以下、本開示の実施形態と変形例を図に基づいて説明する。これら実施形態と変形例それぞれには共通要素が含まれている。この共通要素をある実施形態で説明した場合、その共通要素の説明を他の実施形態と変形例では省略する。この共通要素には複数の実施形態と変形例それぞれで同一の符号を付与する。
(第1実施形態)
図1~図3に基づいて本実施形態に係る電池パック100、および、それを含む電源システム200を説明する。
<電源システムの概要>
電源システム200は車両に搭載される。電源システム200は車両に搭載された複数の車載機器と電池パック100とによって構成されている。車載機器の1つとして蓄電池110がある。電池パック100は組電池10を有している。電源システム200はこれら蓄電池110と組電池10とによって2電源システムを構築している。
他の車載機器としてエンジン140がある。電源システム200を搭載する車両は、所定の停止条件が満たされるとエンジン140を停止し、所定の始動条件が満たされるとエンジン140を再始動するアイドルストップ機能を有する。
図1に示すように電源システム200は、上記した蓄電池110とエンジン140の他に、スタータモータ120、回転電機130、電気負荷150、上位ECU160、および、MGECU170を有する。電気負荷150は第1負荷151と第2負荷152を有する。
蓄電池110、スタータモータ120、および、第1負荷151それぞれは、第1ワイヤハーネス210を介して電池パック100と電気的に接続されている。回転電機130は第2ワイヤハーネス220を介して電池パック100と電気的に接続されている。第2負荷152は第3ワイヤハーネス230を介して電池パック100と電気的に接続されている。
上位ECU160とMGECU170は図示しない配線を介して蓄電池110と電池パック100それぞれと電気的に接続されている。同様にして、車両に搭載された他の各種ECUも蓄電池110と電池パック100それぞれと電気的に接続されている。
以上に示したように電源システム200は、蓄電池110と組電池10の2つを電源とする2電源システムを構築している。
<電源システムの構成要素>
蓄電池110は化学反応によって起電圧を生成する。蓄電池110は組電池10よりも蓄電容量が多い。蓄電池110は具体的には鉛蓄電池である。なお蓄電池110としては例えばリチウムイオン二次電池を採用することもできる。
スタータモータ120はエンジン140を始動する。スタータモータ120はエンジン140の始動時にエンジン140と機械的に連結される。スタータモータ120の回転によってエンジン140のクランクシャフトが回転される。クランクシャフトの回転数が所定回転数を超えると、燃料噴射弁から燃焼室に霧状の燃料が噴射される。この際に点火プラグで火花が生成される。これにより燃料が爆発し、エンジン140が自律回転し始める。このエンジン140の動力によって車両の推進力が得られる。エンジン140が自律回転し始めると、スタータモータ120とエンジン140との機械的な連結が解除される。
回転電機130は力行と発電を行う。回転電機130には図示しない電力変換器が接続されている。この電力変換器が第2ワイヤハーネス220に電気的に接続されている。
電力変換器は蓄電池110と組電池10のうちの少なくとも一方から供給された直流電圧を交流電圧に変換する。この交流電圧が回転電機130に供給される。これにより回転電機130は力行する。
回転電機130はエンジン140と連結されている。回転電機130とエンジン140とは、ベルトなどを介して相互に回転エネルギーを伝達可能になっている。回転電機130の力行によって生じた回転エネルギーはエンジン140に伝達される。これによりエンジン140の回転が促進される。この結果、車両走行がアシストされる。上記したように電源システム200を搭載する車両はアイドルストップ機能を有する。回転電機130は車両走行のアシストだけではなく、エンジン140の再始動時にクランクシャフトを回転させる機能も果たす。
回転電機130はエンジン140の回転エネルギー、および、車両の車輪の回転エネルギーの少なくとも一方によって発電する機能も有する。回転電機130は発電によって交流電圧を生成する。この交流電圧が電力変換器によって直流電圧に変換される。この直流電圧が、電池パック100、蓄電池110、および、電気負荷150それぞれに供給される。
エンジン140は燃料を燃焼駆動することで車両の推進力を生成する。上記したようにエンジン140の始動時においては、スタータモータ120によってクランクシャフトが回転される。しかしながらアイドルストップによってエンジン140が一度停止した後に再び始動する際には、上記の所定の始動条件が満たされる場合、回転電機130によってクランクシャフトが回転される。
上記したように電気負荷150は第1負荷151と第2負荷152を有する。第1負荷151には、シートヒータ、送風ファン、電動コンプレッサ、ルームライト、および、ヘッドライトなどの供給電力が一定でなくともよい車載機器が含まれる。第2負荷152には、電動シフトポジション、電動パワーステアリング(EPS)、ブレーキ(ABS)、ドアロック、ナビゲーションシステム、および、オーディオなどの供給電力が一定であることの求められる車載機器が含まれる。
ここに例示した第2負荷152は供給電圧がリセット閾値を下回るとオン状態からオフ状態へと切り換わる性質を有する。第2負荷152には第1負荷151よりも車両走行に関連性の高い車載機器が含まれる。
なお、上記した各種車載機器が第1負荷151と第2負荷152に含まれる構成は一例に過ぎない。車載システムの変更などに応じて、各種車載機器を第1負荷151と第2負荷152に適宜振り分けることができる。例えば第1負荷151にEPSやABSが含まれる構成を採用することができる。
上位ECU160とMGECU170は車両に搭載された各種ECUのうちの1つである。これら各種ECUはバス配線161を介して互いに電気的に接続され、車載ネットワークを構築している。各種ECUが協調制御することで、エンジン140の燃焼および回転電機130の力行や発電などが制御される。上位ECU160は電池パック100を制御する。MGECU170は回転電機130を制御する。
また図示しないが、電源システム200は、上記した各車載機器の他に、各種電圧や電流などの物理量、および、アクセルペダルの踏み込み量やスロットルバルブ開度などの車両情報を測定するためのセンサを有している。これら各種センサの検出した検出信号は、各種ECUに入力される。
なお、ECUはelectronic control unitの略である。ECUは、少なくとも1つの演算処理装置(CPU)と、プログラムおよびデータを記憶する記憶媒体としての少なくとも1つのメモリ装置(MMR)と、を有する。ECUはコンピュータで読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体はコンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供され得る。
<電池パックの概要>
図1に示すように電池パック100は、組電池10、回路基板20、スイッチ30、センサ部40、および、給電バスバ50を有する。また図2および図3に示すように電池パック100はパックケース90を有する。さらに電池パック100は図示しないバスバケースを有する。
バスバケースは絶縁性の樹脂材料から成る。バスバケースは給電バスバ50を収納する機能を果たしている。給電バスバ50とバスバケースとによってバスバモジュールが構成されている。
パックケース90は上側ケース91と下側ケース92を有する。上側ケース91によって収納空間が構成されている。この収納空間の開口が下側ケース92によって閉塞されている。収納空間には、組電池10、回路基板20、スイッチ30、センサ部40、および、バスバモジュールそれぞれが収納されている。
組電池10は蓄電池110よりも体格が小さく、重量も軽くなっている。組電池10は蓄電池110よりもエネルギー密度が高い性質を有する。
回路基板20は配線基板21とBMU22を有する。配線基板21にはスイッチ30の一部とBMU22が搭載されている。そして配線基板21にはスイッチ30の残りと組電池10とが給電バスバ50を介して電気的に接続されている。これにより電池パック100の電気回路が構成されている。この電気回路にセンサ部40が絶縁電線や金属端子などを介して電気的に接続されている。この電気回路にセンサ部40が電気的に接続されている。
電池パック100の電気回路は図1において二重丸で示す外部接続端子と電気的に接続されている。この外部接続端子としては、第1外部接続端子100a、第2外部接続端子100b、第3外部接続端子100c、および、第4外部接続端子100dがある。
第1外部接続端子100aは第1ワイヤハーネス210を介して蓄電池110、スタータモータ120、および、第1負荷151それぞれと電気的に接続されている。第2外部接続端子100bは第2ワイヤハーネス220を介して回転電機130と電気的に接続されている。第3外部接続端子100cはボルト若しくはワイヤハーネスを介して、例えば図3に示す車両のフロアパネル310に機械的および電気的に接続されている。第4外部接続端子100dは第3ワイヤハーネス230を介して第2負荷152と電気的に接続されている。
第1ワイヤハーネス210~第3ワイヤハーネス230それぞれは孔の形成された金属端子を有する。これら第1ワイヤハーネス210~第3ワイヤハーネス230は車両内で這いまわされている。
第1外部接続端子100a、第2外部接続端子100b、および、第4外部接続端子100dそれぞれはバスバケースの一部を共有している。樹脂製のバスバケースの端子台に接続ボルトが埋設されている。この接続ボルトの軸部にナットが締結される。第1外部接続端子100a、第2外部接続端子100b、および、第4外部接続端子100dそれぞれは、端子台における接続ボルトを埋設する部位、接続ボルト、および、ナットをバスバケースと共有している。
接続ボルトの頭部側が端子台に埋没されている。接続ボルトの軸部が端子台から突出している。この接続ボルトの軸部に給電バスバ50の貫通孔が通される。そしてナットが接続ボルトの軸部に締結される。これにより端子台に給電バスバ50が固定される。バスバモジュールが構成される。バスバモジュールは図示しないボルトによって上側ケース91に固定される。
次いで、接続ボルトの軸部の先端側にワイヤハーネスの金属端子の孔が通される。そして図示しないナットが接続ボルトの軸部の先端側に締結される。これによりワイヤハーネスの金属端子が接続ボルトの軸部に機械的に接続される。それとともに金属端子が給電バスバ50と電気的に接続される。
第3外部接続端子100cは上側ケース91に形成されたボルト孔である。第3外部接続端子100cはボルト若しくはワイヤハーネスを介して車両のフロアパネル310と接続される。これにより上側ケース91はグランド電位になっている。電池パック100はボディアースされている。
<電池パックの構成要素>
次に、電池パック100の構成要素を個別に説明する。それにあたって、以下においては互いに直交の関係にある3方向を、x方向、y方向、および、z方向と示す。
x方向は車両の左右方向に沿っている。y方向は車両の進退方向に沿っている。z方向は車両の天地方向に沿っている。車両が水平面に停車している場合、z方向は鉛直方向に沿う。x方向とy方向は水平方向に沿う。x方向が横方向に相当する。y方向が縦方向に相当する。z方向が並び方向に相当する。
組電池10は複数の直列接続された電池セルと、これら複数の電池セルを収納する電池ケースと、を有する。電池セルは具体的にはリチウムイオン二次電池である。リチウムイオン二次電池は化学反応によって起電圧を生成する。起電圧の生成により電池セルに電流が流れる。これにより電池セルは発熱してガスを発生する。そのために電池セルは膨張する。なお電池セルとしては、ニッケル水素二次電池、有機ラジカル電池などの二次電池を採用することができる。
電池セルは直方体形状を成している。電池セルはz方向に面する2つの主面を有する。これら2つの主面は他の4面よりも面積が広くなっている。そして2つの主面間の長さ(厚さ)が薄くなっている。このように電池セルはz方向の厚さの薄い扁平形状を成している。
本実施形態の組電池10は4つの電池セルを有する。これら4つの電池セルのうちの2つがz方向に積層配置されて第1電池スタックを構成している。そして残り2つの電池セルがz方向に積層配置されて第2電池スタックを構成している。これら2つの電池スタックはx方向に並んでいる。これら4つの電池セルの配置が電池ケースによって保持されている。
電池ケースは樹脂から成る本体部と、本体部に設けられる接続端子と、を有する。接続端子としては、4つの電池セルを直列接続する直列接続端子がある。これら直列接続端と対応する電池セルの電極端子とを接触させ、その接触状態で両者を溶接接合する。これにより4つの電池セルが直列接続される。
また接続端子としては、上記の直列接続端子の他に、4つの直列接続された電池セルのうちの最高電位に位置する電池セルの正極端子と接続される出力端子と、最低電位に位置する電池セルの負極端子と接続される接地端子と、がある。この出力端子は最高電位の電池セルの正極端子と溶接接合される。接地端子は最低電位の電池セルの負極端子と溶接接合される。
電池ケースにはボルトを通すための通し孔が形成されている。パックケース90の上側ケース91にはボルトを締結するためのボルト孔が形成されている。これら孔にボルトの軸部を通し軸部の先端側をボルト孔に締結する。これにより電池ケースが上側ケース91に固定される。
上側ケース91には図3に示す拘束プレート60がボルト止めされている。電池ケースはz方向において拘束プレート60と上側ケース91との間に設けられる。電池セルの膨張に起因する組電池10の膨張が、拘束プレート60と電池ケースとの接触によって抑制される。
上記したように回路基板20は配線基板21とBMU22を有する。配線基板21は絶縁基板に導電材料からなる配線パターンの形成されたプリント基板である。配線基板21はボルトなどを介して上側ケース91に固定されている。配線基板21(回路基板20)はパックケース90内において組電池10とy方向で並んでいる。
絶縁基板の表面および内部の少なくとも一方に、配線パターンとして第1給電線23、第2給電線24、第3給電線25、および、第4給電線26が形成されている。そして絶縁基板には配線パターンと電気的に接続される端子が形成されている。この端子としては、第1内部端子28a、第2内部端子28b、第3内部端子28c、および、第4内部端子28dがある。これら配線パターンと内部端子それぞれの電気的な接続の説明は、後の電池パック100の回路構成の説明の際に行う。
なお配線基板21には図示しない信号コネクタと検出コネクタが設けられている。信号コネクタは図1に示すBMU22とバス配線161とを接続する機能も果たしている。信号コネクタは後述の指令信号や判定信号などを入出力する機能を果たしている。検出コネクタは図1に示すセンサ部40とBMU22とを接続する機能を果たしている。
スイッチ30は、第1スイッチ31、第2スイッチ32、第3スイッチ33、第4スイッチ34、第5スイッチ35、および、第6スイッチ36を有する。第1スイッチ31と第2スイッチ32は上側ケース91に搭載される。第3スイッチ33~第6スイッチ36それぞれは配線基板21に搭載される。
第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれは半導体スイッチを有する。この半導体スイッチは具体的にはNチャネル型MOSFETである。したがって第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれはハイレベルの制御信号の入力によって閉状態になる。第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれはローレベルの制御信号の入力によって開状態になる。
第1スイッチ31~第4スイッチ34の有する半導体スイッチとしてはIGBTなどを採用することもできる。この場合、IGBTにはダイオードが並列接続される。
第5スイッチ35と第6スイッチ36はメカニカルリレーである。詳しく言えば第5スイッチ35と第6スイッチ36はノーマリクローズ式の電磁リレーである。したがって第5スイッチ35と第6スイッチ36はハイレベルの制御信号の入力によって開状態になる。第5スイッチ35と第6スイッチ36はローレベルの制御信号の入力によって閉状態になる。換言すれば、第5スイッチ35と第6スイッチ36はハイレベルの制御信号の入力が途絶えると閉状態になる。
第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれは、直列接続された2つのMOSFETを備える開閉部を少なくとも1つ有する。これら2つのMOSFETはソース電極同士が連結されている。2つのMOSFETのゲート電極は電気的に独立している。MOSFETは寄生ダイオードを有する。2つのMOSFETの寄生ダイオードは互いにアノード電極同士が連結されている。上記のゲート電極は回路基板20と電気的に接続される。
第1スイッチ31~第4スイッチ34はそれぞれ複数の開閉部を有する。複数の開閉部は並列接続されている。そして第3スイッチ33と第4スイッチ34では複数の開閉部の有する直列接続された2つのMOSFETのソース電極同士が互いに接続されている。
本実施形態では第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれは開閉部を2つ有する。これら開閉部の数や並列接続および直列接続などの接続形態は電流量や冗長性などに応じて適宜定められる。
開閉部の備える2つのMOSFETは樹脂部によって被覆されている。樹脂部は直方体形状を成している。
上記したように電気回路にセンサ部40が電気的に接続されている。センサ部40は組電池10とスイッチ30それぞれの状態を検出するセンサ素子を有する。センサ部40はセンサ素子として、温度センサ、電流センサ、および、電圧センサを有する。
センサ部40は組電池10の温度、電流、および、電圧を検出する。センサ部40はそれを組電池10の状態信号としてBMU22に出力する。またセンサ部40はスイッチ30の温度、電流、および、電圧を検出する。センサ部40はそれをスイッチ30の状態信号としてBMU22に出力する。
なおスイッチ30の温度を検出する温度センサは、直列接続された2つのMOSFETとともに上記の樹脂部によって被覆保護される検温ダイオードである。スイッチ30の電流を検出する電流センサは、直列接続された2つのMOSFETの間に設けられたシャント抵抗である。これら温度センサと電流センサそれぞれの入出力端子の端部が上記の樹脂部から露出されている。これら複数の入出力端子の端部が配線基板21に接続されている。
センサ部40は上記の各種センサの他に水没センサを有する。この水没センサは2つの対向電極を有する。2つの対向電極の間に水があると、2つの対向電極が通電する。それによって2つの対向電極間の抵抗値が変化する。この抵抗値の変化が状態信号としてBMU22に入力される。BMU22は抵抗値の変化が所定時間継続されるか否かに基づいて、電池パック100の水没を検出する。
BMU22はセンサ部40の状態信号、および、上位ECU160からの指令信号の少なくとも一方に基づいてスイッチ30を制御する。BMUはbattery management unitの略である。
上記したように第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれは複数の半導体スイッチを有する。例えば第1スイッチ31の開閉を制御する場合、BMU22は第1スイッチ31の有する全ての半導体スイッチを同時に閉状態、若しくは、同時に開状態に制御する。例えばBMU22は、第1スイッチ31の有する全ての半導体スイッチの制御電極(ゲート電極)にハイレベルの制御信号、若しくは、ローレベルの制御信号を同時に出力する。
なおBMU22は、半導体スイッチを閉状態にする期間において、ハイレベルの制御信号を間断的に出力することで半導体スイッチの閉時間を調整してもよい。簡単に言えば、BMU22は半導体スイッチをパルス幅制御してもよい。
BMU22はセンサ部40の状態信号に基づいて組電池10の充電状態(SOC)やスイッチ30の異常を判定する。SOCはstate of chargeの略である。BMU22はこれらSOCや異常を判定した信号(判定情報)を上位ECU160に出力する。
上位ECU160はBMU22から入力された判定情報、および、他の各種ECUから入力された車両情報に基づいてスイッチ30の制御を決定する。そして上位ECU160はその決定したスイッチ30の制御を含む指令信号をBMU22に出力する。
BMU22は上位ECU160からの指令信号に基づいてスイッチ30を制御する。ただしBMU22は、水没センサの状態信号により電池パック100が水没したと判断した場合、スイッチ30への制御信号の出力の停止を独断で実行する。これにより組電池10の電気的な接続が遮断される。
またBMU22は、上記の検温ダイオードで検出された温度がスイッチ30の動作保証温度程度まで上昇したと判断すると、スイッチ30の駆動を制限する。同様にしてBMU22は、シャント抵抗で検出された電流がスイッチ30の動作保証電流程度まで上昇したと判断すると、スイッチ30の駆動を制限する。例えばスイッチ30の半導体スイッチをパルス幅制御していた場合、BMU22はそのオンデューティ比を低める。これにより半導体スイッチの通電時間が短くなる。この結果、半導体スイッチの発熱が抑制される。
給電バスバ50はアルミニウムや銅などの導電材料から成る。給電バスバ50は例えば以下に列挙する方法で製造することができる。給電バスバ50は1枚の平板を屈曲加工することで製造することができる。給電バスバ50は複数の平板が一体的に連結されることで製造することができる。給電バスバ50は複数の平板を溶接することで製造することができる。給電バスバ50は鋳型に溶融状態の導電材料を流し込むことで製造することができる。給電バスバ50の製造方法としては特に限定されない。さらに言えば、給電バスバ50としては、例えば絶縁電線を採用することもできる。
電池パック100は給電バスバ50として、第1給電バスバ51、第2給電バスバ52、第3給電バスバ53、および、第4給電バスバ54を有する。これら複数の給電バスバによって組電池10、回路基板20、第1スイッチ31、第2スイッチ32、および、外部接続端子それぞれが電気的に接続されている。図1ではこれら4つの給電バスバそれぞれを配線基板21の給電線よりも太くして図示している。
<電池パックの回路構成>
次に、電池パック100の回路構成を説明する。なおこの回路には、図1に示すプリチャージ抵抗58も接続される。プリチャージ抵抗58は配線基板21に搭載されている。
以下に示す各給電バスバと各スイッチとの接続はTIG溶接によって行われる。各給電バスバと回路基板20との接続はろう接によって行われる。なお、各給電バスバと各スイッチとはレーザ溶接によって接続してもよい。
図1に示すように第1外部接続端子100aと第1スイッチ31の一端とが第1給電バスバ51を介して電気的に接続されている。第1給電バスバ51から一部が分岐している。この第1給電バスバ51の分岐部位55が配線基板21の第1内部端子28aと電気的に接続されている。
第1スイッチ31の他端と第2外部接続端子100bとが第2給電バスバ52を介して電気的に接続されている。第2給電バスバ52から一部が分岐している。この第2給電バスバ52の分岐部位56aが第2スイッチ32の一端と電気的に接続されている。また分岐部位56bが第4内部端子28dに接続されている。
第2スイッチ32の他端と組電池10の正極とが第3給電バスバ53を介して電気的に接続されている。第3給電バスバ53から一部が分岐している。この第3給電バスバ53の分岐部位57が配線基板21の第2内部端子28bと電気的に接続されている。組電池10の負極はヒューズを介して第3外部接続端子100cに電気的に接続されている。
配線基板21の第2内部端子28bと第1内部端子28aとが第1給電線23を介して電気的に接続されている。この第1給電線23に、第2内部端子28bから第1内部端子28aに向かって順に第3スイッチ33と第4スイッチ34が直列接続されている。
配線基板21の第3内部端子28cは、第1給電線23における第1内部端子28aと第4スイッチ34との間の中点と第2給電線24を介して電気的に接続されている。そして第3内部端子28cは第4給電バスバ54を介して第4外部接続端子100dと電気的に接続されている。
第2給電線24に第5スイッチ35が設けられている。そして第2給電線24における第3内部端子28cと第5スイッチ35との間の中点が、第1給電線23における第4スイッチ34と第3スイッチ33との間の中点に連結されている。
第3給電線25の一端が第1給電線23における第1内部端子28aと第4スイッチ34との間の中点に接続されている。第3給電線25の他端が第2給電線24における第1給電線23との接続点と第5スイッチ35との間に接続されている。この第3給電線25に第6スイッチ36が設けられている。
第4給電線26の一端が第1給電線23における第1内部端子28aと第4スイッチ34との間の中点に接続されている。第4給電線26の他端が第4内部端子28dに接続されている。この第4給電線26にプリチャージ抵抗58が設けられている。
以上により、第1スイッチ31、第2スイッチ32、第3スイッチ33、および、第4スイッチ34が順に環状に接続されている。第1スイッチ31と第2スイッチ32との間の中点が第2外部接続端子100bに接続されている。第2スイッチ32と第3スイッチ33との間の中点が組電池10に接続されている。第3スイッチ33と第4スイッチ34との間の中点が第4外部接続端子100dに接続されている。第4スイッチ34と第1スイッチ31との間の中点が第1外部接続端子100aに接続されている。
また、第1外部接続端子100aと第4外部接続端子100dとが第5スイッチ35を介して接続されている。第4スイッチ34と第3スイッチ33との間の中点が第5スイッチ35を介して第1外部接続端子100aに接続されている。同様にして、第1外部接続端子100aと第4外部接続端子100dとが第6スイッチ36を介して接続されている。第4スイッチ34と第3スイッチ33との間の中点が第6スイッチ36を介して第1外部接続端子100aに接続されている。
以上に示した電気的な接続構成により、第1スイッチ31を開閉制御することで第1外部接続端子100aと第2外部接続端子100bとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第1スイッチ31を開閉制御することで蓄電池110と回転電機130との電気的な接続が制御される。
第2スイッチ32を開閉制御することで第2外部接続端子100bと組電池10との電気的な接続が制御される。換言すれば、第2スイッチ32を開閉制御することで回転電機130と組電池10との電気的な接続が制御される。
第3スイッチ33を開閉制御することで第2内部端子28bと第3内部端子28cとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第3スイッチ33を開閉制御することで組電池10と第2負荷152との電気的な接続が制御される。
第4スイッチ34を開閉制御することで第1内部端子28aと第3内部端子28cとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第4スイッチ34を開閉制御することで蓄電池110と第2負荷152との電気的な接続が制御される。
第5スイッチ35および第6スイッチ36のうちの少なくとも一方を開閉制御することで第3内部端子28cと第1内部端子28aとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第5スイッチ35および第6スイッチ36のうちの少なくとも一方を開閉制御することで蓄電池110と第2負荷152との電気的な接続が制御される。
なお、第1外部接続端子100aと第2外部接続端子100bはプリチャージ抵抗58を介して電気的に接続されている。上記したように第2外部接続端子100bに第2ワイヤハーネス220が接続されている。そしてこの第2ワイヤハーネス220に図示しない電力変換器が接続されている。
電力変換器は大容量の平滑コンデンサを備えている。平滑コンデンサは電荷が充電された状態で使用される。この平滑コンデンサの電荷の充電は、蓄電池110からの電力供給によって行われる。
第1ワイヤハーネス210~第3ワイヤハーネス230が電池パック100に接続される。これによりプリチャージ抵抗58を介して蓄電池110から平滑コンデンサに電荷が供給される。このようにプリチャージ抵抗58を介して平滑コンデンサに電力供給することで、蓄電池110から平滑コンデンサに流れる電流量が急激に増大することが抑制される。
<パックケース>
次に、図2および図3に基づいてパックケース90を詳説する。本実施形態のパックケース90(電池パック100)は車両の座席下方に設けられる。そしてパックケース90はフロアパネル310に固定ボルト320によって固定される。
図3に示すようにパックケース90は上側ケース91と下側ケース92を有する。上側ケース91と下側ケース92とがz方向で互いに対向する態様で組み付けられることで、これらケースそれぞれの開口が閉塞されている。これらのケースの具体的な組付け形態としては、例えばボルト止めを採用することもできる。
上側ケース91はアルミダイカストで製造することができる。また上側ケース91は鉄やステンレスをプレス加工することによっても製造することができる。これに対して下側ケース92は樹脂製若しくは金属製である。
上側ケース91は下側ケース92よりも熱伝導性が高くなっている。また上側ケース91は配線基板21よりも熱伝導性が高くなっている。そのために上側ケース91は下側ケース92および配線基板21よりも放熱性能が高くなっている。
上側ケース91は天壁93と上側側壁94を有する。天壁93はz方向に並ぶ上主面93aと下主面93bを有する。上主面93aは車室側、下主面93bはフロアパネル310側に位置している。上主面93aには放熱性能を高めるための凹凸が均等に形成されている。なお、この上主面93aに沿う方向とは、凹凸を均した平面に沿う方向である。上主面93aが外面に相当する。フロアパネル310がボディに相当する。
上側側壁94は下主面93bからフロアパネル310側に向かって起立している。上側側壁94はz方向まわりの周方向で環状を成している。下主面93bにおける上側側壁94によって囲まれた領域に組電池10と回路基板20が設けられている。組電池10と回路基板20は天壁93にボルト固定される。
天壁93における組電池10の非搭載領域に、下主面93bから上側側壁94によって区画される開口側へ局所的に突起したヒートシンク95が形成されている。このヒートシンク95に回路基板20が搭載される。回路基板20と組電池10とはy方向で離れている。
なお、天壁93には図示しない放熱台が形成されている。この放熱台に第1スイッチ31と第2スイッチ32とが搭載される。ただし、この放熱台はなくともよい。また、第1スイッチ31と第2スイッチ32それぞれも、他のスイッチと同様にして配線基板21に搭載された構成を採用することもできる。
上側ケース91には車両のフロアパネル310と連結するための複数のフランジ96が一体的に連結されている。複数のフランジ96の一部は天壁93に連結されている。残りのフランジ96は上側側壁94に連結されている。
図3に示すように、天壁93に連結されたフランジ96はy方向において回路基板20よりも組電池10側に位置している。上側側壁94に連結されたフランジ96はy方向において組電池10よりも回路基板20側に位置している。
フランジ96にはz方向に貫通する通し孔96aが形成されている。そしてフロアパネル310にはこの通し孔96aに対応するボルト孔310aが形成されている。この通し孔96aとボルト孔310aに固定ボルト320の軸部が通される。そして固定ボルト320の軸部の先端側がボルト孔310aに締結される。これにより上側ケース91が固定ボルト320を介してフロアパネル310と熱的および機械的に連結される。
下側ケース92は底壁97と下側側壁98を有する。底壁97は上側側壁94の開口を覆う態様で、z方向において天壁93の下主面93bと離間して対向配置される。下側側壁98は底壁97から上側ケース91に向かって突起している。そして下側側壁98はz方向まわりの周方向で環状を成している。
下側ケース92のz方向に沿った上側ケース91への投影領域内に、上側ケース91の開口の全てが位置している。上側ケース91の開口が下側ケース92によって閉塞されている。
また、上側ケース91のz方向に沿った下側ケース92への投影領域内に、下側側壁98の全てが位置している。上側側壁94は下側側壁98を覆う庇としての機能を果たしている。
次に、電池パック100のフロアパネル310に対する搭載形態を説明する。図3に明示するように、上側ケース91は、フロアパネル310上方の車室空間側ではなく、フロアパネル310側に開口している。そのために上側ケース91の天壁93の下主面93bはz方向においてフロアパネル310側に位置している。天壁93の上主面93aは車室空間側に位置している。そして上側ケース91とフロアパネル310との間に下側ケース92が位置している。
図3に示すように、組電池10と回路基板20は、上側ケース91と下側ケース92とによって構成される収納空間内で、天壁93の下主面93b側に熱伝導可能な態様で、天壁93に固定されている。図示しないが、スイッチ30も天壁93に固定されている。その反面、組電池10、回路基板20、および、スイッチ30は下側ケース92とz方向で離間している。
係る構成のため、組電池10、回路基板20、および、スイッチ30それぞれで発生した熱は下側ケース92ではなく上側ケース91に積極的に伝熱されやすくなっている。
<作用効果>
パックケース90の設けられる車室は、空調などによって27℃前後の室温に保たれる。パックケース90の固定されるフロアパネル310などの車両のボディは、車両から排出される排気熱、日射の道路からの照り返しなどのため、室温よりも比較的に高温になりやすくなっている。
これに対して電池パック100では、下側ケース92よりも放熱性能の高い上側ケース91が、下側ケース92よりも車室側に位置している。上側ケース91よりも放熱性能の低い下側ケース92が、上側ケース91よりもフロアパネル310側に位置している。
そして、上側ケース91に発熱源となる組電池10、回路基板20、および、スイッチ30が搭載されている。これにより、組電池10、回路基板20、および、スイッチ30それぞれで発生した熱が上側ケース91を介して車室内の空気に放熱されやすくなっている。組電池10、回路基板20、および、スイッチ30それぞれの昇温が抑制される。
上側ケース91にフランジ96が一体的に連結されている。フランジ96は固定ボルト320を介してフロアパネル310と熱的および機械的に連結される。
これによれば、組電池10、回路基板20、および、スイッチ30それぞれで発生した熱が上側ケース91を介してフロアパネル310に熱伝導される。組電池10、回路基板20、および、スイッチ30それぞれの昇温が抑制される。
複数のフランジ96のうちの一部が天壁93に一体的に連結されている。このため、複数のフランジ96のうちの全てが上側側壁94に一体的に連結された構成と比べて、上側ケース91を介したフロアパネル310と組電池10、回路基板20、および、スイッチ30それぞれとの間の熱抵抗が低くなる。組電池10、回路基板20、および、スイッチ30それぞれで発生した熱がフロアパネル310に熱伝導されやすくなる。
さらに言えば、天壁93に連結されたフランジ96はy方向において回路基板20よりも組電池10側に位置している。このため、組電池10で発生した熱がこのフランジ96を介してフロアパネル310へと熱伝導されやすくなっている。
上側ケース91のz方向に沿った下側ケース92への投影領域内に、下側側壁98の全てが位置している。上側側壁94は下側側壁98を覆う庇としての機能を果たしている。
これによれば、上側ケース91に水などの液体が付着したとしても、その液体が下側ケース92の開口を介して、パックケース90の内部に浸入することが抑制される。
組電池10と回路基板20とがy方向で離れている。これにより組電池10と回路基板20との熱的な干渉が抑制されている。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図4に基づいて説明する。
第1実施形態では天壁93の上主面93aに凹凸が形成されている例を示した。これに対して本実施形態では上主面93aに凹凸が形成されるとともに、z方向に局所的に突起した、柱状の放熱フィン93cが形成されている。この放熱フィン93cによって上側ケース91の表面積が増大している。放熱フィン93cが放熱用突起に相当する。
これにより、天壁93に搭載された組電池10、回路基板20、および、スイッチ30それぞれで発生した熱が車室側の空気に熱伝達されやすくなっている。
複数の放熱フィン93cは、x方向を行方向、y方向を列方向として、行列配置されている。1つの行を成す複数の放熱フィン93cと他の行を成す複数の放熱フィン93cとの間に、空気を行方向に流動させるための流路が構成されている。1つの列を成す複数の放熱フィン93cと他の列を成す複数の放熱フィン93cとの間に、空気を列方向に流動させるための流路が構成されている。
これにより、放熱フィン93cからの熱伝達によって室温よりも温度上昇した空気が、放熱フィン93cの周囲に留まることが抑制される。放熱フィン93cから車室の空気への熱伝達の滞りが抑制される。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を図5に基づいて説明する。
第2実施形態では天壁93の上主面93aに柱状の放熱フィン93cが形成される例を示した。これに対して本実施形態では天壁93の上主面93aにy方向に延びる放熱壁93dが形成されている。放熱壁93dが放熱用突起に相当する。
複数の放熱壁93dはx方向に離間して並んでいる。x方向に並ぶ2つの放熱壁93dの間に空気をy方向に流動させるための流路が構成されている。
上記したようにy方向は車両の進退方向に沿っている。電池パック100は車両の座席下方に設けられる。そして、通常、車両に搭載された空調から吐き出される風は、車両の前方側の座席から後方側の座席に向かって流動する。そのために空調から吐き出される風はy方向に流動しやすくなっている。
係る構成のため、複数の放熱壁93dによって構成される流路に、この空調から吐き出された風が積極的に通りやすくなっている。放熱壁93dからの熱伝達によって室温よりも温度上昇した空気が、放熱壁93dの周囲に留まることが抑制される。放熱壁93dから車室の空気への熱伝達の滞りが抑制される。
特に、回路基板20は組電池10よりも車両の後方側に位置している。そして回路基板20は組電池10よりも高温になりやすい性質を有している。したがって、上記した流路を流れる空気によって、回路基板20で生じた熱が組電池10側に流動することが抑制される。回路基板20で生じた熱によって、組電池10側の放熱壁93dの周囲の空気温度が上昇することが抑制される。これにより、組電池10から放熱壁93dを介した空気への熱伝達の滞りが抑制される。
以上、本開示物の好ましい実施形態について説明したが、本開示物は上記した実施形態になんら制限されることなく、本開示物の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
(その他の変形例)
本実施形態では電池パック100が車両の座席下方に設けられる例を示した。しかしながら電池パック100の配置としてはこれに限定されない。電池パック100は、例えば後部座席とトランクルームとの間の空間、および、運転席と助手席の間の空間などに配置することもできる。
本実施形態では組電池10が4つの電池セルを有する例を示した。しかしながら組電池10は複数の電池セルを有すればよく、上記例に限定されない。また電池スタックの数としても、2つではなく1つ若しくは3つ以上を採用することもできる。さらに言えば、電池セルがx方向に並ぶことで電池スタックが構成されてもよい。
本実施形態では電源システム200を搭載する車両がアイドルストップ機能を有する例を示した。しかしながら電源システム200を搭載する車両としては上記例に限定されない。例えばハイブリッド自動車や電気自動車を採用することができる。この場合、本実施形態で示したスタータモータ120や回転電機130は、モータジェネレータに代わる。