以下、実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1~図10に基づいて本実施形態に係る電池パック100、および、それを含む電源システム200を説明する。
<電源システムの概要>
電源システム200は車両に搭載される。電源システム200は車両に搭載された複数の車載機器と電池パック100とによって構成されている。車載機器の1つとして蓄電池110がある。電池パック100は組電池10を有している。電源システム200はこれら蓄電池110と組電池10とによって2電源システムを構築している。
他の車載機器としてエンジン140がある。電源システム200を搭載する車両は、所定の停止条件が満たされるとエンジン140を停止し、所定の始動条件が満たされるとエンジン140を再始動するアイドルストップ機能を有する。
図1に示すように電源システム200は、上記した蓄電池110とエンジン140の他に、スタータモータ120、回転電機130、電気負荷150、上位ECU160、および、MGECU170を有する。電気負荷150は第1負荷151と第2負荷152を有する。
蓄電池110、スタータモータ120、および、第1負荷151それぞれは、第1ワイヤハーネス210を介して電池パック100と電気的に接続されている。回転電機130は第2ワイヤハーネス220を介して電池パック100と電気的に接続されている。第2負荷152は第3ワイヤハーネス230を介して電池パック100と電気的に接続されている。
上位ECU160とMGECU170は図示しない配線を介して蓄電池110と電池パック100それぞれと電気的に接続されている。同様にして、車両に搭載された他の各種ECUも蓄電池110と電池パック100それぞれと電気的に接続されている。
以上に示したように電源システム200は、蓄電池110と組電池10の2つを電源とする2電源システムを構築している。
<電源システムの構成要素>
蓄電池110は化学反応によって起電圧を生成する。蓄電池110は組電池10よりも蓄電容量が多い。蓄電池110は具体的には鉛蓄電池である。なお蓄電池110としては例えばリチウムイオン二次電池を採用することもできる。
スタータモータ120はエンジン140を始動する。スタータモータ120はエンジン140の始動時にエンジン140と機械的に連結される。スタータモータ120の回転によってエンジン140のクランクシャフトが回転される。クランクシャフトの回転数が所定回転数を超えると、燃料噴射弁から燃焼室に霧状の燃料が噴射される。この際に点火プラグで火花が生成される。これにより燃料が爆発し、エンジン140が自律回転し始める。このエンジン140の動力によって車両の推進力が得られる。エンジン140が自律回転し始めると、スタータモータ120とエンジン140との機械的な連結が解除される。
回転電機130は力行と発電を行う。回転電機130には図示しない電力変換器が接続されている。この電力変換器が第2ワイヤハーネス220に電気的に接続されている。
電力変換器は蓄電池110と組電池10のうちの少なくとも一方から供給された直流電圧を交流電圧に変換する。この交流電圧が回転電機130に供給される。これにより回転電機130は力行する。
回転電機130はエンジン140と連結されている。回転電機130とエンジン140とは、ベルトなどを介して相互に回転エネルギーを伝達可能になっている。回転電機130の力行によって生じた回転エネルギーはエンジン140に伝達される。これによりエンジン140の回転が促進される。この結果、車両走行がアシストされる。上記したように電源システム200を搭載する車両はアイドルストップ機能を有する。回転電機130は車両走行のアシストだけではなく、エンジン140の再始動時にクランクシャフトを回転させる機能も果たす。
回転電機130はエンジン140の回転エネルギー、および、車両の車輪の回転エネルギーの少なくとも一方によって発電する機能も有する。回転電機130は発電によって交流電圧を生成する。この交流電圧が電力変換器によって直流電圧に変換される。この直流電圧が、電池パック100、蓄電池110、および、電気負荷150それぞれに供給される。
エンジン140は燃料を燃焼駆動することで車両の推進力を生成する。上記したようにエンジン140の始動時においては、スタータモータ120によってクランクシャフトが回転される。しかしながらアイドルストップによってエンジン140が一度停止した後に再び始動する際には、上記の所定の始動条件が満たされる場合、回転電機130によってクランクシャフトが回転される。
上記したように電気負荷150は第1負荷151と第2負荷152を有する。第1負荷151には、シートヒータ、送風ファン、電動コンプレッサ、ルームライト、および、ヘッドライトなどの供給電力が一定でなくともよい車載機器が含まれる。第2負荷152には、電動シフトポジション、電動パワーステアリング(EPS)、ブレーキ(ABS)、ドアロック、ナビゲーションシステム、および、オーディオなどの供給電力が一定であることの求められる車載機器が含まれる。
ここに例示した第2負荷152は供給電圧がリセット閾値を下回るとオン状態からオフ状態へと切り換わる性質を有する。第2負荷152には第1負荷151よりも車両走行に関連性の高い車載機器が含まれる。
なお、上記した各種車載機器が第1負荷151と第2負荷152に含まれる構成は一例に過ぎない。車載システムの変更などに応じて、各種車載機器を第1負荷151と第2負荷152に適宜振り分けることができる。例えば第1負荷151にEPSやABSが含まれる構成を採用することができる。
上位ECU160とMGECU170は車両に搭載された各種ECUのうちの1つである。これら各種ECUはバス配線161を介して互いに電気的に接続され、車載ネットワークを構築している。各種ECUが協調制御することで、エンジン140の燃焼および回転電機130の力行や発電などが制御される。上位ECU160は電池パック100を制御する。MGECU170は回転電機130を制御する。
また図示しないが、電源システム200は、上記した各車載機器の他に、各種電圧や電流などの物理量、および、アクセルペダルの踏み込み量やスロットルバルブ開度などの車両情報を測定するためのセンサを有している。これら各種センサの検出した検出信号は、各種ECUに入力される。
なお、ECUはelectronic control unitの略である。ECUは、少なくとも1つの演算処理装置(CPU)と、プログラムおよびデータを記憶する記憶媒体としての少なくとも1つのメモリ装置(MMR)と、を有する。ECUはコンピュータで読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体はコンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供され得る。
<電池パックの概要>
図1に示すように電池パック100は、組電池10、回路基板20、スイッチ30、センサ部40、および、給電バスバ50を有する。また図2および図3に示すように電池パック100はパックケース90を有する。さらに電池パック100は図示しないバスバケースを有する。
バスバケースは絶縁性の樹脂材料から成る。バスバケースは給電バスバ50を収納する機能を果たしている。給電バスバ50とバスバケースとによってバスバモジュールが構成されている。
パックケース90は筐体91とカバー92を有する。筐体91によって収納空間が構成されている。この収納空間の開口がカバー92によって閉塞されている。収納空間には、組電池10、回路基板20、スイッチ30、センサ部40、および、バスバモジュールそれぞれが収納されている。
組電池10は蓄電池110よりも体格が小さく、重量も軽くなっている。組電池10は蓄電池110よりもエネルギー密度が高い性質を有する。
回路基板20は配線基板21とBMU22を有する。配線基板21にはスイッチ30の一部とBMU22が搭載されている。そして配線基板21にはスイッチ30の残りと組電池10とが給電バスバ50を介して電気的に接続されている。これにより電池パック100の電気回路が構成されている。この電気回路にセンサ部40が電気的に接続されている。
電池パック100の電気回路は図1において二重丸で示す外部接続端子と電気的に接続されている。この外部接続端子としては、第1外部接続端子110a、第2外部接続端子110b、第3外部接続端子110c、および、第4外部接続端子110dがある。
第1外部接続端子110aは第1ワイヤハーネス210を介して蓄電池110、スタータモータ120、および、第1負荷151それぞれと電気的に接続されている。第2外部接続端子110bは第2ワイヤハーネス220を介して回転電機130と電気的に接続されている。第3外部接続端子110cはボルト若しくはワイヤハーネスを介して、例えば図8に模式的に記す車両のフロアパネル310に電気的に接続されている。第4外部接続端子110dは第3ワイヤハーネス230を介して第2負荷152と電気的に接続されている。
第1ワイヤハーネス210~第3ワイヤハーネス230それぞれは孔の形成された金属端子を有する。これら第1ワイヤハーネス210~第3ワイヤハーネス230は車両内で這いまわされている。
第1外部接続端子110a、第2外部接続端子110b、および、第4外部接続端子110dそれぞれはバスバケースの一部を共有している。樹脂製のバスバケースの端子台に接続ボルトが埋設されている。この接続ボルトの軸部にナットが締結される。第1外部接続端子110a、第2外部接続端子110b、および、第4外部接続端子110dそれぞれは、端子台における接続ボルトを埋設する部位、接続ボルト、および、ナットをバスバケースと共有している。
接続ボルトの頭部側が端子台に埋没されている。接続ボルトの軸部が端子台から突出している。この接続ボルトの軸部に給電バスバ50の貫通孔が通される。そしてナットが接続ボルトの軸部に締結される。これにより端子台に給電バスバ50が固定される。バスバモジュールが構成される。バスバモジュールは図示しないボルトによって筐体91に固定される。
次いで、接続ボルトの軸部の先端側にワイヤハーネスの金属端子の孔が通される。そして図示しないナットが接続ボルトの軸部の先端側に締結される。これによりワイヤハーネスの金属端子が接続ボルトの軸部に機械的に接続される。それとともに金属端子が給電バスバ50と電気的に接続される。
第3外部接続端子110cは筐体91に形成されたボルト孔である。第3外部接続端子110cはボルト若しくはワイヤハーネスを介して車両のフロアパネル310と接続される。これにより筐体91はグランド電位になっている。電池パック100はボディアースされている。
<電池パックの構成要素>
次に、電池パック100の構成要素を図4および図5に基づいて個別に説明する。それにあたって、以下においては互いに直交の関係にある3方向を、x方向、y方向、および、z方向と示す。z方向が並び方向に相当する。z方向に直交(面)する平面に沿う方向が、平面方向に相当する。
x方向は車両の左右方向に沿っている。y方向は車両の進退方向に沿っている。z方向は車両の天地方向に沿っている。車両が水平面に停車している場合、z方向は鉛直方向に沿う。x方向とy方向は水平方向に沿う。
組電池10は複数の直列接続された電池セル11と、これら複数の電池セル11を収納するモジュールケース12と、を有する。電池セル11は具体的にはリチウムイオン二次電池である。リチウムイオン二次電池は化学反応によって起電圧を生成する。起電圧の生成により電池セル11に電流が流れる。これにより電池セル11は発熱してガスを発生する。そのために電池セル11は膨張する。なお、電池セル11としては、ニッケル水素二次電池、有機ラジカル電池などの二次電池を採用することができる。
電池セル11は直方体形状を成している。電池セル11はz方向に面する2つの主面を有する。これら2つの主面は他の4面によって連結されている。そして2つの主面は他の4面よりも面積が広くなっている。2つの主面間の長さ(厚さ)が薄くなっている。このように電池セル11はz方向の厚さの薄い扁平形状を成している。電池セル11の備える上記の他の4面のうちの1つに正極端子11aと負極端子11bが形成されている。正極端子11aと負極端子11bが端子に相当する。
本実施形態の組電池10は5つの電池セル11を有する。これら5つの電池セル11のうちの3つがz方向に積層配置されて第1電池スタックを構成している。そして残り2つの電池セル11がz方向に積層配置されて第2電池スタックを構成している。これら2つの電池スタックそれぞれでは、正極端子11aと負極端子11bとが交互にz方向に並んでいる。
第1電池スタックと第2電池スタックはx方向に並んでいる。これら2つの電池スタックのうちの一方の備える電池セル11の正極端子11aと他方の備える電池セル11の負極端子11bとがx方向に並んでいる。これら2つの電池スタックに含まれる5つの電池セル11の配置がモジュールケース12によって保持されている。
モジュールケース12は樹脂から成る電池ケース13と配線ケース14、および、電池セル11に接続される接続端子15を有する。電池ケース13に5つの電池セル11を個別に収納する5つの収納空間が構成されている。これら収納空間はy方向に開口している。これら収納空間に電池セル11の一部が収納される。
5つの電池セル11それぞれの正極端子11aと負極端子11bの形成された側の端部は、電池ケース13の収納空間の外に露出されている。この電池セル11における収納空間からの露出部位が配線ケース14によって覆われる。電池ケース13と配線ケース14とは互いにy方向に近づく態様でボルト10aによって固定される。
配線ケース14と電池セル11との間には図5に示すパッキン10bが設けられる。パッキン10bはゴムなどの弾性材料から成る。ボルト10aによる電池ケース13と配線ケース14との連結によって、パッキン10bは電池セル11と配線ケース14との間で挟持される。
配線ケース14には電池セル11の正極端子11aと負極端子11bを配線ケース14から露出するための開口14aが複数形成されている。本実施形態では計10個の開口14aが配線ケース14に形成されている。正極端子11aと負極端子11bそれぞれにおける開口14aからの露出部位に接続端子15が接続される。
接続端子15は、直列端子16、出力端子17、および、接地端子18を有する。直列端子16は複数の電池セル11を直列接続する機能を果たす。出力端子17は直列接続された電池セル11のうちの最高電位に位置する電池セル11の正極端子11aと接続される。接地端子18は直列接続された電池セル11のうちの最低電位に位置する電池セル11の負極端子11bと接続される。
本実施形態においては、接続端子15は、5つの電池セル11を直列接続するために、4つの直列端子16を有する。直列接続対象の2つの電池セル11うちの一方の正極端子11aと他方の負極端子11bとに1つの直列端子16を接触させる。その接触状態で正極端子11aと負極端子11bとに直列端子16を溶接接合する。これを5つの電池セル11それぞれで実施する。これにより5つの電池セル11が直列接続される。
出力端子17は最高電位の電池セル11の正極端子11aに溶接接合される。接地端子18は最低電位の電池セル11の負極端子11bに溶接接合される。出力端子17と接地端子18それぞれの一部は電池セル11から離間する態様でy方向に局所的に出っ張っている。
図4および図5に示すように、電池ケース13にはz方向に開口する通し孔13aが形成されている。図2および図3に示すように、パックケース90の筐体91にはねじ溝を備えるボルト孔91aが形成されている。通し孔13aとボルト孔91aとにボルトの軸部を通し、ボルトの軸部の先端側をボルト孔91aのねじ溝に締結する。これによって電池ケース13がボルトの頭部と筐体91とに挟持される。組電池10が筐体91に固定される。
筐体91には図2に示す拘束プレート96がボルト止めされる。モジュールケース12はz方向において拘束プレート96と筐体91との間に設けられる。電池セル11の膨張に起因する組電池10の膨張が、拘束プレート96と電池ケース13との接触によって抑制される。
なお、モジュールケース12は、電池ケース13、配線ケース14、および、接続端子15の他に、図2および図3に示すカバーケース19を有する。カバーケース19はスナップフィットなどによって配線ケース14に接続される。カバーケース19によって、配線ケース14に設けられた接続端子15が覆われる。ただし、カバーケース19からは、図2に示すように出力端子17と接地端子18それぞれのy方向に局所的に出っ張った部位の先端側が露出されている。
上記したように回路基板20は配線基板21とBMU22を有する。配線基板21は絶縁基板に導電材料からなる配線パターンの形成されたプリント基板である。配線基板21はボルトなどを介して筐体91に固定されている。配線基板21(回路基板20)はz方向でモジュールケース12とカバー92との間に設けられている。
また、配線基板21は第1電池スタックの最もカバー92側に位置する電池セル11とx方向で並んで設けられている。換言すれば、配線基板21は最高電位の電池セル11とx方向で並んで設けられている。それとともに、配線基板21は最高電位の電池セル11の正極端子11aに接続された出力端子17よりもz方向において筐体91の底壁93から離間している。
絶縁基板の表面および内部の少なくとも一方に、配線パターンとして第1給電線23、第2給電線24、第3給電線25、および、第4給電線26が形成されている。そして配線基板21には配線パターンと電気的に接続される端子が形成されている。この端子としては、第1内部端子28a、第2内部端子28b、第3内部端子28c、および、第4内部端子28dがある。これら配線パターンと内部端子それぞれの電気的な接続の説明は、後の電池パック100の回路構成の説明の際に行う。
配線基板21はz方向の厚さの薄い平板形状を成している。そして配線基板21はz方向に並ぶ一面21aと裏面21bを有する。一面21aは裏面21bよりもz方向において底壁93から離間している。この一面21aに検出コネクタ27が設けられている。裏面21bに信号コネクタ28が設けられている。
検出コネクタ27は図1に示すセンサ部40とBMU22とを接続する機能を果たしている。信号コネクタ28は図1に示すBMU22とバス配線161とを接続する機能を果たしている。また信号コネクタ28は後述の指令信号や判定信号などを入出力する機能を果たしている。
スイッチ30は、第1スイッチ31、第2スイッチ32、第3スイッチ33、第4スイッチ34、第5スイッチ35、および、第6スイッチ36を有する。第1スイッチ31と第2スイッチ32は筐体91に搭載される。第3スイッチ33~第6スイッチ36それぞれは配線基板21に搭載される。
第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれは半導体スイッチを有する。この半導体スイッチは具体的にはNチャネル型MOSFETである。したがって第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれはハイレベルの制御信号の入力によって閉状態になる。第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれはローレベルの制御信号の入力によって開状態になる。
第1スイッチ31~第4スイッチ34の有する半導体スイッチとしてはIGBTなどを採用することもできる。この場合、IGBTにはダイオードが並列接続される。
第5スイッチ35と第6スイッチ36はメカニカルリレーである。詳しく言えば第5スイッチ35と第6スイッチ36はノーマリクローズ式の電磁リレーである。したがって第5スイッチ35と第6スイッチ36はハイレベルの制御信号の入力によって開状態になる。第5スイッチ35と第6スイッチ36はローレベルの制御信号の入力によって閉状態になる。換言すれば、第5スイッチ35と第6スイッチ36はハイレベルの制御信号の入力が途絶えると閉状態になる。
第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれは、直列接続された2つのMOSFETを備える開閉部を少なくとも1つ有する。これら2つのMOSFETはソース電極同士が連結されている。2つのMOSFETのゲート電極は電気的に独立している。MOSFETは寄生ダイオードを有する。2つのMOSFETの寄生ダイオードは互いにアノード電極同士が連結されている。上記のゲート電極は回路基板20と電気的に接続される。
第1スイッチ31~第4スイッチ34はそれぞれ複数の開閉部を有する。複数の開閉部は並列接続されている。そして第3スイッチ33と第4スイッチ34では複数の開閉部の有する直列接続された2つのMOSFETのソース電極同士が互いに接続されている。
本実施形態では第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれは開閉部を2つ有する。これら開閉部の数や並列接続および直列接続などの接続形態は電流量や冗長性などに応じて適宜定められる。
開閉部の備える2つのMOSFETは樹脂部によって被覆されている。樹脂部は直方体形状を成している。
センサ部40は、第1スイッチ31~第4スイッチ34の温度と電流を検出する温度センサと電流センサを有する。温度センサは直列接続された2つのMOSFETとともに樹脂部によって被覆保護される検温ダイオードである。電流センサは直列接続された2つのMOSFETの間に設けられたシャント抵抗である。これら温度センサと電流センサそれぞれの入出力端子の先端側が樹脂部から露出されている。これら複数の入出力端子の端部が配線基板21に接続されている。
センサ部40は、組電池10に関わるセンサ素子として、電圧センサ41、温度センサ42、および、水没センサ43を有する。電圧センサ41と温度センサ42は組電池10の電圧と温度を検出する。水没センサ43は組電池10の水没を検出する。これらセンサ素子は後で詳説する。
BMU22はセンサ部40の状態信号、および、上位ECU160からの指令信号の少なくとも一方に基づいてスイッチ30を制御する。BMUはbattery management unitの略である。
上記したように第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれは複数の半導体スイッチを有する。例えば第1スイッチ31の開閉を制御する場合、BMU22は第1スイッチ31の有する全ての半導体スイッチを同時に閉状態、若しくは、同時に開状態に制御する。例えばBMU22は、第1スイッチ31の有する全ての半導体スイッチの制御電極(ゲート電極)にハイレベルの制御信号、若しくは、ローレベルの制御信号を同時に出力する。
なおBMU22は、半導体スイッチを閉状態にする期間において、ハイレベルの制御信号を間断的に出力することで半導体スイッチの閉時間を調整してもよい。簡単に言えば、BMU22は半導体スイッチをパルス幅制御してもよい。
BMU22はセンサ部40の状態信号に基づいて組電池10の充電状態(SOC)やスイッチ30の異常を判定する。SOCはstate of chargeの略である。BMU22はこれらSOCや異常を判定した信号(判定情報)を上位ECU160に出力する。
上位ECU160はBMU22から入力された判定情報、および、他の各種ECUから入力された車両情報に基づいてスイッチ30の制御を決定する。そして上位ECU160はその決定したスイッチ30の制御を含む指令信号をBMU22に出力する。
BMU22は上位ECU160からの指令信号に基づいてスイッチ30を制御する。ただしBMU22は、水没センサ43の状態信号により電池パック100が水没したと判断した場合、スイッチ30への制御信号の出力の停止を独断で実行する。これにより組電池10の電気的な接続が遮断される。
またBMU22は、上記の検温ダイオードで検出された温度がスイッチ30の動作保証温度程度まで上昇したと判断すると、スイッチ30の駆動を制限する。同様にしてBMU22は、シャント抵抗で検出された電流がスイッチ30の動作保証電流程度まで上昇したと判断すると、スイッチ30の駆動を制限する。例えばスイッチ30の半導体スイッチをパルス幅制御していた場合、BMU22はそのオンデューティ比を低める。これにより半導体スイッチの通電時間が短くなる。この結果、半導体スイッチの発熱が抑制される。
給電バスバ50はアルミニウムや銅などの導電材料から成る。給電バスバ50は例えば以下に列挙する方法で製造することができる。給電バスバ50は1枚の平板を屈曲加工することで製造することができる。給電バスバ50は複数の平板が一体的に連結されることで製造することができる。給電バスバ50は複数の平板を溶接することで製造することができる。給電バスバ50は鋳型に溶融状態の導電材料を流し込むことで製造することができる。給電バスバ50の製造方法としては特に限定されない。さらに言えば、給電バスバ50としては、例えば絶縁電線を採用することもできる。
電池パック100は給電バスバ50として、第1給電バスバ51、第2給電バスバ52、第3給電バスバ53、および、第4給電バスバ54を有する。これら複数の給電バスバによって組電池10、回路基板20、第1スイッチ31、第2スイッチ32、および、外部接続端子それぞれが電気的に接続されている。図1ではこれら4つの給電バスバそれぞれを配線基板21の給電線よりも太くして図示している。
上記したようにパックケース90は筐体91とカバー92を有する。筐体91はアルミダイカストで製造することができる。また筐体91は鉄やステンレスをプレス加工することによっても製造することができる。筐体91は配線基板21よりも伝熱性能が高くなっている。そのために筐体91は配線基板21よりも放熱性が高くなっている。
筐体91は、底壁93と、底壁93の内底面93aから環状に起立した側壁94と、を有する。環状の側壁94の先端側で収納空間の開口部が構成されている。この開口部がカバー92によって覆われる。カバー92は樹脂製若しくは金属製である。カバー92は筐体91と同様にしてアルミダイカストで製造してもよい。
図2に示すように底壁93にはz方向においてカバー92側に局所的に突起した第1放熱部97と第2放熱部98が形成されている。第1放熱部97に第1スイッチ31が固定される。第2放熱部98に第2スイッチ32が固定される。
底壁93には車両のフロアパネル310と連結するためのフランジ95が一体的に連結されている。底壁93の外底面93bが車両のフロアパネル310と対向する態様で、電池パック100はフロアパネル310に設けられる。そしてフランジ95とフロアパネル310とがボルトを介して機械的および熱的に連結される。これにより電池パック100が車両に固定される。フロアパネル310がボディに相当する。
本実施形態のパックケース90(電池パック100)は車両の座席下方に設けられる。しかしながら電池パック100の配置としてはこれに限定されない。電池パック100は、例えば後部座席とトランクルームとの間の空間、および、運転席と助手席の間の空間などに配置することもできる。
<電池パックの回路構成>
次に、電池パック100の回路構成を説明する。なおこの回路には、図1に示すプリチャージ抵抗58も接続される。プリチャージ抵抗58は配線基板21に搭載されている。
以下に示す各給電バスバと各スイッチとの接続はTIG溶接によって行われる。各給電バスバと回路基板20との接続はろう接によって行われる。なお、各給電バスバと各スイッチとはレーザ溶接によって接続してもよい。
図1に示すように第1外部接続端子110aと第1スイッチ31の一端とが第1給電バスバ51を介して電気的に接続されている。第1給電バスバ51から一部が分岐している。この第1給電バスバ51の分岐部位55が配線基板21の第1内部端子28aと電気的に接続されている。
第1スイッチ31の他端と第2外部接続端子110bとが第2給電バスバ52を介して電気的に接続されている。第2給電バスバ52から一部が分岐している。この第2給電バスバ52の分岐部位56aが第2スイッチ32の一端と電気的に接続されている。また分岐部位56bが第4内部端子28dに接続されている。
第2スイッチ32の他端と組電池10の出力端子17とが第3給電バスバ53を介して電気的に接続されている。出力端子17と第3給電バスバ53とはボルト止めによって接続されている。第3給電バスバ53から一部が分岐している。この第3給電バスバ53の分岐部位57が配線基板21の第2内部端子28bと電気的に接続されている。組電池10の接地端子18はヒューズとともに第3外部接続端子110cに電気的に接続されている。
配線基板21の第2内部端子28bと第1内部端子28aとが第1給電線23を介して電気的に接続されている。この第1給電線23に、第2内部端子28bから第1内部端子28aに向かって順に第3スイッチ33と第4スイッチ34が直列接続されている。
配線基板21の第3内部端子28cは、第1給電線23における第1内部端子28aと第4スイッチ34との間の中点と第2給電線24を介して電気的に接続されている。そして第3内部端子28cは第4給電バスバ54を介して第4外部接続端子110dと電気的に接続されている。
第2給電線24に第5スイッチ35が設けられている。そして第2給電線24における第3内部端子28cと第5スイッチ35との間の中点が、第1給電線23における第4スイッチ34と第3スイッチ33との間の中点に連結されている。
第3給電線25の一端が第1給電線23における第1内部端子28aと第4スイッチ34との間の中点に接続されている。第3給電線25の他端が第2給電線24における第1給電線23との接続点と第5スイッチ35との間に接続されている。この第3給電線25に第6スイッチ36が設けられている。
第4給電線26の一端が第1給電線23における第1内部端子28aと第4スイッチ34との間の中点に接続されている。第4給電線26の他端が第4内部端子28dに接続されている。この第4給電線26にプリチャージ抵抗58が設けられている。
以上により、第1スイッチ31、第2スイッチ32、第3スイッチ33、および、第4スイッチ34が順に環状に接続されている。第1スイッチ31と第2スイッチ32との間の中点が第2外部接続端子110bに接続されている。第2スイッチ32と第3スイッチ33との間の中点が組電池10に接続されている。第3スイッチ33と第4スイッチ34との間の中点が第4外部接続端子110dに接続されている。第4スイッチ34と第1スイッチ31との間の中点が第1外部接続端子110aに接続されている。
また、第1外部接続端子110aと第4外部接続端子110dとが第5スイッチ35を介して接続されている。第4スイッチ34と第3スイッチ33との間の中点が第5スイッチ35を介して第1外部接続端子110aに接続されている。同様にして、第1外部接続端子110aと第4外部接続端子110dとが第6スイッチ36を介して接続されている。第4スイッチ34と第3スイッチ33との間の中点が第6スイッチ36を介して第1外部接続端子110aに接続されている。
以上に示した電気的な接続構成により、第1スイッチ31を開閉制御することで第1外部接続端子110aと第2外部接続端子110bとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第1スイッチ31を開閉制御することで蓄電池110と回転電機130との電気的な接続が制御される。
第2スイッチ32を開閉制御することで第2外部接続端子110bと組電池10との電気的な接続が制御される。換言すれば、第2スイッチ32を開閉制御することで回転電機130と組電池10との電気的な接続が制御される。
第3スイッチ33を開閉制御することで第2内部端子28bと第3内部端子28cとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第3スイッチ33を開閉制御することで組電池10と第2負荷152との電気的な接続が制御される。
第4スイッチ34を開閉制御することで第1内部端子28aと第3内部端子28cとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第4スイッチ34を開閉制御することで蓄電池110と第2負荷152との電気的な接続が制御される。
第5スイッチ35および第6スイッチ36のうちの少なくとも一方を開閉制御することで第3内部端子28cと第1内部端子28aとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第5スイッチ35および第6スイッチ36のうちの少なくとも一方を開閉制御することで蓄電池110と第2負荷152との電気的な接続が制御される。
なお、第1外部接続端子110aと第2外部接続端子110bはプリチャージ抵抗58を介して電気的に接続されている。上記したように第2外部接続端子110bに第2ワイヤハーネス220が接続されている。そしてこの第2ワイヤハーネス220に図示しない電力変換器が接続されている。
電力変換器は大容量の平滑コンデンサを備えている。平滑コンデンサは充電された状態で使用される。この平滑コンデンサの充電は、蓄電池110からの電力供給によって行われる。
第1ワイヤハーネス210~第3ワイヤハーネス230が電池パック100に接続される。これによりプリチャージ抵抗58を介して蓄電池110から平滑コンデンサに電力供給される。このようにプリチャージ抵抗58を介して蓄電池110から平滑コンデンサに電力供給することで、蓄電池110から平滑コンデンサへ供給される電流量の急激な増大が抑制されている。
<センサ部>
次に、センサ部40の備える電圧センサ41、温度センサ42、および、水没センサ43を説明する。
電圧センサ41は複数の電池セル11の出力電圧を検出する。上記したように複数の電池セル11に4つの直列端子16、出力端子17、および、接地端子18が電気的に接続されている。電圧センサ41はこれら6つの端子それぞれに独立して一端側の接続される6つの電圧配線41aを有する。6つの電圧配線41aそれぞれの他端側はBMU22に電気的に接続される。これにより6つの電圧配線41aで検出された電圧がBMU22に入力される。電圧配線41aは絶縁電線である。電圧配線41aが検出線に相当する。
温度センサ42は電池セル11の温度を検出する。温度センサ42は第1サーミスタ42aと第2サーミスタ42bを有する。第1サーミスタ42aは複数の電池セル11のうちの最も温度の高い電池セル11の温度を検出する。第2サーミスタ42bは複数の電池セル11のうちの最も温度の低い電池セル11の温度を検出する。
具体的には、第1サーミスタ42aは最も放熱性の悪いことの予想される第1電池スタックの3つの電池セル11のうちの真ん中に位置する電池セル11の温度を検出する。第2サーミスタ42bは最も放熱性の良いことの予想される第2電池スタックの2つの電池セル11のうちの一方の温度を検出する。
温度センサ42は第1サーミスタ42aと第2サーミスタ42bに独立して一端側の接続される2つの温度配線42cを有する。これら2つの温度配線42cそれぞれの他端側はBMU22に電気的に接続される。これにより第1サーミスタ42aと第2サーミスタ42bそれぞれで検出された温度がBMU22に入力される。なお温度配線42cは絶縁電線である。温度配線42cは電気的に独立した2つの電線が絶縁被膜によって覆われて成る。
水没センサ43は第1対向電極43aと第2対向電極43bを有する。そして水没センサ43は第1対向電極43aと第2対向電極43bに独立して一端側の接続された2つの水没配線43cを有する。これら2つの水没配線43cそれぞれの他端側はBMU22に電気的に接続される。水没配線43cは絶縁電線である。
第1対向電極43aと第2対向電極43bはx方向で離間して対向している。第1対向電極43aと第2対向電極43bとの間に不純物を含む水などの液体があると、両者が導通する。それによって第1対向電極43aと第2対向電極43bとの間の抵抗値が変化する。この抵抗値の変化が2つの水没配線43cを介してBMU22に入力される。
以上に示した6つの電圧配線41a、2つの温度配線42c、および、2つの水没配線43cは図4および図5に示すテープ44によって1つに束ねられている。そしてこれら10本の配線は結束バンド45によって配線ケース14に固定されている。以下においてこれら10本の配線をセンサ配線と示す。
図4および図5に示すように、10本のセンサ配線は結束バンド45によって固定された部位からx方向に沿って延びた後、折り返して、反対側に延びている。そのために10本のセンサ配線はU字形状を成している。これら10本のセンサ配線の他端側がセンサコネクタ46によってまとめられている。センサコネクタ46が束ね部に相当する。
図6に示すようにセンサコネクタ46は、12本のコネクタピン46aと、これら12本のコネクタピン46aを一体的に連結する樹脂製の本体部46bと、を有する。上記したように温度配線42cは電気的に独立した2つの電線を有する。そのために10本のセンサ配線に12本の電線が含まれている。これら12本の電線の他端側それぞれが12本のコネクタピン46aそれぞれと電気的に独立して接続されている。
図6に示すように12本のコネクタピン46aは2行6列に配列されている。これら12本のコネクタピン46aの最短隣接間隔は、1つの電池セル11の有する正極端子11aと負極端子11bとの間の隣接間隔よりも狭くなっている。最短隣接間隔は、第1電池スタックと第2電池スタックのうちの一方に含まれる電池セル11の正極端子11aと他方に含まれる電池セル11の負極端子11bとの間の隣接間隔よりも狭くなっている。複数のコネクタピン46a間は正極端子11aと負極端子11bとの間と比べて、導電性の異物などによって短絡しやすくなっている。
図7に示すように配線基板21の一面21aに検出コネクタ27が設けられている。センサコネクタ46を検出コネクタ27に対して近づくようにx方向に移動させる。これにより検出コネクタ27にセンサコネクタ46が連結される。センサ部40で検出された信号(状態信号)がBMU22に入力可能となる。
なお、上記したように配線基板21の裏面21bに信号コネクタ28が設けられている。裏面21bはモジュールケース12側に位置している。そのために信号コネクタ28は検出コネクタ27とセンサコネクタ46よりもz方向においてモジュールケース12側に位置している。換言すれば、検出コネクタ27とセンサコネクタ46は信号コネクタ28よりもz方向においてモジュールケース12から離間している。
さらに言い換えれば、検出コネクタ27とセンサコネクタ46は信号コネクタ28よりもz方向においてフロアパネル310に連結される底壁93よりも離間している。車両が水平面に停車している状況下において、検出コネクタ27とセンサコネクタ46は信号コネクタ28よりも鉛直方向の上方に位置している。これら検出コネクタ27とセンサコネクタ46はカバー92によって覆われている。
<カバー形状>
次に、カバー92の形状を詳説する。
本実施形態のカバー92は絶縁性の樹脂材料で形成されている。そのためにカバー92はアルミダイカストで製造される筐体91よりも製造コストが安くなっている。
カバー92はz方向で筐体91の底壁93と離間して対向配置される天板60、および、天板60の底壁93側の内天面60aから起立した外壁61を有する。外壁61と筐体91の側壁94にはz方向に開口するボルト孔が形成されている。これらボルト孔にボルトが締結される。これによりカバー92が筐体91に固定される。カバー92と筐体91とによって上記の収納空間が構成される。
この収納空間には、上記したように組電池10、回路基板20、センサ部40、拘束プレート96、および、バスバモジュールが収納される。天板60はこれら収納物に応じてz方向に凹凸した形状となっている。
外壁61は、x方向で離間して対向する左壁64と右壁65、および、y方向で離間して対向する前壁66と後壁67を有する。z方向まわりの周方向で、左壁64、前壁66、右壁65、および、後壁67が順に連結されている。これにより外壁61はz方向まわりの周方向で環状を成している。左壁64~後壁67それぞれの天板60からz方向で離間した先端面も環状を成している。外壁61が環状壁に相当する。前壁66が第1側壁に相当する。後壁67が第2側壁に相当する。左壁64と右壁65が連結壁に相当する。
上記した配線基板21はz方向において天板60と組電池10との間に設けられる。配線基板21は外壁61の備える左壁64~後壁67それぞれの先端面よりもz方向において天板60側に位置している。そのために配線基板21は外壁61によってその周囲を囲まれている。
上記したようにモジュールケース12のカバーケース19から出力端子17の出っ張った部位の先端側が露出されている。前壁66にはこの出力端子17の先端側を収納空間の外に露出させるための切欠き66aが形成されている。
切欠き66aはx方向に並ぶ第1切欠き端面と第2切欠き端面およびこれらを連結する連結端面66bによって区画されている。これら3つの端面は前壁66の先端面の一部を構成している。3つの端面のうちの連結端面66bは他の2つの端面よりも天板60側に位置している。
配線基板21の一面21aはこの切欠き66aの連結端面66bよりもz方向において天板60側に位置している。そのため、配線基板21の一面21aに設けられた検出コネクタ27とこれに接続されるセンサコネクタ46それぞれは連結端面66bよりもz方向において天板60側に位置している。また、検出コネクタ27とセンサコネクタ46はy方向において後壁67よりも前壁66側に位置している。
上記したようにこの配線基板21の裏面21bに信号コネクタ28が設けられる。後壁67にはこの信号コネクタ28を収納空間の外に露出させるための開口窓67aが形成されている。
開口窓67aは矩形を成している。開口窓67aはz方向に並ぶ上端面67bと下端面およびx方向に並ぶ左端面と右端面とによって区画されている。当然ながらにして、これら4つの端面は後壁67の先端面よりもz方向において天板60側に位置している。4つの端面のうちの上端面67bは他の3つの端面よりも天板60側に位置するとともに、左壁64~前壁66それぞれの先端面よりも天板60側に位置している。
配線基板21の一面21aはこの開口窓67aの上端面67bよりもz方向において天板60側に位置している。そのために検出コネクタ27とセンサコネクタ46は上端面67bよりもz方向において天板60側に位置している。開口窓67aの上端面67bが、環状壁における並び方向において最も天板側に位置する端面に相当する。
なお、開口窓67aは例えば左壁64などに形成されてもよい。そして開口窓67aの代わりに3つの端面で区画される切欠きでもよい。
<エアポケット>
図8に示すように、底壁93の外底面93bが車両のフロアパネル310と対向する態様で、電池パック100はフロアパネル310に設けられる。そのために浸水によって車内の水位が上昇すると、筐体91の側壁94の区画する開口から筐体91の内部へと水が浸入する。
水は収納空間における筐体91によって構成される領域を満たした後、収納空間におけるカバー92によって構成される領域を満たそうとする。しかしながら、このような水位上昇の場合、カバー92の天板60側に空気が取り残されやすくなる。いわゆるエアポケットAPがカバー92の天板60側に形成されやすくなる。図8に、このエアポケットAPをドットハッチングで示す。また、エアポケットAPに形成される水面WSの鉛直方向の位置を破線で示す。
このエアポケットAPは、z方向において、天板60と、外壁61における最も天板60から離れた端面との間に形成される。本実施形態に示した構成の場合、エアポケットAPは、天板60の内天面60aと、外壁61における開口窓67aの上端面67bよりも天板60側の部位との間に形成されやすくなる。そしてエアポケットAPに形成される水面WSのz方向の位置が上端面67bと同等になりやすくなる。
<作用効果>
これに対して、本実施形態で示したように検出コネクタ27とセンサコネクタ46は開口窓67aの上端面67bよりもz方向において天板60側に位置している。そのために検出コネクタ27とセンサコネクタ46は上記したエアポケットAPに設けられやすくなる。
これにより検出コネクタ27とセンサコネクタ46の水没が抑制される。検出コネクタ27とセンサコネクタ46が水没した結果、センサコネクタ46の備える複数のコネクタピン46a間が短絡することが抑制される。
例えば、12本のコネクタピン46aのうちの電池セル11の正極端子11aと接続されたコネクタピン46aと負極端子11bに接続されたコネクタピン46aとの短絡が抑制される。この短絡によって電池セル11が過放電状態になり、電池セル11が著しく劣化することが抑制される。
また、水に含まれた導電性の物質がセンサコネクタ46に析出することが抑制される。この析出物を介して、複数のコネクタピン46aが短絡することが抑制される。
なお、例えば、外壁61の端面の天板60からの離間距離がz方向まわりの周方向で一律に一定だとしても、それによって区画される開口は、電池パック100の車載状態、および、車両の設けられている地面の傾斜などのために水平面に対して交差する。そのため、例え天板60の内天面60aが全面的に平面形状を成していたとしても、カバー92に形成されるエアポケットAPの鉛直方向の長さが水平方向で不均等になる。
このエアポケットAPの鉛直方向の長さは、外壁61の端面が天板60からz方向に離間しているほどに、長くなることが期待される。例えば図9と図10にx方向まわりに車両が傾斜した場合に電池パック100に形成されるエアポケットAPを示す。これらに明示するように、エアポケットAPはy方向において後壁67よりも前壁66側に形成されやすくなる。
これに対して、検出コネクタ27とセンサコネクタ46は、y方向において、開口窓67aの形成された後壁67よりも前壁66側に位置している。このために検出コネクタ27とセンサコネクタ46はエアポケットAPに設けられやすくなる。
以上、本開示物の好ましい実施形態について説明したが、本開示物は上記した実施形態になんら制限されることなく、本開示物の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
(第1の変形例)
本実施形態では、電池パック100が車両のフロアパネル310に設けられる例を示した。そしてこのフロアパネル310における電池パック100の搭載面310aは、車両が水平面に設けられている状態で、水平面に沿う例を示した。
しかしながら、フロアパネル310の形状は燃料タンクなどの配置や形状などに応じて、適宜設計される。そのためにフロアパネル310の搭載面310aは、車両が水平面に設けられている状態で、水平面に対して傾斜している場合がある。このように傾斜した搭載面310aに電池パック100が設けられてもよい。
ただし、このように傾斜した搭載面310aに電池パック100が設けられる場合、検出コネクタ27とセンサコネクタ46は鉛直方向において上方に位置するように設けられるとよい。そして、外壁61における鉛直方向において上方側に位置する部位の天板60から離間した端面は、下方側に位置する部位の端面よりも天板60から離間しているとよい。係る構成は、例えば図9に示す構成と同等である。この構成によって、検出コネクタ27とセンサコネクタ46はエアポケットAPに設けられやすくなる。
(第2の変形例)
本実施形態では、回路基板20と組電池10とがz方向で並ぶ例を示した。しかしながら、例えば図11に示すように回路基板20と組電池10とがy方向に離間して並ぶ構成を採用することもできる。
この変形例では、検出コネクタ27の代わりに防水コネクタ29が回路基板20に設けられている。この防水コネクタ29の設けられた回路基板20は防水筐体80に収納されている。この防水筐体80内で、検出コネクタ27の一端が防水コネクタ29に接続されている。そして検出コネクタ27の他端側が防水筐体80の外に設けられている。
検出コネクタ27の他端側にセンサコネクタ46が接続される。これら検出コネクタ27の他端側とセンサコネクタ46は、これまでに説明した各種形態と同様にして、収納空間におけるカバー92によって構成される領域に設けられる。それとともに検出コネクタ27の他端側とセンサコネクタ46は外壁61の先端面よりもz方向において天板60側に設けられる。
(第3の変形例)
本実施形態では、カバー92が天板60と外壁61を有する例を示した。これに対してカバー92は、これらの他に、図12および図13に示す内壁68を有する。内壁68はz方向まわりの周方向で環状を成している。この内壁68の先端面は外壁61の先端面よりも天板60からz方向に離間している。この内壁68によって囲まれる領域の中に、検出コネクタ27の他端側とセンサコネクタ46とが設けられる。
係る構成のため、エアポケットAPは内壁68の先端面と天板60との間に構成される。このエアポケットAPに検出コネクタ27の他端側とセンサコネクタ46とが設けられる。
なお、この変形例に記載の内壁68に対して、これまでに説明した各種形態に記載の外壁61の形状などを適宜採用することができる。例えば、図12および図13に示すように内壁68は、y方向で離間して並ぶ第1内壁69と第2内壁70、および、x方向で離間して並ぶ第3内壁71と第4内壁72を有する。そして第1内壁69の第1先端面68aが他の3つの内壁の第2先端面68bよりも天板60からz方向に離間している。そして、検出コネクタ27とセンサコネクタ46とがy方向において第2内壁70よりも第1内壁69側に位置している。係る構成を採用することができる。
この変形例においては、内壁68が環状壁に相当する。第1内壁69が第1側壁に相当する。第2内壁70が第2側壁に相当する。第3内壁71と第4内壁72が連結壁に相当する。第1先端面68aが第1側壁の端面に相当する。第2先端面68bが第2側壁の端面に相当する。外壁61が外側壁に相当する。
(その他の変形例)
本実施形態では6つの電圧配線41a、2つの温度配線42c、および、2つの水没配線43cがテープ44によって1つに束ねられるとともに、結束バンド45によって配線ケース14に固定される例を示した。そしてこれら10本のセンサ配線の他端側がセンサコネクタ46によってまとめられる例を示した。
しかしながら、例えば、テープ44と結束バンド45とによって束ねられたこれら10本のセンサ配線の他端側が配線基板21にはんだに接続される構成を採用することもできる。この変形例では、テープ44と結束バンド45のうちの少なくとも一方が束ね部に相当する。
本実施形態では組電池10が5つの電池セル11を有する例を示した。しかしながら組電池10は複数の電池セル11を有すればよく、上記例に限定されない。また電池スタックの数としても、2つではなく1つ若しくは3つ以上を採用することもできる。さらに言えば、電池セル11がx方向に並ぶことで電池スタックが構成されてもよい。
本実施形態では電源システム200を搭載する車両がアイドルストップ機能を有する例を示した。しかしながら電源システム200を搭載する車両としては上記例に限定されない。例えばハイブリッド自動車や電気自動車を採用することができる。この場合、本実施形態で示したスタータモータ120や回転電機130は、モータジェネレータに代わる。