以下、実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1~図16に基づいて本実施形態にかかる電池パック100、および、それを含む電源システム200を説明する。
<電源システムの概要>
電源システム200は車両に搭載される。電源システム200は車両に搭載された複数の車載機器と電池パック100とによって構成されている。車載機器の1つとして鉛蓄電池110がある。電池パック100は組電池10を有している。電源システム200はこれら鉛蓄電池110と組電池10とによって2電源システムを構築している。
他の車載機器としてエンジン140がある。電源システム200を搭載する車両は、所定の停止条件が満たされるとエンジン140を停止し、所定の始動条件が満たされるとエンジン140を再始動するアイドルストップ機能を有する。
図1に示すように電源システム200は、上記した鉛蓄電池110とエンジン140の他に、スタータモータ120、回転電機130、電気負荷150、上位ECU160、および、MGECU170を有する。鉛蓄電池110、スタータモータ120、および、電気負荷150それぞれは、第1ワイヤハーネス210を介して電池パック100と電気的に接続されている。回転電機130は第2ワイヤハーネス220を介して電池パック100と電気的に接続されている。
上位ECU160とMGECU170は図示しない配線を介して鉛蓄電池110と電池パック100それぞれと電気的に接続されている。同様にして、車両に搭載された他の各種ECUも図示しない配線を介して鉛蓄電池110と電池パック100それぞれと電気的に接続されている。
以上に示したように電源システム200は、鉛蓄電池110と電池パック100(組電池10)の2つを電源とする2電源システムを構築している。
<電源システムの構成要素>
鉛蓄電池110は化学反応によって起電圧を生成する。鉛蓄電池110は組電池10よりも蓄電容量が多い。
スタータモータ120はエンジン140を始動する。スタータモータ120はエンジン140の始動時にエンジン140と機械的に連結される。スタータモータ120の回転によってエンジン140のクランクシャフトが回転される。エンジン140のクランクシャフトの回転数が所定回転数を超えると、燃料噴射弁から燃焼室に霧状の燃料が噴射される。この際に点火プラグで火花が生成される。これにより燃料が爆発し、エンジン140が自律回転し始める。このエンジン140の動力によって車両の推進力が得られる。エンジン140が自律回転し始めると、スタータモータ120とエンジン140との機械的な連結が解除される。
回転電機130は力行と発電を行う。回転電機130には図示しないインバータが接続されている。このインバータが第2ワイヤハーネス220に電気的に接続されている。
インバータは鉛蓄電池110および電池パック100の組電池10のうちの少なくとも一方から供給された直流電圧を交流電圧に変換する。この交流電圧が回転電機130に供給される。これにより回転電機130は力行する。
回転電機130はエンジン140と連結されている。回転電機130とエンジン140とは、ベルトなどを介して相互に回転エネルギーを伝達可能になっている。回転電機130の力行によって生じた回転エネルギーはエンジン140に伝達される。これによりエンジン140の回転が促進される。この結果、車両走行がアシストされる。上記したように電源システム200を搭載する車両はアイドルストップ機能を有する。回転電機130は車両走行のアシストだけではなく、エンジン140の再始動時においてクランクシャフトを回転させる機能も果たす。
回転電機130はエンジン140の回転エネルギー、および、車両の車輪の回転エネルギーの少なくとも一方によって発電する機能も有する。回転電機130は発電によって交流電圧を生成する。この交流電圧がインバータによって直流電圧に変換される。この直流電圧が、電池パック100、鉛蓄電池110、および、電気負荷150それぞれに供給される。
エンジン140は燃料を燃焼駆動することで車両の推進力を生成する。上記したようにエンジン140の始動時においては、スタータモータ120によってクランクシャフトが回転される。しかしながらアイドルストップによってエンジン140が一度停止した後に再び始動する際に、上記の所定の始動条件が満たされる場合、回転電機130によってクランクシャフトが回転される。
電気負荷150は一般負荷151と保護負荷152を有する。一般負荷151には、シートヒータ、送風ファン、電動コンプレッサ、ルームライト、および、ヘッドライトなどの供給電力が一定でなくともよい車載機器が含まれる。保護負荷152には、電動シフトポジション、電動パワーステアリング(EPS)、ブレーキ(ABS)、ドアロック、ナビゲーションシステム、および、オーディオなどの供給電力が一定であることが求められる車載機器が含まれる。ここに例示した保護負荷152は供給電圧がリセット閾値を下回るとオン状態からオフ状態へと切り換わる性質を有する。保護負荷152には一般負荷151よりも車両走行に関連性の高い車載機器が含まれる。
なお、上記した各種車載機器が一般負荷151と保護負荷152に含まれる構成は一例に過ぎない。車載システムの変更などに応じて、各種車載機器を一般負荷151と保護負荷152に適宜振り分けることができる。例えば一般負荷151にEPSやABSが含まれる構成を採用することができる。
上位ECU160とMGECU170は車両に搭載された各種ECUのうちの1つである。これら各種ECUはバス配線161を介して互いに電気的に接続され、車載ネットワークを構築している。各種ECUが協調制御することで、エンジン140の燃焼および回転電機130の力行や発電などが制御される。上位ECU160は電池パック100を制御する。MGECU170は回転電機130を制御する。
また図示しないが、電源システム200は、上記した各車載機器の他に、各種電圧や電流などの物理量、および、アクセルペダルの踏み込み量やスロットルバルブ開度などの車両情報を測定するためのセンサを有している。これら各種センサの検出した検出信号は、各種ECUに入力される。
<電池パックの概要>
図1に示すように電池パック100は、組電池10、回路基板20、スイッチ30、センサ部40、および、給電バスバー50を有する。また図2および図3に示すように電池パック100は、モジュールケース60と連結バスバー70を有する。
組電池10は鉛蓄電池110よりも体格が小さく、重量も軽くなっている。組電池10は鉛蓄電池110よりもエネルギー密度が高い性質を有する。
回路基板20は、配線基板21とBMU22を有する。この配線基板21にはスイッチ30の一部とBMU22が搭載されている。そしてこの回路基板20にスイッチ30の残りと組電池10とが給電バスバー50を介して電気的に接続されている。これにより電池パック100の電気回路が構成されている。この電気回路にセンサ部40が電気的に接続されている。
電池パック100の電気回路は図1において二重丸で示す外部接続端子と電気的に接続されている。この外部接続端子としては、第1外部接続端子100a、第2外部接続端子100b、第3外部接続端子100c、第4外部接続端子100d、および、第5外部接続端子100eがある。
第1外部接続端子100a、第4外部接続端子100d、および、第5外部接続端子100eは第1ワイヤハーネス210を介して鉛蓄電池110、スタータモータ120、および、電気負荷150それぞれと電気的に接続されている。第2外部接続端子100bは第2ワイヤハーネス220を介して回転電機130と電気的に接続されている。第3外部接続端子100cは車両のボディにボルト止めされている。この第3外部接続端子100cに挿入されるボルトが、電池パック100と車両のボディとを接続する機能を果たす。これにより電池パック100はボディアースされている。
なお図1に示すように第1ワイヤハーネス210は、鉛蓄電池110、スタータモータ120、および、一般負荷151を接続するものと、保護負荷152を接続するものとに分けられている。この鉛蓄電池110、スタータモータ120、および、一般負荷151を接続する第1ワイヤハーネス210の端部は二又に分かれている。二又に分かれた端部の一方が第1外部接続端子100aに接続され、他方が第5外部接続端子100eに接続される。保護負荷152を接続する第1ワイヤハーネス210の端部は第4外部接続端子100dに接続される。
図2~図4に示すようにモジュールケース60は電池ケース61と配線ケース62を有する。電池ケース61に組電池10が収納される。そしてこの電池ケース61に配線ケース62が連結される。これにより電池ケース61と配線ケース62の中に組電池10が収納される。また組電池10を構成する複数の電池セルの電極端子が図4に示す連結バスバー70を介して電気的に直列接続される。これにより電池モジュールが構成されている。なお、図3の(a)欄は電池モジュールの正面図を示している。図3の(b)欄は図3の(a)欄に示すIIIb-IIIb線から高さ方向において電池モジュールを見た場合の上面図を示している。
図示しないが、電池パック100はパックケースを有する。パックケースは筐体とカバーを有する。この筐体とカバーとによって収納空間が構成されている。この収納空間に、組電池10、モジュールケース60、連結バスバー70、回路基板20、スイッチ30、センサ部40、および、給電バスバー50それぞれが収納されている。
<電池パックの構成要素>
組電池10は複数の電池セルを有する。この電池セルは具体的にはリチウムイオン電池である。リチウムイオン電池は化学反応によって起電圧を生成する。起電圧の生成により電池セルに電流が流れる。これにより電池セルは発熱してガスを発生する。そのために電池セルは膨張する。なお電池セルとしては上記例に限定されない。例えば電池セルとしては、ニッケル水素二次電池、有機ラジカル電池などの二次電池を採用することができる。
上記したように回路基板20は配線基板21とBMU22を有する。配線基板21は絶縁基板に導電材料からなる配線パターンの形成されたプリント基板である。絶縁基板の表面および内部の少なくとも一方に、配線パターンとして第1給電線23、第2給電線24、および、第3給電線25が形成されている。図10および図11に示すように配線基板21(回路基板20)は電池ケース61(モジュールケース60)と高さ方向で対向配置される。また回路基板20はモジュールケース60と横方向で並んでいる。
配線基板21には図示しない導電プレートが固定されている。この導電プレートにボルト孔が形成されている。この導電プレートのボルト孔にボルトが通される。ボルトが筐体に固定される。これにより配線基板21は筐体と機械的および電気的に接続されている。
配線基板21には配線パターンと電気的に接続される端子が形成されている。この端子としては、第1内部端子26a、第2内部端子26b、第3内部端子26c、および、第4内部端子26dがある。また配線基板21には上記の第5外部接続端子100eが設けられている。第5外部接続端子100eはコネクタである。この第5外部接続端子100eも配線パターンと電気的に接続されている。これら配線パターンと内部端子および第5外部接続端子100eそれぞれの電気的な接続の説明は、後の電池パック100の回路構成の説明の際に行う。
スイッチ30は、第1スイッチ31、第2スイッチ32、第3スイッチ33、第4スイッチ34、第5スイッチ35、および、第6スイッチ36を有する。第1スイッチ31と第2スイッチ32は筐体に搭載される。第3スイッチ33と第4スイッチ34、および、第5スイッチ35と第6スイッチ36それぞれは配線基板21に搭載される。
第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれは半導体スイッチを有する。この半導体スイッチは具体的にはNチャネル型MOSFETである。したがって第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれはハイレベルの制御信号の入力によって閉状態になる。第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれはローレベルの制御信号の入力によって開状態になる。
この第1スイッチ31~第4スイッチ34の有する半導体スイッチとしてはIGBTなどを採用することもできる。この場合、IGBTにはダイオードが並列接続される。
第5スイッチ35と第6スイッチ36それぞれはメカニカルリレーである。詳しく言えば第5スイッチ35と第6スイッチ36それぞれはノーマリクローズ式の電磁リレーである。したがって第5スイッチ35と第6スイッチ36それぞれはハイレベルの制御信号の入力によって開状態になる。第5スイッチ35と第6スイッチ36それぞれはローレベルの制御信号の入力によって閉状態になる。換言すれば、第5スイッチ35と第6スイッチ36それぞれはハイレベルの制御信号の入力が途絶えると閉状態になる。
第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれは、2つのMOSFETが直列接続されてなる開閉部を少なくとも1つ有する。これら2つのMOSFETはソース電極同士が連結されている。2つのMOSFETのゲート電極は電気的に独立している。MOSFETは寄生ダイオードを有する。2つのMOSFETの寄生ダイオードは互いにアノード電極同士が連結されている。上記のゲート電極は図示しない内部導電部材を介して回路基板20と電気的に接続される。
第1スイッチ31と第2スイッチ32は複数の開閉部を有する。複数の開閉部は並列接続されている。複数の開閉部それぞれのソース電極は互いに電気的に接続されている。
第3スイッチ33は1つの開閉部を有する。第4スイッチ34は複数の開閉部を有する。第4スイッチ34の有する複数の開閉部は直列接続されている。
図1では第1スイッチ31と第2スイッチ32それぞれの並列接続された開閉部を2つ示している。第4スイッチ34の有する直列接続された開閉部を2つ示している。これら開閉部の数は電流量や冗長性などに応じて適宜定めることができる。
第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれは開閉部を被覆する樹脂部を有する。この樹脂部は直方体形状を成している。樹脂部は最も面積の広い2つの主面の間の長さ(厚さ)の薄い扁平形状を成している。
第1スイッチ31と第2スイッチ32それぞれの樹脂部には、2つの主面を貫通するボルト孔が形成されている。筐体には樹脂部のボルト孔に対応する取付孔が形成されている。樹脂部のボルト孔と筐体の取付孔にボルトが締結される。これにより第1スイッチ31と第2スイッチ32が筐体に固定されるとともに熱的に連結される。なお樹脂部と放熱部との間には絶縁フィルムが設けられる。
上記したように電気回路にセンサ部40が電気的に接続されている。このセンサ部40は、組電池10とスイッチ30それぞれの状態を検出するセンサ素子を有する。センサ部40はセンサ素子として、温度センサ、電流センサ、および、電圧センサを有する。
センサ部40は組電池10の温度、電流、および、電圧を検出する。センサ部40はそれを組電池10の状態信号としてBMU22に出力する。またセンサ部40はスイッチ30の温度、電流、および、電圧を検出する。センサ部40はそれをスイッチ30の状態信号としてBMU22に出力する。
図13では、これら複数のセンサのうちの代表として、組電池10の電圧を検出する電圧センサ41と、組電池10の最低温度と最高温度を検出する温度センサ42を明示している。
センサ部40は上記の各種センサの他に水没センサ43を有する。水没センサ43は水などによって抵抗値が変化する。水没センサ43はこの抵抗値の変化をBMU22が検出する。BMU22は抵抗の変化が所定時間継続されるか否かに基づいて、電池パック100の水没を検出する。
BMU22はセンサ部40の状態信号、および、上位ECU160からの指令信号の少なくとも一方に基づいてスイッチ30を制御する。BMUはbattery management unitの略である。
上記したように第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれは複数の半導体スイッチを有する。BMU22は例えば第1スイッチ31の開閉を制御する場合、第1スイッチ31の有する全ての半導体スイッチを同時に閉状態、若しくは、同時に開状態に制御する。すなわちBMU22は、第1スイッチ31の有する全ての半導体スイッチのゲート電極にハイレベルの制御信号、若しくは、ローレベルの制御信号を同時に出力する。
なおBMU22は、半導体スイッチを閉状態にする期間において、ハイレベルの制御信号を間断的に出力することで半導体スイッチの閉時間を調整してもよい。簡単に言えば、BMU22は半導体スイッチをパルス幅制御してもよい。
BMU22はセンサ部40の状態信号に基づいて組電池10の充電状態(SOC)やスイッチ30の異常を判定する。SOCはstate of chargeの略である。BMU22はこれらSOCや異常を判定した信号(判定情報)を上位ECU160に出力する。
上位ECU160はBMU22から入力された判定情報、および、他の各種ECUから入力された車両情報に基づいてスイッチ30の制御を決定する。そして上位ECU160はその決定したスイッチ30の制御を含む指令信号をBMU22に出力する。
BMU22は上位ECU160からの指令信号に基づいてスイッチ30を制御する。なお、BMU22は水没センサ43の状態信号により電池パック100が水没したと判断した場合、スイッチ30への制御信号の出力の停止を独断で実行する。これにより組電池10の電気的な接続が遮断される。
またBMU22はスイッチ30が高温になると、スイッチ30の駆動を制限する。例えばBMU22がスイッチ30の半導体スイッチをパルス幅制御していた場合、BMU22はそのデューティ比を低める。これにより半導体スイッチの通電時間が短くなる。この結果、半導体スイッチの発熱が抑制される。
給電バスバー50はアルミニウムや銅などの導電材料から成る。給電バスバー50は例えば以下に列挙する方法で製造することができる。給電バスバー50は1枚の平板を屈曲加工することで製造することができる。給電バスバー50は複数の平板が一体的に連結されることで製造することができる。給電バスバー50は複数の平板を溶接することで製造することができる。給電バスバー50は鋳型に溶融状態の導電材料を流し込むことで製造することができる。以上に列挙した製造方法とは異なる製造方法によっても給電バスバー50を製造することができる。給電バスバー50の製造方法としては特に限定されない。さらに言えば、給電バスバー50としては、例えば絶縁電線を採用することもできる。
電池パック100は給電バスバー50として、第1給電バスバー51、第2給電バスバー52、第3給電バスバー53、および、第4給電バスバー54を有する。これら複数の給電バスバーによって回路基板20と組電池10、および、回路基板20と外部接続端子とが電気的に接続されている。図1ではこれら給電バスバーそれぞれを配線基板21の給電線よりも太くして図示している。これら給電バスバーは図示しない絶縁性の樹脂台に設けられている。樹脂台は配線ケース62と縦方向で対向配置される。
上記したようにモジュールケース60は電池ケース61と配線ケース62を有する。これら電池ケース61と配線ケース62それぞれは絶縁性の樹脂材料からなる。電池ケース61と配線ケース62それぞれの比熱は空気よりも高くなっている。この電池ケース61と配線ケース62とによって構成される空間に組電池10が収納される。
連結バスバー70は給電バスバー50と同等の製造方法によって形成される。連結バスバー70は配線ケース62に設けられる。連結バスバー70は組電池10の有する複数の電池セルを電気的および機械的に連結する。
上記したように電池パック100はパックケースを有する。パックケースの有する筐体はアルミダイカストで製造することができる。また筐体は鉄やステンレスをプレス加工することによっても製造することができる。
筐体は、底壁と、底壁の底面から環状に起立した側壁と、を有する。環状の側壁によって開口部が構成されている。この開口部がカバーによって覆われる。これにより収納空間が構成される。カバーは樹脂製若しくは金属製である。
なお底壁には第3外部接続端子100cに相当する孔が形成されている。この孔に挿入されるボルトを介して底壁は車両のボディと機械的および電気的に接続されている。これにより筐体はグランド電位になっている。
本実施形態のパックケース(電池パック100)は車両の座席下方に設けられる。しかしながら電池パック100の配置としてはこれに限定されない。電池パック100は、例えば後部座席とトランクルームとの間の空間、および、運転席と助手席の間の空間などに配置することもできる。
<電池パックの回路構成>
次に、電池パック100の回路構成を説明する。以下に示す各給電バスバーと各スイッチとの接続はTIG溶接によって行われる。各給電バスバーと外部接続端子との接続はボルト締めによって行われる。そして各給電バスバーと回路基板20との接続はろう接によって行われる。なお、各給電バスバーと各スイッチとはレーザ溶接によって接続してもよい。
図1に示すように第1外部接続端子100aと第1スイッチ31の一端とが第1給電バスバー51を介して電気的に接続されている。この第1給電バスバー51から一部が分岐している。この第1給電バスバー51の分岐部位51aが配線基板21の第1内部端子26aと電気的に接続されている。
第1スイッチ31の他端と第2外部接続端子100bとが第2給電バスバー52を介して電気的に接続されている。この第2給電バスバー52から一部が分岐している。この第2給電バスバー52の分岐部位52aが第2スイッチ32の一端と電気的に接続されている。
また第2給電バスバー52における第1スイッチ31の他端と分岐部位52aとの連結部位との間から一部が分岐している。この分岐部位52bが配線基板21の第4内部端子26dと電気的に接続されている。
第2スイッチ32の他端と組電池10の正極とが第3給電バスバー53を介して電気的に接続されている。この第3給電バスバー53から一部が分岐している。この第3給電バスバー53の分岐部位53aが配線基板21の第2内部端子26bと電気的に接続されている。なお組電池10の負極は第3外部接続端子100cと電気的に接続されている。
配線基板21の第1内部端子26aと第2内部端子26bとは第1給電線23を介して電気的に接続されている。この第1給電線23に、第1内部端子26aから第2内部端子26bに向かって順に第3スイッチ33と第4スイッチ34とが直列接続されている。
配線基板21の第3内部端子26cと第4内部端子26dとは第2給電線24を介して電気的に接続されている。そして第3内部端子26cは第4給電バスバー54を介して第4外部接続端子100dと電気的に接続されている。
第2給電線24には第6スイッチ36が設けられている。そして第2給電線24における第3内部端子26cと第6スイッチ36との間の中点が、第1給電線23における第3スイッチ33と第4スイッチ34との間の中点と連結されている。これにより第6スイッチ36は第3スイッチ33と並列接続されている。
また第2給電線24における第4内部端子26dと第6スイッチ36との間の中点が、第3給電線25を介して第5外部接続端子100eと電気的に接続されている。この第3給電線25に第5スイッチ35が設けられている。これにより第5スイッチ35は第1スイッチ31と並列接続されている。
以上により、第1スイッチ31、第2スイッチ32、第4スイッチ34、および、第3スイッチ33が順に環状に接続されている。第1スイッチ31と第2スイッチ32の中点が第2外部接続端子100bに接続されている。第2スイッチ32と第4スイッチ34の中点が組電池10に接続されている。第4スイッチ34と第3スイッチ33の中点が第4外部接続端子100dに接続されている。第3スイッチ33と第1スイッチ31の中点が第1外部接続端子100aに接続されている。
また、第1スイッチ31と第2スイッチ32との中点が第6スイッチ36を介して第4スイッチ34と第3スイッチ33の中点に接続されている。第1スイッチ31と第2スイッチ32との中点が第5スイッチ35を介して第5外部接続端子100eに接続されている。
以上の電気的な接続構成により、第1スイッチ31を開閉制御することで第1外部接続端子100aと第2外部接続端子100bとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第1スイッチ31を開閉制御することで鉛蓄電池110と回転電機130との電気的な接続が制御される。
第2スイッチ32を開閉制御することで第2外部接続端子100bと組電池10との電気的な接続が制御される。換言すれば、第2スイッチ32を開閉制御することで回転電機130と組電池10との電気的な接続が制御される。
第4スイッチ34を開閉制御することで第2内部端子26bと第3内部端子26cとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第4スイッチ34を開閉制御することで組電池10と保護負荷152との電気的な接続が制御される。
第3スイッチ33を開閉制御することで第1内部端子26aと第3内部端子26cとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第3スイッチ33を開閉制御することで鉛蓄電池110と保護負荷152との電気的な接続が制御される。
また、第6スイッチ36を開閉制御することで第4内部端子26dと第3内部端子26cとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第6スイッチ36を開閉制御することで回転電機130と保護負荷152との電気的な接続が制御される。
第5スイッチ35を開閉制御することで第4内部端子26dと第5外部接続端子100eとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第5スイッチ35を開閉制御することで回転電機130と鉛蓄電池110との電気的な接続が制御される。
さらに言えば、第5スイッチ35と第6スイッチ36を同時に開閉制御することで第3内部端子26cと第5外部接続端子100eとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第5スイッチ35と第6スイッチ36を同時に開閉制御することで保護負荷152と鉛蓄電池110との電気的な接続が制御される。
<電池モジュールの構成>
以下においては互いに直交の関係にある3方向を、横方向、縦方向、および、高さ方向と示す。横方向は車両の左右方向に沿っている。高さ方向は車両の天地方向に沿っている。車両が水平面に停車している場合、高さ方向は鉛直方向に沿う。横方向と縦方向は水平方向に沿う。
<組電池>
上記したように組電池10は複数の電池セルを有する。この電池セルは直方体形状を成している。そのために電池セルは6面を有する。図4に示すように電池セルは高さ方向に面する第1主面10aと第2主面10bを有する。電池セルは横方向に面する第1側面10cと第2側面10dを有する。電池セルは縦方向に面する上端面10eを有する。また図示しないが電池セルは縦方向に面する下端面を有する。これら6面のうち第1主面10aと第2主面10bは他の4面よりも面積が大きくなっている。そして電池セルは第1主面10aと第2主面10bとの間の長さ(厚さ)の薄い扁平形状を成している。
電池セルの上端面10eに電極端子としての正極端子10gと負極端子10hが形成されている。正極端子10gと負極端子10hは直方体形状を成している。正極端子10gと負極端子10hは電池セルから離れるように上端面10eから縦方向に沿って突起している。
正極端子10gと負極端子10hは横方向に離間して並んでいる。正極端子10gは第1側面10c側に位置する。負極端子10hは第2側面10d側に位置する。
図4に示すように上端面10eにおける正極端子10gと負極端子10hとの間には、局所的に剛性の低い安全弁10iが形成されている。上記したように電池セルはガスの生成によって膨張する。ガスの生成によって電池セルの内圧が上昇すると、安全弁10iに亀裂が生じる。これにより電池セルのガスが安全弁10iを介して外に排出される。
上端面10eにおける正極端子10g、負極端子10h、および、安全弁10iそれぞれの非形成領域にパッキン10jが設けられる。パッキン10jはゴムなどの弾性材料から成る。パッキン10jは縦方向に開口する環状を成す。パッキン10jは正極端子10gおよび負極端子10hそれぞれよりも縦方向の長さが長くなっている。パッキン10jは電池ケース61と配線ケース62との連結によって、電池セルと配線ケース62との間で挟持される。
本実施形態の組電池10は第1電池セル11、第2電池セル12、第3電池セル13、第4電池セル14、および、第5電池セル15を有する。これら複数の電池セルが並ぶことで電池スタックが構成されている。これら複数の電池セルが電気的に直列接続される。第1電池セル11が最低電位の電池セルになる。第5電池セル15が最高電位の電池セルになる。
本実施形態では上記の電池スタックとして第1電池スタック10lと第2電池スタック10mが構成されている。第1電池スタック10lに5つの電池セルのうちの第1電池セル11、第4電池セル14、および、第5電池セル15が分配されている。第2電池スタック10mには残りの第2電池セル12と第3電池セル13が分配されている。
第1電池スタック10lでは第1電池セル11、第4電池セル14、および、第5電池セル15が高さ方向で順に並んでいる。第2電池スタック10mでは第2電池セル12と第3電池セル13が高さ方向で並んでいる。これら電池スタックが電池ケース61に収納される。
<電池ケース>
次に図5および図6に基づいて電池ケース61を説明する。図5の(a)欄は電池ケースの斜視図を示している。図5の(b)欄は電池ケースの正面図を示している。図6の(a)欄は電池ケースの背面図を示している。図6の(b)欄は電池ケースの上面図を示している。
図5および図6に示すように電池ケース61は縦方向に開口する箱形状を成している。電池ケース61は縦方向に面する底壁63、底壁63の内面61aから縦方向に環状に起立した周壁64を有する。底壁63には内面61aとその裏側の外面61bとを縦方向に貫通する開口窓63aが形成されている。この開口窓63aによって電池ケース61(モジュールケース60)の中とその外とが連通されている。
周壁64は高さ方向に並ぶ上壁64aと下壁64b、および、横方向に並ぶ左壁64cと右壁64dを有する。縦方向まわりの周方向で、上壁64a、右壁64d、下壁64b、および、左壁64cが順に連結されて環状を成している。
また電池ケース61は環状の周壁64によって囲まれた領域を横方向で2つに分ける第1区画壁64eを有する。この第1区画壁64eによって、電池ケース61の周壁64によって囲まれた領域は、第1電池スタック10lを収納する第1スタック収納空間64fと、第2電池スタック10mを収納する第2スタック収納空間64gと、に分けられている。
さらに電池ケース61は、スタック収納空間を各電池セルに応じた個別の収納空間に分けるための第2区画壁64hを有する。第1スタック収納空間64fには2つの第2区画壁64hが設けられている。これら2つの第2区画壁64hは、第1スタック収納空間64f内において高さ方向で離間して並んでいる。そしてこれら2つの第2区画壁64hは第1区画壁64eと右壁64dとを連結している。これにより第1スタック収納空間64fは高さ方向において下壁64bから上壁64a側に向かって順に並ぶ第1収納空間64i、第4収納空間64l、および、第5収納空間64mに区画されている。
第2スタック収納空間64gには1つの第2区画壁64hが設けられている。この1つの第2区画壁64hは、第2スタック収納空間64g内において上壁64aと下壁64bとの間に位置している。そしてこの1つの第2区画壁64hは左壁64cと第1区画壁64eとを連結している。これにより第2スタック収納空間64gは高さ方向において下壁64bから上壁64a側に向かって順に並ぶ第2収納空間64jと第3収納空間64kに区画されている。
以上に示したように第1スタック収納空間64fは3つの収納空間を有する。これに対して第2スタック収納空間64gは2つの収納空間を有する。そのために第1スタック収納空間64fは第2スタック収納空間64gよりも高さ方向の長さが長くなっている。
図5の(b)欄に示すように、2つのスタック収納空間それぞれの一部を区画する下壁64bは横方向に延びた形状を成している。そのために下壁64bにおける第1スタック収納空間64fを区画する部位の高さ方向の位置と、第2スタック収納空間64gを区画する部位の高さ方向の位置とが等しくなっている。
これに対して、上壁64aにおける第1スタック収納空間64fの一部を区画する部位は、第2スタック収納空間64gの一部を区画する部位よりも、高さ方向において下壁64bから離間している。そして上壁64aにおける第1スタック収納空間64fの一部を区画する部位と、第2スタック収納空間64gの一部を区画する部位との間の部位は、高さ方向に沿って延びている。これにより上壁64aは高さ方向と横方向とによって規定される平面においてクランク形状を成している。
以上に示した下壁64bと上壁64aの形状のために、第5収納空間64mの横方向における第3収納空間64k側に、1つの収納空間分の空き空間が構成されている。なお第1収納空間64iと第2収納空間64jは横方向で並んでいる。第4収納空間64lと第3収納空間64kは横方向で並んでいる。
図10および図11に示すように、この空き空間に回路基板20の少なくとも一部が設けられる。回路基板20の有する配線基板21は高さ方向の厚さの薄い平板形状を成している。この配線基板21の縦方向に沿う側部が第5収納空間64mと横方向で並んでいる。図11の(a)欄は電池パックの正面図を示す。図11の(b)欄は電池パックの上面図を示す。
上記した5つの個別の収納空間はそれぞれ縦方向に開口している。これら収納空間の開口からその中側へと電池セルが挿入される。各電池セルは、対応する収納空間に対して、電池セルの下端面が電池ケース61の底壁63の内面61aと接触するまで挿入される。この挿入状態で、各電池セルの正極端子10gと負極端子10hが収納空間の外に飛び出している。また電池セルの第1主面10a、第2主面10b、第1側面10c、および、第2側面10dそれぞれの上端面10e側も電池ケース61の外に飛び出している。
第1スタック収納空間64fでは、第1電池セル11と第4電池セル14それぞれの第2主面10bが高さ方向で対向している。第4電池セル14と第5電池セル15それぞれの第1主面10aが高さ方向で互いに対向している。これにより正極端子10gと負極端子10hが高さ方向で交互に並んでいる。
第2スタック収納空間64gでは、第2電池セル12と第3電池セル13それぞれの第2主面10bが高さ方向で互いに対向している。これにより正極端子10gと負極端子10hが高さ方向で交互に並んでいる。
そして第1電池セル11の正極端子10gと第2電池セル12の負極端子10hが横方向で並んでいる。第4電池セル14の負極端子10hと第3電池セル13の正極端子10gが横方向で並んでいる。
電池ケース61は上記した底壁63と周壁64の他に、周壁64の先端から横方向と高さ方向とによって規定される平面に沿って電池ケース61の中心から外に離れる方向に延びる第1フランジ部65を有する。第1フランジ部65は周壁64の上壁64a、右壁64d、下壁64b、および、左壁64cそれぞれに形成されて環状を成している。
第1フランジ部65における右壁64dと左壁64cそれぞれに形成された部位には、縦方向に沿う複数の第1ねじ孔61cが形成されている。第1区画壁64eにも第1ねじ孔61cが形成されている。また第1フランジ部65における上壁64aに形成された部位にも第1ねじ孔61cが形成されている。この第1フランジ部65に形成された第1ねじ孔61cは第1区画壁64eに形成された第1ねじ孔61cと高さ方向で並んでいる。これら複数の第1ねじ孔61cそれぞれは電池ケース61の内面61aに開口している。
<配線ケース>
次に図7および図8に基づいて配線ケース62を説明する。図7の(a)欄は配線ケースの斜視図を示している。図7の(b)欄は配線ケースの正面図を示している。図8の(a)欄は配線ケースの背面図を示している。図8の(b)欄は配線ケースの上面図を示している。
図7および図8に示すように配線ケース62は横方向に延びた形状を成している。配線ケース62の電池セルとの対向部位は縦方向において電池ケース61から離れる方向に凹んでいる。これにより配線ケース62は縦方向に開口する箱形状を成している。
具体的には、配線ケース62は縦方向に面する蓋壁66、および、蓋壁66から環状に起立した環状壁67を有する。蓋壁66は縦方向において電池セルと対向配置される。環状壁67は蓋壁66における電池ケース61側の面(内面62a)の縁部から電池セル側に起立している。
環状壁67は高さ方向に並ぶ上壁67aと下壁67b、および、横方向に並ぶ左壁67cと右壁67dを有する。縦方向まわりの周方向で、上壁67a、右壁67d、下壁67b、および、左壁67cが順に連結されて環状を成している。横方向と高さ方向によって規定される平面において、環状壁67は電池ケース61の周壁64と類似の形状を成している。
そのために環状壁67の上壁67aは、周壁64の上壁64aと同様にして、第1スタック収納空間64f側の部位が第2スタック収納空間64g側の部位よりも、高さ方向において下壁64bから離間している。そして上壁67aにおける第1スタック収納空間64fと第2スタック収納空間64gとの間の部位は、高さ方向に沿って延びている。これにより上壁67aは高さ方向と横方向とによって規定される平面においてクランク形状を成している。
図7および図8に示すように配線ケース62は、これら蓋壁66と環状壁67の他に、環状壁67の先端から横方向と高さ方向によって規定される平面に沿って配線ケース62の中心から離れる方向に延びる第2フランジ部68を有する。第2フランジ部68は環状壁67の上壁67a、右壁67d、下壁67b、および、左壁67cそれぞれに形成されて環状を成している。
第2フランジ部68における右壁67dと左壁67cそれぞれに形成された部位には、縦方向に沿う複数の第2ねじ孔62cが形成されている。蓋壁66における第1区画壁64eとの対向部位に第2ねじ孔62cが形成されている。また第2フランジ部68における上壁67aに形成された部位にも第2ねじ孔62cが形成されている。この第2フランジ部68に形成された第2ねじ孔62cは蓋壁66における第1区画壁64eとの対向部位に形成された第2ねじ孔62cと高さ方向で並んでいる。これら複数の第2ねじ孔62cそれぞれは配線ケース62の内面62aとその裏側の外面62bそれぞれに開口している。
配線ケース62は、電池ケース61の収納空間の開口部を閉塞するとともに、電池セルにおける電池ケース61の開口から外に飛び出した部位を覆うように、電池ケース61に設けられる。この配線ケース62の電池ケース61への配置により、電池ケース61の第1ねじ孔61cの開口する内面61aと、配線ケース62の第2ねじ孔62cの開口する内面62aとが縦方向で対向する。
これらねじ孔の開口する電池ケース61の内面61aと配線ケース62の内面62aとの間には図示しないカラーが設けられる。カラーは縦方向の長さ(厚さ)の薄い扁平形状を成している。カラーはギャップを有する環状を成している。カラーの環状を成す部位は縦方向に開口している。このカラーの開口が、第1ねじ孔61cの内面61a側の開口と第2ねじ孔62cの内面62a側の開口との間に位置する。
これら第2ねじ孔62c、カラー、および、第1ねじ孔61cが縦方向に並ぶことで構成される複数の合成ねじ孔それぞれに、図3および図4に示すねじ部材60bが締結される。これにより電池ケース61と配線ケース62とが互いに縦方向に近づく態様で機械的に接続(連結)される。この連結状態において、電池ケース61は配線ケース62の縦方向への投影面内に収められている。
なお第1ねじ孔61cと第2ねじ孔62cの少なくとも一方にねじ溝が形成されていればよい。そして第1ねじ孔61cが電池ケース61の外面61b側で開口し、ねじ部材60bのねじ軸の先端がそこから外に突出している場合、そのねじ軸の先端にナットが締結される。
上記の電池ケース61と配線ケース62の連結により、電池セルの上端面10eに設けられたパッキン10jは、電池セルと配線ケース62との間で縦方向に圧縮される。これにより縦方向に沿ってパッキン10jから離れる方向に向かう復元力がパッキン10jに発生する。この復元力により電池セルが縦方向に押圧される。電池セルはパッキン10jと電池ケース61の底壁63との間で挟持される。これにより電池セルの縦方向の変位と膨張が抑制されている。
上記したように電池セルは高さ方向に面する第1主面10aと第2主面10bを有する。これら第1主面10aと第2主面10bは他の4面よりも面積が大きくなっている。そのために電池セルはそれぞれ高さ方向に膨張しやすくなっている。図示しないが、この電池セルの高さ方向の膨張を抑制するための抑え板が、電池ケース61の上壁64aとカバーとの間に設けられる。この抑え板はボルトなどによって筐体の底壁に連結される。これにより組電池10を収納するモジュールケース60は抑え板と底壁との間に設けられる。この抑え板と底壁とによって、モジュールケース60に組電池10が収納された電池モジュールの高さ方向の膨張が抑制されている。
図7および図8に示すように、配線ケース62の蓋壁66には第1電池セル11~第5電池セル15と連結バスバー70とを電気的に接続するための複数の開口部が形成されている。これら複数の開口部は、縦方向に沿って蓋壁66を貫通している。開口部は蓋壁66の内面62aと外面62bとに開口している。
蓋壁66には開口部として、第1開口部66a、第2開口部66b、第3開口部66c、第4開口部66d、第5開口部66e、および、第6開口部66fが形成されている。第1開口部66aと第6開口部66fは、組電池10の出力としての機能を果たす正極端子10gと負極端子10hに対応して蓋壁66に形成されている。第2開口部66b~第5開口部66eは、複数の電池セルの電気的な直列接続に関連する正極端子10gと負極端子10hに対応して蓋壁66に形成されている。
電池ケース61に配線ケース62が連結された状態において、第1開口部66aは、蓋壁66における第1電池セル11の負極端子10hと縦方向で対向する部位に形成されている。第2開口部66bは、蓋壁66における第1電池セル11の正極端子10gと縦方向で対向する部位、および、第2電池セル12の負極端子10hと縦方向で対向する部位それぞれに形成されている。
第3開口部66cは、蓋壁66における第2電池セル12の正極端子10gと縦方向で対向する部位、および、第3電池セル13の負極端子10hと縦方向で対向する部位それぞれに形成されている。第4開口部66dは、蓋壁66における第3電池セル13の正極端子10gと縦方向で対向する部位、および、第4電池セル14の負極端子10hと縦方向で対向する部位それぞれに形成されている。
第5開口部66eは、蓋壁66における第4電池セル14の正極端子10gと縦方向で対向する部位、および、第5電池セル15の負極端子10hと縦方向で対向する部位それぞれに形成されている。第6開口部66fは、蓋壁66における第5電池セル15の正極端子10gと縦方向で対向する部位に形成されている。
以上により、配線ケース62における第1スタック収納空間64f側では、第1開口部66aと第5開口部66eとが高さ方向で並んでいる。そしてこれらと横方向で離間して、第2開口部66b、第4開口部66d、および、第6開口部66fが高さ方向で並んでいる。これにより配線ケース62における第1スタック収納空間64f側では、第1開口部66aおよび第5開口部66eと、第2開口部66b、第4開口部66d、および、第6開口部66fとの間にスペースが構成されている。このスペースは後述の第1スペースに相当する。
また配線ケース62における第2スタック収納空間64g側では、第2開口部66bと第4開口部66dとが高さ方向で並んでいる。そしてこれらと横方向で離間して、第3開口部66cが位置している。これにより配線ケース62における第2スタック収納空間64g側では、第2開口部66bおよび第4開口部66dと、第3開口部66cとの間にスペースが構成されている。このスペースは後述の第2スペースに相当する。
<連結バスバー>
連結バスバー70は、第1連結バスバー71、第2連結バスバー72、第3連結バスバー73、第4連結バスバー74、第5連結バスバー75、および、第6連結バスバー76を有する。これら第1連結バスバー71~第6連結バスバー76は、図3および図4に示すように蓋壁66の外面62bに設けられる。そしてその一部が対応する開口部に設けられる。
なお、蓋壁66には連結バスバー70に対応して電池ケース61側に局所的に凹んだ複数のバスバー凹部84が形成されている。バスバー凹部84は縦方向において蓋壁66の外面62bから内面62aに向かって局所的に凹んで形成されている。複数のバスバー凹部84それぞれの底部に、第1開口部66a~第6開口部66fが形成されている。
バスバー凹部84の底部の縦方向の長さは、正極端子10gと負極端子10hそれぞれの縦方向の長さよりも短くなっている。そのために各開口部の縦方向の長さも正極端子10gと負極端子10hそれぞれの縦方向の長さよりも短くなっている。各開口部を介して正極端子10gと負極端子10hそれぞれがモジュールケース60の外に突出している。
第1連結バスバー71は第1開口部66aを閉塞する態様でバスバー凹部84の外面62b側に設けられる。この第1連結バスバー71における第1開口部66aに設けられた部位が第1電池セル11の負極端子10hとレーザ溶接などによって機械的および電気的に接続される。
第1連結バスバー71には第1電池セル11から離れる態様で縦方向に延びるマイナス接続端子71aが形成されている。このマイナス接続端子71aが組電池10のマイナスの出力端子としての機能を果たす。またこのマイナス接続端子71aは図示しないヒューズを介して筐体に電気的に接続される。これにより第1連結バスバー71はグランド電位になっている。
第2連結バスバー72は第2開口部66bを閉塞する態様でバスバー凹部84の外面62b側に設けられる。第2連結バスバー72は横方向に延びた形状を成している。この第2連結バスバー72における第2開口部66bに設けられた部位が第1電池セル11の正極端子10gおよび第2電池セル12の負極端子10hそれぞれとレーザ溶接などによって機械的および電気的に接続される。これにより第1電池セル11と第2電池セル12とが第2連結バスバー72を介して直列接続される。
第3連結バスバー73は第3開口部66cを閉塞する態様でバスバー凹部84の外面62b側に設けられる。第3連結バスバー73は高さ方向に延びた形状を成している。この第3連結バスバー73における第3開口部66cに設けられた部位が第2電池セル12の正極端子10gおよび第3電池セル13の負極端子10hそれぞれとレーザ溶接などによって機械的および電気的に接続される。これにより第2電池セル12と第3電池セル13とが第3連結バスバー73を介して直列接続される。
第4連結バスバー74は第4開口部66dを閉塞する態様でバスバー凹部84の外面62b側に設けられる。第4連結バスバー74は横方向に延びた形状を成している。この第4連結バスバー74における第4開口部66dに設けられた部位が第3電池セル13の正極端子10gおよび第4電池セル14の負極端子10hそれぞれとレーザ溶接などによって機械的および電気的に接続される。これにより第3電池セル13と第4電池セル14とが第4連結バスバー74を介して直列接続される。
第5連結バスバー75は第5開口部66eを閉塞する態様でバスバー凹部84の外面62b側に設けられる。第5連結バスバー75は高さ方向に延びた形状を成している。この第5連結バスバー75における第5開口部66eに設けられた部位が第4電池セル14の正極端子10gおよび第5電池セル15の負極端子10hそれぞれとレーザ溶接などによって機械的および電気的に接続される。これにより第4電池セル14と第5電池セル15とが第5連結バスバー75を介して直列接続される。
第6連結バスバー76は第6開口部66fを閉塞する態様でバスバー凹部84の外面62b側に設けられる。この第6連結バスバー76における第6開口部66fに設けられた部位が第5電池セル15の正極端子10gとレーザ溶接などによって機械的および電気的に接続される。
第6連結バスバー76には第5電池セル15から離れる態様で縦方向に延びるプラス接続端子76aが形成されている。このプラス接続端子76aが組電池10のプラスの出力端子としての機能を果たす。
以上により、図3の(a)欄に示すように第1連結バスバー71および第5連結バスバー75は蓋壁66の右壁67d側に位置している。第2連結バスバー72、第4連結バスバー74、および、第6連結バスバー76は横方向における蓋壁66の中央側に位置している。これにより蓋壁66の右壁67d側と中央側との間にスペースが形成されている。以下においてはこのスペースを第1スペースと示す。
また、第3連結バスバー73および第4連結バスバー74は蓋壁66の左壁67c側に位置している。これにより蓋壁66における左壁67c側と中央側との間にスペースが形成されている。以下においてはこのスペースを第2スペースと示す。
さらに以下においては、説明の都合上、上記した上壁67aにおける第1スタック収納空間64f側の部位を第1上壁81と示す。上壁67aにおける第2スタック収納空間64g側の部位を第2上壁82と示す。そして上壁67aにおける第1スタック収納空間64fと第2スタック収納空間64gとの間の部位を第3上壁83と示す。
上記したように第1上壁81は第2上壁82よりも高さ方向において下壁64bから離間している。そのために第3上壁83は高さ方向に沿って延びている。
<センサ部>
次に、図3および図14に基づいてセンサ部40を詳説する。
上記したように連結バスバー70としては第1連結バスバー71~第6連結バスバー76がある。電圧センサ41はこれら第1連結バスバー71~第6連結バスバー76それぞれに独立して一端が電気的に接続される第1電圧配線41a~第6電圧配線41fを有する。第1電圧配線41a~第6電圧配線41fそれぞれの他端はBMU22に接続される。これにより第1電圧配線41a~第6電圧配線41fで検出された電圧がBMU22に入力される。これら第1電圧配線41a~第6電圧配線41fは絶縁電線である。第1電圧配線41a~第6電圧配線41fが複数の電圧検出線に相当する。
第1電圧配線41a、第4電圧配線41d、第5電圧配線41e、および、第6電圧配線41fそれぞれの一端は蓋壁66の第1スペースに設けられる。そしてこれら4つの電圧配線の一端は、対応する連結バスバーの第1スペース側の部位にボルト止めされている。これら4つの電圧配線は、対応する連結バスバーから第1上壁81に向かって延びている。
第2電圧配線41bと第3電圧配線41cそれぞれは蓋壁66の第2スペースに設けられる。そしてこれら2つの電圧配線の一端は、対応する連結バスバーの第2スペース側の部位にボルト止めされている。これら2つの電圧配線は、対応する連結バスバーから第2上壁82に向かって延びた後、第3上壁83を介して第1上壁81に延びている。これら第2スペースに設けられる2つの電圧配線は、第1上壁81において、第1スペースから第1上壁81に向かって延びた4つの電圧配線と合流している。
温度センサ42は第1サーミスタ44aと第2サーミスタ44bを有する。また温度センサ42は第1サーミスタ44aに一端の接続された第1温度配線45aと第2サーミスタ44bに接続された第2温度配線45bを有する。これら第1温度配線45aと第2温度配線45bそれぞれの他端はBMU22に接続される。これにより第1サーミスタ44aと第2サーミスタ44bで検出された温度がBMU22に入力される。なお第1温度配線45aと第2温度配線45bは絶縁電線である。これら温度配線それぞれは電気的に独立した2つの電線が絶縁被膜によって覆われて成る。
上記したように第1電池スタック10lでは3つの電池セルが高さ方向に並んでいる。第2電池スタック10mでは2つの電池セルが高さ方向に並んでいる。並ぶ電池セルの数が多いほどに、電池スタックの発熱量が高まる。逆に、並ぶ電池セルの数が少ないほどに、電池スタックの発熱量が低まる。そのために第1電池スタック10lは第2電池スタック10mよりも高温になりやすくなっている。
第1電池スタック10lにおいて第4電池セル14は第1電池セル11と第5電池セル15の間に位置している。そのために第4電池セル14は第1電池セル11と第5電池セル15よりも放熱しがたく、温度が上昇しやすくなっている。
第2電池スタック10mにおいて第2電池セル12は第3電池セル13と高さ方向で並んでいる。これにより第2電池セル12と第3電池セル13は放熱しやすくなっている。
しかしながら第2電池セル12は横方向で第1電池セル11と並んでいる。第4電池セル14は横方向で第3電池セル13と並んでいる。そのために第3電池セル13には第4電池セル14の熱が伝達されやすくなっている。第2電池セル12には第4電池セル14の熱が伝達されがたくなっている。これにより第2電池セル12は第3電池セル13よりも温度が上昇しがたくなっている。
以上に示した構成により、第4電池セル14は他の4つの電池セルよりも温度が上昇しやすくなっている。第2電池セル12は他の4つの電池セルよりも温度が上昇しがたくなっている。
したがって第4電池セル14の温度を検出することで、組電池10を構成する複数の電池セルのうちの最も高い温度(最高温度)を検出できることが期待される。第2電池セル12の温度を検出することで、組電池10を構成する複数の電池セルのうちの最も低い温度(最低温度)を検出できることが期待される。
図3の(a)欄および図4に示すように、第1サーミスタ44aは第4電池セル14に設けられる。これにより第1サーミスタ44aによって最高温度を検出できることが期待される。これに対して第2サーミスタ44bは第2電池セル12に設けられる。これにより第2サーミスタ44bによって最低温度を検出できることが期待される。
第2電池セル12と第4電池セル14以外の電池セルの温度は、第1サーミスタ44aと第2サーミスタ44bによって検出される最高温度と最低温度の間であることが期待される。そのためにBMU22はこれら最高温度と最低温度とに基づいて他の電池セルの温度を推定することができる。
第4電池セル14の温度を検出する第1サーミスタ44aに一端の連結される第1温度配線45aは第1スペースに設けられる。第1温度配線45aは第1サーミスタ44aから第1上壁81に向かって延びている。これに対して第2サーミスタ44bに一端の連結される第2温度配線45bは第2スペースに設けられる。第2温度配線45bは第2サーミスタ44bから第2上壁82に向かって延びた後、第2電圧配線41bおよび第3電圧配線41cとともに、第3上壁83を介して第1上壁81に延びている。第1温度配線45aと第2温度配線45bは第1上壁81において6つの電圧配線と合流している。
水没センサ43は第1対向電極46aと第2対向電極46bを有する。そして水没センサ43は第1対向電極46aに一端の連結された第1水没配線47aと第2対向電極46bに一端の連結された第2水没配線47bを有する。これら第1水没配線47aと第2水没配線47bそれぞれの他端はBMU22に接続される。第1水没配線47aと第2水没配線47bは絶縁電線である。
第1対向電極46aと第2対向電極46bは第1スペースに設けられる。第1対向電極46aと第2対向電極46bは第1スペースにおいて横方向で離間して対向している。第1対向電極46aと第2対向電極46bとの間に不純物を含む水などの液体があると、両者が導通する。それによって第1対向電極46aと第2対向電極46bとの間の抵抗値が変化する。この抵抗値の変化が第1水没配線47aと第2水没配線47bを介してBMU22に入力される。
ところで配線ケース62の外面62b側には、上記の連結バスバー70などを覆うための図示しない絶縁カバーが設けられる。第1対向電極46aと第2対向電極46bそれぞれの一端は絶縁カバーによって覆われる。しかしながら第1対向電極46aと第2対向電極46bそれぞれの他端は絶縁カバーの外に露出される。第1対向電極46aと第2対向電極46bそれぞれの他端は配線ケース62から離れるように屈曲している。
第1対向電極46aと第2対向電極46bそれぞれの他端は2段階に屈曲している。その屈曲部位は一端と他端との間で縦方向に並んでいる。一端側の屈曲部位よりも他端側の屈曲部位のほうが配線ケース62から縦方向に離れている。
これら第1対向電極46aと第2対向電極46bそれぞれの2つの屈曲のうち、一端側の配線ケース62から離れる屈曲は、第1対向電極46aと第2対向電極46bそれぞれの他端が絶縁カバーの外に突出するための長さを規定している。他端側の配線ケース62から離れる屈曲は、第1対向電極46aと第2対向電極46bとの間の抵抗値を設定するための長さを規定している。
このように第1対向電極46aと第2対向電極46bそれぞれを2段階に屈曲することで、絶縁カバーからの突出長さと、第1対向電極46aと第2対向電極46bとの間の抵抗値の規定とを分けて設定している。これは、以下に示す理由のためである。
例えば第1対向電極46aと第2対向電極46bそれぞれの他端を1回屈曲する構成の場合、絶縁カバーからの突出長さと、抵抗値の規定とを分けて設定することは困難となる。横方向において第1対向電極46aと第2対向電極46bそれぞれの他端側で対向する面積が増大し、それによって検出精度が高まりすぎる虞がある。これにより液体を誤検出する虞がある。これに対して、上記したように第1対向電極46aと第2対向電極46bそれぞれを2段階に屈曲する。こうすることで、このような液体の誤検出が生じることが避けられている。
なお、絶縁カバーが配線ケース62の外面62b側に設けられた状態で、第1対向電極46aと第2対向電極46bそれぞれの他端が絶縁カバーの外において横方向で離間して並ぶ。この絶縁カバーの外に位置する第1対向電極46aと第2対向電極46bそれぞれの他端にテスターを当てる。こうすることで第1対向電極46aと第1水没配線47aとの導通、および、第2対向電極46bと第2水没配線47bとの導通などを検査する。
第1水没配線47aと第2水没配線47bは第1スペースに設けられる。第1水没配線47aは第1対向電極46aの一端から第1上壁81に向かって延びている。第2水没配線47bは第2対向電極46bの一端から第1上壁81に向かって延びている。第1水没配線47aと第2水没配線47bは第1上壁81において6つの電圧配線および2つの温度配線と合流している。以上により、第1上壁81において10本の配線が合流している。以下においてはこれら合流した配線をセンサ配線と示す。
これら第1上壁81で合流した10本のセンサ配線はテープ85によって1つに束ねられる。またこれら10本のセンサ配線は結束バンド86によって1つに束ねられるとともに、配線ケース62に固定される。結束バンド86が束ね部に相当する。
<センサ配線の固定>
次に、配線ケース62における10本のセンサ配線の固定形態を説明する。上記したように配線ケース62の第1スペースに、第1電圧配線41a、第4電圧配線41d、第5電圧配線41e、第6電圧配線41f、第1温度配線45a、第1水没配線47a、および、第2水没配線47bが設けられる。第1スペースには、これら7本のセンサ配線を配置するための第1センサ溝87が形成されている。第1センサ溝87は縦方向において配線ケース62が外面62bから内面62aに向かって局所的に凹んで形成されている。
第1センサ溝87の底面には、内面62aから外面62bに向かって縦方向に突起する複数の第1支持ピン88が形成されている。上記の7本のセンサ配線は第1センサ溝87を構成する壁面に沿って第1上壁81へ向かって延びるとともに、その一部が複数の第1支持ピン88の間で挟持される。これにより7本のセンサ配線の一端側が配線ケース62から離れることが抑制されている。
また、上記したように配線ケース62の第2スペースに、第2電圧配線41b、第3電圧配線41c、および、第2温度配線45bが設けられる。第2スペースには、これら3本のセンサ配線を配置するための第2センサ溝89が形成されている。第2センサ溝89は縦方向において配線ケース62が外面62bから内面62aに向かって局所的に凹んで形成されている。
第2センサ溝89の底面には、内面62aから外面62bに向かって縦方向に突起する複数の第2支持ピン90が形成されている。上記の3本のセンサ配線は第2センサ溝89を構成する壁面に沿って第2上壁82へと向かって延びるとともに、その一部が複数の第2支持ピン90の間で挟持される。これにより3本のセンサ配線の一端側が配線ケース62から離れることが抑制されている。
上記したように第2上壁82は第3上壁83を介して第1上壁81と連結されている。第2上壁82の第3上壁83側、第3上壁83、および、第1上壁81の第3上壁83側それぞれには、配線ケース62から離れるように縦方向に延びるとともに、3つの上壁の形状に沿って第2上壁82から第1上壁81に延びる延長壁91が形成されている。この延長壁91は、高さ方向と横方向とによって規定される平面においてクランク形状を成している。
また上壁67aには、上記の延長壁91と離間して対向する立壁92が形成されている。この立壁92も第2上壁82から第1上壁81に延びている。立壁92は、第2フランジ部68における第2上壁82の第3上壁83側、および、第3上壁83それぞれの部位を介して上壁67aに連結されている。また立壁92は、第1上壁81の第3上壁83側に形成された連結壁93を介して上壁67aに連結されている。
この延長壁91と立壁92、および、第2フランジ部68における延長壁91と立壁92との間の部位によって第1中継溝が構成されている。また延長壁91と立壁92、および、上記の連結壁93によって第2中継溝が構成されている。これら第1中継溝と第2中継溝とは互いに連通している。そして第1中継溝と第2中継溝は第2センサ溝89と第1上壁81の高さ方向に面する上面81a側とを連通している。この第1中継溝と第2中継溝に、第2電圧配線41b、第3電圧配線41c、および、第2温度配線45bそれぞれの第2上壁82から第1上壁81へと向かう部位が収納される。
なお、第1中継溝の一部を構成する、第2フランジ部68における延長壁91と立壁92との間の部位は、第2フランジ部68における第1上壁81に形成された部位よりも、電池ケース61から離れるように底上げされている。同様にして、第2中継溝の一部を構成する連結壁93は、第2フランジ部68における第1上壁81に形成された部位よりも電池ケース61から離れている。これは後述の第1コネクタ48の配線ケース62への配置の邪魔になることを避けるためである。
延長壁91と立壁92それぞれの対向面には、一方から他方に向かって局所的に突起した突起部94が形成されている。延長壁91に形成された突起部94と立壁92に形成された突起部94とは空隙を介して対向している。そしてこれら複数の突起部94には、その根元から先端に向かうにしたがって、徐々にその厚さの薄くなる傾斜が形成されている。この傾斜は突起部94における第2フランジ部68から離れた側に形成されている。第2電圧配線41b、第3電圧配線41c、および、第2温度配線45bそれぞれは、この突起部94の傾斜に沿って、対向する突起部94の間の空隙へと導かれる。これら3つのセンサ配線はこの空隙から中継溝の中空へと挿入される。
これに対して、突起部94の第2フランジ部68側には上記の傾斜が形成されていない。そのために中継溝の中空に挿入された3つのセンサ配線は対向する突起部94の間の空隙に導かれがたくなっている。これにより3つのセンサ配線それぞれが中継溝の中空から外に飛び出すことが抑制されている。
10本のセンサ配線は第1上壁81の上面81aにおいてテープ85および結束バンド86それぞれによって1つに束ねられている。そして例えば図3の(b)欄に示すように10本のセンサ配線は、上面81aにおいて、結束バンド86によって固定された部位から横方向に沿って右壁67d側に延びた後、折り返して、左壁67c側に近づくように延びている。図11の(b)欄を用いて言い換えると、10本のセンサ配線は、上面81aにおいて、結束バンド86によって固定された部位から横方向に沿って配線基板21から離れるように延びた後、折り返して、配線基板21に近づくように延びている。これにより10本のセンサ配線の他端が配線基板21側に位置している。これら10本のセンサ配線の他端が第1コネクタ48によってまとめられている。なお、図10に示すように、上面81aは回路基板20と高さ方向で非対向となっている。上面81aが非対向面に相当する。この上面81aは高さ方向において電池セルの投影面に位置している。
以下においては説明を簡便とするために、10本のセンサ配線における結束バンド86によって配線ケース62に固定される部位を固定部位40aと示す。10本のセンサ配線における、固定部位40aから横方向に沿って配線基板21から離れるように延びた部位を離間部位40bと示す。10本のセンサ配線における離間部位40bから配線基板21側に折り返した部位を折り返し部位40cと示す。また、10本のセンサ配線における折り返し部位40cから配線基板21に近づくように延びた部位を近接部位40dと示す。以上に示した構成により、10本のセンサ配線における固定部位40aから近接部位40dまでの部位は、上面81a上においてU字形状を成している。
図9の(a)欄に、図7において破線で囲って示す領域Aの拡大図を示す。また図9の(b)欄に、図8において破線で囲って示す領域Bの拡大図を示す。これらに示すように、上面81aには、結束バンド86によって10本のセンサ配線を配線ケース62に固定するための支持部95が形成されている。支持部95は上面81aから高さ方向に延びる2本の支柱95aと、これら2本の支柱95aを連結する横方向に延びた支持バー95bと、を有する。支持バー95bは支柱95aの先端と根本との間に位置している。支持バー95bと支柱95aの先端との間の高さ方向の離間距離は、結束バンド86の厚みよりも長くなっている。なお上面81aにおける支持バー95bとの対向部位には、結束バンド86を通すための切欠き81bが形成されている。
例えば図3の(b)欄に示すように、テープ85によって1つに束ねられた10本のセンサ配線を上面81aにおいて支持部95と縦方向で隣り合わせる。この状態で、10本のセンサ配線とともに支持バー95bを結束バンド86によって巻く。これにより10本のセンサ配線は配線ケース62に固定される。なお、上記したように支持バー95bと支柱95aの先端との間の離間距離は結束バンド86の厚みよりも長くなっている。そのために結束バンド86が支持バー95bに巻き回された状態において、結束バンド86は支柱95aの先端よりも上面81a側に位置している。これにより電池パック100の高さ方向の体格の増大が抑制されている。
また図9に示すように、配線ケース62の上面81a側には、10本のセンサ配線におけるU字形状を成す部位を覆う覆い部96が形成されている。この覆い部96は、横方向に延びる横壁96a、縦方向に延びる縦壁96b、および、高さ方向に面する天壁96cを有する。覆い部96は規制部材に相当する。
横壁96aは右壁67d側から左壁67c側に向かって延びている。横壁96aの一部は縦方向で支持部95と離間して対向している。この横壁96aは第2フランジ部68における第1上壁81に形成された部位の一部でもある。
これに対して縦壁96bは右壁67d側で電池ケース61から離れるように縦方向に延びている。縦壁96bの電池ケース61側の端部と横壁96aの右壁67d側の端部とが連結されている。これにより縦壁96bと横壁96aは上面81aにおいてL字形状を成している。縦壁96bと横壁96aそれぞれの高さ方向の端面の位置は同一となっている。
天壁96cは横壁96aと縦壁96bそれぞれの高さ方向の端面に連結される。これにより天壁96cは上面81aと高さ方向で離間して対向している。この天壁96cと上面81aとの間に区画された配置空間に、10本のセンサ配線におけるU字形状を成す部位が設けられる。
配置空間に10本のセンサ配線が設けられた状態で、横壁96aは10本のセンサ配線の近接部位40dと縦方向で対向する。この近接部位40dの横壁96aとの接触によって、10本のセンサ配線の縦方向の動きが規制されている。また、上記したように10本のセンサ配線の固定部位40aが結束バンド86によって支持部95に固定されている。これによっても、10本のセンサ配線の縦方向の動きが規制されている。
また、配置空間に10本のセンサ配線が設けられた状態において、縦壁96bは折り返し部位40cと横方向で対向する。この折り返し部位40cの縦壁96bとの接触によって、10本のセンサ配線の横方向の動きが規制されている。
さらに、配置空間に10本のセンサ配線が設けられた状態において、天壁96cは10本のセンサ配線の折り返し部位40cおよび近接部位40dそれぞれと高さ方向で対向する。折り返し部位40cおよび近接部位40dの天壁96cとの接触によって、10本のセンサ配線の高さ方向の動きが規制されている。また、当然として、10本のセンサ配線の上面81aとの接触によっても、10本のセンサ配線の高さ方向の動きが規制されている。
なお、天壁96cは上記の支柱95aの先端に連結されている。これにより天壁96cは10本のセンサ配線の固定部位40aおよび離間部位40bの少なくとも一方と高さ方向で対向している。したがって固定部位40aおよび離間部位40bの少なくとも一方と天壁96cとの接触によって、10本のセンサ配線の高さ方向の動きが規制されている。
以上に示したように、覆い部96によって、10本のセンサ配線の縦方向、横方向、および、高さ方向の移動が規制されている。これにより10本のセンサ配線が配線ケース62から離れることが規制されている。
ただし、例えば図7の(a)欄に示すように、覆い部96における縦壁96bとは反対側は横方向に開口している。したがって10本のセンサ配線はこの開口に対して、横方向に移動可能となっている。すなわち10本のセンサ配線の近接部位40dは、覆い部96の開口に対して横方向に移動可能となっている。
また、そもそも10本のセンサ配線はこの覆い部96の開口から、配置空間に設けられる。テープ85によって1つに束ねられた10本のセンサ配線の折り返し部位40cを先頭にして、10本のセンサ配線を覆い部96の開口から配置空間に挿入する。折り返し部位40cが縦壁96bと接触するまでセンサ配線を挿入した後、上記したように固定部位40aを結束バンド86によって支持部95に固定する。これにより10本のセンサ配線が配線ケース62に固定される。この後に連結バスバー70と組電池10とのレーザ溶接が行われる。そしてさらにこの後に、第1コネクタ48と後述の第2コネクタ27との連結が行われる。
図10および図11に示すように配線基板21には、複数の近接部位40dのまとめられた第1コネクタ48と連結される第2コネクタ27が設けられている。配線基板21は高さ方向の厚さの薄い平板形状を成している。配線基板21の高さ方向に面する一面21aはモジュールケース60と高さ方向で離間して対向している。第2コネクタ27はこの一面21aの裏側の裏面21bに搭載されている。配線基板21が筐体に固定された状態において、裏面21bと上面81aとは横方向で並んでいる。これにより第1コネクタ48と第2コネクタ27とが横方向で対向配置される。なお、第1コネクタ48と第2コネクタ27の少なくとも一部が横方向で対向するのであれば、裏面21bと上面81aとは、多少高さ方向の位置がずれていてもよい。一面21aが対向面に相当する。
第1コネクタ48を第2コネクタ27に対して近づくように横方向に移動させる。これにより、例えば図11に示すように第2コネクタ27に第1コネクタ48が挿入される。センサ部40で検出された信号(状態信号)がBMU22に入力可能となる。
逆に、例えば図3に示すように、第1コネクタ48を第2コネクタ27から離れるように横方向に移動させる。これにより第1コネクタ48が第2コネクタ27から挿去される。センサ部40とBMU22との電気的な接続が断たれる。
ところで、上記したようにセンサ配線は固定部位40aにおいて結束バンド86によって配線ケース62に固定されている。これによりセンサ配線の一端側と、第1コネクタ48によってまとめられた他端側とは、固定部位40aを介して、その動きが分けられている。センサ配線の他端側の動きが、一端側に影響しがたくなっている。逆に、センサ配線の一端側の動きが、他端側に影響しがたくなっている。したがって、上記したように第1コネクタ48によってまとめられたセンサ配線の他端側が、第2コネクタ27と挿抜(遠近)するように動いたとしても、その動きは、連結バスバー70、サーミスタ、対向電極と連結された一端側に影響しがたくなっている。
<センサ配線の動き>
次に、図13~図16に基づいて第1コネクタ48を第2コネクタ27に対して移動させた際のセンサ配線の動きを説明する。なお、図13~図16では、センサ配線の動きを明りょうとするため、センサ配線の動きに特に関わらない要素への符号の付与を省略している。これまでの図面に代わって、センサ配線などの符号を明示している。
図13の(a)欄は、横方向において第1コネクタ48が第2コネクタ27から離れた場合の第1コネクタ48の配線ケース62に対する位置を示す正面図である。図13の(b)欄は、横方向において第1コネクタ48が第2コネクタ27に近づいた場合の第1コネクタ48の配線ケース62に対する位置を示す正面図である。図13においては、センサ配線における配線ケース62によって隠れる部位を破線で示している。
図14の(a)欄は、横方向において第1コネクタ48が第2コネクタ27から離れた場合のセンサ配線の動きを示す正面図である。図14の(b)欄は、横方向において第1コネクタ48が第2コネクタ27に近づいた場合のセンサ配線の動きを示す正面図である。
また、図15の(a)欄は、横方向において第1コネクタ48が第2コネクタ27から離れた場合の第1コネクタ48の配線ケース62に対する位置を示す上面図である。図15の(b)欄は、横方向において第1コネクタ48が第2コネクタ27に近づいた場合の第1コネクタ48の配線ケース62に対する位置を示す上面図である。図15においてはセンサ配線を破線で示している。
図16の(a)欄は、横方向において第1コネクタ48が第2コネクタ27から離れた場合のセンサ配線の動きを示す上面図である。図16の(b)欄は、横方向において第1コネクタ48が第2コネクタ27に近づいた場合のセンサ配線の動きを示す上面図である。
図13~図16それぞれの(a)欄では、第1コネクタ48が第2コネクタ27から離れた場合のセンサ配線の配置と形状を示している。この場合、センサ配線の折り返し部位40cは縦壁96bに接触している。近接部位40dは横壁96aに接触している。第1コネクタ48は第1上壁81の上面81aに位置している。
また例えば図4および図7に示すように配線ケース62にはストッパ97が形成されている。このストッパ97に第1コネクタ48に形成されたストッパ溝48aが嵌合されている。これにより第1コネクタ48が配線ケース62に仮固定されている。筐体に電池モジュールを搭載した後に、配線基板21を筐体に搭載する。この配線基板21の筐体への搭載が終了するまで、第1コネクタ48はストッパ97によって配線ケース62に仮固定される。
図13~図16それぞれの(b)欄では、第1コネクタ48が第2コネクタ27に近付いた場合のセンサ配線の配置と形状を示している。この場合、第1コネクタ48のストッパ97との嵌合が解除されている。センサ配線の折り返し部位40cは縦壁96bから離れている。近接部位40dは横壁96aから離れている。例えば図12にも明示するように、第1コネクタ48は第3上壁83を越えて、第2上壁82側に位置している。図12の(a)欄は第1コネクタ48が第2上壁82側に移動した状態を示す正面図である。図12の(b)欄は第1コネクタ48が第2上壁82側に移動した状態を示す上面図である。
以上に述べた図面に明示されるように、第1コネクタ48が第2コネクタ27に近づいたり遠ざかったりする際、センサ配線の折り返し部位40cは縦壁96bと接触したり離れたりする。近接部位40dは横壁96aと接触したり離れたりする。これは、以下に示すようにセンサ配線が動くためである。
第1コネクタ48が第2コネクタ27に近づく場合、離間部位40bにおける折り返し部位40c側が折り返すように延び、その一部が折り返し部位40cに代わる。それとともに折り返し部位40cは縦壁96bから離れ、その近接部位40d側が第2コネクタ27側に延びる。これにより折り返し部位40cの一部が近接部位40dに代わる。この結果、近接部位40dの長さが長くなり、第1コネクタ48が第2コネクタ27に近づく。また近接部位40dの撓みが少なくなり、近接部位40dは横壁96aから離れる。この近接部位40dの延長は、固定部位40aが結束バンド86と支持部95に支持されて、センサ配線の他端側が張るまで可能である。
このようにセンサ配線の他端側が張った場合、離間部位40bの長さはゼロになる。第1コネクタ48が第2コネクタ27に挿入された状態においてセンサ配線の他端側が張らないように、第1コネクタ48と第2コネクタ27との離間距離、および、センサ配線の長さが決定されている。
これとは逆に、第1コネクタ48が第2コネクタ27から遠ざかる場合、折り返し部位40cにおける離間部位40b側が離間するように延び、その一部が離間部位40bに代わる。それとともに近接部位40dにおける折り返し部位40c側が折り返すように延び、その一部が折り返し部位40cに代わる。折り返し部位40cは縦壁96bに近づく。これにより近接部位40dの長さが短くなり、第1コネクタ48が第2コネクタ27から遠ざかる。また近接部位40dの撓みが多くなり、近接部位40dは横壁96aに近づく。この近接部位40dの短縮は、折り返し部位40cが縦壁96bに当たるまで可能である。
<電池パックの作用効果>
次に、電池パック100の作用効果を説明する。近年、ハイブリッド自動車や電気自動車の普及により電池パックは高出力化している。そのために電池セルの数は増加傾向にある。これに伴い、複数の電池セルを収納するモジュールケースの体格は増大傾向にある。
したがって、回路基板とモジュールケースとが対向する構成の場合、電池パックにおけるその対向方向(高さ方向)の体格が増大する懸念がある。
これに対して本実施形態にかかる電池パック100は、回路基板20とモジュールケース60とが高さ方向で対向している。そして高さ方向に直交する横方向で、電池セルの電圧を検出する電圧配線などのセンサ配線をまとめる第1コネクタ48が回路基板20の第2コネクタ27に挿入される。
これによれば高さ方向でコネクタを移動させるための空間をモジュールケースと回路基板との間に構成しなくともよくなる。これにより電池パック100における高さ方向の体格の増大が抑制される。
電圧センサ41、温度センサ42、および、水没センサ43の配線(センサ配線)は、結束バンド86によって1つに束ねられるとともに、配線ケース62に固定されている。これによりセンサ配線の一端側と、第1コネクタ48によってまとめられた他端側とは、固定部位40aを介して、その動きが分けられている。
これによれば、複数のセンサ配線の他端のまとめられた第1コネクタ48の移動によって、複数のセンサ配線の一端が動くことが抑制される。すなわち、連結バスバー70に連結された複数の電圧配線の一端が動くことが抑制される。これにより電圧配線と連結バスバー70との電気的な接続信頼性が低下することが抑制される。それとともに、連結バスバー70と電池セルとの電気的な接続信頼性が低下することが抑制される。
同様にして、サーミスタに接続された温度配線の一端が動くことが抑制される。これにより温度配線とサーミスタとの電気的な接続信頼性が低下することが抑制される。
対向電極に接続された水没配線の一端が動くことが抑制される。これにより水没配線と対向電極との電気的な接続信頼性が低下することが抑制される。
ところで、上記したようにモジュールケースの体格は増大傾向にある。その一方、半導体技術などの発展により配線基板に搭載される電子素子の密度は高密化の傾向にある。そのために回路基板はモジュールケースに比べて体格の増大傾向が緩やかになっている。このような技術発展の都合により、回路基板とモジュールケースとが対向する構成の場合、モジュールケースに回路基板との非対向領域が生まれやすくなる。この非対向領域が電池パックのデッドスペースになる懸念がある。
これに対して本実施形態にかかる電池パック100では、回路基板20と高さ方向で非対向の第1上壁81の上面81aで複数のセンサ配線を束ねている。そしてこのセンサ配線の横方向への移動を、結束バンド86によって固定された部位から横方向に沿って配線基板21から離れるように延びた後、折り返して、回路基板20に近づくように延ばすことで可能としている。
これによれば、例えば回路基板と高さ方向で対向する第2上壁などにおいて複数のセンサ配線を束ね、複数のセンサ配線の動きを回路基板に遠近可能とする構成と比べて、高さ方向における電池パック100の体格が増大することが抑制される。
また、上面81aは電池セルの投影面上に位置する。厳密に言えば、本実施形態に開示の構成では、上面81aにおけるセンサ配線の近接部位40d、および、折り返し部位40cにおける近接部位40d側の設けられる部位が、高さ方向における第5電池セル15の投影面上に位置している。すなわち、第1コネクタ48の横方向への移動動作の行われる面が、上面81aの高さ方向における第5電池セル15の投影面になっている。これによれば、例えば配線ケースにおける電池セルとの高さ方向における非対向面が、第1コネクタの移動動作の行われる面とされた構成と比べて、縦方向における電池パック100の体格が増大することが抑制される。
覆い部96によって複数のセンサ配線の他端側の移動が規制されている。これにより複数のセンサ配線が配線ケース62から離れることが規制されている。そのために複数のセンサ配線の他端のまとめられた第1コネクタ48が第2コネクタ27に対して動くことが抑制される。この結果、第1コネクタ48と第2コネクタ27との電気的な接続信頼性が低下することが抑制される。
配線ケース62に形成されたストッパ97によって第1コネクタ48が配線ケース62に仮固定可能となっている。これによれば、例えば筐体に電池モジュールを搭載した後に、回路基板20を筐体に搭載する際、第1コネクタ48がその作業の邪魔となることが抑制される。
以上、本開示物の好ましい実施形態について説明したが、本開示物は上記した実施形態になんら制限されることなく、本開示物の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
(第1の変形例)
本実施形態では覆い部96によってセンサ配線の動きが規制される例を示した。しかしながら図17において模式的に示すように、センサ配線の動きは、囲み部98によって規制することもできる。図17の(a)欄はセンサ配線と囲み部98の上面図を模式的に示している。(b)欄は、(a)欄に示すXVIIb-XVIIb線に沿う断面図を模式的に示している。図17においては強調して示すために囲み部98を破線で示している。また図17では煩瑣となることを避けるために、センサ配線を一部省略して5本示している。
図17に示すように囲み部98は上面81aに連結されている。囲み部98は、上面81aにおける囲み部98と高さ方向で対向する部位とともに横方向に開口する環状を成している。この囲み部98と上面81aとによって構成される環状の中空に10本のセンサ配線の離間部位40bと近接部位40dが通される。以上の構成により、センサ配線の囲み部98との接触によって、センサ配線の動きが規制されている。なお、図17に示すように囲み部98に切欠きがあることで、囲み部98は、上面81aにおける囲み部98と高さ方向で対向する部位とともにギャップを有する環状を成してもよい。
(第2の変形例)
本実施形態では配線基板21の裏面21bに第2コネクタ27の搭載される例を示した。しかしながら配線基板21の一面21aに第2コネクタ27の搭載された構成を採用することもできる。
(その他の変形例)
本実施形態では第1コネクタ48が第2コネクタ27に対して挿抜可能の例を示した。しかしながら第1コネクタ48を第2コネクタ27に対して挿入したら、抜去できない構成も採用可能である。
本実施形態では組電池10が5つの電池セルを有する例を示した。しかしながら組電池10は2つ以上の電池セルを有すればよく、上記例に限定されない。
本実施形態では組電池10が2つの電池スタックを有する例を示した。しかしながら電池スタックの数としても、2つではなく1つ若しくは3つ以上を採用することもできる。
本実施形態では電池スタックの有する電池セルが高さ方向に並ぶ例を示した。しかしながら電池セルの並ぶ方向としては特に限定されず、縦方向や横方向に並んでもよい。
本実施形態では電源システム200を搭載する車両がアイドルストップ機能を有する例を示した。しかしながら電源システム200を搭載する車両としては上記例に限定されない。例えばハイブリッド自動車や電気自動車を採用することができる。この場合、本実施形態で示したスタータモータ120や回転電機130は、モータジェネレータに代わる。