JP7031180B2 - 交流電動機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、2台のインバータを備える交流電動機の制御装置に関する。
従来、昇圧コンバータを用いずに出力向上を図る電動機駆動システムとして、2つの電源及び2台のインバータを用いて、3相巻線の中性点がオープンである1台の交流電動機を駆動する「2電源2インバータ」のシステムが知られている。例えば特許文献1に開示されたインバータ駆動システムは、「第1インバータのみを駆動し、第2インバータの上アーム又は下アームのスイッチング素子を全てオンして中性点結合する片側駆動モード」と、「2台のインバータを駆動する両側駆動モード」とを切り替える。
また、インバータに入力されるシステム電圧に対する交流電動機への印加電圧の比である電圧利用率に応じて、正弦波制御モード、過変調制御モード、矩形波制御モードの3つの制御モードを切り替える技術が知られている。特許文献2には、一般的な三角波比較方式ではなく、空間ベクトル変調方式で3つの制御モードの切り替えを実現する制御方法が開示されている。
特開2006-238686号公報 特開2010-172133号公報
特許文献1には、2台のインバータに指令されるdq軸電圧ベクトルの和に基づいて、合計出力を制御することが記載されている。しかし、制御状態や概念が記載されているに過ぎず、どのようにスイッチング出力を生成するのか具体的な記載がない。また、適用可能な制御モードは正弦波制御モードに留まると考えられる。
特許文献2の技術は、Y結線又はΔ結線により中性点がクローズである3相電動機を、1つの電源及び1台のインバータで駆動するシステムを前提としている。そのため、特許文献1に記載されたような、2台のインバータの片側駆動又は両側駆動を適宜切り替えるシステムに適用される場合の制御則やスイッチング出力パターンについて全く考慮されていない。さらに、特許文献1の技術の特徴である出力向上をさらに図るためには、高回転域での弱め界磁制御が不可欠であるが、その実現方法に関する記載が無い。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、2つの電源から個別に直流電力が入力される2台のインバータを用いて、中性点がオープンである3相巻線を有する交流電動機の通電を制御する制御装置において、空間ベクトル変調により各インバータのスイッチング出力を適切に決定する交流電動機の制御装置を提供することにある。
本発明は、2つの電源から個別に直流電力が入力される2台のインバータを用いて、中性点がオープンである3相巻線(81、82、83)を有する交流電動機(80)の通電を制御する制御装置である。この交流電動機の制御装置は、第1インバータ(60)と、第2インバータ(70)と、制御部(50)と、を備える。
第1インバータは、第1電源(11)の直流電力を交流電力に変換し、各3相巻線の一端に供給する。
第2インバータは、第2電源(12)の直流電力を交流電力に変換し、各3相巻線の他端に供給する。
ここで、「交流電動機」は、交流駆動のモータ、発電機、及びモータジェネレータを含むものであり、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車の主機として用いられ駆動輪を駆動するためのトルクを発生するモータジェネレータが該当する。また、例えば、モータジェネレータを駆動する電動機制御装置が「交流電動機の制御装置」に該当する。
制御部は、交流電動機に対するトルク指令に基づいて2台のインバータから交流電動機への出力を演算し、第1インバータを第2インバータよりも優先して駆動することを前提として、演算された出力に応じて2台のインバータのスイッチング出力を決定する
制御部は、制御モード判定部(41)と、駆動モード判定部(42)と、マルチ空間ベクトル変調部(43)と、を有する。
制御モード判定部は、電源からインバータに入力されるシステム電圧(Vsys1、Vsys2)に対する交流電動機への印加電圧の比である電圧利用率に応じて、インバータを駆動する制御モードとして、電流フィードバック制御方式による正弦波制御モード、電流フィードバック制御方式による過変調制御モード、又は、トルクフィードバック方式による矩形波制御モードを選択する。なお、ここでの「電圧利用率」には、係数変換や比例関係にある変調率等の値も含まれるものとする。
駆動モード判定部は、第1インバータのみを駆動する「片側駆動モード」、又は、第1インバータ及び第2インバータの両方を駆動する「両側駆動モード」を選択する。
マルチ空間ベクトル変調部は、第1インバータ及び第2インバータの電圧ベクトルが合成されるマルチ空間ベクトル座標を用いて、第1インバータ及び第2インバータのスイッチング出力を決定する。マルチ空間ベクトル座標は、第1の正六角形の内側に定義される「第1空間ベクトル領域」、及び、第1空間ベクトル領域の各頂点から第1の正六角形の一辺の長さを延長した点を結んで得られる第2の正六角形の内側で第1の正六角形の外側を囲む領域として定義される「第2空間ベクトル領域」を含む。
演算された出力が第1インバータのみの駆動での出力限界を超えているとき、駆動モード判定部は、両側駆動モードを選択する。制御部は、第1インバータを矩形波制御モードで制御し、且つ、電圧利用率に応じて選択された正弦波制御モード、過変調制御モード又は矩形波制御モードのいずれかにより第2インバータを駆動する。
好ましくは、演算された出力が第1インバータのみの駆動での出力限界以下であり、且つ、両側駆動モードの実施を要求する両側駆動要求が入力されているとき、駆動モード判定部は、両側駆動モードを選択する。また、演算された出力が第1インバータのみの駆動での出力限界以下であり、且つ、両側駆動要求が入力されていないとき、駆動モード判定部は、片側駆動モードを選択する
本発明は、2電源2インバータシステムにおけるインバータのスイッチングパターンに着目し、このシステムに特化したマルチ空間ベクトル変調を行うものである。本発明は、空間ベクトル変調方式において、片側駆動モード又は両側駆動モードの選択と、正弦波制御モード、過変調制御モード、矩形波制御モードの選択とにより、及び、各インバータのスイッチング出力パターンを適切に決定することができる。したがって、高出力、高効率の電動機制御を実現することができる。
一実施形態による交流電動機の制御装置の全体構成図。 正弦波制御モードに対応する制御部の構成図。 過変調制御モードに対応する制御部の構成図。 矩形波制御モードに対応する制御部の構成図。 2インバータでの空間ベクトル変調パターンを示す表(1)。 2インバータでの空間ベクトル変調パターンを示す表(2)。 マルチ空間ベクトル座標の図。 電圧ベクトルV25における2インバータのスイッチング状態の図。 αβ軸座標で電圧指令ベクトルVcomを示す図。 一実施形態による電動機駆動制御の全体処理を示すフローチャート。 片側駆動モードのフローチャート。 両側駆動モードのフローチャート。 空間ベクトル座標と電圧利用率との関係を説明する図。 出力決定パターン1の[第1インバータ:正弦波制御モード、第2インバータ:3相オン]での(a)空間ベクトル図、(b)時間配分図。 出力決定パターン1の[第1インバータ:過変調制御モード、第2インバータ:3相オン]での(a)空間ベクトル図、(b)時間配分図。 出力決定パターン1の[第1インバータ:矩形波制御モード、第2インバータ:3相オン]での(a)空間ベクトル図、(b)時間配分図。 矩形波制御モードにおける(a)空間ベクトル座標でのスイッチング出力パターンの切替わり、(b)電流位相に対する出力パターンを説明する図。 マルチ空間ベクトル座標と電圧利用率との関係を説明する図。 出力決定パターン2の[第1インバータ:矩形波制御モード、第2インバータ:正弦波制御モード]での空間ベクトル図。 出力決定パターン2の[第1インバータ:矩形波制御モード、第2インバータ:過変調制御モード]での空間ベクトル図。 出力決定パターン2の[第1インバータ:矩形波制御モード、第2インバータ:矩形波制御モード]での空間ベクトル図。 出力決定パターン3の[第1インバータ:正弦波制御モード、第2インバータ:正弦波制御モード]での空間ベクトル図。 出力決定パターン3の[第1インバータ:過変調制御モード、第2インバータ:正弦波制御モード]での空間ベクトル図。 出力決定パターン3の[第1インバータ:過変調制御モード、第2インバータ:過変調制御モード]での空間ベクトル図。
以下、交流電動機の制御装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
本実施形態の交流電動機の制御装置は、ハイブリッド自動車や電気自動車のような電動車両の動力源であるモータジェネレータ(以下「MG」)を駆動するシステムにおいて、3相交流電動機であるMGの通電を制御する装置である。実施形態中の「MG」及び「MG制御装置」は、「交流電動機」及び「交流電動機の制御装置」に相当する。
図1に、「2電源2インバータ」、すなわち、2つの電源11、12と2台のインバータ60、70とが用いられるMG制御システムの全体構成を示す。
MG80は、U相巻線81、V相巻線82及びW相巻線83を有する永久磁石式同期型の3相交流電動機である。ハイブリッド車両に適用される場合、MG80は、駆動輪を駆動するためのトルクを発生する電動機としての機能、及び、エンジンや駆動輪から伝わる車両の運動エネルギにより駆動されて発電可能な発電機としての機能を有する。
本実施形態のMG80は、3相巻線81、82、83の中性点がMG80内で結合されていないオープン構成となっている。3相巻線81、82、83の一端811、821、831は第1インバータ60の各相出力端子に接続されており、他端812、822、832は第2インバータ70の各相出力端子に接続されている。
回転角センサ85は、レゾルバ等により構成され、MG80の回転角θmを検出する。回転角θmは、電気角換算部86で電気角θeに換算され、制御部50に取得される。なお、電気角換算部86は制御部50の内部に設けられてもよい。
第1電源11及び第2電源12は、互いに絶縁された独立した2つの電源であり、それぞれがニッケル水素、リチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等の充放電可能な蓄電装置である。例えば第1電源11に出力型のリチウムイオン電池を用い、第2電源12に容量型のリチウムイオン電池を用いるというような構成であってもよい。
2台のインバータ60、70は、2つの電源11、12から個別に直流電力が入力される。第1電源11は、第1インバータ60を経由してMG80と電力を授受可能であり、第2電源12は、第2インバータ70を経由してMG80と電力を授受可能である。
MG80は、第1インバータ60を経由して第1電源11から電力が供給され、第2インバータ70を経由して第2電源12から電力が供給される。3相巻線81、82、83の第1インバータ60側には、U相電圧VU1、V相電圧VV1、W相電圧VW1が印加される。3相巻線81、82、83の第2インバータ70側には、U相電圧VU2、V相電圧VV2、W相電圧VW2が印加される。
例えば第1インバータ60からMG80への電力経路に、3相巻線81、82、83に通電される相電流を検出する電流センサ84が設けられる。図1の例では、V相電流iv及びW相電流iwが検出されるが、どの2相又は3相の電流が検出されてもよい。また、電流センサ84は、第2インバータ70からMG80への電力経路に設けられてもよい。
第1コンデンサ16は、高電位側配線P1と低電位側配線N1との間に接続され、第2コンデンサ17は、高電位側配線P2と低電位側配線N2との間に接続される。
第1電圧センサ86は、第1電源11から第1インバータ60に入力されるシステム電圧Vsys1を検出する。第2電圧センサ87は、第2電源12から第2インバータ70に入力されるシステム電圧Vsys2を検出する。
MG制御装置100は、第1インバータ60、第2インバータ70、制御部50、及びドライブ回路56、57を備える。
第1インバータ60は、上下アームの6つのスイッチング素子61-66がブリッジ接続されている。スイッチング素子61、62、63は、それぞれU相、V相、W相の上アームのスイッチング素子であり、スイッチング素子64、65、66は、それぞれU相、V相、W相の下アームのスイッチング素子である。
第2インバータ70は、上下アームの6つのスイッチング素子71-76がブリッジ接続されている。スイッチング素子71、72、73は、それぞれU相、V相、W相の上アームのスイッチング素子であり、スイッチング素子74、75、76は、それぞれU相、V相、W相の下アームのスイッチング素子である。
各スイッチング素子61-66、71-76は、例えばIGBTで構成され、低電位側から高電位側へ向かう電流を許容する還流ダイオードが並列に接続されている。
以下、上アームのスイッチング素子61、62、63、71、72、73を「上アーム素子」といい、下アームのスイッチング素子64、65、66、74、75、76を「下アーム素子」という。高電位側配線P1、P2と低電位側配線N1、N2との短絡を防止するため、各相の上アーム素子と下アーム素子とは、同時にオンせず、相補的にオンオフするように、すなわち、一方がオンのとき他方がオフするように制御される。
また、いずれかのインバータ60、70で、3相の上アーム素子をオンし下アーム素子をオフするか、又は、3相の上アーム素子をオフし下アーム素子をオンする制御を「3相オンスイッチング制御」という。3相オンスイッチング制御がされると、MG80の3相巻線81、82、83は、そのインバータの回路を介して中性点が結合され、そのインバータからは電力が供給されない状態となる。つまり、3相オンスイッチング制御が行われることにより、そのインバータの駆動は実質的に停止する。
ここで本実施形態では、2台のインバータ60、70の駆動に関し、「第1インバータ60を第2インバータ70よりも優先して駆動する」ことを前提とする。すなわち、2台のうち1台のインバータを駆動する場合、第1インバータ60のみが駆動される。また、2台のインバータを同時に駆動する場合、第1インバータ60の出力が第2インバータ70の出力以上となるように駆動される。言い換えれば、2台のインバータのうち優先して駆動される方のインバータが「第1インバータ60」として機能し、補助的に駆動される方のインバータが「第2インバータ70」として機能する。
第1インバータ60のみを駆動するモードを「片側駆動モード」といい、第1インバータ60及び第2インバータ70の両方を駆動するモードを「両側駆動モード」という。両側駆動モードでは、2台のインバータ60、70のスイッチング制御により、2つの電源11、12を直列化することで、高出力を得ることができる。
制御部50は、マイコン等により構成され、図示しないCPU、ROM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部50は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理や、専用の電子回路によるハードウェア処理による制御を実行する。
制御部50は、各センサにより検出された相電流iv、iw、電気角θe、システム電圧Vsys1、Vsys2等の情報を取得する。また、制御部50は、例えば上位の車両制御回路からトルク指令trq*が入力され、MG80が要求されたトルクを出力するように、インバータ60、70を駆動するスイッチング出力(図中「SW出力」)を決定する。その制御の詳細については後述する。
制御部50が決定したスイッチング出力は、第1ドライブ回路56を通じて第1インバータ60へのゲート信号として出力され、また、第2ドライブ回路57を通じて第2インバータ70へのゲート信号として出力される。
制御部50は、スイッチング出力の決定にあたり、正弦波制御モード、過変調制御モード、矩形波制御モードの3つの制御モードを切り替え可能である。
以下、インバータのシステム電圧Vsysに対するMG80への印加電圧の比を「電圧利用率」という。詳しくは、MG80への印加電圧は基本波成分の実効値であり、制御においては、電圧指令ベクトルの振幅に反映される。
各制御モードの説明に移る前に、電圧利用率に関する代表的な数値について注記する。各数値は、厳密には下式により算出される無理数であるが、本明細書では、「約」の表記を省略し、小数点以下2桁又は3桁の下記数値を真の値として記載する。
0.61 =(√6)/4
0.707=1/(√2)
0.78 =(√6)/π
正弦波制御モード(または「正弦波PWM制御モード」)は、一般的なPWM制御として用いられるものであり、MG80に印加される線間電圧が正弦波となる。電圧利用率は、3次高調波成分を含まない場合と同等の正弦波出力で最大0.61であり、3次高調波成分を含む場合と同等の正弦波出力で最大0.707である。
過変調制御モード(または「過変調PWM制御モード」)は、正弦波制御での最大振幅より大きい範囲で、正弦波制御モードと同様のPWM制御を行なうものである。電圧指令を本来の正弦波波形から歪ませる「振幅補正」によって基本波成分を更に高めることができ、電圧利用率は、0.707から0.78までの範囲となる。
正弦波制御モード及び過変調制御モードでは、電流フィードバック制御方式により、出力電流検出値と電流指令値との偏差に基づき、MG80に印加される交流電圧の振幅及び位相が制御される。
矩形波制御モードでは、所定のスイッチング周期においてオン期間及びオフ期間の比が1:1である1パルスの矩形波が出力され、電圧利用率は0.78で一定となる。
矩形波制御モードでは、MG80への印加電圧の振幅が固定されるため、トルクフィードバック制御方式により、トルク推定値とトルク指令値との偏差に基づき、矩形波電圧パルスの位相制御が行われる。
このように制御部50は、MG80に印加される電圧の電圧利用率に応じて3つの制御モードを切り替え、インバータ60、70のスイッチング出力を決定する。
次に図2~図4を参照し、各制御モードでの制御部50の構成について説明する。各制御モードについて実質的に同一の構成には同一の符号を付し説明を省略する。
(正弦波制御モード)
図2に示すように、正弦波制御モードに対応する制御部50は、一般的な電流フィードバック制御の構成として、電流指令演算部21、電流減算器22、PI演算部23、dq変換部29を有する。また、制御部50は、本実施形態に特有の構成として、αβ変換部26、制御モード判定部41、駆動モード判定部42、及び、マルチ空間ベクトル変調部(図中「MSVM」)43を有する。
電流指令演算部21は、トルク指令trq*に基づき、マップや数式を用いてd軸電流指令値id*及びq軸電流指令値iq*を演算する。
dq変換部29は、電流センサ84から取得した相電流iv、iwを、電気角θeを用いてdq軸電流id、iqに座標変換し、フィードバックする。
電流減算器22は、d軸電流減算器221及びq軸電流減算器222を含む。d軸電流減算器221は、d軸電流idとd軸電流指令値id*との偏差であるd軸電流偏差Δidを算出する。q軸電流減算器222は、q軸電流iqとq軸電流指令値iq*との偏差であるq軸電流偏差Δiqを算出する。
PI演算部23は、d軸PI演算部231及びq軸PI演算部232を含む。d軸PI演算部231は、d軸電流偏差Δidを0に収束させるようにd軸電圧指令値vdをPI演算する。q軸PI演算部232は、q軸電流偏差Δiqを0に収束させるようにq軸電圧指令値vqをPI演算する。
αβ変換部26は、電気角θeを用いて、回転座標系のdq軸電圧指令値vd、vqを固定座標系の2軸直交交流座標であるαβ軸の電圧指令値Vα、Vβに変換し、マルチ空間ベクトル変調部43に出力する。
マルチ空間ベクトル変調部43は、マルチ空間ベクトル座標を用い、電圧指令ベクトルVcom及びシステム電圧Vsys1、Vsys2に基づき、第1インバータ(図中「第1INV」)60及び第2インバータ(図中「第2INV」)70のスイッチング出力を決定する。決定された第1インバータ60のスイッチング出力は、ゲート信号UU1、UL1、VU1、VL1、WU1、WL1として第1インバータ60に出力される。決定された第2インバータ70のスイッチング出力は、ゲート信号UU2、UL2、VU2、VL2、WU2、WL2として第2インバータ70に出力される。
マルチ空間ベクトル変調部43の詳細な構成や、片側駆動及び両側駆動の場合における各インバータ60、70のスイッチング出力の違い等については後述する。
制御モード判定部41は、dq軸電圧指令値vd、vq及びシステム電圧Vsys1、Vsys2に基づき、電圧利用率等によって表される出力を演算する。そして、その演算結果に応じて、各インバータ60、70について、正弦波制御モード、過変調制御モード又は矩形波制御モードを選択する。
駆動モード判定部42は、両側駆動要求dual_req*、及び、制御モード判定部41が判定した制御モードに基づいて、片側駆動モード又は両側駆動モードを選択する。
(過変調制御モード)
図3に示すように、過変調制御モードに対応する制御部50は、図2に対し、αβ変換部26とマルチ空間ベクトル変調部43との間に振幅補正部27を有する点が異なる。
振幅補正部27は、電圧指令の正弦波成分の振幅が正弦波制御での最大振幅より大きくなるようにαβ軸電圧指令値Vα、Vβを補正し、補正後の電圧指令値Vαc、Vβcをマルチ空間ベクトル変調部43に出力する。それ以外の構成は正弦波制御モードと同様である。
(矩形波制御モード)
図4に示すように、トルクフィードバック制御方式による矩形波制御モードに対応する制御部50は、トルク推定部31、トルク減算器32、PI演算部33、振幅演算部34、dq軸電圧指令演算部35、αβ変換部36、振幅制限部37を有する。また、図4の制御部50は、図2、図3と同様に、dq変換部29、制御モード判定部41、駆動モード判定部42、及び、マルチ空間ベクトル変調部43を有する。
トルク推定部31は、dq軸電流id,iqに基づき、周知のトルク推定式を用いて、トルク推定値trq_estを演算する。
トルク減算器32は、トルク推定値trq_estとトルク指令値trq*との差であるトルク偏差Δtrqを算出する。
PI演算部33は、トルク偏差Δtrqを0に収束させるように、電圧指令ベクトルの位相VΨをPI演算する。
振幅演算部34は、システム電圧Vsys1、Vsys2に基づいて電圧指令ベクトルの振幅Vampを演算する。
dq軸電圧指令演算部35は、電圧指令ベクトルの振幅Vamp及び位相VΨに基づいて、dq軸電圧指令値vd、vqを算出する。
αβ変換部36は、図2、図3のαβ変換部26と同様に、回転座標系のdq軸電圧指令値vd、vqを固定座標系の2軸直交交流座標であるαβ軸の電圧指令値Vα、Vβに変換する。
振幅補正部37は、電圧指令ベクトルの振幅が矩形波制御の振幅となるようにαβ軸電圧指令値Vα、Vβを制限し、制限後の電圧指令値Vαr、Vβrをマルチ空間ベクトル変調部43に出力する。
(マルチ空間ベクトル変調部)
マルチ空間ベクトル変調部の説明にあたり、まず、2台のインバータ60、70による空間ベクトル変調パターンを図5、図6に示す。表中の「1」は、上アーム素子がオン、下アーム素子がオフであることを示し、「0」は、上アーム素子がオフ、下アーム素子がオンであることを示す。
一般に、1台の3相インバータの電圧ベクトルは、ゼロ電圧ベクトルV0、V7と有効電圧ベクトルV1~V6とを含む8通りの電圧ベクトルV0~V7で表される。有効電圧ベクトルV1、V3、V5の方向は、それぞれ、+U軸方向、+V軸方向、+W軸方向に相当し、有効電圧ベクトルV4、V6、V2の方向は、それぞれ、-U軸方向、-V軸方向、-W軸方向に相当する。
これに基づき、2台の3相インバータ60、70による電圧ベクトルは、「Vnm」の形式で表される。ここで、nは第1インバータ60の電圧ベクトル、mは第2インバータ70の電圧ベクトルを示し、n=0~7、m=0~7である。特に、1台のインバータによる電圧ベクトルと区別する場合、Vnmを「デュアル電圧ベクトル」と呼ぶ。
「Vnm」は、形式的には、8×8=64通り考えられる。ただし、図5、図6には、現実的に意味の無い12通りのパターンを除外し、残り52通りのパターンを記載する。なお、除外するパターンには、あえて削除線を記す。
除外パターンの一つ目は、第1インバータ60の下アームを3相オンして中性点結合しつつ、第2インバータ70に有効電圧ベクトルV1~V6を生成させる「V01、V02・・・V06」である。本実施形態では、第1インバータ60を第2インバータ70よりも優先して駆動することを前提とするため、これらのパターンを想定する意味は無い。
除外パターンの二つ目は、第1インバータ60と第2インバータ70とが同一パターンの有効電圧ベクトルを生成する「V11、V22・・・V66」である。2つの電源11、12のシステム電圧Vsys1、Vsys2が等しく、且つ、2台のインバータ60、70の電気的特性が同等であると仮定する。すると、これらのパターンでは2台のインバータ60、70から各巻線81、82、83に大きさの等しい電圧が逆向きに印加されるため、理論的にはゼロ電圧ベクトルと等価となる。しかし現実には、システム電圧Vsys1、Vsys2やインバータ特性の違いにより、電圧ベクトルが不安定となるおそれがあるため、ゼロ電圧ベクトルの生成パターンから除外する。
次に図7を参照し、マルチ空間ベクトル座標について説明する。このマルチ空間ベクトル座標は、固定座標系の2軸直交交流座標であるαβ軸上に表され、2台のインバータ60、70の電圧ベクトルの合成が表現される。
マルチ空間ベクトル座標は二重の正六角形を呈しており、内側の正六角形を「第1の正六角形」、外側の正六角形を「第2の正六角形」と記す。第2の正六角形は、第1の正六角形の各頂点から第1の正六角形の一辺の長さを延長した点を結んで得られる。
マルチ空間ベクトル座標は、第1の正六角形の内側に定義され、破線ハッチングが付された「第1空間ベクトル領域」、及び、第2の正六角形の内側で第1の正六角形の外側を囲む領域として定義される「第2空間ベクトル領域」を含む。
第1空間ベクトル領域は、主に、第1インバータ60のみを駆動する片側駆動モードでのスイッチング出力決定に用いられる。ただし、両側駆動モードであっても、図22に示すように2台のインバータ60、70を共に正弦波制御モードで駆動する場合には、第1空間ベクトル領域が用いられる場合がある。
第2空間ベクトル領域は、第1インバータ60及び第2インバータ70の両方を駆動する両側駆動モードでのスイッチング出力決定に用いられる。
第1空間ベクトル領域は、6個の正三角形のセクターで構成される。中心から見て右上に位置する、電圧ベクトルV10、V20の間に位置するセクターを第1セクターと定義し、第1セクターから反時計回りに位置する各セクターを、順に第2~第6セクターと定義する。図中、第1~第6セクターを<1>~<6>の記号で示す。第1セクターと第6セクターとの境界、及び、第3セクターと第4セクターとの境界はα軸上に位置する。
第2空間ベクトル領域は、18個の正三角形のセクターで構成される。第1空間ベクトル領域の第1セクターに対し中心の反対側に隣接するセクターを第7セクターと定義し、第7セクターから反時計回りに位置する各セクターを、順に第8~第24セクターと定義する。図中、第7~第24セクターを<7>~<24>の記号で示す。
第1空間ベクトル領域の中心である原点は、第1インバータ60及び第2インバータ70の出力をいずれもゼロ電圧ベクトルV0又はV7とした4通りのデュアル電圧ベクトルV00、V07、V70、V77で表される。
第1インバータ60の出力を有効電圧ベクトルV1~V6とし、第2インバータ70の出力をゼロ電圧ベクトルV0又はV7とすると、第1空間ベクトル領域の頂点は、デュアル電圧ベクトルVnm(n=1~6、m=0、7)により表される。例えば、第6セクターと第1セクターとの境界の頂点は、V10又はV17で表される。
また、第1空間ベクトル領域と第2空間ベクトル領域とを合わせた全領域は、各60°区間の6個のエリア(area1~area6)に分けられる。1つのエリアは、第1空間ベクトル領域の1つのセクターと、第2空間ベクトル領域の3つのセクターとを含む。例えばarea1は、第1、第7、第8、第24の4つのセクターを含む。
図7に示す通り、24個のセクターの各頂点は、図5、図6に挙げた52通りのデュアル電圧ベクトルのいずれかに対応する。各頂点に対応するデュアル電圧ベクトルのパターン数は、以下のように分類される。
第2空間ベクトル領域の頂点・・・各1パターン×6
第2空間ベクトル領域の辺の中点・・・各2パターン×6
第1空間ベクトル領域の頂点・・・各5パターン×6
中心(ゼロ電圧ベクトル)・・・4パターン
マルチ空間ベクトル座標において、第2インバータ70の有効電圧ベクトルV1~V6の方向は、第1インバータ60の有効電圧ベクトルV1~V6の方向とは逆方向となる。すなわち、第2インバータ70の電圧ベクトルV1、V3、V5方向は、それぞれ、第1インバータ60の電圧ベクトルV4、V6、V2方向と一致する。第2インバータ70の電圧ベクトルV4、V6、V2方向は、それぞれ、第1インバータ60の電圧ベクトルV1、V3、V5方向と一致する。したがって、第2空間ベクトル領域の頂点に対応するデュアル電圧ベクトルは、V14、V25、V36、V41、V52及びV63となる。
このうち、例えば図5に枠線で囲んだV25は、第1インバータ60の電圧ベクトルが(110)、第2インバータ70の電圧ベクトルが(001)の状態を意味する。すなわち、図8に示すように、第1インバータ60のU相上アーム素子61、V相上アーム素子62、W相下アーム素子66、及び、第2インバータ70のU相下アーム素子74、V相下アーム素子75、W相上アーム素子73がオン状態である。
また、area1を例とすると、第2空間ベクトル領域の辺の中点に相当する第7セクターの外側の頂点には、V15及びV24が対応する。第1空間ベクトル領域の頂点として、第6セクターと第1セクターとの境界の頂点には、V10、V17の他、V23、V65及びV74が対応する。第1セクターと第2セクターとの境界の頂点には、V20、V27の他、V34、V16及びV75が対応する。
マルチ空間ベクトル座標において、α軸を基準とする位相θ*の電圧指令ベクトルVcomが表示される。図9に示すように、固定座標系の2軸直交交流座標において、電圧指令ベクトルVcomは、α軸成分Vcom_α及びβ軸成分Vcom_βに分解される。位相θ*は、(Vcom_β/Vcom_α)のアークタンジェントに相当する。
次に、本実施形態の制御部50による電動機駆動制御について、図10~図12のフローチャートを参照して説明する。以下のフローチャートの説明で、記号「S」はステップを意味する。
図10に、駆動モード判定を含めた電動機駆動制御の全体処理を示す。S1~S6は、1台のインバータを用いた通常の電動機制御と基本的に同様である。
S1の指令算出ステップで制御部50は、電流フィードバック制御の場合、トルク指令trq*に基づきdq軸電流指令id*、iq*を算出する。トルクフィードバック制御の場合、トルク指令trq*をそのまま用いる。
制御部50は、S2で、第1インバータ60のシステム電圧Vsys1、及び、第2インバータ70のシステム電圧Vsys2を電圧センサ86、87により取得する。
また、制御部50は、S3で、MG80の電気角θe及び相電流iv、iwをセットで取得し、S4で、それらの値に基づいて相電流iv、iwをdq変換する。
さらに制御部50は、S5で、電流フィードバック制御又はトルクフィードバック制御により、dq軸電圧指令vd、vqを演算する。
S6の出力演算ステップでは、システム電圧Vsys1、Vsys2、及び、電圧指令ベクトルの振幅に基づいて、2台のインバータ60、70の出力が演算される。
S7では、演算された出力が、第1インバータ60のみの駆動での出力限界を超えるか否か判断される。
S8では、両側駆動要求dual_req*が入力されているか否か判断される。両側駆動要求dual_req*が駆動モード判定部42に入力されている場合、第1インバータ60のみでの片側駆動が可能な状態であっても、第2インバータ70を併用する両側駆動が優先される。
S7でNO、且つS8でNOと判断されたとき、駆動モード判定部42は、S9sにて片側駆動モードを選択する。すると制御部50は、S10で、第1インバータ60を通常スイッチング制御し、第2インバータ70を3相オンして片側駆動を実行する。
一方、S7でYES、又はS8でYESと判断されたとき、駆動モード判定部42は、S9dにて両側駆動モードを選択する。すると制御部50は、S20で、第1インバータ60、第2インバータ70ともに通常スイッチング制御して両側駆動を実行する。
続いて、片側駆動モードの処理について図11を参照する。
制御部50は、S11で、第2インバータ70の上アーム又は下アームを3相オンすることにより中性点結合するとともに、第1インバータ60の通常スイッチング制御に移行する。通常スイッチング制御の具体的なステップは、S12~S19に示される。
制御モード判定部41は、S12で、電圧利用率が0.707以下であり、正弦波制御モードに対応するか否か判断する。S12でNOの場合、制御モード判定部41は、S13で、電圧利用率が0.707から0.78の間であり、過変調制御モードに対応するか否か判断する。
制御モード判定部41は、S12でYESの場合、正弦波制御モードを選択し、S12でNO且つS13でYESの場合、過変調制御モードを選択する。また、制御モード判定部41は、S13でNOの場合、矩形波制御モードを選択する。
正弦波制御モードが選択されると、S14aでdq軸からαβ軸への座標変換がされた後、S17で、マルチ空間ベクトル変調により正弦波制御用のスイッチング出力が決定される。
過変調制御モードが選択されると、S14bでdq軸からαβ軸への座標変換がされ、S15で振幅補正がされた後、S18で、マルチ空間ベクトル変調により過変調制御用のスイッチング出力が決定される。
矩形波制御モードが選択されると、S14cでdq軸からαβ軸への座標変換がされ、S16で振幅制限がされた後、S19で、マルチ空間ベクトル変調により矩形波制御用のスイッチング出力が決定される。
続いて、両側駆動モードの処理について図12を参照する。両側駆動モードでは、制御部50は、システム電圧Vsys1、Vsys2の和に対して算出された電圧利用率に基づき、2台のインバータ60、70について、それぞれスイッチング出力パターンを決定する。図12のS22~S29の内容は、図11のS12~S19と同様であり、各ステップは、2台のインバータ60、70についてそれぞれ実行される。
次に、マルチ空間ベクトル座標を用いたスイッチング出力決定パターンの例を示す。
最初に図13を参照し、空間ベクトル座標と電圧利用率との関係について説明する。図中、電圧利用率を「vuf」と記す。
図13には、1台のインバータについて、正六角形の空間ベクトル領域に3つの同軸円C1、C2、C3が描かれている。最も内側の円C1を「内側の内接円」、2番目の円C2を「外側の内接円」、最も外側の円C3を「外接円」と呼ぶ。なお、「外側の内接円」は幾何学的にも正六角形の内接円であるのに対し、「内側の内接円」及び「外接円」は、幾何学的な意味での正六角形の内接円及び外接円とは少しずれている。ただし、本明細書では、説明の便宜上、それらを「内接円」及び「外接円」と呼ぶこととする。
内側の内接円の半径は、電圧利用率0.61(=(√6)/4)に相当し、3次高調波を含まない場合と同等の正弦波出力によって得られる。
外側の内接円の半径は、電圧利用率0.707(=1/(√2))に相当し、3次高調波を含んだ場合と同等の正弦波出力によって得られる。この値が、一般的な空間ベクトル変調の出力限界である。電圧利用率0.707以下に相当する「外側の内接円の内側の領域」を「正弦波領域」と定義する。
外接円の半径は、電圧利用率0.78(=(√6)/π)に相当する。
電圧利用率0.707~0.78に相当する「外側の内接円と外接円との間の領域」を「過変調領域」と定義する。また、電圧利用率0.78に相当する外接円上を「矩形波領域」と定義する。電圧利用率0.78は、矩形波制御モードでのインバータの出力限界に相当する。
なお、正六角形の頂点を通る幾何学的に本来の外接円の半径は、現実の電圧利用率としては存在しない0.816(=√(3/2))という値に相当する。つまり、矩形波出力の電圧利用率は、瞬間的には正六角形の頂点を通る値(=0.816)となるが、平均的にはそれより小さい値(=0.78)になる、と解釈される。
<出力決定パターン1>
次に、図14-図16を参照し、第1インバータ60のみで片側駆動を行う場合のスイッチング出力決定について、<出力決定パターン1>として説明する。出力決定パターン1は、図10のフローチャートのS7でNO、S8でNOと判断され、S9sに移行した場合に用いられ、詳しくは図11のフローチャートに対応する。
制御部50は、図11のS11にて、出力する必要の無い第2インバータ70の上アーム又は下アームを3相オンとして中性点結合し、第1インバータ60のみによるインバータ1台相当の駆動を行う。制御モード判定部41は、S12、S13にて、第1インバータ60の制御モードを電圧利用率に応じて選択する。
以下、図7のマルチ空間ベクトル座標の全エリアのうち、代表としてarea1を抽出し、各制御モードの出力決定パターンについて説明する。図14(a)等に示すように、area1は、第1空間ベクトル領域の第1セクター、及び、第2空間ベクトル領域の第7、第8、第24セクターの計4つのセクターを含む。
area1の空間ベクトル座標において、原点は、ゼロ電圧ベクトルVnに相当する。また、α軸に一致する方向の電圧ベクトルをVkと表し、α軸に対し60°の方向の電圧ベクトルをVmと表す。さらに、第1空間ベクトル領域の頂点に向かう電圧ベクトルに添え字1を付し、第2空間ベクトル領域の頂点及び辺の中点に向かう電圧ベクトルに添え字2を付す。
Vk1は、電圧ベクトルV10、及び、V10と等価の電圧ベクトル群を包含する。
Vk2は、Vk1を2倍した電圧ベクトルであり、電圧ベクトルV14に相当する。
Vm1は、電圧ベクトルV20、及び、V20と等価の電圧ベクトル群を包含する。
Vm2は、Vm1を2倍した電圧ベクトルであり、電圧ベクトルV25に相当する。
Vmk2(又はVkm2)は、Vk1とVm1とを合成した電圧ベクトルである。
以上のVk1、Vk2、Vm1、Vm2、Vmk2、Vnの6個の電圧ベクトルを基本電圧ベクトルとする。基本電圧ベクトルは、原点から、area1を構成する4つのセクターの6つの頂点に向かうベクトルであり、セクターの各頂点位置に記載される。以下、セクターの頂点を表す記号として、基本電圧ベクトルの記号を用いる場合がある。
片側駆動モードでは、Vn、Vk1、Vm1の3つの基本電圧ベクトルが用いられる。図13に示す通り、片側駆動モードでは、第1空間ベクトル領域の外側の内接円までが正弦波領域となり、外側の内接円と外接円との間が過変調領域となり、外接円が矩形波領域となる。つまり、電圧指令ベクトルVcomの終点がどの領域にあるかによって第1インバータ60の制御モードが選択される。
図14(a)に示す正弦波制御モード、及び、図15(a)に示す過変調制御モードでは、Vk1、Vm1、Vnのうち、ゼロ電圧ベクトルVnを含む2つ又は3つの電圧ベクトルが合成されて出力される。図16(a)に示す矩形波制御モードでは、Vk1又はVm1の1つの電圧ベクトルが出力される。
空間ベクトル変調では、空間ベクトルスイッチング周期Tsにおける各電圧ベクトルの時間配分を規定することにより、スイッチング出力が決定される。図14(b)、図15(b)、図16(b)には、各制御モードにおける時間配分の考え方を示す。
続いて、各制御モードについて、順に詳しく説明する。
[第1インバータ:正弦波制御モード、第2インバータ:3相オン]
図14(a)では、電圧指令ベクトルVcomの終点は、第1セクター内にある。第1インバータ60は、正弦波制御モードにより、空間ベクトル変調スイッチング周期Ts内に、第1セクターの頂点をなす電圧ベクトルVk1、Vm1、及びゼロ電圧ベクトルVnが各々の時間配分で出力される。
空間ベクトル変調の時間配分方法では、電圧指令ベクトルVcomが各方向の電圧ベクトルVk1、Vm1に分解され、各成分の始点(すなわちゼロ電圧ベクトルVn)からの距離が配分比dk1、dm1として決定される。
空間ベクトル変調スイッチング周期Tsから各電圧ベクトルVk1、Vm1の配分比dk1、dm1に相当する時間が出力された後の残りの時間は、ゼロ電圧ベクトルVnによって埋められる。つまり、図14(b)に示すように、ゼロ電圧ベクトルVnの出力時間(dn×Ts)は、下式により表される。
dn×Ts=Ts-dk1×Ts-dm1×Ts
[第1インバータ:過変調制御モード、第2インバータ:3相オン]
図15(a)では、電圧指令ベクトルVcomの終点は、空間ベクトル変調の出力限界を超過し、過変調領域に属する。時間配分の考え方は、正弦波制御モードと同様である。
図15(b)の「補正前」に示すように、ゼロ電圧ベクトルVnの配分比dnをゼロとしても、電圧ベクトルVk1、Vm1の配分時間の合計が、スイッチング周期Tsに収まらなくなる。
そこで、第1セクターをゼロ電圧ベクトルVnに対して2等分した<1a>、<1b>の2ゾーンが定義され、電圧指令ベクトルVcomがどちらのゾーンに含まれるかが判断される。図15(a)の例では、電圧指令ベクトルVcomは<1a>側に含まれる。そして、電圧指令ベクトルVcomがどちらのゾーンに含まれるかに基づいて、配分時間の合計がスイッチング周期Tsに収まるように、電圧ベクトル成分Vk1、Vm1の配分比dk1、dm1が補正される。図15(b)の「補正後」に示すように、スイッチング周期Tsから配分時間の合計を差し引いた残りは、ゼロ電圧ベクトルVnで埋められる。
[第1インバータ:矩形波制御モード、第2インバータ:3相オン]
図16(a)では、電圧指令ベクトルVcomの終点は、第1空間ベクトル領域の外接円で表され、第1インバータ60の出力限界である矩形波領域に達する。矩形波制御モードでは電気角180°間パルス出力する必要があり、時間配分の考え方を適用できない。
そこで、過変調制御モードと同様に、第1セクターをゼロ電圧ベクトルVnに対して2等分した<1a>、<1b>の2ゾーンが想定され、電圧指令ベクトルVcomがどちらのゾーンに含まれるかが判断される。図16(a)の例では、電圧指令ベクトルVcomは<1a>側に含まれる。そして、図16(b)に示すように、電圧指令ベクトルVcomが属する側の電圧ベクトル成分(この例ではVk1)のみがスイッチング出力される。
矩形波制御モードによる電気角180°区間でのスイッチング出力パターンについて、図17を参照して補足する。
矩形波制御では、電圧利用率0.78に相当する外接円上にある電圧ベクトルの位相に応じて、各相のスイッチング素子が一方の180°区間でオンし、他方の180°区間でオフすることが要求される。
図17(a)には、第1インバータ60のみでの片側駆動を想定し、第1空間ベクトル領域における各相のスイッチング切替わりの境目を示す。切替わりの境目は、各セクターを2等分する直線で示される。ここで、α軸方向を0°とし、反時計回りに電気角θeを定義する。すると、θe=0°、60°、120°、180°、240°、360°の各電圧ベクトルは、(100)、(110)、(010)、(011)、(001)、(101)で表される。
U相に着目すると、-90°(=270°)<θe<90°の180°区間でオンし、90°<θe<270°の180°区間でオフする。
V相は、30°<θe<210°の180°区間でオンし、-150°(=210°)<θe<30°の180°区間でオフする。
W相は、150°<θe<330°の180°区間でオンし、-30°(=330°)<θe<150°の180°区間でオフする。
よって、電気角位相に対するスイッチング出力パターンは、図17(b)に表される。
<出力決定パターン2>
次に、図18-図21を参照し、演算された出力が第1インバータ60のみの駆動での出力限界を超えているため両側駆動を行う場合のスイッチング出力決定について、<出力決定パターン2>として説明する。出力決定パターン2は、図10のフローチャートのS7でYESと判断され、S9dに移行した場合に用いられ、詳しくは図12のフローチャートに対応する。
制御部50は、第1インバータ60を矩形波制御モードで制御し、且つ、電圧利用率に応じて選択された制御モードにより第2インバータ70を駆動する。
図18は図7と図13とを組み合わせた図であり、2インバータのマルチ空間ベクトル座標と電圧利用率との関係を示す。各円C1、C2、C3の意味は図13と同様である。
両側駆動の場合、2台のインバータ60、70のシステム電圧Vsys1、Vsys2の和に対する電圧指令ベクトルVcomの振幅の比率がMG80の電圧利用率として算出される。したがって、MG80の電圧利用率は、第1インバータ60及び第2インバータ70の両方の駆動状態によって決まる。第1インバータ60が矩形波制御モードだからといって、MG80の電圧利用率が0.78になるとは限らない。
両側駆動モードでは、第2空間ベクトル領域の外側の内接円までが正弦波領域となり、外側の内接円と外接円との間が過変調領域となり、外接円が矩形波領域となる。つまり、電圧指令ベクトルVcomの終点がどの領域にあるかによって第2インバータ70の制御モードが決まる。
両側駆動モードの出力決定パターン2では、第2空間ベクトル領域を含めたマルチ空間ベクトル座標を用いてスイッチング出力パターンが決定される。出力範囲の考え方は、第1インバータ60のみが駆動される片側駆動モードの出力決定パターン1と同様である。
[第1インバータ:矩形波制御モード、第2インバータ:正弦波制御モード]
図19では、電圧指令ベクトルVcomの終点は、第7セクター内にある。第1インバータ60は、矩形波制御モードにより、電圧ベクトルVk1のみが出力される。第2インバータ70は、正弦波制御モードにより、空間ベクトル変調スイッチング周期Ts内に、第7セクターの頂点をなす3つの電圧ベクトルVk1、Vm1、Vmk2が各々の時間配分で出力される。時間配分の考え方は、図14(b)に示す片側駆動の正弦波制御モードの場合と同様である。
よって、電圧指令ベクトルVcomは、第1インバータ60に対する電圧ベクトルVk1と、第2インバータ70に対する第7セクターの電圧ベクトルVm1、Vk1、Vmk2との合成で表現される。
[第1インバータ:矩形波制御モード、第2インバータ:過変調制御モード]
図20では、電圧指令ベクトルVcomの終点は、空間ベクトル変調の出力限界を超過し、過変調領域に属する。第1インバータ60に電圧ベクトルVk1が出力されると共に、電圧ベクトルVk1の終点から電圧指令ベクトルVcomの終点に向かう成分が、第24セクターの頂点をなす3つの電圧ベクトルVk1,Vk2,Vmk2の合成で表現される。
出力超過及び時間配分の補正の考え方は、図15(a)、図15(b)に示す片側駆動の過変調制御モードの場合と同様である。つまり、第24セクターが<24a>及び<24b>の2ゾーンに2等分され、電圧指令ベクトルVcomが属する方の頂点の電圧ベクトルを用いて時間配分が補正される。
[第1インバータ:矩形波制御モード、第2インバータ:矩形波制御モード]
図21では、電圧指令ベクトルVcomの終点は、空間ベクトル変調の出力限界を超過し、矩形波領域に至る。そのため、第1インバータ60及び第2インバータ70の両方の出力波形が矩形波になるようスイッチング出力が決定され、MG80の電圧利用率として最大の値である0.78が出力される。
この場合、第1インバータ60及び第2インバータ70が一つのインバータと見なされる。そして、第1、第7、第8及び第24セクターを合わせたarea1の三角形領域において、ゼロ電圧ベクトルVnを除く電圧ベクトルVk2,Vm2を用いて、第1インバータ60及び第2インバータ70のスイッチング出力パターンが決定される。
時間配分の考え方は、図16(b)に示す片側駆動の矩形波制御モードの場合と同様である。
すなわち、片側駆動の場合は第1セクターが2等分されたのと同様に、両側駆動の場合は電圧ベクトルVmk2が2等分の位置となり、第1セクター及び第7セクターが2等分される。したがって、片側駆動の場合と同じ考え方が適用され、スイッチング出力波形は矩形波として決定される。
<出力決定パターン3>
次に、図22-図24を参照し、第1インバータ60を出力限界まで駆動させない状態で第2インバータ70を併用して両側駆動を行う場合のスイッチング出力決定について、<出力決定パターン3>として説明する。出力決定パターン3は、図10のフローチャートのS7またはS8でYESと判断され、S9dに移行した場合に用いられ、詳しくは図12のフローチャートに対応する。
この場合、制御部50は、演算された出力が第1インバータ60のみの駆動での出力限界を超えているか否かにかかわらず、電圧利用率に応じて選択された制御モードにより第1インバータ60及び第2インバータ70の両方を駆動する。ただし、第1インバータ60の駆動が第2インバータ70よりも優先されることが前提であるため、出力決定パターン3は、図22-図24に挙げる3通りに限られる。
図22-24の各図において、電圧指令ベクトルVcomは、始点から最短距離となる直線で描くことができるが、直線でなくとも表現可能である。
[第1インバータ:正弦波制御モード、第2インバータ:正弦波制御モード]
図22では、電圧指令ベクトルVcomの終点は、第7セクター内にある。第1インバータ60は、正弦波制御モードにより電圧ベクトルVk1、Vm1、Vnが出力される。第2インバータ70は、正弦波制御モードにより、空間ベクトル変調スイッチング周期Ts内に、第7セクターの頂点をなす3つの電圧ベクトルVk1、Vm1、Vmk2が各々の時間配分で出力される。時間配分の考え方は、図14(b)に示す片側駆動の正弦波制御モードの場合と同様である。
よって、電圧指令ベクトルVcomは、第1インバータ60に対する第1セクターの電圧ベクトルVk1、Vm1、Vnと、第2インバータ70に対する第7セクターの電圧ベクトルVm1、Vk1、Vmk2との合成で表現される。
[第1インバータ:過変調制御モード、第2インバータ:正弦波制御モード]
図23は、図22に対し、第1インバータ60が過変調制御モードで制御される点が異なるのみであり、第2インバータ70が正弦波制御モードで制御される点は同様である。したがって、図22の説明が援用される。
[第1インバータ:過変調制御モード、第2インバータ:過変調制御モード]
図24では、電圧指令ベクトルVcomの終点は、第24セクターを超過し、過変調領域に属する。第1インバータ60は、過変調制御モードにより、電圧ベクトルVk1、Vm1、Vnが過変調補正後の時間配分で出力される。第2インバータ70は、過変調制御モードにより、空間ベクトル変調スイッチング周期Ts内に、第24セクターの頂点をなす3つの電圧ベクトルVk1、Vk2、Vmk2が各々、過変調補正後の時間配分で出力される。
出力超過及び時間配分の補正の考え方は、図15(a)、図15(b)に示す片側駆動の過変調制御モードの場合と同様である。つまり、第24セクターが<24a>及び<24b>の2ゾーンに2等分され、電圧指令ベクトルVcomが属する方の頂点の電圧ベクトルを用いて時間配分が補正される。
よって、電圧指令ベクトルVcomは、第1インバータ60に対する第1セクターの電圧ベクトルVk1、Vm1、Vnと、第2インバータ70に対する第24セクターの電圧ベクトルVk1、Vk2、Vmk2との合成で表現される。
(まとめ)
以上のように本実施形態のMG制御装置は、2電源2インバータシステムにおけるインバータのスイッチングパターンに着目し、このシステムに特化したマルチ空間ベクトル変調を行うものである。本実施形態は、空間ベクトル変調方式において、片側駆動モード又は両側駆動モードの選択と、正弦波制御モード、過変調制御モード、矩形波制御モードの選択とにより、及び、各インバータのスイッチング出力パターンを適切に決定することができる。したがって、高出力、高効率の電動機制御を実現することができる。
(その他の実施形態)
(a)上記実施形態では、2台のインバータのうち優先して駆動される側のインバータが「第1インバータ」とされ、補助的に駆動される側のインバータが「第2インバータ」とされる。本実施形態では、少なくとも電動機制御が連続的に行われる短期間のスパンにおいては、2台の役割は固定して考えられる。
ただし、例えば車両の駆動停止等により電動機制御が一旦停止された後の再起動時等において、第1インバータ及び第2インバータの役割は、適宜、交代してもよい。例えば再起動時の電源及びインバータのイニシャルチェックの結果に基づき、通電特性により余裕のある方が、その期間における第1インバータとして選択されてもよい。その他、種々の理由により、第1インバータと第2インバータとを適宜交代してよく、その役割や手段は限定しない。
(b)電動機駆動中にいずれかの電源又はインバータに故障が生じた場合、電流、電圧等の情報に基づき故障を検出する手段を備えてもよい。また、一方の系統の電源又はインバータの故障が検出されたとき、両側駆動モードを禁止し、正常な系統のみでの片側駆動モードに切り替えるようにしてもよい。さらに、故障検出に伴って電流制限を行ったり、退避走行モードに切り替えたりする等の異常時処置を実施してもよい。
(c)図10のフローチャートのS8では、両側駆動要求dual_req*の有無が都度判断される。これに対し、両側駆動要求dual_req*が常に有る、又は、常に無い、というロジックにしてもよい。両側駆動要求dual_req*が常に無い場合、出力決定パターン3は実行されない。
(d)本発明の交流電動機の制御装置は、ハイブリッド自動車や電気自動車の動力源であるモータジェネレータに限らず、インバータから電力供給されるどのような3相交流電動機に適用されてもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
11・・・第1電源、 12・・・第2電源、
41・・・制御モード判定部、
42・・・駆動モード判定部、
43・・・マルチ空間ベクトル変調部、
50・・・制御部、
60・・・第1インバータ、
70・・・第2インバータ、
80・・・MG(モータジェネレータ、交流電動機)、
81、82、83・・・3相巻線。

Claims (3)

  1. 2つの電源から個別に直流電力が入力される2台のインバータを用いて、中性点がオープンである3相巻線(81、82、83)を有する交流電動機(80)の通電を制御する制御装置であって、
    第1電源(11)から入力される直流電力を交流電力に変換し、各前記3相巻線の一端に供給する第1インバータ(60)と、
    第2電源(12)から入力される直流電力を交流電力に変換し、各前記3相巻線の他端に供給する第2インバータ(70)と、
    前記交流電動機に対するトルク指令に基づいて前記2台のインバータから前記交流電動機への出力を演算し、前記第1インバータを前記第2インバータよりも優先して駆動することを前提として、演算された出力に応じて前記2台のインバータのスイッチング出力を決定する制御部(50)と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記電源から前記インバータに入力されるシステム電圧(Vsys1、Vsys2)に対する前記交流電動機への印加電圧の比である電圧利用率に応じて、前記インバータを駆動する制御モードとして、電流フィードバック制御方式による正弦波制御モード、電流フィードバック制御方式による過変調制御モード、又は、トルクフィードバック方式による矩形波制御モードを選択する制御モード判定部(41)と、
    前記第1インバータのみを駆動する片側駆動モード、又は、前記第1インバータ及び前記第2インバータの両方を駆動する両側駆動モードを選択する駆動モード判定部(42)と、
    第1の正六角形の内側に定義される第1空間ベクトル領域、及び、前記第1空間ベクトル領域の各頂点から前記第1の正六角形の一辺の長さを延長した点を結んで得られる第2の正六角形の内側で前記第1の正六角形の外側を囲む領域として定義される第2空間ベクトル領域を含み、前記第1インバータ及び前記第2インバータの電圧ベクトルが合成されるマルチ空間ベクトル座標を用いて、前記第1インバータ及び前記第2インバータのスイッチング出力を決定するマルチ空間ベクトル変調部(43)と、
    を有し、
    演算された出力が前記第1インバータのみの駆動での出力限界を超えているとき、前記駆動モード判定部は、前記両側駆動モードを選択し、
    前記制御部は、前記第1インバータを矩形波制御モードで制御し、且つ、電圧利用率に応じて選択された前記正弦波制御モード、前記過変調制御モード又は前記矩形波制御モードのいずれかにより前記第2インバータを駆動する交流電動機の制御装置。
  2. 演算された出力が前記第1インバータのみの駆動での出力限界以下であり、且つ、前記両側駆動モードの実施を要求する両側駆動要求が入力されているとき、前記駆動モード判定部は、前記両側駆動モードを選択し、
    前記制御部は電圧利用率に応じて選択された前記正弦波制御モード又は前記過変調制御モードのいずれかにより前記第1インバータ及び前記第2インバータを駆動する請求項に記載の交流電動機の制御装置。
  3. 演算された出力が前記第1インバータのみの駆動での出力限界以下であり、且つ、前記両側駆動要求が入力されていないとき、前記駆動モード判定部は、前記片側駆動モードを選択し、
    前記制御部は、前記第2インバータの3相の上アーム素子をオンし下アーム素子をオフするか、又は、3相の上アーム素子をオフし下アーム素子をオンして3相巻線の中性点を結合し、且つ、電圧利用率に応じて選択された前記正弦波制御モード、前記過変調制御モード又は前記矩形波制御モードのいずれかにより前記第1インバータを駆動する請求項に記載の交流電動機の制御装置。
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