iqm、iγ及びiδにて表す。
Φaは、永久磁石1aによる電機子鎖交磁束を表す。
Ld及びLqは、夫々d軸インダクタンス(電機子巻線のインダクタンスのd軸成分)及びq軸インダクタンス(電機子巻線のインダクタンスのq軸成分)を表す。
Raは、電機子巻線の一相当たりの抵抗値を表す。
Φa、Ld、Lq及びRaは、モータ1の特性に応じて予め定めておくことのできるパラメータである。
γ軸電圧vγ及びδ軸電圧vδが追従すべき、γ軸電圧vγ及びδ軸電圧vδの目標値を、それぞれγ軸電圧指令値vγ *及びδ軸電圧指令値vδ *により表す。
γ軸電流iγ及びδ軸電流iδが追従すべき、γ軸電流iγ及びδ軸電流iδの目標値を、それぞれγ軸電流指令値iγ *及びδ軸電流指令値iδ *により表す。
U相電圧vu、V相電圧vv及びW相電圧vwが追従すべき、U相電圧vu、V相電圧vv及びW相電圧vwの目標値を、それぞれU相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *及びW相電圧指令値vw *により表す。
モータ1の出力トルクを記号Trqによって表す。出力トルクTrqが追従すべき、出力トルクTrqの目標値をトルク指令値Trq*により表す。
γ軸電流iγ及びδ軸電流iδが追従すべき、γ軸電流iγ及びδ軸電流iδの目標値を、それぞれγ軸電流指令値iγ *及びδ軸電流指令値iδ *により表す。
U相電圧vu、V相電圧vv及びW相電圧vwが追従すべき、U相電圧vu、V相電圧vv及びW相電圧vwの目標値を、それぞれU相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *及びW相電圧指令値vw *により表す。
モータ1の出力トルクを記号Trqによって表す。出力トルクTrqが追従すべき、出力トルクTrqの目標値をトルク指令値Trq*により表す。
尚、iγは、γ軸電流の値を表す記号としても用いられうる。iγ以外の物理量又は指令値を表す記号についても同様である。また、本明細書では、記述の簡略化上、記号(iγなど)を表記することによって、該記号に対応する物理量等の名称を省略又は略記することもある。即ち例えば、本明細書において、γ軸電流は、「iγ」、「電流iγ」又は「γ軸電流iγ」と表記され、γ軸電流の値は、「iγ」、「電流値iγ」又は「γ軸電流値iγ」と表記される。
[モータ制御装置の基本構成]
図3を参照して、モータ制御装置3の基本構成を説明する。図3は、モータ制御装置3の内部ブロック図を含む、本実施形態のモータ駆動システムのブロック図である。モータ制御装置3は、符号12〜18及び20によって参照される各部位を備える。電流センサ11もモータ制御装置3に含まれていると考えても良い。また、直流電源4もモータ駆動システムに含まれていると考えても良い。直流電源4は、インバータ2からモータ1に供給される三相交流電圧の元になる直流電圧をインバータ2に供給する。
図3を参照して、モータ制御装置3の基本構成を説明する。図3は、モータ制御装置3の内部ブロック図を含む、本実施形態のモータ駆動システムのブロック図である。モータ制御装置3は、符号12〜18及び20によって参照される各部位を備える。電流センサ11もモータ制御装置3に含まれていると考えても良い。また、直流電源4もモータ駆動システムに含まれていると考えても良い。直流電源4は、インバータ2からモータ1に供給される三相交流電圧の元になる直流電圧をインバータ2に供給する。
モータ制御装置3内の各部位は、モータ制御装置3内で生成された各値を自由に利用可能となっている。モータ駆動システムを形成する各部位は、所定の更新周期にて自身が算出(又は検出)して出力する指令値(vγ *、vδ *等)や物理量(iu、iv、iγ、iδ、θe、ωe等)を順次更新し、最新の値を用いて必要な演算を行う。また、モータ駆動システムを形成する各部位は、必要に応じ、モータ1の特性に応じたパラメータ(Φa、Ld、Lq及びRaを含み、更に後述される任意のパラメータを含む)を用いて指令値又は物理量を算出する。
本実施形態では、弱め磁束制御が成されるときの技術を主として説明する。周知の如く、弱め磁束制御とは、高速回転時などにおいてモータ1の端子電圧を所定値以下に抑える制御である。図3の磁束制御部17に与えられる制限電圧値Vomは、この所定値に対応する、モータ電圧Vaの振幅の上限値である。即ち、弱め磁束制御では、モータ電圧Vaの振幅が制限電圧値Vom以下に抑えられる。制限電圧値Vomは、直流電源4からインバータ2に供給される直流電圧の値に応じて定められる。モータ1に負のd軸電流を供給することで弱め磁束制御が成される。負のγ軸電流は、負のd軸電流成分を含む、負のd軸電流に対応する電流である。故に、負のγ軸電流を、弱め磁束用の電流と呼ぶことができる。弱め磁束制御が成されるとき、電流値iγは負であり、その目標値である指令値iγ *も負である。
インバータ2及びモータ1間に設けられたU相及びV相電流が流れる2つの配線上に、U相電流値iu及びV相電流値ivを直接検出するための2つの相電流センサ11が設けられる。2つの相電流センサ11の検出結果によって示される電流値iu及びivが座標変換部12に送られる。尚、直流電源4とインバータ2との間に流れる電流を検出する電流センサ(不図示)の検出結果に基づき、電流値iu及びivを求めるようにしても良い。
座標変換部12は、位置・速度推定部20(以下、推定部20と略記することがある)からの回転子位置θeに基づいてU相電流値iu及びV相電流値ivをγδ軸上の電流値に座標変換することにより、γ軸電流値iγ及びδ軸電流値iδを算出する。
推定部20は、座標変換部12からのγ軸電流値iγ及びδ軸電流値iδ並びに電流制御部15からのγ軸電圧指令値vγ *及びδ軸電圧指令値vδ *の内の全部又は一部に基づいて、回転子位置θe及び回転速度ωeを導出する。
図示されないトルク指令値生成部はトルク指令値Trq*を生成してトルク/電流変換部16(以下、変換部16と略記することがある)に与える。変換部16は、トルク指令値Trq*に基づいてδ軸電流指令値iδ *を算出する。磁束制御部17は、電圧指令値vγ *及びvδ *、回転速度ωe並びに制限電圧値Vomに基づいてγ軸電流指令値iγ *を算出する。弱め磁束制御が不要なとき、iγ *をゼロにすることができるが、ここでは“iγ *<0”であることを想定する。
減算器13及び14によって求められた電流誤差(iγ *−iγ)及び(iδ *−iδ)は電流制御部15に与えられる。電流制御部15は、比例積分制御などを用いて電流誤差(iγ *−iγ)及び(iδ *−iδ)が共にゼロに収束するように電圧指令値vγ *及びvδ *を算出して出力する。
座標変換部18は、回転子位置θeに基づいてγδ軸上の電圧指令値vγ *及びvδ *を指令値vu *、vv *及びvw *から成る三相電圧指令値に変換し、得られた三相電圧指令値をインバータ2に出力する。インバータ2は、与えられた三相電圧指令値に基づき、電圧値vu、vv及びvwが夫々指令値vu *、vv *及びvw *と一致するように、直流電源4からの直流電圧を三相交流電圧に変換し、得られた三相交流電圧をモータ1に供給する。これにより、トルク指令値Trq*に応じた出力トルクTrqがモータ1に発生する。
推定部20は、例えば、γ軸とdm軸との位相差である軸誤差Δθmを推定し(図2(a)参照)、軸誤差Δθmを用いて回転子位置θe及び回転速度ωeを求める。軸誤差Δθmがゼロにするための比例積分制御の実行を介して回転子位置θe及び回転速度ωeを求めることもでき、この場合、推定誤差を無視したならばγδ座標系はdmqm座標系と一致する(即ち、dmqm座標系がγδ座標系として推定される)。
但し、dmqm座標系を推定する場合において、弱め磁束制御の実行によりdm軸電流をモータ1に流すと、トルク指令値Trq*と出力トルクTrqとの間に誤差が生じることがある。
[dmqm座標系における方程式]
このような誤差の発生要因を、dmqm座標系の方程式の説明を交えながら説明する。モータ制御装置3は、必要に応じ、以下に示される任意の式を用いて任意の物理量又は指令値を導出することが可能であり、この際、以下の式に示されるidmとしてiγ又はiγ *を用いることができ、以下の式に示されるiqmとしてiδ又はiδ *を用いることができ、以下の式に示されるvdm、vqm、ωとして、夫々、vγ *、vδ *、ωeを用いることができる。
このような誤差の発生要因を、dmqm座標系の方程式の説明を交えながら説明する。モータ制御装置3は、必要に応じ、以下に示される任意の式を用いて任意の物理量又は指令値を導出することが可能であり、この際、以下の式に示されるidmとしてiγ又はiγ *を用いることができ、以下の式に示されるiqmとしてiδ又はiδ *を用いることができ、以下の式に示されるvdm、vqm、ωとして、夫々、vγ *、vδ *、ωeを用いることができる。
式(A1)は、dq座標系に対してθmだけ回転した座標系、即ちdmqm座標系における電圧方程式である。L1の定義式は式(A2)である。また、任意の式において“p”は微分演算子を表している。
今、下記式(A3)及び(A4)に示される仮想インダクタンスLdm及びLqmを定義し、式(A3)及び(A4)を用いて式(A1)を変形すると、式(A5)が得られる。式(A5)中のΦamは、式(A6)によって定義される。また、θmは、式(A7)のように表される。dm軸電流idm及びインダクタンスによるdm軸方向の電圧降下は、仮想インダクタンスLdmによって引き起こされていると考えることができる。
一方、dq座標系におけるトルク式(A8)に、id、iq、idm及びiqmの関係式(A9)及び(A10)を代入して整理すると、dmqm座標系におけるトルク式として式(A11)が得られる。Pnは、モータ1の極対数である。
上記式(11)の右辺第3項に式(A7)を代入すると当該第3項はゼロになり、結果、dmqm座標系におけるトルク式(A12)が得られる。idm=0であるとき、最大トルク制御が実現される。式(A12)を変形することで式(A13)が得られる。
dmqm座標系を推定している場合において、idm=0であるならば、トルク指令値Trq*に単に比例するqm軸電流指令値(iqmの目標値)を作成して電流制御を行えばよく、これによって出力トルクTrqを精度良くトルク指令値Trq*に一致させることができる。しかしながら、式(A12)から分かるように、dm軸電流を流すと出力トルクTrqは変化する。従って、トルク指令値Trq*に単純比例したqm軸電流指令値を作成する制御方法では、dm軸電流を流したときに、出力トルクTrqとトルク指令値Trq*との間に誤差(以下、トルク誤差という)が生じる。
[トルク誤差低減方法の原理]
モータ制御装置3は、上述のようなトルク誤差を低減する機能を有する。図4(a)及び(b)を参照して、トルク誤差低減方法の原理を説明する。
モータ制御装置3は、上述のようなトルク誤差を低減する機能を有する。図4(a)及び(b)を参照して、トルク誤差低減方法の原理を説明する。
図4(a)において、軸301、302、303及び304は、夫々、d軸、q軸、qm軸及びδ軸であり、それらの軸は原点Oで互いに交わる。図4(a)の紙面において、原点Oから上方へ向かう方向がq軸の正方向に対応し、原点Oから左側へ向かう方向がd軸の負方向に対応する。破線弧311は定トルク曲線(等トルク曲線)であり、実線弧312は定電流円である。モータ電流Iaのベクトル表現である出力電流ベクトルの始点は原点Oに配置される。出力電流ベクトルの終点が定トルク曲線311上にのるとき、出力電流ベクトルの向きに関係なく、出力トルクTrqは一定である。出力電流ベクトルの終点が定電流円312上にのるとき、出力電流ベクトルの向きに関係なく、モータ電流Iaの大きさは一定である。定トルク曲線311はトルク指令値Trq*に対応するものであり、出力電流ベクトルの終点が定トルク曲線311上にのるとき、トルク誤差がゼロになると考える。
図4(a)において、互いに異なる点(白円)321〜324が示されている。点321は、定トルク曲線311及び定電流円312上の点である。即ち、点321は、定トルク曲線311と定電流円312との接点である。点323は定トルク曲線311上の点であり、点324は定電流円312上の点である。点321はqm軸上の点でもあり、点322も、qm軸上の点である。ベクトルV321、V323、V324は、夫々、原点Oから点321、323、324までの電流ベクトルであり、ベクトルV322は点321から点322までの電流ベクトルである。電流ベクトルとは、任意の電流をベクトルにて表現したものを指す。図4(b)に示す如く、原点O及び点321間の距離(即ち、電流ベクトルV321の大きさ)は式(A13)の右辺第1項を表しており、点321及び322間の距離(即ち、電流ベクトルV322の大きさ)は式(A13)の右辺第2項を表している。
dmqm座標系を推定している場合において、idm=0であるとき、(Trq/PnΦam)のqm軸電流を供給すれば(即ち、電流ベクトルV321を出力電流ベクトルに設定すれば)出力電流ベクトルの終点は定トルク曲線311上にのるため、定トルク曲線311に対応する出力トルクTrqが得られる。しかしながら、弱め磁束制御をするべくidm<0にすると、idm=0であるときと比べて出力電流ベクトルがidmの分だけ反時計回り方向に回転するため、“iqm=Trq/PnΦam”のままでは、出力電流ベクトルの終点が定トルク曲線311にのらない(即ち、トルク誤差が発生する)。idm<0のとき、電流ベクトルV321及びV322の合成ベクトル分のiqmを供給すれば、idm及びidmの合成に相当する出力電流ベクトルは電流ベクトルV323と一致し、トルク誤差の発生が回避される。
idm<0であるとき、idmに応じて(Ldm・idm 2/Φam)分だけqm軸電流を増大補正するという方法も考えられるが、モータ制御装置3では、異なる座標系間の軸誤差を適切に制御することによってトルク誤差を低減する。トルク誤差の低減のために制御される軸誤差とは、dq座標系と異なり且つ回転子の回転に同期して回転する回転座標系(例えば、dmqm座標系)と、制御座標系であるγδ座標系と、の間の位相差である。
図4(a)において、線313は電流ベクトルV323の終点323から定電流円312に引いた接線であり、点324は接線313と定電流円312との接点である。例えば、idm<0であるとき、接点324と原点Oとを通る軸を、δ軸として直接推定すれば、qm軸電流を補正することなく(より具体的には、δ軸電流指令値をγ軸電流値に応じて補正することなく)、トルク指令値Trq*に一致する出力トルクTrqを得ることができる。図4(a)の軸304は、接点324と原点Oとを通る軸が直接推定されたときのδ軸であり、軸303としてのqm軸から見て、軸303としてのδ軸は角度θtだけ位相が遅れている。従って例えば、後述の第1実施例の如く(図7参照)、角度(Δθm−θt)がゼロになるようにPLL(Phase-locked loop)を構成すれば軸304をδ軸として推定することでき、結果、トルク誤差を低減(理想的にはゼロにまで低減)することができる。
[角度θtについて]
図5を参照して、角度θtについて考察する。図5は、dmqm座標系上のベクトル図である。図5において、図4(a)と同一の部分には同一の符号を付してある。図5において、軸305はdm軸であり、dm軸とqm軸(軸303)が原点Oにて直交する。原点Oと接点324を通る軸304を、特にT軸と呼ぶ。また、T軸に直交する軸をF軸(不図示)と呼んだ場合、F軸及びT軸を座標軸として有する回転座標系をFT座標系と呼ぶことができる。dq座標系及びdmqm座標系と同様、FT座標系も回転子の回転に同期して回転する回転座標系であるが、FT座標系はdq座標系及びdmqm座標系とは異なる。
図5を参照して、角度θtについて考察する。図5は、dmqm座標系上のベクトル図である。図5において、図4(a)と同一の部分には同一の符号を付してある。図5において、軸305はdm軸であり、dm軸とqm軸(軸303)が原点Oにて直交する。原点Oと接点324を通る軸304を、特にT軸と呼ぶ。また、T軸に直交する軸をF軸(不図示)と呼んだ場合、F軸及びT軸を座標軸として有する回転座標系をFT座標系と呼ぶことができる。dq座標系及びdmqm座標系と同様、FT座標系も回転子の回転に同期して回転する回転座標系であるが、FT座標系はdq座標系及びdmqm座標系とは異なる。
電流ベクトルV323のdm軸成分及びqm軸成分を夫々Idm及びIqmにて表し、電流ベクトルV324のdm軸成分及びqm軸成分を夫々ITdm及びITqmにて表す。また、定電流円312の半径をITにて表す。点321及び324は共に定電流円312上の点であるため、下記式(B1)及び(B2)が成立する。
また、点323は、点324を通過する接線313上の点であるため、次式(B3)が得られる。ここで、Iqmは式(B4)によって表される。
上記式(B2)〜(B4)から、ITdm及びITqmの解が下記式(B5)及び(B6)のように得られる。但し、式(B2)〜(B4)からITdm及びITqmの解を求める際、図5からも明らかなように、ITdm及びIdm間で符号が反対になるようにしている。式(B5)及び(B6)を用いると、角度θtは次式(B7)にて表される。尚、sign(Idm)は、Idm>0のとき1であり、Idm<0のとき(−1)である。
弱め磁束制御の実行時においては、Idm<0であるため、式(B5)〜式(B7)は式(B8)〜式(B10)のように書き改められる。
角度θtとdm軸電流idmとの関係を表す、上記式(B10)に基づく数値解析例を図6に示す。図6において、実線351及び波線352は、当該数値解析例によるθt及びidm間の関係を示している。但し、実線351は、電流ITが5A(アンペア)であるときのそれらの関係を示しており、破線352は、電流ITが10A(アンペア)であるときのそれらの関係を示している。図6のグラフにおいて、横軸はdm軸電流idmを表し(単位はアンペア)、縦軸は角度θtを表している(単位は電気角における度)。
図6からも分かるように、θtは概ねidmに比例している。従って、θt及びidm間の関係を表す近似式を用いて或いは該近似式に応じたテーブルデータを用いてidmからθtを決定することができる。上記近似式には、θt=K×idmが含まれる(Kは定数)。但し、図6の実線351及び波線352から分かるように、θt及びidm間の比例係数はITに依存して若干変化するため、ITに応じてθtを補正しても良い。定トルク曲線311に沿った出力電流ベクトルV323を得る際、δ軸電流は点324に対応する電流値を持つため、IT=iδである。従って、ITに応じてθtを補正する処理は、iδに応じてθtを補正する処理と等価である。
トルク誤差の低減に関する幾つかの具体的構成及び動作を、第1〜第4実施例として説明する。
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。第1実施例に係る推定部20を特に推定部20aと呼ぶ。図7は、推定部20aの内部ブロック図であり、推定部20aは、符号51〜55によって参照される各部位を備える。
第1実施例を説明する。第1実施例に係る推定部20を特に推定部20aと呼ぶ。図7は、推定部20aの内部ブロック図であり、推定部20aは、符号51〜55によって参照される各部位を備える。
軸誤差推定部51によって軸誤差Δθmが推定され、軸誤差補正部55によって角度θtが求められる。減算器52は、軸誤差推定部51にて推定された軸誤差Δθmから角度θtを減算し、PI制御器(比例積分制御器)53は、減算器52の減算結果(Δθm−θt)に基づき回転速度ωeを算出する。この際、比例積分制御によって減算結果(Δθm−θt)がゼロに収束するように回転速度ωeを求める。積分器54は、PI制御器53からの回転速度ωeを積分することによって回転子位置θeを求める。
軸誤差推定部51は、iγ、iδ、vγ *及びvδ *の全部又は一部を用いて軸誤差Δθmを推定することができる。下記式(C1)は、軸誤差Δθmの推定式の一例である。永久磁石1aによる電機子鎖交磁束Φaとモータ電流Iaによる発生磁束との合成磁束を、ベクトルにて表現したものを鎖交磁束ベクトルΦeV(不図示)と呼ぶ。後述の式(E2)にて表されるΦeamは、鎖交磁束ベクトルΦeVから、電流idm及びiqmと仮想インダクタンスLdm及びLqmによる発生磁束分を差し引いた鎖交磁束ベクトルであり、鎖交磁束ベクトルΦeamの向きはdm軸の向きと一致する(図8参照)。図8に示す如く、鎖交磁束ベクトルΦeamのγ軸成分及びδ軸成分が夫々Φeamγ及びΦeamδである。
軸誤差推定部51は、式(C1)を利用して軸誤差Δθmを推定することができる。式(C1)を利用して軸誤差Δθmを推定する場合、図9に示す如く、軸誤差推定部51は、式(C1)におけるvγとしてvγ *を用いることができ、式(C1)におけるωとしてωeを用いることができる。また、必要な場合は、式(C1)におけるvδとしてvδ *を用いることができる。更に、軸誤差推定部51は、式(C1)におけるRa、Ldm及びLqmとして、夫々、推定用パラメータRa[PR]、Ldm[PR]及びLqm[PR]を用いることができる。推定用パラメータは、モータ1の特性を表す物理量のパラメータである。Ra、Ldm及びLqmの真値を、夫々、Ra[REAL]、Ldm[REAL]及びLqm[REAL]と表記する。軸誤差推定部51で用いられる推定用パラメータRa[PR]、Ldm[PR]及びLqm[PR]は、夫々、Ra[REAL]、Ldm[REAL]及びLqm[REAL]と一致する、或いは、Ra[REAL]、Ldm[REAL]及びLqm[REAL]と一致することを目指して設定される。このため、軸誤差推定部51にて推定される軸誤差Δθmに、推定誤差はないものとして考える。尚、上述又は後述の各式において、記号[PR]を伴わないRa、Ldm及びLqmは、特に記述なき限り、Ra、Ldm及びLqmの真値を表している。
軸誤差補正部55は、図6に示すような数値解析例に基づき、δ軸をT軸と一致させるための角度θtを求めることができる。この際、iγ又はiγ *をidmとして取り扱って、図10(a)に示す如く、iγ又はiγ *に応じて角度θtを求めることができる。例えば、軸誤差補正部55は、近似式「θt=KA×iγ」若しくは「θt=KA×iγ *」に従って、又は、当該近似式をテーブル化して得たルックアップテーブルを用いて、角度θtを求めることができる。上記近似式の比例係数であるKAは定数であっても良い。
但し、δ軸をT軸と一致させるための角度θtとiγ(idm)との比例関係がITに依存して若干変化することを考慮し(図6参照)、KAの値をiδ又はiδ *に応じて変化させても良い。この場合、軸誤差補正部55は、図10(b)に示す如く、iγ及びiδに応じて又はiγ *及びiδ *に応じて、角度θtを求めることとなる。
上記の近似式による角度θtの算出方法は例に過ぎない。軸誤差補正部55は、上述のθtの算出式(B10)そのもの若しくは算出式(B10)を簡素化した近似式に基づき、又は、該算出式(B10)をテーブル化して得たルックアップテーブル若しくは算出式(B10)を簡素化した近似式をテーブル化して得たルックアップテーブルに基づき、角度θtを求めることができる。この際、式(B10)におけるIdmとしてiγ又はiγ *を用いることができ、式(B10)におけるIqmとしてiδ又はiδ *を用いることができる。
図7の構成によれば、角度(Δθm−θt)をゼロにするためのPLL(Phase-locked loop)が形成されるので、δ軸はqm軸から角度θtだけ位相が遅れた軸になり(図4(a)参照)、結果、負のγ軸電流(弱め磁束用の電流)をモータ1に流したことによって発生しうるトルク誤差を低減(理想的にはゼロにまで低減)することができる。この際、特許文献2の方法のようなft座標系への変換が不要であるため演算量が少なくて済み、特許文献2と比べて少ないメモリ領域で定トルク曲線に沿った弱め磁束制御が可能となる。
また、第1実施例の構成に関し、以下のようなことが言える。図7の推定器20aを採用したモータ制御装置3では、dmqm座標系とγδ座標系との位相差である軸誤差Δθmが角度θtと一致するように制御される。θtは、δ軸がT軸と一致するように弱め磁束用の電流(負のiγ又はiγ *)に応じて求められる。従って、モータ制御装置3では、dmqm座標系及びγδ座標系間の軸誤差Δθmが弱め磁束用の電流に応じて制御されているといえ、この制御は、δ軸をT軸と一致させるように作用する。即ち、モータ制御装置3では、dmqm座標系及びγδ座標系間の軸誤差Δθmが、トルク誤差が低減するように弱め磁束用の電流に応じて制御されている。尚、弱め磁束用の電流に応じた任意の動作(制御、演算、補正、推定など)は、弱め磁束用の電流の情報に応じた動作(制御、演算、補正、推定など)であるとも言える。本実施形態において、弱め磁束用の電流の情報は、電流値iγ又は指令値iγ *である。
上述の説明から理解されるように、θtは、軸誤差Δθmの目標値として機能する。図7の軸誤差推定部51は、電流iγ及びiδを含むモータ1への供給電流に基づいて軸誤差Δθmを推定し、軸誤差目標値設定部とも言うべき軸誤差補正部55は、軸誤差Δθmの目標値θtを設定する。PI制御器53の機能により、軸誤差推定部51によって推定された軸誤差Δθm(以下、軸誤差Δθmの推定値とも言う)が軸誤差Δθmの目標値θtと一致するようにモータ1の制御が成される。軸誤差補正部55は、δ軸がT軸に一致するように、軸誤差Δθmの目標値θtを弱め磁束用の電流に応じて変化させる。これにより、弱め磁束用の電流をモータ1に流したことによって発生しうるトルク誤差を低減(理想的にはゼロにまで低減)させている。
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。第1実施例では、推定用パラメータRa[PR]、Ldm[PR]及びLqm[PR]と真値Ra[REAL]、Ldm[REAL]及びLqm[REAL]との間のパラメータ誤差を無視し、軸誤差推定部51にて推定される軸誤差Δθmに推定誤差はないと考えた。第2実施例では、意図的にパラメータ誤差を与えることでδ軸をT軸に一致させる。この方法を具体的に説明するに先立ち、まずパラメータ誤差の影響について考察する。
第2実施例を説明する。第1実施例では、推定用パラメータRa[PR]、Ldm[PR]及びLqm[PR]と真値Ra[REAL]、Ldm[REAL]及びLqm[REAL]との間のパラメータ誤差を無視し、軸誤差推定部51にて推定される軸誤差Δθmに推定誤差はないと考えた。第2実施例では、意図的にパラメータ誤差を与えることでδ軸をT軸に一致させる。この方法を具体的に説明するに先立ち、まずパラメータ誤差の影響について考察する。
図11のように、推定誤差(推定位相誤差)Δθdmを定義する。モータ制御装置3において、δ軸及びqm軸間の軸誤差を表すはずのΔθmを推定して推定値Δθmがゼロとなるようにγδ座標系を推定する際、Δθmの推定式にパラメータ誤差が含まれていると推定誤差Δθdmが発生する。Eeは、図8の磁束Φeamが回転速度ωにて回転することで発生する誘起電圧を推定したものである。図11では、Eeの向きをも考慮し、Eeを誘起電圧ベクトルとして表現している。誘起電圧ベクトルEeを基準として位相の遅れ方向にq軸を見たときのq軸の位相をθmeにて表す。θmeはθmの推定値に相当する。
このように定義すると、推定誤差Δθdmは下記式(D1)のように表される。式(D1)の推定誤差Δθdmは、下記式(D3)を用いて軸誤差Δθmを推定したときに発生する推定誤差である。式(D3)は、上記式(C1)におけるRa、Ldm及びLqmを、夫々、Ra[PR]、Ldm[PR]及びLqm[PR]に置き換えたものである。式(D1)の右辺の分母においては第1項(ωΦeam)が支配的であるため、式(D1)を式(D2)へと近似することができる(後述の式(E2)も参照)。
ΔRa、ΔLdm及びΔLqmは、各推定用パラメータにおけるパラメータ誤差であり、式(D4)〜(D6)によって与えられる。Edm及びEqmは、夫々、誘起電圧ベクトルEeのdm軸成分及びqm軸成分である。図11に示す状態では、位相においてδ軸がqm軸よりも進んでおり且つqm軸がq軸よりも進んでいる。この場合、θme及びθmは共に負であって且つ|θme|>|θm|であるため、Δθdmは負である。
推定誤差Δθdmの算出式(D1)の導出方法について説明を補足する。定常状態を考えると(即ち微分演算子pが掛け合わされている項を無視すると)、上記式(A5)から下記式(E1)が得られる。Φeamは、式(E2)のように表される。式(E1)におけるRa、Ldm及びLqmは、それぞれRa、Ldm及びLqmの真値である。
式(E1)に対する推定モデルは、下記式(E3)のように表される。Rae、Ldme及びLqmeは、夫々、推定モデルにおけるRa、Ldm及びLqmの推定値である。推定値RaeからRaの真値(即ち、式(E1)におけるRa)を引いたものがΔRaであり、推定値LdmeからLdmの真値(即ち、式(E1)におけるLdm)を引いたものがΔLdmであり、推定値LqmeからLqmの真値(即ち、式(E1)におけるLqm)を引いたものがΔLqmである。
軸誤差Δθmがゼロになるように位置センサレス制御を行った場合、位置センサレス制御下での定常的な推定誤差(推定位相誤差)は、図11に示すように、推定モデルにおける誘起電圧Eeの位相とqm軸の位相との位相差Δθdmとなる。推定モデルにおける定常的な誘起電圧Eeは、パラメータ誤差ΔRa、ΔLdm及びΔLqmを用いると、下記式(E4)のように表される。
そうすると、定常状態における推定誤差Δθdmは、下記式(E5)のようになる。式(E5)は、上記式(D1)と符合する。
第2実施例に係る推定部20を特に推定部20bと呼ぶ。図12は、推定部20bの内部ブロック図であり、推定部20bは、符号61〜64によって参照される各部位を備える。推定部20bでは、推定用パラメータLdm[PR]に対して意図的にパラメータ誤差ΔLdmを与えることで、軸誤差推定部61による軸誤差Δθmの推定値に角度θtに相当する推定誤差Δθdmを発生させ、その推定誤差Δθdmを含む推定値をゼロに向かわせる比例積分制御を行うことでT軸を推定する(即ち、δ軸をT軸に一致させる)。
δ軸をT軸に一致させるためのパラメータLdm[PR]及びパラメータ誤差ΔLdmについて説明する。ここでは、ΔRa=ΔLqm=0、であるとする。そうすると、下記式(F1)を成立させるパラメータ誤差ΔLdmを与えたならば、δ軸がT軸と一致することになる。上記式(D2)に“ΔRa=ΔLqm=0”を代入した後、Δθdmが小さいと仮定して式(D2)の右辺を近似し、その近似の結果に(−1)を乗じることで式(F1)の右辺が得られる。即ち、式(F1)におけるθtは、略(−Δθdm)である。式(F1)を変形することで式(F2)が得られる。ここで、式(F3)が成立する。δ軸をT軸に一致させるためのパラメータLdm[PR]をLtと表記する。式(F2)から、δ軸をT軸に一致させるためのパラメータLdm[PR]は式(F4)を満たす。
図12のパラメータ補正部62は、式(F4)に従ってパラメータLdm[PR]を決定し、決定したパラメータLdm[PR]を軸誤差推定部61に与えることができる。実験等を介してKtdmの値を予め設定しておくことが可能であり、式(F4)におけるiqmとしてiδ又はiδ *を用いることが可能である。
また、図6を参照して示したように角度θtはidmに略比例しており、その比例係数を(−Ktdm)にて表すことができる(式(F3)参照)。加えて、電流値IT(iδ)に関わらずθt及びidm間の関係は概ね不変である(図6参照)。即ち、電流値IT(iδ)に関わらず(−Ktdm)を一定にしておいても、式(F3)の右辺は、δ軸をT軸に一致させるための角度θtを比較的精度良く表している。これらを考慮すれば、Ktdmに比例するパラメータ誤差ΔLdm(式(F2)参照)が一定であっても、δ軸をT軸に概ね一致させることが可能である。即ち、図13(a)に示す如く、パラメータ補正部62が軸誤差推定部61に与えるパラメータLdm[PR]は一定値であっても良い。この場合、出力トルクTrqが弱め磁束用の電流iγに依存しないような、パラメータLdm[PR]の一定値Ltを予め実験等を介して決定し、決定した一定値LtをパラメータLdm[PR]として軸誤差推定部61に与えるようにすればよい。
但し、δ軸をT軸と一致させるための角度θtとiγ(idm)との比例関係がITに依存して若干変化することを考慮し(図6参照)、軸誤差推定部61に与えるパラメータLdm[PR]をiδ又はiδ *に応じて変化させても良い(換言すれば補正してもよい)。この場合、パラメータ補正部62は、図13(b)に示す如く、iδ又はiδ *に応じてパラメータLdm[PR]を設定することになる。この際、iδ又はiδ *に応じた可変値Ltを出力するルックアップテーブルをパラメータ補正部62に設けておき、そのルックアップテーブルの出力値をパラメータLdm[PR]として軸誤差推定部61に出力すればよい。図14に、可変値としてのLtのiδ依存性の一例を波線371にて示し、Ldmの真値のiδ依存性の一例を実線372にて示す。図14は、iγが一定であるという条件下でのシミュレーション結果を表しており、波線371に符合するように、iδ(又はiδ *)に応じて、パラメータLdm[PR]としてのLtを可変させても良い。
軸誤差推定部61は、式(D3)を利用して軸誤差Δθmを推定することができる。式(D3)を利用して軸誤差Δθmを推定する場合、軸誤差推定部61は、式(D3)におけるLdm[PR]として、パラメータ補正部62から与えられた推定用パラメータLdm[PR]を用いる。軸誤差推定部61で用いられる推定用パラメータRa[PR]及びLqm[PR]は、夫々、Ra[REAL]及びLqm[REAL]と一致する、或いは、Ra[REAL]及びLqm[REAL]と一致することを目指して設定される。また、軸誤差推定部61は、式(D3)におけるvγとしてvγ *を用いることができ、式(D3)におけるωとしてωeを用いることができる。また、必要ならば、式(D3)におけるvδとしてvδ *を用いることができる。
推定された軸誤差Δθmではなく、真の軸誤差Δθmを、特にΔθm[REAL]と表記する。式(F2)に応じたパラメータ誤差ΔLdmを含んだ状態で軸誤差Δθmが推定されるため、軸誤差推定部61から出力される軸誤差Δθmの推定値は、δ軸とT軸との軸誤差になる。即ち、軸誤差推定部61から出力される軸誤差Δθmの推定値は、(Δθm[REAL]−θt)である。PI制御器(比例積分制御器)63は、軸誤差推定部61から出力される推定値(Δθm[REAL]−θt)がゼロに収束するように、比例積分制御を用いて回転速度ωeを求める。積分器64は、PI制御器63からの回転速度ωeを積分することによって回転子位置θeを求める。
図15に、出力トルクTrqのシミュレーション結果を示す。図15のシミュレーションでは、強制的にδ軸電流iδを一定(10アンペア)に維持した状態でγ軸電流iγを変化させることで、出力トルクTrqのiγ依存性を求めた。図15のグラフにおいて、横軸はiγに対応し(単位はアンペア)、縦軸はTrqに対応する(単位はN・m)。線381〜383の夫々は、当該シミュレーションによって得られた出力トルクTrqのiγ依存性を表している。但し、実線381は、軸誤差Δθmの推定にLdm[PR]=Ltを用いたときのそれを表しており、波線382は、軸誤差Δθmの推定にLdm[PR]=0を用いたときのそれを表しており、波線383は、軸誤差Δθmの推定にLdm[PR]=Ldm[REAL]を用いたときのそれを表している。推定用パラメータLdm[PR]としてLt(=Ldm+ΔLdm)を用いてT軸を推定することにより、出力トルクTrqがγ軸電流に殆ど依存しなくなっていることが分かる。
第2実施例によっても、第1実施例と同様、T軸がδ軸として推定されるようになる。このため、負のγ軸電流(弱め磁束用の電流)をモータ1に流したことによって発生しうるトルク誤差を低減(理想的にはゼロにまで低減)することができる。この際、特許文献2の方法のようなft座標系への変換が不要であるため演算量が少なくて済み、特許文献2と比べて少ないメモリ領域で定トルク曲線に沿った弱め磁束制御が可能となる。
また、第2実施例の構成に関し、以下のようなことが言える。図12の軸誤差推定部61において、軸誤差Δθmの推定値は、電流値iγ及びiδと推定用パラメータ(Ldm[PR]、Lqm[PR]及びRa[PR])とを用いて算出される。即ち、弱め磁束用の電流iγを含むモータ1への供給電流(モータ電流Ia)と推定用パラメータとに基づいて軸誤差Δθmの推定が成される。そして、PI制御器63等の機能により、軸誤差Δθmの推定値がゼロに収束するように、出力トルクTrqの制御を含む、モータ1の制御が成される。
軸誤差Δθmの推定の際、推定用パラメータLdm[PR]の値としてLdmの真値と異なる値が用いられ、これによって軸誤差Δθmの推定値を角度(Δθm[REAL]−θt)と一致又は略一致させている。軸誤差Δθmの推定値と角度(Δθm[REAL]−θt)との一致は、δ軸とT軸との一致に相当する。従って、第2実施例に係るモータ制御装置3では、δ軸がT軸に一致するように(即ち、トルク誤差が低減するように)、軸誤差Δθmの推定値が弱め磁束用の電流(負のiγ)を用いて算出されている。換言すれば、dmqm座標系及びγδ座標系間の軸誤差Δθmが、トルク誤差が低減するように(理想的にはゼロにまで低減するように)、弱め磁束用の電流(負のiγ)に応じて制御されている。
上述の方法では、軸誤差Δθmの推定用パラメータの1つであるLdm[PR]の値が真値Ldm[REAL]から意図的にずらされ、これによって、軸誤差Δθmの推定値が弱め磁束用の電流(負のiγ)に応じてトルク誤差が低減するように導出されている。
しかしながら、Ldm[PR]の代わりにLqm[PR]又はRa[PR]をそれらの真値からずらすことで、軸誤差Δθmの推定値を角度(Δθm[REAL]−θt)と一致又は略一致させてもよい。
即ち例えば、軸誤差推定部61において、式(D3)を利用して軸誤差Δθmを推定する際、式(D3)におけるLqm[PR]としてLqm[REAL]と異なるLqm’を用い、式(D3)におけるLdm[PR]及びRa[PR]として夫々Ldm[REAL]及びRa[REAL]を用いるようにしても良い。Lqm’を用いて算出された軸誤差Δθmの推定値が角度(Δθm[REAL]−θt)と一致するように、Lqm’の値を、実験等を介して予め設定しておくことができる。
或いは例えば、軸誤差推定部61において、式(D3)を利用して軸誤差Δθmを推定する際、式(D3)におけるRa[PR]としてRa[REAL]と異なるRa’を用い、式(D3)におけるLdm[PR]及びLqm[PR]として夫々Ldm[REAL]及びLqm[REAL]を用いるようにしても良い。Ra’を用いて算出された軸誤差Δθmの推定値が角度(Δθm[REAL]−θt)と一致するように、Ra’の値を、実験等を介して予め設定しておくことができる。
即ち例えば、軸誤差推定部61において、式(D3)を利用して軸誤差Δθmを推定する際、式(D3)におけるLqm[PR]としてLqm[REAL]と異なるLqm’を用い、式(D3)におけるLdm[PR]及びRa[PR]として夫々Ldm[REAL]及びRa[REAL]を用いるようにしても良い。Lqm’を用いて算出された軸誤差Δθmの推定値が角度(Δθm[REAL]−θt)と一致するように、Lqm’の値を、実験等を介して予め設定しておくことができる。
或いは例えば、軸誤差推定部61において、式(D3)を利用して軸誤差Δθmを推定する際、式(D3)におけるRa[PR]としてRa[REAL]と異なるRa’を用い、式(D3)におけるLdm[PR]及びLqm[PR]として夫々Ldm[REAL]及びLqm[REAL]を用いるようにしても良い。Ra’を用いて算出された軸誤差Δθmの推定値が角度(Δθm[REAL]−θt)と一致するように、Ra’の値を、実験等を介して予め設定しておくことができる。
ここで、Ldmの物理的な意義について説明を加える。dq座標系を推定するシステムにおいては(即ち、γ軸をd軸に一致させるようにベクトル制御を行うシステムにおいては)、γ軸電流及びインダクタンスによって発生する磁束の方向はγ軸方向である(即ち、該磁束にはγ軸成分のみが含まれる)。しかしながら、dq座標系と異なる回転座標系を推定するシステムにおいてはγ軸電流及びインダクタンスによって発生する磁束にδ軸成分が含まれるようになる。これは、図2(a)のθmがゼロでないとき(但し、cosθmsinθm≠0)、上記式(A3)におけるLdmがゼロではなくなることからも理解される。
Ldm・iγは、γ軸電流によって発生する磁束のδ軸成分ΦδAを表している。従って、Ldmはγ軸電流に作用してδ軸成分ΦδAを発生させるインダクタンス成分であり、Ldm[PR]はδ軸成分ΦδAについてのインダクタンスパラメータであると言える。一方、Lqm・iδは、δ軸電流によって発生する磁束のδ軸成分ΦδBを表している。従って、Lqmはδ軸電流に作用してδ軸成分ΦδBを発生させるインダクタンス成分であり、Lqm[PR]はδ軸成分ΦδBについてのインダクタンスパラメータであると言える。
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。図15に見られるように、第2実施例に係る推定部20bの採用時において(図12参照)仮にLdm[PR]をゼロに設定した場合、γ軸電流を流すと出力トルクTrqが増大する。これは、図16に示すように、γ軸電流を流すと推定誤差(推定位相誤差)Δθdmが発生し、出力トルクTrqがトルク指令値Trq*よりも大きくなるためである。図16において、軸307は、Ldm[PR]をゼロに設定した場合に推定部20bを用いて推定されるδ軸であり、点327は定電流円312と軸307との交点であり、点328は軸307がδ軸である場合における出力電流ベクトルV328の終点である。出力電流ベクトルV328に対応する出力トルクは、定トルク曲線311に沿ったトルクよりも大きい。軸307をX軸と呼び、X軸から電気角で90度だけ位相が進んだ軸をY軸と呼ぶ。更に、X軸及びY軸を座標軸として有する座標系をXY座標系と呼ぶ。dq座標系、dmqm座標系及びFT座標系と同様、XY座標系も回転子の回転に同期して回転する回転座標系であるが、XY座標系は、dq座標系、dmqm座標系及びFT座標系とは異なる。
第3実施例を説明する。図15に見られるように、第2実施例に係る推定部20bの採用時において(図12参照)仮にLdm[PR]をゼロに設定した場合、γ軸電流を流すと出力トルクTrqが増大する。これは、図16に示すように、γ軸電流を流すと推定誤差(推定位相誤差)Δθdmが発生し、出力トルクTrqがトルク指令値Trq*よりも大きくなるためである。図16において、軸307は、Ldm[PR]をゼロに設定した場合に推定部20bを用いて推定されるδ軸であり、点327は定電流円312と軸307との交点であり、点328は軸307がδ軸である場合における出力電流ベクトルV328の終点である。出力電流ベクトルV328に対応する出力トルクは、定トルク曲線311に沿ったトルクよりも大きい。軸307をX軸と呼び、X軸から電気角で90度だけ位相が進んだ軸をY軸と呼ぶ。更に、X軸及びY軸を座標軸として有する座標系をXY座標系と呼ぶ。dq座標系、dmqm座標系及びFT座標系と同様、XY座標系も回転子の回転に同期して回転する回転座標系であるが、XY座標系は、dq座標系、dmqm座標系及びFT座標系とは異なる。
X軸である軸307から見て、T軸は角度θt’だけ位相が進んでいる。従って、Ldm[PR]をゼロに設定する場合には、図7の構成において角度θtを角度θt’に置き換えればよい。即ち、図17に示すような推定部20cを形成しても良い。推定部20cを用いても図7の推定部20aを用いた場合と同様の効果が得られる。推定部20cは、第3実施例に係る推定部20であり、図17は推定部20cの内部ブロック図である。推定部20cは、符号71〜75によって参照される各部位を備える。
軸誤差推定部71は、Ldm[PR]としてゼロを用いて軸誤差Δθmを推定する。軸誤差Δθmに推定に用いるLdm[PR]の値が軸誤差推定部51のそれと異なる点を除き、軸誤差推定部71は、図7の軸誤差推定部51と同様のものである。推定誤差(推定位相誤差)Δθdmを含んだ軸誤差Δθmが推定されるため、軸誤差推定部71から出力される軸誤差Δθmの推定値は、δ軸とX軸との軸誤差になる。即ち、軸誤差推定部71から出力される軸誤差Δθmの推定値は、Δθm[REAL]−Δθdm=Δθm[REAL]−θt+θt’である。軸誤差補正部75は、角度θt’を求めて出力する。減算器72は、軸誤差推定部71から出力される推定値(Δθm[REAL]−θt+θt’)より、軸誤差補正部75から出力される角度θt’を減算する。PI制御器(比例積分制御器)73は、減算器72の減算結果(Δθm[REAL]−θt)に基づき回転速度ωeを算出する。この際、比例積分制御によって減算結果(Δθm[REAL]−θt)がゼロに収束するように回転速度ωeを求める。積分器74は、PI制御器73からの回転速度ωeを積分することによって回転子位置θeを求める。
図7の軸誤差補正部55が角度θtを決定する場合と同様の方法によって、軸誤差補正部75は角度θt’を決定することができる。即ち例えば、図6の関係に相当するような、角度θt’と電流値iγ(又はidm)との関係を数値解析又は実験を利用して予め求めておき、求めた関係を表す関数から、軸誤差補正部75は角度θt’を決定することができる。当該関数そのもの若しくは当該関数の近似式を用いて、又は、当該関数若しくは近似式をテーブル化することで得たルックアップテーブルを用いて、軸誤差補正部75は角度θt’を決定することができる。軸誤差補正部75において、角度θt’を決定するために用いられる変数は、iγ又はiγ *を含み、更にiδ又はiδ *をも含みうる。即ち、軸誤差補正部55と同様(図10(a)及び(b)参照)、軸誤差補正部75は、図18(a)に示す如くiγ又はiγ *に基づいて角度θt’を決定することができ、或いは、図18(b)に示す如くiγ及びiδに基づいて又はiγ *及びiδ *に基づいて角度θt’を決定することができる。
また、第3実施例の構成に関し、以下のようなことが言える。図17の推定器20cを採用したモータ制御装置3では、XY座標系とγδ座標系との位相差である軸誤差(以下、軸誤差ΔθXγという)が、角度θt’と一致せしめられる。θt’は、δ軸がT軸と一致するように弱め磁束用の電流(負のiγ又はiγ *)に応じて求められる。従って、モータ制御装置3では、XY座標系及びγδ座標系間の軸誤差ΔθXγが弱め磁束用の電流に応じて制御されているといえ、この制御は、δ軸をT軸と一致させるように作用する。即ち、モータ制御装置3では、XY座標系及びγδ座標系間の軸誤差ΔθXγが、トルク誤差が低減するように弱め磁束用の電流に応じて制御されている。
上述の説明から理解されるように、θt’は、軸誤差ΔθXγの目標値として機能する。図17の軸誤差推定部71は、電流iγ及びiδを含むモータ1への供給電流に基づき、推定誤差Δθdmを含んだ状態で軸誤差Δθmを推定する。この推定は、軸誤差ΔθXγの推定に相当する。軸誤差目標値設定部とも言うべき軸誤差補正部75は、軸誤差推定部71の推定値に対する目標値θt’を設定する。PI制御器73の機能により、軸誤差推定部71の推定値が目標値θt’と一致するようにモータ1の制御が成される。軸誤差補正部75は、δ軸がT軸に一致するように、軸誤差の目標値θt’を弱め磁束用の電流に応じて変化させる。これにより、弱め磁束用の電流をモータ1に流したことによって発生しうるトルク誤差を低減(理想的にはゼロにまで低減)させている。
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。上述のモータ制御装置3及びモータ駆動システムを、モータ1を用いるあらゆる電気機器に搭載することができる。該電気機器には、例えば、乗り物、空気調和機(屋内用又は車載用の空気調和機など)、洗濯機、及び、圧縮機(冷蔵庫用圧縮機など)が含まれ、それらはモータ1の回転によって駆動する。
第4実施例を説明する。上述のモータ制御装置3及びモータ駆動システムを、モータ1を用いるあらゆる電気機器に搭載することができる。該電気機器には、例えば、乗り物、空気調和機(屋内用又は車載用の空気調和機など)、洗濯機、及び、圧縮機(冷蔵庫用圧縮機など)が含まれ、それらはモータ1の回転によって駆動する。
モータ駆動システムを搭載した乗り物は、モータ1の出力トルクを利用して移動する移動体であり、例えば、モータ1の出力トルクを利用して走行する電動車両(電動自動車、電動バイク、電動自転車など)、モータ1の出力トルクを利用して航行する電動ボートである。特に電動車両などにおいては、広い速度範囲で弱め磁束制御が行われる。従って、弱め磁束制御の実行時においてもトルク指令値どおりに出力トルクを発生可能な、本実施形態に係るモータ駆動システムは有益である。
例として、上述のモータ駆動システムであるモータ駆動システム100を搭載した電動自動車101の概略構成図を、図19に示す。モータ駆動システム100内の直流電源4を、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池(不図示)にて形成しておくことができる。モータ駆動システム100において直流電源4からの電力にてモータ1が駆動される(モータ1から出力トルクが得られる)。モータ駆動システム100におけるモータ1の出力トルクにより電動自動車101の車輪が回転せしめられ、これによって電動自動車101は走行する。また、回生時には、電動自動車101の車輪及びモータ1を通じて得られた回生エネルギーにて、直流電源4(図3参照)内の二次電池が充電されてもよい。また、電動自動車101は、モータ1の出力トルクとモータ1の出力トルク以外の動力源(化石燃料を用いた動力源)とを併用して走行するものであっても良い。
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈3を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈3を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
各実施形態において、算出、推定、検出等によって導出されるべき全ての値(iγ、iγ *、Δθm等)の導出方法は任意である。即ち例えば、それらを、モータ制御装置3内での演算によって導出するようにしてもよいし、予め設定しておいたテーブルデータから導出するようにしてもよい。
各実施形態において、算出、推定、検出等によって導出されるべき全ての値(iγ、iγ *、Δθm等)の導出方法は任意である。即ち例えば、それらを、モータ制御装置3内での演算によって導出するようにしてもよいし、予め設定しておいたテーブルデータから導出するようにしてもよい。
[注釈2]
モータ制御装置3の機能の一部または全部は、例えば汎用マイクロコンピュータ等に組み込まれたソフトウェア(プログラム)を用いて実現される。ソフトウェアを用いてモータ制御装置3を実現する場合、モータ制御装置3の各部の構成を示すブロック図は機能ブロック図を表すこととなる。勿論、ソフトウェア(プログラム)ではなく、ハードウェアのみによって、或いは、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって、モータ制御装置3を形成することも可能である。
モータ制御装置3の機能の一部または全部は、例えば汎用マイクロコンピュータ等に組み込まれたソフトウェア(プログラム)を用いて実現される。ソフトウェアを用いてモータ制御装置3を実現する場合、モータ制御装置3の各部の構成を示すブロック図は機能ブロック図を表すこととなる。勿論、ソフトウェア(プログラム)ではなく、ハードウェアのみによって、或いは、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって、モータ制御装置3を形成することも可能である。
[注釈3]
本明細書及び図面において下記の点に留意すべきである。上記の数と表記した墨付きかっこ内の式(式(C1)等)の記述又は図面において、所謂下付き文字として表現されているギリシャ文字(γ、δを含む)は、それらの墨付きかっこ外において、下付き文字でない標準文字として表記されることがある。このギリシャ文字における下付き文字と標準文字との相違は、電子出願用ソフトウェアが実行したフォント変換によって生じたものであり、本明細書を読むに当たり、その相違は適宜無視されるべきである。
本明細書及び図面において下記の点に留意すべきである。上記の数と表記した墨付きかっこ内の式(式(C1)等)の記述又は図面において、所謂下付き文字として表現されているギリシャ文字(γ、δを含む)は、それらの墨付きかっこ外において、下付き文字でない標準文字として表記されることがある。このギリシャ文字における下付き文字と標準文字との相違は、電子出願用ソフトウェアが実行したフォント変換によって生じたものであり、本明細書を読むに当たり、その相違は適宜無視されるべきである。
1 モータ
2 インバータ
3 モータ制御装置
20、20a、20b、20c 位置・速度推定部
51、61、71 軸誤差推定部
55、75 軸誤差補正部
62 パラメータ補正部
100 モータ駆動システム
101 電動車両
311 定トルク曲線
312 定電流円
2 インバータ
3 モータ制御装置
20、20a、20b、20c 位置・速度推定部
51、61、71 軸誤差推定部
55、75 軸誤差補正部
62 パラメータ補正部
100 モータ駆動システム
101 電動車両
311 定トルク曲線
312 定電流円
Claims (6)
- dq座標系と異なる制御座標系を利用してモータの出力トルクを制御するモータ制御装置において、
前記モータの回転子の回転に同期して回転し且つ前記dq座標系と異なる回転座標系と、前記制御座標系との位相差である軸誤差を、前記出力トルク及びトルク指令値間のトルク誤差が低減するように、弱め磁束用の電流に応じて制御する
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 前記弱め磁束用の電流に応じて前記軸誤差の目標値を変化させることで、前記トルク誤差を低減させる
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。 - 前記弱め磁束用の電流を含む前記モータへの供給電流に基づいて前記軸誤差を推定する軸誤差推定部と、
前記軸誤差の目標値を設定する軸誤差目標値設定部と、を備えて、
前記軸誤差推定部による軸誤差の推定値が前記軸誤差の目標値と一致するように前記モータの制御を成し、
前記軸誤差目標値設定部は、前記弱め磁束用の電流に応じて前記軸誤差の目標値を変化させることで、前記トルク誤差を低減させる
ことを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。 - 前記弱め磁束用の電流を含む前記モータへの供給電流と推定用パラメータとに基づいて前記軸誤差を推定する軸誤差推定部を備えて、前記軸誤差推定部による軸誤差の推定値を用いて前記モータの制御を成し、
前記推定用パラメータは、前記モータの特性を表す物理量のパラメータであり、
前記推定用パラメータの値を前記物理量の真値からずらすことによって、前記軸誤差の推定値を前記弱め磁束用の電流に応じて前記トルク誤差が低減する方向に導出する
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。 - 前記推定用パラメータは、γ軸電流によって発生する磁束のδ軸成分についてのインダクタンスパラメータであり、
前記γ軸及びδ軸は、前記制御座標系の座標軸であって、夫々、前記dq座標系の座標軸であるd軸及びq軸に対応し、
前記γ軸電流は、前記モータへの供給電流のγ軸成分である
ことを特徴とする請求項4に記載のモータ制御装置。 - モータと、前記モータの出力トルクを制御するモータ制御装置とを備え、前記出力トルクを利用して移動する乗り物であって、
前記モータ制御装置として、請求項1〜請求項5の何れかに記載のモータ制御装置を用いた
ことを特徴とする乗り物。
Priority Applications (1)
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-
2010
- 2010-12-16 JP JP2010280578A patent/JP2012130183A/ja active Pending
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