JP7251336B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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本発明は、モータ制御装置に関する。
従来、電圧形インバータが供給した電力によりモータを駆動するモータ制御装置において、デッドタイムに起因する指令電圧と出力電圧との誤差電圧を補償するデッドタイム補償の技術が知られている。
例えば特許文献1に開示された電圧形PWMインバータのデッドタイム補償方法では、電圧形PWMインバータが出力する三相電流について、各相電流がゼロクロス点を通過するのに伴って補償電圧の極性を切替える。そして、相電流の振幅がゼロから所定値までの範囲では補償電圧を相電流の振幅に比例させた値とし、相電流の振幅が所定値を超えた範囲では補償電圧を一定の値とする。相毎に生成された補償電圧は、各相のPWM電圧指令に加算される。これにより、相電流のゼロクロス点近傍のリプルを減少させることができると記載されている。
特開2002-95262号公報
特許文献1の技術では、相毎に補償電圧を生成して各相のPWM電圧指令に加算するため、三相分の補償電圧発生器、振幅係数乗算器及び補償電圧の加算演算器が必要であり、回路が複雑になる。また、インバータの出力電圧を生成する変調器の方式として、キャリア比較による正弦波PWMしか考慮されておらず、変調波の振幅がキャリアに対して大きくなる過変調領域には適用することができない。
本発明は、上記の点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、変調方式によらず適用可能であり、簡易な回路構成でデッドタイム補償を実施するモータ制御装置を提供することにある。
本発明によるモータ制御装置は、インバータ(60)と、電流指令値演算部(31)と、フィードバック制御器(34)と、フィードフォワード項演算部(35)と、デッドタイム項演算部(37)と、加算器(38、39)と、変調器(40)と、を備える。インバータは、多相の上下アームのスイッチング素子(61-66)がブリッジ接続されて構成され、直流電力を変換して多相交流電力をモータ(80)に出力する。
電流指令値演算部は、モータに要求されるトルク指令に基づき、dq軸電流指令値(Id*、Iq*)を演算する。フィードバック制御器は、インバータからモータに通電される相電流の検出値が座標変換されたdq軸電流検出値(Id、Iq)をdq軸電流指令値に追従させるようにフィードバック項(Vd_fb、Vq_fb)を演算する。フィードフォワード項演算部は、dq軸電流指令値に基づく電圧方程式によりフィードフォワード項(Vd_ff、Vq_ff)を演算する。
デッドタイム項演算部は、インバータのデッドタイムに起因する指令電圧に対する不足電圧を補償するデッドタイム項(VdDT、VqDT)を、dq軸電流指令値もしくはdq軸電流検出値、インバータに入力される直流電圧であるシステム電圧(Vsys)、及び、スイッチング素子が単位時間当たりにスイッチングする回数であるスイッチング回数(Nsw)に基づいて演算する。
加算器は、フィードバック項、フィードフォワード項及びデッドタイム項を加算したdq軸電圧指令値(Vd*、Vq*)を出力する。変調器は、dq軸電圧指令値、システム電圧、スイッチング回数、及びモータの電気角(θe)に基づき、インバータの駆動信号を生成する。
デッドタイム項の振幅をVampDT、システム電圧をVsys、デッドタイムをTdead、スイッチング回数をNsw、振幅係数をαと表す。振幅係数は、dq軸電流指令値又はdq軸電流検出値の電流振幅が0のとき0であり、電流振幅が0から所定値(x)までの範囲で漸増し、電流振幅が所定値以上の範囲で正の一定値となるように設定されている。デッドタイム項演算部は、下記の式
VampDT=Vsys×Tdead×Nsw×α
によりdq座標上でデッドタイム項の振幅を算出する。
本発明では、デッドタイムに起因する指令電圧に対する不足電圧を補償するためのデッドタイム項をdq座標上で演算するため、特許文献1の従来技術のような三相分の補償回路が不要となる。三相モータ制御において一般に備わっているベクトル制御の座標変換機能を使用可能であるため、デッドタイム補償の回路構成が簡易になる。
また、本発明態では最終的なdq軸電圧指令値から変調率を演算し、変調率に応じた出力電圧波形を容易に生成可能である。したがって、正弦波PWMに限らず、キャリア比較での出力波形生成ができない過変調領域における波形選択式等の変調方式にも広く適用可能である。さらに、デッドタイム項の振幅は、電流振幅が0のとき0となる振幅係数が乗算されて算出されるため、デッドタイムによる電圧の極性変化に伴う急変が回避される。
各実施形態のモータ制御装置が適用される全体システム構成図。 第1実施形態によるモータ制御装置の制御ブロック図。 (a)キャリア比較変調器、(b)波形選択変調器のブロック図。 相電流とデッドタイムによる電圧との関係を示す図。 図4における(a)Va部(電流正方向時)の拡大図、(b)Vb部(電流負方向時)の拡大図。 デッドタイムによる電圧がdq座標上で表現可能であることを説明する図。 dq座標上での(a)力行時、(b)回生時の電流、電圧ベクトル図。 デッドタイム項の振幅係数を説明する図。 第2実施形態によるモータ制御装置の制御ブロック図。
以下、本発明のモータ制御装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。各実施形態のモータ制御装置は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車に搭載され、電圧形インバータが供給した電力により主機モータの駆動を制御する装置である。複数の実施形態で実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。また、第1、第2実施形態を包括して「本実施形態」という。
図1を参照し、各実施形態のモータ制御装置が適用される全体システム構成について説明する。このシステムにおいてモータ制御装置20は、インバータ60によりバッテリ10の直流電力を三相交流電力に変換し、モータ80に出力する。モータ80は、永久磁石式同期型三相交流電動機である。本実施形態のモータ80は、ハイブリッド自動車の駆動輪を駆動するトルクを発生する電動機としての機能、及び、エンジンや駆動輪から伝達されるトルクを発電によってエネルギー回収する発電機としての機能を兼ね備える。
電流センサ70は、三相の電力経路81、82、83のうち二相又は三相の電力経路を経由してインバータ60からモータ80に通電される相電流を検出し、演算部30に出力する。図1の例ではV相及びW相の二相の電流が検出され、残る一相のU相電流はキルヒホッフの法則により算出される。回転角センサ85は、レゾルバ等の回転角センサであり、モータ80の機械角θmを検出する。
インバータ60は、上下アームの6つのスイッチング素子61-66がブリッジ接続されている。詳しくは、スイッチング素子61、62、63は、それぞれU相、V相、W相の上アームのスイッチング素子であり、スイッチング素子64、65、66は、それぞれU相、V相、W相の下アームのスイッチング素子である。スイッチング素子61-66は、例えばIGBTで構成され、低電位側から高電位側へ向かう電流を許容する還流ダイオードが並列に接続されている。
平滑コンデンサ15は、インバータ60の入力部に設けられ、バッテリ10からインバータ60に入力される直流電圧である「システム電圧Vsys」を平滑化する。電圧センサ16はシステム電圧Vsysを検出し、演算部30に出力する。インバータ60は、演算部30から指令される駆動信号に従ってスイッチング素子61-66が動作することで、バッテリ10の直流電力を三相交流電力に変換し、三相電圧Vu、Vv、Vwをモータ80に印加する。
モータ制御装置20の演算部30は、マイコン等により構成され、図示しないCPU、ROM、RAM、及び、これらの構成を接続するバスライン等を内部に備えている。マイコンは、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理や、専用の電子回路によるハードウェア処理による制御を実行する。演算部30は、モータ80に要求されるトルク指令trq*、システム電圧Vsys、相電流Iv、Iw、機械角θmの情報が入力される。演算部30は、これらの情報に基づいて、インバータ60を駆動する駆動信号を生成する。
ところで、一般に電圧形インバータでは、同相の上下アームのスイッチング素子が同時にONして短絡することを防止するため、同相の上下アームのスイッチング素子が同時にOFFするデッドタイムが設定される。従来、モータ制御においてデッドタイムに起因する指令電圧と出力電圧との誤差電圧を補償するデッドタイム補償の技術が知られている。このような背景から、本実施形態のモータ制御装置20は、dq座標上でデッドタイム補償を行う。続いて、デッドタイム補償を実施するための演算部30の構成について実施形態毎に詳しく説明する。以下の第1、第2実施形態では、「モータ制御装置」及び「演算部」の符号として、それぞれ「20」、「30」に続く3桁目に実施形態の番号を付す。
(第1実施形態)
第1実施形態のモータ制御装置について、図2~図8を参照して説明する。図2に示すモータ制御装置201において、インバータ(図中「INV」)60を除く部分が演算部301を構成する。演算部301は、電流指令値演算部31、三相-dq変換部32、電流偏差算出部33、フィードバック制御器34、フィードフォワード項演算部35、スイッチング回数演算部36、デッドタイム項演算部37、一次加算器38、二次加算器39、変調器40、電気角演算部86及び電気角速度演算部87等を含む。
電気角演算部86は、回転角センサ85が検出したモータ80の機械角θmを電気角θeに換算する。電気角速度演算部87は電気角θeを時間微分し電気角速度ω[rad/sec]を演算する。また、電気角速度ωは電気角周波数f[Hz](=ω/2π)にも換算される。
電流指令値演算部31は、上位の車両制御回路から入力されたモータ80に要求されるトルク指令trq*に基づきdq軸電流指令値Id*、Iq*を演算する。三相-dq変換部32は、電気角θeを用いて三相電流Iu、Iv、Iwを座標変換し、dq軸電流検出値(適宜「実電流」ともいう)Id、Iqを算出する。電流偏差算出部33は、dq軸電流指令値Id*、Iq*とdq軸電流検出値Id、Iqとの偏差ΔId、ΔIqを算出する。
フィードバック制御器34は、dq軸電流検出値Id、Iqをdq軸電流指令値Id*、Iq*に追従させるように、例えばPI演算により、dq軸電圧指令値のフィードバック項Vd_fb、Vq_fbを演算する。フィードフォワード項演算部35は、dq軸電流指令値Id*、Iq*に基づく電圧方程式によりdq軸電圧指令値のフィードフォワード項Vd_ff、Vq_ffを演算する。
この場合、電圧方程式は、相抵抗R[Ω]、d軸インダクタンスLd[H]、q軸インダクタンスLd[H]、電気角速度ω[rad/sec]、誘起電圧定数φ[V・sec/rad]を用いて以下の式(1.1)、(1.2)で表される。
Vd_ff=R×Id*-ω×Lq×Iq* ・・・(1.1)
Vq_ff=R×Iq*+ω×Ld×Id*+ωφ ・・・(1.2)
スイッチング回数演算部36は、電気角周波数f等に基づき、インバータ60のスイッチング素子61-66が単位時間当たりにスイッチングする回数であるスイッチング回数Nswを演算する。デッドタイム項演算部37は、電流情報、スイッチング回数Nsw及びシステム電圧Vsysの情報を取得する。特に第1実施形態のデッドタイム項演算部37は、電流情報としてdq軸電流指令値Id*、Iq*を取得する。デッドタイム項演算部37は、これらの情報に基づき、デッドタイム項VdDT、VqDTを演算する。デッドタイム項VdDT、VqDTは、インバータ60のデッドタイムに起因する指令電圧に対する不足電圧を補償する量であり、詳細については後述する。
一次加算器38は、フィードフォワード項Vd_ff、Vq_ffとデッドタイム項VdDT、VqDTとを加算する。二次加算器39は、フィードフォワード項Vd_ff、Vq_ffとデッドタイム項VdDT、VqDTとの加算値をフィードバック項Vd_fb、Vq_fbに加算し、dq軸電圧指令値Vd*、Vq*を出力する。変調器40は、dq軸電圧指令値Vd*、Vq*、システム電圧Vsys、スイッチング回数Nsw、及びモータ80の電気角θeに基づき、インバータ60の駆動信号を生成する。
図3(a)、(b)に変調器40の2通りの具体的構成を示す。図3(a)に示す変調器40aは、キャリア比較による正弦波PWM方式の変調器であり、dq-三相変換部41及びキャリア比較部42を有する。dq-三相変換部41は、電気角θeを用いてdq軸電圧指令値Vd*、Vq*を三相電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*に座標変換する。キャリア比較部42は、スイッチング回数Nsw及びシステム電圧Vsysに基づき、三相電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*から変換されたデューティ比をキャリアと比較して駆動信号を生成する。
図3(b)に示す変調器40bは、波形選択方式の変調器であり、変調率算出部43、波形選択部44及び駆動信号生成部45を有する。変調率演算部43は、dq軸電圧指令値Vd*、Vq*の振幅とシステム電圧Vsysとの比から変調率mを算出する。波形選択部44は、変調率m及びスイッチング回数Nswに基づき、予め記憶された複数の電圧波形(いわゆる「パルスパターン」)の中からいずれかの電圧波形を選択して出力する。駆動信号生成部45は、選択された電圧波形を用いて、dq軸電圧指令値Vd*、Vq*の位相と電気角θeとの関係に基づき駆動信号を生成する。波形選択方式の変調器40bは、変調率mが所定値以上となる過変調領域でも駆動信号を生成可能である。
次に図1、図4、図5を参照し、デッドタイムにより発生する電圧について説明する。図1においてインバータ60のU相に流れる相電流に注目する。ここで、インバータ60からモータ80に向かう電流方向を正方向と定義する。デッドタイムにはスイッチング素子61、64の還流ダイオードに低電位側から高電位側に向かう電流が流れる。
つまり、電流正方向時のデッドタイムには、太実線矢印で示すように上アームスイッチング素子61の還流ダイオードに電流が流れる。電流負方向時のデッドタイムには太破線矢印で示すように、下アームスイッチング素子64の還流ダイオードに電流が流れる。したがって、相電流とは逆相の電圧がデッドタイムにより発生する。
図4に、相電流と、デッドタイムによる電圧との時間変化を示す。図5(a)、(b)に、それぞれ電流正方向時及び負方向時におけるPWMパルスと相電圧との関係を示す。デッドタイムTdeadは、キャリア周期Tc毎に、PWMパルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに伴って設けられ、相電圧からPWMパルスを減じた差分が「デッドタイムによる電圧」として発生する。
デッドタイムによる電圧はキャリア周期毎に発生し、相電流の位相に対し180[deg]ずれた位相を有する。また、相電流が同符号の領域、すなわちゼロクロス点を跨がない領域において、単位時間当たりの電圧は一定であり、電気周期(又は周波数)によらず振幅は一定となる。
相電流が0以外のとき、デッドタイムによる電圧の振幅Vdead[Vrms]は、システム電圧Vsys、デッドタイムTdead[sec]、キャリア周期Tc[sec]に基づき、式(2)で算出される。式(2)中の(1/√2)は、正弦波を前提としたときの直流電圧波高値[Vdc]から振幅実効値[Vrms]への変換係数である。
Vdead=Vsys×(Tdead/Tc)×(1/√2) ・・・(2)
なお、相電流が0のとき、スイッチング素子61-66の還流ダイオードに電流が流れないため出力電圧が変化しない。したがって、デッドタイムによる電圧は発生しない。
続いて図6、図7を参照し、dq座標上でのデッドタイム項の算出について説明する。図6に示すように、「デッドタイムによる電圧」は、相電流の位相に対し電圧位相が180[deg]ずれた、ある電圧振幅の正弦波とみなすことができる。したがって、「デッドタイムによる電圧」をdq座標上で表現可能である。
図7(a)、(b)に、それぞれ力行時及び回生時における電流及び電圧ベクトルを示す。第1実施形態では、電流ベクトルとして電流指令ベクトルを用いる。正方向のd軸基準での電流指令ベクトルの位相をθiとすると、「デッドタイムによる電圧」の位相は「θi+180[deg]」と表される。以下、電流位相及び電圧位相は、正方向のd軸基準の位相を意味するものとする。
この「デッドタイムによる電圧」は、最終的な電圧指令とフィードフォワード電圧指令(理論値)との差分である不足電圧に相当する。言い換えれば、「デッドタイムによる電圧」を相殺する電圧をデッドタイム項としてフィードフォワード電圧指令(理論値)に加算することで最終的な電圧指令が得られる。つまり、デッドタイム項の電圧位相は電流指令の位相θiと同じであるため、この理論に基づいてデッドタイム項VdDT、VqDTを演算し、デッドタイム補償を行うことができる。
第1実施形態のデッドタイム項演算部37は、式(3)により、dq軸電流指令値のd軸成分Id*及びq軸成分Iq*と電流振幅I*ampとの比からデッドタイム項VdDT、VqDTを算出する。
VdDT=VampDT×cos(θi)=VampDT×Id*/I*amp
VqDT=VampDT×sin(θi)=VampDT×Iq*/I*amp
・・・(3)
ここで、デッドタイム項の振幅VampDTは、システム電圧Vsys、デッドタイムTdead[sec]、スイッチング回数Nsw[回/sec]、及び振幅係数αに基づき、式(4)により算出される。デッドタイムTdeadはソフトウェアの設定値が用いられる。
VampDT=Vsys×Tdead×Nsw×α ・・・(4)
なお、上述の「デッドタイムによる電圧の振幅Vdead」の式(2)は理論式であるのに対し、式(4)は、制御演算の視点からデッドタイム項の振幅VampDTを算出する演算式であり、振幅係数αが乗算される点に特徴がある。振幅係数αの意義について図8を参照して説明する。
図4に示すように、相電流のゼロクロス点近傍で「電流≒0」となる時、デッドタイムによる電圧は発生しない。そこで、dq軸電流指令値の振幅I*ampが0となるとき振幅係数αを0とすることで、デッドタイムによる電圧の極性変化に伴うデッドタイム項の振幅VampDTの急変を回避することができる。
詳しくは、電流振幅I*ampが所定値x以上の範囲で振幅係数αは正の一定値αmaxとなる。また、電流振幅I*ampが0から所定値xまでの範囲で、振幅係数αは電流振幅I*ampに比例して漸増する。ここで所定値xは、例えばスイッチング素子の静電容量に応じて設定される。
一定値αmaxは、直流電圧波高値[Vdc]からdq軸電圧[Vdq]への変換係数に相当する(√3/√2)である。この値は、直流電圧波高値[Vdc]から交流電圧振幅[Vrms]への変換と、相電圧実効値[Vrms]からdq軸電圧[Vdq]への変換とを組み合わせたものである。
(効果)
第1実施形態のモータ制御装置201の効果について説明する。まず、フィードフォワード電圧指令にデッドタイム項を全く加算しない場合、又は、フィードフォワード電圧指令に加算されるデッドタイム項が正しく演算されない場合と対比する。
図7(a)、(b)に示すように、デッドタイムによる電圧の位相は、力行時と回生時とで大きく変化する。デッドタイムによる電圧を全く考慮しない場合や、デッドタイム項が正しく演算されない場合、力行及び回生を跨ぐトルク指令に対し電圧指令が追従できず、ドライバビリティの悪化を招く。それに対し第1実施形態では、dq軸電流指令値Id*、Iq*に基づきデッドタイム項の位相が正しく演算されるため、力行及び回生を跨ぐトルク指令に対しても電圧指令が追従でき、ドライバビリティが向上する。
次に、特許文献1(特開2002-95262号公報)の従来技術と対比する。従来技術では相毎に補償電圧を生成して各相のPWM電圧指令に加算するため、三相分の補償回路が必要であるのに対し、本実施形態ではdq座標上でデッドタイム補償を行うため、三相分の補償回路が不要となる。三相モータ制御において一般に備わっているベクトル制御の座標変換機能を使用可能であるため、デッドタイム補償の回路構成が簡易になる。
また、特許文献1の従来技術ではデッドタイム補償電圧の振幅をフィードバックしているが、電圧位相や変調率を考慮していないため、キャリア比較による正弦波PWM以外の変調方式、例えば過変調領域での変調方式には適用が困難である。本実施形態では最終的なdq軸電圧指令値Vd*、Vq*から変調率を演算し、変調率に応じた出力電圧波形を容易に生成可能である。したがって、正弦波PWMに限らず、キャリア比較での出力波形生成ができない過変調領域における波形選択式等の変調方式にも広く適用可能である。
さらに、デッドタイム項の振幅VampDTは、電流振幅が0のとき0となる振幅係数αが乗算されて算出されるため、デッドタイムによる電圧の極性変化に伴う急変が回避される。
特に第1実施形態のデッドタイム項演算部37は、dq軸電流指令値Id*、Iq*を用いてデッドタイム項VdDT、VqDTを算出する。指令演算周期で演算するため、キャリアタスク等の高速演算周期で演算する場合に比べ、演算負荷を低減することができる。また、トルク指令trq*に基づくdq軸電流指令値Id*、Iq*をすぐに使用するため、dq軸電流検出値(実電流)Id、Iqを用いる場合に比べトルク応答が早い。
(第2実施形態)
図9を参照し、第2実施形態のモータ制御装置202について説明する。第2実施形態のモータ制御装置202は、演算部302の構成要素は第1実施形態の演算部301と同じであり、デッドタイム項演算部37に入力される電流情報のみが異なる。第2実施形態ではdq軸電流指令値Id*、Iq*に代えて、dq軸電流検出値Id、Iq、すなわちインバータ60からモータ80に通電される実電流がデッドタイム項演算部37に入力される。dq軸電流検出値の電流振幅は、「*」の無いIampと表される。
図7のdq座標における「電流指令ベクトル」は「実電流ベクトル」に置き換えられ、同様に解釈される。つまり、実電流ベクトルの位相θiと同じ位相のデッドタイム項がフィードフォワード電圧指令に加算されて電圧指令が算出される。また、図8の横軸の電流振幅「I*amp」は「Iamp」に置き換えられる。
第2実施形態のデッドタイム項演算部37は、第1実施形態と同様に、式(4)によりデッドタイム項の振幅VampDTを算出する。また、デッドタイム項演算部37は、式(5)により、dq軸電流検出値のd軸成分Id及びq軸成分Iqと電流振幅Iampとの比からデッドタイム項VdDT、VqDTを算出する。
VdDT=VampDT×cos(θi)=VampDT×Id/Iamp
VqDT=VampDT×sin(θi)=VampDT×Iq/Iamp
・・・(5)
第2実施形態は、電流指令値Id*、Iq*を用いる第1実施形態に対しトルク応答の早さでは劣るが、実電流Id、Iqを用いるため瞬時のデッドタイム項VdDT、VqDTを正しく演算することができる。したがって、デッドタイムによる電圧急変に対してもドライバビリティの悪化を防ぐことができる。
(その他の実施形態)
(a)振幅係数αは、図8に示すように、電流振幅I*amp(又はIamp)が0から所定値xまでの間で電流振幅I*amp(又はIamp)に比例するとは限らず、0から所定値xまでの間で曲線状や折れ線状に漸増してもよい。
(b)本発明のモータ制御装置は、ハイブリッド自動車や電気自動車の主機モータに限らず、電圧形インバータにより電力供給されるあらゆるモータに適用可能である。また、多相交流モータの相の数は、三相に限らず何相でもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
201、202・・・モータ制御装置、
31・・・電流指令値演算部、
34・・・フィードバック制御器、
35・・・フィードフォワード項演算部、
37・・・デッドタイム項演算部、
38、39・・・加算器、
40・・・変調器、
60・・・インバータ、 61-66・・・スイッチング素子、
80・・・モータ。

Claims (4)

  1. 多相の上下アームのスイッチング素子(61-66)がブリッジ接続されて構成され、直流電力を変換して多相交流電力をモータ(80)に出力するインバータ(60)と、
    前記モータに要求されるトルク指令に基づき、dq軸電流指令値(Id*、Iq*)を演算する電流指令値演算部(31)と、
    前記インバータから前記モータに通電される相電流の検出値が座標変換されたdq軸電流検出値(Id、Iq)を前記dq軸電流指令値に追従させるように、フィードバック項(Vd_fb、Vq_fb)を演算するフィードバック制御器(34)と、
    前記dq軸電流指令値に基づく電圧方程式によりフィードフォワード項(Vd_ff、Vq_ff)を演算するフィードフォワード項演算部(35)と、
    前記インバータのデッドタイムに起因する指令電圧に対する不足電圧を補償するデッドタイム項(VdDT、VqDT)を、前記dq軸電流指令値もしくは前記dq軸電流検出値、前記インバータに入力される直流電圧であるシステム電圧(Vsys)、及び、前記スイッチング素子が単位時間当たりにスイッチングする回数であるスイッチング回数(Nsw)に基づいて演算するデッドタイム項演算部(37)と、
    前記フィードバック項、前記フィードフォワード項及び前記デッドタイム項を加算したdq軸電圧指令値(Vd*、Vq*)を出力する加算器(38、39)と、
    前記dq軸電圧指令値、前記システム電圧、前記スイッチング回数、及び前記モータの電気角(θe)に基づき、前記インバータの駆動信号を生成する変調器(40)と、
    を備え、
    前記デッドタイム項の振幅をVampDT、前記システム電圧をVsys、前記デッドタイムをTdead、前記スイッチング回数をNsw、振幅係数をαと表すと、
    前記振幅係数は、前記dq軸電流指令値又は前記dq軸電流検出値の電流振幅が0のとき0であり、前記電流振幅が0から所定値(x)までの範囲で漸増し、前記電流振幅が前記所定値以上の範囲で正の一定値となるように設定されており、
    前記デッドタイム項演算部は、下記の式
    VampDT=Vsys×Tdead×Nsw×α
    により前記デッドタイム項の振幅をdq座標上で算出するモータ制御装置。
  2. 前記デッドタイム項のd軸成分をVdDT、q軸成分をVqDTと表し、
    前記dq軸電流指令値のd軸成分をId*、q軸成分をIq*、電流振幅をI*amp、正方向のd軸基準での電流位相をθiと表すと、
    前記デッドタイム項演算部は、前記dq軸電流指令値に基づき、下記の式
    VdDT=VampDT×cos(θi)=VampDT×Id*/I*amp
    VqDT=VampDT×sin(θi)=VampDT×Iq*/I*amp
    により前記デッドタイム項を算出する請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記デッドタイム項のd軸成分をVdDT、q軸成分をVqDTと表し、
    前記dq軸電流検出値のd軸成分をId、q軸成分をIq、電流振幅をIamp、正方向のd軸基準での電流位相をθiと表すと、
    前記デッドタイム項演算部は、前記dq軸電流検出値に基づき、下記の式
    VdDT=VampDT×cos(θi)=VampDT×Id/Iamp
    VqDT=VampDT×sin(θi)=VampDT×Iq/Iamp
    により前記デッドタイム項を算出する請求項1に記載のモータ制御装置。
  4. 前記変調器(40b)は、前記dq軸電圧指令値の振幅と前記システム電圧との比から算出される変調率(m)、及び前記スイッチング回数に基づき、予め記憶された複数の電圧波形の中からいずれかの電圧波形を選択して出力する請求項2または3に記載のモータ制御装置。
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