JP2009268268A - モータ制御装置及び発電機制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トルク変動成分をも含んだ正確なトルク推定を行う。
【解決手段】電機子巻線を有する固定子及び永久磁石を有する回転子を備えたモータを制御するモータ制御装置(3)において、前記電機子巻線の鎖交磁束及び前記電機子巻線に流れる電機子電流に基づいて、モータにて発生するトルクを推定するトルク推定部(14)を備え、推定トルクに基づいてモータに対するベクトル制御を実行する。トルク推定部は、前記鎖交磁束をベクトル表現した鎖交磁束ベクトルと前記電機子電流をベクトル表現した電流ベクトルとの外積(φd・iq−φq・id)、及び、両ベクトルの内積(φd・id+φq・iq)に基づいて前記トルクを推定する。
【選択図】図10
【解決手段】電機子巻線を有する固定子及び永久磁石を有する回転子を備えたモータを制御するモータ制御装置(3)において、前記電機子巻線の鎖交磁束及び前記電機子巻線に流れる電機子電流に基づいて、モータにて発生するトルクを推定するトルク推定部(14)を備え、推定トルクに基づいてモータに対するベクトル制御を実行する。トルク推定部は、前記鎖交磁束をベクトル表現した鎖交磁束ベクトルと前記電機子電流をベクトル表現した電流ベクトルとの外積(φd・iq−φq・id)、及び、両ベクトルの内積(φd・id+φq・iq)に基づいて前記トルクを推定する。
【選択図】図10
Description
本発明は、モータを制御するためのモータ制御装置及び発電機を制御するための発電機制御装置に関する。
モータにて発生しているトルクを推定し、推定トルクを用いてモータの制御を行うシステムが提案されている。
この種のシステムでは、通常、固定子に設けられた電機子巻線の鎖交磁束ベクトルと電機子電流に流れる電流のベクトルとを外積演算することによって、トルクを推定している(下記特許文献1及び2参照)。また、モータへの入力電力情報とモータの回転速度情報からトルク推定を行う手法も提案されている(下記特許文献3参照)。
ところで、モータとして埋込磁石同期モータなどを用いる場合、磁極位置(回転子位置)に対する磁石磁束分布やインダクタンス分布に高調波が存在することが多い。つまり例えば、固定子のU相電機子巻線を鎖交する永久磁石の磁束は、磁極位置の変化に対して理想的には正弦波の波形を描くが、実際には該波形には高調波が含まれ、これに起因して永久磁石の回転によって生じる誘起電圧も歪む。同様に、電機子巻線のd軸インダクタンスやq軸インダクタンスも高調波を含む。このような高調波はトルクリプルの原因となることが知られている。
上述したような従来のトルク推定方法では、このトルクの変動成分(トルクリプル)を良好に推定することができない。結果、推定トルクの瞬時値と実際のトルクの瞬時値との誤差が大きくなり、モータ制御が理想的なものから劣化する。従来のトルク推定方法にてトルクの変動成分を良好に推定できない理由は、後述される。尚、モータ制御に関する従来の問題点を説明したが、発電機を制御する際にも同様の問題が生じうる。
そこで本発明は、モータにて発生するトルクを良好に推定可能なモータ制御装置及び発電機にて発生するトルクを良好に推定可能な発電機制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る第1のモータ制御装置は、電機子巻線を有する固定子及び永久磁石を有する回転子を備えたモータを制御するモータ制御装置において、前記電機子巻線の鎖交磁束及び前記電機子巻線に流れる電機子電流に基づいて、モータにて発生するトルクを推定するトルク推定手段を備え、推定トルクに基づいて前記モータの制御を実行し、前記トルク推定手段は、前記鎖交磁束をベクトル表現した鎖交磁束ベクトルと前記電機子電流をベクトル表現した電流ベクトルとの外積、及び、前記鎖交磁束ベクトル又は前記鎖交磁束ベクトルに応じたベクトルと前記電流ベクトルとの内積、に基づいて前記トルクを推定することを特徴とする。
前記外積に加えて前記内積をも考慮することにより、トルクを良好に推定することができる。
具体的には例えば、前記内積は、前記鎖交磁束ベクトルと前記電流ベクトルとの内積であり、前記トルク推定手段は、前記外積と、単位時間当たりの前記回転子の磁極位置の変化量に対する前記内積の変化量と、に基づいて前記トルクを推定する。
或いは具体的には例えば、前記トルク推定手段は、単位時間当たりの前記回転子の磁極位置の変化量に対する前記鎖交磁束の変化量を表す、前記鎖交磁束の微分情報又は差分情報を導出し、前記微分情報又は差分情報のベクトルが前記鎖交磁束ベクトルに応じたベクトルであり、前記内積は、前記鎖交磁束ベクトルに応じたベクトルと前記電流ベクトルとの内積である。
尚、回転子の磁極位置の変化量は、検出又は推定された磁極位置そのものの情報から導出されても良いし、単位時間と回転子の回転速度とから導出されても良いし、鎖交磁束ベクトルの位相の変化量から導出されてもよい。
本発明に係る第2のモータ制御装置は、電機子巻線を有する固定子及び永久磁石を有する回転子を備えたモータを制御するモータ制御装置において、前記回転子を駆動するための前記モータへの入力電力、前記回転子の回転速度、及び、前記電機子巻線の鎖交磁束をベクトル表現した鎖交磁束ベクトルと前記電機子巻線に流れる電機子電流をベクトル表現した電流ベクトルとの外積に基づいて、モータにて発生するトルクを推定するトルク推定手段を備え、推定トルクに基づいて前記モータを制御することを特徴とする。
モータへの入力電力及び回転速度に加えて前記外積をも考慮することにより、トルクを良好に推定することができる。
具体的には例えば、前記トルク推定手段は、前記入力電力を前記回転速度にて割ることによって、又は、前記入力電力から前記電機子巻線での損失を含む損失電力を差し引いた電力を前記回転速度にて割ることによって得た値と、前記外積に比例する値と、の和から前記トルクを推定する。
また例えば、前記第1又は第2のモータ制御装置は、推定トルクに基づき、前記モータにて実際に発生するトルクをベクトル制御又は直接トルク制御によって制御する。
本発明に係る第1の発電機制御装置は、電機子巻線を有する固定子及び永久磁石を有する回転子を備えた発電機を制御する発電機制御装置において、前記電機子巻線の鎖交磁束及び前記電機子巻線に流れる電機子電流に基づいて、発電機にて発生するトルクを推定するトルク推定手段を備え、推定トルクに基づいて前記発電機の制御を実行し、前記トルク推定手段は、前記鎖交磁束をベクトル表現した鎖交磁束ベクトルと前記電機子電流をベクトル表現した電流ベクトルとの外積、及び、前記鎖交磁束ベクトル又は前記鎖交磁束ベクトルに応じたベクトルと前記電流ベクトルとの内積、に基づいて前記トルクを推定することを特徴とする。
本発明に係る第2の発電機制御装置は、電機子巻線を有する固定子及び永久磁石を有する回転子を備えた発電機を制御する発電機制御装置において、前記回転子の回転による前記発電機の発電電力、前記回転子の回転速度、及び、前記電機子巻線の鎖交磁束をベクトル表現した鎖交磁束ベクトルと前記電機子巻線に流れる電機子電流をベクトル表現した電流ベクトルとの外積に基づいて、前記発電機にて発生するトルクを推定するトルク推定手段を備え、推定トルクに基づいて前記発電機を制御することを特徴とする。
本発明によれば、モータにて発生するトルクを良好に推定可能なモータ制御装置及び発電機にて発生するトルクを良好に推定可能な発電機制御装置を提供することが可能となる。
本発明の意義ないし効果は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。後に第1〜第4実施例を説明するが、まず、各実施例に共通する事項又は各実施例にて参照される事項について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るモータ駆動システムの概略ブロック図である。図1のモータ駆動システムは、モータ1と、電圧変換回路2と、モータ制御装置3とを備える。図2は、モータ1の内部構成を表すブロック図である。
モータ1は、三相永久磁石同期モータであり、永久磁石を備えた回転子1rと3相分の電機子巻線(即ち、U相、V相及びW相の電機子巻線)を備えた固定子1sとを有している。
電圧変換回路2は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)インバータである。電圧変換回路2としてのPWMインバータは、パルス幅変調を用いて直流電源(不図示)から与えられる直流電圧を三相交流電圧に変換し、その三相交流電圧をモータ1に印加する。モータ1に印加される三相交流電圧は、U相の電機子巻線への印加電圧を表すU相電圧vu、V相の電機子巻線への印加電圧を表すV相電圧vv、及び、W相の電機子巻線への印加電圧を表すW相電圧vwから成る。U相電圧vu、V相電圧vv及びW相電圧vwの合成電圧である、モータ1に印加される全体の電圧をモータ電圧(モータ端子電圧)と呼び、それを記号vによって表す。
モータ電圧vの印加によってモータ1に流れる電流のU相成分、V相成分及びW相成分、即ちU相、V相及びW相の電機子巻線に流れる電流を、夫々、U相電流iu、V相電流iv及びW相電流iwと呼ぶ。U相電流iu、V相電流iv及びW相電流iwの合成電流である、モータ1に流れる全体の電流をモータ電流(電機子電流)と呼び、それを記号iによって表す。
図3(a)及び(b)に、モータ1の解析モデル図を示す。図3(a)には、U相、V相、W相の電機子巻線固定軸(以下、U相軸、V相軸及びW相軸とも呼ぶ)が示されている。1mは、モータ1の回転子1rに設けられた永久磁石である。V相軸の位相は、U相軸を基準として電気角で120度だけ進んでおり、W相軸の位相は、V相軸を基準として更に電気角で120度だけ進んでいる。永久磁石1mが作る磁束の回転速度と同じ速度で回転する回転座標系において、永久磁石1mが作る磁束の方向をd軸にとり、d軸から電気角で90度進んだ位相にq軸をとる。図3(a)及び(b)において反時計回り方向が位相の進み方向に対応する。d軸及びq軸を総称してdq軸と呼び、d軸及びq軸を座標軸に選んだ回転座標系をdq座標系と呼ぶ。
dq軸は回転しており、その回転速度をωで表す。また、dq座標系において、U相軸から見たd軸の角度(位相)をθにより表す。θにて表される角度は、電気角における角度であり、それらは一般的に回転子位置又は磁極位置とも呼ばれる。ωにて表される回転速度は、電気角における角速度である。
以下、θ(並びに後述するθm)によって表現される状態量を磁極位置と呼ぶこととし、ω(並びに後述するωm)によって表される状態量を回転速度と呼ぶこととする。尚、状態量を物理量と読み替えることもできる。
また、図3(b)には、U相軸、V相軸及びW相軸と、互いに直交するα軸及びβ軸と、の関係が示されている。α軸はU相軸と一致しており、β軸は、α軸を基準として電気角で90度だけ進んでいる。U相軸、V相軸及びW相軸並びにα軸及びβ軸は、回転子1rの回転に関係なく固定された固定軸である。α軸及びβ軸を総称してαβ軸と呼び、α軸及びβ軸を座標軸に選んだ固定座標系をαβ座標系と呼ぶ。dq座標系もαβ座標系も、二次元の直交座標系である。
更に以下の如く状態量を定義する。
モータ電圧vのd軸成分、q軸成分、α軸成分、β軸成分を、夫々、d軸電圧、q軸電圧、α軸電圧及びβ軸電圧と呼ぶと共に記号vd、vq、vα及びvβにて表す。
モータ電流iのd軸成分、q軸成分、α軸成分、β軸成分を、夫々、d軸電流、q軸電流、α軸電流及びβ軸電流と呼ぶと共に記号id、iq、iα及びiβにて表す。
三相の電機子巻線の鎖交磁束を合成したものをφにて表す。電機子鎖交磁束φのd軸成分、q軸成分、α軸成分、β軸成分を、夫々、d軸磁束、q軸磁束、α軸磁束及びβ軸磁束と呼ぶと共に記号φd、φq、φα及びφβにて表す。電機子鎖交磁束φは、永久磁石1mによる界磁磁束(後述のφaに相当)とモータ電流iによる電機子反作用磁束との合成磁束に相当する。
φaは、永久磁石1mによる電機子鎖交磁束を表す。
Ld及びLqは、夫々d軸インダクタンス(電機子巻線のインダクタンスのd軸成分)、q軸インダクタンス(電機子巻線のインダクタンスのq軸成分)を表す。
Raは、電機子巻線の一相当たりの抵抗値を表す。
Pnは、モータ1の極対数を表す。
φd|t=0、φq|t=0、φα|t=0及びφβ|t=0は、夫々、或る基準時刻t0におけるφd、φq、φα及びφβの値(即ち、φd、φq、φα及びφβの初期値)を表す。
尚、φa、Ld、Lq、Ra及びPnは、モータ1の特性に応じて予め定まる。
モータ電圧vのd軸成分、q軸成分、α軸成分、β軸成分を、夫々、d軸電圧、q軸電圧、α軸電圧及びβ軸電圧と呼ぶと共に記号vd、vq、vα及びvβにて表す。
モータ電流iのd軸成分、q軸成分、α軸成分、β軸成分を、夫々、d軸電流、q軸電流、α軸電流及びβ軸電流と呼ぶと共に記号id、iq、iα及びiβにて表す。
三相の電機子巻線の鎖交磁束を合成したものをφにて表す。電機子鎖交磁束φのd軸成分、q軸成分、α軸成分、β軸成分を、夫々、d軸磁束、q軸磁束、α軸磁束及びβ軸磁束と呼ぶと共に記号φd、φq、φα及びφβにて表す。電機子鎖交磁束φは、永久磁石1mによる界磁磁束(後述のφaに相当)とモータ電流iによる電機子反作用磁束との合成磁束に相当する。
φaは、永久磁石1mによる電機子鎖交磁束を表す。
Ld及びLqは、夫々d軸インダクタンス(電機子巻線のインダクタンスのd軸成分)、q軸インダクタンス(電機子巻線のインダクタンスのq軸成分)を表す。
Raは、電機子巻線の一相当たりの抵抗値を表す。
Pnは、モータ1の極対数を表す。
φd|t=0、φq|t=0、φα|t=0及びφβ|t=0は、夫々、或る基準時刻t0におけるφd、φq、φα及びφβの値(即ち、φd、φq、φα及びφβの初期値)を表す。
尚、φa、Ld、Lq、Ra及びPnは、モータ1の特性に応じて予め定まる。
尚、本明細書では、記述の簡略化上、記号(idなど)のみの表記によって、その記号に対応する状態量などを表現している場合もある。即ち、本明細書では、例えば、「id」と「d軸電流id」又は「d軸電流値id」は同じものを指す。
次に、モータ1の制御に用いるトルク推定の方法を説明する。トルク推定方法として第1及び第2トルク推定方法を説明する。
[第1トルク推定方法]
まず、第1トルク推定方法を説明する。下記式(A−1)に、公知のトルク推定式を示す。式(A−1)中におけるφd及びφqを、式(A−2)及び(A−3)により求めたφα及びφβをdq軸上に座標変換することによって求めることができる。電機子鎖交磁束φをベクトル表現したものを鎖交磁束ベクトルと呼ぶと共にモータ電流iをベクトル表現したものを電流ベクトルと呼んだ場合、式(A−1)では、鎖交磁束ベクトルと電流ベクトルとの外積を算出することによってトルク推定を行っている。式(A−1)を用いて推定されたトルクTeo(θ)はθの関数である。尚、dtは、微小な時間を表している。式(A−2)及び(A−3)における各右辺の積分は、時間tに対する積分である。現時点のφα及びφβを算出する際、それらの積分区間は、基準時刻t0から現時点までである。
まず、第1トルク推定方法を説明する。下記式(A−1)に、公知のトルク推定式を示す。式(A−1)中におけるφd及びφqを、式(A−2)及び(A−3)により求めたφα及びφβをdq軸上に座標変換することによって求めることができる。電機子鎖交磁束φをベクトル表現したものを鎖交磁束ベクトルと呼ぶと共にモータ電流iをベクトル表現したものを電流ベクトルと呼んだ場合、式(A−1)では、鎖交磁束ベクトルと電流ベクトルとの外積を算出することによってトルク推定を行っている。式(A−1)を用いて推定されたトルクTeo(θ)はθの関数である。尚、dtは、微小な時間を表している。式(A−2)及び(A−3)における各右辺の積分は、時間tに対する積分である。現時点のφα及びφβを算出する際、それらの積分区間は、基準時刻t0から現時点までである。
ところで、モータ1として埋込磁石同期モータなどを用いる場合、磁極位置θに対する磁石磁束分布やインダクタンス分布に高調波が存在することが多い。つまり例えば、U相電機子巻線を鎖交する永久磁石の磁束は、磁極位置θの変化に対して理想的には正弦波の波形を描くが、実際には該波形には高調波が含まれ、これに起因して永久磁石の回転によって生じる誘起電圧も歪む。同様に、電機子巻線のd軸インダクタンスやq軸インダクタンスも高調波を含む。このような高調波はトルクリプルの原因となることが知られている。例えばベクトル制御によってd軸電流及びq軸電流が一定となるように制御した場合、磁石磁束分布やインダクタンス分布に高調波が含まれていなければ、モータの発生トルクは一定となるが、実際には通常それらに高調波が含まれているため発生トルクが脈動する。
図4に、有限要素シミュレーションによって得られた、実際にモータ1にて発生していると想定されるトルク(以下、実トルクという)と、式(A−1)によって推定されたトルクTeo(θ)との比較を表す、シミュレーション結果を示す。図4並びに後述する図7〜図9に対応するシミュレーションでは、モータ1に一定のトルクを発生させることを目標とするベクトル制御がモータ制御装置3によりなされているものとする。また、時間又は磁極位置θを横軸にとった時における各電機子巻線の電流が正弦波状の電流となるような三相交流電圧が電機子巻線に印加されるものとする。
図4のグラフにおいて、横軸は磁極位置θに対応し、縦軸はトルクに対応する。破線の波形301は実トルクの波形である。一定トルクを発生させることを目指してベクトル制御を行っているものの、モータ1に上述の高調波が関与することによって実トルクにトルクリプル(トルク変動)が発生している。実線の波形302は、推定トルクTeo(θ)の波形である。
或る適当な区間に着目した場合、波形301によって表される実トルクの区間平均と波形302によって表される推定トルクTeo(θ)の区間平均は、概ね一致しており、平均トルクは式(A−1)によって良好に推定されていることが分かる。但し、図4にも見られるように、推定トルクTeo(θ)に含まれるリプル成分は実トルクのリプル成分よりも随分小さい。即ち、式(A−1)に基づくだけでは、トルクの変動成分を良好に推定することができないことが分かる。
トルク変動成分を含むモータ1の発生トルクT(θ)は、式(A−4)にて表される。トルクT(θ)は、波形301にて表される実トルクに相当する。式(A−4)の右辺において、Teo(θ)は上記式(A−1)に従って推定されたトルクであり、Tripple(θ)はトルク変動成分(モータ1が発生するトルクの変動成分)であり、Tcogging(θ)はコギングトルクである。但し、Tcogging(θ)は、Teo(θ)及びTripple(θ)と比較して小さいため、以下の説明においてTcogging(θ)を無視する。
以下、Teo(θ)とTripple(θ)の和に相当するトルクT(θ)と、トルクTeo(θ)とを区別するべく、前者のトルクを修正トルクとも呼び、後者のトルクを基本トルクとも呼ぶ。
本実施形態では、鎖交磁束ベクトルと電流ベクトルとの内積情報を利用してTripple(θ)を推定する。具体的には、下記式(A−5)を利用してTripple(θ)を推定する。即ち、鎖交磁束ベクトルと電流ベクトルとの内積を磁極位置θにて微分することによってTripple(θ)を推定する。或いは、下記式(A−6)を利用してTripple(θ)を推定することもできる。式(A−6)を利用する場合は、鎖交磁束ベクトルのd軸成分及びq軸成分の夫々を磁極位置θで微分することよって微分鎖交磁束ベクトルを求め、その微分鎖交磁束ベクトルと電流ベクトルとを内積することによってTripple(θ)を推定する。ここにおける微分鎖交磁束ベクトルは、dφq/dθ及びdφd/dθをq軸及びd軸成分として有するベクトルである。
これらの式によってトルク変動成分が表されることを、数式を用いて詳細に説明する。まず、モータ1における磁気随伴エネルギーWm’は、式(A−7)によって表される。式(A−7)におけるWm’は、d軸電流及びq軸電流が夫々id及びiqによって示される電流値である時における磁気随伴エネルギーである。φq及びφdの夫々が、d軸電流、q軸電流及び磁極位置を変数とする関数であることを考慮して、式(A−7)を含む、φq及びφdが積分される数式では、φq及びφdを、夫々、φq(0,iq’,θ)及びφd(id’,iq,θ)にて示している(後に示されるLq(0,iq’,θ)及びLd(id’,iq,θ)についても同様)。
φq(0,iq’,θ)は、d軸電流、q軸電流及び磁極位置が夫々0,iq’及びθである時のq軸磁束φqを表し、φd(id’,iq,θ)は、d軸電流、q軸電流及び磁極位置が夫々id’,iq及びθである時のd軸磁束φdを表す(後に示されるLq(0,iq’,θ)及びLd(id’,iq,θ)についても同様)。式(A−7)の右辺第1項は、図5(a)の斜線領域の面積に等しく、q軸電流を変数として捉えた上で関数φq(0,iq’,θ)を0からiqまで積分したものである。式(A−7)の右辺第2項は、図5(b)の斜線領域の面積に等しく、d軸電流を変数として捉えた上で関数φd(id’,iq,θ)を0からidまで積分したものである。図5(a)及び(b)における曲線311及び312は、磁石磁束を無視した場合における、モータ1の磁化特性を示す曲線である。
磁気随伴エネルギーWm’は、d軸電流、q軸電流及び磁極位置の関数である。従って、磁気随伴エネルギーWm’の全微分dWm’は次式のように表され、それから式(A−8)が導かれる。
一方、モータ1の発生トルクは、磁気随伴エネルギーを磁極位置にて偏微分することによって得られる。即ち、モータ1の発生トルクをTとおくと、トルクTを式(A−9)にて表すことができる。
この式(A−9)に、式(A−7)及び(A−8)を代入して整理すると式(A−10)が得られる。
当然に成立する式(A−7)〜式(A−9)から導いた、モータ1の発生トルクTの算出式(A−10)において、右辺第2項(即ち、Pn(φdiq−φqid))は、式(A−1)に従う基本トルクTeo(θ)そのものである。従って、上記式(A−4)より、式(A−10)の右辺第1項がトルク変動成分に相当する、と言える。そこで、式(A−10)の右辺第1項をTripple(θ)とおき、この項を更に検討する。式(A−10)の右辺第1項に式(A−7)を代入すると式(A−11)が得られる。
関係式:φq=Lqiq且つφd=Ldidを用いると、式(A−11)は式(A−12a)のように変形される。更に、モータ1内で磁気飽和が生じないと仮定する。この仮定は、図5(a)及び(b)の曲線311及び312によって示される真の磁化特性を、図6(a)及び(b)の曲線321及び322によって示される磁化特性に近似することに等しい。この仮定により、q軸インダクタンスLqがq軸電流に依存せず且つd軸インダクタンスLdがd軸電流に依存しないこととなるため、式(A-12a)におけるLq及びLdを積分演算の外に出すことができる。つまり、式(A−12a)は式(A−12b)へと変形される。
更に、関係式:φq=Lqiq且つφd=Ldidを用いて式(A−12b)を変形すると、式(A−13)が導かれる。式(A−12b)に関係式:φq=Lqiq且つφd=Ldidを代入して得られる式は上記式(A−5)であり、また、式(A−13)は、上記式(A−6)と同じ式である。即ち、上記式(A−5)及び(A−6)によってトルク変動成分が推定可能であることが示された。
また、式(A−12b)を式(A−10)の右辺第1項に代入して得られる式(A−14)、又は、式(A−13)を式(A−10)の右辺第1項に代入して得られる式(A−15)に従って、発生トルクT(即ち、修正トルク)を推定することができる。式(A−14)又は(A−15)に従って算出したトルクTは、理想的には、実トルクと合致する。
尚、上述の式の変形過程において関係式:φd=Ldidを用いたが、厳密には、φd=Ldid+φaである(上述したように、φaは永久磁石1mによる電機子鎖交磁束)。つまり、式(A−11)から式(A−12a)、(A−12b)又は(A−13)を導出する際、φaに対応する項が無視されている。その項を無視する分、トルク推定に誤差が含まれるようにも思われる。しかしながら、実際には、式(A−5)又は(A−6)を用いてトルク変動成分Tripple(θ)を推定するに当たり、式(A−5)又は(A−6)内の鎖交磁束(φd及びφq)が式(A−2)及び(A−3)を用いて推定され、且つ、推定された鎖交磁束(φd及びφq)にはφaの影響が考慮されている。このため、上述の式の変形過程において関係式:φd=Ldidを用いることの弊害は十分に小さい。
図7に、実トルクと、式(A−5)を用いて推定された修正トルクT(θ)との比較結果を表す、シミュレーションを用いた実験結果を示す。図8に、実トルクと、式(A−6)を用いて推定された修正トルクT(θ)との比較結果を表す、シミュレーションを用いた実験結果を示す。図7及び図8の各グラフにおいて、横軸は磁極位置θに対応し、縦軸はトルクに対応する。図7及び図8において、波形301及び302は、図4に示したものと同様の、実トルクの波形及び式(A−1)に従う基本トルクTeo(θ)の波形である。
図7における実線の波形303は、式(A−1)、式(A−4)を式(A−5)に従って推定された修正トルクT(θ)(=Teo(θ)+Tripple(θ))の波形であり、図8における実線の波形304は、式(A−1)、式(A−4)を式(A−6)に従って推定された修正トルクT(θ)(=Teo(θ)+Tripple(θ))の波形である。式(A−5)又は(A−6)を用いてトルク変動成分をも推定することにより、発生トルクの瞬時値を正確に推定できていることが分かる。
[第2トルク推定方法]
次に、第2トルク推定方法を説明する。今、微小時間dtにおいて、モータ1に一定の電流iを供給しつつ、トルクTに相当する外力を回転子1rに付与することにより磁極位置θをθ1からθ2へと変化させたことを想定する。θ1からθ2への、磁極位置θの微小変化量をdθで表す。
次に、第2トルク推定方法を説明する。今、微小時間dtにおいて、モータ1に一定の電流iを供給しつつ、トルクTに相当する外力を回転子1rに付与することにより磁極位置θをθ1からθ2へと変化させたことを想定する。θ1からθ2への、磁極位置θの微小変化量をdθで表す。
磁極位置θを微小変化量dθだけ変化させた時における、モータ1に関わるエネルギー変化は、電気エネルギーの変化dWE、機械エネルギーの変化dWM及び磁気エネルギーの変化dWmを用いて下記式(B−1)のように表現される。また、電気エネルギーの変化dWE及び機械エネルギーの変化dWMは、下記式(B−2)及び(B−3)のように表される。
ここで、θmは、機械角で表現した、回転子1rの磁極位置である。従って、機械角で表現した磁極位置θmと、電気角で表現した磁極位置θと、極対数Pnとの間には、関係式「θ=Pnθm」が成立すると共に関係式「dθ=Pndθm」が成立する。
一方において、磁気随伴エネルギーWm’は、磁気エネルギーWmを用いて下記式(B4)のように定義される。この式(B−4)を全微分すると、式(B−5)が得られる。
式(B−1)に、式(B−2)、(B−3)及び(B−5)を代入して成立すると、次式(B−6)が得られる。
ここで、モータ1内で形成される磁気回路が線形的な回路であると仮定する。即ち、下記式(B−7)が成立すると近似する。そうすると、式(B−6)を式(B−8)へと変形することができる。
この式(B−8)における電力ivを機械角における回転速度ωmで除算すると、次式(B−9)が得られる。ωmで表される回転速度は、機械角で表現した回転子1rの角速度である。従って、機械角で表現した回転速度ωmと、電気角で表現した回転速度ωと、極対数Pnとの間には、関係式「ω=Pnωm」が成立すると共に関係式「dω=Pndωm」が成立する。式(B−8)から式(B−9)を得る際、関係式「ωm=dθm/dt=(1/Pn)×(dθ/dt)」が用いられる。
ところで、モータへの入力電力に基づいてモータのトルクを推定することが従来より行われており、電力情報を用いた従来のトルク推定方法では、入力電力ivを機械角速度ωmで割ることによってトルクを推定している。即ち、従来のトルク推定方法では、iv/ωmをトルクとして推定している(尚、厳密には、入力電力ivから銅損(i2Ra)を引いたものを機械角速度ωmで割ったものが従来の推定トルクとされている)。しかし、上記式(B−9)から分かるように、トルクTはiv/ωmと一致せず、dWm’/dθの項を考慮しないと正確なトルク推定はなされない。
従って、正確なトルク推定を行うためには、式(B−9)の変形式に相当する下記式(B−10)を用いることが必要である(即ち、iv/ωmから、第1トルク推定方法で述べた式(A−10)の右辺第1項を差し引くことが必要である)。式(B−10)では、電機子巻線にて生じる損失(いわゆる銅損)が無視されているが、それを考慮する場合は、下記式(B−11)を用いればよい。
一方において、関係式「φd=Ldid+φa及びφq=Lqiq」を用いると、第1トルク推定方法で述べた式(A−10)は、下記式(B−12)のように変形される。
式(B−10)と式(B−12)から下記式(B−13)が得られ、式(B−11)と式(B−12)から下記式(B−14)が得られる。このように、第1トルク推定方法で述べた式(A−10)の右辺第1項に相当するトルク変動成分(Pn・dWm’/dθ)を、回転子1rを回転駆動するためのモータ1への入力電力ivと、回転速度ωmと、鎖交磁束ベクトルφと電流ベクトルiの外積と、に基づいて算出可能であることが分かる。
また、式(B−13)を式(B−10)に代入して得た下記式(B−15)を用いることにより、トルク変動成分を含めた修正トルクTを推定することができる。電機子巻線にて生じる損失を考慮する場合は、式(B−14)を式(B−10)に代入して得た下記式(B−16)を用いることにより、トルク変動成分を含めた修正トルクTを推定することができる。
尚、上述の第1トルク推定方法の説明では、修正トルクが磁極位置θの関数であることを明示すべく修正トルクを記号T(θ)にて表現したこともあったが、第2トルク推定方法の説明では、修正トルクを単にTによって表している。
図9に、実トルクと、式(B−16)を用いて推定された修正トルクとの比較結果を表す、シミュレーションを用いた実験結果を示す。図9のグラフにおいて、横軸は磁極位置θに対応し、縦軸はトルクに対応する。図9において、波形301及び302は、図4に示したものと同様の、実トルクの波形及び式(A−1)に従う基本トルクTeo(θ)の波形である。図9における実線の波形305は、式(B−16)に従って推定された修正トルクTの波形である。式(B−16)に従い、トルク変動成分をも考慮したトルク推定を行うことにより、発生トルクの瞬時値を正確に推定できていることが分かる。この際、第1トルク推定方法に係る上記式(A−5)等を用いる場合と異なり、電機子鎖交磁束の微分情報を用いる必要がないため、計算誤差が少なくなるというメリットもある。
尚、上述の第1及び第2トルク推定方法の説明では、dq座標系に着目した数式を記述したが、αβ座標系に着目した数式を利用してトルク推定を行うことも可能である。つまり例えば、上記式(A−5)におけるφd、φq、id及びiqを、夫々、φα、φβ、iα及びiβに置き換えることも可能である。式(A−6)、(B−13)〜(B−16)を含むその他の式についても同様である。
以下に、第1又は第2トルク推定方法を利用した実施例として、第1〜第4実施例を例示する。上述の内容は、矛盾なき限り、第1〜第4実施例に適用される。
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。図10は、第1実施例に係るモータ駆動システムの詳細ブロック図である。図10のモータ駆動システムは、図1のモータ1、電圧変換回路2及びモータ制御装置3を備えると共に、電源4及び電流センサ10を備えている。モータ1は、例えば、埋込磁石同期モータ(interior permanent magnet synchronous motor)である。図10のモータ制御装置3は、符号11〜22によって参照される各部位を備える。電圧変換回路2に接続された電源4からの直流電圧は、三相交流電圧に変換されてモータ1に供給される。
第1実施例を説明する。図10は、第1実施例に係るモータ駆動システムの詳細ブロック図である。図10のモータ駆動システムは、図1のモータ1、電圧変換回路2及びモータ制御装置3を備えると共に、電源4及び電流センサ10を備えている。モータ1は、例えば、埋込磁石同期モータ(interior permanent magnet synchronous motor)である。図10のモータ制御装置3は、符号11〜22によって参照される各部位を備える。電圧変換回路2に接続された電源4からの直流電圧は、三相交流電圧に変換されてモータ1に供給される。
モータ制御装置3内の各部位は、モータ制御装置3内で生成された各値を自由に利用可能である。図10のモータ駆動システムを形成する各部位は、所定の制御周期にて自身が算出(又は検出)して出力する指令値(ω*、T*、id *、iq *、vd *、vq *、vα*、vβ*、vu *、vv *及びvw *を含む)又は状態量(iu、iv、id、iq、iα、iβ、φd、φq、φα、φβ、θ、ω及びTestを含む)を更新し、最新の指令値又は状態量に従って各値の演算を行う。
図10のモータ駆動システムでは、モータ電流iが励磁電流成分であるd軸電流idとトルク電流成分であるq軸電流iqとに分解され、それらが電流指令値に追従するようにベクトル制御がなされる。具体的に、図10の各部位の機能を説明する。
電流センサ10は、電圧変換回路2からモータ1に供給されるU相電流iu及びV相電流ivの電流値を表すアナログ信号を出力する。電流検出部11は、電流センサ10の出力信号に基づいてU相電流iu及びV相電流ivの電流値を検出する。具体的には例えば、電流検出部11は、電流センサ10からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器である。W相電流iwの電流値は、検出されたiu及びivの電流値を用い、関係式「iw=−iu−iv」に従って算出される。
3相/2相変換部12は、推定磁極位置θに基づいてU相電流値iu及びV相電流値ivをdq軸上に座標変換することにより、d軸電流値id及びq軸電流値iqを算出及び出力する。座標変換部20により、d軸電流値id及びq軸電流値iqは推定磁極位置θに基づいてα軸電流値iα及びβ軸電流値iβに変換される。尚、iu及びivから直接iα及びiβを求めても良い。位置/速度推定部15によって回転速度ω及び磁極位置θが推定及び出力される。第1実施例(及び後述の第3実施例)において、推定回転速度及び推定磁極位置とは、夫々、位置/速度推定部15によって推定された回転速度及び磁極位置を意味する。
磁束推定部13は、座標変換部20から与えられるα軸電流値iα及びβ軸電流値iβと座標変換部22から与えられるα軸電圧指令値vα*及びβ軸電圧指令値vβ*に基づいて、α軸磁束φα及びβ軸磁束φβを推定する。座標変換部21は、推定磁極位置θに基づいてα軸磁束φα及びβ軸磁束φβをdq軸上に座標変換することによって、d軸磁束φd及びq軸磁束φqを求める。
トルク推定部14は、上述の第1又は第2トルク推定方法を利用し、モータ制御装置3内で算出された値を含む推定用情報に基づいて、モータ1にて発生するトルクを推定する。図10は、例として、推定用情報が、座標変換部21からのφd及びφqと3相/2相変換部12からのid及びiqを含む場合を表している。トルク推定部14によって推定されたトルクをTestにて表し、それを推定トルクとも呼ぶ。推定トルクTestの具体的算出方法については後述する。
図示されない速度指令作成部は、モータ1の回転子を所望の回転速度(電気角速度)にて回転させるための回転速度指令値ω*を作成する。
速度制御部16は、比例積分制御などを用いることによって、回転速度指令値ω*と推定回転速度ωとの差(ω*−ω)がゼロに収束するようにトルク指令値T*を算出及び出力する。トルク指令値T*は、推定トルクTestが追従すべき値を示す。推定トルクTestは、実際にモータ1にて発生しているトルクの推定値であるため、トルク指令値T*は、実際にモータ1にて発生しているトルクの目標値でもある。
トルク制御部17は、比例積分制御などを用いることによって、トルク指令値T*と推定トルクTestの値との差(T*−Test)がゼロに収束するように、d軸電流指令値id *及びq軸電流指令値iq *を算出する。id *は、d軸電流値idが追従すべき、idの目標値を表す。iq *は、q軸電流値iqが追従すべき、iqの目標値を表す。トルクはq軸電流によって発生するため、トルク制御部17は、差(T*−Test)がゼロに収束するようにq軸電流指令値iq *を決定する。d軸電流指令値id *は、モータ駆動システムにて実行されるベクトル制御の種類や回転速度に応じて、様々な値に設定される。例えば、d軸電流をゼロとするための制御を行う場合はid *=0とされる。また、最大トルク制御や弱め磁束制御を行う場合、id *は推定回転速度ωに応じた負の値とされる。
電流制御部18は、トルク制御部17からのid *及びiq *と3相/2相変換部12からのid及びiqに基づき、電流誤差(id *−id)及び(iq *−iq)が共にゼロに収束するように、比例積分制御などを用いた電流フィードバック制御を行う。この際、d軸とq軸との間の干渉を排除するための非干渉制御を利用し、(id *−id)及び(iq *−iq)が共にゼロに収束するようにd軸電圧指令値vd *及びq軸電圧指令値vq *を算出する。尚、vd *及びvq *を算出するに当たり、ωも参照されうる。座標変換部22は、推定磁極位置θに基づいてvd *及びvq *をαβ軸上に座標変換することによりvα*及びvβ*を求める。尚、vd *は、d軸電圧値vdが追従すべき、vdの目標値を表し、vq *は、q軸電圧値vqが追従すべき、vqの目標値を表す。vα*は、α軸電圧値vαが追従すべき、vαの目標値を表し、vβ*は、β軸電圧値vβが追従すべき、vβの目標値を表す。
2相/3相変換部19は、推定磁極位置θに基づいて、dq軸上の電圧指令値であるvd *及びvq *を三相の固定座標軸上に座標変換することにより、三相電圧指令値を算出する。三相電圧指令値は、U相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *及びW相電圧指令値vw *から構成される。電圧変換回路2は、この三相電圧指令値に従って電源4からの直流電圧を、U相電圧vu、V相電圧vv及びW相電圧vwから成る三相交流電圧に変換する。vu *、vv *及びvw *は、夫々、vu、vv及びvwの電圧値を指定するものである。電圧変換回路2は、時間又は磁極位置θを横軸にとった時における各電機子巻線の電流が正弦波状の電流となるような三相交流電圧を三相の電機子巻線に供給する。
位置/速度推定部15は、公知の方法(特許第3411878号公報に記載の方法など)を含む、任意の方法を用いて回転速度ω及び磁極位置θを推定可能である。例えば、vd *、vq *、id及びiqの全部又は一部を用いて回転速度ω及び磁極位置θを推定することが可能である。
上述の第1又は第2トルク推定方法を利用することにより、トルク推定部14は、トルク変動成分をも考慮した発生トルクの瞬時値を正確に推定することができる。トルク推定の正確性が向上することにより、モータに対する制御が理想的なもの近づく。図10のモータ駆動システムでは、正確に推定されたトルクTestがトルク指令値T*に追従するようにベクトル制御がなされるため、トルク指令値T*を基準として、モータ1の発生トルクの変動が抑制される。結果、その変動に由来する振動及び騒音を低減することができる。
以下に、推定トルクTestの算出方法を具体的に説明する。或る時刻における推定トルクTestは、その時刻で得られている最新の状態量及び指令値に基づいて算出される。
[Testの第1算出方法]
まず、第1トルク推定方法の説明中に述べた式(A−1)〜(A−4)と共に式(A−5)を利用する場合を説明する。この場合、トルク推定部14は、下記式(C−1)に従ってTestを算出することができる。或いは、下記式(C−2)に従ってTestを算出することもできる。式(C−1)及び(C−2)の夫々において、右辺第1項は上記式(A−1)の基本トルクTeo(θ)に対応する項であり、右辺第2項は上記式(A−5)のトルク変動成分Tripple(θ)に対応する項である。
まず、第1トルク推定方法の説明中に述べた式(A−1)〜(A−4)と共に式(A−5)を利用する場合を説明する。この場合、トルク推定部14は、下記式(C−1)に従ってTestを算出することができる。或いは、下記式(C−2)に従ってTestを算出することもできる。式(C−1)及び(C−2)の夫々において、右辺第1項は上記式(A−1)の基本トルクTeo(θ)に対応する項であり、右辺第2項は上記式(A−5)のトルク変動成分Tripple(θ)に対応する項である。
式(C−1)〜(C−4)の右辺に表れる記号の数値は、図10に示された各部位から得られる(後述の式(C−5)〜(C−15)についても同様)。式(C−2)におけるφα及びφβを式(C−3)及び(C−4)に従って求めることができる。式(C−3)及び(C−4)に従って求めたφα及びφβをθに基づいてdq軸上に座標変換すれば、式(C−1)におけるφd及びφqが求まる。式(C−3)及び(C−4)における各右辺の積分は、時間tに対する積分であり、現時点のφd、φq、φα及びφβを算出する際、それらの積分区間は、基準時刻t0から現時点までである。尚、モータ制御装置3にとって、φα|t=0及びφβ|t=0の各値は既知であるとする。
式(C−1)を用いる場合の具体的演算方法を説明する。この場合、トルク推定部14は、鎖交磁束ベクトルと電流ベクトルの外積(φdiq−φqid)を算出する一方で、鎖交磁束ベクトルと電流ベクトルの内積を表すスカラー量(φdid+φqiq)を磁極位置θにて微分することによってTestを算出する。モータ駆動システム内における各演算は、離散化された指令値及び状態量の瞬時値に基づいて行われる。従って、この微分は、実際には、差分演算によって実行される。
即ち、式(C−1)を用いる場合、トルク推定部14は、鎖交磁束ベクトルと電流ベクトルの内積を表すスカラー量(φdid+φqiq)を最新の鎖交磁束ベクトル及び電流ベクトルに基づいて逐次算出する。そして、時刻t1及びt2における該スカラー量(φdid+φqiq)が夫々(φdid+φqiq)t1及び(φdid+φqiq)t2であり且つ時刻t1及びt2における推定磁極位置θが夫々θ1及びθ2であるとすると、下記式(C−5)に従って差分演算を行う。式(C−5)におけるTrpは、時刻t2における、式(C−1)の右辺第2項に相当する。ここで、時刻t2は時刻t1から微小時間dtだけ経過した時刻であるとする。また、時刻t1及びt2は、基準時刻t0よりも遅い時刻であるとする。
また、この微小時間dtだけモータ1の回転子が回転することによって、磁極位置θがθ1からθ2へと変化するのであるから、式(C−5)における磁極位置の微小変化量(θ2−θ1)を、回転速度と微小時間dtとの積(ω12×dt)に置換しても良い。ここで、ω12は、時刻t1における推定回転速度ω若しくは時刻t2における推定回転速度ω又は両者の平均値であり、dt=t2−t1である。また、定常状態において、ωとω*は一致(或いは略一致)しているため、ω12を時刻t1又はt2におけるω*とすることもできる。(θ2−θ1)及び(ω12×dt)の何れを用いた場合でも、磁極位置の微小変化量と内積値(上述のスカラー量)の微小変化量との比から、式(C−1)の右辺第2項の値が算出されることに変わりはない。
式(C−3)に従ってφαを算出する場合、磁束推定部13は、所定の制御周期にて離散化された各時刻において、制御周期にて離散化されて逐次算出されるvα*及びiαに基づき、(vα*−Raiα)を算出する。制御周期にて離散化された時刻を、以下、特に離散化時刻とも呼ぶ。上述の時刻t1及びt2は離散化時刻である。そして例えば、離散化時刻t1におけるφαは、基準時刻t0の次の離散化時刻から離散化時刻t1までに算出した(vα*−Raiα)の値を積算し、その積算値にφα|t=0を加算することによって求められる。式(C−4)に従ってφβを算出する場合も同様である。
式(C−1)を用いる場合の具体的演算方法を詳説したが、式(C−2)を用いる場合も同様の演算が行われる(着目する座標軸がdq軸であるかαβ軸であるかが異なるだけである)。
[Testの第2算出方法]
次に、第1トルク推定方法の説明中に述べた式(A−1)及び(A−4)と共に式(A−6)を利用する場合を説明する。この場合、トルク推定部14は、式(C−6)に従ってTestを算出することができる。或いは、式(C−7)に従ってTestを算出することができる。
次に、第1トルク推定方法の説明中に述べた式(A−1)及び(A−4)と共に式(A−6)を利用する場合を説明する。この場合、トルク推定部14は、式(C−6)に従ってTestを算出することができる。或いは、式(C−7)に従ってTestを算出することができる。
式(C−6)又は式(C−7)におけるφd、φq、φα及びφβの具体的な演算方法は上述した通りである。
式(C−6)を用いる場合の具体的演算方法を説明する。この場合、トルク推定部14は、電機子鎖交磁束φのd軸成分とq軸成分を磁極位置θにて微分することによって、鎖交磁束の微分情報を算出する。この微分情報は、d軸成分(dφd/dθ)とq軸成分(dφq/dθ)を有するベクトル情報であり、この微分情報に従うベクトルを微分鎖交磁束ベクトルと呼ぶ。その後、この微分鎖交磁束ベクトルと電流ベクトルとを内積し、その内積値にPn×1/2を乗じたものが、式(C−6)の右辺第2項の値として求められる。
上述したように、モータ駆動システム内における各演算は、離散化された指令値及び状態量の瞬時値に基づいて行われる。従って、磁極位置θによる微分は、実際には、差分演算によって実行される。即ち、式(C−6)を用いる場合、磁束推定部13及び座標変換部21は、順次訪れる各離散化時刻において、最新のiα、iβ、vα*及びvβ*に基づきφα及びφβを求めると共にφd及びφqを求める。そして、時刻(離散化時刻)t1及びt2におけるφdが夫々φd1及びφd2であり且つ時刻t1及びt2におけるφqが夫々φq1及びφq2であり且つ時刻t1及びt2における推定磁極位置θが夫々θ1及びθ2であるとすると、トルク推定部14は、下記式(C−8)及び(C−9)に従って時刻t2における(dφd/dθ)及び(dφq/dθ)を算出する。
その後、式(C−8)及び(C−9)に従う(dφd/dθ)及び(dφq/dθ)と時刻t2におけるid及びiqとを用いて式(C−6)の右辺第2項部分を算出する一方で、時刻t2におけるid及びiq並びにφd及びφqを用いて式(C−6)の右辺第1項部分を算出し、算出した両者を加算することによって時刻t2におけるTestを求める。
尚、式(C−5)の説明においても述べたように、式(C−8)又は(C−9)における磁極位置の微小変化量(θ2−θ1)を、回転速度と微小時間dtとの積(ω12×dt)に置換しても良い。(θ2−θ1)及び(ω12×dt)の何れを用いた場合でも、磁極位置の微小変化量とφd及びφqの微小変化量との比から、鎖交磁束の微分情報が導出されることに変わりはない。上述の差分演算を利用する際、この微分情報を差分情報と呼ぶこともできる。上述の如く、この微分情報(又は差分情報)によって表される微分鎖交磁束ベクトルと電流ベクトルとの内積、及び、鎖交磁束ベクトルと電流ベクトルとの外積に基づいてTestを算出することができる。
式(C−6)を用いる場合の具体的演算方法を詳説したが、式(C−7)を用いる場合も同様の演算が行われる。
[Testの第3算出方法]
次に、第2トルク推定方法の説明中に述べた式(B−15)又は式(B−16)を利用する場合を説明する。この場合、トルク推定部14は、下記式(C−10)〜(C−15)の何れかに従ってTestを算出することができる。
次に、第2トルク推定方法の説明中に述べた式(B−15)又は式(B−16)を利用する場合を説明する。この場合、トルク推定部14は、下記式(C−10)〜(C−15)の何れかに従ってTestを算出することができる。
式(C−10)〜(C−15)におけるφd、φq、φα及びφβの具体的な演算方法は上述した通りである。式(C−10)〜(C−15)におけるωmは、位置/速度推定部15からのω及び関係式「ω=Pnωm」から算出される。或いは、ωはω*に追従するのであるから、「ω*=Pnωm」にて規定されるωmを式(C−10)〜(C−15)の算出に用いても良い。
式(C−10)〜(C−15)におけるivは、電源4から電圧変換回路2を介してモータ1に供給される入力電力であり、モータ電流iをベクトル表現した電流ベクトルとモータ電圧vをベクトル表現した電圧ベクトルとの内積によって算出される。実際には、iv=id・vd *+iq・vq *、又は、iv=iα・vα*+iβ・vβ*、又は、iv=iu・vu *+iv・vv *+iw・vw *、に従ってivが算出される。式(C−13)〜(C−15)におけるi2は、i2=id 2+iq 2、又は、i2=iα2+iβ2、又は、i2=iu 2+iv 2+iw 2、に従って算出される。
上述したように、或る時刻におけるTestは、その時刻で得られている最新の状態量及び指令値に基づいて算出される。従って例えば、式(C−10)を利用して時刻t1におけるTestを算出する場合は、その時刻t1において得られている最新のiα、iβ、vα*及びvβ*を用いてφα及びφβを求めると共にφd及びφqを求め、求めたφd及びφqと最新のid、iq、vd *、vq *及びωを用いることによって、時刻t1におけるTestを算出する。
尚、式(C−13)、(C−14)又は(C−15)の右辺第1項の分数において、分子は、入力電力ivから所謂銅損i2Raを差し引いたものとなっているが、銅損以外の損失(例えば、鉄損)を更に考慮するようにしてもよい。即ち例えば、式(C−13)、(C−14)又は(C−15)の右辺第1項の分数における分子を、(iv−i2Ra)から(iv−i2Ra−LOSS)に変更してもよい(後述の他の実施例においても同様)。ここで、LOSSは、銅損以外の損失を表す正の値である。LOSSを、予め設定された固定値とすることもできるし、回転速度(ω又はω*)などの関数とすることもできる。
<<第2実施例>>
次に、第2実施例を説明する。図11は、第2実施例に係るモータ駆動システムの詳細ブロック図である。図11のモータ駆動システムは、モータ1、電圧変換回路2及びモータ制御装置3aを備えると共に、電圧4及び電流センサ10を備えている。モータ1、電圧変換回路2、電圧4及び電流センサ10の機能及び構成は、第1実施例で述べたものと同じである。図11のモータ制御装置3aは、符号31〜41によって参照される各部位を備える。尚、第1実施例で定義した記号(例えば、vα*)は、第2実施例及び後述の他の実施例にも適用される。
次に、第2実施例を説明する。図11は、第2実施例に係るモータ駆動システムの詳細ブロック図である。図11のモータ駆動システムは、モータ1、電圧変換回路2及びモータ制御装置3aを備えると共に、電圧4及び電流センサ10を備えている。モータ1、電圧変換回路2、電圧4及び電流センサ10の機能及び構成は、第1実施例で述べたものと同じである。図11のモータ制御装置3aは、符号31〜41によって参照される各部位を備える。尚、第1実施例で定義した記号(例えば、vα*)は、第2実施例及び後述の他の実施例にも適用される。
モータ制御装置3a内の各部位は、モータ制御装置3a内で生成された各値を自由に利用可能である。図11のモータ駆動システムを形成する各部位は、所定の制御周期にて自身が算出(又は検出)して出力する指令値(ω*、T*、θS *、|φ*|、φα*、φβ*、vα*、vβ*、vu *、vv *及びvw *を含む)又は状態量(iu、iv、iα、iβ、φα、φβ、θS、ω及びTestを含む)を更新し、最新の指令値又は状態量に従って各値の演算を行う。
図11のモータ駆動システムでは、いわゆる直接トルク制御(Direct torque Control)によってモータ1が駆動制御される。直接トルク制御では、演算によって鎖交磁束及びトルクを推定し、それらの推定値がそれらの指令値に追従するように直接トルクが制御される。具体的に、図11の各部位の機能を説明する。
電流センサ10は、電圧変換回路2からモータ1に供給されるU相電流iu及びV相電流ivの電流値を表すアナログ信号を出力する。A/D変換器から成る電流検出部31は、電流センサ10の出力信号に基づいてU相電流iu及びV相電流ivの電流値を検出する。W相電流iwの電流値は、検出されたiu及びivの電流値を用い、関係式「iw=−iu−iv」に従って算出される。
3相/2相変換部32は、U相電流値iu及びV相電流値ivをαβ軸上に座標変換することにより、α軸電流値iα及びβ軸電流値iβを算出及び出力する。
磁束推定部33は、3相/2相変換部32から与えられるα軸電流値iα及びβ軸電流値iβと磁束制御部40から与えられるα軸電圧指令値vα*及びβ軸電圧指令値vβ*に基づいて、α軸磁束φα及びβ軸磁束φβを推定する。φα及びφβは、上記式(C−3)及び(C−4)を用い、第1実施例で述べた方法にて算出される。磁束推定部33は、更に、自身が算出したφα及びφβに基づき、下記式(D−1)に従って鎖交磁束ベクトルの位相θSを算出する。図12に示す空間ベクトル図において、符号351が付されたベクトルが、φα及びφβを直交2軸成分として有する鎖交磁束ベクトルである。位相θSは、電気角における位相であって、α軸(U相軸)から見た鎖交磁束ベクトルの位相である。
トルク推定部34は、第1実施例で述べた方法を用いてモータ1にて発生しているトルクを推定し、推定トルクをTestとして出力する。例えば、磁束推定部33にて算出されたφα及びφβと3相/2相変換部32にて算出されたiα及びiβを含む、モータ制御装置3a内で算出された値に基づき、上記式(C−2)、(C−7)、(C−11)又は(C−14)に従って、推定トルクTestを算出する。それらの式に従う推定トルクTestの具体的な演算方法は、第1実施例で述べた通りである。
但し、式(C−2)及び(C−7)を用いる際、第2実施例では“θ”の代わりに“θS”が用いられる。上述したように、θSは、電機子鎖交磁束φをベクトル表現した鎖交磁束ベクトルの位相である(図12参照)。一方で、電機子鎖交磁束φは、永久磁石1mによる界磁磁束(図12のφaに対応)とモータ電流iによる電機子反作用磁束(図12のLiに相当;Lは電機子巻線のインダクタンスを表す)との合成磁束である。従って、θSはθに同期して変化し、単位時間当たりにおけるθの変化量とθSの変化量は同じであるとみなせる。故に、式(C−2)及び(C−7)の微分演算(差分演算)において、“θ”の代わりに“θS”を用いることができる。また、第1実施例で上述したように、微小時間dt中における位相θSの変化量(即ちdθS)の代わりに、回転速度(ω又はω*)と微小時間dtとの積(上述の、(ω12×dt))を用いて式(C−2)及び(C−7)の微分演算(差分演算)を行っても良い。尚、式(C−11)及び(C−14)におけるωmは、微分部35からのωと関係式「ω=Pnωm」から算出される。
微分部35は、位相θSを時間にて微分することにより回転速度ωを算出する。図示されない速度指令作成部は、モータ1の回転子を所望の回転速度(電気角速度)にて回転させるための回転速度指令値ω*を作成する。速度制御部36は、比例積分制御などを用いることによって、回転速度指令値ω*と微分部35にて算出された回転速度ωとの差(ω*−ω)がゼロに収束するようにトルク指令値T*を算出及び出力する。
トルク制御部37は、トルク指令値T*と推定トルクTestとの差ΔT(=T*−Test)を算出し、ΔTをゼロに収束させるための比例積分制御を行うことによりΔTに応じた位相補正量ΔθSを算出する。加算部38は、この位相補正量ΔθSと磁束推定部33によって算出された位相θSとの和(ΔθS+θS)を求め、得られた和を位相指令値θS *(=(ΔθS+θS))として出力する。
直接トルク制御ではトルク指令値T*と同時に鎖交磁束の振幅に対する指令値を与える必要がある。この振幅に対する指令値を|φ*|にて表す。|φ*|は、φα及びφβから形成される鎖交磁束ベクトルの大きさ(即ち、電機子鎖交磁束φの振幅)の目標値を表す。|φ*|は、例えば、トルク指令値T*又は回転速度ωの関数とされる。従って、例えば、|φ*|とT*又はωとの関係を表すテーブルデータを予めモータ制御装置3a内に格納しておき、速度制御部36又は微分部35から出力されるT*又はωに基づき、そのテーブルデータに従って|φ*|を求めることができる。
ベクトル生成部39は、|φ*|と位相指令値θS *に基づき、下記式(D−2)及び(D−3)に従ってα軸磁束指令値φα*及びβ軸磁束指令値φβ*を算出する。φα*は、α軸磁束φαが追従すべき、φαの目標値を表す。φβ*は、β軸磁束φβが追従すべき、φβの目標値を表す。
磁束制御部40は、ベクトル生成部39及び磁束推定部33からのφα*、φβ*、φα及びφβに基づき、(φα*−φα)及び(φβ*−φβ)が共にゼロに収束するようにα軸電圧指令値vα*及びβ軸電圧指令値vβ*を算出する。この算出に当たり、3相/2相変換部32からのiα及びiβも参照される(但し、iα及びiβが磁束制御部40に与えられる様子は不図示)。
2相/3相変換部41は、αβ軸上の電圧指令値であるvα*及びvβ*を三相の固定座標軸上に座標変換することにより、三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)を算出する。電圧変換回路2は、この三相電圧指令値に従って電源4からの直流電圧を、U相電圧vu、V相電圧vv及びW相電圧vwから成る三相交流電圧に変換する。この三相交流電圧に応じた電流が電機子巻線に供給されてモータ1が駆動される。
本実施例のようにモータ駆動システムを構成しても、第1実施例と同様の効果を得ることができる。更に、ベクトル制御との比較において、直接トルク制御の採用に由来する追加的効果が見込める。つまり、直接トルク制御を用いているため、磁極位置情報が不要となると共に、制御にインダクタンスなどのモータパラメータが不要となる。また、トルク指令に対する応答性向上が見込める。また、直接トルクを制御するためトルク変動の更なる抑制効果も見込める。
<<第3実施例>>
次に、第3実施例を説明する。図13は、第3実施例に係る発電システムの詳細ブロック図である。図13の発電システムは、発電機1b、電圧変換回路2b及び発電機制御装置3bを備えると共に、電圧出力部4b及び電流センサ10を備えている。
次に、第3実施例を説明する。図13は、第3実施例に係る発電システムの詳細ブロック図である。図13の発電システムは、発電機1b、電圧変換回路2b及び発電機制御装置3bを備えると共に、電圧出力部4b及び電流センサ10を備えている。
発電機1bは、三相永久磁石同期発電機であり、例えば、埋込磁石同期発電機(interior permanent magnet synchronous generator)である。発電機1bは、永久磁石を備えた回転子とU相、V相及びW相の電機子巻線を備えた固定子とから成り、モータ1と同等の構成を有する。
図10(又は図11)のモータ駆動システムでは、電源4から供給された電力がモータ1にてトルク(回転力)に変換されるのに対し、図13(又は後述の図14)の発電システムでは、発電機1bにて発生したトルクが電力に変換される。このように、電力をトルクに変換するのか、トルクを電力に変換するのかが異なるだけで、その他の点において、図10のモータ駆動システムと図13の発電システムは同様の構成及び機能を有する。このため、モータ1及びモータ駆動システムに対して説明した事項(用語及び記号に対する定義等を含む)は、矛盾無き限り、全て、図13(及び後述の図14)の発電システムに対しても適用される。
但し、モータ駆動システムにおけるモータの代わりに発電システムでは発電機が設けられているため、モータ及びモータ駆動システムに対して説明した事項を第3実施例(及び後述の第4実施例)に適用する場合、用語の相違(モータという用語と発電機という用語との相違)に由来する読み替えがなされるべきである、即ち、この適用の際、まず、上述の説明事項中の「モータ」を「発電機」に読み替えるべきであり、モータに関して述べた用語(永久磁石、電機子巻線及び極対数や、各種の状態量及び指令値などを含む)を、第3実施例(及び後述の第4実施例)では発電機に対して述べた用語と解釈すべきである。
従って例えば、第3実施例(及び後述の第4実施例)では、
vは、発電機1bにおけるU相、V相及びW相の電機子巻線に加わるU相電圧vu、V相電圧vv及びW相電圧vwの合成電圧に相当する、発電機電圧を表し、
iは、発電機1bにおけるU相、V相及びW相の電機子巻線に流れるU相電流iu、V相電流iv及びW相電流iwの合成電流に相当する、発電機電流(発電機の電機子電流)を表し、
φは、発電機1bにおけるU相、V相及びW相の電機子巻線の鎖交磁束を合成したものを表す。勿論例えば、発電機電圧vのd軸成分、q軸成分、α軸成分、β軸成分は、夫々、vd、vq、vα及びvβにて表される。また、第3実施例(及び後述の第4実施例)では、
d軸は、発電機1bの回転子に設けられた永久磁石の磁束の方向を向く回転軸であり、
θは、発電機1bにとってのd軸の、U相軸から見た角度(電気角)を表し、
ωは、発電機1bにとってのd軸の回転速度(電気角における角速度)を表す。
vは、発電機1bにおけるU相、V相及びW相の電機子巻線に加わるU相電圧vu、V相電圧vv及びW相電圧vwの合成電圧に相当する、発電機電圧を表し、
iは、発電機1bにおけるU相、V相及びW相の電機子巻線に流れるU相電流iu、V相電流iv及びW相電流iwの合成電流に相当する、発電機電流(発電機の電機子電流)を表し、
φは、発電機1bにおけるU相、V相及びW相の電機子巻線の鎖交磁束を合成したものを表す。勿論例えば、発電機電圧vのd軸成分、q軸成分、α軸成分、β軸成分は、夫々、vd、vq、vα及びvβにて表される。また、第3実施例(及び後述の第4実施例)では、
d軸は、発電機1bの回転子に設けられた永久磁石の磁束の方向を向く回転軸であり、
θは、発電機1bにとってのd軸の、U相軸から見た角度(電気角)を表し、
ωは、発電機1bにとってのd軸の回転速度(電気角における角速度)を表す。
発電機1bは、例えば、ギアを介して風車に接続される。そして、風力によって風車が回転する力がギアを介して発電機1bの回転子に伝達され、回転子にトルクが発生して回転子が回転する。この回転子の回転により発電機1b内に生じた誘起電圧は、vu、vv及びvwから成る三相交流電圧として電圧変換回路2bに伝達される。電圧変換回路2bは、例えばPWM(Pulse Width Modulation)コンバータであり、この三相交流電圧を形成するvu、vv及びvwの電圧値が夫々2相/3相変換部19(又は図14に対応する第4実施例においては2相/3相変換部41)から与えられたvu *、vv *及びvw *に合致するようにパルス幅変調を行いつつ、該三相交流電圧を直流電圧に変換する。この直流電圧及び該直流電圧による電力は、電圧出力部4bから出力される。このように、電圧出力部4bから出力される電力は、発電機1bにて発電された電力に基づくものである。
図13の発電システムでは、発電機電流iが励磁電流成分であるd軸電流idとトルク電流成分であるq軸電流iqとに分解され、それらが電流指令値に追従するようにベクトル制御がなされる。発電機制御装置3bは、符号11〜22によって参照される各部位を備える。発電機制御装置3b内の各部位の構成及び機能と図10のモータ制御装置3内の各部位の構成及び機能は同じであり、発電システムにおける電流センサ10は図10のそれと同じものである。
即ち、電流センサ10は、発電機1bと電圧変換回路2bとの間に流れるU相電流iu及びV相電流ivの電流値を表すアナログ信号を出力する。電流検出部11は、電流センサ10の出力信号に基づいてU相電流iu及びV相電流ivの電流値を検出する。W相電流iwの電流値は、検出されたiu及びivの電流値を用い、関係式「iw=−iu−iv」に従って算出される。3相/2相変換部12は推定磁極位置θに基づいてiu及びivからid及びidを算出する。このid及びidは、座標変換部20によってiα及びiβに変換される。位置/速度推定部15は、例えば、vd *、vq *、id及びiqの全部又は一部を用いて推定回転速度ω及び推定磁極位置θを算出する。
磁束推定部13は、座標変換部20からのiα及びiβと座標変換部22からのvα*及びvβ*に基づいてφα及びφβを推定する。このφα及びφβは、座標変換部21によってφd及びφqに変換される。トルク推定部14は、発電機制御装置3b内で算出された値を含む推定用情報に基づいて、発電機1bにて発生するトルクを推定する(即ち、推定トルクTestを算出する)。推定トルクTestの算出方法は、第1実施例で述べたものと同じである。尚、発電システムにおいて、式(C−10)等におけるivは、回転子の回転による発電機1bの発電電力を表す。
図示されない速度指令作成部は、発電機1bの回転子を所望の回転速度(電気角速度)にて回転させるための回転速度指令値ω*を作成する。所望の回転速度は、例えば、なるだけ大きな電力が発電機1bから引き出されるように設定される。速度制御部16は、速度偏差(ω*−ω)がゼロに収束するようにT*を算出し、トルク制御部17は、トルク誤差(T*−Test)がゼロに収束するようにid *及びiq *を算出する。尚、図10のモータ駆動システムと図13の発電システムとの間で、電流の極性(電流の流れる方向)が異なるため、図10のモータ駆動システムではiq *≧0とされるのに対し、図13の発電システムではiq *≦0とされる。
電流制御部18は、比例積分制御などを用いた電流フィードバック制御によって、(id *−id)及び(iq *−iq)が共にゼロに収束するようにvd *及びvq *を算出する。このvd *及びvq *は、推定磁極位置θを基づき、座標変換部22によってvα*及びvβ*に変換されると共に2相/3相変換部19によって三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)に変換される。2相/3相変換部19からの三相電圧指令値は電圧変換回路2bに与えられる。
このように発電システムを構成することにより、トルク変動成分をも考慮した発生トルクの瞬時値を正確に推定することができる。図13の発電システムでは、正確に推定されたトルクTestがトルク指令値T*に追従するようにベクトル制御がなされるため、トルク指令値T*を基準として、発電機1bの発生トルクの変動が抑制される。また、トルク推定の正確性が向上することにより、発電機に対する制御が理想的なもの近づく。また、発電機1bの発生トルクの変動が抑制される結果、その変動に由来する振動及び騒音を低減することができる。
<<第4実施例>>
次に、第4実施例を説明する。図14は、第4実施例に係る発電システムの詳細ブロック図である。図14の発電システムは、発電機1b、電圧変換回路2b及び発電機制御装置3cを備えると共に、電圧出力部4b及び電流センサ10を備えている。即ち、図14の発電システムは、図13の発電システムにおける発電機制御装置3bを発電機制御装置3cに置き換えることによって形成される。
次に、第4実施例を説明する。図14は、第4実施例に係る発電システムの詳細ブロック図である。図14の発電システムは、発電機1b、電圧変換回路2b及び発電機制御装置3cを備えると共に、電圧出力部4b及び電流センサ10を備えている。即ち、図14の発電システムは、図13の発電システムにおける発電機制御装置3bを発電機制御装置3cに置き換えることによって形成される。
電力をトルクに変換するのか、トルクを電力に変換するのかが異なるだけで、その他の点において、図11のモータ駆動システムと図14の発電システムは同様の構成及び機能を有する。図14の発電システムでは、図11のモータ駆動システムにおいてなされる直接トルク制御と同様の、発電機1bに対する直接トルク制御が実施される。発電機制御装置3cは、符号31〜41によって参照される各部位を備える。発電機制御装置3c内の各部位の構成及び機能と図11のモータ制御装置3a内の各部位の構成及び機能は同じであり、発電システムにおける電流センサ10は図11のそれと同じものである。
即ち、電流センサ10及び電流検出部31によって検出された、発電機1bと電圧変換回路2bとの間に流れるiu及びivの電流値は、3相/2相変換部32によってiα及びiβの電流値に変換され、そのiα及びiβ並びに磁束制御部40からのvα*及びvβ*に基づきφα及びφβが推定されると共にθSが算出される。トルク推定部34は、発電機制御装置3b内で算出された値を含む推定用情報に基づいて、発電機1bにて発生するトルクを推定する(即ち、推定トルクTestを算出する)。推定トルクTestの算出方法は、第2実施例で述べたものと同じである。
一方で、ω*とθSから得たωとの誤差がゼロに収束するようにトルク指令値T*が導出され、トルク制御部37、加算部38及びベクトル生成部39によって、トルク誤差(T*−Test)をゼロに収束させるための、鎖交磁束ベクトルに対する指令値(即ち、φα*及びφα*)が算出される。そして、その指定値に推定鎖交磁束が追従するように(即ち、(φα*−φα)及び(φβ*−φβ)が共にゼロに収束するように)、vd *及びvq *の算出を介して三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)が決定される。この三相電圧指令値は、2相/3相変換部41から電圧変換回路2bに与えられる。
図14のように発電システムを構成しても、第3実施例と同等の効果が得られる。更に、第2実施例で述べたように、直接トルク制御の採用に由来する追加的効果も見込める。
<<変形等>>
上述の実施形態の変形例または注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈7を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
上述の実施形態の変形例または注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈7を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
ベクトル制御を行う上述のモータ駆動システム又は発電システムでは、dq軸が推定されている。即ち、U相軸を基準としたd軸の位相(即ち、θ)を推定され、d軸電流及びq軸電流が夫々d軸電流指令値及びq軸電流指令値に追従するようにフィードバック制御がなされる。しかしながら、推定される軸はdq軸と異なっていてもよい。例えば、特開2007−259686号公報に記載されているようなdm軸及びqm軸を定義して、その公報に記載されている方法に従って、モータ電流(又は発電機電流)iをdm軸成分及びqm軸成分に分解し、その分解によって得られた各成分をそれらの指令値に追従させるベクトル制御を実行することも可能である。
ベクトル制御を行う上述のモータ駆動システム又は発電システムでは、dq軸が推定されている。即ち、U相軸を基準としたd軸の位相(即ち、θ)を推定され、d軸電流及びq軸電流が夫々d軸電流指令値及びq軸電流指令値に追従するようにフィードバック制御がなされる。しかしながら、推定される軸はdq軸と異なっていてもよい。例えば、特開2007−259686号公報に記載されているようなdm軸及びqm軸を定義して、その公報に記載されている方法に従って、モータ電流(又は発電機電流)iをdm軸成分及びqm軸成分に分解し、その分解によって得られた各成分をそれらの指令値に追従させるベクトル制御を実行することも可能である。
この場合、上述してきたd軸及びq軸に関する値を夫々dm軸及びqm軸に関する値に読み替えるとよい(例えば、モータ電流iのd軸成分であるd軸電流idを、モータ電流iのdm軸成分であるdm軸電流idmに読み替える)。dm軸は、qm軸から電気角で90度遅れた軸である。qm軸とは、最大トルク制御(又は最大効率制御など)を実現する際における電流ベクトルの向きと向きが一致する回転軸である。
[注釈2]
上述のモータ駆動システム及び発電システムでは、回転速度ω及び磁極位置θを推定によって導出しているが、磁極位置θに応じた信号を出力する磁極位置センサ(ホール素子、レゾルバ等)の出力信号に基づいて、それらを導出するようにしてもよい。
上述のモータ駆動システム及び発電システムでは、回転速度ω及び磁極位置θを推定によって導出しているが、磁極位置θに応じた信号を出力する磁極位置センサ(ホール素子、レゾルバ等)の出力信号に基づいて、それらを導出するようにしてもよい。
[注釈3]
上述のモータ駆動システム及び発電システムでは、電流センサ10を用いてU相電流iu及びV相電流ivを直接検出するようにしているが、電圧変換回路2と電源4との間に流れる直流電流又は電圧変換回路2bと電圧出力部4bとの間に流れる直流電流に基づいて、それらを検出するようにしてもよい。
上述のモータ駆動システム及び発電システムでは、電流センサ10を用いてU相電流iu及びV相電流ivを直接検出するようにしているが、電圧変換回路2と電源4との間に流れる直流電流又は電圧変換回路2bと電圧出力部4bとの間に流れる直流電流に基づいて、それらを検出するようにしてもよい。
[注釈4]
上述の各種の指令値(id *、iq *など)や状態量(id、iqなど)を含む、導出されるべき全ての値の導出手法は任意である。即ち、例えば、それらを、モータ制御装置又は発電機制御装置内での演算によって導出するようにしてもよいし、予め設定しておいたテーブルデータから導出するようにしてもよい。
上述の各種の指令値(id *、iq *など)や状態量(id、iqなど)を含む、導出されるべき全ての値の導出手法は任意である。即ち、例えば、それらを、モータ制御装置又は発電機制御装置内での演算によって導出するようにしてもよいし、予め設定しておいたテーブルデータから導出するようにしてもよい。
[注釈5]
モータ制御装置(又は発電機制御装置)の機能の一部または全部は、例えば汎用マイクロコンピュータ等に組み込まれたソフトウェア(プログラム)を用いて実現される。ソフトウェアを用いてモータ制御装置(又は発電機制御装置)を実現する場合、モータ制御装置(又は発電機制御装置)の各部の構成を示すブロック図は機能ブロック図を表すこととなる。勿論、ソフトウェア(プログラム)ではなく、ハードウェアのみによって、或いは、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって、モータ制御装置(又は発電機制御装置)を形成することも可能である。
モータ制御装置(又は発電機制御装置)の機能の一部または全部は、例えば汎用マイクロコンピュータ等に組み込まれたソフトウェア(プログラム)を用いて実現される。ソフトウェアを用いてモータ制御装置(又は発電機制御装置)を実現する場合、モータ制御装置(又は発電機制御装置)の各部の構成を示すブロック図は機能ブロック図を表すこととなる。勿論、ソフトウェア(プログラム)ではなく、ハードウェアのみによって、或いは、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって、モータ制御装置(又は発電機制御装置)を形成することも可能である。
[注釈6]
モータ及び発電機の夫々は、回転機の一種である。故に、モータ制御装置及び発電機制御装置の夫々を、回転機制御装置と呼ぶこともできる。
モータ及び発電機の夫々は、回転機の一種である。故に、モータ制御装置及び発電機制御装置の夫々を、回転機制御装置と呼ぶこともできる。
[注釈7]
本明細書及び図面において下記の点に留意すべきである。図面において、所謂下付き文字として表現されているギリシャ文字(αなど)は、明細書において、下付き文字でない標準文字として表記されうる。このギリシャ文字における下付き文字と標準文字との相違は無視されるべきである。
本明細書及び図面において下記の点に留意すべきである。図面において、所謂下付き文字として表現されているギリシャ文字(αなど)は、明細書において、下付き文字でない標準文字として表記されうる。このギリシャ文字における下付き文字と標準文字との相違は無視されるべきである。
1 モータ
1b 発電機
2、2b 電圧変換回路
3、3a モータ制御装置
3b、3c 発電機制御装置
4 電源
4b 電圧出力部
10 電流センサ
13、33 磁束推定部
14、34 トルク推定部
1b 発電機
2、2b 電圧変換回路
3、3a モータ制御装置
3b、3c 発電機制御装置
4 電源
4b 電圧出力部
10 電流センサ
13、33 磁束推定部
14、34 トルク推定部
Claims (8)
- 電機子巻線を有する固定子及び永久磁石を有する回転子を備えたモータを制御するモータ制御装置において、
前記電機子巻線の鎖交磁束及び前記電機子巻線に流れる電機子電流に基づいて、モータにて発生するトルクを推定するトルク推定手段を備え、推定トルクに基づいて前記モータの制御を実行し、
前記トルク推定手段は、前記鎖交磁束をベクトル表現した鎖交磁束ベクトルと前記電機子電流をベクトル表現した電流ベクトルとの外積、及び、前記鎖交磁束ベクトル又は前記鎖交磁束ベクトルに応じたベクトルと前記電流ベクトルとの内積、に基づいて前記トルクを推定する
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 前記内積は、前記鎖交磁束ベクトルと前記電流ベクトルとの内積であり、
前記トルク推定手段は、前記外積と、単位時間当たりの前記回転子の磁極位置の変化量に対する前記内積の変化量と、に基づいて前記トルクを推定する
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。 - 前記トルク推定手段は、単位時間当たりの前記回転子の磁極位置の変化量に対する前記鎖交磁束の変化量を表す、前記鎖交磁束の微分情報又は差分情報を導出し、
前記微分情報又は差分情報のベクトルが前記鎖交磁束ベクトルに応じたベクトルであり、
前記内積は、前記鎖交磁束ベクトルに応じたベクトルと前記電流ベクトルとの内積である
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。 - 電機子巻線を有する固定子及び永久磁石を有する回転子を備えたモータを制御するモータ制御装置において、
前記回転子を駆動するための前記モータへの入力電力、前記回転子の回転速度、及び、前記電機子巻線の鎖交磁束をベクトル表現した鎖交磁束ベクトルと前記電機子巻線に流れる電機子電流をベクトル表現した電流ベクトルとの外積に基づいて、モータにて発生するトルクを推定するトルク推定手段を備え、
推定トルクに基づいて前記モータを制御する
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 前記トルク推定手段は、
前記入力電力を前記回転速度にて割ることによって、又は、前記入力電力から前記電機子巻線での損失を含む損失電力を差し引いた電力を前記回転速度にて割ることによって得た値と、
前記外積に比例する値と、の和から前記トルクを推定する
ことを特徴とする請求項4に記載のモータ制御装置。 - 推定トルクに基づき、前記モータにて実際に発生するトルクをベクトル制御又は直接トルク制御によって制御する
ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のモータ制御装置。 - 電機子巻線を有する固定子及び永久磁石を有する回転子を備えた発電機を制御する発電機制御装置において、
前記電機子巻線の鎖交磁束及び前記電機子巻線に流れる電機子電流に基づいて、発電機にて発生するトルクを推定するトルク推定手段を備え、推定トルクに基づいて前記発電機の制御を実行し、
前記トルク推定手段は、前記鎖交磁束をベクトル表現した鎖交磁束ベクトルと前記電機子電流をベクトル表現した電流ベクトルとの外積、及び、前記鎖交磁束ベクトル又は前記鎖交磁束ベクトルに応じたベクトルと前記電流ベクトルとの内積、に基づいて前記トルクを推定する
ことを特徴とする発電機制御装置。 - 電機子巻線を有する固定子及び永久磁石を有する回転子を備えた発電機を制御する発電機制御装置において、
前記回転子の回転による前記発電機の発電電力、前記回転子の回転速度、及び、前記電機子巻線の鎖交磁束をベクトル表現した鎖交磁束ベクトルと前記電機子巻線に流れる電機子電流をベクトル表現した電流ベクトルとの外積に基づいて、前記発電機にて発生するトルクを推定するトルク推定手段を備え、
推定トルクに基づいて前記発電機を制御する
ことを特徴とする発電機制御装置。
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JP2008115221A JP2009268268A (ja) | 2008-04-25 | 2008-04-25 | モータ制御装置及び発電機制御装置 |
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JP2008115221A Pending JP2009268268A (ja) | 2008-04-25 | 2008-04-25 | モータ制御装置及び発電機制御装置 |
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- 2008-04-25 JP JP2008115221A patent/JP2009268268A/ja active Pending
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