WO2016189671A1 - モータ制御装置及びその停止方法 - Google Patents
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- H02P3/06—Arrangements for stopping or slowing electric motors, generators, or dynamo-electric converters for stopping or slowing an individual dynamo-electric motor or dynamo-electric converter
Definitions
- the current controller 2 constitutes a current control unit that controls the current supplied from the PWM voltage inverter 5 to each phase of the motor 8 based on the torque command value T * and the magnetic force command values i dm * and i qm *. To do.
- the current controller 2 executes a current vector control calculation based on the d-axis current command value i d * and the q-axis current command value i q * from the adders 21 and 22, thereby providing a d-axis voltage command value v d. * And q-axis voltage command value v q * are output.
- the duty command value calculator 4 may correct the three-phase duty command values D u * , D v *, and D w * in accordance with the DC voltage value of the power source 6.
- the duty command value calculator 4 outputs the three-phase duty command values D u * , D v *, and D w * to the PWM voltage inverter 5 via the switching processing unit 32.
- the PWM voltage inverter 5 includes a PWM signal generation unit that generates a three-phase pulse signal based on the three-phase duty command values D u * , D v *, and D w * , and each phase of the motor 8. And an inverter unit having a pair of switching elements corresponding to the above.
- the magnet magnetic flux controller 20 controls the magnetic flux density of the permanent magnet provided in the rotor of the motor 8.
- the magnet magnetic flux controller 20 outputs a magnetic force command value for changing the magnetic flux density of the permanent magnet of the motor 8 to the current controller 2 in a pulsed manner in accordance with the operation state such as the rotational speed and torque of the motor 8. That is, the magnet magnetic flux controller 20 constitutes a setting unit that sets a magnetic force command value for increasing or decreasing the magnetic force of the permanent magnet.
- Switching processor 32 receives the demagnetization process execution signal for executing demagnetization process from the stop controller 30, duty command value for three phases from the Duty command value calculator 4 D u *, D v * and All D w * are switched to the demagnetization command value D rm * .
- the phases of the PWM voltages v u , v v, and v w of the phases supplied to the motor 8 coincide with each other. Therefore, each phase of the motor 8 includes a negative d-axis that demagnetizes the permanent magnet of the rotor. A current flows through the winding of the motor 8.
- one path from among the magnetization path c1 ⁇ c4 is selected by the height i d of the pulse of the d-axis current.
- the d-axis current command value i dm * is set by the magnetic flux controller 20 so that the magnetic field generated by the d-axis current i d of the winding 82 becomes the first magnetizing magnetic field H i1.
- the first magnetization path c1 is selected. Thereafter, the first magnetization path c1 selected, the magnetic flux density of the permanent magnet 85 (T) will vary depending on the negative d-axis current i d by field weakening control is performed by the vector controller 1.
- FIG. 6 is a time chart showing PWM voltages v u , v v and v w of each phase when the three-phase duty command values D u * , D v * and D w * are both set to 50%. .
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Abstract
永久磁石の磁力を変更可能なモータを制御するモータ制御装置は、モータに交流電力を供給するインバータの動作を制御する制御部と、インバータによる電力供給を停止する停止信号を受けた場合には、永久磁石の磁力を減少させる減磁処理を実行してインバータを停止する停止制御部と、を含む。
Description
この発明は、回転子に備えられた永久磁石の磁力を変更可能なモータを制御するモータ制御装置及びその停止方法に関する。
JP2006-280195Aには、巻線を設けた固定子と、その巻線の電流で作る磁界によって不可逆的に磁束密度が変化する低保磁力の永久磁石を配置した回転子とから構成されるモータが開示されている。
上述のような低保磁力の永久磁石を備えたモータでは、リアクタンストルクの利用可能範囲が狭くなるため、磁石トルクを大きくすることが必要となる。磁石トルクを大きくすると、低保磁力の永久磁石よりも保磁力が大きい永久磁石を備えたモータに比べて、逆起電力定数が大きくなり、モータの高回転時の誘起電圧が大きくなる。これに対しては、永久磁石の磁束を弱めるための弱め界磁制御を実行して、モータに交流電力を供給するインバータの素子をスイッチング動作させることにより、モータで生じる誘起電圧の上昇が抑制される。
しかしながら、モータの温度上昇や、インバータに接続された電池の電力不足などが原因で、インバータによるモータへの電力供給を停止することが必要となる場合には、インバータの素子が全て停止されるため、弱め界磁制御が行えなくなる。このような場合には、モータの誘起電圧がインバータの素子の耐電圧を超える可能性があるという懸念がある。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、インバータに備えられた素子の耐電圧をモータで生じる誘起電圧が超えることを回避するモータ制御装置及びその停止方法を提供することを目的とする。
本発明のある態様によれば、永久磁石の磁力を変更可能なモータを制御するモータ制御装置は、前記モータに交流電力を供給するインバータの動作を制御する制御部を含む。さらにモータ制御装置は、前記インバータによる電力供給を停止する停止信号を受けた場合には、前記永久磁石の磁力を減少させる減磁処理を実行して前記インバータを停止する停止制御部を含む。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態におけるモータ制御装置の構成例を示すブロック図である。
図1は、本発明の第1実施形態におけるモータ制御装置の構成例を示すブロック図である。
モータ制御装置100は、モータ8を駆動する制御装置であり、例えば、ハイブリッド自動車や電動自動車などに搭載される。本実施形態では、モータ制御装置100は、モータ8に供給される交流電流をフィードバック制御する。
モータ制御装置100は、ベクトル制御器1と、電流制御器2と、dq軸/uvw相変換器3と、Duty指令値演算器4と、PWM(Pulse Width Modulation)電圧インバータ5と、電源6と、電流検出器7u、7v及び7wとを含む。モータ制御装置100は、回転子位置検出器9と、uvw相/dq軸変換器10と、回転速度演算器11と、磁石磁束制御器20と、加算器21及び22と、磁石磁束制御器20と、減磁指令値演算器31と、切替処理部32とを含む。
電源6は、モータ8に供給される電力を出力する。電源6は、バッテリや燃料電池などにより構成される。バッテリとしては、例えば、リチウムイオン電池が用いられる。
モータ8は、巻線を設けた固定子と、永久磁石を埋め込んだ回転子とにより構成される可変磁力モータである。回転子に埋め込まれた永久磁石の磁力は、モータ8が回転動作しているときに巻線の電流で作成された磁界によって変化する。すなわち、永久磁石は、モータ8の巻線に流れる電流によって磁化(着磁)されるものである。また、モータ8の永久磁石の保磁力は、一般的なiPM(interior Permanent Magnet)モータで用いられる永久磁石の保磁力よりも低い。
本実施形態では、モータ8は、U相、V相及びW相の各巻線に交流電流を供給することによって駆動する。モータ8には、回転子位置検出器9が設けられている。
回転子位置検出器9は、モータ8の回転子の位置を所定の周期で検出して回転子の電気角θを算出する。回転子位置検出器9は、例えば、レゾルバにより構成される。回転子位置検出器9は、算出した回転子の電気角θを、dq軸/uvw相変換器3とuvw相/dq軸変換器10と回転速度演算器11とにそれぞれ出力する。
回転速度演算器11は、回転子位置検出器9から出力される電気角検θに基づいて、今回の電気角θと前回の電気角との差分、すなわち単位時間あたりの電気角θの変化量を算出する。回転速度演算器11は、その電気角θの変化量からモータ8の回転速度Nを算出し、その回転速度Nを、磁石磁束制御器20とベクトル制御器1とに出力する。
ベクトル制御器1は、モータ8に交流電力を供給するPWM電圧インバータ5の動作を制御する制御部を構成する。
ベクトル制御器1は、不図示のコントローラから、モータ8の駆動力を決定するトルク指令値T*を取得する。不図示のコントローラにおいては、車両の運転状態に応じてトルク指令値T*が算出される。例えば、車両に設けられたアクセルペダルの踏込み量が大きくなるほど、ベクトル制御器1に出力されるトルク指令値T*は大きくなる。
ベクトル制御器1は、モータ8のトルク指令値T*と、回転速度演算器11により算出された回転速度ωとに基づいて、モータ8に供給される電流ベクトルを表わすd軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*を演算する。以下では、モータ8に供給される電流のd軸成分及びq軸成分を、それぞれd軸電流及びq軸電流という。また、ベクトル制御器1は、モータ8の高速運転時に巻線に生じる誘起電圧を抑えるために、モータ8の巻線にd軸電流を供給するための弱め界磁制御(弱め磁束制御)を実行する。
本実施形態では、モータ8のトルク指令値T*及び回転速度ωで特定される運転点ごとに、d軸電流指令値及びq軸電流指令値を互いに対応付けたベクトル制御マップがベクトル制御器1に予め記憶される。このベクトル制御マップは、実験データなどにより適宜設定される。
そして、ベクトル制御器1は、モータ8のトルク指令値T*と回転速度ωとを取得すると、ベクトル制御マップを参照し、トルク指令値T*及び回転速度ωで特定された運転点に対応付けられたd軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*を算出する。ベクトル制御器1は、d軸電流指令値id
*を加算器21に出力し、q軸電流指令値iq
*を加算器22に出力する。
加算器21は、ベクトル制御器1から出力されるd軸電流指令値id
*と、モータ8に備えられた永久磁石の磁力を変更するd軸磁力指令値idm
*とを加算した値を、新たなd軸電流指令値id
*として電流制御器2に出力する。
加算器22は、ベクトル制御器1から出力されるq軸電圧指令値iq
*と、モータ8に備えられた永久磁石の磁力を変更するq軸磁力指令値iqm
*とを加算した値を、新たなq軸電流指令値iq
*として電流制御器2に出力する。
電流制御器2は、トルク指令値T*と磁力指令値idm
*及びiqm
*とに基づいて、PWM電圧インバータ5からモータ8の各相に供給される電流を制御する電流制御部を構成する。電流制御器2は、加算器21及び22からのd軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*に基づいて電流ベクトル制御演算を実行することにより、d軸電圧指令値vd
*及びq軸電圧指令値vq
*を出力する。
電流制御器2は、モータ8に供給される三相の交流電流をdq軸座標へ変換したd軸電流検出値id及びq軸電流検出値iqがそれぞれd軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*に収束するように、d軸電圧指令値vd
*及びq軸電圧指令値vq
*を算出する。電流制御器2は、算出したd軸電圧指令値vd
*及びq軸電圧指令値vq
*をdq軸/uvw相変換器3に出力する。
dq軸/uvw相変換器3は、次式(1)のように、回転子位置検出器9からの電気角θに基づいて、d軸電圧指令値vd
*及びq軸電圧指令値vq
*を、三相の電圧指令値であるU相電圧指令値vu
*、V相電圧指令値vv
*及びW相電圧指令値vw
*に変換する。dq軸/uvw相変換器3は、三相の電圧指令値vu
*、vv
*及びvw
*をDuty指令値演算器4に出力する。
Duty指令値演算器4は、トルク指令値T*に基づいて、PWM電圧インバータ5によりモータ8の各相に供給される交流電力を生成するための各相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を演算する電流制御部を構成する。
本実施形態では、Duty指令値演算器4は、dq軸/uvw相変換器3からの三相の電圧指令値vu
*、vv
*及びvw
*に基づいて、モータ8の各相に擬似正弦波電圧が供給されるように、三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を演算する。デューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*は、モータ8の各相に供給されるPWM電圧のパルス幅を定めるパラメータである。
三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*は、共に、デューティ比が0%から100%までの範囲で設定される。例えばデューティ指令値が大きくなるほど、モータ8に供給される電流(電力)は大きくなる。
Duty指令値演算器4は、電源6の直流電圧値に応じて、三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を補正するものであってもよい。Duty指令値演算器4は、三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を、切替処理部32を介してPWM電圧インバータ5へ出力する。
PWM電圧インバータ5は、電源6から出力される直流電力を交流電力に変換してモータ8の各相に供給する電力変換装置である。PWM電圧インバータ5は、Duty指令値演算器4からの三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*に基づいて、電源6の直流電圧をパルス幅変調(PWM)制御することにより、電源6の直流電圧を三相のPWM電圧vu、vv及びvwに変換する。
本実施形態では、PWM電圧インバータ5は、三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*に基づいて三相のパルス信号を生成するPWM信号生成部と、モータ8の各相に対応する一対のスイッチング素子を有するインバータ部とを備える。
PWM信号生成部は、三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*と、PWM制御に用いられるキャリア信号とに基づいて、各相に対応する一対のスイッチング素子へのPWM信号をそれぞれ生成する。PWM信号生成部は、各PWM信号のパルスに対してデッドタイムを付加した駆動信号を各スイッチング素子の制御端子にそれぞれ出力する。
インバータ部は、PWM信号生成部により生成される駆動信号に基づいて、各相の一対のスイッチング素子をスイッチングすることにより、モータ8の各相にPWM電圧vu、PWM電圧vv、及びPWM電圧vwを出力する。
このように、PWM電圧インバータ5は、電源6からの直流電圧を、各相のPWM電圧vu、vv及びvwに変換して、変換された各相のPWM電圧vu、vv及びvwをモータ8の各相にそれぞれ供給する。これにより、モータ8の各相の巻線に対してそれぞれ交流電流iu、iv及びiwが流れることになる。
電流検出器7u、7v及び7wは、それぞれ、PWM電圧インバータ5からモータ8に供給されるU相電流iu、V相電流iv、及びW相電流iwを検出する。電流検出器7uは、PWM電圧インバータ5とモータ8のU相巻線との間を接続したU相電力線に接続され、電流検出器7vは、PWM電圧インバータ5とモータ8のV相巻線との間を接続したV相電力線に接続される。電流検出器7wは、PWM電圧インバータ5とモータ8のW相巻線との間を接続したW相電力線に接続される。電流検出器7u、7v及び7wは、検出した三相の交流電流iu、iv及びiwをuvw相/dq軸変換器10に出力する。
uvw相/dq軸変換器10は、次式(2)に示すように、回転子位置検出器9からの電気角θに基づいて、三相の交流電流iu、iv及びiwをd軸電流検出値id及びq軸電流検出値iqに変換する。
uvw相/dq軸変換器10は、d軸電流検出値id及びq軸電流検出値iqを電流制御器2に出力する。電流制御器2は、d軸電流検出値id及びq軸電流検出値iqをフィードバックして、モータ8の各相に供給されるPWM電圧vu、vv及びvwを制御する。
なお、モータ制御装置100において、電流検出器7u、7v及び7wのうちのいずれか1つの電流検出器を省略し、次式(3)の関係を利用して、d軸電流検出値id及びq軸電流検出値iqを出力するようにしてもよい。
磁石磁束制御器20は、モータ8の回転子に備えられた永久磁石の磁束密度を制御する。磁石磁束制御器20は、モータ8の回転速度やトルクなどの運転状態に応じて、モータ8の永久磁石の磁束密度を変更する磁力指令値をパルス的に電流制御器2へ出力する。すなわち、磁石磁束制御器20は、永久磁石の磁力を増減させる磁力指令値を設定する設定部を構成する。
本実施形態では、磁石磁束制御器20は、回転速度演算器11から出力されるモータ8の回転速度ωに基づいて、モータ8の永久磁石の磁力を変更するd軸電流指令値idm
*及びq軸電流指令値iqm
*を磁力指令値として演算する。
例えば、磁石磁束制御器20には、予め定められた回転速度の範囲ごとに、永久磁石の着磁量の付与に必要なd軸電流指令値idm
*を対応付けた着磁量マップが記憶される。そして、磁石磁束制御器20は、モータ8の回転速度ωが、着磁量マップのいずれかの範囲を超えるたびに、モータ8の回転速度ωが含まれる範囲に対応付けられたd軸電流指令値idmを所定の時間、例えば、数十ms(ミリセカンド)だけ出力する。着磁量マップは、モータ8の運転領域が広がるように、実験データ等により適宜設定される。
永久磁石の着磁量を変更する場合には、ベクトル制御器1から出力されるd軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*、所定の時間だけゼロ(0)に設定され、その間に磁石磁束制御器20が、d軸電流指令値id_m
*を出力する。
あるいは、磁石磁束制御器20は、ベクトル制御器1からd軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*が出力されている状態で、d軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*にd軸電流指令値id_m
*及びq軸電流指令値iq_m
*を重畳するものであってもよい。
なお、ベクトル制御器1、電流制御器2、dq軸/uvw相変換器3、Duty指令値演算器4、及び磁石磁束制御器20は、モータ8に交流電力を供給するPWM電圧インバータ5のスイッチング動作を制御する制御部を構成する。また、電流制御器2、dq軸/uvw相変換器3、Duty指令値演算器4及びPWM電圧インバータ5のPWM信号生成部は、PWM電圧インバータ5のインバータ部によりモータ8に供給される電流を制御する電流制御部を構成する。
停止制御器30は、モータ8への電力供給を強制停止するために、PWM電圧インバータ5を停止するものである。
停止制御器30は、不図示のコントローラから、PWM電圧インバータ5によるモータ8への電力供給を停止するための緊急停止信号(強制停止信号)S*を受ける。不図示のコントローラにおいては、電源6やモータ8などが故障する可能性がある車両の疾患時に緊急停止信号S*が出力される。例えば、モータ8の温度が所定の上限値を超えた場合や、電源6の出力が過放電閾値を超えた場合などに、コントローラから強制停止信号S*が出力される。
停止制御器30は、緊急停止信号S*を受けた場合には、モータ8の永久磁石の磁力を減少させる減磁処理を実行して、PWM電圧インバータ5を停止する。本実施形態では、停止制御器30は、切替処理部32に減磁処理の実行を指令し、その後にPWM電圧インバータ5に備えられた全てのスイッチング素子をオフ(切断状態)にする。
減磁指令値演算器31は、モータ8の各相に供給される電流のd軸成分(d軸電流)を増加させる減磁指令値Drm
*を演算する。減磁指令値演算器31は、減磁指令値Drm
*として、各相のPWM電圧vu、vv及びvwの位相を互いに一致させるデューティ指令値を切替処理部32に出力する。本実施形態では、減磁指令値Drm
*は、「50%」のデューティ比に設定される。
切替処理部32は、停止制御器30から減磁処理を実行するための減磁処理実行信号を受けると、Duty指令値演算器4からの三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を、全て減磁指令値Drm
*に切り替える。これにより、モータ8に供給される各相のPWM電圧vu、vv及びvwの位相が一致するため、モータ8の各相には、回転子の永久磁石を減磁するマイナスのd軸電流がモータ8の巻線に流れることなる。
本実施形態では、切替処理部32には、Duty指令値演算器4から出力される各デューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を互いに共通の減磁指令値Drm
*に切り替えるために所定の遷移時間が設けられている。
遷移時間は、次式(4)に示すモータ8の時定数Tm以上の期間に設定される。このように、遷移時間Tsをモータ8の時定数Tmよりも長い時間に設定することにより、永久磁石の減磁処理に伴うモータ8の変動を抑制することができる。
上式(4)のように、モータ8の時定数Tmは、モータ8のd軸インダクタンス(H)と、1相分の巻線抵抗(Ω)とに基づいて定められる。
切替処理部32は、遷移時間において、各相のデューティ指令値Du
*、Dv
*、Dw
*を共に減磁指令値Drm
*まで徐々に増加させる。
本実施形態では、切替処理部32は、各相のデューティ指令値Du
*、Dv
*、Dw
*から減磁指令値Drm
*まで、所定の増加速度(割合)で単調に増加させる。例えば、切替処理部32は、U相のデューティ指令値Du
*を減磁指令値Drm
*から減算し、減算した差分を遷移時間で除算してU相の増加速度を算出し、V相及びW相についても同様に増加速度を算出するようにしてもよい。
停止制御器30は、例えば、切替処理部32により三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*が減磁指令値Drm
*に切り替えられたときには、PWM電圧インバータ5の各スイッチング素子をオフにする。これにより、モータ8の回転子が回転している状態であっても永久磁石の磁束密度が低減されるので、モータ8の巻線に生じる誘起電圧の上昇を抑制することができる。したがって、モータ8の誘起電圧がPWM電圧インバータ5の各スイッチング素子の耐電圧を超えることを回避することができる。すなわち、モータ8で生じる誘起電圧がPWM電圧インバータ5の耐電圧を超えることよってPWM電圧インバータ5が損傷するのを回避することができる。
本実施形態では、停止制御器30は、切替処理部32により各相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*が減磁指令値Drm
*に変更されてから所定の減磁運転時間が経過した後に、PWM電圧インバータ5の各スイッチング素子をオフにする。減磁運転時間は、例えば0.1s(セカンド)に設定される。これにより、モータ8の巻線に流れるd軸電流によって永久磁石の減磁が完全に完了した後に全てのスイッチング素子がオフされるので、モータ8の誘起電圧がPWM電圧インバータ5のスイッチング素子の耐電圧を超えるという事態をより確実に回避することができる。
このように、モータ制御装置100では、車両の疾患などが原因となってモータ8への電力供給を停止するような場合には、PWM電圧インバータ5を停止する前にモータ8の永久磁石を減磁させるので、PWM電圧インバータ5の損傷を回避することができる。
次に、モータ8の回転子に配置される永久磁石の構成について、図2及び図3を参照して説明する。
図2は、モータ8の内部構造の一例を示す図である。モータ8では、複数の固定子81の各々に巻線82が巻かれ、回転軸83に設けられた回転子84に永久磁石85が埋め込まれている。
永久磁石85は、モータ8の回転中において巻線82に供給されるパルス状のd軸電流で作られる磁界によって着磁又は減磁される低保磁力の永久磁石である。
図3は、永久磁石85が有する磁気特性の一例を示す図である。図3では、縦軸が永久磁石85の磁束密度(T)であり、横軸が巻線82のd軸電流で作成される磁界の強さ(A/m)である。d軸電流の値がプラスの方向に大きくなるほど、永久磁石85に与えられる磁界が強くなり、これに伴い永久磁石85の磁束密度が増加する。
図3に示すように、永久磁石85の磁気特性は、非可逆な特性であり、巻線82に供給されるd軸電流の大きさに応じて選択される複数の磁化経路c1~c4を有する。
例えば、巻線82に供給されるd軸電流の値をプラスの方向に大きくすることにより、永久磁石85は、その磁束密度が増加するように磁化される。すなわち、巻線82に供給されるd軸電流のパルスの高さをプラスの方向に高くすることで永久磁石85が着磁される。
永久磁石85を着磁させるときには、d軸電流のパルスの高さidによって磁化経路c1~c4の中から1つの経路が選択される。例えば、磁石磁束制御器20により、巻線82のd軸電流idで作られる磁界が第1の着磁磁界Hi1となるように、d軸電流指令値idm
*が設定された場合には、第1の磁化経路c1が選択される。その後、選択された第1の磁化経路c1において、永久磁石85の磁束密度(T)は、ベクトル制御器1によって実行される弱め界磁制御によるマイナスのd軸電流idに応じて変動する。
一方、巻線82に供給されるd軸電流の値をマイナスの方向に増加されることにより、永久磁石85は、その磁束密度が減少するように磁化される。すなわち、巻線82に供給されるd軸電流のパルスの高さidをマイナスの方向に低くすることで永久磁石85が減磁される。
永久磁石85を減磁させるときには、巻線82に供給されるd軸電流が、弱め界磁制御によるマイナスのd軸電流の値よりも小さくなるように、d軸電流指令値idm
*が設定される。例えば、巻線82のd軸電流idで作られる磁界が減磁磁界Hrとなるように、d軸電流指令値idm
*が設定された場合には、永久磁石85の磁束密度がゼロになる。なお、永久磁石85の磁束密度が小さくなるほど、モータ8の逆起電力定数は小さくなる。
このように、巻線82に供給されるd軸電流のパルスの高さに応じて、永久磁石85が有する磁束密度を段階的に増減させることができる。すなわち、永久磁石85の着磁量は、巻線82に供給されるd軸電流により段階的に変更可能である。なお、永久磁石85の保磁力(Hi及びHr)は、iPMモータに用いられる一般的な永久磁石の保磁力の1/5程度である。
なお、図4では一例として、4つの磁化経路c1~c4を有する永久磁石を示したが、これに限られるものではない。例えば、2又は3つの磁化経路や、5つ以上の磁化経路を有する永久磁石を用いてもよい。
図4は、第1実施形態における停止制御器30で実行される減磁処理を示すタイムチャートである。
図4(a)は、モータ8への供給電力を停止する緊急停止信号S*を示す図である。図4(b)は、PWM電圧インバータ5に出力される三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*、及びDw
*の変化を示す図である。図4(c)は、永久磁石85の着磁量の変化を示す図である。図4(d)は、PWM電圧インバータ5を停止する停止指令の有無を示す図である。図4(a)から図4(d)までの各図面の横軸は、互いに共通の時間軸である。
時刻t1よりも前では、モータ8の通常運転が実施されている。すなわち、ベクトル制御器1によってPWM電圧インバータ5のスイッチング動作が制御されている。
このときには、図4(a)に示すように、緊急停止信号S*がL(Low)レベルであり、図4(b)に示すように、三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*の振幅が100%近傍に設定されているので、モータ8は高速運転状態である。図4(c)に示すように、永久磁石85の着磁量は、磁石トルクが高くなるように、高速運転に適した着磁量に設定される。
時刻t1において、例えば、モータ8の温度が高くなり過ぎ、モータ8に設けられた温度センサの検出信号が所定の閾値を超えたため、図4(a)に示すように緊急停止信号S*がLレベルからH(High)レベルへ切り替えられる。すなわち、停止制御器30は、車両が疾患状態であると診断され、緊急停止信号S*を受信する。
停止制御器30は、緊急停止信号S*を受けた場合には、永久磁石85の減磁処理実行信号を切替処理部32に出力する。切替処理部32は、減磁処理実行信号を受信すると、三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*の全てを、減磁指令値演算器31からの減磁指令値Drm
*に切り替える。図4では、減磁指令値Drm
*として、50%を示すデューティ比が設定されている。
時刻t1から時刻t2までの遷移期間Tsにおいては、図4(b)に示すように、三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*は、それぞれ、減磁指令値Drm
*に徐々に近づけられる。これにより、デューティ指令値が滑らかに切り替えられるので、モータ8の変動を抑制することができる。例えば、切替処理部32は、時刻t1での各相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を減磁指令値Drm
*から減算した変化量を遷移時間Tsにより除算して各相の増加速度を算出する。そして切替処理部32は、相ごとに、算出した増加速度により、変化量を時刻t1でのデューティ指令値に加算する。
遷移時間Tsは、式(4)に示したようにモータ8の時定数Tmよりも長い時間に設定される。これにより、モータ8の応答遅れに伴うモータ8の変動を抑制することができる。
時刻t2において、図4(b)に示すように、三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*の全てが同時に50%に固定され、永久磁石85を減磁させる減磁運転が実施される。これにより、モータ8の巻線82にマイナスのd軸電流idが供給されることになるので、図4(c)に示すように、永久磁石85の着磁量が緩やかに減少し、着磁量の減少に応じてモータ8の逆起電力定数が小さくなる。
したがって、モータ8が回転状態であっても、永久磁石85が減磁されるので、モータ8の誘起電圧がPWM電圧インバータ5内の各スイッチング素子の耐電圧を超えることを回避することができる。なお、時刻t2から時刻t3までの減磁運転時間は、例えば、約0.1s(セカンド)の間だけ実施される。
時刻t3において、図4(d)に示すように、PWM電圧インバータ5を停止する停止指令がオフからオンに切り替えられる。すなわち、停止制御器30は、減磁運転が完了すると、PWM電圧インバータ5に対して停止指令、例えばゲートブロック信号を出力する。これにより、PWM電圧インバータ5において各スイッチング素子のドライバ回路への電源供給が停止されて全てのスイッチング素子がオフになるので、PWM電圧インバータ5からモータ8への電力供給を停止することができる。
このように、停止制御器30は、モータ8の回転中において、上位のコントローラから緊急停止信号S*が出力された場合には、各相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を互いに同じ値に設定した後、PWM電圧インバータ5を強制停止する。このように、PWM電圧インバータ5を強制停止する直前に、通常運転時に着磁された永久磁石85を減磁することにより、強制停止後のモータ8の惰性回転によって生じる誘起電圧が高くなり過ぎPWM電圧インバータ5が損傷するという事態を回避することができる。
次に、PWM電圧インバータ5に入力される三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を互いに同じ値に設定した場合にモータ8の巻線82に供給されるd軸電流について、図5から図7までの各図面を参照して説明する。
図5は、PWM電圧インバータ5及びモータ8に関する回路構成の一例を示す図である。
PWM電圧インバータ5は、図1で述べたように、PWM信号生成部50と、インバータ部51とを備える。インバータ部51の正極端子(+)には、電源6の正極端子が接続され、インバータ部51の負極端子(-)には、電源6の負極端子が接続される。このため、インバータ部51には、電源6から直流電圧VDCが供給される。
PWM信号生成部50は、各相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*に基づいて、各スイッチング素子のPWM信号を生成する。
インバータ部51は、U相に対応する上段のスイッチング素子51uu及び下段のスイッチング素子51ulと、V相に対応する上段のスイッチング素子51vu及び下段のスイッチング素子51vlと、W相に対応する上段のスイッチング素子51wu及び下段のスイッチング素子51wlとを備える。さらにインバータ部51は、平滑コンデンサ51cを備える。
U相の一対のスイッチング素子51uu及び51ul、V相の一対のスイッチング素子51vu及び51vlと、W相の一対のスイッチング素子51wu及び51wlと、平滑コンデンサ51cとは、共に電源6に対して並列に接続される。
各スイッチング素子51uu、51ul、51vu、51vl、51wu及び51wlは、電界効果トランジスタ等で構成されたパワー素子であり、例えば、iGBT(insulated Gate Bipolar Transistor)により構成される。各スイッチング素子51uu、51ul、51vu、51vl、51wu及び51wlの各々は、その制御端子(例えばゲート端子)にPWM信号生成部からの駆動信号に応じて、オン(接続状態)・オフ(切断状態)に切り替えられる。
モータ8には、U相の電圧端子8uと、V相の電圧端子8vと、W相の電圧端子8wと、中性点8nと、U相の巻線82uと、V相の巻線82vと、W相の巻線82wとが設けられている。
U相の電圧端子8uには、一対のスイッチング素子51uu及び51ulによってU相のPWM電圧vuが供給され、V相の電圧端子8vには、一対のスイッチング素子51vu及び51vlによってV相のPWM電圧vvが供給され、W相の電圧端子8wには、一対のスイッチング素子51wu及び51wlによってW相のPWM電圧vwが供給される。
中性点8nに生じる電圧vnは、次式(5)のとおり、各相のPWM電圧vu、vv及びvwの総和を相数「3」により除算した値になる。
図6は、三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*が共に50%に設定されたときの各相のPWM電圧vu、vv及びvwを示すタイムチャートである。
図6(a)は、U相の電圧端子8uに生じるPWM電圧vuを示し、図6(b)は、V相の電圧端子8vに生じるPWM電圧vvを示し、図6(c)は、W相の電圧端子8wに生じるPWM電圧vwを示し、図6(d)は、中性点8nに生じる電圧vnを示す図である。図6(a)から図6(d)までの各図面の横軸は互いに共通の時間軸である。
図6に示すように、三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*が共に50%に設定されたときには、U相のPWM電圧vu、V相のPWM電圧vv及びW相のPWM電圧vwについては、高さVDCのパルス幅が同じになり、かつ、パルスの位相も同じになる。
これに伴い、式(4)に従って、中性点8nに生じる電圧vnについても、U相のPWM電圧vu、V相のPWM電圧vv及びW相のPWM電圧vwに対して、パルス幅とパルスの位相とが一致している。このため、U相の電圧端子8uと中性点8nとの間の電圧vun(=vu-vn)、V相の電圧端子8vと中性点8nとの間の電圧vvn(=vv-vn)、W相の電圧端子8wと中性点8nとの間の電圧vwn(=vw-vn)は、共にゼロ電圧(等電位)になる。したがって、インバータ部51からモータ8の各相へは電流が流れなくなる。
また、三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を共に50%に設定することにより、パルス幅が均一に設定されるので、スイッチング素子の制御遅れ等の誤差に伴う各相のPWM電圧vu、vv及びvwのパルス幅のズレを抑制することができる。このため、より確実に各相の電圧端子8u、8v、8wと中性点8nとの間の電圧をゼロ電圧に維持することができる。
図7は、図6で示したインバータ部51からモータ8の各相へ電流が流れなくなる状態において、各相の巻線82u、82v、82wに流れるd軸電流idを示す図である。
図7では、縦軸がq軸電流iqを示し、横軸がd軸電流idを示す。また、破線で示された円は、モータ8の各相に供給可能な電流の限界値を示し、実線で示された複数の円弧は、通常運転時に着磁された永久磁石85の着磁量を100%とし、永久磁石85がd軸電流id及びq軸電流iqによって減磁されたときの着磁量の割合25%、50%及び75%を示す。
図7に示すように、三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*が共に同一の値に設定されたときには、各相の巻線82u、82v、82wに流れるd軸電流idの値は、マイナスの領域にあるゼロ電圧点(ゼロ磁束点)id_zまで移動する。
ゼロ電圧点id_zまで移動したときのマイナスのd軸電流により、永久磁石85の着磁量を約30%まで減磁することができる。これにより、モータ8の誘起電圧の上昇が抑制されるので、モータ8の各相に接続された各スイッチング素子51uu、51ul、51vu、51vl、51wu及び51wlの耐電圧をモータ8の誘起電圧が超えるのを回避することができる。
このように、緊急停止信号S*を受けた場合には、PWM電圧インバータ5に入力される三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を共に同一の値に設定することにより、ゼロ電圧点id_zまでd軸電流が移動するので、永久磁石85を減磁することができる。
図8は、本実施形態におけるPWM電圧インバータ5の停止方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS901において、Duty指令値演算器4は、モータ8のトルク指令値T*に基づいて、各相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を演算する。
ステップS902において、PWM電圧インバータ5のPWM信号生成部50は、各相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*に基づいて、インバータ部51の各スイッチング素子51uu、51ul、51vu、51vl、51wu及び51wlのスイッチング動作を制御する。これにより、PWM電圧インバータ5からモータ8の各相に供給される交流電流iu、iv及びiwが制御され、所望の回転速度でモータ8が回転動作する。
ステップS903において、停止制御器30は、上位のコントローラから、インバータ部51によるモータ8への電力供給を停止する緊急停止信号S*を受信したかどうかを判断する。
緊急停止信号S*は、上位のコントローラによって車両が疾患状態であると診断された場合に出力される。例えば、モータ8の故障を回避するために予め定められた閾値よりもモータ8の内部温度が高くなった場合や、電源6の充電率(SOC:State Of Charge)が下限値よりも低下した場合などに車両が疾患状態であると診断される。
停止制御器30は、緊急停止信号S*を受信していない場合には、ステップS901の処理に戻り、緊急停止信号S*を受信するまで、又は、モータ8の制御が終了するまで、ステップS901及びS902の一連の処理を繰り返す。
一方、停止制御器30は、緊急停止信号S*を受信した場合には、PWM電圧インバータ5を停止する前に、永久磁石85の着磁量を減少させる減磁処理を実行する。本実施形態では、停止制御器30は、緊急停止信号S*を受信した場合に、減磁処理実行信号を切替処理部32に出力する。
ステップS904において切替処理部32は、停止制御器30から減磁処理実行信号を受信すると、各相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を、それぞれ、減磁指令値演算器31からの減磁指令値Drm
*に切り替える。本実施形態では、切替処理部32は、モータ8の時定数Tmに基づいて定められた遷移期間Tsにおいて、各相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を共に減磁指令値Drm
*へ滑らかに近づける。
これにより、図7に示したように、モータ8に流れるd軸電流idがマイナスの方向に増えるので、このd軸電流idで作られる磁界によって永久磁石85の着磁量が30%まで減少する。このため、モータ8の惰性回転によって巻線82に生じる誘起電圧が低下する。
ステップS905において停止制御器30は、減磁処理を実行した後、インバータ部51を停止する。本実施形態では、停止制御器30は、遷移期間Tsが完了してから、所定の減磁運転時間が経過した後に、各スイッチング素子51uu、51ul、51vu、51vl、51wu及び51wlをオフにする。
このように、永久磁石85の着磁量を減磁させた後にインバータ部51を停止するので、停止後に生じるモータ8の誘起電圧によってPWM電圧インバータ5の損傷を抑制することができる。ステップS905の処理が終了すると、PWM電圧インバータ5の停止方法の一連の処理手順が終了する。
本発明の第1実施形態によれば、回転子84に備えられた永久磁石85の磁力を段階的に変更可能なモータ8を制御するモータ制御装置100は、モータ8のトルク指令値T*に基づいてPWM電圧インバータ5の動作を制御する。そして、モータ制御装置100は、PWM電圧インバータ5による電力供給を停止する緊急停止信号S*を受けた場合には、永久磁石85の磁力を減少させる減磁処理を実行して、PWM電圧インバータ5を停止する停止制御器30を含む。
このようにモータ制御装置100は、PWM電圧インバータ5を強制停止する直前に永久磁石85の減磁処理を実行することにより、モータ8の回転により生じる誘起電圧を抑制することができる。したがって、PWM電圧インバータ5の停止後にモータ8の惰性回転によって生じる誘起電圧が高くなり過ぎ、モータ8の誘起電圧がPWM電圧インバータ5のスイッチング素子の耐電圧を超えるという事態を回避することができる。
本実施形態では、モータ制御装置100は、モータ8が高速回転状態のときだけでなく車両が停止した状態であっても、緊急停止信号S*を受信した場合には、減磁処理を実行してからPWM電圧インバータ5を停止する。停車した状態であっても、例えば、停止した車両を移動させる際にモータ8が回転動作したとしても、既に永久磁石85が減磁されているので、モータ8の誘起電圧の上昇を抑制でき、PWM電圧インバータ5の損傷を回避できる。
また本実施形態によれば、モータ制御装置100は、永久磁石85の磁力を増減させる磁力指令値idm
*及びiqm
*を設定する磁石磁束制御器20と、トルク指令値T*と磁力指令値idm
*及びiqm
*とに基づいて、PWM電圧インバータ5によりモータ8に供給される電流を制御する電流制御器2とを含む。そして、停止制御器30は、緊急停止信号S*を受けた場合には、モータ8に供給される電流のd軸成分(d軸電流)idを増加させる減磁指令値Drm
*に基づいて減磁処理を実行する。
このように、制御パラメータである減磁指令値Drm
*を用いて、モータ8のd軸電流idをマイナス方向に増加させることにより、簡易な構成で、永久磁石85の着磁量を減少させることができる。
また本実施形態によれば、停止制御器30は、緊急停止信号S*を受けた場合には、減磁処理を実行することにより、モータ8の各相に供給されるPWM電圧vu、vv及びvwを互いに同一にする。これにより、図6及び図7に示したように、モータ8に供給されるd軸電流idをマイナス方向に増加させることができる。
本実施形態では、モータ制御装置100は、トルク指令値T*に基づいて、PWM電圧インバータ5によりモータ8の各相に供給される交流電力を生成するための各相のデューティ指令値を演算する。そして、停止制御器30は、緊急停止信号S*を受けた場合には、減磁指令値Drm
*として、各相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*に、互いに同一のデューティ比を設定する。これにより、簡易な処理により、モータ8に供給されるd軸電流idをマイナス方向に増加させることができる。
例えば、減磁指令値Drm
*のデューティ比は、50%に設定するのが好ましい。これにより、図6に示したように、制御誤差に起因する各相のPWM電圧vu、vv及びvwのパルス幅のズレが抑えられるので、的確にd軸電流idをマイナス方向に増加させることができる。したがって、永久磁石85の着磁量を確実に減磁することができる。
また本実施形態では、停止制御器30は、緊急停止信号S*を受けた場合には、三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を減磁指令値Drm
*に切り替える所定の遷移期間Tsを設ける。これにより、デューティ指令値の切替えに伴いモータ8が振動するのを抑制することができる。
また本実施形態では、停止制御器30は、緊急停止信号S*を受けた場合には、モータ8の時定数Tmに基づいて予め定められた遷移期間Tsにおいて、三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を減磁指令値Drm
*まで徐々に近づける。これにより、モータ8の制御遅れに伴うモータ8の変動を抑制することができる。
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態におけるモータ制御装置101の構成例を示すブロック図である。
図9は、本発明の第2実施形態におけるモータ制御装置101の構成例を示すブロック図である。
モータ制御装置101は、図1に示したモータ制御装置100の減磁指令値演算器31及び切替処理部32に代えて、減磁指令値演算器33及び切替処理部34を備えている。なお、モータ制御装置101の他の構成については、モータ制御装置100の構成と同じであるため、同一符号を付して説明を省略する。また、図面の見易さを考慮し、磁石磁束制御器20の配置を、図1に示した磁石磁束制御器20の位置から変更している。
減磁指令値演算器33は、永久磁石85の着磁量を減少させる減磁指令値として、減磁処理用のd軸電流指令値idrm
*及びq軸電流指令値iqrm
*を演算する。
減磁処理用のd軸電流指令値idrm
*は、ベクトル制御器1で演算されるd軸電流指令値id
*よりも小さな値に設定され、減磁処理用のq軸電流指令値iqrm
*は、ゼロに設定される。減磁指令値演算器33は、減磁処理用のd軸電流指令値idrm
*及びq軸電流指令値iqrm
*を切替処理部34に出力する。
なお、減磁指令値演算器33は、永久磁石85の着磁量に応じてd軸電流指令値idrm
*を算出するものであってもよい。例えば、永久磁石85の着磁量が大きいほど、d軸電流指令値idrm
*をマイナスの方向に増加させる。これにより、確実に永久磁石85を減磁することができ、かつ、無用にd軸電流を大きくすることを抑制できる。
切替処理部34は、停止制御器30から減磁処理実行信号を受信すると、加算器21及び22からのd軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*を、それぞれ減磁指令値演算器33からのd軸電流指令値idrm
*及びq軸電流指令値iqrm
*に切り替える。これにより、永久磁石85を減磁するマイナスのd軸電流idがモータ8の各相に供給されることになる。
本実施形態では、切替処理部34は、予め定められた遷移時間Tsにおいて、ベクトル制御器1で演算されるd軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*を、それぞれ減磁処理用のd軸電流指令値idrm
*及びq軸電流指令値iqrm
*まで徐々に増加させる。以下では、ベクトル制御器1で演算されるd軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*のことを「通常運転時のd軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*」と称する。
例えば、切替処理部34は、通常運転のd軸電流指令値id
*を減磁処理用のd軸電流指令値idrm
*から減算し、減算した差分を遷移時間Tsで除算してd軸電流指令値id
*の増加速度を算出する。切替処理部34は、算出した増加速度により、通常運転時のd軸電流指令値id
*を減磁処理用のd軸電流指令値idrm
*まで増加させる。切替処理部34は、q軸電流指令値iqrm
*についても同じように演算する。
停止制御器30は、緊急停止信号S*を受けた場合には、減磁処理実行信号を切替処理部34に出力する。これにより、通常運転時のd電流指令値id
*が減磁処理用のd軸電流指令値idrm
*に切り替えられるので、モータ8の各相に供給されるd軸電流idがマイナスの方向に増加し、d軸電流id
*で作られる磁界によって永久磁石85を減磁することができる。
したがって、モータ8が回転している状態でモータ8への電力供給を停止するときには、PWM電圧インバータ5を停止する前に永久磁石85が減磁されるので、モータ8の誘起電圧がPWM電圧インバータ5の耐電圧を超えるのを回避することができる。
図10は、第2実施形態における停止制御器30により実行される減磁処理を示すタイムチャートである。
図10(a)は、モータ8への供給電力を停止する緊急停止信号S*を示す図である。図10(b)は、PWM電圧インバータ5に出力される三相のデューティ指令値Du
*、Dv
*、及びDw
*の変化を示す図である。図10(c)は、d軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*の変化を示す図である。図10(d)は、永久磁石85の着磁量の変化を示す図である。図10(e)は、PWM電圧インバータ5を停止する停止指令の有無を示す図である。図10(a)から図10(e)までの各図面の横軸は、互いに共通の時間軸である。
時刻t11よりも前は、図4の時刻t1前の運転状態と同様、通常運転が実施されている。図10(c)に示すように、モータ8は高速運転状態であるため、q軸電流指令値iq
*は、プラスの方向に増加され、d軸電流指令値id
*は、弱め界磁制御によりマイナスの方向に増加されている。
時刻t11において、図4(a)の時刻t1と同様、図10(a)に示すように緊急停止信号S*がLレベルからHレベルに切り替えられる。すなわち、停止制御器30は、緊急停止信号S*を受信する。
停止制御器30は、緊急停止信号S*を受けた場合には、減磁処理実行信号を切替処理部34に出力する。そして、切替処理部34は、通常運転時のd軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*を、それぞれ減磁処理用のd軸電流指令値idrm
*及びq軸電流指令値iqrm
*に切り替える。
ここでは、減磁処理用のq軸電流指令値iq
*はゼロに設定され、減磁処理用のd軸電流指令値idrm
*は、通常運転時のd軸電流指令値id
*よりも小さな値に設定されている。減磁処理用のd軸電流指令値idrm
*は、例えば、通常運転時に着磁された永久磁石85の着磁量がゼロになる値に設定される。
時刻t11から時刻t12までの遷移期間Tsにおいては、図10(c)に示すように、d軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*は、それぞれ、減磁処理用のd軸電流指令値idrm
*及びq軸電流指令値iqrm
*に徐々に近づけられる。遷移時間Tsは、式(3)に示したようにモータ8の時定数Tmよりも長い時間に設定される。これにより、デューティ指令値の切替えに伴うモータ8の変動を抑制することができる。
時刻t12において、図10(c)に示すように、d軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*が、共に減磁処理用のd軸電流指令値idrm
*及びq軸電流指令値iqrm
*に設定され、減磁運転が実施される。これにより、PWM電圧インバータ5からモータ8に減磁処理用のd軸電流idが供給されることになるので、図10(c)に示すように、永久磁石85の着磁量が減少してモータ8の逆起電力定数が小さくなる。
したがって、モータ8が惰性回転している状態であっても、永久磁石85が減磁されているので、PWM電圧インバータ5の耐電圧をモータ8の誘起電圧が超えるのを回避することができる。なお、時刻t12から時刻t13までの減磁運転時間は、例えば、約0.1秒だけ実施される。
時刻t13において、図10(e)に示すように、PWM電圧インバータ5を停止する停止指令がオフからオンに切り替えられる。すなわち、停止制御器30は、減磁運転が完了すると、PWM電圧インバータ5に対して停止指令を出力する。
以上のように、停止制御器30は、モータ8の回転中において、緊急停止信号S*が出力された場合には、通常運転時のd軸電流指令値id
*を減磁処理用のd軸電流指令値idrm
*に設定した後、PWM電圧インバータ5を強制停止する。このため、PWM電圧インバータ5を強制停止する直前に通常運転時に着磁された永久磁石85が減磁されるので、強制停止後のモータ8の惰性回転に伴う誘起電圧がPWM電圧インバータ5の耐電圧を超えるのを回避することができる。
図11は、本実施形態におけるPWM電圧インバータ5の停止方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS911において、ベクトル制御器1は、モータのトルク指令値T*に基づいて、d軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*を演算する。
ステップS912において、PWM電圧インバータ5のPWM信号生成部50は、d軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*に基づいて、各スイッチング素子51uu、51ul、51vu、51vl、51wu及び51wlのスイッチング動作を制御する。これにより、PWM電圧インバータ5からモータ8に供給される三相の交流電流iu、iv及びiwが制御され、所望の回転速度でモータ8が駆動する。
ステップS913において、停止制御器30は、インバータ部51によるモータ8への電力供給を停止する緊急停止信号S*を受信したかどうかを判断する。そして、停止制御器30は、緊急停止信号S*を受信していない場合には、ステップS911の処理に戻り、緊急停止信号S*を受信するまで、又は、モータ8の制御が終了するまで、ステップS901及びS902の一連の処理を繰り返す。
一方、停止制御器30は、緊急停止信号S*を受信した場合には、PWM電圧インバータ5を停止する前に、永久磁石85の磁力を減少させる減磁処理を実行する。本実施形態では、停止制御器30は、緊急停止信号S*を受信した場合に、減磁処理実行信号を切替処理部34に出力する。
ステップS914において、切替処理部34は、減磁処理実行信号を受信すると、d軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*を、それぞれ、減磁指令値としてのd軸電流指令値idrm
*及びq軸電流指令値iqrm
*に切り替える。本実施形態では、切替処理部34は、モータ8の時定数Tmに基づいて定められた遷移期間Tsにおいて、通常運転時のd軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*を、減磁処理用のd軸電流指令値idrm
*及びq軸電流指令値iqrm
*に徐々に近づける。
これにより、PWM電圧インバータ5からモータ8に供給されるd軸電流idがマイナスの方向に増加されるので、d軸電流idで作成される磁界によって永久磁石85の着磁量が減少する。このため、モータ8の惰性回転によって巻線82に生じる誘起電圧が低下する。
ステップS915において停止制御器30は、減磁処理を実行した後、インバータ部51を停止する。本実施形態では、停止制御器30は、遷移期間Tsが完了してから、所定の減磁運転時間が経過した後に、各スイッチング素子51uu、51ul、51vu、51vl、51wu及び51wlをオフにする。
このように、永久磁石85を減磁させた後にインバータ部51を停止するので、インバータ部51の停止後にモータ8の惰性回転に伴う誘起電圧の上昇によってPWM電圧インバータ5が損傷するのを回避できる。ステップS915の処理が終了すると、PWM電圧インバータ5の停止方法の一連の処理手順が終了する。
本発明の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様、PWM電圧インバータ5の停止前に永久磁石85が減磁されるので、PWM電圧インバータ5の停止後にモータ8の惰性回転に伴う誘起電圧によってPWM電圧インバータ5が損傷するのを回避できる。
また本実施形態では、モータ制御装置101は、トルク指令値T*に基づいて、d軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*を演算するベクトル制御器1と、そのd軸電流指令値id
*及びq軸電流指令値iq
*に基づいてインバータ部51に供給されるPWM信号を生成するPWM信号生成部50と、停止制御器30とを含む。
そして、停止制御器30は、緊急停止信号S*を受けた場合には、減磁指令値として、ベクトル制御器1により演算されたd軸電流値よりも小さな値idrm
*をd軸電流指令値id
*に設定する。
このように、d軸電流指令値id
*を用いて、PWM電圧インバータ5からモータ8に供給されるd軸電流idを制御することで、d軸電流idを必要に応じてきめ細かく増減できるので、第1実施形態に比べて、的確に永久磁石85を減磁させることができる。
例えば、減磁指令値演算器33は、モータ8の内部温度に応じて、減磁指令値としてのd軸電流指令値idrm
*を増減するようにしてもよい。永久磁石85は、永久磁石85の温度が高くなるほど、減磁しやすくなるという特性を有している。このため、減磁指令値演算器33は、モータ8の内部温度又は永久磁石85の温度が高くなるほど、減磁指令値としてのd軸電流指令値idrm
*の増加量、すなわち絶対値を小さくする。
これにより、確実に永久磁石85を減磁することができると共に、電源6からPWM電圧インバータ5を介してモータ8への無用な放電を抑制することができる。すなわち、PWM電圧インバータ5の損傷を回避できるとともに、無駄な電力消費を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、第1実施形態では、緊急停止信号S*を受けた場合には、各相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*を同一の減磁指令値Drm
*に切り替える例について説明したが、各相の電圧指令値vu
*、vv
*及びvw
*を所定の減磁指令値vrm
*に切り替えるようにしてもよい。この場合には、減磁指令値vrm
*を、各相のデューティ指令値Du
*、Dv
*及びDw
*が同じ値となるように設定すればよい。このような構成にしても、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
また、第1実施形態では、減磁運転において、各相のPWM電圧vu、vv及びvwのパルス幅を固定する例について説明したが、各相のPWM電圧vu、vv及びvwが互いに一致していればよく、各相のPWM電圧vu、vv及びvwを一致させた状態でパルス幅を振幅させるようにしてもよい。この場合においても、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
なお、上記実施形態は、適宜組み合わせ可能である。
Claims (10)
- 永久磁石の磁力を変更可能なモータを制御する制御装置であって、
前記モータに交流電力を供給するインバータの動作を制御する制御部と、
前記インバータによる電力供給を停止する停止信号を受けた場合には、前記永久磁石の磁力を減少させる減磁処理を実行して前記インバータを停止する停止制御部と、
を含むモータ制御装置。 - 請求項1に記載のモータ制御装置であって、
前記制御部は、
前記永久磁石の磁力を増減させる磁力指令値を設定する設定部と、
前記モータのトルク指令値と前記磁力指令値とに基づいて、前記インバータにより前記モータに供給される電流を制御する電流制御部と、を含み、
前記停止制御部は、前記停止信号を受けた場合には、前記モータに供給される電流のd軸成分を増加させる減磁指令値に基づいて、前記減磁処理を実行する、
モータ制御装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のモータ制御装置であって、
前記停止制御部は、前記停止信号を受けた場合には、前記減磁処理を実行することにより、前記モータの各相に供給される電圧を互いに同一にする、
モータ制御装置。 - 請求項2又は請求項3に記載のモータ制御装置であって、
前記電流制御部は、
前記トルク指令値に基づいて、前記モータの各相に供給される交流電力を前記インバータにより生成するための各相のデューティ指令値を演算する指令値演算部と、
前記各相のデューティ指令値に基づいて、前記インバータに供給されるパルス信号を生成する信号生成部と、を含み、
前記停止制御部は、前記停止信号を受けた場合には、前記減磁指令値として、前記各相のデューティ指令値に、互いに同じデューティ比を設定する、
モータ制御装置。 - 請求項4に記載のモータ制御装置であって、
前記デューティ比は、50%に設定される、
モータ制御装置。 - 請求項2に記載のモータ制御装置であって、
前記電流制御部は、
前記トルク指令値に基づいて、前記モータに供給される電流のベクトルを示すd軸電流指令値及びq軸電流指令値を演算するベクトル制御部と、
前記d軸電流指令値及びq軸電流指令値に基づいて、前記インバータに供給されるパルス信号を生成する信号生成部と、を含み、
前記停止制御部は、前記停止信号を受けた場合には、前記減磁指令値として、前記ベクトル制御部により演算されるd軸電流値よりも小さな値を前記d軸電流指令値に設定する、
モータ制御装置。 - 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のモータ制御装置であって、
前記停止制御部は、前記停止信号を受けた場合には、前記制御部により演算される指令値を前記減磁指令値に切り替える所定の期間を設ける、
モータ制御装置。 - 請求項7に記載のモータ制御装置であって、
前記停止指令部は、前記停止信号を受けた場合には、前記所定の期間において、前記制御部により演算される指令値を前記減磁指令値まで徐々に近づける、
モータ制御装置。 - 請求項7又は請求項8に記載のモータ制御装置であって、
前記所定の期間は、前記モータの時定数よりも長い期間に設定される、
モータ制御装置。 - 永久磁石の磁力を変更可能なモータを制御するモータ制御装置の停止方法であって、
前記モータに交流電力を供給するインバータの動作を制御する制御ステップと、
前記モータの制御を停止する停止信号を受けた場合には、前記永久磁石の磁力を減少させる減磁処理を実行して前記インバータを停止する停止制御ステップと、
を含むモータ制御装置の停止方法。
Priority Applications (1)
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PCT/JP2015/065145 WO2016189671A1 (ja) | 2015-05-26 | 2015-05-26 | モータ制御装置及びその停止方法 |
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WO2016189671A1 true WO2016189671A1 (ja) | 2016-12-01 |
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ID=57393084
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2015
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